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2014年4月 5日 (土)

■DANCE WITH FOXES~よく歌う神様と眠る湖の歯ぎしり~ 北海道旅行19・阿寒編-7・5日目(1) -更新第916回-

TMネットワーク(有線)。

オイサンです。

2014年1月、釧路から阿寒、阿寒から旭川・美瑛を巡る5日間の旅の記憶。
今回はその最終日、5日目のお話です。

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美瑛。
美瑛かあ……。

前回振り返ってみて気付いたが、初めての渡道から、今年でちょうど10年。
初めて旭川空港に降り立って、一番最初に訪れたのが美瑛だった。
垂れ込める雲、はらはらと舞う雪の中、
歩き方も分からないままどこへ繋がっているのかよく知りもしない坂を上り、
振り返った背後に広がった景色の初めてのすごさに、思わず大笑いしてしまったのを覚えている。

それから10年のあいだに、夏・秋・冬と、何度となく訪ねた場所だ。
だから時々、プランを組むときに
「さすがに今回は、もう美瑛はいいかな」
と考えてしまうこともあって、今回も少し、そんな気分がふと差した。
「美瑛に、そんなに時間を割くこともないかな」と。

最終的に、何を決め手にして今回も美瑛を訪れることに決めたのかは覚えていない。

「まあいいか……美瑛だし」。
そんな気分だったような気がする。
そんなんでもやはり、毎度のごとく「ああ、来て良かったな」と思うのだ。
広く遠く風の吹く丘の道を、えっちらおっちら歩く自分を、
その空気か影になって空から見下ろすような気分で。

『北へ。』北海道の旅19回目、阿寒編、最終5日目。

朝早くから、歩き慣れた雪の美瑛の丘を歩きます。


■1. Early Morning

朝一番、ではないけど二番くらいの電車で旭川から美瑛へ向かう。
起床は5時半頃。
目を覚ましても昨日までのように青白く寝たぶけた湖に出会えたりしないのが少し寂しい。

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この時間ではまだホテルの朝食はやっていないので
買い物公園の松屋でいつもと変わらない朝食をとる。
おなかに何も入れずに、真冬の美瑛さんに挑むのは無謀だ。

  せっかくだから、旭川の駅ナカにあるそば屋なんかで食べた方が良かったな。
  次回はあの、駅ナカのちょっとした食堂でゴハンを食べよう。

ところで、旭川の駅はここ数年でキレイに作り替えられてしまった。
シンボルとしてよく知られたあの三角印の旭川駅はもうなく、箱型のつるっとした形になってしまった。

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今は昔のご尊顔

  全く手をつけずに残しておけとは言わないけども、
  少しくらいあの面影を残そうという話はなかったのだろうか。
  ちょっと残念である。
  また駅の中も、広く、キレイに、便利に作り直された。
  それ自体は良いことだと思うけども、これもまた旅行者の目線からいくと若干味気ない。

  「地元から見てもちょっと面白味に欠ける」というのは、
  帰りに空港まで乗せてもらったタクシーの運転手さんの弁。
  この新しい駅の中にはやたら広い空間がドーンと広がっていて、
  他にまだ何か、施設かお店かが入る予定なのだろうと思っていたのだけど
  コレで完成らしく。
  広々しているを通り越して寒々しさが漂っている。
  うーむ。
  何がしたいんだ。
  以前の記事でも書いたけど、
  アホみたいに遠かった富良野線のホームや、
  古びて寒く、情感たっぷりだった宗谷線のホームなんかも
  ぴっちり他と同じくキレイになってしまって、
  やはりまあ旅行者としてはちょっと趣に欠くなあという印象だ。
  しかたないのだろうけどね。

7時半前、美瑛駅着。
旭川から美瑛までは、富良野線で一本、三十分程度で着く。

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美瑛について、地名と、だいたいどういう場所なのかということは知っていても、
どこからどのくらいで行けるのかということは、
実際訪れたことがあるか、そのつもりで調べたことでもないと普通は知らないと思う。
旭川から美瑛は存外近い。
北海道第二の都市の中心部から電車で30分。600円弱。
それも一両か二両編成のディーゼルで、トコトコトコトコ行く30分だ。

平日の朝なので、部活の朝練スタイルの学生さんの姿も見られて嬉しくなる。
自分が今、自分のではない誰かの日常に紛れ込んでいる感覚が嬉しい。

空は、いくらか雲がかかっているものの、今の所良い天気。
淡い青が澄んでいる。
空気は清涼、日常のさまざまな圧が頭上から取り除かれ、気分は空に高く吸い込まれていく。
訪問歴も十数回に及ぼうという美瑛 (前回参照) だが、
ここの駅舎にはやはり、その石造りの壁に手で触れ、写真に収めたくなるたたずまいの良さがある。

この駅舎も稚内や旭川の様に、時間の流れに押し負けたり、
もっと大きな自然の事情で、今の姿を喪う日が来るかもしれない。
そうでなくとも、数年前に訪れたとき見た駅舎と、今の駅舎が全く同じわけもない。
日を浴びて、風に吹かれたり雨にぬれたり、何かと変化していることだろう。
……マ見分けがつくわけじゃないけども。

いつもならここで、駅を出てのすぐ左手そばにある「四季の情報館」で
道やらスポットやらの情報を得ようとするところだが、この時間ではまだ開いていないため断念。
冬の美瑛の丘の道は、あちらこちらが雪で埋まっていたり
雪で埋まっていたり、雪で埋まっていたり
通行止めになっていたり雪で埋まっていたりするので、
あんまり色々動こうとするのなら地元の案内人からの情報が欠かせない。

しかしオイサン、おぼこ娘じゃあんめえに、10数回の訪問歴のうち、7、8割は冬だ。
とりあえず地図さえあれば大体ナントカなる。
何かを見ないともったいなくって帰れない、なんていう類の観光ではないし、
通行止めなら引き返せばいい。
そうやってウッカリと巡り合えたものに、アレコレ理屈や名前をつけて大事にしまっておけばいい。

地図だけなら、駅を出てタクシープールの対岸に見える宇野商店さんに置いてあったはずだ。
イザという時のための食べ物を購うついでに頂いてこよう。


■2. 丘の上まで

宇野商店さんでいただいたおかのマップを、バン!と勢いよく広げる。
よし!


……。


どこ行こ?  ← ノープラン


昨晩眠りに着くほとんど直前まで美瑛行きを迷っていたのだから具体的なプランなどありはしない。
そもそも、時間だってそんなにない。
お昼過ぎには旭川へ戻って、また花みずきでお茶を飲んで、
4時過ぎには撤収しないとならないのだ。
ここにいられるのは、お昼ゴハンの時間を入れていいところお昼の1時まで、
電車の本数だって、そう都合のいいタイミングでたくさんあるわけではない。

だからトータル4時間くらい、2時間で行って、2時間で戻ってこられるくらいのコースを

てきとうにでっちあげないとならない。
しかしこの地図をもらうのも眺めるのも、もう何度目だろう。
コレも基本はずっとかわらない。厚手の紙でしっかりと作られた見やすい良い観光地図だ。

方向性は、先ずは大きく二つに分かれる。
駅の北側、パッチワークの丘方面を行くか、南側のパノラマロードを行くか。
パノラマロードは秋とか夏に歩き倒したが、冬場はあまり攻めた記憶がない。
北側、パッチワークの丘は、やはりいつか来た真冬に、セブンスターの木から丘を見下ろした印象がとても強かった。
んー、じゃあ南側いこうか。

近くのセブンでコーヒーを買って(なかざわさん…… ← ?)サーモマグにうつし、準備完了。
ほないきまひょか。

やっぱりこうして歩いてみると、来慣れてしまったような、
ちょっとした飽きを感じてしまうけど……なにか、良いものが見つかるといいなあ。

一先ずの目的地は三愛の丘展望地。
丘の道の尾根の道端に設けられた大きな展望台で、美瑛ではベタ中のベタのスポットだ。
札幌で言えばクラーク像か時計台、或いは函館山、そんなところだ。
自分ももう何度訪れたか知れない。

普通に歩けば片道1時間チョイだけど、この雪なので時間はかかるだろうし、
大体そこまで道が残っているのかどうか……ガイドマップだけでは分からない。
へたに慌てて、まくのうちを増やしても仕方ない。
のんびりいこう。

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市街地・住宅地をとことこ抜け、途中お昼に良さそうなお店に目星をつけて歩く。
横断歩道に先生か保護者さんが立って、ランドセルの小学生を誘導している。

うーむ、平日。

ていうか、こんな時間に普通の場所をカメラ持ってウロウロしてるオッサンは怪しいですね。
すみません、さっさと観光地へ向かいます。
ただのどうでもいい景色でもこんなにきれいだよ。
気楽な旅行者のお花畑なのうみその為せる業だけど。

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美瑛川を渡れば三愛の丘まではほぼ道なり。
初見の方はとまどうかもだけど、一度歩いてしまえば迷うような道ではない。
むしろ、歩くだけなら若干退屈でさえある。

美瑛へは、初めての都道時に真っ先におとずれた。
この時も時間は短かったが、
初北海道の洗礼としては十分すぎるインパクトを与えてくれた。

  本当は、高校の修学旅行が北海道だったから「初・北海道」ではないけど。

秋に訪れた三度目の都道で、5日間がっつり美瑛だけ、という行程を組んだのだが、
そのときお世話になった"クンストハウス"というお宿がこの道沿いにある。
漆芸家の先生が工房とペンションを兼ねている宿で大変よくして戴いた。

  ちなみに漆芸、つまり漆工芸品の制作には湿度が重要で、
  ぶっちゃけカラカラに乾く美瑛ではその調達が大変らしい……センセ、なんでここでやってはるのん?
  いや、ガチに大家の先生なので下手なこと言えませんけど。

なにかと思い出深い宿だ。
今もはんなり、やっているのだろうか。

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ここから先は、本当にえっちらおっちら、ひたすら一本の道をうねうねと歩くだけだ。
途中に枝分かれする道もあるから、そちらへ逸れてちがうコースへ移ることもできるが
今の季節、多くは生活道路ではないために除雪が入っておらず、
完全に埋もれているか、通れても相当な苦労を要するだろう。

 ▼丘を歩くということ

しかし……。


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この風景、「心が洗われる」というけど、そんな生易しいものじゃないな。

ほぼ心の新品交換だ。今この瞬間だけのレンタルだけど。
ここを出るときにはいつもの汚れてくたびれた心を、ちょっとだけ洗って返される。
旅行というのはそういうところがあると思う。

どこまでも見はるかす丘と畑と雪と山、
ときどき小さな家がぽつんとあって、背の高い木がすいっと伸びて、
その中に自分ひとりだ。
風が冷たい。
何の音もない。
静かだなあ。

このときの、邦人男性(神奈川在住・38歳・独身)の気持ちを140字以内で表しなさい。
模範解答を以下に示します。

 <模範解答>
  行き倒した感ある美瑛にクソ寒い中5時起きして行く意味あるかと夕べチラッと思いもしたが、
  やはり行くとソウルジェムが浄化されるので全然行く価値ありっていうか
  俺が魔女化せずに済んでるのは美瑛のお陰であり
  則ち魔法少女は年1回美瑛で合宿張れば魔女化せずに済むし
  つまりまどかの犠牲は完全に犬死に (140字・改行除く)

うむ。歩いている最中のツイートなので間違いない。
歩き始めてしばらくは進行方向左手がひらけて見えているのだが、
やがて右手側に視界が大きく開ける。
なだらかに下って行く畑と、その向こうに立ち並ぶ山々。

その二つの間をただただ歩くだけだ。
若干小走りだったけど。
小走りといえば、そこそこちゃんとした雪の装備でジョギングしている方とすれ違った。
タフである。

 ▼残酷な事実

けれども、まあ……念のため、お断りしておきますよ。

ずーっと、似たような景色ばかりですからねw? 当たり前だけど。

このオッサン、やたら盛り上げて書いてるけど。
このオッサンがこの景色を大好きなことにウソ偽りはないし、
ざくざく雪道を歩いてる間、本当にずっとうきうきワクワクしているのもウソじゃない。

だけども事実としては、

「延々続くさして変化のない雪道を、寒い中2時間ほど歩いた」

ということに他ならないわけで、この景色に何か感ずるところのない人には、

「それは何の苦行なの?」

と問われてもお答えのしようもないことだ。
だから、ここへ訪れようという考えの人がもしいたら、
そのことをよく検討してから、自分を連れてきたり、相棒を捜したりして欲しいと思う。
「何もないじゃないか!」
と怒られても、そう、何もないのである。
雪と山と、風と空と、道しかない。ここは、それが嬉しい人向けのパラダイスだ。

 ▼謎の雪中行軍おじさん

この日はとにかく山が美しかった。
遠くにそびえる、青と灰色のボディに白いラインで化粧をした稜線が、
遠く淡く霞んで見えた。
そんな同じような景色の中、同じような山の写真を撮り撮り歩いていると、
畑の上に雪の積もった丘の斜面を上ってくる、何か黒い点があるのが見えた。
遠いけど……人だなあ。
決して緩やかじゃない斜面なのに、何をしてるんだろう。


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そのときはそう思っただけで自分もまた歩き出し、
その先も歩いては止まり、歩いては止まりを繰り返していると、
スノーシューを履いて、ストックを持ったご老人に追い抜かれた。
軽く会釈をしてやり過ごす。
たぶん、さっき上ってきていたのはこの御仁だろう。
お仕事なのか趣味なのかわからないけれども……。

三愛の丘の展望台に着き、そこでまたカメラを構えていると、
どこかで折り返してきたこの謎の雪中行軍おじさんに話しかけられた。
そのときさすがに雪道をてくてく歩いている私に何か思うところがあったのだろう。
「寒かろうね」
昨日までの氷点下20℃の世界に比べればさほどでもなかったし、
風もなく、そこまでではなかったからそんな風に話したら
「確かに、風はないな。じゃあ気を付けて」
とだけ言って、元来た道を帰っていった。

おじさんが引き返してきたのはつまり、道がこの先で通行止めになっているからだ。



サテ、例によってちょっと長くなってきたので、ここいらで折り返しましょうか。
ではまた後ほどお会いしましょう。


 

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