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2015年4月 5日 (日)

■そして僕らは、河に出合う。~巡礼・岐阜を巡る -更新第980回-





───思えば、あれは再発見の一週間であったかもしれぬ。




岐阜の旅の最中には、カズオ・イシグロの『日の名残』を読み返す時間を得、
その素晴らしさ、精彩にちりばめられながら、オイサンの盆暗な脳味噌が見落としていた
いくつかの意図を再発見することが出来たし、岐阜へ旅立つ直前に、
それまでなんとなく渋っていた『氷菓』のBD-BOXを勢いで注文し、
それを見返すことで、
これまたずっと放映初見時にそのファーストエピソードに対して抱いていた
「どことなくかったるい」という印象を180°覆すほど、
鮮烈な印象を再発見することが出来た。
なかなか嬉しい一週間だったと言える。

さて、岐阜である。


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アニメ『僕らはみんな河合荘』のロケ地、岐阜県岐阜市の、長良川あたりへ出掛けてきた。

唐突だが、小学校の時分に社会の授業で習った川の名前をどのくらい憶えているだろうか。

  石狩川、木曽川、信濃川。
  最上川、利根川、四万十川。
  北上川、阿賀野川、阿武隈川。

「一番長い!」とか「流域面積が一番どうとか!」とか「ガミラスより青い!」とかで、
なにかしら憶えさせられたと思うのだが、いかがだろう?

彼らがそれぞれどういうパーソナリティを持っているのかについては、
……それをこそ重要な情報として教科書に記憶させられておきながら……
正直とんと自信がないが、
少なくとも、上で書いた名前くらいは記憶にぼんやりと残っている。
ただ、長いとか、デカいとか、そういう特徴を忘れ文字列になってしまったら
どれも同じようなものにしか見えてこない。

「大きな、有名な川なんだな」というイメージていどしか残らず、
ましてや実際に彼らの横たわる姿やまわりの景色、
そこに人がどんな風によりそっているかに想像が及ぶなど、望むべくもない。
どこを流れているのかもあやしい。



●○● 河と出合う旅 ○●○



2004年の1月に初めて北海道・旭川に行ったとき、『北へ。』で紹介されていた旭橋を見に行った。
その時、橋については「これがそうかあ」程度の気持ちだったのだが、
ハタと、橋の下を流れる川のことが気にかかった。

「もしかしてこの、下を流れている川は、小学校のときに社会で習った石狩川だろうか?」

教科書に名前が載っていて、憶えておくように言われ、なんとなく憶えてはおいたけれども、
まさかその実物を見ることになるとはまったく考えていなかったから、
変な感慨があったのをよく覚えている。
そうか、これがあの有名な石狩川さんか、と、
有名人とか、歴史上の偉人に会った……そんな感覚に近かった。。

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  そもそも自分の意志で旅らしい旅をしたのはそれが最初だったから、
  そういう予想外の「出会い」がそこで起こったのも、無理からぬことだった。
  あの旅は生涯忘れられない、昂揚感に満ち満ちたものだった。

二度目は、南木曽の柿其渓谷へ、牛ヶ滝を見に出かけた時。
成田美名子先生のマンガ『花よりも花の如く』に登場したその滝を見、
同作で紹介されていた宿に泊まったその帰り、ついでの足で南木曽駅で寄り道をして妻籠宿を見に行った。
南木曽の駅で帰りの電車を待つ間、
いくらか時間があったので少し下って近くを流れる木曽川を見に行って、
その勇壮さにまんまとやられて帰ってきた。
正直、妻籠宿のことはほとんど憶えてない。全部、木曽川の眺めに持って行かれてしまった。

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そして最後はごく最近、小諸で千曲川。
石狩川、木曽川に比べれば、クックック……奴は最弱、と言われても致し方ない知名度ではあるかも知れないが、
その名前は字面と響の面白さからよく覚えていて、
ダムのほとりで車を降りた時、なんとなくほっこりした気持ちになったものだった。

アニメ『僕らはみんな河合荘』のロケ地が、岐阜県の岐阜市、
長良川を跨ぐその名もずばり長良橋の付近だとは、放映中にTwitterで知ったことだった。
アニメの映像を見て、出てくる水辺はどうも川のようなのだけど、
あんなにたくさん舟が浮かんでいるのは一体どういうことだろう? と、不思議に思っていた。

木曽川にも、石狩川にも、大きな川とはいえあんなに舟が浮かんでいる光景は、
少なくとも自分の見た範囲では想像しがたかったからだ。

  川に船の浮かんでいる光景で憶えているのは、
  地元神奈川の境川が江ノ島あたりへ向けて注ぐ、もう海と川の境い目が無くなるくらいの地点でしかなかった。

長良川も、小学校のときに習ったかどうかはさておき名をよく聞く川ではあるし、
歌なんかにもなっている。
そんなことで興味は持っていた。

それでまあ、最近の自分の信州ブーム、プチ遠出ブームにかこつけ、
『河合荘』の聖地巡礼を兼ねて岐阜まで行ってみたのだった。
マ巡礼っつっても、例の如く、積極的に作品との完全一致を狙うようなことはしないで
「その辺」をボンヤリ歩くだけなんだけどね。



●○● 一日目。 ○●○



  ▼▼▼岐阜へ……岐阜駅~長良橋まで歩く▼▼▼

先ずはじめに、名古屋 ⇔ 岐阜の近さに驚く。
関東圏からのぞみで名古屋まで、約1時間半。
名古屋駅から、電車で30分かからないのね。各停でも快速でも、時間はそんなに変わらない。
ウチから新宿とかよりよっぽど近い。
もし何かで名古屋へ勤めることになったら、家は岐阜において通うというのも全然射程内だなあ。

名古屋~岐阜間の車窓の風景は、特筆することの見当たらない、郊外的田舎の風景。
住宅街、工場。
こんなかんじなのかー、とちょっとテンションは上がらない。

岐阜に着くと、駅にはそう長くとどまらずすぐ移動を開始した。
降り出した雨がまだ行動できる強さのうちに早く宿に着き、宿の周りでも歩きたいという気持ちが強かった。
今思えば、どうせもう雨もパラついていたのだし、駅ビルの中でも少し探索したら良かったと思う。

  帰りに駅ビルの中を眺めてみて思ったのが、郊外臭が強い。
  メジャーなチェーン店の集合体で、
  まち独自の店やその活気というのが感じられなかった。

  そうだな、小諸が異質なのは、駅前にメジャーなチェーンが見当たらないことなのかもしれない。
  それなのに、物さみしい、うらぶれた感じがしないのは特異である気がする。
  実際のところは結構うらぶれているはずなんだけど。

宿は、JR岐阜駅から長良川を跨いだ反対側にある。
駅前付近で昼ゴハンを食べ、あとは歩くか、タクシーでも捕まえようと考えていた。

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一応昼ゴハン向けにピックアップしておいた店に向かって
JRの駅からメインストリート周辺を数ブロック歩いてみたのだけど、
すぐに閑散とした雰囲気に包まれ始めた。
アパレル、繊維系の問屋みたいな店舗がたくさん軒を連ね……
がらんどうの空間にシャッターをおろしている。
なるほどなあ。

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目当ての店はランチタイムを終えていて入れず、たまたま見かけた喫茶・軽食の店で頂く。
おかずも美味しいけどゴハンも美味しい。
そしてゴハンの量が、関東圏よりも多めな気がする。
お店の性格なのか、地方の特質なのか分からないけど、なんとなく地方的な物のような気がする。
いきなりこんな店でゴハン食べる観光客、あんまりいないだろうな。
デカい荷物持ってたしカメラ下げてたし、どんなふうに見られただろうか。

  ▼▼▼タクシーが捕まらない▼▼▼

この日は、薄い雲からときおり小雨がぱらつくような空模様だったので、
途中でタクシーをつかまえて先ずは宿まで一気に行ってしまおうと考えていたのだけども、
なんとしたことか、タクシーがほとんど見当たらない。
曜日のせいか、それとも歩いた道が悪かったのかわからないけど、
そこそこ交通量のある通りを歩いたにもかかわらず
JRの駅から長良川を越えるまでの1時間ほどの間に見かけたタクシーの台数は5台程度だった。
地元の人は車を持っているのだろうし、見た感じバス路線がしっかりしているようだったので
あまり需要は無いのかもしれない。
京都みたいな超観光都市でもないわけだし、日常的に、そこまでの需要があるわけではないのだろう。
特にこんな、花があるわけでもない、観光の谷間の季節には。

結局、小雨の落ちてくる中を重たい荷物をかついでガッツリ5㎞歩くことになってしまった。
スパルタンである。
けど、まちの様子はよく分かったし、
若宮町の交差点あたりで町の東側に突然山が現れる様子にびっくりも出来たので良しとする。
はじめての町は歩いてナンボだ。大雨だったらさすがにイヤだけど。

「とりあえず北へ向かえば長良川にぶつかり、それを渡れば宿には着く」
というかなり適当なプランで歩いていたにもかかわらず、
今回の散策ポイントの一つである川原町にたどり着く(迷い込む?)ことも出来た。
雨も降っていたし、荷物もあったのでゆっくり見て回ることは出来なかったけど。
しっかり見て歩くのは明日だろう。

  ▼▼▼1日目の終わり▼▼▼

宿に着くころから雨が本格的になってしまい、この日の活動はこれでほぼおしまい。
夜は、岐阜城の建つ金華山を川越しに眺めることの出来るゴハン屋さんでゴハン。
ゴハンがおひつで出てくる変わったお店。
感激するほどおいしい、というほどではなかったけど、おいしかったし楽しめた。
満足満足。
そぼ降る雨に煙る岐阜城を見上げながら、夜の長良川沿いを歩いて宿に戻る。

  雨だし夜だしで、そんなに眺めがいいわけではないんだけどね。
  ライトアップされてたけど、そんなに派手ではない。

闇の中でも、雨で水を増した川が怪しくうねっているのが見える。
明日の朝までには雨は上がり、午前中は晴れて暖かくなるというからそれに期待しよう。
水が多めで、大きな川の川らしい姿が見られたらうれしい。

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活動開始は日の出と同じ、6時15分。
時間に余裕があるわけではないけど、あんまり汲々としないでゆったりした気分でいたい。
のんびりしたいよ。

夜も、明日の朝も、ジョギングするつもりで装備は一式持ってきたんだけどね。
流石に雨ではなあ。



●○● 二日目。 ○●○



朝、6:15。活動開始。
長良川沿いを、1㎞ほど上がってみる。
空はまだ曇り気味で日も昇りきっていないのでほの暗い。

うねって登る川の行く先は、こんもりと見えるいくつかの小さな山の合間を縫って消えていく。
その先は靄に煙って、白い水蒸気の隙間から、オレンジ色の朝日が差すようになっていた。
空にはまだ雲が多かったが、少しずつ晴れ間も覗いてきておりこのあとは十分期待が持てる。
イカス。

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流れる川の水は、一つの大きな塊がただうねっているだけのようにも見える。
ゆく川の流れはウンチャラカンチャラで、元の水に非ずしてウンチャラカンチャラであり、
月日はハクタイの過客にして行き交う人もまた旅人なのです。
どうも、旅人です。

川沿いから逸れて、町なかの方を歩いて宿の方、長良橋の方へ戻る。
途中、大きめのお寺を見かけて立ち寄る。
さほど静かなわけではないのよね。
小諸の静けさを知ってしまうと、どうしてもなあ。
あそこは異常だもの。
ただ「物音がしない」というだけではなくて(実際物音は結構あるはずなんだけど)、
生まれた物音が、何かに吸収されるのか、空気に溶けて空気の中の真綿のような物質にくるまれて消えていくのか、
そういう不思議な静けさが、小諸にはあるんだ。

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長良橋の上から長良川を臨む。
舟を係留している川縁の辺りは流れの影響を受けにくいようになっているらしく、
水面がとても静か。
鏡のようになって、空や景色を映していたのが印象的。

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ちょっとだけ足を伸ばし、
岐阜公園から、金華山へ登るハイキングコースの一つ・七曲り登山道入り口を覗いて、
岐阜大仏のおわす正法寺さんへ。

 ▼▼▼岐阜公園・正法寺▼▼▼

岐阜公園は、岐阜観光のメインスポットの一つである、
かつて信長の居城であったという岐阜城が建つ金華山へ至るための玄関口。

岐阜城は金華山の山頂にあってロープウェーで登れるが、
いくつかあるハイキングコースを使って登山にすることも出来る。
時間があれば登山をしたいと思っていたけど、今回は見送りかな。

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なんかロボットみたいな水門だなあ、と思って面白がって写真撮ってみたけど、
そもそも「ロボット水門」としてデザインされたものだった。
そりゃそうか。
頭の角、何の実用性があるんだってはなしだよなw
強いて言うなら鳥よけだろうか。

岐阜大仏のある正法寺さんは、
奈良・鎌倉と並ぶという日本三大仏のお一方の大仏様がここにおられるとたまたま知って、
ちょっと覗いてみようという気になった。

朝のこのときは、まだ時間が時間なのでオネムだったご様子。
また、時間があったら後でこよう。
なんだね、わざわざ大仏なんか見に来るかねこのオジサンは。
しかしこの正法寺さんは、あまり手入れが行き届いておらず、ちょっとみすぼらしい感じ。
マ増改築バリバリで、ピッカピカの鳥居なんかを持っているお寺よりかはご利益がありそうな感じはするけど、
なんかこう、経営に苦労してそうな感じだな。
折角いいものを持っているのに。
どんな大仏様なのだろう。

……と、朝ゴハンの時間があるのでこの辺りで引き返す
(と言っても既に予定時間オーバー)。
長良橋のたもとまで戻ってくると、空と川とがえも言われず美しい。
心が洗われる。川は良い。

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 ▼▼▼岐阜の喫茶のモーニング▼▼▼

一旦宿に戻って部屋を引き払う。荷物を出発までフロントに預かってもらうのはいつものやり方。
朝ゴハンはついてないので、探しておいた近くの喫茶でモーニング。
「あるてあ」さんです。

広々と開放的なお店に、まるで歌舞伎役者のようなイケメンロマンスグレーのマスター。
なんて素敵な人生なんだろう。
珈琲を淹れるマスターの動きには迷いがなく、そこもまた、歌舞伎や能の役者さんのような居住まいを感じさせる。
なぜか右手には、ボウリングのプロテクタのようなグラブをはめておられる。
ドリップ専用プロテクタだwかっこいいww

モーニングも、コーヒーも、大変に美味しかった……。

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ところで、あとから気付いたんだけど。

「あるてあ」さんでモーニングを頂いたわけですが、
その昔『グッドモーニング アルテア』ってOVAがあったなあ、なんて振り返ってしまうオッサンオタクなのです。

 ▼グッドモーニング アルテア
 

次はもう少しゆっくりしたい。
広々として落ち着ける良いお店でした。

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サテ、腹ごしらえが済んだら、またしばらく長良橋のたもとで水と戯れ、
岐阜城・金華山へゴー。
ま別に、岐阜城を見に来たわけではないのだけど。


 ▼▼▼金華山▼▼▼


岐阜公園からロープウェーに乗って、山頂駅まではものの5分。
そこから10分ほど歩いて登るけれど、大した山道ではない。

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麓から足で登ってくる登山者も結構いた。
ご家族連れとか、トレーニング目的っぽい人とか。
お城は復元されたもので、中は博物館。
ものすごい小ぢんまりしたお城だったのだけど、サイズもしっかり復元されてるんだろうかコレ。
ワンルームを三つか四つ重ねただけ、くらいの大きさしかなかった。

  帰ってきてから、シゴトバの人とちょっとだけ岐阜城の話をしたのだけど、
  「あそこに行くと、信長でなくても天下統一とかしたくなるね」
  と言われて「お、おう……」ってなった。
  いやー、あんまりそんなロマンはないなあ。
  て言うか、あんな狭いお城ではちょっとなあ。

天守閣は展望フロアになっていて、眺めは重畳。
長良川や日本アルプスの眺めはもちろんのこと、
こんもりと小さな山々がいくつか連なっている様がとても愉快だった。
飽きない眺めです。

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一周20メートルもない天守に巡らされた展望廊下を何周も何周も、
一時間近く過ごす。
八ヶ岳方面もよく見渡せて、登山グループの人たちが、
どの山に登ったとか、どの山が雪山の練習用にいいとか、
そんな話で盛り上がっていた。楽しそう。

そろそろ大仏様もおっきした頃だろうか、正法寺さんへ向かう。

 ▼▼▼岐阜の大仏様▼▼▼

岐阜にも大仏様がおられるとは知らなかった。
岐阜の観光案内を見ていて偶然知り、
奈良の大仏様も、鎌倉の大仏様も両方知っている身としては、
こりゃコンプしない手はない、くらいの非常に罰当たりな思いで見に行くことにした。
  ガイドブックにも、地図の中にちょろっと書かれているくらいしか
  情報がなかったんだよ。
  地味すぎる。

正法寺さんの外観は、
ちょっと日本のお寺っぽくない、どちらかといえばチベットとかカンボジアとか、
より大陸系・オリエンタルなテイストを感じる以外は
お世辞にも立派だとか荘厳だとかという言葉の似合わない……
よく言えば素朴、悪く言えば貧相な印象を受けるものだった。

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「日本三大仏」というキャッチがあちこちに踊っているのは、なんとなく
「あまり有名でないから単品では勝負できない、
 メジャーな二人に並べることでハクをつけよう」
という、自信のなさのようにも見えた。

  実際、知りませんでしたしね。
  日本三大仏。三つ目。
  牛久大仏は……入らないのかね。

そんな無礼な気持ちで拝観料をおさめて敷居を跨いだ瞬間、
思わず「うおっ」と声が出た。

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思いのほかデカい!
見た目のインパクトは十分だ。
そして受ける印象は、清貧、という言葉がしっくりくるものであったように思う。
落ち着きがある。
威厳もある。穏やかだけどどこか怖い、
怒ったことは無く、誰も怒ったところを実際に見たことはないのだけど怒ったら怖いらしい、
みたいな伝説のオジイサンみたいな感じだ。

周辺に居並ぶ塑像のみなさんも、その威厳に一役買っている。

どういうつもりのサービスなのかわからないけど、
大仏様の真正面にパイプ椅子が数脚並べてあって、しばらく座って眺めて行けるようになっている。
……なんか、気持ちは分かる。
じっと仏様と向かい合って、言葉を交わすなり、心を鎮めていきなさい、という
無言の設えなのだろう。

ああ、なんだろうこれは。
お寺っぽい。
すごくお寺っぽいぞ。

どうでもいいけど、この大仏様、「フラッシュ撮影禁止」とはなっていたのだけど、
前提として「撮影禁止」にしたいんじゃないのかな、という気がしてきた。

あとで調べてみたら、一応ウェブサイトはあった。

 ▼岐阜大仏・正法寺さんのHP
 http://gifu-daibutsu.com/index.html

そして地味に面白い、「主な大仏比較」。

「像高」……大仏様としての像の大きさを比較したいのはまあいいとして
「耳長」「眼幅」って、競うのそこなんだw?
仏像の価値ってその辺で決まるの?
いやあ、なんか……良い世界だなあ。
応援したくなってしまう。この素朴な感じ。
大好き。

ジブン、奈良県出身の身でありながら
奈良の大仏様よりも鎌倉の大仏様の方が好きだと言ってきたんだけど、
岐阜の大仏様はその上を行ったかもしれない。

大仏と聞いて、ごくなんとなく見に行ってしまったけど、行って良かった。
なんだか心がとても穏やかになりました。

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あと、断面図があったりして、なんか岐阜の大仏様はちょっと
「怪獣大百科」的なノリが好きなんじゃないかという気がした。


 ▼▼▼川原町付近を歩く▼▼▼


大仏様を眺めてありがたい気持ちになったあとは、
昨日も迷い込んで少しだけ歩いた川原町のあたりを少し歩く。

  カワラマチと言っても、京都の河原町ではなく、川原町。

アニメ『ぼくらはみんな河合荘』のメイン舞台である下宿屋・河合荘のある
正にその辺り。今回唯一、聖地巡礼っぽい場所。
マ長良橋や長良川は死ぬほど出てくるけど。

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デその川原町と河合荘、
作中では「イマドキこんな時代がかった家があるんだ」みたいな扱いだったと思うが、
その河合荘さんでさえ霞んで見えるほど、どの建物も挙ってみんな時代がかって古めかしい。

中に入ってくつろいだりする時間はなかったのだけど
(そもそも大概はふつうの民家だし)、
カフェなんかにしているところに入ってみて、中も見てみれば良かったなと
今更ながらに後悔。



●○● 聖地としての岐阜・長良 ○●○



そんな感じで訪れてみた岐阜・長良川辺りだったけれども、
アニメ『僕らはみんな河合荘』の、影も形もありませんでした。
鵜飼。織田信長。大仏。ときどき文豪。以上。
観光地として、人を呼ぶのに特段アニメの力をとりこむ必要はないというか、




そうやってより多く人を呼ぶことも大事なのだろうけど、
もっとほかのものを持っているこの土地としては、それよりも大事にするものがあると思っている
(のか、作品自体を知らないか、魅力を感じていないか……)のかなあ、と思った。

  マ『僕らはみんな河合荘』は、
  ちょっと性的にエッジの効いた話もある作品ですから、抵抗を感じる人もあるでしょう。
  『けいおん』『ヤマノススメ』『ガルパン』ほど健全前向き一本やりの作品ではないですからな。

観光案内所なんかを覗く機会がなかったので、
もしかするとその辺へ行けば何かあるのかも知れないけど、
ちょっと何の気配もなかったな。

大洗や飯能が、『ガルパン』や『ヤマノススメ』といった作品を取り込む以前の姿がどうであったのか知らないけど、
それまで大切にしてきたものがあったかどうか、
あるのであれば、それまでのものと、新しいものとが並んだときにケンカをしないかどうか、
ケンカをするなら、どういう要素を大切にするべきなのか……
そういうことをよく考える必要があるのだろうなあ。
あくまでも観光資源としての一選択肢として。

  鵜飼のような伝統の……
  なんなんだろう、芸能じゃないだろうし、漁法っていうのが正しいんだろうけど……
  業があってそれで人を呼ぶのなら、それを大事にすることの方が先なのかもしれないけども、
  実際のところ、最早鵜飼は実践技術ではなくて実用的な意味としては形骸化していて
  見世物として残っているだけなのかもしれないんで、
  もしそうならそのために残し続けるのもどうなんだってハナシもあるかもしれぬ。
  文化財としては残しておく意味はあるのだろうけど。

どういうアプローチで、作品と土地が歩み寄っていくべきなのかというのは
それぞれの場合で異なるのだろうけども、
個人的には、
地域に思い入れのある人間の関わった作品がその愛によって地域に根付いた表現……
たとえば、その土地の風景をそのまま作品に投影するのをはじめ、
その土地をイメージした音楽を作って乗せるとか、
土地ゆかりの有名人をとっかかりにした物語にするとか……
を提供し、それに地元が共感してのっかる、というのが理想的かなと思う。

もちろん作品は地元に、自分の愛以上に媚びる必要もおもねる必要もなく、
互いがアリモノでもって無理せず受け入れあうことが良いだろう。
ただそれで、「経済が回るか」は知らんけど。

『河合荘』は作品の方でも岐阜らしさをことさら前に出す感じでもなかったし、
大仏はおろかお城も山も出なかったんで
川べりのあの風景だけあればよかったのかもしれない。
周辺の風景だけは、さりげなく、ふんだんに出てくるのだけどね。

webで検索すると、巡礼に行ってる人は結構いるみたいなのだけどね。
けど、地元の人が何にも知らないというのであれば、
それはちょっと寂しいかもしんないな。



以上、岐阜からなんとなくお届けしました。
気まぐれに計画し、駆け足気味で行ってしまったので、
次はもうチョイ見どころを準備していきたい所存。

川と山がとても印象的で、それだけでも十分に気持ちの良い場所なので、
名前しか知らない長良川さんにご挨拶に伺うだけでも、
あなたの日本が、多分、ちょっとだけ広くなる。深くなる。


マお暇があれば。
オイサンでした。
 
 
 





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コメント

■岐阜駅まで徒歩15分さん
 
はじめまして、ようこそのおこしで。
岐阜の方ですか。コメントありがとうございます。
 
地元の方も、アニメの題材に取り上げられていることを知ると嬉しいものなんでしょうかね。
であれば、やっぱりもっと、教えてあげられたらいいですね。
 
お店の場所を教えて戴いてありがとうございます。
なるほど、確かに自分は反対側ばっか見てたっぽいです。残念。
今度はちゃんと下調べしてから参りますデス。
あんまりお土産なんかを物色する時間もなく……提灯が美しいとお話には伺っておったのですが。
 
思いのほか近いことが分かったので、きっとまたお邪魔すると思います。
河合荘の2期とかあると、行きやすくなるんですけどねえw
 
落ち着いて、ひなびていて、個人的にはとても魅力的な土地だと思いました。
どのくらい盛り上がるのが地元にとって良いのかわかりませんけど、
ご迷惑にならない程度に愛されていくといいなあと思います。
 
また遊びに来てくださいまし。

投稿: ikas2nd | 2015年4月12日 (日) 23時30分

岐阜市へようこそ

僕は友達が少ない(2011)、僕は友達が少ないNEXT(2013)、恋愛ラボ(2013)、僕らはみんな河合荘(2014)と
岐阜市が舞台のアニメが立て続けに放送されましたが、ほとんどの岐阜市民は放送されたこと自体知りません
岐阜市はアピールが下手なので、もったいないです

岐阜駅の商業施設はコンコースの東側とに西側の2か所にあります
たぶん行かれたのは東側だと思いますが、西側には
岐阜県の名産品を集めたお店や美濃和紙を使った和紙の専門店などがあります
http://active-g.co.jp/shops/shop/the_gifts_shop.php
http://active-g.co.jp/shops/shop/kaminokura.php

僕らはみんな河合荘のOPにも花火があがっていましたが
岐阜市も年2回2週連続で3万発の花火が開催されます(3万発×2)
海や河川の下流域の花火のようなド迫力はありませんが、打上げ数が多いので飽きません
https://www.youtube.com/watch?v=4oDJLujX3xI

また機会があったら岐阜市へお越しください

投稿: 岐阜駅まで徒歩15分 | 2015年4月 6日 (月) 18時32分

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