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2012年5月29日 (火)

■焦り、鮮やかに疾走す。 -更新第775回-

ある雨の朝。

今日は最寄まで電車で行けばよかったか、と若干後悔しつつ
いつものようにシゴトバまでの数駅を歩いていると、
正面から、
さながら二宮金次郎さんのごとく背中に重そうなリュックを背負い、
傘も差さず、
雨に打たれながら、
……PSPで動画を見ながら歩いてくる小太りの御仁とすれ違ったのだが。



……。



日本人は勤勉だなあ(しみじみ)。



まあ、ほんの小雨ではあったんだけどそう、
いう問題でもないような気がいたします。
そうまでして、何を見ていたんだろうか。
萌えアニメだろうか。
萌えアニメを。
勤勉に見る。(ドヤ顔
日本人は不思議だな。

しかし、勤勉って、果たして、まるっと「美徳」なんですかね。
単純に悪いことではもちろんないけども、
手放しで善の極みのように評価されることなのかという疑問もある。

「都合のいい」ことではあると思うけども、
「美し」かったり、「徳」の高まることかと言われたら、
必ずしもそうではないと思うんです。
「得」には繋がるかもしれないけども。

「良く生きる」ことと「良く暮らす」ということは別だし、
また「生き抜くこと」ともまた別なわけです。
それは価値観とかではなく、
このブンカ的なセンシンコクでは、人が生きるうえでの評価軸がアホみたいにあるってことです。

  基本的に「生き抜くこと」が何よりも優先されるはずで、
  恐らくはそれを「合理」と呼ぶのでしょうけれども、
  美しさや徳のために、生き抜くことが犠牲にされる場合も、わが国ではままありますね。
  ウソカマコトカ。ある・あったとされています。ホントかなあ。

その人が楽しく、己の在るように望むように求めるように生きようとした結果、
他者から見て勤勉に映ったのであれば、
全部をひっくるめてそれは「美徳」であると思いますけどね。



■『これはゾンビですか? オブ ザ デッド』



オモロイオモロイと言いながらリアルタイムに追いつくような見方はしてなくて
今現在三週分くらい積んでるんだけども。

この間見た回……多分3話か4話だと思う、
ハルナにプラモ壊されて傷心のバユムがメイドファミレスに行く回が
アホみたいに面白かった……というか、ツボだったので感想を書いておこう。

この回は……見ていて嬉しかった。
何回も見てしまった。

話のあらすじとしては、
プラモをハルナに壊されてしまって意気消沈のバユムが、
それを慰めようとした(という名目でバユムをダシにしただけの)織戸に
メイドファミレスに連れて行かれ、
いつものヒロイン面子とツンデレ勝負(なにそれ)をさせられる、
というもの。

  どうだい、このいかにもラノベ的な展開。
  ワイルドだろぅ?

  あ、ちなみにこの回でオイサンが感じた面白さは
   ぶっ飛んだ方面:9 繊細方面:1
  くらいです。
  一応、両方の要素を持ってる辺りが飽きさせず呆れさせない、
  この作品のバランス感覚のよさだと思いますね。
  ハイ。

そう、基本はネタのぶっ飛び方が面白かった。
冒頭の「宗助ー!!」に始まり、
セラの愛に溢れた罵りが心地いいとか。
「ポイントカードクソ虫」とか
「アルティメット気持ち悪い」とか言われたいわあ。

「帰れ!ご主人様!!」とか「クソダーリン」とかっていう、
全然意味のわからない、そもそもの意味を引き裂かれて精神分裂したような言葉が、
作中の常識人に「意味が分からない」と認識された上で
ぽんぽんやり取りされるのがタマランツボなわけです。
この辺は、オイサンの「安永航一郎的面白さのセンサー」にビシビシひっかかる。
常におかしくて、腹筋と横隔膜がずーっと小刻みに痙攣した状態になってて
すごく気持ちいい。
いやあまいった。

トモノリとか主人公とか、要所要所に常識人が置かれていて
常識人のフリをした(全然フリが出来てないけど)異常人が9割で、
そこにキホン常識人の人たちがコッソリ突っ込みを入れるのが面白い。

  「か、帰れ、ご主人様」
  「そのキメ台詞、使いにくそうだな」
  「全然意味わかんないけど、絶対命令だからな」  
  「涙ぐましいなあ」

みたいな落ち着いたやり取りが、
常にテンション高い人たちのやり取りの合間に挿入されて、
見てる側がウンウンうなずく隙が与えられるのがいいのだろうか。

近年、そういう構造の作品が多い気がするのは気のせいでしょうかね。
破天荒な主人公ではなく、破天荒な周辺の人物に、
常識人の主人公が突っ込む、という。


 ▼お話の概観

ファミレスで、ツンデレ勝負の最中に、
本来そこにいるハズのないハルナが、「バイトだ!」と対戦相手として登場したときは、
「どうせいつもの面子は全員出てくるんだろうな」
と思っていたのでただのご都合展開としか思えていなかったんだけど、
ラストに、冒頭で壊したプラモを弁償するためのバイトだったということが明かされて、
そのセンに気付けなかった自分の不甲斐なさを悔いるとともに
さりげなくカムフラージュして見せた、そのシナリオ展開にすごく感心した。
色々逆手に取られた感じ。
一本取られた。くそう。
そこからさらにハルナがお詫びに買ってきたプラモが全然パチモンだというオチもついて、

 ユ ー「プラモはプラモ」
 ハルナ「だーよなー!」

と、サバッと笑うハルナが、なんかもうアホみたいに可愛い。
バユムじゃなくてユーの立場にいたら、
ハルナの存在は一緒にいてすごく楽しいだろうなあと思ったりする。
「お前、冒頭ではあんなにプラモ詳しかったじゃんかよw
 パチモンつかむなよww」
というツッコミはあるけど。

起承転結が入れ子構造になっており、
本筋?部分(プラモ壊された → 慰労でファミレス → ハルナ弁償)に「転」の成分がなくて、
代わりにサブエピソードとしてファミレスでのツンデレ勝負がはいりこみ、
そのサブエピソードの中では起承転結がしっかりしているという、

 {起 → 承 → (起 → 承 → 転 → 結) → 結}

みたいな形になってて、
あーこれは面白いなと思って見てた。

  ちなみにその2話あとの回のサブタイ
  「ちゃうねん、勝てててん」も、
  もうそれだけでアホみたいにツボにはまった。

デこれがあんまり面白かったもんで、原作をとりあえず一冊だけ買ってみた。
……三巻。

  なんで一巻じゃないのよ、と思われるかもですが、
  いいのよ、別に話のスジはそれほど気にしないんだから。
  用語とか展開とかが繋がらなくても
  「そういうものがあるのね」とか、
  「そういう人がいたのね」ってレベルで分かれば問題ないんです。
  そこに導くまでの日本語の使い方や導き方が鮮やかであってくれれば
  それでいいんだから。

デ読んでみたら……まあそこそこ面白く読めるんだけども、
けど、
これ、
読み方が、
どうしても「アニメで見てるから読みやすい」んだなあと思う。
それぞれのキャラのセリフの抑揚とか息づかいとかが、
完全にアニメのままで読めてしまうんだもの。
先に原作読んでたら、多分つまんないというか、情景が浮かんでこないな。
どのセリフを誰が言ってるのか、識別するのにもちょっと時間がかかるレベルだと思う。
ムリだ。



■『氷菓』OP・優しさの理由



『氷菓』、本編は相変わらずの調子で、面白くも面白くなくも感じない、
けども画や演出が素敵なのでとりあえず見てしまうという状態が続いています。

  どうにも、あのお友達の男が鼻につくんだけども。

それはそうと、OPの「優しさの理由」が、
ある日突然心に響き始めたので感想をまとめておこうと思う。

▼『氷菓』OP 優しさの理由


何が引っかかったかというと、
もうタイトルそのまま「優しさの理由」という言葉と、サビの部分。


  ♪ 光も影もまだ遠くて それでも僕らは優しさの理由が知りたい


この「優しさの理由」という言葉の指すところが
「あなたが私に優しくしてくれる、その理由が知りたい」
なのか、
「人の心になぜ優しさなんてものが備わっているのか、その理由が知りたい」
なのかは分からないのだけれども、多分両方で、
割合としては前者3、後者7くらいだと思っている。

 自分にとって、世界にとって、
 何が良くて(光であって)何が悪いのか(影なのか)、
 つまり自分はこれからどんな風に生きていけばいいのか、
 そんな大きな枠でのこともまだ分かっていないのに
 優しさなんていう、より曖昧で、そのくせ自分を強く惑わせるものの
 出所と原因を知りたい

ってことなのだろう……とたどり着いたとき、ものすごく、
この歌が魅力的な物になりました。
焦り……のようなものを、これだけ瑞々しく、他の言葉で囲って影を落とさせたのは
あんま見たことがないなあ、と。

  もちろん、全体的な透明感や疾走感も大好きです。
  氷細工が溶け落ちる前に全速力で色を塗っていくような迅さと繊細さが素敵。

サテ果たしてその焦り背伸びのような物が、本編につながる物なのかどうか?
本編の主人公・奉太郎のもどかしじれったい、
不遜で諦観に彩られた態度がここにつながる物なのかどうか……。

奉太郎が拗ねてるとかポーズを取ってるとか、
若さの持つ大切な何かに気付いていないからああなんだとか、言いたいわけではないんです。
多分彼自身は、今現在、本気で考えた結果ああ思っているからああなのだろうし、
若さの持つバラ色性にも当然気付いているけれども、
その上で選んでああなのでしょう。おそらくは。

彼が変わる必要があると思わないし、
バラ色であることがばかりが素晴らしいとも、オイサンも思わない。
奉太郎は根っからああいうキャラクターなのだと思うけども、
あの歌がそういう「フツーのこと・焦り」で、敢えてあの作品の冒頭を飾ることで、
奉太郎にもそういう焦りがあるんじゃないか、
焦った上でのああいう人物なんじゃないかという「疑い」が生まれて、
静止していたはずの天秤に、かすかな揺らぎが加わったように……オイサンには見えました。

それで、もうちょっと先を見てみようかと。
そんな気にさせてくれた歌でした。

作詞は……こだまさおりさん。
聞き覚えあんなーと思ったら、なんのことはない。
『Aチャンネル』のOP「Morning Arch」、
あとオイサンが好きだったのでは『みなみけ』のキャラソン
「まかせてティーチャー」の作詞をされてた方でした。

なるほどなー。

この「優しさの理由」は、
本当に歌いたい中心にある言葉を直接的に持ち出すことは避け、
カタヌキのあとの穴の空いた枠みたいに、
その言葉の周囲を巡る状況を描くことで本来のテーマとなる言葉を浮き彫りにして見せる、
というような形を取っていて、それは「MorningArch」も同じ。
「まかせてティーチャー」は……

  ♪ 朗らかすぎるDNA

という言葉一発にやられただけですけどもw
なにごとも、ほどほどにしないと命に関わりますね。

今のところ、奉太郎自身の態度になんの理由も説明されていないので、
あの紫の目のお嬢さんにいくら絡まれたところで彼には変わる理由がありませんが、
歌詞冒頭で歌われているような「照れくささの裏返し」であるとか、
OPカットで象徴的な、雨上がりの空に背を向ける奉太郎のカットなど、
やはり暗示的な部分は多々あります。

……個人的には、彼にはそんな余計なドラマは背負わせず、
「ああだからああなんだ」というわかりやすさを持ち続けてもらいたいと思います。
彼があのまま……「まっすぐに背を向ける」姿勢のまま、
彼自身のバラ色を全うしてくれることを見届けたいと思うのでした。



■『戦国コレクション』OP 目を閉じてギュッしよ



もういっちょ歌の話。
『戦国コレクション』OP、「目を閉じてギュッしよ」。
……なんなんでしょうね、この歌は。

▼『戦国コレクション』OP 目を閉じてギュッしよ



なぜこの歌を、このヘンテコな萌えアニメの頭に流そうと思ったのか……
本編の需要と、この歌の持つ雰囲気がマッチするという勝算が
作り手にあったのでしょうか。

……と書くと、
「合ってねえ」「おかしい」という意見をオイサンが持ってると思われそうですが、
イヤもう全然そんなことはなくて、
びっくりするくらい作品全体にはなじんでると思うんです。
それがすごいなと。

ただこの歌って、明らかに女の子側の視点、
しかもかなり強気な、というか、
芯は弱くとも色々「ツッパッて」生きてる女の子の気持ちで書かれてる詞で、
作品全体を代表する歌としてはかなり合う。

けれども作品のターゲット層がそういう女の子を好きなのか、
それを代弁する歌を彼らが買うのかと問われたら
……売れないんじゃないの? と思ってしまったのですが。
そーでもないんかね。

それはつまり、モーニング娘とかアマザキハユミさんの歌の購買層と、
萌え画カード目当てでソーシャルゲームに何万円もブッ込む人たちの属する輪っかが
どのくらい重なんの? って話で、
あれ? そう考えると結構重なる気がしてきましたよ。

魂が乙女のオイサンにはこの歌は聴いててなかなかツーカイでして、
女の子が若さ・カワイサだけを武器にわがままを貫き通す画が、
見ていて非常にユカイ、ユカイ。
『餓狼伝』で松尾象山が
「強さとはワガママを押し通す力だ」
って言ってましたけど、それと同じです。

聴いていてなかなか気持ちのいいお歌です。
ただ、おかしなエフェクトが色々不真面目に効き過ぎていて、
そこはすごくもったいない。
ふつーにうたっただけのバージョンも一緒に収録されててくれると嬉しかった。


マそんな感じで一つ。

先日ジョギングしておりましたら、
なかなか立派な毛並みのダルメシアンに膝裏を気に入られたオイサンでした。

いや、散歩中にリードをはずしてもらったんでしょう、
飼い主さんの指差すコースを外れてオイサンの方へまっしぐらに向かってきたかと思ったら
背後を取られて膝裏に鼻先をつっこんでフンガフンガやられてしまいましてな。
ああ、橘さんの言ってたのはこれか! と
思いがけず体験してしまったのでした。

なんやっちゅうねん。
あ、飼い主はおジーサンで美少女じゃなかった。

ちっ。



 

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