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2014年2月23日 (日)

■DANCE WITH FOXES~よく歌う神様と眠る湖の歯ぎしり~ 北海道旅行19・阿寒編-4・2日目-2 -更新第908回-

 
はいどうも、オイサンです。


四十路目前のオッサンの超個人的な北海道の旅の19回目。
はじめての阿寒編、今回はその2日目(後半)のご様子をお伝えします。

P1214264


午前中、調子に乗って温泉街をうろついていたオッサンが、
滑って転んで右側のろっ骨を完全にイワしてしまうところまでが前回。

午後からは雪山軽登山だというのに、さあ、このオッサンはどうなるんでしょうねえ!
ワクワクしますねえ!
別にどうもなりませんねえ!
普通に登って降りて来るだけなので、あまり過剰な期待はなさらぬように。

それではどうぞ。



■双岳台に散る(散るな)



山登りのガイドさんとは、12時半に宿のロビーで待ち合わせ。

マ雪山登りだなんだと書いているけどもそんなに大げさな話ではなく、
道のない雪の山を、ちょっと眺めの良いところまで
それっぽい身支度で登ってみましょう、
というスキーに毛の生えたようなものだと思ってもらえれば良い。

  ……とはいえ相手は遊戯施設でなく自然の山は山なので、
  あんまりチョロまかした書き方をしてるとその筋の方々から
  「冬山を舐めるな!」と怒られかねない。
  どの程度のアクティビティだったかは行って初めて分かるワケだし、
  大体、スキーもしたことのないオイサンの心構え的にはお気楽なものではなくて、
  ガッツリと山。
  ワリと緊張していた。
  オマケに、右ワキ腹には出来たてのハンディも背負っている……
  マ格闘家には五体が完全に満足な時などあるハズもなく
  手負いこそがベストコンディションなワケですが。
  オイサン別に格闘家じゃねえし。

恰好はこんな↓感じ。

 ▼上半身
 スポーツ用のインナー / 長袖Tシャツ(タートルネック) / 薄手のセーター
 登山用フリース / 長袖ダウンベスト / レインジャケット / 手袋(インナー+アウター)

 ▼下半身
 スポーツ用のインナー / 防風パンツ / レインジャケット
 トレッキングシューズ

インナーに「スポーツ用」と書いたのは、
いわゆるヒートテックは、汗をガッツリかく運動には向かん、という話を
以前どこかで読んだのでジョギング用のヤツを。
皆さんもご注意下さい。

 ▼ヒートテックを山岳ガイドが使わない理由 [ IT技術者ロードバイク日記]
 http://rbs.ta36.com/?p=16205

手袋は二重で持って行ったけど、インナーだけで十分なくらい暖かかった。
ザックには軽い食べ物と、マグボトルに入れたコーヒー、あとタオル。
そのくらい。

このアクティビティのために、
スキーウェアか雪山用のジャケットを買おうかと
一度テラジさんにお買い物に付き合ってもらったのだけど
(て言うかテラジさんがプラモ買いに行くのについて行ったらそこに山ショップがあったんで
ちょっと覗かせてもらった)、
以前買った山用レインジャケットがあったのを思い出してそれを持っていった。

  ただしこれはホントにただの上下に分かれた雨用ウェアで、
  内部の湿気を外に逃がすような高性能なものではないので、
  もっとハードな山になったらちゃんとしたのを持っていないと
  ムレムレで体が冷えてしまうのではないかと思われる。

約束の5分ほど前にロビーへおりると、
何やら手持ちぶさたゲな、カラフルな山ジャケットに身を包んだ細身のお兄さんが
手持ちぶさたゲにしておられた。

  なんかこう……アレですね、RPGとかADVとかで、話が進むと、
  さっきまでいなかった人物がいかにも目立つ感じで現れていて、
  話しかけると次が始まる、みたいな……そんな感じでした。

 ▼安井さんと阿寒

そうして現れたのは、阿寒のネイチャーガイド、安井稜さん。
要潤のアゴをがっと鋭く削って10倍くらいナイーブにした感じです(偏見)。
イケメンです。要潤大好きです。

  ドラマ「動物のお医者さん」で、彼を二階堂に抜擢した人間にぜひ主演男優賞を上げたい。
  無茶苦茶言ってますけども。

お互い軽く自己紹介をして、装備を上から下まで確認してもらいます。

「ズボン、外側ありますか」(この時点ではオイサンまだレインジャケット未装備)
「あ、あります。レインスーツの上下が」
「靴、見せてもらっていいすか。……もうちょっと上まであった方が良いかな、スパッツいるな。
 すみません、一回事務所に寄りますね」

で、ワゴン車に乗せてもらってまず寄ったのは、
午前中ぶらぶらしていた時に見かけた、温泉街の西の端にあった「阿寒ネイチャーセンター」の建物。

  ▼阿寒ネイチャーセンター 
  http://www17.ocn.ne.jp/~akan.n.c/tokubetukikaku.html


なるほど、ここがそうだったのか。
私の足元、靴が足首まで覆うようなものではなかったので、
それをカバーするためのスパッツなる装備を取りに戻って下さったのでした。
スパッツっつってもあの、
スポーツ系ショートカット美少女のみが履くことを許される(掟)、ピッチピチの奴じゃないからな。
砂利やら水やらが靴に入るのを防ぐ、足首カバーみたいなものです。
ほな参りましょう。

 ▼双岳台

登りのスタートポイントまでは、温泉街からクルマで15分ほど。
阿寒湖とも兄弟湖であるペンケトー・パンケトーが見渡せる「双湖台」から更に少し行った、
双岳台というところ。

クルマで走る道々、安井さんが教えて下さるには、
このペンケトー・パンケトー、もとは阿寒湖と合わせて一つの湖だったのだそうです。
そこへ雄阿寒岳さんがムクリと割り込んで、三つに分断してしまったのだそうな。
言われてみればなるほど、
確かにGoogleMapを「地形」モードにして見てみるとなんだか納得がいく感じです。

  
大きな地図で見る


  あと、オイサンは何となく、本当になんとなく勝手に、
  阿寒湖、屈斜路湖、摩周湖の中では阿寒湖が一番でかいと思い込んでいたのだけども、
  そんなん全ッ然うそで、阿寒湖が一番小さい。
  なんでそう思ってたのかはワカラン。
  阿寒湖・ペンケトー・パンケトーの三つがもとの姿にドッキングして
  ようやく摩周湖よりちょっと大きいくらいになると思われます。
  なんでだろうなあ。
  たまにそういう、地理的な変な思いこみの勘違いがある。
  阿寒湖、すげえでかい印象あったんだけど。
  がっかりだ、見損なった(ひどい)!

クルマは山間のワインディングな道を軽快に走る。安井さん曰く
「今日はあったかいですねー。ここんとこ雪も少なくて。
 道路が見えてますからね。湖が凍るのも遅くて、今年に入ってからやっとですよ」
とのこと。
例年なら12月中には凍ってしまう。
やっぱりそうなのね。
日本海側の豪雪や寒波がハデに報じられているので寒いように見えるけど、
太平洋側はずいぶん暖かいご様子。

 ▼湖の、謎の鳴き声について尋ねてみる

車の中で、例のあの、謎の湖の音についてお尋ねしてみたけれども、
確かなお答えは得られなかった。
早朝と深夜の、どーんどーんという音については、
やはり氷の伸び縮みにともなう物らしいということは分かったけども、
昼日中のピューンピューン音については、どーもオイサンがうまく伝えきれず
(そりゃそうだ、さっき聞いたばかりのあんな意味の分からん音伝えきれるもんか)、
的確なお話を引き出すことが出来なかった。
無念。

 ▼双岳台より

さて……どうみてもただの道端に、安井さんはクルマを止めます。
あ、ちゃんと駐車スペースはあるところですよ。
「じゃこの辺に停めて、登りましょう」

  安井さん安井さん、大変です!
  なんかもう、ここからでも十分絶景です!

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そう、ただの道端なんだけど、雄阿寒・雌阿寒ともに見通せて素晴らしい眺め。
「そうなんですけどねw」
がしゃがしゃと色々器具を用意して、落ち着きのないオッサンをなだめる安井さんです。
落ち着きのないオッサンはその間に初めて袖を通すレインウェアを着たり、
初めて着けるスパッツをつけたりと自分の支度をする。

器具的な装備は簡素に、スノーシューにストック。
以上。
そうは言ってもスノーシューも初めてだし、
こちとらスキーしたこともないからストック持つのも初めてのスットコドッコイです。
冬も雪も大好きなんですけどね。

 ▼山田登郎

さて、ここからは山の中。
雪の積もったナカナカの急斜面を、安井さんの後について登って行くのだけれども
きついとかしんどいとかは一切なかった。随分ゆっくりと歩いてくれたのだろう。

傾斜はいきなり急。
どーなんだろう、オイサンはスキーもやったことない=スキー場も見たことないんで
あの傾斜が雪道的に常識的なのかどうかわからないけど、
少なくとも、「さー山登っぞ」という気構えがないと、
とてもじゃないけど踏み入ろうとは思わないレベル。

けど、これがもうね……楽しいのなんのって。

この日は天気も良く、雪をかぶった森の光差す景色を眺め、
自分の足音と呼吸と心臓の音だけ聞きながら、
一心に歩くことがもう……この上もなく心を踊らせる。

雪は、少ないとはいっても深く、
スノーシューを履いていても一歩ごとにくるぶし辺りまで埋まるくらいはある。
それをまたがばっと持ち上げて、ざくっと踏み出して、
雪がさらさらとスノーシューの隙間からこぼれ落ちていく、
一歩一歩の感触が、とても柔らかくてやさしい。

意識が景色の中に霧散していくように錯覚する。
あー、俺はいま森だ。森か木かなんかになっている。
この冬の山の一部分になりながら、ゆっくりゆっくりとうねるように上へ向かっている。

自分の中のにごった澱のような部分が、
さらっとほどけて落ちていく感覚に見舞われる。
自分の中の目詰まりした排水溝のふたを掃除してるような気持ちになる。
他にもっと言いようはないのか。



■安井さんと、山と森と雪~山は眠っている




登っていた時間は、多分片道1時間くらいだと思う。
しばらく歩いていくと、
前を行っていた安井さんが足を止め、右手に生えている木の枝から垂れ下がっている
なんだかモジャモジャした物を指さした。

 「あそこの、木の枝から垂れ下がってるとろろ昆布みたいなの、
  あれはサルオガセっていいます。苔と藻類の共生体で……云々」


P1183215


……ああ、あれは生き物なんですか。

 「生きてます」

共生体と言うことは、一つの生き物ではない。

 「そうです」

ほほう。私はてっきり、木の皮とか葉とかが朽ちたものとか、
なんかそう言う死骸的なものかと思っていました。

 「実は違うんですよ。他にも色々種類があるんですけど。
  あれも生き物なんです。じゃいきましょう」


そしてまた、光差す雪の森を、ざくざくと登っていきます……
すると今度は、比較的手近な左手の木を肌をざらっと撫でて、

「この木の表面についてる星みたいな模様、これも地衣類ですね。
 こーゆー生き物です」


  ※※※※※
  ……あ、ここでちょっと注意。
  安井さんのコメントはオイサンの曖昧な記憶で書いてますんで、
  なんか間違いがあったらそれは多分記憶違い・書き間違いだと思って貰って間違いないです。
  地衣だとか藻だとか苔だとか菌だとか、
  その辺オイサンの認識では全然ちゃんと区分出来てないので聞いた話をごっちゃにしてる可能性高し。
  注意せよ。
  それでは引き続き、オッサンのうたとおどりでお楽しみ下さい。
  ※※※※※

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あ、これも、木とはまた違う生き物なんですか? 冷えて乾いてめくれた木の皮じゃなくて?

 「ちがうんです。これも木とは別の生き物で、生きてるんですよ」

そこからさらに登って、そこそこに高度の上がってきた辺りで途中、
木々の隙間から左手……北の方角だと思うのだけど、そちらを指し示して
「屈斜路湖が見えますね」
と。

Ksshrk



ああ、屈斜路湖。
オイサンが行ったのは2008年の正月のはずだから6年前。
なぜか雪の上で蝉の亡骸を見つけて「???」ってなったのを強烈に覚えている。
その後、去年摩周の喫茶店で、クッシャロコタンの近くでクラフト工房を営んでいる方の絵を見て、
それが余りに格好良かったんでもう一度行こうと密かに思っている。
あの時は美幌峠から見下ろしたんだったか。

「上まで行くともっとよく見えますよ。摩周湖の方も見えます。
 今日は天気いいから斜里岳も見えるでしょうね。
 このコースは天気良くないと面白くないから……
 曇ってたら違うところへ行こうと思ってました」


ああ、じゃあ私、運が良かったですね。

「そうでしたねw」

とがったアゴをゆるめて、ゴーグルの奥でにやっと笑う安井さん。
そう、実は予約の電話を入れたときは、
この翌日のAMにツアーを組もうと思っていたのだけど、
生憎その時間は別の団体の予約で埋まってしまっていたので一日早めてこの日にしたのだった。
ちなみにこの時点での明日の予報は、曇り。

そんな調子で、登りと下り、車での移動を合わせても3時間ほどの時間だったんだけども
結構色々とお話をさせてもらった。
オイサンのお仕事の話もしたし、
北海道に来るようになったきっかけとか、どこを回っただとか、
安井さんがどんな勉強をしてきたとか、どんな生い立ちだとか、
町での暮らしと山での暮らしだとか、何がよくて何がよくなくて、
みたいな話をぽちぽちとこう……それこそ雪に足跡をつけるみたいにとつとつと。

ちなみに安井さんは帯広のお生まれで、
お父さんも帯広で山岳ガイドをされていたという、まさに山のサラブレッド。
子どもの頃は家に電気も通っておらず、
小学校くらいまではランプの光で暮らしてたのだそうで。
お、おおう……。
想像以上だ……。

  イヤ、その話を聞いた時は、「オオすごいですね(小並感)」としか言えなかったんだけども、
  今冷静に考えてみると、
  オイサンよか7コほども年下らしいので……82年生まれで?
  小学校まで……まあ10歳までとしましょうや、92年まで電気がない暮らしをしてたって、
  ……すごいな!!(結局小並感)
  プレステが出る二年前まで、電気がない!!
  どうやって『ときメモ』やるんだよ!! ← マストか
  たき火か! 火力プレイステーションか!(斬新)

  ……まあ、多分そんな環境で『ときメモ』やろうもんなら、
  パラメータ上げてもクマとイノシシしか出てこないんだろうな……。
  読書家で体の弱いクマと、動物の言葉がわかる内気なイノシシ。

あとでお兄さんの存在も明らかになりますが、お兄さんのお名前は「岳」さんというようです。
岳さんと稜さんのご兄弟。
分かりやすいですね。
小野田坂道くんと真波山岳くんのようです。
なんというか……憧れます、そういう力強いド直球さ、芯の太さといいますか。
ちょっとやそっとじゃ揺るがないものを感じます。
山のごとし(ドヤ顔)。

  そんな岳さん・稜さんご兄弟のblogはこちらです。

  ▼稜線の稜 http://ryosen-ryo.com/ryosen-ryo/toppu.html
  ▼阿寒にくればいいべさ。 http://akannc.blog63.fc2.com/

雪、冬、山、生き物、
話がそんなワードにさしかかると、明らかに語りのトーンが変わる安井さんは
ものの3時間ほどしか一緒にいなかったにもかかわらず、
ものすごく魅力的な人物に、オイサンには映った。
好きな物を語るとき、ホントに言葉が、とても素直に華やぐ。
声のトーンが変わりますからね。
初対面のオイサンにわかるくらいだからw
「生きてるんですよ」って言葉を口にするとき、妙に熱がこもる。
なんとも気持ちの良い御仁でした。
よい人にガイドを頼めて、これもまたついていたと思います。
皆さんも阿寒をお尋ねの際はぜひどうぞ。

 ▼サルノコシカケと鉄塔とツンデレフォックス

ぼちぼち頂上が近づいた辺り。
尾根伝いに引いてある鉄塔の電線が見えてくる。
あー、あれが天辺ですね。鉄塔、よく建てたな。

  「ほんとですよね。……邪魔なんですけどねw」

ああw あんまり良く思ってないんだw まあそうだろーな。

そんな話をしながら進んでいくと、
傍らの木に不自然な雪の積もり方をしてたのが気になってふと足を止めてしまった。
オイサンの足が止まったのに気付いて、安井さんも振り返る。

P1183245


「これはサルノコシカケですね。ああ、この子はりっぱだなあ」

おお、これがうわさに名高いサルノコシカケ。
でかい!

「そうですね。子どもだったら本当に座れますよ」

ホンマに座れるんかい!
イヤ、でも本当に座れる大きさと、がっしりした感触がある。
オマケに……硬い! かちんこちんだ。

「それは凍ってるってのもありますけどね。でも生きてますよ」

  ちなみに、上でご紹介したブログを見てもらえれば分かると思いますが、
  安井さんはキノコ愛がハンパないです。
  皿田キノコ嬢が実在したら求婚していると思われます(個人の感想です)。
  知識も豊富。
  こういう山の生き物やなんかについて専門に勉強をされたわけではなさそうだけど、
  日々、好きで勉強してるんでしょうね。

今回のことで、オイサンもキノコには興味がわいた。
すごいきれいなんだもの。
姿かたちも色も豊富だし、被写体としてもとても魅力的だと思う。
見ていて飽きない面白さがあることに気が付いた。

ちなみに、森とか生き物とかキノコとか、
そういうものについて専門に勉強したということはないそうです。

さあ、山頂だ。



■山頂からの眺め



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真正面に見えているのが斜里岳(知床の根本)、中央右、電線のかぶっている山に摩周湖があります。


「ちょっと誤算だったんですけど」

安井さんが残念そうに切り出すには。

「さっき、雪が少ないって言ったじゃないですか」

ああ、はい。

「だからちょっと、視点が低いんですよね。
 この雪の量だと、そこの……林が邪魔をして、雌阿寒が見えにくいんですよw
 誤算だったなあ」


おー。なるほど、そうか。積雪が少ないと足場が低くなるんだ。
確かに、雌阿寒さんは手前の林の向こうに見える。
例年の積雪量であればもう少し地面が底上げされて、遮るものなしに雌阿寒を見通せるのだそうで。
当たり前のリクツだけど、そんなに「地面の高さ」が変わるっていう感覚は、オイサンたちにはない。
雪の世界に暮らしていると、そんなことも当然起こり得るわけだ。

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左、林がかかっているのが雌阿寒さんで、右が雄阿寒さん。


「あれがさっき見えた屈斜路湖。で、東の方にずーっといって……
 湖面は見えないですけど、あの辺が摩周湖。その向こうが斜里岳です」


はい、はい。わかります。摩周岳は特徴ありますものね。
斜里岳もよくわかる。
すごいなー。
知床辺りまで見えるんだもんなー。
摩周湖から斜里岳が見えただけでもすごいなーと思ったけど、こっからでも見るのか。

P1183272

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ちなみに、摩周湖が大好きで行ったらレストハウスで一日中ぼーっと眺めてるって話をしたら
笑われました。
「それは相当ですねwww」
とかなんとか。はっはっは。安井さんも、今でも摩周湖に行くと感動するのだそうで。
あそこ行ってビックリしない人は、そうそういないと思いますよ。

「天気良くて良かったです……ココア飲めます?
 あとはこれ、兄が焼いたスコーンなんですけど。なんだろ、無花果か何か……入ってます」

お兄さんがスコーンをお焼きになる!? これは随分と女子力の高いお兄さんだこと。
スコーンもココアも大好きなので、戴きます!(CV:ほたるん)


  ▼つんでれぎつね参上!

この日は本当に天気がよく……風もなくて、しばらくボーっとしてたって
全く寒くないくらいで、快適でした。
そうして景色を眺めておると……

「きつねがいますね」

と。見れば、斜面を下り切ったあたりに明るい茶色の毛玉がなにやらウロウロしている。
あーほんとだ、きつねですね。
言われれば見つけられるけど、よく見つけるな、あんなの。

「こっち来たそうにしてますけど……僕らがいるから上がってこれないんでしょうね」

ははは、悪いことをした。
……とかなんとか言いつつしばらくそこで話をしていると……

「あら、来ちゃったの?」

何かもう目の前まで来てた。近い。
写真も普通に撮らせてくれた。
逃げませんね。


P1183288x

「逃げませんけど……人間に慣れてる感じでもないですね。
 餌付けされてたら、もっとすり寄ってきたり、ねだってくるようなしぐさを見せますけど。
 これ以上は寄ってこない」


確かに、1m程度の距離を保ってそれ以上は寄ってこない。
ホントに人間慣れしていて餌の欲しい子は、足元まですり寄ってくるんだそうで。

「人間を知らないわけでもないけど、すっかり慣れてるわけでもない、
 あわよくばおこぼれをってところですかね」


お前らさっき上手そうなモン食べてたやないか! ってことですなw
しかし人間になれさせるわけにもいかないのでやるわけにもいかない。
とはいえ、ここでやらなかったことによって飢えて死んでしまうということだって
あるのかも知れない。

これだけ人里が攻め込んでくる現状で、
野生でしか生きられない状況が果たしてどれほど良しとされるべきなのか。

やがて、日が傾き始め、
ほんの陰っただけで信じられないくらい風が冷たさを増す。
山も、木々も、少し眠たそうに面もちを変える。
彼らが眠りに落ちるまでここで眺めていたい気持ちをぐっと抑えて、
凍えてしまう前に山を下りなければならない。
あな、名残惜しや。
しかしイザ、山を下りはじめても……

「……来ますね」

さっきの狐がついてくる。
10数mの距離を置いて、我々のあとを、木に隠れたりコースを少しそれたりと、
一応用心をしながら追ってくる。

「ついてきてるのかなあ。行きたい方角がおなじなだけかなあ」

安井さんも図りかねている様子。
結局、最後の最後までではなかったものの、
帰路の半分くらいまではついてきてたんじゃなかろうか。
一度、追い抜いて先に行ったときはたまたま方向が同じだっただけかと思ったが、
気が付くとまた後ろに回っていて付いてくる、なんてこともあった。
案外粘り強かった。お腹すいてたのかねえ。
オスかメスかは分からなかったけど、安井さん曰く、大人のキツネではあったみたい。
冬のキタキツネは、毛皮がフサフサもこもこしていてとてもきれいです。
あのあと食べ物が見つかっていればいいけれども。

  ……オイサンみたいな文明の中に暮らしてる人間は、
  「食べ物がなくて飢えて死ぬ」なんてついぞ考えず、
  こうは言っていても「何かしら見つけて食べたんだろう」という結末しか思い描いてないんだけども……
  一体、冬場に飢えて死んでるキツネ(に限らず中型以上の大きさの動物)って、
  一体何割くらいいるモンなんだろう?


P1183295
最後の後ろ姿

  レアケースなのか、日常的なことなのか、あるいは生き残れる方が少ないのか……。
  その辺の現実ってわかんないもんだよなあ、と
  帰ってから宿で考えたオイサンなのでした。
  閑話休題。


 ▼ももんが殺人事件

「これ、エゾモモンガの巣です。
 ここ、去年までは使ってたはずなんですけど……今もういないみたいですね」


傍の木にぽっかり空いた穴を指して、また安井さんがこともなげに言う。
去年までって。
モモンガ相手に賃貸のあっせんでもやってるんですか。

P1183297

「中にいたら、この辺の溝にフンなんかがたまるんですよ。
 この巣に、14、5匹くらいいたんじゃないかな」


15!? こんな小さな穴の、こんな細い木に!?

「中は結構広くなってると思いますよ。たくさんでいた方があったかいですから」

おお……まあその理屈はわかるけど、この穴に15匹とか、にわかには信じられん。
モモンガって、ナンボ小さくてもそこまで小さかったっけか。
しかし、それにしてもそんなに広い物件をなんで手放しちゃったんでしょうかね?
そうそう条件のいいものが見つかるもんですか。

「物件w 他にいい物件が見つかったのか、なんか都合が悪かったのか……」

内輪もめがあって人死にが出たとか。

「www
 多分、低すぎたんだと思います。あんまり低いと他の動物に襲われたりしますから」


ぬおお、動物の世界でも高層階の方が物件として価値が高いのか!
確かにその巣穴は、地上1m50cmくらいしか高さがなくて、
人間でも簡単に覗き込んだり、なんなら棒を突っ込んだり出来てしまう。
色々と学ばされるぜ……。

そうそう、他にも安井さんには、足跡での動物の見分けかたもいくつか教わりました。
うさぎと、タヌキと、キツネと……テンだったか。
タヌキは脚が短くて、ウサギは跳ねるから後足の跡が前足よりも前に出る、とか。

  こんなページがあった。

  ▼足跡図鑑
  http://www.enyatotto.com/animal/animal.htm



■おしまい



「さあ、もう少しですよ」

P1183303


さあ、もう道路とクルマが見えて来てしまいました。
ぐぬぬ、名残惜しいンヌ……。
あと1時間でも2時間でも歩けるズラ……。

  なぜですかカントク!
  私はまだやれます! 私はまだやれます!!

この時間が終わるが、本当に惜しかった。超惜しかった。
楽しかったんだよう……。
もっともっと登りたかったし、もっともっと下りたかった。
雪はやさしいなあ。あったかいなあ。

そんな感傷に浸っておったらですね。



……ズルっと。



ホントにラスト、あと20mも下ればゴールってところで、
バランスを崩して尻もちをついてしまった。
惜しい。
あとちょっとで転ばずにゴールできたというのに。
そしてその時の転び方が、ものすごく……
昼に拵えたばかりの脇腹の傷を、これ以上ないくらい痛い方へねじってしまい
声にならない激痛に、しばし打ち震えることになった。

イヤ、傍目にはすっげえ地味な、ずるん、べたん、みたいな尻もちだったと思うので、
なんであんなに痛そうな顔してるんだろ? と思われたに違いない。
しかしあの時は、よくまあ叫び声を上げなかったなってくらい痛かった。
最後の最後にやられたワイ。

あー痛かった。 ← まだちょっと痛い

山を下り、装備をといて車に乗ればあっという間に宿に着く。
帰り着いたのが15時半を少し回ったくらいで、
ツアーの概要説明にも「全行程約3時間」と書かれていたので
概ね想定・予定通りということだろう。

クルマを降りた別れ際に
「よくあったまって下さいね」
と、最後、サングラスを外した安井さんの笑顔は最後まで穏やかなイケメンでした。
いやー抱かれたい。

  安井さん「いやー抱きたくない」(想像)

そのお言葉通り、一旦部屋へ戻ってサッと湯に浸かると、
……そのあとまた町を歩いたり、湖の上に出たりしようと考えていたにも関わらず、
すこんと眠りに落ちてしまった。
17時くらいに一度目を覚ましたものの、その次に目を覚ましたのは、
夕食の時間も過ぎた19時を、回った頃だった。



■Closing



この日は結局、ワキ腹の痛みもあって、
このあと特に何をするでもなく眠ってしまいました。
食事をとり、湯に浸かり。

夜、やはり星を見ようと湖畔に出ることは忘れなかったものの、
いくら月が明るいとはいえ足下は暗く、
またどこで転ぶか分かったものではないのでそれを恐れて湖上に出ることまでは出来なかった。

しばらく、明るすぎる月の湖畔でぼんやりと、
夜の湖が奏で出す、どーん、どどーん、どさっ、どさっという
これはこれでとても不思議な楽の音を聞き、おとなしく眠りについたのでした。


  まっくのっうちっ! まっくのっうちっ!


あ痛たたたたたた。
ういー、ホンマに痛いぜ。


ではまた明日。



 

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