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2016年4月27日 (水)

■いつの間にか、きみを。~桜と向日葵と思い出す人生のこと・小諸、十一回目~(3) -更新第1056回-


食べてすぐ横になると、食べてすぐ横になるマンになるわよ!
オイサンです。
変身ヒーロー。

サテ、行き過ぎた妄想力を持った男がその力で世界を救うも、
あまりに妄想がヒド過ぎて迫害され人間社会を追われた先に行きついたのが小諸だった、
そんなオイサン11度目の小諸探訪記、今回はその第3回、最終回です。

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前回はオイサンが、普通の人間の目には見えない美少女と出会い、
ともに飯綱山の山頂へ導かれて、妖精さんからふしぎな歌を教わるところまででした。

今回は……マもうお昼ゴハンを食べて帰るだけ……のはずなんですが、
まだもう一つ、不思議な出会いが待っていたようです。



■おみやげのみやさかとさん。~思わぬところで小山田先生の息吹に触れる
そんな風に、ちょっと切なメの思いに駆られたのには、
頭に小山田先生のことがあったことが無関係ではないだろう。

今回の小諸訪問を考えたキッカケに、小山田いく先生が亡くなられた、ということがあった。

  小山田いく先生は、小諸出身のマンガ家です。
  『すくらっぷ・ブック』(1980~1982)などの代表作があります。

オイサンなんかは例のごとく、熱心なファンと言うほどでもない。
先生のことをキチンと知ったのもごく最近(と言ってももう3年前だが)でしかなく、
ちゃんと読んだ作品も『すくらっぷ・ブック』くらいだ。
30年以上昔から今なおファンを続けておられるガチ勢の方々から見れば
ミーハーも良いトコだ。
けれどもその『すくらっぷ・ブック』の世界が、
スーパー二次元脳のオイサンが小諸のことを肌で取り込む上で添えた彩は計り知れない。
小諸のことを好きになってしまった自分として、その存在は外せない。

このタイミングで小諸を訪れたから何をするというワケでもないけれども、
どこへとなりと向かって手を合わせることくらいは出来るだろう、ということは頭の片隅にあった。

  マ実際来てみたら、ホント具体的に何が出来るでなく、
  いつも通りフラフラと、山と空を見上げ、川を眺めして
  ときどき作品の世界に思いを馳せることくらいしかなかったけど。
  その間も大体、隣に向日葵ちゃんがいたしね(罰当たり。

2日目はあまり長居することを考えていなかったので、昼を食べる店にアテがなかった。
雨も、昼が近付くにつれ急き立てるように勢いを増していた。
いちいちケータイを出すのもおっくうで、ここと思ったのれんをてきとうにくぐった。
結論から言うと大当たりだった。
メインのかき揚げ丼のみならず、
突出しの山菜の小鉢も、茶わん蒸しも、お味噌汁もお漬け物もお茶も、
何から何までハイレベルで美味しく、店の設えもスバラシイ。

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……なのだが、ウッカリ写真を撮り忘れたので、朝のきざみそばの写真。


天ぷら中心の割烹で、焼き魚定食をたのむという心づもりで入ったが、
じわじわ温度を上げている天ぷら鍋を見て気が変わった。

殴ったら手の方を怪我しそうなご主人も、
低く落ち着いた声で気さくに、しかし程よい距離感で話しかけてくれるし、
明るい桜色のお着物姿が堂に入った女将さんも大変に行き届いていて
オイサンのごとき若造には言うことなんか何もないくらいの良いお店でした。
それでいて鯱張りもせず、ただ自ずと背筋を正していただくのが心地よい。
お値段もリズナボー。いやあ、アタリを引いた。

そんなナイスなお店でゆっくりしてしまったので、
お店を出る頃には電車までの時間が予定の40分を切っていた。
しからばもう、あとは「おみやげのみやさか」さんに寄って買い物を済ませておしまいにしよう。
15分もあれば済む用事だ。
……そんな風に思っていた時期が、僕にもありました。
結局また、30分近く話し込んでしまった。ここは何屋だ。


  ……さあ、全国5000万の小諸・おみやげのみやさかさんファンの皆さんこんばんは。
  お待たせしました。みやさかさん(主にお母さん)の時間です。


オイサンが入店したとき、
お店のカウンターでは「こちら側」っぽいお客が数名固まって話されていた。
そして彼らが去った後、そこには数冊の同人誌と、
十冊近い古びた週刊少年チャンピオンが置かれていたのでした。

「小山田先生、亡くなられたんですよね」

それを見てオイサンが切り出すと、お母さんはいつもの調子で、
これを置いて行った彼らは昔からの小山田作品ファンで、
当時の同人誌と掲載誌を置いて行ったのだと、聞かないことまで教えてくれる。

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促されてページを開いてみると……なんともはや、どちらも懐かしい感じの誌面。
チャンピオンの方に至っては、『らんぽう』『750ライダー』『プラレス三四郎』『がきデカ』など
レジェンド級の作品がズラリでうっかり読みふけりそうになる。

世間話の中で、今日はすぐそこの"懐"というお店でゴハンを食べたのだと話すと、
お母さんはパッと楽しそうな顔をして(あのヒトいつも楽しそうだけど)


  「あっ、あっ、じゃあ、おかみさんおられました? お着物の」


と言う。
ああ、確かにおられましたけど。

  「あのおかみさんがねえ、『すくらっぷ・ブック』の……
   誰だっけ、ホラ、一番右の!


わかんねえよ。
どのイラストの話だ。常に最右翼なのか。そいつは右サイドバックか。
お母さん、『なつまち』やら『おねティ』やらと一緒に小山田先生作品のグッズが並んだ棚を見渡して、


  「えっとねえ、あの、この……あれ? ない。どこやったっけ?」


失くしたのか。
お母さん、僕を萌え殺すつもりですか。
お母さんは、どこのギャルゲーから出てきたんですか。
秋子(水瀬)さんとか春香(柚原)さんとか、メインヒロインより人気出ちゃう系女子ですよね?
毎回毎回素敵すぎるんですけど。

  ……そういえばお母さん、お土産の中でもやたらとジャム推しなのはもしかして……。

イヤ、結果的にはあったんだけど。
お母さんが出してきたイラストの、確かに一番右には、桜井光代という女の子が描かれている。


  「そうそう、この子のモデルになった人なんですよ。小山田先生の同級生で」


なんとまあ。小諸に残っておられたんですね。
そのあともアレやらコレやら、おかみさんのパーソナルな情報をリークして下さって、
また一つ、思い入れのあるお店が出来てしまった。
終始お母さんのキャラに押され気味でしたけれども、
亡くなった小山田先生の思いに、思いがけず濃いかたちで触れたような心持ちがして。
なんだか……得をした気分です。
不思議なご縁、と言っていいのか。ただの偶然だけれども。
人間、考えることは同じなんでしょうね。



■帰途
……こうして、オイサン11回目の小諸の旅は幕を閉じます。

思えば、そばばかり食べていたような気がするなあ……。

旅行をすると、頻繁に、思いがけない楽しい偶然と出くわします。

それはまあ言ってしまえば、本当にとるにたらないただの偶然であったり、
或いは無意識にそう仕向くように働いてしまった意識のタマモノであって、
そういうものを旅の空気の特別な気分がそれ以上の何かとして錯覚させているだけなのでしょう。

  けどもまあ、発見は発見だ。
  そういう実感を感触としてつかめたら、それは紛れもなく自分の一生のうちの確かな手ごたえであるわけで。
  他の誰にもわかってもらえなかったとしてもね。

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四半世紀前に自分の中にしまいこんで忘れていたものと、
30年にわたって世の中の隙間で温め続けられてきたものと、
その二つのありようはダイレクトに繋がるものではないけれども……
輪郭の、ユルやかに重なる、あるいはふれあうものであるように感じる。

人間、生きてるとどーしたって変化するし、気持ちも移ろうけれども、
亡くなった方の気持ちというのは安定していて、それ以上移ろうことはない。
オイサンはなんか、そういう落ち着いてしまったものに込められた真実とかなしみに魅力を感じます。
移ろうことのない喜びと、もう移ろうことが出来ないかなしみ。
落ち着いてしまったがゆえに、二度と紐解かれることのない思い。

思い出すことの方が多い人生は、多分もうどこかで折り返した人生で、
少しずつ、大きな安定、大きな落ち着きに近付いている。
そのことに気付ける人は、多分そんなに多くない。
それまでの時間を使って、これまでため込んで来たものも使って、
最後に残す形として、ふさわしいものを組み立てていけばいいのかなー、などと思う。

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色即是空、などと物わかりのイイことを言ったけど。
そうした思いは、……マ形がないので色とも言えないけれども、空でもないだろう。

なんとなく、そんな思いのフタを開いてくれたように思われる向日葵ちゃんのことを、
この先もう少しよく知ってみようかなー、などと考えるオイサンでした。
「買いかぶり過ぎですわ」
と、控えめに笑うのだろうけど。
小諸、全然カンケイねえな。すみません。
ではまた。


……。



『ゆるゆり』の聖地は、富山なんだよな……(ゴクリ



 

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