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2012年7月13日 (金)

■夏の影~『サマーウォーズ』感想など -更新第786回-

先日Twitter上で、
おミカンさんとおリンゴさん(どっちもID)がデートしているのをお見かけし、
「メルヘンやなあ」と思ってしまいました。

ところで、
こちとらリンゴやらみかんやらと言うと真っ先に
FC『ロードランナー』のボーナスフルーツを思い出してしまう昭和脳なワケですが、
なんだったでしょうね、あの絶妙な擬人化のされっぷりは。

漠然と「スイカが点数高かった」ということだけ憶えてましたけど、
そうだったそうだった。
ロボットをたくさん(5体?)埋めて、そのあとに金塊を取った場所に出るんだった。

しかし、うーん。
この、良い意味でざっくりとしたデザインといい、
何故かニンジンが一番点が高いという意味の分からなさといい。
この頃のゲームの、デザイン(意匠・設計両方の意味で)の自由さ、
放漫さというのは魅力的だなあ。

自由。
作ってる人がのびのびっとした感じがある気がします。

今のゲームはその点で窮屈な気がする。
というのは、オッサンの懐古趣味なんですかね。
まあ、その当のオッサンが、長い時間かけてウダウダと小難しい文句ばかり垂れてきたから、
ゲームが窮屈になっていったっていう側面も、きっと無いではないですしね。
自分で自分の首を、ゆっくりと絞めてきたのかなあ。



……そんなオイサンです(相変わらず前フリが長い)。



一昨日の朝、カブトムシを見ました。
オスの。
生きた奴。
ビックリした。オシゴト行く途中に。

場所は、都心も都心のど真ん中。
詳しくは申しませんが、日本武道館が見える坂の上、と言ったら
グーグルマップ先生が大体教えてくれるでしょう。
お写真これです。


Img00961201207110707 Img00964201207110708


右足が、片っぽなかったんですけどね。
どこに落として来たのやら。

  ……多分、たーぶーんー関係ないんですが、
  このカブトムシを見つけたすぐ近くに、

  山口事務所

  という、超謎の古びた建物がございまして、
  あくまでも「組」はついてないんですけれども、
  もしかするとこのカブトムシさんは何らかの下手をうって
  オトシマエをつけさせられたのかも知れませぬ。
  あなおそろしや。

しかしまあ、昨年は家の近所で羽化最中のセミに出くわすわ、
今日は今日でカタワのカブトムシさんに出くわすわで
近いうちにホンマ虫さんの恩返しに遭うかも知れませんな。

  ▼蝉の糸-更新第700回-
  http://ikas2nd.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/700-e958.html


別に、虫、そんなに好きじゃないんだけどなー。
ファーブルさんじゃあるめえし。
イヤ、神秘的だとは思いますけどね。
うん。
今日カブトムシさんをつまみ上げたときの、
あのゆび先にかかった恐ろしいほどの力感は、
一体どんな仕組みで生み出されてるのかとか、ホント脅威です。
カブトムシ、久しぶりに触ったけど……いやー。
あのパワーはすごいわ。
ミニ四駆くらいの感触はあったぜ?



■最近のお気に入りなど



 ▼コーヒーカップ

オイサンのたまにいくコーヒー屋さんは
希望すればカップを選ばせてくれます。

一応こんなオイサンでも定番が何客かあるのですが、
先日新たに見つけた青いカップさんがとても自分好みだったので
自分のものに決めた(※お店のものです)。

R0049041x

持ちやすさも、厚みも、容量も、実に丁度良く、
見た目の色合いもステキでしてね。
すっかり気に入ってしまいました。

  自分で買えばいいのに、と自分でも思ったりしますが、
  如何せん自分ではそれに見合ったような美味しいコーヒーは入れられませんし、
  それに見合ったキレイな部屋でもございませんので、
  ある意味「ヨソ行き気分」の中で使う分には
  文字通りヨソにあった方がイイんでございますのよオホホホホ。
  マ自分で買ったカップを預かってくれる、
  ボトルキープならぬカップキープしてくれるようなお店があるなら
  自分で買ったりするかもですね。

カップって、
なんであんなに持ち手の部分が小さいものが存在するんでしょうね。
ありません? わっかに指が通らなくて、
わっかをつまんで持たないとダメな様なやつ。

いや、指が通る人もいるのかもしれませんけど、女性とか、
でもキホン、標準的なサイズの人間の指なら
通らないとまずいと思うんですが。

うーむ、そういうものは、
実用品としての側面よりも、
美術品・工芸品としての在り方の方を重視した結果なのかも知れんが。

R0049043
ちなみに、同じお店の珈琲アイスにも同時にハマっていたりする。


ところで最近、遅蒔きながら谷崎潤一郎の『細雪』を読んでいるのだけれども、
その中で、
コーヒーカップのことを「珈琲茶碗」と呼んでいて、
そう言えば実家の祖父母もそう呼んでいたなあ、ということを思い出した。
案外響きがいいですよね。こーひーぢゃわん。
ぢゃわん。


 ▼大戸屋のメニュー

大戸屋の、「四元豚と夏野菜の蒸し鍋定食」が美味しいのです。
美味しいだけじゃなくて、おなかにたまるし、カロリーが低めなのも嬉しい。
というかむしろそっちが嬉しいのだが、実際に美味しくもある。
まあ美味しいっつっても鍋自体特別味が付いてるワケじゃなくて
つけて食べるポン酢の味なのだけども。

R0049064

がっつり腹にたまって700kcal未満ていうのは、
外食チェーンの定食系じゃあ相当優秀な数値ですぜ。
若干お高めなのと、出てくるまでに時間がかかることが多いのがネックですが。

三日連続で食べたときは、ツイッターで若者から
「それ絶対、ヘンなアダ名付けられてますよ」
と言われてそうかもと思った。


 ▼澪っぺ

澪っぺといっても、オイサンが澪っぺと言ったら
秋山さんちの澪さんです。
よその澪さんは知らん。知ってても如月の美緒さんくらいだ。


なぜ「GO!GO!MANIAC!」なのかというと……
これの1分4秒あたりの澪っぺが一番かわいいと思うからだ!!


最近比較的早い時間……9時半とか10時とかに寝オチてしまうことが多く、
そーなると大体2時とか3時とかに目が覚めてしまう慢性老人症のオイサンですが、
先日、そのように真夜中に目が覚めて、
まあ眠れなかったワケでもないので大人しく寝りゃあ良かったんですが、
早くに寝付いてしまったのがもったいなくて
チョイと溜まってるアニメでも見るかと
気になっていた『ココロコネクト』を見てみました。

  なんとなくTLで盛り上がっていたのでね。
  気になってたのですよ。
  あとコレと『じょしらく』ね。
  マあからさまに盛り上がってたのは隊長だけだったんだけど。
  そしてその隊長も、別段内容に言及してたわけではなくて
  彼が大好きなeufoniusが歌うOPが好きだっただけみたいだけど。
  イヤ内容も好きなんだと思うけどね。
  マ感想は別途また書きます。

そんでまあ、なかなか面白く、
中でも、プロレス好き地味少年が、人格交代で
メインヒロイン? 級の元気娘の体に入り込んでしまって
「お」から始まる女の子純正のおまんじゅうを
セルフでもみしだくシーンの臨場感などは圧巻。
そんでまあまあ、満足して眠りについたのですが。

そんなもん見て浅い眠りについたりしたせいで……秋山さんちの澪さんと、
楽しくおデートする夢なんか見ちゃいましてね。
詳しい内容は覚えてないんですけども、
大層キャッキャウフフで楽しかったのだけは憶えておる。


……。


イヤ、もうじき四十になろうって男が見る夢じゃないとは思うんだけども。
しょうがないだろ。
見ちゃったんだから。
毎朝電車で会う生身の女子高生とかじゃないだけマシなんじゃないか?
……。
そっちの方がマトモだろうか。
わからないけど。

  ちなみに、その夢を見る前にゴキブリをやっつける夢も見たんだけども、
  象徴的に何か繋がりがあるのかは不明。
  あずにゃんぺろぺろ。

あ、ちなみにTL上でアラフォーにアンケートを取ってみたところ
約40%のアラフォーから「アニメキャラとデートする夢を今でも見る」
という回答が寄せられたのでオイサン入れると約半数がそういう夢を
「見る」という結果に!
あー良かった。
日本終わるな。
近々。

まあ何が言いたいかというと、
そのせいでこのところ澪っぺ熱が再燃して困ってます、ということです。
なんだろね。
本編見てたときよりも、多分気持ち的には盛り上がってる感じですよ。

思えば、2009年4月の第一期を見始めた当初は澪ちゃんのこと大好きだったんですけど、
なんか最初の合宿で海に行った辺り、つまりワリと最初の方で
なんとなくキャラ個人に向けられる熱は冷め始めて
そのまんま今まで来てるカンジなのですが。

  思い返すと、この年2009年4月の期は、空前の黒髪ロング豊穣の期でして、
  アニメじゃないですけど『アマガミ』で絢辻さんに出会ったのもこのときだし、
  同じ期には『夏のあらし!』のあらしさんもいました。
  同年の10月から始まる『レールガン』の佐天さんを加えた四人が
  オイサン的には黒髪ロング四天王です。
  現在、『黄昏乙女×アムネジア』の夕子さんを中心に
  「新・四天王」が形成されつつありますが
  組閣が決まり次第また発表します(せんでエエ)。

まあそんな感じなので(どんな感じですか)、
『けいおん』、見直したいなーと思ったりするオイサンです。

あ、そうそう。
長いこと中断してしまっていた『銀河英雄伝説』も再び見始めました。
見始めると面白いんだよなーコレ。



■夏の陣~映画『サマーウォーズ』感想



前々回? オフ会のときにウッカリ見た『サマーウォーズ』の感想を、
改めてまとめておきたいと思います。
本当に面白かったですからね。

しかし如何せん、オイサンの座った場所があまり良くなくて、
ずっと画面を見つめ続けるには到底不向きな場所だったもんで
絵的には見落としが結構あると思いますので、マその辺はお手柔らかに。

憶えている範囲で、「ここは素晴らしかった」と印象に残っていることばっかり
ざーっと書いていこうと思います。


 ▼絵ヂカラのすごさ

先ずは絵。
動画枚数がどうとか細かいことはワカラナイので書きませんが、
すごいなーと思ったのが、ネットワーク世界での出来事の描き方、
というか、具体化の仕方。

仮想世界で起こっていることを、
イマジネーションとして非常にわかりやすく画にしてくれていたことが、
本当に素晴らしいと思います。
現実世界に持ち出したとすればどれくらいトンでもないことが起こっているのか、
ということがわかるくらい、スケール感を損なわず、情感も豊かに描かれていて……
イヤ、他にもやりようはあるのでしょうけども、
すごかった。

欲を言うなら、背景(オンライン世界のね)がキホン真っ白けだったことで、
その辺にも何か新しい解釈を与えてくれたら良かったなーと思います。

音楽も、良かったとは思うのですが。
冒頭で流れたメインげなテーマ以外はあまり印象に残ってません。
マ劇判なんて、主題曲だけ印象的で
他は劇の邪魔にならない(劇とともにある)ことが一番なので、
多分、良かったんだと思います。


 ▼ストーリー

何が良かったって、やっぱ話が面白かった。
テーマがはっきりしていて、お話に登場するパーツが、
そのテーマの何を担っているのかが良く分かったし、
その上で、ジブリみたいに説教くささも薄い。
けど、逆にその辺がハッキリし過ぎてたせいで常に頭から離れず、
ちょっと頭が重たくなるようなときもありました。

前半は、コンピュータの、主に外側に存在するネットワーク、
いわゆる人同士の繋がりの力の強さがワキワキと描かれて、
中盤以降はそうして束ねられたチカラが、コンピュータの内側に存在するネットワークへと注がれていく、
という構図だったように思います。

デ、だからといって
「コンピュータネットワークなんて所詮はバーチャルなもので、
 本当は人同士の、ぬくもりのあるつながりが大事なんだよ」
っていうありきたりで安易なところに着地する……のではなく。
もうヨノナカがコンピュータネットワークがあることを前提に機能し始めていて、
それと人の生活は切り離すことができなくなりつつある、
その中には今、どんな人たちが関わっていて、
どんな喜び、どんな悲しみがありえるんだぞっていうことを
ただただ描いていたのが、見ていてすごく腑に落ちました。

今こうして感想を書いていて、
「リアルの」とか「仮想の」みたいな言葉を使って書いてしまいそうになるんだけども、
あの作品の中ではその言葉的な切り分けが既に通用しないことが、
書きながら分かるんです。
その書き分けはこの作品にはまったくそぐわない。
なぜなら、この作品では
「コンピュータネットワークの世界」「オンラインの世界」「(いわゆる)仮想世界」も、
全て確実に「現実世界」として存在していて、
「リアル」の反対語にはならないからだと思います。
リアルの別の層でしかないことを、きちんと扱っているから。

  別に、それはとっくに当たり前のことなんですけどね。
  言葉の上の問題だけで。

よってこの先、文中では
「コンピュータネットワーク内のこと」を「論理レイヤー」、
「コンピュータネットワーク外のこと」を「物理レイヤー」
と書いていこうと思います。
それもまた可分ではないので正しくはないと思いますし、
他分野での同じことばの用いられ方と齟齬はあると思いますけども、
今パッと、他に表しようを思いつかないので。

お話の前半では、
論理レイヤーで起こる出来事が物理レイヤーに深刻な影響を与えることが説明され、
お話の上での物理レイヤーにおける(文字通りの)「マザー」である
おばあちゃんを中心に、論理レイヤーへの対抗手段が整えられて、
おばあちゃん退場。

  この、おばあちゃんがしっかり退場してしまうあたりがまた心憎いですね。
  加えて、おばあちゃんの退場にともなって、
  その位置に収まる次の世代が(おばさんかお母さんか)、
  地味に機能し始める辺りの描き方も、見てて面白かった。

  そしてまたそのおばあちゃんの退場のきっかけにも必然性があり、
  かつテーマともきちんと絡んでいる。
  物語のありように、過不足がほとんど見られませんでした。
  その整合性の高さ、拡散と収束の鮮やかさといったら見事の一語につきる。

  余談ですがオイサンは、このおばあちゃんの退場劇も、
  もしかするとおばあちゃんの仕組んだ狂言なんじゃないかと勘ぐったのですが
  それは大野暮でした。反省。

全ての要素が、この「おばあちゃんの誕生日」という日に、
必然的に集約して物語が成立しているのがまた、運命的で面白いですね。

  ……あーでも、肝心のAI暴走がどうしてこの日だったのか?
  ということは、特に関連づいてないのかな。
  それは惜しいかも。
  なんかあったのかもしれませんけど。

中盤以降、そうしておばあちゃんの忘れ形見として結成された
「田舎の地球防衛軍」で論理レイヤーの反乱に立ち向かうのですが、
論理レイヤー内での人同士のつながり、
新しい時代の、ぬくもりや物理的な距離や心的なふれあいを必ずしも伴わない
ある意味「論理的な絆」が、
冷たく無味乾燥なもの・価値の低いものとして描かれるのではなくて、
最終局面では物理レイヤーでのつながりと概ね等価のものとして
(或いは今後そうなっていくであろう希望的観測をこめて)描かれていたのが、
新しく、印象的でした。


 ▼物理と論理の天秤

そんな風に、
従来はステレオ的に悪役として描かれてきた「論理レイヤー」をフォローし、
立場・印象の底上げを行うのと並行して、
「物理レイヤー」の絆のあり方の穴、悪い面を遠まわしに浮き彫りにして、
「どっちもイイトコばっかじゃないんだよ、いい面悪い面、両方あるんだよ」
ということを謳っていたのも……いやもう、ホント素晴らしい。
ここが一番、感心したかもしれない。

それがどこかというと、暴走AIを生み出したワビスケおじさん……
彼が、これまでは基本的に良しとされてきた
「物理レイヤー」の絆の被害者として描かれていたこと。

よーするに、
妾の子? だったかな、細かい位置はおぼえてないけど、
大家族の面々から「純然たる親族の者」として認められない存在として生れ落ち、
実際どのような迫害(めいた扱い)を受けたかは分からないけれども、
彼をああいう心の在り様に導いたのは、他ならぬ「大家族の絆」であり、
「物理レイヤー」の光に生み出された影の部分だったってことで。

「和」っていう、自分のチカラではどうしようもないものの外側に
一旦生れ落ちてしまったらもうどうしようもない目に見えないチカラがあって、
それを打ち消すことが出来るのは「和」に参加する全員でしかないのに、
そこに手を差し伸べたのは、マザーであるおばあちゃんとヒロインだけだった、
だからワビスケさんは、ああならざるを得なかった。

だからお前、「ぬくもり」「つながり」「きずな」つったって、
イイコトばっかじゃないんじゃぜ、その一歩外側は地獄じゃぜ?
っていう、影を見つけることを忘れてない、そこにすごく感心した。

で、起こっているコトの重大さを、「頭で」理解することが出来さえすれば、
ヨソモノのすることだろうがその身を投げ出すことも厭わない「論理レイヤー」の面々の、
ドライなのかもしれないけどアツサが並行して描かれる。


 ▼暴走AI・ワビスケさんのかなしみ

そこにもう一個……象徴的に描かれていたのが、暴走AIの行い。
これも面白かったなあ。

彼(暴走AI)は、オンライン世界のIDをどんどん奪って、
世界の実権を握ると同時に肥大化していくんだけども。
己の出自の曖昧さ・根っこのなさに揺らぐワビスケさんの生み出したAIが
(或いは彼自身、実態を持たないAIとして)、
物理レイヤーの人々の、論理レイヤー内でのアイデンティティに近い
(つっても実際はただの管理番号的なものでしかないからアイデンティティとは程遠い空虚なものだけど)
IDを欲しがって集め、奪ってゆくっていう構図が、
実に象徴的で、なによりもかなしみに満ちていて、
あー、ここまで計算して描いてるんだったらすっげえなあと、
こればっかりはもう、
ただただ面白いのではなくて……悔しかった。
この画は悔しかった。
くそう。
何故俺はこの構図を思いつけなかった。
うん。
ひたすら、見ていて悔しかったですね。
僭越この上ないんですが、そのくらい面白かったです。


 ▼「わからないひとたち」へのいとおしさ

デ最後に。

そうして存在感を増していく論理レイヤーについて、
無理解であったり、理解が追いつかない人ってのはまだまだ確かにいて。

彼ら(あるいは我ら)をどうしよう? ということもまた、描かれている。
そんも代表が、最初っから最後までぎゃーぎゃーうるさい、
ヒロインの従兄弟? だったかな、お巡りさんの、お兄さんなんだけども。

彼は話の冒頭からヒロインと(形式上)懇意の主人公に嫉妬していて、
物語終盤では「田舎の地球防衛軍」の作戦に致命的なピンチを呼び込んでしまうという
お話上での役割を担っていて、
「論理レイヤー側の障害」として描かれてしまうのだけども。

今回は、オイサンにしては珍しく、大勢の人と一緒に作品を鑑賞する機会だった
(オフ会中ですからねw)わけですが、
その、彼がピンチを呼び込むシーンで、周りからボソボソッと
「あー、こいつクズだなー」
という感想が上がったのを聞いて、ああ面白いなーと思ったのです。

今回のオフ会のメンバーなんてのは、基本、
論理レイヤーの出来事をざっくり以上に理解出来て、
如何様にしてその世界が物理的に仕組まれているのかを分かっている人たちの集まりなので、
そのシーン……
「主人公たちが暴走AIに論理レイヤーの戦いで対抗するために構築した
 巨大サーバーを冷却するための氷を彼が勝手に(ある目的で)運び出してしまい、
 結果、サーバーが熱暴走を起こしてしまう」
という場面での、彼のその行いは「愚かしさ」であって、
同席した皆さんにとってはおそらく、ひと目で「悪」なのですが。

オイサンが、あの物語の中で一番いとおしいと思えて、
一番感情移入出来たのが、実は彼でした。
彼の気分が一番よく分かる。

彼は物語の上では、確かに主人公の障害なんですけれども、
人として、オトナとして、
これからますます進んでいくであろう論理と物理の二層で成り立つ世界にとって、
悪なのかといったら、そんなことは全然ない。
論理の側の人間から言えば困った人ではあるのだけども。

まあ彼は、主人公にヤキモチ焼いてた訳ですけども、
別に彼を妬んで意図的に作戦を邪魔したわけでもなんでもない。
それをやってたら悪ですが、彼にとっては、
今なんかワケの分からないことが起こってて、
いけ好かない奴がよく分からないことをやってはいるけども自分はそこには参加できない、
だからそこにあったものを使って自分に出来る正しいことを実行しただけだった。

多分、その作戦の骨子は、彼に説明されてなかったと思います。
お話上、画面上で。オイサンが見逃してただけかも知れんけど。
そこに置かれた氷が何故そこに置かれていたのかも、多分、彼には分からない。
ストーンヘンジやモアイ像が、何故あそこにあの形で置かれているのか、
現代の我々には図りえないのと同じレベルで、彼らには分からない筈です。
そりゃ、私が彼なら、同じことを多分しますよ。

やっぱね。
わかんないんですよ。
わかんないです。
論理レイヤーで何が起こっているのか。
自分たちの住む世界と「具体的に」どうリンクしているのか。
そのレイヤーがどのような物理的な仕組みで保全されているのか。

頭で、理屈で、文字通り「論理で」理解出来たって、皮膚感覚で分からない。
そして彼らは、皮膚感覚で分からないこと、
頭で「だけ」理解出来たことっていうのは、やっぱり「分からない」んです。
そしてそれを分かった様に振る舞うことは、出来ないことはないにしても、
自分たちの皮膚感覚上の正義を妨げてまで行使することではないんです。
優先順位が違う。
そしてそれは、「悪」ではないと、オイサンは思います。
悪でも、罪でもないし、そこに優劣もないと思ってます。

  いや、社会経済的に、何かが出来る・出来ないという選択肢の多さで、
  優劣は付けられてしまうと思いますけどね。
  それはシャカイさんのシクミさんなので仕方がない。
  そこは我慢してもらいましょう。

結果的にアレでミッションが失敗していたとしても……彼を責められないし、
彼のせいでミッションが失敗したバージョンの物語があっても面白いと思います。
そしてそれでも、この物語は完成していると思う。
そのくらい、この物語は揺るぎないと思います。

彼にそれが分からない、そのように振る舞えないのは、仕方のないことだと思います。
それはオイサンに、あの家族の中に依然と渦巻いているであろう、
血族の血の重みみたいなものが「分からない」のと同じです。

幸い、オイサンはたまたま、彼らサイドの人間が大切にする「そういう」ものを
「頭でなら理解する」ことが出来る
(それは本当の理解ではないかもしれないけど分かったフリをすることは出来る)し、
「頭で理解した」ことは、とりあえず分かったものとして、処理をし、
それを阻害しないように振る舞うことが出来ると思います
心から評価して参加することまでは、残念ながら出来ませんが。
それを、知性と呼ぶのか。
それが人間らしさや、オトナであることや、誠実さであって、
優れているのかと言われたら、それは違うかもしれない、と思ってます。

逆に、それが出来ることが、
悪や、間違いや、罪である可能性があるのかもしれない、と思ったりします。
根拠はありません。
ありませんが、それは不自然なことだと思うからです。
まあ、マイナスの敢えて価値を持たせるのは違うかもしれませんが、
何かに反することであって、様々なねじれを生んでいて、
畢竟自分たちを苦しめるストレスの大きな要因となっていると、つねづね感じています。

まあその辺りの評価はオイサンの個人的なものではありますが、
彼らを単純に、「分かる側の視点と論理」だけでもって
「これからの世界の困ったチャン」としてしまうのはあまりにも傲慢だと思いますし、
分かるからと言って、上から目線になるのもおかしな話だな、
ということを、
このお話の視点は語っているな、と感じた次第。

彼らは、分からないことを、分からないまま、
分かるところだけ今まで通りに我慢しないで行おうとしますが、
それを妨げることもやっぱりちがうよな、と思うのです。

  そんな彼の職業が「村のおまわりさん」だっていうのは、なんだか象徴的ですねw
  すごくいいと思う。

それはつまるところ、アボリジニを蹂躙したイギリスの植民船団の様なもので、
ある種、歴史において致し方ない面はあるにしても、
在る者・持つ者が必ずしも正義じゃないだろってコトを分かるコトが、
まずは正義なのではないかな? と思ったのでした。

彼は物語上の障害ではありますが、あの世界の純粋な良心の一つでもあります。
障害としての役割以上に、あの世界の欠かすべからざる、一つのパーツ。
あの作品で一番魅力を感じた人物であり、
言葉は素直すぎてヒドイときがあるけども、
オイサンが役者であったなら一番演じたいと思わせる役どころでした。
彼には、彼のままの彼のことを理解してフォローしてくれる相手が見つかって
幸せになって欲しいなあと思います。


 ▼彼はジャイアン?

また彼は最後の局面でジャイアン的転換を遂げます。
よく分からないなりに、「田舎の地球防衛軍・論理班」の支援者に回って声を張り上げる。
それがなんでかっていうと、
「ブン殴られたから」
だっていうのがまた、よく分かって面白い。

「あ、今コイツら、人を殴るほど怒れるくらい、
 画面の向こうのよくわかんねえこと目ぇむいてやってやがんだ」
ということを、感情を形にされてようやく理解したことがよく分かる。

結局、感情を形にされて伝達されて、初めて「肌で理解」出来たって場面。
まあこれが正しい会話なのかと言われたら分からないですが、
細田監督の答えがここにあったと思うと、非常に興味深いし、
オイサンも他の答えは思いつかない。
自分がこの答えにたどり着いても、お話に答えとして提示できるかと言われたら
二の足を踏みます。

これはちょっと余談になりますが、
人には誰しも自分の中心となる感情というのを持っていて、
最終的にはそれをもって、人との関係や伝達を量っているのではないかなあと
オイサンは思っていたりします。
それがオイサンの場合は「笑い」で、彼の場合は「怒り」。

彼は「殴られないと分からないバカ」なのでは、またなくて、
伝えるときも、伝えられるときも、
怒りの量や、質や、方向でもって子細を表現するというだけなのではないかと。
だから彼の場合は、
「殴られないと分からない、殴らないとわかりあえないバカ」
に見えるのであって、
オイサンの場合だと、次第によっては
「不真面目でへらへらしているバカ」
に見えたり、するのかも知れません。
イヤそれを言いワケにするつもりはないですケドも。

……まあ……だからといって、
そうやって「怒り」で会話をしようという人人のことを、
好きか、得意かと言われたら、そんなことはないんですけどね。
あまりお近づきにはなりたくはない。
です。
こわいもん。



■Closing



マそんなことで。
毎度のごと、長くなってしまいましたが……

あのね、ホント面白いから。
面白かった。

もっとしっかり見れば、穴も見つかってくるのかも知れませんけども、
そんなの気にならないくらい、
ていうかお話の筋をただただ追うだけでも、それはそれで十分に面白いですし、
オイサンみたいに野暮ったく、色々解釈を追いかけようとしても、
そこに、伝え手のいろんな思惑が見えてきて、実に楽しい。

久しぶりに大変に良い物を……しかも、良い人たちと、いい場所で見ることが出来て
大変に幸せでした。

つって、もう6年? も前の作品みたいなんで、
おっさん今頃ナニ言ってんの、って感じでしょうけれども、
今見ても十分に耐えうる設定や展開など、ある意味『パトレイバー』的な、
太い骨子を持った作品だとお見受けします。

  我ながら奇しくも『パトレイバー』と言うコトバが出てきてしまいましたが、
  オイサンの好きな『攻殻機動隊』の押井カントクが語ろうとする、
  デジタルの重さやかなしみといった内容についても、
  実に明るく、軽やかに、説明臭くなく語っている
  (かつそれを意識しないで楽しめる)作品でもありますね。
  暴走AIがIDを集め始めた時に、オイサンは、
  『攻殻機動隊』で人形遣いが口にした
  「フロッピーディスク……。
   人間は、データをデジタル化して持ち出せるようになったとき、
   その意味をもっと深く考えるべきだった」
  という台詞を思い出していました。

ちょっとこれは、BDで買って持っておくのも十分にアリ。
マそんな感じでヒトツ。


オイサンでした。



 

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コメント

■akitaさん
毎度、ようこそのお越しで。
Twitterではお世話になっております。
 
お恥ずかしい限りで、
こちとら批評の勉強などもしたわけでもなく、思い入れだけでやってますんで、
あまりマに受けずに面白がっていって下さい。
間抜けなところがあったら教えて下さいね。
 
 
 
■通りすがりさん
はじめまして、ようこそのお越しで。
まあ、それはしようのないことですねえ。
たまたまのご縁で、このタイミングで初見になったもんで、
まあTV放映が終わってから感想上げようかなーというアタマもあったんですけど、
それも気持ちの悪い話なので
こっちの都合でのっけてしまいました。
 
見直してというか、最近初めて見たそのままの感想で書いてるもので。
でもあんまりしっかり画面は見られていないもんで、
あんまり詳しくは書けてないはずなんですけどね。
そこはご愛敬。
 
マあんまり難しく考えずに、
楽しんでいってもらえたら幸いです。
しかしその口ぶりだと、あまりお好きじゃないんですかね、『サマーウォーズ』。
 
これに懲りずに、また遊びにいらして下さいまし。
 

投稿: オイサン | 2012年7月21日 (土) 22時04分

最近感想を読んでもステマ?としか思えなくなりました。
放映一週間前にいまさら絶賛とかね。詳しすぎて見直して書いてるっぽいしね。

投稿: 通りすがり | 2012年7月21日 (土) 13時40分

サマーウォーズ、TVでまた放送するみたいですな。
あれをはじめて見たとき僕も世界観に引き込まれました。
毎回オイサンの発言にうなずきながら見入っています。

投稿: akita | 2012年7月15日 (日) 00時35分

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