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2014年9月 6日 (土)

■ウロウロなる日々 -更新第946回-

ひと気のない鄙びた場所をただ徘徊することが、とても嬉しい。

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ああ木漏れ日が揺れてるなあ、とか、
川面の水のうねりが滑らかだなあ、とか、
あそこに蝉がとまってるな、とか、
水の照り返しが岩に張り付いてるなあ、とか。
そういうのを眺めて、常ならざるも常に常なる瀬と淵の間みたいな場所に澱んでいたい。

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先日の、帰省中の奈良で見た朽ちた釣り堀とか、
もう営業してない小諸のコーヒーハウスの看板とか、
とどめはひと月ほど前の、咲いてない野水の桜の川縁だったんだけど。
じんわりと、既にいったん堰の下りた時間の流れ、
人々の立ち去った後の、少しずつ細っていくだけの時間の流れを観察していると
気分が満たされていく。

目と肌で感じること以外の音が、頭の中に響かない場所がいい。
それ以上の音は……無音の、文字を見ることで鳴る偽音なども……余剰だと思うときが、やはりある。


この気分は一体なんなんだろう。どこから来るのか。

はいってくるものをただ受け止めて、何かを返したりしなくていい時間と空間。
インプットを体の中に透すだけ。
ただ、すーっとしてたい。

マンガの『封神演技』で妲己が、この星と一つになりたいと願ってそうなったけど、
それに近い気持ちなのかもしれない。


ちょっと前に、早起きしてほとんど始発の電車で早朝の鎌倉を散歩した時
あまりに塩梅が良かったので、最近は日曜の朝は
だいたい4時起きであちこちうろうろしている。

人とか、クルマとか、町のうなりのないのが、
生まれと育ちのせいか、落ち着くというか、やすらぐ。
そうは言っても生粋の、『のんのんびより』みたいなド田舎ではなく
所詮は大阪のベッドタウン程度の田舎の育ちなので、
ちょっと遠くに電車の走る音がする、くらいがいいんだけど。
線路から直線距離で500mくらい離れているけど、夜には電車が走ると、タタン、タタンとその音が響いてくる。
そのくらいの距離感と静けさ。

そんなにブラブラして何を撮るかと行ったら
空とか坂とか階段とか、味のある看板をハンティングするくらいなんだけど。


先々週は江ノ島を、片瀬江ノ島駅(小田急)から岩屋まで歩いて戻り、
帰りは湘南モノレールで、湘南江の島駅から湘南町屋まで行き、
そこから歩きで鎌倉中央公園を経由して銭洗弁財天、源氏山公園、
あとは山を下りて北鎌倉(JR横須賀線)から帰るというコース。

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片瀬江ノ島6時スタートで、北鎌倉着が10時半くらい(最後の30分は喫茶店で休憩)だった。
江ノ島で1時間半、モノレール15分、あとの移動が2時間チョイと、そんなとこ。

正直なことを言うと、もうすっかり歩き慣れてしまった感のある江ノ島、
人がいないことと朝の光とで普段よりちょっときれいなくらいだろうと
大した期待はしていなかったんだけども、
出だしの江ノ島で海の向こうに臨む富士山があまりにいきなり美しく、すっかりやられてしまった。
やりおるわい。

浜辺にて、ラジコンヘリを飛ばす少年あり。夏休みの風情か。

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岩屋、釣り人。絵に描いたような風景。

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江ノ島は猫が多いが、例の事件もあって身構えてしまう。
良くないイメージがついてしまった。


湘南町屋の急な坂の途中に見つけた、妙にイキオイを感じさせる店名のこのお店、
今はどうやら閉店しているご様子だけど嘗ては近隣ではそこそこの人気店だったらしく、
カツカレースパゲティなどというとっちらかりながらもパンチの利いたメニューでブイブイ言わせてたらしい。
むう、もう少し早くに出会いたかった。

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この辺りのアップダウンの激しい地形は歩いていて楽しい。

鎌倉中央公園は、行ったことがない……つもりでいたのだけども、
いざ着いてみるとなんだか見覚えがあった。多分何かのついでで一度来てるんだろう。
前来た時は中で迷って上手く通り抜けられず、その後プランがくるってしまったのを、
中のだだっ広い広場を見た瞬間に思い出した。あまり面白い思い出ではない。

かように、ぶらぶら街歩きにおいて大きな自然公園は曲者で、GoogleMapなどの地図で見ても
どこから入れてどこから出られるのかということが分かり難いことが多いので注意が必要だ。
プランを狂わせる大きな要因になりうる。

そのあとの銭洗弁財天、源氏山はもう何度も行っているので目新しいことはなかった
(しかし銭洗へは何度も行っているワリに、メインの銭洗いはやったことがない)のだけれど、
銭洗いにはひとりで来てるっぽい中学生くらいの女の子がいて
その足取りがなんだかふわふわしていて微笑ましかった。
夏休みのひとり旅行か、宿題の取材か。

その先の、これまたお馴染み葛原岡神社の社務所前でせんべいを買って食べてたら、
テーブルの上に何故か、かゆみ止めのキンカンが置かれてあって面白かった。
蚊がいるんだね。

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山を下れば、目についた通り沿いの喫茶店でコーヒーを飲んで、おしまい。
この下りのルートは、以前クリッパーさんが来たときに歩いた道だったと思う。
北鎌倉の辺りには、イマドキのオサレカフェでなく、
もう60・70歳くらいのおじいちゃんおばあちゃんがやってる大昔からの喫茶店がぽつぽつあるので楽しい。
もう10年もしたら片っ端から終まってしまいそうだ……不謹慎かもだけど、多分事実。
正直、このテのお店のともし火を消すのは、どの店と限らずものすごく惜しいと感じる。
古都に息吹く、中途半端な古さの町並みというか、店構え。
こういうところのお店を、受け継いだり出来ないものだろうか。
カメラぶら下げて歩いてると大概遠くからきた旅行者と間違われる。
無理からぬ。
マ逆に、そうじゃないと怪しいかもだけど。


▼鎌倉のおすすめスポット募集

江ノ島~鎌倉間は、かなり歩き尽くした感がある。
名所旧跡、寺社仏閣を網羅したわけじゃないけど、周辺の道というか、
主拠点間を結ぶルートを大体足で把握した、そんな感触。

次は鎌倉~逗子方面へ向かうか、金沢八景方向へ山を横切るか……
そんな方向性になっていきそう。そんなに歩いてどうすんだってのもあるけど。

江ノ島・逗子・大船のカマクラトライアングルの範囲周辺で、
ここが面白いよ! とか、ここはもう見た? などの情報、
或いは、「ここに行ってみて欲しい」などのリクエストお待ちしております。

名所旧跡・景勝地でなくても、お店とかね。
危なかったり、遠すぎたり、無謀だったりでなければ。
どういう企画だ。

あと怖いところもイヤです。霊的に。
東勝寺は行かねえぞ。



■スーパーマチダワールド



先週は、町田からこどもの国を経由して、寺家ふるさとの森を抜け柿生まで歩く、という
いよいよ何の見所があるのか分からないコース。殆どただの住宅街じゃないですか。
まあそもそもが散歩に毛の生えた朝のジョギング代わりなので、
特段観光的な要素を持たねばならない理由もない。
人のうごめき出す前、暁光が作り出す美しさを求めての活動であるからして。

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全行程、約5時間。朝5時半に出発して、柿生駅着が10時半。
途中、朝食と謎のパン屋、謎のコーヒー屋でそれぞれ15分ずつ程度足を止めてたとしても
4時間チョイ。

町田市街を抜ける辺り、下りの急こう配。イキナリ絶景。
駅から三十分も歩かない辺りだけど、結構な田舎ぶりを見せ始める。
恩田川のほとりはしっかりと整備されてジョギングの人たちもちらほら。
川のある風景はやはり落ち着く。

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そして今度は上りの急こう配。
登り口にあるお地蔵様……継ぎ剥ぎがロコツで、見た瞬間背筋に寒いものが走る。
怖いよ。
壊された理由も、継がれた理由も分からんけど。

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この辺りに住んでる人たちは、結構な傾斜地で大変だ。
実家のあたりも、これほどではないにせよ似たところがある。


▼こどもの国、オッサンの世界

今日のコースで唯一見どころになり得る筈だったこどもの国の中へは、
なんだか入り口を見つけることが出来ず周りを迂回するにとどまった。
オッサンやからか。
オッサンやから入れてくれへんのか。
ここから入れるという見込みのあった駐車場のゲートが閉まっていた。

こどもの国の駅近くで、早くから営業しているパン屋さんを発見する。
こぢんまりとしているがこれは当たりの予感。案の定、大当たりだった。
ケーキ屋みたいに指定したものを店員さんが取ってくれるスタイルが珍しい。
パンはどれも小ぶりだけど、それが返って嬉しい。
缶コーヒーを買って、店の前のテーブルで早速いただく。
うーむ、近所にあったら通ってしまいそうだが、如何せん、ここまで徒歩で2時間近くかかっておる。

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▼ムキムキの引力

日体大横浜キャンパスの前を通る辺りで、
浅黒く日焼けした、見るからに筋肉の付き方が一般と異なる若者たちが、
ムキムキと、それこそムキムキと音をたてて自転車をこいで坂道を登ってくる。
男だけでなく女の子もいるのだが、
もう一人漏らさずムキムキムキムキ
ムキムキムキムキムキムキムキムキ
べつに彼らは一個の集団というわけではないみたいだったけど、次から次へと上ってくる。
ムキムキムキムキ上ってくる。
鍛えられた肉体を見て最初に「ムキムキ」という音を当てた人間の偉大さを思い知る。
すげえな筋肉。
ホントにこう……彼らは「ギュッとした人間」だった。

重力は、物が存在することによって空間に偏りが出来ることで発生し、
そこへものが惹きつけられていく力だとものの文書では説明されている
(正確な原理はまだ解明されていないらしい)けれども、
彼らムキムキ一族(失礼)の持つ肉体の密度は、おなじ人一人でも明らかに一般とは違い、
物理的にひきつける強い力が働いているようにも感じる。

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重力の強さの単位を1mkmk(ムキムキ)にしてもいいくらいではないか。
すまん言い過ぎた。



▼珈琲屋の桜

日体大キャンパスの裏手を通って大きな公園脇を抜けて下ると、寺家ふるさとの森。
サラッと書いてるがこの区間だけでも30分近く歩いているはずだ。
この日は異様に涼しかったから平気だけど、気温が高かったらバテてただろう。

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ここは過去に一度来たことがある。
道ばたで見つけた、ログハウス風のコーヒーショップで一休み。
……しまった、アイスコーヒーをたのもうと思ったのに
間違ってホットのブレンドをたのんでしまった、暑い……。

ここでもまた、店の表にあったベンチで一休み。
さっきのパン屋で買って、食べずにおいたスコーンをアテにコーヒーを飲む。

そうしていると、店の前を通り過ぎるリタイア後と思しきおじーさんたちが
ちらちらと店の中を気にしていく。
中にはわざわざ車を停めてみる人も。
恐らく、近隣に住んでて普段前を通るときになんとなく気にはしているんだけど、
オサレ過ぎるとか、どんな店か分からないとかで入り難く感じている人たちが、
オイサンのようなしょうもないのが店の前で寛いでることで
「ム! なんだ、ああいうイケてないんでもいいのか!」
と勇気を出してる感じなのだろう……失敬だな君たちは!!(ドン

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この後は、ふるさとの森の田園風景を横目に歩き、山を越えて人里の柿生へ向かっただけ。
途中、案山子にされた魔法少女のなれの果てが立ち並ぶイヌカレー空間に迷い込むも無事生還。
おそろしいところだ。

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                                   --珠玉の魔法少女コレクション--

そんな感じで、

  WORLD 1 : 町田市街(現実世界)
  WORLD 2 : 恐怖地蔵・上り坂迷宮(異世界との境い目)
  WORLD 3 : 成瀬住宅地(超平地・超整然)
  WORLD 4 : こどもの国(入国拒否によりWARP)
  WORLD 5 : ムキムキ坂(ドンキーコング的な何か)
  WORLD 6 : ふるさとの森(時間的異空間・ちょうのんびり)
  WORLD 7 : イヌカレー空間


と、さながら『スーパーマリオ』のごとき、ワールドを跨っての異世界大冒険でした。
成瀬あたり(こどもの国手前)の、平坦でだだっ広い住宅街の景色が一番心和んだ。
涼しかったのもあって、ちょっと北海道の町を歩いてるような心持がした。
道路も広いし、空も広い。
そこで見つけた味のあるパン屋の看板。立ち寄ったおいしいパン屋とは別(別かよ)。

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あと、お年寄りはお金持ってんなあ……とつくづく思う。
年代物のポルシェに乗ってたり、高そうなロードバイクに乗ってたり、
そのロードバイクに乗ってた爺さんが『たまこまーけっと』三人娘のTシャツ着てたり
(それは関係ないだろ)。

今回は、白いギターの見張りをさせられたり、
陶器屋のキツネにつままれたり、屈強な黒人に捻られそうになったりはしなかった。
そんなおかしな目にばかり遭ってるワケじゃないのよこっちも。

一つ、面白いと思えたこと。

こどもの国で行き当たったおいしいパン屋の前は、当初のプランでは通らないはずだった。
その前の成瀬で折れる角を一つ間違え、
引き返すのも面白くなかったので遠回りにはなるがそのまま進んだ先で曲がったがために、
その前に出ることになった。

あそこでおいしいパンに有りついて一息つかなかったらとか、
あとのコーヒー屋でスコーンが無かったらとか。
それで今回の歩きの印象がまた随分ちがったろうと思う。
ただの偶然だけど、こんなどうでもいいことで人の一生なんてスコンと変わってったりもするんでしょう。

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