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2015年11月21日 (土)

■シンプル・イズ・エベレスト。~映画『エベレスト3D』感想 -更新第1020回-

映画、『エベレスト』の3D、日本語吹き替え版を見てきましたです。

『エベレスト』は、1996年にエベレストで実際にあった遭難事故をもとにした、
ドキュメンタリータッチのフィクション映画。
……と言ってしまって、良いよな?


▼映画『エベレスト 3D』 特報


今回の記事の性質上あらすじは省くけども、
作品でなく、元となった事件のあらましはWikipediaの記事なんかで詳しく見られよる。

 ▼1996年のエベレスト大量遭難(Wikipedia)
 http://qq1q.biz/pmFm

  ところで映画とWikipediaでいっこ食い違ってるのはロブ(主人公・遭難死)の遺体について、
  最終的に映画では「まだエベレストに残されている」と
  ラストのモノローグで語られていたけれども、
  Wikipediaの記事では「荼毘にふされた」とあることか。
  細かく見たら色々違っているのだろうけど。

何年か前にヤングジャンプで読んだマンガ版の『孤高の人』(原作:新田次郎、マンガ化は坂本眞一)に魅せられて以来、
『神々の山嶺』(原作:夢枕縛 マンガ化は『孤独のグルメ』の谷口ジロー)やら、『岳』やらを読んでいると、
やはりどうしても……
世界に14座あるらしい、8000m峰というモノへのあこがれが湧いてくる。

まオイサンが実際やる山登りなんていうのはハイキングから毛が抜けた程度のもので、
上記の2作品よりも『ヤマノススメ』に近く、
『ヤマノススメ』に比べても全然レベルが下のものでしかないので、
8000m峰の登山なんてアンタそんなモン、おこがましいというか危ないというか、
ほとんど「空を飛びたい」というのと同じくらい
「あっはっは、そりゃあ出来たらいいね」というレベルの話。

しかし、その世界がいったいどんな場所なんだろうか、
どうやって辿り着いて、人間の体や気持ちはどんな風に変化して、
どんな風景が広がっているのだろうか、
踏みしめる足もとはどんな感触なのだろうかということへの興味は尽きない。

『孤高の人』『神々の山嶺』にはその辺のことまで
ドラマ含めて克明に描かれていて大変似興味深いのだけれども、
より以上のリアリティや情報、臨場感、現地の空気を知りたいと思って、
今回この映画を見に行った次第です。

  8000mに至ると(というか6500mあたりを超えると)人間の体がどうなっていくのか、
  何を持っていき、何を食べ、どのように眠るのかの類の話は
  ホント想像を絶する領域で大変に面白い。

強いていうなら、「エベレスト登山の疑似観光」。

エベレスト登山のルートとはどんなものなのか。
アイスフォール、ヒラリーステップ、イエローバンド、軍艦岩など、
よく名前を聞く「名所」が、どんな形、どんな大きさ、どんな存在感で、どんな風に目に見えるのか。耳に聞くのか。
ベースキャンプや途中のキャンプがどんな場所なのか、
エベレストに辿り着くまでのネパールのカトマンズやナムチェバザールなどの人里がどんな雰囲気なのか。
そういう場所の空気を見聞したい。

なので大きな目的は、お話を楽しむというよりは、
その周辺の映像や音響であって、
「エベレスト登山」にまつわる視覚・聴覚への刺激を取り込むことが主。
お話は、面白かったら儲けモノくらいのスタンス。

それにお話といってもこの『エベレスト』という作品は、冒頭でも書いた通り、
実際に起こったツアー登山の遭難事故を元にしたドキュメンタリー調のフィクションなので、
過剰なドラマの演出や演出は出来ない……と思うので、
それも今回の目的にマッチしているであろう、と見込んでのこと。

あと、オイサンは今回3D映画初挑戦です。
また、オイサンは洋画を見る際大抵字幕版を見ますが、
「3D映画では、字幕が映像の臨場感を殺ぐ(文字が浮き上がって興ざめする)」と聞いてたので、
吹き替え版を選んだ。
主人公の声が小山力也さんだったので、氏の外画での仕事ぶりを見てみたかった、
というのもちょっとアリ。
最近は『血界戦線』のクラウス、『うしおととら』のとらなんかでワリと声を耳にするご縁があったので
ご縁を深めておこうかと。
オイサンをパクチー好きにしてくれた人でもある。
宮本充さんの舞台も見に行ってみたいんだよなあ。余談。



■感想



前置きはそのくらい。デ、肝心の映画の感想は……全体的にイマイチ。
娯楽的な意味でも、ドキュメンタリー的な意味でも、上で書いたような目的の意味でも、
全般的に中途半端だった。

「事実をもとにしたフィクション」というものを、
ドキュメンタリー寄りにとらえるか、娯楽寄りに捉えるかという問題はあって、
オイサン的には基本ドキュメンタリー寄りでとらえている。

それに照らせば、この『エベレスト』はドキュメンタリーとしての情報量が少なく、
特に中盤以降の遭難劇が始まってからはドラマ方面へ軸足をシフトしてしまうため
視点がミクロで興味深さに欠く。

では、ドラマの力を借りて、ミクロさの中に推論や解釈が持ち込まれるのかと言えばそうでもなく、
そこでは律儀にドキュメンタリーしようとするから、
見えない部分だけが増えて、見せられたい部分は見えないまま、うっすら淡々としか描かれない。

  なんかね、選別と強調の手を抜いてるように見えるのよね。

見たかった周辺の山を含めたエベレストの様子や広がる風景、地形や気候のこと、
それらへの人体のリアクションなど、
取り巻く要素に関する客観的に揺るぎのない情報を知りたかったけど、
そういう映像的な内容は限定的だった。

さらに、娯楽とドキュメンタリーのはざまでの揺らぎが、
ある程度物語・映像を盛り上げないといけない都合上カメラワークやらを介在させてしまうわけで、
それがまた邪魔だった。
ドキュメンタリーほど客観的な情報を具に語ることも出来ず、
エンタテインメントほど面白く盛り上げることも許されず、
半端、半端に削れ落ちた挙句、求める満足感はどちらからも得られなかった。

今回初体験の3D効果にしても、ごく一部のシーンでちょっと臨場感が増すくらいで、
開始時の違和感や目の疲れを考えるとトータルでマイナスくらい。
そんなにありがたいものではなかった。
ベックさんが倒れこむシーンで、背後に見下ろす山々の背景にすごく深みがあったところが
一番効果的だったと思う(しかしそれはシーンのメインではない)。

自分にとってはこういう映像の臨場感より、
『神々の山嶺』で語られた「ことば」の方がよほど上手くヒマラヤの持つ空気を
心の中に思い描かせてくれるものだったと実感する。


  「成層圏の風を岩が呼吸している。
               雪が凍てついた大気の中で時間を噛む」



であるとか、


  「テントの遙か上空で風がうねっている。
   この瞬間にも青い微光を放つ巨大なヒンドゥーの神々がしずしずと天より降り立ち
   成層圏の気流を呼吸しながら舞っているのかも知れない」



だとか。
山の静謐と喧騒、凶暴さと荘厳さを併せて隠し持つ様子を、とても端的に表して、
感じさせてくれると思った。
もちろんマンガの画面と相まって、であるけれども、
色彩や大きさ、深さ遠さまで語ってくれているのを受け止めることができる。

映画には、映画ならではの動的な広がりをうまく使って、
マクロからミクロまでエベレストの様子をとらえたモノを見せて欲しかったし、
スポットスポットには説明を交えて知らせて欲しかった。

しかしそういう限定的な映像情報からでも思ったのは……
「おお、こらアカン。オイサンには登れんわ」
という、当たり前ながら実感的な感想だった。

ムリ。
むり無理。

コレを見る前は、実は、
ツアー登山が組まれるようなノーマルルートのガイド登山であればもう少し緩くて、
かつ『孤高の人』や『神々の山嶺』で描かれていたような
「無酸素単独」とか「未踏高難度ルート開拓」とかのスパルタンな縛りを無くせば
あわよくばオイサンにも頂を踏むチャンスくらいはあるんじゃないか……
とか思っていたんだけれども。

いやいやイヤいやイヤ、全然ダメでした。
無理だ。
ていうかお前、そんな大それたコト考えてたのか。

イヤもうね、こらアカン、の世界でした。
天候とか条件とか、そういうものの善し悪し抜きにしても、
デフォルトの地形の時点で自分には無理だw
少しでも8000m峰とか登ってみたいと思ってた自分がバカだった。

クレバスに梯子を渡すとか、ヒラリーステップのロープがどうとか、
文字やマンガの情報では知ってたけども、
実際に映像で動いてる人間が登ってるところを見るともうね、
いや、まあ、
そりゃヒマラヤの何千mの山なんだからあのくらい当たり前なんだろうけど、
いやー。
無理だった。すみません(謝っちゃった

まあ、「登ってみたい」と思わないことには
登れる可能性はさすがにいつまで経ってもゼロのままなんだけども。
それにしても、だったわw
きんたまキューどころの騒ぎじゃない、
あんなとこにずっといたら、きんたまが極限まで収縮した挙句
質量が無限になって重力崩壊してなくなるわ。

というワケで、映像的な恩恵がまるでなかったかと言えばもちろんそんなことはない。

色々と、この映画というか、この遭難事故そのもの・登山について言えるコト・感じたコト、というのはある。
山では利己的であるべきか、利他的であるべきかとか、
ロブって人の判断はどうだったんだとか、ベックさん一体何で出来ているんだとか。

事故後に巻き起こった批判についてであるとか。

その辺のことも、今回の記事の性質上、特に言及しない。
あんまり目新しいことが言える話でもないし、既に言い尽くされてることでしょう。

この事故では実際8人が亡くなっているらしいのだけど、
それを聞いた感想は不謹慎ながら
「あ、そのくらいなんだ?」
ということでした。
イヤ、ホント不謹慎だし、数で測れるものでもないのだけど。
世界一のエベレストで大量遭難っていうから、
ひとたび何かが起ころうものならもっとドバっと
それこそケタが違うくらいやられるものだと、無根拠なイメージを持っておりました。

それを思うと……こちら↓の、2009年の北海道・トムラウシでの遭難事故というのは
相当だったのだな。

 ▼トムラウシ山遭難事故 [Wikipedia]
 http://qq1q.biz/pmFj

マどっちにしたって、現場や当事者たちは、
ものすごい悲惨な思いをしたに違いないんですけども。


▼映画『エベレスト 3D 』メイキング映像





……マそんなことで。



ちなみに余談なのだが、
オイサンがコレを見に映画館に足を運んだのはおフランスのテロがパリで大変なことになっていた日で、
予告編が流れ終わり、さあこれから本編が始まるぞというあたりでふと
「そういえば、パロのテリは、スタジアムやら劇場やらが襲撃されたんだったな……」
と、徐々に落ちていく明かりの中で、急に恐ろしくなってしまった……。

今回のパロを主催したのが世界同時多的発なパロをアレすることが出来るほどの規模だったか知りませんが、
マそれが行われたってなに不思議は……無いヨノナカなワケで、
何もこんな日に、好き好んで真っ暗な閉鎖空間にノコノコやってこなくても良かったんでないかと、
ビクビクしてしまいましたよくっくやしいでもビクンビクン。

別にそれは、今日パロでテリがあったからって今日明日起こるってアレでもなく、
それは明日かも知れんし一週間後かも知れんし、ひと月、半年、一年後かも知れん。
昨日起こってたかも知れん。
ので、今日明日警戒してドキッとすることに大した意味はなく、
且つ、それを警戒して今日見られる映画を明日明後日に延期することにも
大した意味はないというか、
それを考えてると畢竟、核シェルターの中で膝を抱えて生きていくしかないワケで、
ホナお前どないせえっちゅうねん、というハナシなわけです。

まあ……どうしようもなくね?
何か起こったときの心構えと、少しでも戦い生き残れるような心身づくりと。

テリ屋さんがどこでどんな風においしいパロを焼いているかは、
最近はやっこさん、PS4で情報交換をやられているとかいないとかで、
専門の諜報機関でもそうそう簡単に察知できるモノでもないらしく、
素人がその動向をつかんで用心する、なんてトテモトテモ。

天気予報みたいなんでもあればまだ、ねえ。でもねえ。

実効的な対策にどんなことがあるのか、
まだ真剣に考えてないので「ない!」と断ずるのは尚早なのかも知れませんが、
なんつーか、こう、今のところ「気合い入れて生きる」とかいう
すごいバカなフレーズしか思いつきませぬ……。
トンチキな大人ですみません。



最後の方、映画の感想カンケイなくなっちゃったけども。
そんなにピンとくる映画ではなかったです……ああそうそう、
ツアー客の一人だったダグ・ハンセンが登頂後に前後不覚に陥ってしまって
ちょっと目を離した隙に滑落してしまい、
自分も下山不能に陥ったロブさんの、直後のB.Cとの交信での、
小山力也さんの絶望にとらわれた声のお芝居、そこはとても印象に残っている。

  「ダグは……死んだ! 落ちた!」

他にもヒマラヤ登山系の映画はズバリ『ヒマラヤ』とかあるんで、
見たいと思ってツタヤに足運んだりするけどなかなか置いてないのですよね。






マそんな感じでヒトツ。
ボロは着てても心はチョモランマ。(なに言ってんだ
オイサンでした。



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コメント

■Dすけさん
 
どうもご無沙汰、お元気ですか。もうオシゴトされてるんですっけ?

>おいさん、エベレスト登ってみたいとか恐ろしい子
 
はっはっはどうだ~い? 知らないってことは恐ろしいだろ~う?
そうでしょうねえ、もう想像が追い付きません。
それでも8000mのピークとは言わないまでも、まだ足元が地面の顔をしている高地あたりまででも、
行ってみたいとは思うのです。
まあ無茶はしませんが。

Dすけさんは、登ってみたいとは思わない系男子ですか?

 
>山は1000m超えたらどこも危なさしかないです。特に冬は。
>どんなに低い山でも油断すれば一瞬で死ねます。
 
でしょうねえ……。全く人間の都合の及ばない世界ですもんねえ。
夏の1000mの山でも道を間違えそうになる人間の(そもそも道に頼っている人間の)
太刀打ちできる世界ではないでしょう。
のんびりできるくらいで楽しんでおくのが身の丈なんでしょうね。

ところでDすけさんの登った一番高い山とか、難しかった山、面白かった山って
どっかありますかね?
 
>毎週、NHKの日本2百名山見てます。

私も時々録画して見ています。
「美しき日本の山々」とか、「大空撮!ヒマラヤ山脈」シリーズとか。

どういう空気なのか、垣間見てみたいものです。
 
んでわ、
今どういう暮らしに身を置かれているか存じませんが、
面白い話があったらまた聞かせてもらえると嬉しかとです!
 

投稿: ikas2nd@オイサン | 2015年11月29日 (日) 22時27分

おいさん、ご無沙汰です。
愛知の人です。

エベレスト見ましたよ。
おいさん、エベレスト登ってみたいとか恐ろしい子←失礼しました。

いや、無理ですよ、冬の富士山とか普通の登山家でも厳しいですし。
山は1000m超えたらどこも危なさしかないです。特に冬は。
どんなに低い山でも油断すれば一瞬で死ねます。

でも、登ったところから見る景色は登った人に限られた情景で、だからこそ別の山に登りたくなるんですよね…

大山も綺麗でしたし、紅葉期の石鎚山が忘れられません。

毎週、NHKの日本2百名山見てます。


投稿: Dすけ | 2015年11月27日 (金) 22時50分

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