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2011年6月13日 (月)

■宣言 -更新第683回-

 しかしまあ、ドリクラはpureだ。奇を衒わず、ド直球で、お客さんエエ子いてまっせと、面白いと思うもの、ウケの良さそうな分かりやすいところだけ。コッテコテのギットギトになるまで、削ぎ落とし煮詰めした……自ら望んだウケ狙いの気持ちをこそ、pureと呼ばずになんと呼ぶ。

 オイサンが今みたいな書き物をし始める頃の話だ。とある作家が聖なるものについて話していた。人間性の心奥に宿る、崇高な精神の話だ。文学とは、小説とはそれを書くものだと強く言い切っていた。眩しいと思った。彼は高い学府でその事を専門に学んでもいたし、彼の著作や言動からは勉学だけに依らない渋太さ図太さも感じた。本物だと思う。そういう根があるから、彼にはそれが書けるのだと思う。自分はどうだろう? 自分の書くものはどうだろう? 恥ずかしながらオイサンは、文学にも哲学にも精通していないどころか、勉強もしたことがない。歴史すら知らない。聖なるものという概念すら、彼の言葉で初めて知った。読書量も少ない、とてつもなく少ない。そしてこれまで何をして来ただろう。何を見聞きしてきただろう。アニメに、漫画に、ゲームに。それを恥じること、卑下することはない、絶対にない、天地神明に誓ってあり得ない、それは自分を育ててくれたもので、それが素晴らしいことは誰に否定されようと、自分の血肉に脈々と息づいている、それはまさしく自分の命そのものだ。命が尊くない筈はない。必ずしも崇高ではないかもしれないが。では漫画や、アニメや、ゲームはどうであろう。少なくとも歴史はない。総じて聖くもあるまい。考えてもみよう、スクール水着やパンツ丸出しの、おっぱいの大きさで品揃えの考えられた年頃以下の女の子が、ケモノ耳と尻尾を生やし、剥き身で空飛び、鉄砲や大太刀を振り回すようなお話のまかり通る世界が、まあそんな作品ばかりではないけれども、そんな作品にここで代表選手になってもらうのも誘導が過ぎるし、そこにしか描けない聖性もどこかにはあることだろうし、アニメや、漫画や、ゲームが聖にして崇高であると信じてやまない諸氏には申し訳ないと思うがしかし、まあ世間一般のイメージとしては間違っていないだろう、そんな世界が胸を張って聖いと言うのには、やはり若干の無理を感じる。そんな世界に育った自分の書くものに宿る何か、そこに価値はあるだろうかと考えた。勘違いしないで欲しい、聖くはない、気高くも崇高でもない、というだけのことだ。聖さ、崇高さというものの捉え方がまた一面的過ぎるがこれもまた世間一般の解釈に準ずるもの程度に考えてもらいたい、だから駄目だというコトには全くならない。何故なら世の大部分は俗だ。ほぼ全てが俗だ。世は俗によって動かされる。聖さ尊さは俗の一部にあって、光の当てようによって生まれ、落ちる影の形をそう呼ぶものだ。
 オイサンは考えた。自分はだらしなく、怠慢で、愚かで、弱虫だ。そんな自分の書き出す物に聖なるものが宿るはずもなく、到底手が及ばない……だろう、多分。ならば爪先からつむじまで、どっぷり浸かり込んだその俗で以て、自分の世界を書き著してやればいいのではないか。俗でいこう、俗でやろう。そこに息づく雑多な感情の隙間には、知性や聖さが少しずつでも滲み出すはずだ。聖さの瀧でなくて良い。石清水の様に、行こうじゃないか。それが世界の奔流であるだろう。
 今、オイサンの目の前には『ドリームクラブZERO』がある。ザマアミロというんだ。なんと俗だろう、なんとpureだろう。欲望の、よろこびの、生のエネルギーの導くままに、あまりに生き生きと一直線の光を放っている。いやちょっと待てと。おかしないかと。しかし彼らはそんな制止に耳を貸さない。この俗性、まっすぐな視線は、聖ではまだないかも知れないが、pureと呼ぶにふさわしい、と、オイサンは、馬鹿で浅薄なオイサンはすっかり騙されてしまったのだ。生きていくために嘘が必要だった彼女らの、強い言葉にすっかりたばかられてしまった。その穢れなさ故に「なんか」穢れてしまった、俗の生み出すエネルギー、彼女らではない、彼女らを生み出した者たち営みの果てに、やはりオイサンは聖を見る。力強き、生命の、生きるもの、生きようとするものの、眩しいほどの力の発露を、避けようもなく感じる。恐らく聖とはそう簡単単純なものではなく、馬鹿なオイサンがまた勝手な思い込みで考え違いをしているのであろう、そうならないようにとその概念について書き記された本の題名をきちんとメモし、しかし未だ取り寄せてさえいない。面目次第もない。概ね聖と無邪気を取り違えているであろう。しかしただ今は、自分に熱い涙を流させるこの一幅の絵巻に描かれた営みから、ひとつでも、この昏き目に光の源となる聖を見つけ出し、書き著さんことを誓い、ここに宣言するものである。
 
 
 --この文章は、休みの日までオシゴトで草臥れたオッサンが、
   ちょっと風邪気味のアタマで何かの腹いせに三十分くらいで書きました。
 
 

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