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2012年10月21日 (日)

■天空の結婚式場~尾瀬でエクスデスと戦う。 -更新第819回-

シュワルツランツェンレイター。
口に出して言いたい日本語。(誤

友人から長くお借りしたままの『銀英伝』もようやく70話を越えております、
オイサンです。

ひと月一昔といたしますと、もう一昔以上前の話になってしまいますが。
世間的も夏休みの明けた9月はじめの休み、
知己に誘われてチキチキ尾瀬登山に行って参りました。


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お前それ、チキチキて言いたいだけやないか。
アカンか。
別にアカンことない。

人生、初尾瀬。

ほぼ淡々と山に登って降りてきただけなので
書くようなイベントはあまりないのだけれども、
そのときの美しき尾瀬の風景お写真とともに、
その顛末と、ウッカリ山になんか登ってしまうナイーブなオッサンどもの
乙女ちっくストライクな感情をお届け。

  いいですか、
  山になんか登るオッサンは、ほぼ厨二病と変わりないですからね。
  健全なオッサンというものは、昼間はゴルフに興じ、
  夜はオネーチャンのいるお店でがっはっはって笑うものです。
  経済を回すパワーの9割はそういうところで発生しているのです。
  山になんぞ登ったったところで、せいぜい位置エネルギーが稼げるくらいで
  ケーザイもセージも回りませんからね。
  ムダよムダ。
  ドムよドム。



■天空の結婚式場



しかし、素晴らしい場所でした。
尾瀬。
別天地。
なんと申しましょうか……あるんですねえ、ああいう風景が。

オイサンの見てきた風景の神秘部門No.1は摩周湖なのだけれども、
あれをでっかくして、その底を歩いている、そんな空気。
厳しく保護され、木道の決まった場所以外は立ち入ることが出来ないのが残念。
うーむ……致し方のないこととは言え、
人間は自然のモノのクセをしてつくづく自然からは仲間ハズレで、
自然と親和性のない生き物なんだなあ。
人が立ち入ると、それだけで「荒れる」。
そういうものへと「進化」「変化」してしまったんだなあ、と……
寂しくなってしまうのでござるよケンイチ氏(誰だ。

  人間が居座りさえしなければ、世界はあんなにも、美しままでいられるんだねえ……。
  おのれ、星の命を蝕むニンゲンどもめ……これはいよいよ捨てておけぬ……!!


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今回は至仏山登山が主たる目的だったので
湿地・沼地散策はオマケ程度にしか出来なかったのですが、
それでもそのすがすがしいこと、
神秘的なことはいくらか感じ取ることが出来ました。


 ▼尾瀬沼とその周辺

尾瀬と言えば、ホレ、例のあの、有名な唱歌くらいしか予備知識がないものですから、
ただこう、高地にだらーっと湿った地面が広がっているだけだと思っていたのですが、
周辺にはたくさんの山が聳えております。
そんなことでさえ、今回事前に調べたりしているウチに初めて知ったんだけど。

代表的なのは、今回登ってきた尾瀬沼の西端に位置する至仏山(しぶつさん)と、
その対面、東の端を守る東北地方最高峰である燧ヶ岳(ひうちがたけ)。

マ少し思いを巡らせてみりゃ、高地なんだから
途中や周囲に山があるのは至極当然なんですが
そういうごく自然な連続性に、全然考えが及ばないと言うね。
マあんまり、山とか川とか、そういうところにアクセスしたことがないから
道中にどのような道理があり得るかというのは、なかなか想像しがたいんだけれども。

  そもそも、オイサンの心にある「自然の原風景」というものは、
  基本『ドラゴンクエスト』なんですよ。
  平原と、森と山と水辺、あとは岩山に砂漠くらいか?
  そんな「パーツ」が、決まりきったサイズでぺたぺたと並んでいる。
  あれがオイサンにとっての、自然の景観のリアルなんです。
  そしてそれぞれが至極「唐突に」繋がっている。
  堀井雄二氏にしてみれば、あれもなだらかに自然な配置がしてあるのだろうけれど、
  オイサンは本物の森や荒野にふれる前にあそこを歩いたものだから。

だから、新しく訪れる場所のことを思うときでも、
平面図としてしかだいたい想像できません。
最近は慣れてきたこともあって、立体的な様子に警戒する事も出来るようになりましたが、
やはりウッカリすると、地図だけを見て、
簡単に移動できる、射線は通っているモノだと思いこんでしまい、
実際に着いたときにどこにどう向いて歩いているか分からなくなって
慌てることもしばしばです。トホホな大人ですね。


 ▼海の天辺

以前、北海道の旭岳に登ったときと同じ、
「あー、山のてっぺんも海の底も、同じ地面なんだな、大して変わりないな」
という感想が、ここでも抱かれた。

海は普段自分たちの暮らしているところよりちょっと低くなっているだけで、
普段自分たちの暮らす場所は、この尾瀬よりちょっと低いだけ。
地球の表面は畢竟岩の固まりで、水は高いところから低いところへ注ぎ、
表面を覆うのが、木々なのか、苔なのか、はたまた珊瑚なのか……
その違いがもちろん大切なのだけれども、
そういう差でしかないんだなーということが、
この「山の底」を歩いていると浮かび上がってくる。
そこら辺の中空を、魚が漂っていてもあまり驚かないレベルで。



■尾瀬について



一口に「尾瀬」と言ってしまっていますが、
正直、尾瀬について正確な知識はこれっぽっちも持ってなかった。
どこにあるのか、何があるのか。
あるのはあの有名な唱歌だけで、母が長年憧れている土地だということ
(そしてその憧れも恐らくは、その唱歌に伴う時代的なイメージで構成されているであろう)
くらい。

▼夏の思い出


高原のイメージが先行していたんで、長野県だと思っておって、
実際は群馬・福島・新潟を跨いだ県境の山間に位置してるらしい。
北関東+東北だったのか! Shockだ!

尾瀬沼や尾瀬が原のある尾瀬国立公園に至るには
どうやら目的に応じて三つくらいルートと入り口があるらしいのだが、
運転は完全にお任せだったのでその辺はよーわからん。
ざっくり、東から、西から、北から、くらい。

今回は、その国立公園のほぼ西の端にある「至仏山」を登る目的だったんで
西から入った。……っぽい。
一般車両は麓の駐車場までしか上がれず、
そこから鳩待峠というまで山荘のあるあたりまでは、
乗り合いバスやタクシーででピストン輸送されてます。

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左から、麓の駐車場、鳩待峠、山の鼻に至る木道。

  どっちも一律900円で2、30分。
  バスの運転手さんが実にジャパニーズおっさんっぽいジョークを飛ばしており、
  ああいうスキルは素晴らしいと思う。
  毎回同じこと言ってんだろーなー。

そこから、次の目的地は「山の鼻」。
尾瀬ヶ原方面へ向かうか、
至仏山の登山口方面へ向かうかの分岐点になっている場所らしい。
休憩所……というか、ここの山小屋的施設はもう、ちょっとした食堂みたいになってる。

今回はそこから一旦小一時間ばかし、尾瀬が原方面へ寄り道してUターンし、
山の鼻に戻ってきてから至仏山に向かった。

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山の鼻の山荘

この日は素晴らしい好天で、
もうこの空と緑と雲の色だけで、些細なことは吹っ飛ぶくらいの美しさがあった。
ザ・山というか、ザ・自然というか。

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至仏山を麓から。



■至仏山から見下ろす尾瀬



そこからは……まあ、山ですわ。山。マウンテン。
ハイキングとはひと味違う、本格の山。
一応、迷わない程度の筋道がついていて、
あまりにあまりな部分にはそれらしく足場や手の置き所が確保されているけれども、
基本的には岩と砂、土と草そのままの、山。

  ちなみに、オイサンが初めて「おお、山ってすげえ」と感じたのは、
  『FFⅣ』で試練の山に登ったときのことで。
  二重スクロールで遠くまで見渡せるビジュアルを見て
  高い! 遠い! 広い! と感激したものです。
  今思えば、『FFⅣ』は自分にとってのSFC最初のRPGとして
  かなり衝撃的なことがたくさんあったなー。
  今でもかなり好きなゲームです。

  ▼ファイナルファンタジーⅣ 試練の山
  

  そこから一歩、さらに山の表現を進めたのが
  PS2版『ドラゴンクエストⅤ』の、グランバニアの町に至る山。
  『FFⅣ』では、高さこそ再現出来ていたけれども、
  その急峻な斜面は、あくまでも平地と平地の連続でしか描かれていなかった。
  けど、実際の山ではなかなかそんな、踊り場のような平地なんて存在しない。
  延々と斜面で、踊り場の間を結ぶ親切な道も、実は存在しない。
  『ドラクエⅤ』ではそのような、山の実体であるところの
  「道のない斜面の連続」を見事に表現していて驚かされたものです。

  ▼PS2『ドラゴンクエストⅤ』
  
  3分を過ぎたあたりから。

  PS2版『ドラクエⅤ』は、他にもそういう地形的な表現の、
  三人称視点での高見にのぼりつめたものが散見されるので一見の価値ありです。
  物語の良さは折り紙付きですしね。

以前登った丹沢の山は、
急な傾斜を登るとしばらくなだらかで距離の長い坂が続き
また急峻な傾斜、という繰り返しだったけど、
今回はそこそこ急な斜面が延々続く感じで、
連れてきてくれた知人からは
「丹沢よりもラクだよ」と聞かされていたけれども、
個人的な感覚ではこっちのがキツかった。

  彼的には、なだらかなダラダラ坂が続くのが、気持ち的にこたえるのだそうな。
  オイサンは坂の多い町で育ったので、慣れもあるんだろう。

さて、どのくらい登った辺りだったか。
ぱっと振り返ってみると……おあー。
すげえ景色だ。
この景色は、さすがに見たことがない。


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衝撃の度合いとしては、初めて見た摩周湖には若干劣るものの感動的である
(そこはまた、一人だったかどうかに大きく依存もするので仕方ないけど)。
正面に見えるのが、尾瀬が原最高峰の燧ヶ岳。
偉容。
いかにも、ザ・日本の山といった風情。
その手前、麓あたりに広がっているのが尾瀬が原であり尾瀬沼……であるのでしょう。
行ってねえからわからねえけど。

しかしこれは良い高さです。
ほど良い。
高すぎず、低すぎない、
着陸をもくろむ飛行機の高さにとどまって眺める原野は、
雲の影がどこに落ちているか、
陽がどちらから差して、風がどちらから吹き、
人がどこに立っているかまで全部が見て取れ、
全く、いま自分の目に映っている中にどれだけの営みの時間が凝縮されているのかと考えると気が遠くなる。

  神ならぬ我が身には、睥睨するに限界の高度であると言えましょう。
  至仏山、とはよく言ったもんですな。
  面白い。

樹木一本、その木の葉一枚にしたって恐ろしく緻密で、
水を吸い上げて樹液を巡らせる仕組みが企てられておるというのに……
鳥やら虫やら、土やら。
皆別々に、自分の中で無数の細胞をはたらかせているわけで。
うーん、遠い。遠いなー。
そこにある全部に、同時に意識の照準を合わせようとすると、
その瞬間に、自分もその一部に取り込まれるような感覚が起こる。
景色と自分の境目がなくなる……この感じは、美瑛でよく起こることだけど。

  ……んでまた、ゲームの話すんけどさ。
  このふっと立ち止まって、振り返って、この景色が目に飛び込んできたとき、
  真っ先に思い浮かんだのが
  「あ、これ『FFⅤ』のエンディングだ」
  ってことでした。チョコボに乗って走る三人と、それを飛竜で追うククル。
  ホントそのままで、スタッフはこれ見て作ったんじゃないかなあと思ったほど。
  そんな前フリもあって、このあと頂上で、ラスボス決戦を見るんだけど。

  ▼ファイナルファンタジーⅤ エンドタイトル
  
   16分あたりから。

このあと、幾度も登っては振り返り登っては振り返りを繰り返し、
いい加減見えてこない山頂に、
「この岩場を越えれば!」
「次に視界が開ければ!」
とヤキモキしたりして、ようやく山頂に到着。

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  山頂らしい影を見つけては耳を澄まし、
  「……。だめだ。人の声が聞こえない……まだ先だ」
  と絶望する相方がいちいち面白かった。

山頂では、決まり事のように昼食をとって一休み。


……。


えー、こういうコトを言うとですね。
風情がないとか、野暮だとか言われそうだけど。
山のてっぺんでは、まあ……そこそこの人数が当然のようにご飯を食べていて、
多くはおにぎりやサンドイッチを食べ、
ある人は持参したコンロで火を焚いて、
コーヒーを沸かしたりカップラーメンを食べたり、
コンビニで買ってきたものを組み合わせて、
ちょっとしたオリジナルレシピの料理を仲間内に披露しつつ食べたり、しているわけさ。
「やっぱ山の上で食べるのは格別だよなー」
っつって。



……そうかあ?



その感じは、あまり解せない、解さないオイサンです。
まあ、コトバ尻捕まえて真面目にする話じゃないのかも知れないけど。
ノリでね。
持ってきたおにぎりを食べながら、
あー、いつもの割烹のランチ、今日はなんだろうなー……などと……
我ながら無粋なことを考えておって、
やっぱね、おいしいおにぎりは山の上で食べても下で食べてもおいしいし、
手の込んだ料理は、それなりの味がしますよ。

  まあ山のてっぺんでフレンチのフルコース食うかっつったら、
  その時々の体や気分の状態に合わせて欲しいものは違うので、
  それは当たり前としてね。
  そりゃあなた、のどが渇けば水は上手いし、
  ちょっとしょっぱいだけで天国ですよ。人間なんてバカなんだから。

  けど、だからといって、山頂+おにぎりタッグがそんなに強いかといわれたら、
  それは別にそんなでもねえよなー、と思う。

山原理主義の人はそれを決して認めなかったりするので、
まあそういう類の人はどこ行ってもそういう感じだなあ、
と思ったりはする弊社です。

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山頂に出現したネオエクスデス
そうは見えないと思いますけど。
なんか、そんな風に思えたんだよ。

  オイサンの結論。
  「尾瀬には、『FFⅤ』が棲む」。



■山についてのラリルレロ



それというのも……
前回の丹沢でもそうだったんだけど、
オイサン、山頂についても、どーも達成感がなくてですね。
爽快感に欠く。
我ながら不思議と。

山頂というのは……意外としょうもない。
当たり前ですけどね。
なんでもない、ただの地面だもの。
そこに価値を与えるのは他ならぬ人間なわけで。

「どの地面に一番価値があるのか」などということは、
いつだって自分で決めていくしかないのです。
山頂なんてのは、登山客にしてみれば、
そこで下りのためのエネルギー補給することを理解するならば、登頂は、
過程も過程のド過程であることは明白なので、
そこにまだ達成感がないことは当たり前。

下り終わってこその……もっと言うなら、家に帰って一風呂浴びてこその達成感。

そういう意味であれば、今回はなかなか面白い発見があった。
下山中、まだあとどのくらいあるか分からない、
雲行きもちょっと怪しくなってきたなーという頃合いに、
あろうことか
「(あー……アイスコーヒー飲みてえなー)」
と、うっかり密かに考えてしまった。

アイスコーヒー……イメージしたのは、近所にワリと新しくできたコーヒー屋の、
程良く汗をかいた縦長のタンブラーグラスに入ったものだった。
これはつまり、オイサンにとって山登りの価値とは、
過程や山頂にあるのではなくて、
そうして一巡りして下界にもどり、
コーヒーを飲みながら、そのときに見聞きした風景や自分の心に去来したものを
こうして一文字一文字に収め直す時間にこそある、ということなんだろう。

写真とともに文字にするところまでで、多分、山登り。

しかし、尾瀬の湿原や、
自分が足を止めればあらゆる気配の失せる岩場の静けさにも
いとおしさを感じていた自分としては、
「もう山下りたくねえなー」と思っても不思議はないくらいに感じてはおったので、
「むしろ早く下りてコーヒーを飲みたい」
と思ったそのときの自分を、とても意外にも、思うでもある。

他ならぬ、「帰りたい」という感情を抱いた自分に。
もっともっと漂白していたい自分を感じることもまた、あるのです。


 ▼旅路のあるきかた

山を登る途中、振り返り振り返り、
さっきのような湿原を見下ろす風景を何度も確かめ、
違う高さごとに写真を撮っていたんだけど。
相方の彼は
「俺はあんまり、登る途中で振り返ったりしたことなかったから、
 こういう景色には気付かなかった」
みたいなことを言っていた。
彼は学生時代から数え切れないほどここへは来ているらしいのだけど。
その辺の、道を歩くときのお作法みたいなものは人ごとにまちまちだと思うけども、
オイサンはある程度溜めつつ振り返る……というか、
振り返ることを忘れないようにしたい派で、
背後に広がる景色も拾いつつ進みたい。

また彼は、どこかへ行って帰るときも、
「来た道を引き返すのはもったいない、ツマランから好かん、
 どこか別の道を探して、ぐるっと回るようにして戻りたい」
とも言っていた。

  ……まあ、ワリと格好のついた考え方が好きで
  言うことも時々で変わったりする男なので
  これも実際どこまで本音か分かりませんがw

けども、自分は、元来た道を引き返すのも大好き。
別な道があるなら、出来ればそこは別の機会にとっておいて、
そっちはそっちで同じ道を行って戻りたいと思うクチ。

そうすれば、途中途中振り返ることをウッカリ忘れたり、
タイミングが悪くて広いそびれる発見も、
すべてシーケンシャルにすくい上げることが出来る。
来た道の、背後の景色も取りこぼしがなくて済む。

彼にとっては、山は多分、頂点を落とすことが目的の大部分を占めているのだろう。
彼の山の師匠とも言える御仁はこう言っておられたのだそうな。

  「山はスピードだ」

と。
なるほど、これもまた真理ではある。
オイサンの感じ方は、生粋の山屋にとっては所詮観光客の戯言なのであろう。
オトすモンだけさっさとオトして、さっと下りてこないと
いつ命を持って行かれるか分からない……そういうことなのでしょう。

  ……アレだ。
  『修羅の門』で、マイケルアーロンが言ってたのと同じだ。
  「リングはビジネスの場で、何が起こるか分からない。
   だから俺は一秒でも、あの場所に長くいたくはない」
  っていう。


 ▼バカ vs 煙

「そこに山があるから登るのだ」という、
まあ、ご本人が本当にそんな風に言ったのかどうか怪しいけれど、
有名なことばもあるように、
なんでまた山になんか登るんだい、という疑問が、
やはり登る側の身からしてもあるにはある。

  オイサンなんかはまだまだ二回目の駆け出しですので余計にね。

本当は、山に登りたい人たちというのは、
本音の本音の根っこの部分では……
下りて来たくない、というのがあるんじゃなかろうか。
隠遁したい、煩わしい下界を捨てて、
空と雲と木々と風と星と、必要最低限の地面だけで、
静かに(決して静かじゃないと思うけど)暮らしていたいと、思ってるんじゃないかと。

  まあ……慣れきって完全にレジャーと割り切り、
  生きて帰れる前提の人たちのこととか、
  何千メートルもの高さのある雪山を登る人たちのコトは分からん。
  なんかちょっと、種類が違うと思う。

趣味にもならず、ついうっかり何かの弾みで登ってしまう類の人たちは、
そこに何か違う世界を見出そうとして、
何も見つけることが出来ず、すごすごと下りてくる。
ほんのひととき、一番高いところでご飯を食べたという証だけ残して。
それは、もしかしたらここに住むことも出来るかもという、
淡い期待としての、自分が生活した痕跡であろう。

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遥かなる下山の旅路。

旅は……終わらせたくないと、毎回思うんだけどね。
それはとても明確に。
終わらせたくないものだから、終わらせ方をしっかり整えていなくて……
毎回、終わる直前になって気持ちを整理することが間に合わなくて慌てる。
フライトの時間に押し切られ、無様に……負け惜しみみたいに、
てめえおぼえてやがれ、必ずまた来るからな、という中身のことを
ちょっとだけ格好付けて言って帰ってくることになる。

山も、それに近いんじゃないかと思ってたけど、
あそこで「あーアイスコーヒー飲みてえー」と思うと言うことは
かなり違うもんだな、と、知るともなく思い知らされた気分だ。

山でもスナフキンのようになれるかと思ったけど。
無理だった。

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下山中、突然現れた第二のピーク。絶望。

スナフキンは漂泊の人で、時折、旅……というか、
彼にとっては旅が日常、旅が暮らしなので……
そういう日常の中で拾い集めた重たいものを洗い落としたり整理したりするために
ムーミン谷に帰ってくるっていう感覚のようだけど、
似たように、
日々の中で澱り積もった褻の粉のようなものを、
訪れ慣れた旅先の町で自分の中にしっくりと落ち着かせるみたいに……
山でも出来るかかと思ったけど。

  これがホットコーヒーなら、まだ多少の芽があったんだろうけど。
  アイスと来た日には決定的だ。

マそんなことで。
思えば、山にまつわる様々の記憶が、
こうして述べてきた様に、ほとんどゲームと直結していることを考えても、
やはりオイサンにとって、山は帰る場所ではなくて、
愛で、下りてくるために登るところなんだなあ、と実感した尾瀬の一日。

けどね。

美しい場所でしたよ。
下山もなかなかハードで、山頂から一旦下ったかと思ったら
また結構な岩場を這い登らねばならず、
その登った先でメシ食った方が良かったんじゃねえ? と思った。

その方が人も少なかったしね……。
やっぱ人は少ない方がいいや。
人はね。
多かった。
天気も良かったし。

標高1500mあたりから2200m超までだから、700mほどの山登り。
岩と雲と戯れたオイサンでした。

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がけっぷち。

……帰りの麓の駐車場までの乗り合いバスで、
めっちょ寝て隣のおにーさんに迷惑かけまくったのは内緒だ!!


トメィトゥ。


 

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