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2012年1月23日 (月)

■銀幕ティータイム~映画『けいおん!』感想その二・ネタバレあり編 -更新第754回-

はいどうも。
今日も何かと文句の多いオイサンです。

前回に引き続き、先週見てきた映画『けいおん!』の感想、
今回は本編の内容にもちょっとふれたネタバレあり方面でお話したいと思います。

ナカミ知りたくない方は、まあその様になさって下さい。
ネタバレなしのざっくり感想の第一回はこちら。


  ■銀幕ティータイム~映画『けいおん!』感想その一・ネタバレナシ編
  http://ikas2nd.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/-752--68f9.html



■『映画 けいおん!』 感想 ネタバレあり編



 ▼あずにゃんに贈る歌

先ずはじめに、ストーリー展開をまとめつつ、
上で書いた「盛り込み過ぎ」の話から行こうかしら。

あの、エピソード四つ、あると思うんですね。
あずにゃんを喜ばせるぞ & ロンドンに行くぞ!編と、
ロンドンに来たぞ!編と、
教室ライブ!と、
あずにゃんに贈る歌!と。

全体を貫くエピソードの軸は、
「卒業する唯たち四人が、残されるあずにゃんに何か贈ろう!」
という気持ちであって、
あずにゃんに曲を贈ることに決まり、
それとはまた平行して走っていた卒業旅行の流れで一緒にロンドンに向かい、
そこで何か曲のヒントを拾ったりしようと(マそれもうすぼんやりとですけど)し、
ヒントを得て帰ってくる、そして曲を完成させる。

……という、ものなんですけども。

あの、教室でライブをするエピソードの、そのあずにゃんへの気持ちという面での位置づけが、
オイサンには読みとれませんでした。
そこ、要らなかったんじゃないの? と、思ってしまった。
何か見落としているのかもしれませんけど。
ただ、ロンドンから帰って来てから曲を完成させるために、
何かワンクッション、必要だったのはわかるので、
もっと違う、さりげないエピソードでも良かった。

  あそこで敢えて、放課後ティータイムとして、
  「放課後ティータイム ⇔ 他者」との場面を作らなくともよくて、
  もうこの映画の中では、全編
  「四人 ⇔ あずにゃん」の、五人っきりの世界で良かったと、思うんです。
  あそこであずにゃんと唯が、何かを送り合い、受け取りあった描写もあるんですが、
  それがなんだったのか解らなかった。
  上で書いた「絞って見せる」というのはこのこと。

イヤ、他の人間を出さないで良いという意味ではないですよ。
和ちゃんが出ないとオイサン困りますからね(どうでもいい)。
見せる関係性を、そこに絞ってしまえばよかった、という話です。
あそこでちょっと、脱線というか、間延びした感があった。
卒業ということを改めて意識させようという意図だったのかもしれませんが、
それはもう……良かったんじゃないかなあ。

起・承・転・結だったのかもしれませんが、
ここは敢えて序・破・急で良かったんじゃないかと。


 ▼緊張感をなくす物語

あと勉強になったなーと思うのが、
すごく、「緊張感を殺すことに心を砕いてるなあ」というのがすごくよく見えたことです。

このお話は、
「あずにゃんに歌を贈るためにそれを隠しつつ懸命な唯たち四人 vs あずにゃん」
の間で緊張関係の生ずるお話なんですけども。

見る側の視点て、基本あずにゃんにあると思うんですね。
デ主人公は唯だけど、あずにゃんの物語、みたいになっている。
見る人は、あずにゃんの目を借りて、唯たちを見ている気がする。

だったら唯たちが何を考えているかは見せないで、
その謎は謎のまま引っ張るのが、一番緊張を高めるやり方だと思うんですが、
それをもう最初から全部見せてしまって、そういうのはナシ、と
作り手がすっかり開いているのが、ああ、そういうことなんだな、
と感心させられました。

  マそうしないと作れない話でもあるんですが。

最低限に緊張をおさえつつ、きちんと流れに乗せて最後まで連れて行く、
というのが、もとが四コマ作品だからでもあるんでしょうね、
お作法になっているのだと思いました。


 ▼細やかさ

様々に細やかな組み立てで、受け手が意識するとせざるとに関わらず、
全てを盛り上げているというのは、上でも書いた通り。
上で書いた
「ある二人が、あることに対して真逆の反応をした」
の話の詳細。

ロンドンの回転寿司屋でイキナリ演奏することになったとき、
唯とムギは真っ先に「演奏したいよ、なんとかなるよ」と言ったのだけども、
ラスト付近で、イザ、あずにゃんに贈る歌を演奏しようという段になって、
「今までで一番、すっごい緊張する!」
って最初に言い出したのも、唯とムギだった、っていう……
あー、あずにゃん大事なのね、
ロンドンとか人前とか、そんなことより全然!
というのがそれだけでもう。
グワッと。
くるワケです。

どうでもいいような細かい話だと、
空港で感じるいろんな物事のデカさとか。
飛行機を見て、旅慣れない人間がテンションを上げる感じとか。
離陸のショックもそうだし、
国際線で、雲の上で夜を明かす、雲海に上る朝日の美しさもそう。
着陸近いときの、中途半端な高さからみる、街並みに感じる高ぶりもそう。
この辺は、良く飛行機に乗って旅行する人ならきっとわかると思います。

慣れてくると少しずつ失われていくけど、
あのときめきって決してゼロにはならないと思います。
遊びの旅行じゃなく、オシゴトで飛行機乗りまくってる人は
なんも感じなくなるかもだけど。

オイサンも海外経験は一回しかないですが、
赤く染まる雲の地平線を見て、あずにゃんを起こしてしまいたくなる唯の気持ちは
すっごく良く分かった。
まあ、話のスジには関係ないトコなんですけど。

旅ごころをかきたてるものとして、そのときめきがすごくよく伝わった上に
5人がとても可愛かった、良シーンだったと思います。
案外落ち着いてた律っちゃんが、すごく印象的だったなあ。
機内で携帯いじってたのは、誰に何を送ってたんだろう?
と思うと、ちょっと胸が痛みます。
恋?

……って、今気付いたけど、
機内で携帯いじってたらアカンやん。
さすが律っちゃん……。



 ▼あずにゃんは天使だった

個人的な気持ち。
あずにゃんを天使にしてしまって、四人は良かったのかな、と思うのです。
それはすっごい大事にしてるという気持ちの表れであると同時に、
やっぱりあずにゃんを一人、外側に置いてしまう行為でもあるとオイサンには感じられて、
そこを「そうじゃないんだよ」と納得させてもらえるだけの要素がなかった。

天使という言葉を持ち出したときに、
律っちゃんだけが「ちょっと恥ずかしくないか?」と異を唱えたんだけども、
その「恥ずかしさ」という部分を、
三人はもう少し良く考えても良かったかなあ、
ちょっと自分たちの気持ちだけで盛り上がってしまったんじゃないかなあと、
感じました。

おそらくあずにゃんはそのことを気に病んだりはせず
大事に思ってくれている気持ちだけを汲み取って受け取る、
それだけの関係があの四人と一人の間には出来ていると思うけども、
あずにゃんとして見ていたオイサンには、一抹の寂しさが、残ってしまいました。

あとはやっぱり、もうね。
TVで卒業式のエピソード見たあとなので。

どんな話だったのかあまりよく憶えてはいないのですけど、
唯があずにゃんに何か手渡して
「私たちみたいだね」
という台詞がすごく心に残っていて。
それを思うと、今更そこにエピソードを追加するのは、
ちょっとおなか一杯過ぎるなあ、という感じはいたします。

この件に関しては、もうそっとしておいても良かったんじゃないかなあ。


 ▼みんなの見せ場

みんなそれぞれ見せ場はあったんだけど、
澪とムギファンには、今一つ不完全燃焼だったのではなかろうか、と思われる。
この二人はメインの5人のうちではワリと不遇だったような。
もしかしたら、憂ちゃんの方が印象に残ったかも知れない。
オイサンごひいきの和ちゃんも無理なく出演してたし、満足です。

そんな中でも存在感出してたのは律っちゃんですね。
いやあ、こういう舞台になると律っちゃんは強い。
大胆さ、思い切りが必要で、かつ周りの意見をまとめないといけないというときに、
ものすごい手腕を、さりげなく発揮している。
大事な決断を、誰に無理をさせることなく、スパッと決めててかっこいい。

寿司屋で演奏するかどうかも、
イベントに参加するかどうかも、
サワちゃんの無茶な衣装への却下出しも、
空気を読んだり読まなかったり、周りも、自分も、殺すことなく前に進んでいく。
すごいなあ。生まれながらのリーダー肌。
すごい株を上げたと思います。無双に近い。

  「劇場版ではらんぼうものがイイ奴になる」

という、元祖「THE・らんぼうもの」の剛田さんが敷いたレールの上を
見事に走ってらっしゃいます。


  おーれーは律っちゃーん ガーキ大将ー♪
     ( ↑ ハマり過ぎだw)


ムギはスタンスとして唯に近いところにいるので、
今回どセンターだった唯が目立つほど一緒に目立って救われてましたが、
「一番何もしてない大賞」は澪っぺですね。
一番無邪気だったんじゃないかw?
基本のっかりキャラでした。マスコット。
マいいけどさ。
作詞のいいところくらいは、彼女の見せ場に上げて欲しかったと思います。
でも、本来の彼女の居場所はこのくらいの日向なのかもしれませんな。

もうちょっと律がバカで的を外さないと、
澪のすることがなくなる、ということが証明された感じ。


 ▼音楽について

映画が始まって、一番最初にうわっと思ったのは、
回転寿司屋でのライブシーンでした。
うわ、っというのは、なんかすごいことになった、という驚きで……
「放課後ティータイムがロックの国(というオイサンの認識)で演奏してる!」
という驚きと、
「怒られるんじゃないか、拍手もらえんのか」
というハラハラ感。

ガイジンさん相手に演奏するということは、
彼女らの土俵である(とオイサンは思っている)歌詞や世界観の面白さでウケるということは
ほぼ期待できないわけで、サウンドとメロディーで楽しんでもらうことになる、
果たして放課後ティータイムって、そこで勝負の出来るバンドなのかしら?
って、オイサンはその辺全然評価できる人じゃないので
すごくドキドキしました。

マその分、すんなり受け入れられていたのが
ちょっとうそ臭くてご都合っぽいなあと思ってもしまったのですが。
そのハラハラ感そのものが、『けいおん!』っぽくないといえば
そうだったかもしれませんね。

本当に音楽が好きな人たちが、一体何を持って共鳴するのかということを、
オイサンは多分分かってないので、
アレはあれで本当のことなのかもしれないな、とも思いますが。


 ▼Japan Pop カルチャー

あともういっこ、『けいおん!』っぽくないついでに。
ロンドン編のシメとして、
けいおん部の面々が日本のポップカルチャーを集めたイベントの舞台で
演奏することになるんですけども。

「日本にいる限り、ロックにしろポップスにしろ日本の歌は邦楽で、
 外国の音楽は洋楽なのだけど、
 海外に出た場合、日本の音楽はなんと呼ばれるんだろうか」
と、ふと考えた。

洋楽的な良い方をすると「和楽(Japanese Music)」とかになるのか?
と思ったんだけど、
でも、「洋楽」が日本で「洋楽」足りえているのは
洋楽がルーツからして日本の外にあるものだからであって、
外国人が三味線を弾いたところでそれは「洋楽」ではない。
となると、今現在日本で主流のJpop的なものやロックなんかは
ルーツが日本になく、日本人がそれをいくら頑張ったところで、
恐らく「和楽」とは呼ばれまい。
「和楽」と呼ばれるものがあるとすればそれは
お囃子や雅楽のようなものであるはずではなかろうか。

果たして、所詮は「真似に過ぎない」日本人のロックが
(けいおん部のアレがロックなのかどうかはオイサンには分かりませんけど)、
海外で一体どれほど響きうるものだろうか、
それが主流となってもてはやされている日本の文化感覚って、
ホント大丈夫なのかなー……
などと。
ちょっと、ほの暗い気持ちに……なってしまったのでした。
『けいおん!』見ながら。

  どうだい。
  器用だろ? このオッサン。
  なかなかいないと思うぜ、『けいおん!』見ながら暗くなれる人。

まあ、そこそこ長い時間、
日本は日本で日本のロックを温めてきたわけで、
本場のものとは違うロックのカルチャーが育ってはいるのだろうから、
そこを面白がってはもらえるんだろうな、とは思うのだけど。
「和」を冠するほどのスピリットは宿っているんだろうか?
マそれは別に、『けいおん!』見ながら考えることじゃないんだけど。

せっかく感じたことなので、書いてみた。
しかしホント、『けいおん!』見ながら感じることじゃないよな。
へんなひと。
でもそこが好きよ(誰だ)。



■まとめ



マそんな感じで。
『けいおん!』本体に関係あることからなさそうなことまで、
映画を見ながら感じたこと、ざらざらと。
なんにせよ、最初に言ったことに尽きると思いますよ。

  『けいおん!』は『けいおん!!』らしく、
  テレビと同じくらい面白かった。

それが忌憚のないところです。
やっぱりこう……「良くも悪くも」って言葉がついて回ってしまうんですけど、
それでも、良い:悪い=9:1くらいですからね。
もっとこう、映画映画しつついつもの体温を保てれば、
伝説になれたんじゃないかと思います。
そこまで突き抜けたパワーは感じなかった。
ああ、ああ。
おんなじおんなじ。

……みたいな。
安心しつつ、拍子抜けしつつ。
そんな感じ。

でも、なんていうかね、
部屋の外、自分の世界の外で『けいおん!』の力の大きさに触れることが出来たのは、
とても大きな収穫でした。
話に聞いているとはいえ、
「中高生に男女問わず人気絶大、小学生も!」
っていうところは、そーなんだーとは思いつつ、
肌で信じることはなかなか出来ませんでしたからね。
今回劇場でそれをリアルに感じて、
ああ本当だったんだ、すげえなって思いました。

『エヴァ』とは全然違う、世界への染み渡り方をしてるんだなあ。

小中高女子が、それぞれ果たして何を『けいおん!』に求めているのかは
わからないんですけど。
昔のアイドルモノや魔法少女ものの延長を見るように見ているのかしら。
等身大のアイドルや、憧れられる友達として。

  ……マそんなこと言ったら、オイサンたちだって明確にすることは
  出来ないと思うんだけど。

というわけで、前後編合わせてえらく長くなりましたが、
オイサンの『映画 けいおん!』感想でした。

あと、パンフに描かれている唯たちのイラストはすごくかわいいので
個人的には必見だと思います。
特筆するほどの話ではないのかもしれませんけど、
グッズとかほとんど買わないオイサンは好きだった。


ほなまた。
オイサンでした。




 

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