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2014年4月の5件の記事

2014年4月30日 (水)

■よこすかカレー上陸戦1944~ガラムマサラ海域・春の陣-更新第920回-


「カレーは飲み物だ」とは、かのカレー聖・ウガンダの遺した言葉ですが、
硫黄島での指揮官・栗林忠道中将も
「カレーとは国防であり、国防とはカレーである」
という言葉を遺していないとか、いないとか。

オイサンです。

そんな中将の遺さなかった言葉は今もなお国家を防衛する方々に脈々と受け継がれており、
その志がかたちを為したのが、先日横須賀の自衛隊基地で開催された
「よこすかカレーフェスティバル2014」だったわけです。

そりゃ盛り上がるわけですよ。
栗林中将が遺さなかった言葉に込められた強い思いが、皆に通じたのでしょう。

いったいこれはどういう前置きかと言えば、
パパさんにお誘い頂いて、自衛隊横須賀基地で先日行われた
「よこすかカレーフェスティバル2014」に行ってきましたよ、という話なんですが。
えー、
なんですけど、初めにお断りしておきますと、
今回の記事の中にカレーは出てきません。

そりゃあそうですよ。
中将だってそんなコト言ってないんだもん。
言ってたら分かんなかったけど。
言ってないからカレーは食べない。
「食べらんない」が正解だけど。


まあなんだかよくわかりませんけれども、
「海上自衛隊の各護衛艦が、各々のカレーを作ってどこが一番かを決める」
というお祭りに行ってきたのだけど、人がいっぱい過ぎてカレーにありつけなかったので
ブラブラして帰ってきました、という日記です。


……どうでもいいけど、日記って冒頭で慷慨を書いてしまうモノなんだろうか。
マいいけど。


 ▼▽▼ 開戦前夜 ▼▽▼

パパさんからのお誘い……というか、こんなイベントがありますよーという情報をもらったのが
4月の16日だか17日だか。
パパさん行くならオイサンも行くー、とアホみたいに手を挙げたのが運の尽きです。


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この時、湘南の大巨人もともに参戦表明をしたのですが、まあ彼は利口ですよ。
彼はアレです、硫黄島になぞらえるならバロン西ですよ。
ただし、投降を呼びかけられたらスタコラサッサと素直に投降する、
利口さを兼ね備えたバロン西です。
どういう話なのかはマこのあとおいおい。

「よこすかカレー上陸戦1944」(色々変わった)の開戦は4/19(土)の0900で、
パパさんときたらがっつり開戦直後から最前線に立とうというさすがの気概です。
あとからパパさんのお話で聞いたことですが、
どうやらパパさんがお家を出る時、奥方が火打石でいつもの戦勝祈願をかけながら、

「アンタ、どーせまたバカみたいに並ばされた挙句食べらんないとかあるんだから、
 なんかおなかに入れってたら?」


と凄まじく先見の明のあることをノタマッタらしい。
なんか面識のあるオイサンにはその時の奥方の表情が手に取るようです。
素晴らしい良妻賢母ぶり。
しかしそこはパパさんも日本男児の端くれです、キリリと襟を引き締めて

  「バカモン何を言っとるか、
   腹が減っては戦が出来ぬというではないか」

と、分かったような分からないような理屈で一蹴し、
凛々しく死地へと赴いたといいます……っていうかスミマセンこの辺は完全にオイサンの創作で
面白おかしい感じ120%です許して!
事実に基づいたフィクションです。

  ……マいずれにしても、この人はこのあと爆死するんですけど。
  爆死したあとの本人から聴いたんだから間違いない。

そんな朝の顛末を、戦い終わったあとのベンチでオイサンに話してくれながら、
「今頃、家ではツイッターのTLでも見て嘲笑っているに違いない……」
と自嘲気味につぶやくパパさんの背中は、これまで見たこともないくらい小さかった気がします
(ここまで9割は大げさで適当ですがここ↑だけは本当)。

  しかし今思い返してみると、開戦のこの日、
  出立する主人を同じような思いで見送る光景がどこの家庭でも見られたに違いありません。
  たぶんみんな同じです。


「あまり遅くに参じてもカレーにはありつけないかも知れない」とは言われていたことで、
でもそれは昼過ぎとかそういうレベルだろうなとオイサンは思っていたんです。
なので、さすがに開戦直後の0900から横須賀に並ぶというのは
ちょっと気合い入りすぎだろうというのもありましたし、
大体朝ゴハンはいつ食うんだとか、クリーニングを出さないといけない(男やもめは面倒なのよ)とか
諸処の事情も折り重なり、オイサンは11時頃から合流・参戦とさせてもらいました。

実に惰弱な、世が世なら、貴様それでも軍人かッと焼きゴテで背中にゴホウビを頂いてしまい兼ねない。
マそれでも、上手くいきゃあ1種類くらいは食べられるだろう、とタカをくくっておったのですが。



……。



甘かった。
カレーだけど。



……なんかもうね。
なめてました。

日本はいったいいつからインドの属国になってしまっていたのか。
開戦の9時前から既に、ツイッターからもカレーの匂いしかしてこないような有様でした。
当時の詳しい戦況は、面倒なのでイチイチ調べませんが、
9時の時点で1000人くらい並んでらしたんですかね。
もっとかな?
10時を回るころにはボチボチ、これ食えないじゃね? という空気が出ていた……はず。
もっと早い段階で既に全然ダメだったかもしれません。

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当の自衛隊さんも、襲ってくる敵は全員殺す気でやってますから、
弾数的には最初は6000発(※つまりカレー6000食)は用意していたらしいのですが、
思いのほか敵軍(お客さん)の数が多く、途中で2000発追加したと言われています。
投入された弾薬、およそ8000。
しかしそれですら敵を殲滅するには至らなかったというのですが……この作戦の凄惨さがうかがえます。

だってアナタね、バカみたいですよ?

自衛隊の横須賀基地は、その名にたがわずJR横須賀駅のすぐ近くにあるんですけど、
ピーク時にはそこから(路線はちがうけど大体)一駅離れた京急の汐入、
もう一駅こえて横須賀中央あたりまで、カレーを求める死神の列が続いていたというんだから……
インド人もビックリ通り越しておかしいだろって思ったと思います。
ツイッターに行列の様子のお写真がポイポイ上げられていくんですけども。
おかしいもの。
人の数が。

このカレー、きっと自衛隊らしいヤバイものが混入されているに違いないですよ。
ヒロポンとか。あぶねえよ。
そうでもなきゃ説明がつかない。
公道に二駅分、行列が出来るとかあんまり見たことがない。

  「カレェ……カレェくれよぉ……
   なぁアンタ、盛ってんだろ? カレェ、カレェくれよぉ……」
  そんな声が聞こえてきそうです。

そんな状況でもまあ、ともに戦うと宣言した手前パパさん一人を戦わせるわけにはイカン
という使命感もありまして
(正直を申し上げると、最寄駅から電車に乗る段階で「こりゃカレーは食えんだろうな」と
覚悟を決めておりました。そのくらいの人出が報じられていた)
横須賀駅までは赴いたオイサンなのですが、
到着した11時時点でもう、駅から出るのも一苦労。

若干途方に暮れつつ、
もうカレーはいいやーと諦めてちょっとすり抜けようとしただけでも
整理に出ていたコワモテの自衛官に怒られそうになる始末。

 カチーン!
 ここは天下の往来だぞ!
 全員が全員、てめえらのこさえるカレーごときにシッポ振るような尻軽インド人だと思ったら大間違いだ
 このコンコンチキが!

……などと威勢のいい啖呵をですね、ガチムチアーミー相手に
オイサンごとき弱腰が切れるはずもなく。
えっへっへすいやせんねダンナ、こちとらケチな通行人でヤンすよ横入りだなんて畏れ多い、
と揉み手の一つもしてそそくさと脇へ逃げます。

  「もう並ぶのもアレなので、適当に避難してます。
   終わったら連絡ください」

……などと、ぽちぽちとパパさんに無線で連絡を入れ、
列に並ぶことも諦めて適当にどぶ板方面へ避難した次第。
何しに来たんだw

その謎の行列を追って逆行して歩くのもナカナカ面白かったですけどね。
みちみち、聞こえてくるアナウンスが、

 「これ以上並んでも、カレーは食べられない可能性があります!」
 
というものから、途中で

 「これ以上並んでも基地には入れません!」

に変わってましたもの。
すげえ、基地が満員だw 今並んでる彼らは文字通り基地外ですよ(怒られる。

ちなみに、冒頭で申し上げたもう一人の志願兵、湘南の大巨人は、
オイサンが電車に乗ろうかという時点で既に

  「なんかものすごいことになってるらしいので、今日は遠慮させて下さい」

と断りを入れてくるという、さすがの合理主義です。
理系はちがうな! ← てきとう

マそんなことで、オイサンも汐入の商店街でドトールにしけこみ
ホトボリが冷めるのを待っていたのですけれども、
パパさんもしびれを切らしたのか、
……もしかすると私が急かしてしまった格好になったのか知れませんが……
護衛艦の写真だけでも撮って引き上げるか、という運びになった模様。

  この日横須賀には、国内の護衛艦があり得ないくらい大集合していたのだそうです。
  海外では、すわ日本も戦争の準備を始めたかと思われるくらいだったと言いますが、
  なにしてるかと思えばカレー自慢だっていうんだから平和ボケもここまでくれば立派です。

パパさん、9時から並んで基地にまでは入れていたというのに……
カレーを目前にしての敗退です。
これは痛い。心中お察しするにあまりある。

そうは言っても、パパさんの目算では
少なく見積もってもあと2時間は並ばないとカレーの販売ブースにまで辿り着けなかったといいます。
その時点で既に3時間以上並んでいたのですから、
勇気ある撤退、戦略的撤退と申し上げて差支えないでしょう。
本当によく戦ったと思います。

  しかし重ねて残念なことに、カレーを買わないと
  (正確には「カレーを買えるくらいまで列が進まないと」)
  お艦に近付くことも出来なくて、お艦のお写真の方もあまりままならなかったらしいです。
  いやはや、ニントモカントモ……。

そうして這う這うの体で、ふたりヴェルニー公園で落ち合ったのが13時頃でしたか。
いやあ、本当にまあ……お疲れ様でした……。
カレーは人を狂わせるよなあ……。

落ち合ったベンチで、上で書いたような朝の奥方との一幕や、
行列やら基地の中でもお話なんかも伺って、おなか空いたでしょう、なんか食べに行きましょう
ということになった。
マジでねー。
キッツイと思うわ。
おなか空いた状態でカレーの匂いかがされてね……。

  自衛隊的には、
  有事の際の大量炊き出しの実地訓練的な意味合いもどうやらこのイベントにはあったらしく、
  6000人 → 8000人という緊急対処も求められ、訓練的な意味合いでは大成功と言えたでしょうけども、
  並ぶ方にまで有事的な訓練をさすなよw


▼▽▼ おいさんぽ ▼▽▼

そこからはいつもの、気まぐれブラブラゴハンです。

横須賀駅から電車に乗ろうとするも、人が多くてウンザリして撤退、
汐入まで歩いて戻って京急に乗り、金沢八景でパパさんが学生時代に通ったという喫茶店でゴハンです。
なかなか鄙びたというか、
イカニモちょっと昔の大学生がたむろしてそうな喫茶店という雰囲気で、
こういう場所を絡めて過ごす青春時代というのはワリと憧れた光景そのままだなあと感じます。
大学時代の2.5/4をボッチで過ごしたオイサンにはうらやましい限り。


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パパさん曰く、二軒あったなじみの喫茶のうち一軒は既に店を閉め、
今回お邪魔したもう一軒もちょっとオサレに様変わりしていたご様子。
メニューも変わってたぽい。
ほっとするお味の、パスタと珈琲を戴きました。

金沢八景の駅前もずいぶん様変わりしていたようで、
あれがつぶれた、これがなくなったと案内してくれるパパさんの口から、
頻繁に「小汚い」というワードが飛び出すのが、聴いていてなんだか小気味良かったですね。
毒蝮三太夫的な愛を感じると言いますか。
確かにこきたない町並みではあったけどw
でも愛すべきごちゃごちゃ感だった。

  気持ちは分かります。
  オイサンも時々、大学のあった町をもう一度歩きに行きたい衝動にかられることがある。
  たまにGoogleマップで眺めたりもしますが……
  変わっていないようで、変わっているんでしょうね。色々と。

サテ、そうして一旦おなかが落ち着いてしまえば、
弱り切っていたパパさんの目にも強い闘志が湧き上がってまいります。
「スフレケーキが食いてえ」と。

なんでも、昨年末にテラジさんと行った星乃珈琲のスフレケーキが大層お気に召したらしく、
同じチェーンのお店をリサーチ済みでいらした。
ソツがない。
おいしいコーヒーを飲もうというのに、オイサンだってお断りする理由は何一つありません。
いくらなんでも今度は
「日本がいつの間にかブラジルの属国になっていて、
 コーヒー一杯飲むのに今度は5時間も6時間も並ばされる」
なんてことは、いくらこの負け込みコンビだからといってないでしょう。

そうと決まれば善は急げだと、今度は藤沢方面へ向け、二人一個師団の進軍開始。
そうなると重要なのは進軍ルートであるが、
ここは現実、ナントカコレクションみたいに羅針盤で無理繰りな針路を押しつけられたりはしない。
行きたいように行けば良い。
俺たちは自由だ。

目指すは一先ず、湘南・藤沢。
金沢八景から藤沢に至るにはいくつかのルートが考えられる。

京急で横浜へ出、そこからJRで藤沢。
シーサイドラインで新杉田、そこからJRで大船、藤沢。
そして最後はバスで大船、藤沢。



……。



……どーしてバスを選んじゃったかなあ……。

いや、オイサンが面白そうだって思ったってのもあったんですわ。
あとは、さっきまでの横須賀大混雑を見てたんで、
電車がばかみたいに混んでるのがイヤだっていう頭もあった。

そんでまあ、二人して、ここはバスで、っていう流れになったんですけど……。
まあ、道が変に混んでましてね。
バスのシートに並んで座って、あれやこれやとお話は出来ましたし、
普段あまり通らない道、どの沿線にもあたらない神奈川の陸のエアポケットと言われる地域を走ることも出来たんで
ワリと面白くはあったんですけども、
やっぱりこう……渋滞する道というのはなかなかくたびれるワケで、
そこに謎のご老体の団体がわっさわっさと乗ってきてぎゃいのぎゃいのと騒いでおれば、
不快指数もおのずとうなぎ上りなわけですよ。

  「……なんでこんな山の中からお年寄りが山盛り乗って来るんだ?」

と、ホントとある山間の停留所で乗ってきなさって驚いたの驚かないのって。
80歳以上限定の、リアル艦これオンリーイベントでもやってたんでしょうか。
30分程度で着く筈の大船まで、結局45分近くかかってしまってなんだかグッタリ。

せっかく湧き上がった闘志もここですっかり萎えてしまったご様子で、
もうスフレケーキでなくてもこの辺でイイヤ、という話に落ち着いた。
無理してもエエことありませんしね。
デ結局、大船にある、これまた程よく古びた喫茶で
お茶とケーキと小粋な会話を楽しんだのでした。


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ここも落ち着けておいしいお店だよなあ。
近所のオバサンが集まって会議を開いてたり、
病院帰りのジイサマが新聞広げてたりする感じのお店です。

こういうお店は知り合いが頻繁に出入りしていたりするとめんどくさいことこの上ないですが、
ヒトサマの暮しの様子をうかがうともなくうかがうのだったら
気楽で楽しい、良い場です。

旅先でこういうお店に行きあたると嬉しかったりしますね。


▼▽▼ 土曜日のゲームマスター ▼▽▼

とまあ、そんなんで。

なんだろう、出来るだけ面白おかしく出来ないか頑張ってみたけど、
こうして字に起こしてしまうとグダグダな一日にしか見えないなあ……。
不思議だ。
オイサン、結構楽しい一日だったんだけどなあ。
あれー?
おっかしいなあ……。

パパさんにしてみれば、何時間も立ちんぼ喰らってカレーも食べられず、
あっちやこっちやで第一希望が一つもかなわない一日で散々だったかも知れなくて
お気の毒だったのですが……
なんかこう、もっとうまいこと労わって上げられれば良かったなあと反省することしきりです。

……ちょっとだけ思うのですが、
もし大巨人よろしく、私もおかしな使命感にもかられずに「サッセンやめときますワー」と行かずにおけば、
パパさんはカレーだけ諦めてスッと家に帰って何か楽しいことが出来たのではないか、
私が合流することによってパパさんに何かしらの無理や気遣いや、
引っ込みのつかない感じを強いてしまったのではないかと……
思わないではない。

人というのは、意識するとしないとに関わらず、
そういう自己以外のものとの些細な糸の引っ張り合いで、
思わぬ振る舞いをしてしまいますからね……。
まあそこが面白かったり可愛かったりするのだけども。

なんか逆に気の毒なことをしてしまったかなと反省する殊勝な自分もいることを
ここでちょっとだけ白状しておきましょう。

マそんなもん、今さら言ったってカレーの具にもなりはしないのですが、
次回似たようなことになった時、踏み出すか引き下がるか、
ほどよさの種にはなるような、そんな気は致しますので。


ちょっとこう、一日を大きな視点で振り返ってみると、
なんか上手くはいかなかったけどアジのあるTRPGの1セッションのようで。
それを「面白い」と感じているのかも知れません。

ゲに人の世のままならぬことよ。
オイサンでした。


なんかアレだなあ、前半は怒られそうだな……w
お色気でごまかしておこう。





 

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2014年4月12日 (土)

■小諸に夢見るろまん。 -更新第919回-

 

明日、っていうかほとんど今日これから、3人の友だちといっしょに小諸へ行く。

当初はアニメ『TrueTears』の聖地である城端行きを計画していたのだけれども、
1泊2日では時間的・距離的に厳しくてせわしない旅になってしまいそうだという理由で
長めの旅程が確保できる機会に譲ることにした。
あと、まだ雪が残りそうで危ないかも、というのもある。

その代わりの行き先が小諸に決まったのは、
小諸が1泊2日でもゆっくりのんびり見て回れそうな距離と規模にあったことと、
参加者の一人であり、プランナーでありドライバーでもある
(つまりほとんど取り仕切ってくれている)友だちが、
このタイミングで新作の制作も決まったアニメ『あの夏で待ってる』にハマったからだ。

  というか、小諸行きの気分を高めるために見てみたらハマったのか、どっちかワカラン。

▼あの夏で待ってる OP



アニメ『あの夏で待ってる』の舞台は小諸である。
詳細までは憶えていないけど、全話通して見はしたので、
話の大筋やキャラクターたちのことくらいは把握している。
風景、背景の美しいアニメであったことも印象に強いので、
行き先が小諸になるのを反対する理由は、オイサンには全くなかった。

そもそも、長野へ旅行に、気の置けない彼らと一緒にいけるというだけでも、
聖地巡礼成分がなくたって、十分に楽しみだし嬉しいことなのだ。
ワクワクする。
知らない作品の聖地だって全く問題がない。

彼らとはこれまでも、銚子、寺泊~柏崎~魚津、木崎湖~諏訪と、三度にわたって旅をしてきたが、
どれもホンマにおっさん放課後ティータイムとしか言いようない雰囲気で(※)、
楽しめてくつろげるものだった。
こんなに有りがたいことはない。

  ※4人揃ったのは銚子だけだけど。

しかし今回は、なんだか自分の中での盛り上がり方がこれまでと少しちがっている。
そもそもの心の温度がなんだか高い。

今まさに、はちきれんばかりに激しく燃え上がっている!!

……というものでもないのだけども、
「じんわりあっためて続けてたら、なんか赤熱してるんスけど」
みたいな状態にあり、
ゆっくりじっくり時間をかけて、コトコト煮込んだ煮崩れのないじゃがいもで、
いきなりかじりついたら多分クチん中がエラいことになる。



■小諸の青春グラフィティ



というのも、小諸のことを調べていたら行き当たった、小山田いくの作品が原因の一つだ。
『すくらっぷ・ブック』、『ぶるうピーター』など、
小山田いく先生の名前と、作品や絵柄には、何かと折に触れ見かけて知っていたのだけれども
(と言っても多分、ブックオフに行ったときとかに見かける率が高かったのだと思うが)、
小諸にゆかりのある方だとは知らなかった。
て言うか小諸そのものをこれまでロクに知らなかったのだから、知らなくて当たり前だ。

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これまで作品を手に取る機会はなかったので、
こうして巡り合ったのも何かの縁と決めて『すくらっぷ・ブック』を読んでみることにした。

何ぶん古い作品(連載開始が昭和55年(1980年)、オイサン5歳!)なので揃えて入手すること容易でなく、
冊数も全11巻と少なくはない(金銭的には問題ないけど置く場所がない)ので
どうにか買わずに済ませられないかと近場のネットカフェを検索してみたところ……
急行で数駅先の、駅からも3、40分は歩こうかというド郊外のネットカフェに揃いで置いてあることを確認。

  しかし最近は、
  ネットカフェのマンガの蔵書なんてものもネットで検索出来てしまうのですね……
  すごい世の中だこと。
  あ、ちなみに。
  最終的なオチとしては、あとで電子書籍版が出ているのを見つけて
  それで全巻購入します、このひと。
  先にそっちに気付けw それでもオタクか。

  ちなみに言うと、小山田いく氏と、
  『軽井沢シンドローム』で有名な、漫画家・たがみよしひさ氏は実のご兄弟なのだそうな。
  知らなかった。
  小山田氏がお兄さんで、たがみ氏が弟なのだとか。
  言われてみれば分かるような。
  『軽井沢シンドローム』は、過去に「古典マンガを勉強しようひとりキャンペーン」を開催したときに
  『あしたのジョー』と一緒に読んだのでかろうじて知っている。

デ先週末、散歩がてら、その遠くのネットカフェまで出掛けてみることにした。
電車に数駅揺られ、山を眺め、桜の舞う川沿いの道を、とろとろ歩いて40分。
トータルで片道一時間チョイ。
ネットカフェってそういう行き方するとこじゃねえよな多分……。

けれども途中、川の土手でちいさなおんなのこが三人、ポッキーやらお菓子を持ち寄って、
敷き物の上でプチお花見を開いていたりして風情は上々。
天気は花曇りに近いものだったけど、とても良い気分だった。
気温が低めで、ぽかぽかし過ぎていないのも好ましい日和だった。

  ぽかぽかし過ぎてノーミソが浮き立つと、なんか不安になるんすよ。

そうしてたどり着いた初めてのネットカフェで2時間あまり。
読むのが遅すぎて11巻中の3巻までしか読めなかったけども(遅すぎ)、
『すくらっぷ・ブック』という作品は小諸という土地を訪ねるにあたって
新たにろまん(ス)の香りを期待させるには十分なものだった。

作品の序盤では、物語の舞台が小諸であると主張される場面は多くはなくて、
風景としてクッキリと「小諸小諸したもの」が描かれるわけではない。

  わせだ「このマンガ、あんまり小諸小諸してない!」
  友達 「コモロコモロしてないってなによ」
  わせだ「ホントなんだって、小諸小諸してないんだよ!」
  友達 「えーw? イミ分かんない、コモロコモロしてないって……
      ほんとだ、コモロコモロしてない!」

  ……というくらい、小諸コモロしていない。
  意味が分からない人は『日常』の#18を見て下さい。


▼コーヒーコーヒーしてない



しかし登場人物が概ね出揃って関係ができあがり、
中学2年生だった主人公たちも3年へ進級して、卒業へ向けて物語が……
というよりも状況がボルテージを上げていく中で、
彼らの青春の舞台・小諸という土地が、どんどんその主張を強めていく。

バックに漠然と描かれる風景はもちろん、具体的な地名や施設、
季節によって移ろう雨風やちょっとした日の差しようなどにつけられる名前などに、
信州長野・小諸をとり巻く独特の相が現れて、
多感でにぎやかな主人公たちの心情や関係を、代弁し、象徴するものとして
とてもとても、いろどり豊かに描かれるようになる。


その鮮やかなことと言ったら。


それら描かれる自然現象や俗習なんかは、小諸特有のものであったりそうでなかったりするけども、
作者がそこで生まれてから大人になるまでの日々の中に、
ごく当たり前に溶け込んでいたものであるに違いない。
それはつまりこの土地に根付いて暮らす者たちが共有する、
いわば皮膚感覚の言語だ。

温もり、
冷え、
乾き、
湿る、
それらを感じたとき自分たちの心がどちらを向くのか、
「彼ら」はそれを共有している。

そんな小諸の雨風の中に身を置くことは、
きっと、そこに溶け込んだ彼らの心の裾や襟にふれることにちがいなく……
そういうかたちで、彼らの青春の心にふれられることに、
オイサンは今、ものすごく胸を高鳴らせている。
としがいもなく。

主人公たちは作中、その見た目と振る舞いのキテレツさで、
コミカルに「妖怪」の格好で描かれたりするけど、
そうした自然の風俗と解け合って暮らす彼らはまさに、化身、妖怪であるのかも知れない。

……とか書いてて思ったけど、
もしかすると今のマンガに足りてないのは、そういう「地の空気の感覚」なのではないだろうか。
描き手に深く根付いた、個人的で濃密な体験のにおいが今の作品には足りていない。
そんな風に思った。

よく取材をしたり、データをとったり、練りこんだりはしているのかもしれないけど、
取材や一時的な情報からでは得られない、
描き手が、生活のレベルで長い時間をかけて肌に沁みこませたものを一度自分の体を通過させ、
山が雪解け水を裾野へジワリと返すように、ちがった形で描き出す……
熟成されて、確信的に馴染みきった空気感のあるマンガは少ない。
実感がこもってない、というかね。


ただ『すくらっぷ・ブック』の面々は、
中学生にしてはちょっとマセすぎというか大人びすぎてる気がするが。
なんか、イマドキの中学生(いやイマドキの中学生の実態もよう知らんけどイメージね)よりも
精神的にはすごい大人びてるように思う。このマンガに出てくる彼ら。

イマドキの中学生の皆さんは、なんていうんですかね、
知識は豊富で、色んな道具の使い方も心得ていて、
ナニをドーすればナニがドーなるかはきっと知っていて、
それを躊躇なくやってしまう「カゲキ」さは持ち合わせているんだと思いますけれども、
作中の彼らほど、それが行使されることの重みや湿度を
皮膚感覚で理解できていないのではないだろうか。



……と思ったけど、それもまあ当たり前か。
作中の人物には作家の得たものが分け与えられているわけだからな。
ここで比較するべきは、
1980年のフィクションに登場する中学生と、
2014年のフィクションに登場する中学生、なのだろうけども……
それにしたって、やっぱり彼らの方が断然大人びている!

  まあ、描き手の成熟度が問われる話だから、それもまた当たり前か。
  昔の大人の方が、今の大人よりもきっと大人だよな。
  論理性がどうしたとか、客観性がなんだとかいうケチくさい話じゃなくて、
  如何に上手に感情的であるか、という意味で。

それを思うと、最近のマンガに出てくる中学生の皆さんなんかの……しょーもないこと!!
言うとくけど、お前らホンマしょーもないからな!?
リアルですよ。そういう意味では。最近のマンガの方が。
等身大っていうんですかね。
エエトコなしですから。
なんかこう……憧れることも出来へん。
「こんな奴らおるかい!」っていうコトが……なんかバレ過ぎてしもうて、
騙すことも、騙されることも諦めてしまったということなんでしょうかね。

それとも、最近のリアルな中学生にしてみれば、
今のフィクションの主人公たちでも十分に憧れの対象になりうるということか……。
とか言ってると、昔の立派なアラフォーに
「貴様それでもアラフォーかッ!!」
って大目玉食らいますね。
くわばらくわばら。

まあまあ、そんなことはどうでもよく。
小諸。
小諸です。
ざしきわらしの様な彼らの息吹がそこに感じられるのか、
そしてそのろまん(ス)の気配が、何か素敵なコトをもたらしてくれるのか。
それを確かめてきたいと、いまとても心躍らせています。


小諸。
いやあ、思いがけず、期待感の大きなたびになりました。
とても楽しみだ。
そんじゃマ、いってきまーす。

P4051537



追伸
  ちなみに、オイサンがネットカフェという場所を利用したのは今回が初めてでした。
  思ったよりも良い場所ですね。
  もっとなんか、こう……陰々鬱々としていて、
  ヘンな匂いの立ちこめているイメージがありました。
  昭和のゲームセンターか。
  マ場所にも依るんだろうけど。
  昼時になるとそこかしこでパスタをすする音が聞こえ始めるのが
  なんか生っぽくてちょっとイヤでしたケド。
  変な空間。

  思ったよりも全然落ち着ける環境だったので、
  今後ぼちぼちと利用していきたいと思いまーす。
  会員証も作っちゃったしね。
 
  ダラダラしよーっと。

 

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2014年4月 6日 (日)

■ゆきうさぎとドーナッツのレゾンデートルを結ぶ特異点についての一考察 -更新第918回-

先日、地元の本屋さんでマンガを眺めていたら、斜めうしろ辺りにいた若奥さん風の女性に
「あやちゃんあやちゃん、ちょっとちょっと」
と肘をつままれた。

オイサンです。


オイサン、家ではあやちゃんだったのかーッ!!


……と、『ディーふらぐ』の世界だったら突っ込まれるところですが
それより早く先方が間違いに気付いて
「ああああああすみません!」
と謝られた。
よかった……俺はあやちゃんじゃなかった……。

イヤ、まあ、間違うのんは別にかまへんねんけど、
なんやその。
アレですか。

きみトコの「あやちゃん」は、
オイサンとシルエットとか肘の位置が似通ってて
間違うほど巨漢なん?

きみ、明らかにそのくらいは把握できる位置におったやん?
逆に「あやちゃん」に興味あるわ。
今度会わして。

  ……綾小路源五郎左衛門、略してあやちゃんとかだったらどうしよう。

などというすてきな妄想で始まりました本日の「ゆび先はもう一つの心臓」。
今宵もすてきな歌と音楽でお楽しみください。

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本日は、最近聴いた曲で良かったものについてお話します。
曲自体は最近でないものも多々あるけども、マここ何年かくらいで。



■輝け! 第23回ベストカップリングコンテスト!



どうでもいいですけど、この↑テのタイトルってノッケから「輝け!」って、
命令すんな!
って感じですね。失礼極まりない。
そもそも「輝け!」ってまた、難易度が高い。
だから「もしよろしければ輝いて下さい!」くらいにするべきだとミキ思うな!
ピカピカーって。

と、また小ネタで長くなってしまいましたが。
最近では、各期のアニメのOP/EDなんかはもう
すっかりダウンロード販売でデータ購入することが身についてしまったオイサンです。

演奏がすごくいいとか、データで聴いても何となく物足りない気がする、
という曲なんかはCDを探して買ったりもいたしますが、
まあ手元に荷物が増えるということもあって、そこまですることは稀になりました。

  アルバムとかサントラなんかの曲数の多い物はCD買うけどね。

そうなると、なかなか手が出づらくなるのがカップリング曲だったりする。
これまではCDにまとめられてるから、カップリングを除けて一曲だけ買うってことは出来なかったけども、
ダウンロードだと1曲単位で買えてしまうから、お目当てだけ押さえたら、
マ出費を最小限に抑えようと思ったらカップリングは無視するのがふつうの流れかと。

しかしオイサンは、カップリング曲で当たりを引くことも結構あるので、
試聴も出来ることだし一緒に買うようにしている。

  ついでに言うと試聴が出来てしまうのも善し悪しで、
  ちょっとだけ聴いて「うーんコレはなー」と思って切っても、
  もしかすると何度も聴いてれば味が出たりするかも知れないし、
  時間が経って何かのタイミングで聴いたときにその良さが際だつ瞬間が合ったりするかもしれない。

  マ「かも知れない」「かも知れない」でお金はそうそう払えないんだけども。

  だから下手にちょこっとだけ聴くことが出来て、
  そのときの判断で買うのをやめてしまう、というのも、
  少なくともオイサンの性向にはあまり合っていないやり方ではある。
  もうブラインドで、エイヤアと買ってしまうのが、自分には良い。
  なので、試聴もロクにせずに買ってる。

実際、アニメ曲のカップリングっていい曲が多い……気がする。
普通のアーティストさんのシングルのカップリングは、
当然タイトル曲がウケスジ・売れスジ・自信スジであるわけで、
カップリングはどうしても総合評価上では2番手以下の物にならざるをえないのだろうけど、
アニメのシングルの場合アーティストさんの都合は関係なしに
まずは「アニメの曲の方」が矢面に立つわけで、
カップリングに選ばれる曲は、スジ的に2番手であるとは限らない。

そこに乗せる曲を誰が決めるのか……アーティストさんの希望がどのくらい乗るのか、
レコード会社やら、もっと他の誰かの都合が優先されるのかわかりゃしませんが、
曲的には、メインの曲よりも「良い」物が並んでも、マおかしかない、
みたいな理屈を考えてはみた。

てきとうだけど。
そんな愛すべき最近のカップリングの名曲について、ちょっと書こうかなあと思ふ。



■ドーナツ 戸松遥

『となりの怪物くん』のOP、「Q&Aリサイタル」のカップリング。
全然最近じゃないけど、時々プレイヤーから意図せず流れてくるとドキッとしてしまう曲。
曲と声だけで、目の前が赤すぎるくらい赤い夕陽に染まるように錯覚する。

  
   ▲試聴もでけます。

具体的になんのことをうたった歌なのか、歌詞からハッキリと読みとることは出来ないけど、
夕日に照らされた真っ赤なかなしみだけが、戸松遥さんの太い喉で叩きつけられてくる。
もっとしっとり、細やかに消え入るように歌うことも出来たはずだし、
フツーだったらそんな風に歌ってしまいそうなものだけど、
あえてものすごい剛速球で歌っているのが却って印象深く、この歌を強い曲にしていると思う。

かなしいんだ! かなしいんだ! わかるか! かなしいんだよ!!
っていう……
「ああ、こういうかなしみの表現もあるんだ」と、
すっかり感心させられてしまった一曲。
人の気持ちというのは通り一遍ではないんだなあ。
ただ不器用でそうなってしまったのかもしれないけど、
心に開いた穴を強く迎え撃とうとして、涙をこらえ、歯を食いしばっているようなイメージが浮かんでくる。

この人にしか歌えない歌……ではないけれども、
この歌にこういう味を与えようとするならこの人にしかその味は出せない、
そんなことが確かに存在するということを感じさせてくれる。



■ゆきうさぎ Sweety

『戦国コレクション』2クール目OP「back into my world」のカップリング。

  
   ▲試聴もでけます。

やっぱりかなしみが漂う曲なのだけど、
歌詞の

 ♪ 大きな音を立てて 過ぎてゆく青い車は~

の、ちょっとうすぼんやりした感じ、
その時のかなしみに打ちのめされて風景がにじんだ感じが出ていて好き。
歌詞の上では引越し屋さんの車だと思いますけどね。
その「大きな音」もロクに耳に入っていない表現がすごくイイ。
視覚に訴える曲はいいですね。
チカラがある。

sweetyさんも『戦コレ』見てる間は好きでしたけど、最近は声を聞きませんね。
一回きりで出てこなくなってしまうのもったいないなあ。
個人的にはゆっくりしっとりの歌よりも、華やかでパワフルな曲の方が好きだったけど。
アニメじゃない分野で頑張っているんだろうか。



継続的に使ってあげたらいいのにと思う……けど、あんまり売れなかったのかなあ。
『戦コレ』ももう2年も前なのか……。

▼Back into the World FULL

傑作だったなあ。



■君という特異点 

『有頂天家族』のED、「ケセラセラ」のカップリング。
歌っているのは……fhanaさん? 知らない人だ……。

  
   ▲試聴もでけます。

息遣いがすごく目立ってしまうのに、それが味になっている人ですね。

この曲も、一体具体的に何を言っているのか分からない歌詞。
強いて言えば運命の一目惚れの歌だけど。

「交差する線」とか、極めて図形的なことばで導いたかと思えば
突然「月の鯨」なんてものすごいものを持ち出してくる、
この言葉のセンスのひっかき回し具合、とっちらかり具合はちょっとすごい。
「時が降る」とか言う飾り言葉の使い方なんかはあまり好きではないけども、
勢いと軽さで許せてしまう。

やっぱり自分は「よく分からない」ものが好きなんだなあと実感する。
言葉と言葉の隙間にあいた穴の形で表現しようとしているというか。
あとはこの声質と、メロディの疾走感ですかね。



『有頂天家族』ももう一回見直したい部類の作品ですな。
『つり球』『C』なんかと同列にある、「面白い作品」だった。
この辺りはBDBOXが安値で出たらぽーんと揃えたい。



■dis-(早見沙織ver)

カップリングとは違うものだけど。
『無限のリヴァイアス』のOPを、早見沙織さんがカバー。
厳密には、「声優・早見沙織」がカバーしたのではなく、
『神のみぞ知るセカイ』のヒロインの一人としてキャラクターソングとしてカバーしている。
ややこしい。


▲試聴もでけます。

このアルバムを買うに当たって目当てにしていた曲は何曲かあったのだけど、
この曲は全然眼中になかった。
原曲が、歌詞は好きだったけど、アニメのOP部分しか聴いたことはなかったし、
メロディや元の歌い手の歌があまり好きではなかった。
けどまあ、なんでしょう、この早見沙織verを聴いて、ダンゼン好きになった。
このアルバムの中で、目当てだった曲もブッ千切って今の所一番好き。
選曲は『神のみぞ知るセカイ』の原作者・若木民喜センセがやってるのだけど、

そのライナーノーツで早見さんの多才ぶりが驚きと敬意を伴ってみっちり書かれてる。器用で、自然体で、テクニカルなのだそうな。すげえ。

  あ、ちなみにオイサンはこの曲にやられるまで、早見沙織さんについては
  ほとんどなんも知りませんでした。

原曲よりも、悲痛な感じ強まっている気がします。
詞もメロディも原曲とおなじで(アレンジはちがうけど)、
かなしみやあきらめにとらわれた歌なんだけども、
原曲ではそれらと決別するような強さ、太さが感じられていたのが、
早見さん版では、それらの只中でがんじがらめにされてあがいているような今の繊細さ、
ダイレクトな痛みを感じる。

もしかすると、アニメのOP部分に出ていなかった歌詞が強くアピールしてるのかもしれないけど、
早見さんの声質とか歌い方が、やはり影響しているように思う。
声の糸が、原曲の有坂さんよりも早見さんの方が細く、表面が滑らかなので、
そこは好みの問題だと思うけど。

  ♪ この世界は 果て無く閉ざされた闇

という歌詞が、アニメの舞台であった宇宙と、人間の心の両面を表していて、
なんかもうずっしり来ます。

原曲では「張りつめても切れなさそうだった糸」に
「張りつめて切れそうな感じ」が与えられて魅力を増したように思う。
パワフルなのに聞き疲れしない。すごいわ。



■Raison daitre

『ちょビッツ』のEDを、俺たちの花澤香菜さんが、
俺の花澤香菜さんが、

否、
俺の香菜
がカバー……

否! 


俺の香菜が俺のために、俺のためだけにカバー。


だからお前らには聴かせられない。
残念だ。
実に残念だ。

  さあもう何を書こうと思っていたか半分忘れたぞ。
  なんだっけ。
  ああそうだ。

上の『dis-』と同じ、『神のみぞ知るセカイ』のキャラクターソングアルバムvol.2収録。
自分は『ちょビッツ』はほぼ見てなかったのに、なんだかやたらと回数聴いた覚えがあった。
ラジメニアで聴いたのを録音して繰り返したのかなあ? と思ったけれども
時期的にもうラジメニアを聴いてない時期の曲だし、
動画サイトで見るにしても、まだまだYoutubeも立ち上がる前の時代の話だ。

……と思ったら、この曲のオリジナルが収録されている田中理恵さんのアルバム『24wished』を持っていた。
それで憶えてたのか。
歌詞は全然違うが曲が同じだった。トリッキー。オリジナルアルバムの方では「sweet sweet」という曲名だった。
田中理恵さんが特別好きなわけでもないので、なぜこのCDを買ったのかが不明。
恐らくは『悠久幻想曲2』のOPとか『デュアル!』とかでの歌声が気に入って、
何となく買ってしまっただけだろう。

このキャラクターソングカバーアルバム(長い)は
原作者が並々ならぬ情熱を注いで選曲と誰に歌わせるを決めておって、熱量がハンパない。

オイサンは、大体の収録曲の原曲を知っていて、
そういう時は概ね違和感がぬぐえず「やっぱり元を知ってしまってるとねー」
という感想に落ち着くことが9割9分9厘なのだけど、今回はその残り1厘に見事に滑り込んだ。

どの曲も原曲に負けず劣らず、時には凌駕して、
素晴らしく聴きごたえのあるものになっている、と、個人的には思う。

この「Raison detre」に関しては、曲のアレンジもほとんど変わってないんじゃないだろうか。

本当はこのアルバム、
1曲目収録の伊藤かな恵ver『アッセンブル・インサート』だけが目当てで買ったのだが、
毎回ほぼ全曲、通しで聴いてしまう。
そのくらい聴きごたえがあるのに聴き疲れしない。
この原作者、アホだわ。すげえ。
さすがあんなマンガ書くだけあるなあ。
オタクソムリエである。



■世界で一番素敵な人

『弱虫ペダル』の1クール目ED「風を呼べ」のカップリング。
前奏(?)の澄んだ弦楽器の音だけでとりあえずグッとくる。
こっちがEDでも良かったんじゃないか、と思う。

  
   ▲試聴もでけます。

歌詞的にびびっと来るものはないけど、メロディというか、サウンドがいいですね。
楽器の音色が良いです。演奏がお上手なんですかね。
大事だと思う。

ちなみに、現EDのラスト付近の寒咲さんは
ワキが見えそうで見えない上に、微妙におっぱいが大きくてズルイです。
健康的な大きな瞳に大きな笑顔と真っ白い歯並び、
そこにそのチラ見せないワキと微妙おっぱいで
健全さがあるからこそ「微!」な部分がえっちくさく映えてちょうずるい!
無防備に誘惑しまくりですよ。
サポートカーの中でレースそっちのけで全員にマワ……いやなんでもない!
小野田くん、もっと、もっとマワして! もっと踏んでぇ!
ペダルの話よ! ペダルの話なのよ!!
(曲の話をしろ)

気楽に聴けて、聴き疲れしなくて、聴き飽きなくて、おまけにグッとくる曲ってのは稀なことですが、
この曲はワリとその部類に入ります。

 ♪ いつだって ぼくらは 笑えるでしょう。
     それだけで今日が輝くでしょう。


まあそう簡単でない日もいっぱいありますけども。
そう言い切る人がいると「そうなのかなあ」と思えることも、まあありまさあな。
嘘かまことか、そんなこととは別に、とりあえず心に留めておきたい歌です。
「ラッパーに感謝されたら負け」が座右の銘のワタクシで、
この歌がその辺の元気出せソングと何が違うんだ、と言われたらわかんねえけど。
でもこの歌みたいな前奏のきれいさはあんまり知らない。
そんくらいだ。



■Closing



以上、主に「アニメのED曲のカップリング」という、なかなかアレな観点からの
良かった曲レビューでした。

いやあ、独断と偏見に満ち満ちた、いかにもレイシストくさいレビューでしたね。
気持ち悪い。
死ねばいいのに。

こういう曲は5年10年、平気で聴きますのでね。
こういうお歌との出会いは大事にしていきたいオイサンです。
書き物の題材としてインスピレーションを受けるのも、歌からが多いですし。
今まで書いた『ひだまりスケッチ』系のSSは、どちらもキャラソンがきっかけになってますしね。

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マそんなんで、最近音楽を聴くときは、部屋でもヘッドホンを使っているオイサンでした。
今使っているヘッドホンさん、YAMAHAのHPH200さんとは音の相性がいいみたい。
長時間になるとさすがにシンドイのだけど、ピーンとして聴けるわ。
ピアノとか弦楽器の響きを、雑な感じなく届かせてくれる気がします。
嬉しいです。


 

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2014年4月 5日 (土)

■DANCE WITH FOXES~よく歌う神様と眠る湖の歯ぎしり~ 北海道旅行19・阿寒編-7・5日目(2) -更新第917回-


広島あたりの地図を見ていたら「府中みまくり病院」というのがあって、
こりゃまた随分やる気に満ちた病院だなあだけどもうちょいネーミング何とかならんかったかと思ったが、
案の定「府中みくまり病院」だったのでもう「みまくり」にしちゃえばいいのに、
とかちょう勝手なことを考える。

オイサンです。

 看護婦「院長、今日もみまくりですか?」
 みまくり病院院長「みまくりです」
 看護婦「だそうです」
 患者「うぉおおおおおおおおおおおおおお!!!」

こうですかわかりません。

 院長「キミの患部を!」
 患者「みまくり!」
 院長・患者「イェーイ(=´∀`)人(´∀`=)

こうですかわかりません!!


2014年1月、釧路から阿寒、阿寒から旭川・美瑛を巡る5日間の旅の記憶。
その最終日5日目の後半。

美瑛で謎の雪中お散歩おじさんと別れ、ようやく三愛の丘にたどり着こうかというあたりからです。


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■三愛の丘にて

冬場にこちらのコースを歩いたことがあったのかなかったのか……
正直、記憶があやふやだった。
けれど、三愛の丘の展望台を見て、少なくともここまで歩いてきたのは初めてだと確信した。

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分かりにくいでしょうが、左上の三角屋根のあたりは普段は展望台です。

展望台はすっかり雪で埋まっていて、上がれる状態でなかった。
この状況に陥ったことがあるのなら忘れるはずがない。
しかしなるほど、当たり前といえば当たり前だ。
誰が一体、展望台の雪除けまでやるものか。

先日の山登りの魂も残っていて、えいやと雪をまたいでみようとしたものの、
ただの靴ではあっさり膝まで埋まったので素直にあきらめ、
道路からぼんやり、見下ろす丘の風景と、
その向こうに見える十勝岳を眺め、写真に収めた。

あー、しまったなー。
なんかフィギュアでも持ってくれば良かった。
そうしたら面白い写真の一つも撮れたのに。
惜しいことをした。

などとバカなことを考えて、とりあえず眼鏡をおいてみる。

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シュールw  ← シュールの意味などよくわかっていない
というわけで、今回の旅の教訓として、次回からは必ず
ICレコーダーとフィギュアを持参することにしよう。

しばし佇み、深呼吸をしたり体を伸ばしてみたり。
うーむ、旅の終わりが近付いておるな。
今回は結構、長く感じた。
4泊5日だから確かに少し長めの旅程ではあったのだけど、
3日目に特にイベントのない日を設けたとか、
4日目がずーっとバス移動だったとか、そういうのが良かったのかも知れない。
すごくのんびりした気分でいられた。
嬉しい。

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さて、ずっとここにいても雪に埋もれてしまう。
一先ずの目的地まではたどり着いたわけだけど、どうするか。
時間はまだあったので、もう少しだけ先へ進むことに決めた。
どうもこの先、あと少し歩けば雪で通行止めになるらしい。

先にもう一つ展望台と牧場があったはずだけど、
この先に住んでいる人たちはどうしてるんだろうか。
丘の下を走る道でくらしているのかな。
じゃあ次回は下の道を歩いてみることにしようか。

そんな風に思いながら、再びざくざくと歩き出す。

 ▼雪の丘の終着点

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どうやらここまでだ。
なんだかやけに中途半端なところで行き止まりにしてあるのは何故なんだろう。
それにしても……気持ちがいい。

約2時間、ただただ歩くだけだったけど、とても気持ちが良かった。
なにもない、本当に何もないのです。
何度も来ているから、過去にも見た似たような景色なのです。
ただこの白くてだだっ広い風景に、個のまま取り込まれて黒い点を打つことが
とても嬉しいのです。

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しばらく……二〇分くらい、ぼーっと山を眺めながらコーヒーをすすり、
帰ることにする。
これだけ。
本当にただこれだけだ。


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■お昼



帰りはさっさか、歩いて1時間ほどで駅前まで戻り、
シゴトバの人々におみやげを買い求めて、さて昼ゴハンをどうするか。
旭川に戻ってから食べても良いが、
せっかくなのでこの辺でも何か食べておきたいところだ。

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ようじょが「おにぎり」って言うとこうなる。

美瑛の駅周りには食べるところがそんなにたくさんあるワケでもない。
それでもこの十年のうちで増えたように思う。
美瑛が観光地としてもてはやされたのはここ最近のことというわけでもないのに、
そういうことにより具体的に精が出され始めたのは近年のことでは無かろうか。
観光地化にガツガツしているのをよく思わない人もいるようだし、
オイサンも過度なことには眉をひそめたくなるけれども
(そしてどの程度が「過度」であるのかの感覚は個人的な匙加減しか持ち合わせない)、
若い人たちがなにかと元気に活動しているようで、そこは良いのではないかと思う。

結局、店は来しなに見つけた、ランチもやっている居酒屋のようなお店で
天丼をいただいた。
そこを選んだ理由は特にない。
何となく目に付いて、ヤバい感じはしなかった、というだけだ。

デそのお店、料理はふつう以上においしかったのだけど、
板さんのキャラクターが濃すぎてそっちに色々持って行かれた。
面白すぎる。
まあ何というか、よくしゃべる威勢のいい居酒屋の板さんというだけではあるけども、
しゃべり終わる度に東京ダイナマイトのボケの方みたいなドヤ顔でこっちを見てくるのは
なかなかクるものがあるw
ずるいぞwwww 顔芸じゃないですかwwww

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しまいにはトークが走りすぎて、食べ終わってこっちから財布を出してるのに
金も取らずに送り出そうとなさりやがりました。
ボケきったwwwだめだwwwツボだwww
黙って出ちゃえば良かったw
いやー、これはなかなかw
ゴハンはそこそこだったけど、ちょっしたディナーショウを見ているようだったw
ゴハン食べて「面白かったw」っていう感想が出るとは思いませんでした。
さすが北海道www ← 関係ありません



■常盤公園


来たときと同じ富良野線に乗り(他の交通手段なんてバスかタクシーしかねえ)
旭川まで戻り、常盤公園を一巡り。

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常盤公園は駅から歩いて15分ほどのところにある大きめの公園。
『北へ。DiamondDust』では旭川編のヒロイン、
フィギュアスケーター北野スオミと最初に出会うスポットで、
その後再会することになる旭橋にも隣接する。
横浜や埼玉にも同じ名前の公園がありますね。

言ってしまえば只の大きめの公園だが、
『北へ。』で引っかかって旭川にきた人間なら、先ず間違いなく一度は立ち寄る場所だろう。
オイサンも別に橋になんて当時は興味なかったけど、見に行きましたものね。
おかげさまで今では、珍しい橋なんかは観光先で見に行くようになった。

たとえそうでなくとも、訪れてみれば町の中心地に近いところなのに広々と静かで、
冬場の雪がたんまりと積もった景色をみれば、
やはり心躍る美しさを見いだすことが出来る。魅力的な場所だと思う。
美術館が併設されていたり、中に旭川神社があったりで、
近隣の人たちもそれなりに利用しているんではなかろうか。

散歩してる人なんかは結構見ますがね。
ここのハルニレは美しいと思います。
木々に不自然な感じで雪が乗っかっていておもしろい。

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自分が旭川に住んでたら、休みのたびに花みずきに行って、
ここと、石狩川の土手でボーっとしていそうだ。
川の土手では、今は冬まつりに向けて何やら巨大な雪像を建造中だった。

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地元の自衛隊がものすごく協力しているのだそう。
あとで花みずきで聞いた話だけど、この辺りの自衛隊さんは
そういう土建的なクオリティの高さでは全国でも一、二を争うんだそうな。

昨年も今年も、『トランスフォーマー』からコンボイ司令を作るのだそうで、
なぜコンボイ司令かというと、版権使用料がかからないんだってさ。
『トランスフォーマー』に関しては何やら版権がややこしいことになっているんだかなんだかで(話を聞いたんだけど忘れてしまった)、
TAKARAさんからタダで使っていいことになっているんだそうな。
司令、やるやないか。



■花みずき再び~旅は終わるよ



公園を抜けて、旅の〆はコーヒーとスコーン。

帰りの飛行機が17時半頃発だから、16時半頃には空港に着いていたい。
となると、16時前にはホテルに荷物を回収に行かねばなるまい。
……と、お茶を飲みながら考える。
終わりが近い。

再訪した花みずきでは、大体写真の話をしていた……ような気がする。
今日は普通にお店にいたY子さんと、
彼女ご自身の作品やら、花みずき写真会の方々やらの写真を見せてもらい、
こちらもこちらで導入したばかりの新兵器タブレットで、
昨日までの阿寒の写真やらをお見せしたりで。

  写真も、身近な趣味になったよねえ。
  デジタルの……テクノロジーの力だなあとつくづく感じ入る。
  デジタル化が進んで、その恩恵を強く感じるのは、
  メール、音楽、写真。そんなところがすごく大きい。

タブレットをひょいと手渡して見せるときに、
「こういうの、人に触らせても平気な人ですか?」
と尋ねられてドキッとする。
「見せちゃダメな物とか入ってないの? 彼女のハダカの写真とか」
などとおかしな探りを入れられるが、はっはっは、そんな手抜かりをするものか。

見られて大丈夫な物しか入れておらぬわ。
昨日、そこのマツヤデンキで買ったやつだからな!!

  嫁のハダカの二次元画像は抜いてあります。
  抜いてあるってイヤそういうイミではなくて。
  ああもう。
  しかし本体の方のDLフォルダには残っておったやも知れぬ。 ← 綱渡り

それにしても自由に楽しくお写真を撮られておるご様子で、
とても良いと思いました。

P1214641


お写真は不思議なものですね。
撮った時は「よっしゃ」と思ったものでも持って帰ってみてみると「???」だったり、
逆にどうでもいいと思ったはずの写真に、思わぬ訴えかけるものがあったりする。
オイサンはプリントアウトすることは滅多にないけれども、
プリントするとまた、違う印象を持つ写真もきっとあるのでしょう。

当然のようにある上手・下手のほかに良い写真というのもあるし、
けれども反面「悪い」写真というのはあまり聞かない。
上手い写真が良いとは限らないし、下手だけど良い写真も当たり前にある。
個人的には、「うそを混ぜず、撮ろうとしたように撮れる」ことが欲するところであり
自分にとっての最良の解だと思っている。
それが「上手・下手・良い(・悪い?)」の、どの象限に属するとしても。

そんな話をしていたらあっという間に16時近くになってしまった。
「飛行機何時?」
「5時半」
と答えて驚かれる。
「大丈夫なの!? 間に合うの!?」
って、道路に大きな問題がなければ、経験上、特に支障のない時間割のはずだが。

ちなみに、旭川空港の周辺にもまた色々と撮影スポットがあって、
発着する飛行機を捉えるのに都合がよいらしい。
Y子さんも飛行機撮るのが好きで、そういえば、カッコイイ夕映えの機体の写真を見せてもらった。

今度はまた、旭川メインで旅程を組んで、
ムダに空港近辺をぶらぶら歩く時間をとっても良いかもしれない。
……旭川、いいなあ。楽しいなあ。好きだなあ。



■Closing



以上をもちまして、『北へ。』第19回・釧路~阿寒~旭川編、おしまい。
このあとはタクシーを拾ってホテルを経由し、荷物を回収してそのまま空港へ向かった。

空港リムジンバスを使えばもちろんお安く済むのだけど、
時間の融通が利くし、ラクだし、
面白い運転手さんに当たれば最後の30分ばかり地元のお話を聞けるので、
いつも大体タクシーを使ってしまっている。
旅の最後に時間に縛られて汲々としたくはないし、
ごたごたしてせっかくの気分に水を差されるのもいやだ。

  マ旅行で気が大きくなってるというのもあるけど。
  4000円チョイです。
  一人だとアレだけど、4人くらいで行くならタクシーでも全然いいと思う。
  ちなみに、それでもなお少しでも安く上げたいなら、
  美瑛から乗れば3000円台後半でおさまります。多分。

  オイサンも以前は最終地を美瑛にして、美瑛からタクシーで空港へ向かう……
  というコースを組んでいたのだけど、なんかこう……
  一人で美瑛を歩いた後は色々と考え込んでしまうことが多く、
  暗澹とした、悲しい気分で去ることが多くなってしまったのでやめた。
  ……という話をまた、花みずきでしたら笑われた。
  なんだよう。

この日拾ったタクシーの運転手さんは老齢の話好きで、
新しくなった旭川駅が味気ない、広々し過ぎて寒々しいという話をしてくれたのもこの人。
また、以前は駅に隣接していたホテルとestという商業施設が今は取り壊されてないのだけれども、
その跡地に大きなイオンモールが建つという話もきいた。
イオンかー。

「便利でいいんだけど、味気はねえなあ。どこもいっしょでさあ」
と、言ってた。
まあ、地元の人でもそう思うところもあるのだろう。



……どうも、結構くたびれていたらしい。



なんとなくらーめんが食べたくなって、空港のレストランで食べた。

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普段であればなかなかこういう場所で、しかもらーめんを食べようとは思わないのだけれど、
まあいいか、という気分になっていた。
味もおおむね想像通りで、特別おいしいわけでもない。
普通の味だったが、なんだかそれがすごく良かった。
空港のレストランで普通のらーめんを食べているのがやけにじんわり心に沁みたのだった。

  繰り返しますけど、別においしくはないですからね。(念押しせんでエエ

搭乗までもあまり時間がなく、
チェックイン、荷預け、保安検査をすませ、
離陸の瞬間の違和感で目が覚めて、座席に着くや、眠りに落ちたのだと気付いた。
ああ、寝てた……。
そして次はタッチダウンの衝撃でまたハッと目覚め、おおおお、寝てたんかと気付く。
体感飛行時間、1分足らず。
……さすがJAL、亜空間航法を完成させていたのね……。
ホンマなんも憶えてねえw

終わりの寸前まで疲れを感じさせない。
きっと今回はいい旅だったんだろう。
そしてまた、疲れを思い出させてくれる旭川の町はきっと、
自分の中では既に、旅先よりも帰着先に近い場所になりつつあるんだろう。



今回は、我ながら、とても楽しい旅だった。



旅は、終わって時が経てば、盆栽のように美しい記憶と記録に落ち着いてくれるが、
自分はいつも最中の過程で、フと悲しくなったり、憂鬱になったり、
──他の方はどうだか分からないが──そういう時間に迷い込む。
決めごとのように。
けれど今回はそんなことも起こらず、
旅の最中のうちから、3日目や4日目の持て余す時間にも、なんだかやけに
「ああ、自分いま、すごく楽しい」と、
思い悩む暇もなく楽しんでいる自分に気付いていた。
自分の歩いたあとでどんどんどんどん、頭からしっぽまでたい焼きに餡子を詰めていくような旅だった。

  さすがに19回も繰り返していると、そういう隙を自分につくらぬよう
  我知らずセーフティを働かせるようになるのかもしれない。

  北海道以外への旅……南木曽や熊本~高松も加えると21回、
  一人ではなかった銚子や柏崎~魚津、木崎湖を含めると、ここ10年で24回にもなる。
  これはもう……旅行が趣味と言ってもいいんだろうか。

かつてはそうして思い惑うことをこそ──それもまた意識せず──是としていたのが、
そうではない、楽しむことこそ是とする風に変化して、
体もそれに追いついてきた……そんなことなのかもしれない。


珈路詩のマスターのこと、
阿寒湖できいた摩訶不思議な氷と湖の音、
安井さん、
花みずき、
美瑛。

たのしいことからせつないことまで、目白押しの愉快な旅だった。
いくつかまた宿題を残してきてしまったのでまた来ることになるでしょう。
カオスヘブンの再訪や、旭川空港周辺の散歩、
そして何より、阿寒のことをもっと知りたい。
そんでまた、美瑛を歩いてしまうことだろう。

  あの謎の音も録らないとならないし、エゾシカ料理もしっかり食べたいし。

昨今ではweb上の情報で、ここは面白そう、ここはそうでもなさそうと見つけて選ぶことが出来てしまうし、
美瑛の観光スポットですら、GoogleMapでほぼそのまま見られてしまう。
大変な世の中だ。
しかし旅先というのは、自分で歩いてみるまで本当に分からない。
オイサンにとっての阿寒も、
そういう「わかりやすいキーワードに飲み込まれて分かった気になっていた」場所で、
どこか遊園地みたいに作ってかためられた場所だと思い込み、
なんとなく、あと回し、あと回しにしてきた場所だった。
それがこんなに豊かな場所だとは思ってもみなかった。
豊かな豊かな場所だった。
まりもだの、遊覧船だのはその豊かさのほんの片隅に間借りした人間の小さな遊びにすぎず、
山も氷も湖も、フンと鼻息ひとつ、それを見逃してくれているだけだった。

彼らにしてみれば、なんのことはない、
解けては凍りを繰り返して、豊かさと深みを少しずつ増していく
また気まぐれに太鼓を打って不思議な笛を吹く。
そんな毎日なのでしょう。
阿寒の人たちは、それをよく知っていた。

いくつになっても利口なつもりが治らない困ったおじさんです。
こんなことを繰り返して、死ぬまでに少しはマシになればいい。
そんなことを祈りながら。

また次回、お会いしましょう。

Dancing All Season with Hungry Foxes .
オイサンでした。


 

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■DANCE WITH FOXES~よく歌う神様と眠る湖の歯ぎしり~ 北海道旅行19・阿寒編-7・5日目(1) -更新第916回-

TMネットワーク(有線)。

オイサンです。

2014年1月、釧路から阿寒、阿寒から旭川・美瑛を巡る5日間の旅の記憶。
今回はその最終日、5日目のお話です。

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美瑛。
美瑛かあ……。

前回振り返ってみて気付いたが、初めての渡道から、今年でちょうど10年。
初めて旭川空港に降り立って、一番最初に訪れたのが美瑛だった。
垂れ込める雲、はらはらと舞う雪の中、
歩き方も分からないままどこへ繋がっているのかよく知りもしない坂を上り、
振り返った背後に広がった景色の初めてのすごさに、思わず大笑いしてしまったのを覚えている。

それから10年のあいだに、夏・秋・冬と、何度となく訪ねた場所だ。
だから時々、プランを組むときに
「さすがに今回は、もう美瑛はいいかな」
と考えてしまうこともあって、今回も少し、そんな気分がふと差した。
「美瑛に、そんなに時間を割くこともないかな」と。

最終的に、何を決め手にして今回も美瑛を訪れることに決めたのかは覚えていない。

「まあいいか……美瑛だし」。
そんな気分だったような気がする。
そんなんでもやはり、毎度のごとく「ああ、来て良かったな」と思うのだ。
広く遠く風の吹く丘の道を、えっちらおっちら歩く自分を、
その空気か影になって空から見下ろすような気分で。

『北へ。』北海道の旅19回目、阿寒編、最終5日目。

朝早くから、歩き慣れた雪の美瑛の丘を歩きます。


■1. Early Morning

朝一番、ではないけど二番くらいの電車で旭川から美瑛へ向かう。
起床は5時半頃。
目を覚ましても昨日までのように青白く寝たぶけた湖に出会えたりしないのが少し寂しい。

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この時間ではまだホテルの朝食はやっていないので
買い物公園の松屋でいつもと変わらない朝食をとる。
おなかに何も入れずに、真冬の美瑛さんに挑むのは無謀だ。

  せっかくだから、旭川の駅ナカにあるそば屋なんかで食べた方が良かったな。
  次回はあの、駅ナカのちょっとした食堂でゴハンを食べよう。

ところで、旭川の駅はここ数年でキレイに作り替えられてしまった。
シンボルとしてよく知られたあの三角印の旭川駅はもうなく、箱型のつるっとした形になってしまった。

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今は昔のご尊顔

  全く手をつけずに残しておけとは言わないけども、
  少しくらいあの面影を残そうという話はなかったのだろうか。
  ちょっと残念である。
  また駅の中も、広く、キレイに、便利に作り直された。
  それ自体は良いことだと思うけども、これもまた旅行者の目線からいくと若干味気ない。

  「地元から見てもちょっと面白味に欠ける」というのは、
  帰りに空港まで乗せてもらったタクシーの運転手さんの弁。
  この新しい駅の中にはやたら広い空間がドーンと広がっていて、
  他にまだ何か、施設かお店かが入る予定なのだろうと思っていたのだけど
  コレで完成らしく。
  広々しているを通り越して寒々しさが漂っている。
  うーむ。
  何がしたいんだ。
  以前の記事でも書いたけど、
  アホみたいに遠かった富良野線のホームや、
  古びて寒く、情感たっぷりだった宗谷線のホームなんかも
  ぴっちり他と同じくキレイになってしまって、
  やはりまあ旅行者としてはちょっと趣に欠くなあという印象だ。
  しかたないのだろうけどね。

7時半前、美瑛駅着。
旭川から美瑛までは、富良野線で一本、三十分程度で着く。

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美瑛について、地名と、だいたいどういう場所なのかということは知っていても、
どこからどのくらいで行けるのかということは、
実際訪れたことがあるか、そのつもりで調べたことでもないと普通は知らないと思う。
旭川から美瑛は存外近い。
北海道第二の都市の中心部から電車で30分。600円弱。
それも一両か二両編成のディーゼルで、トコトコトコトコ行く30分だ。

平日の朝なので、部活の朝練スタイルの学生さんの姿も見られて嬉しくなる。
自分が今、自分のではない誰かの日常に紛れ込んでいる感覚が嬉しい。

空は、いくらか雲がかかっているものの、今の所良い天気。
淡い青が澄んでいる。
空気は清涼、日常のさまざまな圧が頭上から取り除かれ、気分は空に高く吸い込まれていく。
訪問歴も十数回に及ぼうという美瑛 (前回参照) だが、
ここの駅舎にはやはり、その石造りの壁に手で触れ、写真に収めたくなるたたずまいの良さがある。

この駅舎も稚内や旭川の様に、時間の流れに押し負けたり、
もっと大きな自然の事情で、今の姿を喪う日が来るかもしれない。
そうでなくとも、数年前に訪れたとき見た駅舎と、今の駅舎が全く同じわけもない。
日を浴びて、風に吹かれたり雨にぬれたり、何かと変化していることだろう。
……マ見分けがつくわけじゃないけども。

いつもならここで、駅を出てのすぐ左手そばにある「四季の情報館」で
道やらスポットやらの情報を得ようとするところだが、この時間ではまだ開いていないため断念。
冬の美瑛の丘の道は、あちらこちらが雪で埋まっていたり
雪で埋まっていたり、雪で埋まっていたり
通行止めになっていたり雪で埋まっていたりするので、
あんまり色々動こうとするのなら地元の案内人からの情報が欠かせない。

しかしオイサン、おぼこ娘じゃあんめえに、10数回の訪問歴のうち、7、8割は冬だ。
とりあえず地図さえあれば大体ナントカなる。
何かを見ないともったいなくって帰れない、なんていう類の観光ではないし、
通行止めなら引き返せばいい。
そうやってウッカリと巡り合えたものに、アレコレ理屈や名前をつけて大事にしまっておけばいい。

地図だけなら、駅を出てタクシープールの対岸に見える宇野商店さんに置いてあったはずだ。
イザという時のための食べ物を購うついでに頂いてこよう。


■2. 丘の上まで

宇野商店さんでいただいたおかのマップを、バン!と勢いよく広げる。
よし!


……。


どこ行こ?  ← ノープラン


昨晩眠りに着くほとんど直前まで美瑛行きを迷っていたのだから具体的なプランなどありはしない。
そもそも、時間だってそんなにない。
お昼過ぎには旭川へ戻って、また花みずきでお茶を飲んで、
4時過ぎには撤収しないとならないのだ。
ここにいられるのは、お昼ゴハンの時間を入れていいところお昼の1時まで、
電車の本数だって、そう都合のいいタイミングでたくさんあるわけではない。

だからトータル4時間くらい、2時間で行って、2時間で戻ってこられるくらいのコースを

てきとうにでっちあげないとならない。
しかしこの地図をもらうのも眺めるのも、もう何度目だろう。
コレも基本はずっとかわらない。厚手の紙でしっかりと作られた見やすい良い観光地図だ。

方向性は、先ずは大きく二つに分かれる。
駅の北側、パッチワークの丘方面を行くか、南側のパノラマロードを行くか。
パノラマロードは秋とか夏に歩き倒したが、冬場はあまり攻めた記憶がない。
北側、パッチワークの丘は、やはりいつか来た真冬に、セブンスターの木から丘を見下ろした印象がとても強かった。
んー、じゃあ南側いこうか。

近くのセブンでコーヒーを買って(なかざわさん…… ← ?)サーモマグにうつし、準備完了。
ほないきまひょか。

やっぱりこうして歩いてみると、来慣れてしまったような、
ちょっとした飽きを感じてしまうけど……なにか、良いものが見つかるといいなあ。

一先ずの目的地は三愛の丘展望地。
丘の道の尾根の道端に設けられた大きな展望台で、美瑛ではベタ中のベタのスポットだ。
札幌で言えばクラーク像か時計台、或いは函館山、そんなところだ。
自分ももう何度訪れたか知れない。

普通に歩けば片道1時間チョイだけど、この雪なので時間はかかるだろうし、
大体そこまで道が残っているのかどうか……ガイドマップだけでは分からない。
へたに慌てて、まくのうちを増やしても仕方ない。
のんびりいこう。

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市街地・住宅地をとことこ抜け、途中お昼に良さそうなお店に目星をつけて歩く。
横断歩道に先生か保護者さんが立って、ランドセルの小学生を誘導している。

うーむ、平日。

ていうか、こんな時間に普通の場所をカメラ持ってウロウロしてるオッサンは怪しいですね。
すみません、さっさと観光地へ向かいます。
ただのどうでもいい景色でもこんなにきれいだよ。
気楽な旅行者のお花畑なのうみその為せる業だけど。

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美瑛川を渡れば三愛の丘まではほぼ道なり。
初見の方はとまどうかもだけど、一度歩いてしまえば迷うような道ではない。
むしろ、歩くだけなら若干退屈でさえある。

美瑛へは、初めての都道時に真っ先におとずれた。
この時も時間は短かったが、
初北海道の洗礼としては十分すぎるインパクトを与えてくれた。

  本当は、高校の修学旅行が北海道だったから「初・北海道」ではないけど。

秋に訪れた三度目の都道で、5日間がっつり美瑛だけ、という行程を組んだのだが、
そのときお世話になった"クンストハウス"というお宿がこの道沿いにある。
漆芸家の先生が工房とペンションを兼ねている宿で大変よくして戴いた。

  ちなみに漆芸、つまり漆工芸品の制作には湿度が重要で、
  ぶっちゃけカラカラに乾く美瑛ではその調達が大変らしい……センセ、なんでここでやってはるのん?
  いや、ガチに大家の先生なので下手なこと言えませんけど。

なにかと思い出深い宿だ。
今もはんなり、やっているのだろうか。

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ここから先は、本当にえっちらおっちら、ひたすら一本の道をうねうねと歩くだけだ。
途中に枝分かれする道もあるから、そちらへ逸れてちがうコースへ移ることもできるが
今の季節、多くは生活道路ではないために除雪が入っておらず、
完全に埋もれているか、通れても相当な苦労を要するだろう。

 ▼丘を歩くということ

しかし……。


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この風景、「心が洗われる」というけど、そんな生易しいものじゃないな。

ほぼ心の新品交換だ。今この瞬間だけのレンタルだけど。
ここを出るときにはいつもの汚れてくたびれた心を、ちょっとだけ洗って返される。
旅行というのはそういうところがあると思う。

どこまでも見はるかす丘と畑と雪と山、
ときどき小さな家がぽつんとあって、背の高い木がすいっと伸びて、
その中に自分ひとりだ。
風が冷たい。
何の音もない。
静かだなあ。

このときの、邦人男性(神奈川在住・38歳・独身)の気持ちを140字以内で表しなさい。
模範解答を以下に示します。

 <模範解答>
  行き倒した感ある美瑛にクソ寒い中5時起きして行く意味あるかと夕べチラッと思いもしたが、
  やはり行くとソウルジェムが浄化されるので全然行く価値ありっていうか
  俺が魔女化せずに済んでるのは美瑛のお陰であり
  則ち魔法少女は年1回美瑛で合宿張れば魔女化せずに済むし
  つまりまどかの犠牲は完全に犬死に (140字・改行除く)

うむ。歩いている最中のツイートなので間違いない。
歩き始めてしばらくは進行方向左手がひらけて見えているのだが、
やがて右手側に視界が大きく開ける。
なだらかに下って行く畑と、その向こうに立ち並ぶ山々。

その二つの間をただただ歩くだけだ。
若干小走りだったけど。
小走りといえば、そこそこちゃんとした雪の装備でジョギングしている方とすれ違った。
タフである。

 ▼残酷な事実

けれども、まあ……念のため、お断りしておきますよ。

ずーっと、似たような景色ばかりですからねw? 当たり前だけど。

このオッサン、やたら盛り上げて書いてるけど。
このオッサンがこの景色を大好きなことにウソ偽りはないし、
ざくざく雪道を歩いてる間、本当にずっとうきうきワクワクしているのもウソじゃない。

だけども事実としては、

「延々続くさして変化のない雪道を、寒い中2時間ほど歩いた」

ということに他ならないわけで、この景色に何か感ずるところのない人には、

「それは何の苦行なの?」

と問われてもお答えのしようもないことだ。
だから、ここへ訪れようという考えの人がもしいたら、
そのことをよく検討してから、自分を連れてきたり、相棒を捜したりして欲しいと思う。
「何もないじゃないか!」
と怒られても、そう、何もないのである。
雪と山と、風と空と、道しかない。ここは、それが嬉しい人向けのパラダイスだ。

 ▼謎の雪中行軍おじさん

この日はとにかく山が美しかった。
遠くにそびえる、青と灰色のボディに白いラインで化粧をした稜線が、
遠く淡く霞んで見えた。
そんな同じような景色の中、同じような山の写真を撮り撮り歩いていると、
畑の上に雪の積もった丘の斜面を上ってくる、何か黒い点があるのが見えた。
遠いけど……人だなあ。
決して緩やかじゃない斜面なのに、何をしてるんだろう。


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そのときはそう思っただけで自分もまた歩き出し、
その先も歩いては止まり、歩いては止まりを繰り返していると、
スノーシューを履いて、ストックを持ったご老人に追い抜かれた。
軽く会釈をしてやり過ごす。
たぶん、さっき上ってきていたのはこの御仁だろう。
お仕事なのか趣味なのかわからないけれども……。

三愛の丘の展望台に着き、そこでまたカメラを構えていると、
どこかで折り返してきたこの謎の雪中行軍おじさんに話しかけられた。
そのときさすがに雪道をてくてく歩いている私に何か思うところがあったのだろう。
「寒かろうね」
昨日までの氷点下20℃の世界に比べればさほどでもなかったし、
風もなく、そこまでではなかったからそんな風に話したら
「確かに、風はないな。じゃあ気を付けて」
とだけ言って、元来た道を帰っていった。

おじさんが引き返してきたのはつまり、道がこの先で通行止めになっているからだ。



サテ、例によってちょっと長くなってきたので、ここいらで折り返しましょうか。
ではまた後ほどお会いしましょう。


 

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