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2014年2月26日 (水)

■DANCE WITH FOXES~よく歌う神様と眠る湖の歯ぎしり~ 北海道旅行19・阿寒編-5・3日目 -更新第909回-

中学生くらいのジャージ女子が
朝食バイキングでやたら真剣にお味噌汁よそってる姿を見るだけで若干こうふんできる人生って、
……すてきやん?(徐々に近づくパトカーのサイレンを聞きながら


お早うございます、オイサンです。

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ここは夢見るオッサンの雪中夢。
北海道旅行の19回目・阿寒編、三日目の様子をお届けします。


ちなみに冒頭ので書いたお味噌汁少女は
白とライトグリーンのツートンジャージをお召しになられ、
やたらと真剣な眼差しでお味噌汁をよそっておられて実に印象的だった。
部活でもきっと、あんな感じなのだろう。
普段は家で、自分でお味噌汁よそったりしないのだろう。

彼女とはたまたま席が同じ方向だったようで、オイサンも自分のお味噌汁をよそったあとで
前を行く彼女に続く格好で席へ戻ったのだけれども
(決してあとをつけたとか、ジャージのお尻に吸い寄せられていったわけではない)、
フと目に入った彼女のテーブルは……


  一族全員、ジャージでした!!


柄やデザインは皆マチマチだったのでたぶん一族の正装というワケではないと思うのだが……。
テーブルには、父母と彼女と、彼女の兄弟とおぼしき年齢の子どもが数人。
のみならず、もう一組夫婦らしい大人の男女がいたので
親戚二世帯での旅行だったのかも知れないが、いずれにせよ全員がジャージ。
ジャージ一族。
うーん。
そういう一家なんだろうなあ。
いろんな家があるよねえ。



____________________________________
▼おーざっぱな予定表

 1日目、1月17日(金)。羽田~釧路~阿寒湖移動。釧路で珈路詩に寄る。
  ↑ Complete!!
 2日目、1月18日(土)。阿寒湖滞在。雪山軽登山。
  ↑ Complete!!今日ココ
 3日目、1月19日(日)。引き続き阿寒湖滞在。大きな予定ナシ。温泉街散策。
  ↑ ★今日ココ

 4日目、1月20日(月)。阿寒湖~旭川移動。バスで5時間。喫茶花みずきでお茶したい所存。
 5日目、1月21日(火)。朝から美瑛散歩。花みずきでスコーン食って帰る。

____________________________________



■三日目



さて、そんなハピネスの予感溢れる阿寒滞在も今日で三日目。

この日は特に何をするということもなく、
朝、午後近い時間まで部屋でブログの更新するなどしてから街の散策に出かけた。
阿寒湖の南端、温泉街の東のはずれの森の中にちいさな自然探勝路が設けられているのでそこを歩いてみる。

宿の人間は、冬の期間中、探勝路は雪で埋もれて入れないようなことを言っていた気がするが、
昨日安井さんが
「明日の朝は、団体さんをぼっけの方へスノーシューで案内するんですよ
 (だからオイサンの最初の予約希望は断られた)。
 普通の靴でも入れるくらい、固められてるはずですけどね」
と言っていたので、恐らく立ち入ることは出来るのだろう。
ダメそうなら引き返してくればいい。

「ぼっけ」というのは阿寒湖のみどころの一つで、
探勝路の中にある、高熱のガスが噴き出ているポイントのことだ。
湖もその付近は凍らず、湖面の方から近づこうものならたちまちドボンのデンジャラスゾーン。
さすがにその近辺は危険地帯として、湖側からは近づけないように囲ってある。

それだけならまあ時間は余るだろうけど、
昼ゴハンを食べて、適当な喫茶にでもしけこんで、よその宿の温泉にでも浸かってのんびりしよう、
というのが今日の趣旨。
はっはっは。
ぜいたく極まりないな。
いい温泉旅行だ。

昼間は
あまり天気も良くなくて、山へは昨日のうちに登っておけて良かったとつくづく思う。
ワキ腹さんの痛みの方も、一切チカラをゆるめない容赦のなさですがすがしい。
旅ってのはこうでなくちゃいかん。



■凍える湖の朝



早朝、目を覚ました5時半頃には湖の上は雲も晴れており、
冷え込みも絶好調の-18℃超えだったのでこらダイヤモンドダストワンチャンあるでと思い
喜び勇んで氷の上をイヌハヨロコビニワカケマワリしたけども
日が昇り始めるとあっというまに山は雲をかぶってしまった。

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ソウナノヨネー。
日が昇り出すと急に雲が湧いて出るのよネー。
マいいんだけど。

そんなことで、この日も元気に朝っぱらから氷の湖の上をずんがずんがと歩いていく。
危ないからやめとけって言われたのに。
大丈夫。
今日は、昨日観光案内所で言われた通り、
スノーモービルのコースの旗の立ってるところしか歩かないから。

  ↑昨日はそんなこと知りもしないでガンガン湖のド真ん中方面まで攻めてたヤツ。

氷上祭りの受付に貼ってあるコース図を見るにつけ、
どうやら1周8㎞のコースに沿って歩くと、神社のある湖上の島へ行けるらしい。
んじゃそれ目指してみましょ。
湖さんは今日も元気に、ズーン、ドォーンと朝のビートを刻んでおられます。
オイサン調子に乗って鼻歌なんか歌いながら歩いていると、突然

  ビキッ!!

……という、ものすごいイヤな音にかすかな振動を伴って、
今オイサンの歩いている目の前の足下に新しい亀裂を走らせたりもなさいます。
正直、シャレにならない。

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こ、こいつ本気で俺を殺りにきている……!?
いや、でもね、あの不思議な音を聞かされ、こんなことが目の前で何度も起こったりしたら、
そりゃどこかで神様が見てるんだって思っても不思議はないですよ。
マジビビりますよ。
いきなり足下に線引かれるわけですからね。
「人間! これより先は我々神の住む領域。
 何人たりとも迂闊に立ち入ることまかりならん!!」
という声が聞こえてきそうです。
んなわきゃあない。

そんな調子で2、3回、足下ビキン! をやられながらも小一時間氷上をうろついていると、
さすがはマイナス20℃の氷の上、足先ががちんがちんに痛くなってくる
「へっ、今日はこのくらいで勘弁してやる」
とお決まりの捨てぜりふを残して引き返すことにする。

結局神社までは未到達。
そりゃそうだわ。
あんな氷の上なんか7kmも8kmも歩けるかー!! ← 別にその気になれば歩ける

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とは言ったものの、結構歩いてきてしまっていて、
帰りはいい加減寒いわ遠いわで半分飽きてしまい
「タクシー通らねえかな」
などと無茶を考え出す始末。
もちろんそんなことがあるはずもなく
(つーかこの温泉街、タクシーなんてメインストリートにだって通りやしないよ)、
♪やーぶれかーぶれのやーぶ医者がー♪
と、れんちょんよろしく、氷の上を歌いながら帰ったのだった。
つま先が壊死するかと思った。



■朝風呂~朝食~探勝路を行く



手先足先がこわばって痛み、
このままではまともに朝食をとることもままならない状態だったので(大袈裟にあらず)
宿に戻るとまず真っ先に温泉をいただき、
それからたらふく朝ゴハンを食べ、webに駄文を垂れ流し終えたらさあ出発です。

うえー、寒みィー。
外出たくねえー。
お前何しにきた。
あと嘘つくな。
お前寒いのも外も大好きだろ。

先ずは、宿の裏手……というか、
湖側の出口からほとんど繋がっていると言っても差し支えないくらい近くにある、
探勝路の入り口へ。

入り口が何かの植物の棚になっているが、これが異様に低い。
オイサンの身長だと余裕でアタマつっかえるので注意が必要だ。
足下は、全然ふつうに歩ける程度に踏み固められている。
誰だ、冬場は入れないって言ったの。
っていうか、普通に散歩してたり、
犬つれて散歩してたりする地元らしき方々数人とすれ違う。

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弁慶の足湯。弁慶ちょうのんびり。
しかし神威岬の方面といい、北海道にはあちこち義経・弁慶がらみの伝承が残っているなあ。
全部が本物ではないのだろうけど、
これだけ残ってるってことはやはり何らかの関わりがあったのだろうなあ。
どういうものが見つかれば史実に認めてもらえるのか分からないけど、
いつか、北海道まで落ち延びた説が立証される日が来るんだろうか。
研究してる歴史家とかいるのかね。
歴史研究の中ではどういう位置にあるんだろう、この説は。


  ▼湖~鳴き声とようせいのしろ、そして外人部隊


いま自分が歩いているのは、位置的には、阿寒湖の南端のちょうど真ん中あたり。
すぐ先に小さな島が見える。
歩いているとときどき、湖側の林の木々が途切れてぱっと視界の広がるポイントがあって、
目の中がすっかり青と白で二分される。
研ぎ澄まされた風景のシンプルさよ。
余計なものがそぎ落とされて、心がとても落ち着く。

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ぼーっと眺めていると、また
……例のあの不思議な音が、ひゅーんひゅーんと聞こえてくる。
本当に一体、なんの音なのだか。
お祭りの会場近くにいるといろんな雑音に紛れて分からなくなってしまうのだけど。

  このときは
  「もしかしてお祭り会場の方で、氷に穴をあけてスピーカーか何か沈めて、
   湖の中に音を流しているんじゃないか」
  とか勘ぐったものだけど。
  そのくらい、自然の音とはオイサンの感覚では思われない、
  不可解で奇妙な音だった。

夜はドーンドーンと鼓を鳴らし、
朝方にはギシギシと氷の歯ぎしりを響かせて、
昼近くに起き出してきてはこうしてエレキな笛を吹く。
阿寒湖の神様はロックだ。

そしてまた、それとは別に、
こうして森の中から湖を眺めていると、心に流れてくる音楽がある。
『ドラゴンクエストⅤ』の妖精の城……天空城の音楽がそれで、
澄み切って、神秘的で、厳かなのに心安らかになる。



まゲーム本編の方では、春が訪れなくなってしまった妖精の国に、
主人公が春をもたらすために奔走するエピソードだったりするけども。
神威岬で見た風景が竜王の城に見えたりと、
つくづくオイサンの風景の原体験はゲームから受けたインスピレーションで出来てるなあと感じる。

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この時なら、目前の氷の湖上に妖精の城が現れても、
驚きこそすれ、その有り様を疑うことはなかっただろうと今振り返っても思う。
四十近いオッサンの考えることでは、まあないんだろうけども。
だいたい当の『ドラクエⅤ』でだって、大人になった主人公の目に妖精は映らず、
子供たちの導きでようやく妖精の城にたどり着くんだけど。

もしオイサンがもう少しオイサンでなければ、
そういう者たちとここで出会うことが出来たのかも知れんなー。
……などと考えてしまうくらいにはメルヘン脳だし、
この風景や空気には説得力があるのでした。
というよりも、堀井雄二氏のアタマの中にこういう風景の引き出しがあって、
それを明確にイメージしながら、彼は世界をこしらえているのであろう。

ぷらぷらと何の緊張感もない。

そこからまた少し行くと、行く手に人影のある。
ライトイエローのスノースーツに身を包み、
スノーシューにストック、中型のザックを背負った屈強そうな三人組……
一人は女性だったかな。
オイサンには理解出来ない言葉で、ストックの先で植物にかぶった雪をどけてやりながら
なにやら話をしておられる。
恐らくはそういう研究をしているか、雪・山界隈の専門家の集団であろう。

それにしても、一体どこから現れたのか? オイサンとは逆回りでやってきたのか?
訝しんで辺りを見てみれば、なんとまあ、彼らの足跡は湖面から続いていた。
ははあ、湖を渡ってやってきたのか!

……ヤベエ、なんだそれ。ちょう楽しそうじゃないですか……。
いいなあ。
やりたいなあ。
オイサンもスノーシュー履いて阿寒湖縦断してえ!

昨日の山登りといい、自分の世界はなんて狭いんだと、
こうしてたかだかしょうもない温泉旅行をしているだけでも痛感させられる。
こういうことを当たり前に暮らしている人たちがいるんだからねえ。
イヤになる。
楽しそう。
いいなあ。

……などという。
オイサンに新たに滾る欲望の芽を植え付けて、
謎のノルマンディー上陸外人部隊はざっこざっこと雪を踏みしめ
森の奥へと消えていきました。



  今日、森の中で、妖精の城を見て、三匹のトトロに出会った。



もしオイサンが子どもだったら、そんな風に日記に書けたのかも知れない。

 ▼地割りて出でよ、炎と氷よ

ぼっけの手前で、大きな地割れに出くわした。
遊歩道が道なりに1m近く裂け、高いところでは10㎝近く隆起している。
何があったのかはすぐにわかった。
霜柱だ。

霜柱ってこんなパワフルなシロモノだったっけ? と思わせる、
否、
ほとんど氷柱と言ってもいいくらいの大きさの氷のつっかえが、
地表を突き上げ、持ち上げていた。

  ここは俺が支える!
  お前は先に行け!
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……と言わんばかりの霜柱のみなさん。
パワフルやのう……。
しかしなんだ、ぼっけが近いっていうことは地下の温度なんか高そうなもんだけど、
こんな霜柱が出来たりもするのね。

デまあ、ぼっけ。
なんかここにたどり着くまでに、
妖精の城と謎の楽の音、謎の外人部隊上陸作戦、謎の大地割れ大会など、
次から次へとに出くわしたせいで肝心のぼっけさんの印象は薄い。
食われ過ぎ。
もっと頑張れ(無茶言うな)。

こうしてぽっこんぽっこん言ってぼっけさんがガスを噴き出している間にも、
湖からはあの、ぴゅーんぴゅーんという音が鳴り続いている。

しばらくそこで地球が屁ぇこくのを見守ってから(言い方)、
森の中を抜けて町の方へ戻った。

その途中でも、遊歩道ではない森の中から突然スノーシュー履いたご婦人二人が現れてビックリしたりする。

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■町巡り~アイヌコタン~昼食



しばし町の中を巡る。
小さな路地とか、なんてことのない神社、公園。墓地。
何か自分たちの暮らしとちがうもの、変わったところ、
ここまでは同じなのに、ここだけが半歩分ずれている……
そういう、旅先で出会うちょっとした自分とのちがいが、なんだかとても嬉しかったりする。
だからオイサンは、旅先の小さな町では
公園、お墓、神社に学校、郵便局。そんな場所に好き好んで近付く。
まあ観光客のやるこっちゃない。
けどそれが楽しい。

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お昼ゴハンの目当ては、エゾシカ肉。

昨日はあてにしていた店が二軒とも休みという憂き目に遭った。
一軒は完全に営業期間の情報を見落としていたから仕方ないが、
もう一軒は営業しているはずのところを予告なしの休業だった。
まあ、それもやむなしなのだろう。
必要なときだけやりたいようにやればいい。
無駄に頑張る必要はないと思います。

今日も同じメに遭わないとも限らないけども、調べられるだけ調べてそれらしい店に向かう。
アイヌコタンにある喫茶と軽食の店。

……はい残念お休みー。
まじでかー。

まあしゃあねえ。ついでに、このアイヌコタンをぐるっとひと巡りしてみよう。

 ▼アイヌコタンの様子

包み隠さず書くけれども、昨日このアイヌコタンを初めて見た時は、正直ギクリとした。
この看板の字面。
これはどうやら関西で同和教育を受けた者特有の感覚らしいのだけども、
「部落」という言葉には被差別的な意味合いとイメージがセットになってついて回る。
それが全国的なものだと思っていたので、
自らこうしてデカデカと名乗っていることに驚きを禁じ得なかった。
しかし言葉本来の意味合いだけを考えると、おかしなことは何もない。
「○○集落」「○○村」というのと同じことだ。

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  今でも、あの道徳の時間とかやってんのかなー。
  道徳……道徳ねえ。
  道徳を、無言のプレッシャーでどうにかしようとい授業であったような気がするのだが。
  どうでもいいけど「道徳ねえ」を「道徳姉」に変換するのやめろ。
  ただの礼儀作法に厳しいおねえちゃんに見えてくるから。

とまあ、頭でそう理解しても長年沁みこまされてきたものはそうそうぬぐえるわけもなく、
その言葉のイメージに引っ張られて、オイサンにはこの一角がちょっと重苦しい空気を纏ってるように見えてしまった。

  マだからといって、
  「この看板は関西のお客さんウケがよくないので、商業的に配慮してやめた方が良いですよ」
  なんていう風には思わない。
  ビックリさせときゃいいんだ。
  そしたら自分たちの感覚の方が偏ってることに、ここにきて気付くだろう。
  「関西」でくくっちゃったけど、そもそもオイサンが過敏なだけかも知れん。

立地もちょっと特殊で、
お写真を見てもらえれば分かると思うが、
奥ゆき数十メートルほどのドン突き袋小路が結構な斜面になっていて、
その上り坂のカタカナのコの字型の小路にお店が並んでいる。

入り口のゲートにも、最奥の建物にも、アイヌでは最高の神とされるフクロウの巨大な
……これは大げさでも何でもなく「巨大」と表すに相応しい……木彫のオブジェが、
見下ろすようにあしらわれている。

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ぶっちゃけます。
オイサンはこの場所ちょっと怖かったです。
開放感というものと無縁で、追い込まれ、圧迫感みたいなものに押しつぶされそうになる。
根室の納沙布岬で感じた怨嗟のような重苦しさ、
夜の羽幌で日本海を臨んで感じた、くらやみの海の向こうから何かがやってくるような恐れ、
それらに近い重圧と垂れ込めるくらさをちょっと感じた。

  これもまた、『ドラゴンクエスト』に出てきそうな、
  非常に特徴的な「町」の風景として成立しているように思う。
  すぎやまこういち先生に
  アイヌの要素を取り込んだ明るいまちの音楽でも作ってもらって
  流せばいいんじゃないかとか、適当なことを言ってみる。
  べつにすぎやまこういちじゃなくても、アイヌの音楽の第一人者にたのんでもいいけど。

時期が悪かったというのもあるだろう。
観光客がそう多い時期でもなく、ほぼすべてのお店が開店休業状態で、
店の中も暗く、静まり返っている。

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トーテムポールのような木彫の柱に備え付けられた宣伝用のスピーカーからは、
アイヌの民謡と、
ここで扱っているのはアイヌの伝統的な物産であって配送も出来ますよという旨のアナウンスが
交互に流れている。
耳慣れない言葉のうたと、無機質なアナウンスが、自分以外聴く者のない、広々とした湖の空に散っていく。
活気のある時期にこの一角がどんな様子なのか分からないけど、
少なくとも、昨日とこの日、この一角を見た者としての感想は、
「陰気で圧迫感があるのにものさびしい怖い場所」だった。
人が多く、明るくて活気ある時期の様子を見てみたい。

アイヌコタンの裏手には、アイヌの伝統舞踊や音楽を披露する専用のシアターがある。
これがなかなか立派な建物で、毎日20時から上演しているらしい……が、
これもオイサンの泊まっていた時期に演っていたかはわからない
(毎日上演! とかそれ以外の断り書きなしに書かれていても
冬場やってねえのは当たり前だろ! とかワリと当たり前なので)。
一回くらいのぞきに行ってみても良かったかなー、といま少し後悔している。
人、入ってるのかなあ。

マあんまり良くないイメージのことばかり書いてしまったけど、
一種独特の雰囲気は味わえて面白いし、何よりフクロウがカッコイイ。
本当の神様は山と湖そのものなのかも知れないけど、
その依り代としての小さなフクロウというモチーフは、とても力のあるデザインだなあと思う。

 ▼ラーメン屋でグラップラーと出会う

結局目当ての店は閉まっていたので、第二候補だった民宿がやってるラーメン屋を覗いてみることにした。
昨日の温泉街の西のはずれ、阿寒ネイチャーセンターの向かいあたり。
そちらは無事営業していたのでお昼ゴハンはそこ。
店に入るなり、メガネが盛大にくもる。

  よく言われるように、冬の北海道の人家の中は過剰なくらい暖房が焚かれている。
  これはうそじゃない。
  本当に、どこへ行っても建物の中はカンカンに暖かい。
  初めての北海道で、旭川から稚内まで3時間半列車に乗った時は厚着をし過ぎていて、
  終盤アタマが朦朧となったことも今や懐かしい。

エゾシカのシチューと、
エゾシカ肉で作った叉焼の乗ったラーメンが売りらしかったので
シチューを注文してみたところ、

  「ごめんなさい、今そっちはやってなくて」

と。
あー。
じゃあラーメンで。
うぬう、ままならぬのう。
やっぱり客が少ない時期はこういう不便があるねえ。
まあそれも致し方なしか。
マイノリティの辛いところよ。

店のテレビでは、「ぇらっしゃぁい」が合言葉の落語家が、舌足らずのバラエティタレントと一緒に
新婚さんをいじる番組が流れていた。
この番組まだやってたのか……。すげえな。

  気になって調べてみたところ(調べんな)、1971年からやってるらしいこの番組。
  長寿にも程があるな。
  "桂文枝は第1回の放送から現在まで司会を担当しており、
   これは60年以上の日本のテレビ番組史上でも最長の司会記録を誇る"(wikipedia)
  ってそりゃそうだろw 
  テレビの歴史60数年のうちの43年やってんじゃないですかw タモリ目じゃねえw
  あと全然関係ないが、アニメ監督のナベシンさんも出演されたのだそうです。
  何やってんのw

そうして、筋トレマニアの新婚さんのワイヒーなエピソードなど聞きながら
ぼんやりとラーメンの出来上がるのを待っていると、
店の入り口の上に並んでいる、過去に来店したのであろう有名人(主にローカル)たちのサイン色紙の中に一つだけ、
異彩を放つ色紙を見つけた。

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ダヴァイ(来い)ッ!!
板垣先生なにしてはるんですか……。

マ恐らくはアレでしょう、
勇次郎が北極で白熊を倒したというエピソードを描くときにでも
この辺りで温泉合宿でもはったのでしょう。
ウーム、おかしなところで希少なものに巡り会ったぜ……。

ラーメンは普通だった(コナミ感。
普通のラーメンにエゾシカの叉焼が乗っていた。
エゾシカの叉焼もコレと言った特徴を感じられなかった。

個人的には、北海道のなんでもかんでもラーメンにしちゃう傾向はキライではないのだけど、
変わり種の具を乗せておしまいにするのでなく、
具に合ったスープだとか麺だとか、少しずつでも工夫してくれると嬉しいと思う。
ラーメンに合わないのだったらいっそそばとかうどんとかにするとか。



■突撃!となりの豪華温泉!



昼食を終えると、案の定時間を持て余してしまった。
しばし氷の湖上を彷徨ったあと、喫茶店・エルムさんにもぐりこんでのんびりお茶を飲んだりしていた。

この日は日曜日で、
おまつりの湖の上は珍しい氷上モービルやスケート目当ての家族連れと、
わかさぎ釣り目当ての客でなかなかの賑わいを見せていた。
湖上の駐車場に並んでいる車のナンバーを見るにつけ、
近隣や道内からの来訪者がほとんどらしい。
中には、朝見かけたような謎の外人部隊もいたりするのだろうが。

  あとから考えてみれば、
  太鼓と笛の音をかわるがわるに鳴らせる湖の上でのお祭り、というのはなんとも趣のあることだし、
  八百万の神を奉る日本の、本来の祭祀という意味で至極全うであるように思う。
  山も湖も、きっと喜んでいることだろう。

どうれ、ここはオイサンもいっちょうスノーモービルで伝説でも作ってみるか!
山よ、湖よ! 俺の疾走り<はしり>に震えろ!!(神奈川県在住・38歳・男性)
と勇んでみたものの、なんと、
まだ遠くまで一人乗りさせてくれる大型スノーモービルの催しはやっていないらしい。
じーざす。
温泉街の近くの湖面だけ走る、4輪スノーバギーみたいなのはやっていたのだけども。
残念。

 ▼激突! となりの豪華温泉!

地元の方々の世間話に耳をかたむけたあと喫茶店エルムを出、
さてどうするかと思案して思い出した。
そういえば、鶴雅ウイングスの温泉も使えるのだったっけ。

  オイサンの泊まっているお宿・花ゆう香と、
  温泉街の西の端にある鶴雅ウイングスは同じ鶴雅グループの経営で、
  温泉利用のためのシャトルバスを走らせている。

何か面白いことがあるかわからないが
露天風呂はあったはずなので行ってみるとしようと決意する、
何年か前に訪れた旭岳の温泉で、雪見露天風呂の味をしめてしまったオッサンであった。
ワーイワーイ。



……。



結論。



鶴雅ウイングスさんの宿の豪勢さはケタ外れだった。
フロントホールからしてなんかもうお城の様相。
地元の有名作家さんの作であるらしい木彫が十分な空間の中に多数展示されて
宿泊客を出迎えるかと思えば、
川が流れ、
みやげ物屋やブランド品のショップがちょっとしたショッピングモールほども立ち並んで、
温泉たまごやスープのサーバー、ふかしポテトが無料で振る舞われている。

  こ、ここが妖精の城の中か! なんかじーさんばーさんばっかだけど!

とまあちょっと大げさに盛り上げてみたくなるくらい豪華でした、鶴雅ウイングス。
確かここ、予約するときのお値段も結構高かったはずなんだよ。
花ゆう香だって十分立派すぎるくらい立派
(ところどころ壁に穴が空いてたり飛んでるはずのwifiが繋がらなかったり
行き届かないところがあったりはするけど)なんだけど、
いわゆる高級ホテル(「超」高級ではないが)とはこういうものだろう。

風呂も遊びに満ちた豪勢さで、
やたらと浴槽が小分けにされて色々な趣向が凝らされていた。
全部試せばまた何か発見があったのかも知れないがそこまではせず、
一目散に目当ての露天風呂へ向かうと、
一時間近く、緩やかに日が落ちて気温を下げていく中ぼんやりと湯に浸かっていた。
贅沢……。

北海道の人は案外道内で旅行をすることも多いのだろうか、
道内の会社の、社員旅行のような一団にたびたび出くわす。
このときも、一時間も風呂にいると人が入れ替え入れ替えするもので、
同じ会社らしき面々の噂話がとっかえひっかえ聞こえてきた。
庶務課のあさこさん、そろそろ年齢も考えて、火遊びはほどほどにした方が良さそうですよ。

ところでこの鶴雅ウイングスには、地下~2Fにかけて庭園露天風呂、8Fに屋上空中露天風呂があって、
日にちと時間帯で男湯・女湯が入れ替わる。
オイサンの泊まった期間はこんな感じだった。

 ▼奇数日
    2F 8F
 昼間 男 女
 夜間 女 男

 ▼偶数日
    2F 8F
 昼間 女 男
 夜間 男 女

この日のこの時間帯(夕方)の時間帯は男湯が下だった。
屋上露天風呂も試したかったと、これまた非常に悔やんでいる。
次回必ず来よう。

2階の庭園露天風呂は湖の方へ張り出していて
ちょうど湖面が見下ろせるくらいの位置にあるのだけれども、
外風呂へ出る扉には
「露天風呂は湖に面しており、近くまで釣りに来る方もおられることをご承知下さい」
という注意書きが実に男らしい。
よーするに「下手すると見えちゃうかもだがガタガタぬかすな」
ということだ。
つまり、日付と時間帯によっては……
……さて、今日は何日だっけ? ム、ちょっと、釣りがしたくなってきたな……。
双眼鏡双眼鏡……。

などとすてきなことを思い描きつつ、
極寒の雪見露天風呂を堪能したのだった。
いやあ……露天風呂最高。

北海道へ旅行しようとか思わなければ、こんな楽しみを知ることもなかったのだろうなあ。
つくづく『北へ。』には感謝だ。
広井王子は偉大だ。



■Closing



この日は、このあと特に変わったこともなく。
食事をいただき、湯に浸かり、夜中にまた、星を見に湖上へ出てみたりして眠りについた。

鶴雅ウイングスのお風呂から帰ってくるとき、
宿のとなりのおいしいパン屋さんでシュークリームを買って帰って戴いた。
部屋にコーヒーメーカーが備え付けになっているのは大変にありがたい。

  いっぺんだけ、コーヒーがサーバーに入った状態で保温にしたまま寝落ちしてしまい、
  目が覚めたらコーヒーのほとんどが蒸発していて
  お部屋がちょっとした焙煎室みたいな、アローマいっぱいになってて
  びっくりした。
  て言うかコーヒーメーカーの空焚きで普通にあぶなかった。

夕食後、ロビーやみやげ物コーナーをぶらぶらしていたら
託児スペースがあるのを見つけ、ちょっと覗いてみた。
自分には無縁のコーナーではあるのだが、
誰もいなかったし(誰かいたら通報されるわ)、
絵本がたくさん並んでいたのが気になったのだった。

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絵本ってのは息の長いもので、数冊パラパラめくってみただけでも
オイサンの生まれる以前の物が結構ある。
一冊、子どもの頃に読んだ記憶のある『ムッシュムニエル』のシリーズが置いてあった。
その中の一節。

  ほむんくるす・ほむんくるす…… うまは きゅうりのさらだをたべない。

魔法使いのムッシュムニエルが、弟子にする子どもをさらってくるために
瓶に魔法をかけるための呪文なんだけど。
ホムンクルスかー。
今でこそオイサンなんかには意味が分かるけど、
親が読んで聞かせるときに、知らなくても無理のない言葉だな。
さらっとこういう言葉が紛れ込ませてあったりしたのか、子供向け絵本。
なかなか興味深い……。
自分が子どもの頃にも、こんな風に訳の分からない言葉を刷り込まれていたりしたんだな。



……などと。
朝、森の中で妖精の城とトトロに出会い、
夜に自分の子ども時代へ導かれ、なんだか不思議な気分で眠りにつく。
今夜も凍った湖上に月は明るく、ドーン、ドーンと深い響きをとどろかせておったのでした。

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衝撃の4日目へつづく。 ← てきとう



 

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