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2011年4月 3日 (日)

■嘆きの銚子・其の二 ~アニメ『アマガミSS』舞台探訪 -更新第655回-

さて、アニメ『アマガミSS』ロケハンの聖地・銚子を訪ねる旅レポート
「嘆きの銚子」、今回はその第二回です。

前回、花粉攻撃でよつ隊員が行動不能に陥るも、
ガストでどうにか体勢を立て直して駅前を制圧、
続いて七咲パーク(清川町第一公園)まで攻め落とした暁の四紳士。

次はいよいよ、銚子守りの要衝ポートタワー、
そして総本山・川口神社へと駒を進めます。

いけいけボクらの四紳士!!

  ※聖地を攻め落とすのは信者の仕事ではありません。
    皆さんははき違えないように。




■「アンタの良いところを101個言う。アンタは死ぬ」~銚子ポートタワー



ここまでのスポットは主に銚子の市街地、駅近くに集中しておりましたが、
ここからは、中心地を少し離れた海辺の町へ、
そして最終的には犬吠埼方面へと舞台を移します。
マ離れていると言っても4,5km。
おクルマならものの10分、歩いたって一時間程度のところです。

R0040168

テラジさんの駆るジェントル号の足取り軽く、
市街地を離れて海に近づくにつれ町並みはこぢんまりと複雑に、道幅も狭くなります。
起伏は豊かに、海辺の町の印象がますます強くなっていきます。

 ▼『アマガミ』に連なる舞台として

しかし……なんというか。
車窓に流れる風景はどこまでもひなびた田舎町、海の町です。
いや、バカにする意味ではなく、
オイサンは『アマガミ』にせよ『アマガミSS』にせよ、
舞台になる輝日東という町は、これよりはもう少し都会、サービス業の町、
人が中心の町という印象があったので、
こうまで「ド」海の町となってくるとかなり印象が異なります。

まあ、物語の世界が借りたのはあくまでも風景のシルエットだけで町そのものではなく、
これに町成分・オシャレ成分がつぎ足されたのが、
『アマガミSS』における輝日東という町なのでしょう。
ただ、劇中でも描写のあるような、
海の近いこと・あの風車が回っていることから町のリアリティを逆算するなら、
こういった海に根付いた産業や人々の匂いというものから逃れることは難しく、
勢い彼ら・彼女らも、こうした風土にそれなりに寄り添った
身体的・文化的な根を装備していると考えてしまいます。

そうした匂いを合算して彼女らの人物像を思い描いたとき、
やはりこれまで思い描いていた彼女らとは、
若干面差しの色合いが変わってしまうかなあ、と感じてしまうのでした。

あとは、ある程度の閉鎖性。
いかに絢辻さんや響ちゃん先輩が優秀であっても、
それが果たしてどんな尺度を基準にはかられたものなのか、
この小さな町の中での出来事でしかないのなら、
あの超人性は随分とケチくさいものになってしまう。
それを払拭するには、また別に具体的な記号を持ち出す必要が出てきてしまうなあと
思います。

今回銚子に来てみて、
いくらかのリアリティを獲得出来たことは大きな収穫でしたが、
彼ら・彼女らからそういうイメージを引きはがせなくなったことは、
一つのデメリットであったかなあと思っています。
聖地巡礼、気をつけないと、ちょっと危ない。
ヒロインたちのイメージに、小さなゆがみが乗る恐れが結構あるかも。

  しかし今回、そういう背景を考慮したとき、若干恩恵を浴したのは梅ちゃんですね。
  彼の実家、あずま寿司の寿司のランクが、オイサンの中で数段上がった感じです。
  こんだけ海に近けりゃ、美味しいに違いない。
  それは別に、この日の晩食べたお寿司が美味しかったから、というわけではなく。

……そんな、小難しいことも、物書きっぽく感じたりもしながら。
がたんこがたんこ、うねる道々の景色を眺めておりましたとさ。

 ▼クリスタルタワー

銚子ポートタワーは1727年建造。
時の藩主・銚子古稀麿が八代将軍吉宗に命ぜられ、
東方より侵攻してくるゼラバイアを監視するための望楼として建てられたのが
そのおこりと伝えられています。

Tower
お写真提供:おみかん隊長

全高57m。
総重量550t。
巨体がうなるぞ、空飛ぶぞ。

  ここまで読んでまだ「へーえ、そうだったんだ」と思っているあなたは
  今すぐにブラウザを閉じた方が身のためです。
  インターネッツには危険な情報もいっぱい!

ここは薫さんがらみのスポットです。
最終話でデートに行った場所ですね。

クルマを降りると、さっきの町中とは一線を画して潮の香りが強く鼻を衝きます。
風も強い。
ここも、もっと観光観光したオサレスポットを想像しておりましたが、
どちらかと言えばむしろ灯台に近い、実直で、ぶっきらぼうな建物でありました。

Tower2

もう少し、横浜のランドマークとか、
神戸あたりにありそうなレストランとか入ってそうな建物かと思ってましたけど……
そういうわけではなかったですね。
若い男女が肩とかを寄せ合い、
身とかをすり寄せ合った挙句にもっと他の部分をこすり合わせる、
その前手続きを踏むための場所ではなさそうです。

  イヤ別にその気があるならやったっていいけどさ。
  田舎の学生なんかどこだろうとおかまいなしらしいですからね。
  ソースはかつて田舎の学生だった職場の同期。

このタワーにもおみやげ物屋があり展望台がありで、
目的は紛れもなく観光・娯楽向けなんですけど。
なんでしょうね、この
「人を寄せ付けないというわけではないけれども、呼び寄せる気も決してない」
という、田舎の人付き合いのような、
開いてるから好きに上がってくんな、みたいな感じは。
何の目的で建てられたんだ。税金対策か?
建てるときに、中の企画とかは考えないものなのかしら。

  ……と思って調べて見ようと思ったら、オフィシャルページの他に
  「全日本タワー協議会」とか出てきてびびった。
  http://www.japantowers.jp/web/03_towermap/index_03.html
  ニッポン、なんでもあるな。
  アレか? ヒマなのか?

入場料は高校生以上350円、小人200円。
橘さんと薫も350円払ったんですねえ。
350円っていうのは、なんかリアルで良いね。

1Fはお土産ものコーナー。
謎のサバカレーやら海鮮系カワキ物やらが並びます。
Omiyage_2  R0040179_2
お写真提供:てらじさん

オイサンはすっかり忘れていましたが、ここの描写も劇中であったようですね。

  ……しかし、そんなことまで画にしてどうするつもりだったんだろう、制作陣は。
  銚子町おこしアニメならその理由も分かるのですが、
  そのカットが何かを象徴するわけでなかろうし、
  余分な画を入れる程、時間に余裕のあったようにも思えない。
  なんだか益々分からなくなってきたぞw

展望フロアの4Fまでは軌道エレベータで直通です。
いい眺め。普通に!
……以上。

イヤ、眺めは本当に良いです。

Tower3   

ごらん戴いて分かる通りこの日は大変に天気がよく、
昼間の眺望も素晴らしかったのですが、夕暮れ時も綺麗でしょうね。
ああ、夜景なんてのもまたいいでしょうなあと思ったら
開館時間が5時半まででしたくっそ! ポートタワーくっそ!

そして肝心の、劇中で描かれていた床がガラス張りになっているスペースは
残念ながらありません。
オイサンも是非、ウワサの
「相手の良いところを101個言えないと床がパカッと開いてまっさかさまゲーム」
 をやりたかったのに!
……え? そういうゲームじゃないの?

デ展望台、他に何があるかというと、
寂れたおした喫茶コーナーに、謎の反射神経ゲームや旗揚げゲーム、
メダルの自販機など昔懐かしい遊戯機器が目白押し。
時間の止まったような場所です。
それはなんかもう、全体的に。

まオイサンは好きですけどね。こういう場所。

眺めもいいし、ひと気はなくて静かだし。
本当にひと気は少なくて、オイサンら四人の他にはゴカゾク連れが一組、
老夫婦が一組、かろうじて若いメのカップルが一組。
大体そんな感じの人々が、入れ替わりで出たり入ったりという閑散具合。
オイサンら四人も、さして広くもない展望フロアをもう、
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐると何周も歩いて写真を撮るばかりで。
売店のおねーちゃんがあんまり暇そうだもんだからオイサン気の毒になっちゃって、
千葉名物の豆せんべいを一枚買い求めてしまいました。
50円ナリ。

……50円て。
これもまた……いい値段設定だよねえ。
しみじみしちゃうなあ。

それでも、たまのお客だと思えば売店のお姉さんも嬉しそうでしたしね。
愛想笑いかも知れませんけどもさ。
多分、これで多少コーヒーでもおいしくて家が近ければ、
オイサン普通に通い詰めるだろうなあ。

  ……そうだよねえ。
  別に目的が観光タワーじゃなくても、美味しいコーヒーの飲める場所として
  ご近所で賑わったって良いと思いますけどね。
  マ別途入場料がかかるのは致命的だけど。
  そこはホレ、市民・町民は無料とか。
  どうですよ銚子さん?

 ▼豆せんべいの恋

ですケドもね。

なんていうか、お互いこの町で育って、この町で成立したカップルであれば、
デートでこの場所に来て、350円払って展望台まで上がってきて、
二人で50円のおせんべいを買ってかじる、っていうのは、
すっごくリアルで、すっごくアリな愛の深め方だなあと……オイサンは思うです。
寧ろそれがオイサンの大好物、求める恋愛劇の姿であるように思います。

ゲーム本編『アマガミ』にそういう影を感じることは、正直、一切ありませんでしたけど
(そもそも地場性というものがなかったですからね)、
『アマガミSS』では、もしかしてそれをやりたかったのかなあ。
だとすればもっと分かりやすく、もっと徹底的に、そこをやってくれたら、
オイサンの中で『アマガミSS』の評価はもっとキラキラと輝き、
もっと高く上がっていったことでしょう。
そう、このポートタワーのように。
うまいこと言ったつもりか!

 ▼銚子ちゅうとはんぱ博物館~Battle of Omikan

さてそれではここいらで、
先ほどご紹介した昭和の生き証人たちを軽くご紹介申し上げましょう。

Medal 30t Cf
黄昏のメダル販売機。                30rest                キャプテンフラッグ。
お写真提供は左から、テラジさん・よつさんx2。


そんな中、ゲーマー魂が騒いだのか、
謎の反射神経ゲームに猛然と、風を巻いて挑みかかるおみかん隊長。

実はおみかん隊長こう見えて、
某・遊びをクリエイトする会社の剣戟格闘ゲームでは
全国レベルの腕前をお持ちです。
伊達に隊長名乗ってません。
怒らせるとまっぷたつにされます。
恐怖政治です。
しかしFPSはあんまりうまくないです( ← ウマいヘタよく分からないで言っている)。

  ▼おみかん隊長のFPS配信『あんまりうまくないですね!』
  http://www.ustream.tv/channel/nor-kankitsukei-s-show
  おみかん隊長のこころもとない銃捌きが見られるのは
  「あんまりうまくないですね!」だけ!
  たまにはキャリバーも配信して、カッコいいとこを見せても良いんじゃないだろうか。

  ……いや、ご本人の弁をマに受けて適当に言ってますからね?
  FPSが本当にどのくらいの腕前かは正直オイサンには分かりません。

サテこの反射神経ゲーム、ルールは至ってシンプル。

R0040187

パネルに描かれた数人の原始人(サウスパークとギャートルズのあいの子風)の目が
ボタンになっていてあるタイミングでバラバラに光るので、
光ったものを押していくという……
つまりは「原始人の目ツブしゲーム」です。

  ……なぜワザワザ、こんな残虐なモチーフにしてしまったのか……。
  このタワーが建てられるときに奴隷として働かされ死んでいった、
  千葉の先住民族たちの悲しい歴史
  忘れないようにするためでしょうか(オイサンの想像です)。
  この銚子ポートタワーは、千葉の奴隷解放のシンボルとしt(以下完全に怒られるので割愛)。
  昔のゲーム開発者の考えることは本当に分かりません。

さて、ゲームスタート。
原住民にどんな恨みがあるのか、信じられない指さばきで
次々と原始人から視力を奪っていくおみかん隊長ですが、
最終的にはあまり芳しくない結果に終わってしまってちょっと不満ゲ。
オイサンの見たところ、最後まで光らない目が一個ありました。
アレ多分、壊れてますね。

そうして、隊長が一人原住民を相手に奮闘している頃、
隊員はみな思い思いに、大好きな高いところを堪能したようです。

あ、ちなみにテラジさんは高いトコ駄目なのだそうです。
ソースは本人。
なんですか、その「僕が一番橘さんに近いんだ!」的アピールは。
ずるいぞ。
ワリと平気っぽく見えていたのであまり意識しませんでしたが、
思い返してみると確かに、展望フロアにいる間のテラジさんは
ちょっぴり無口だったような気がします。
よく頑張りなさった。
でも運転手さんがそれでへばってしまったら恐ろしいので、あまり無理をしないで下さいw
よつさんは……高いトコがダメだと、自分の身長で失神してしまうところですね。

そんなこんなで。
テラジさんに若干のダメージを残しながらも、我らが暁の四紳士、
ポートタワーの制圧にも見事に成功。
1Fのおみやげ物屋コーナーで戦利品まで入手して意気揚々と引き上げて行ったのでした。

  ちなみに、これが隊長が購入した謎のペンギンリュック。
  Penguin
  ……この人はホント謎だ。惚れてまうやろー。
  しかしこのペンギンさんも、のちのち目をツブされ舌を焼かれるのかと思うと
  気の毒でなりません。達者で暮らせよ。(※)

   ※そんな事実はありません。隊長さんは裏表のない素敵な3X歳です。



■はじまりの終わる場所~川口神社「スタート地点よ」



さて、この度の『アマガミSS』舞台探訪の旅。
企画当初から、メインプランナーのテラジさんが
一貫してコダワり続けておられたコトが一つだけ、ありました。

  「ここ! ここへは、絶対夕暮れ時に行くのがいいと思うんですのよ!」

ウム。
オイサンもそれには賛成だ。

タワーを攻略し終えて我々が出てきたとき、時刻は16時30分を回ろうとしていました。
ここは本州イーストエンドに近い場所、日の落ちるのも余所よりか早い。
太平洋の輪郭線から滲み出しつつある濃紺に、否が応にもハートは高鳴ります。

それでは参りましょう、その場所へ。
気忙しいボクらの女神が、黄昏に飲み込まれてしまうその前に!!

絢辻さーん!! 待ってて、今行くからねー!!

 ▼川口神社

その場所とは川口神社。

R0040285

絢辻さん編にて、絢辻さんが自らの猫かぶりを暴露し、
「あなたをあたしのものにします!」宣言をやり、手帳を焼き、
契約のキスまでやったあの神社のモデルとなったであろう場所です。

  ゲーム本編では、「あなたを(ry」と契約のキスはここじゃないんですけどね。

ここまでのスポットは、どれもワリカシ分かり易い場所にあったのですが、
この神社は住宅街のど真ん中、
海からこんもりと陸地に向けて駆け上がる里山に鎮座ましましておられ、
見つけるまでに少々時間を要しました。

ジェントル号を近くの峠道に……覚えたての千葉県ルールに則って停め
(あくまでも法律の範囲で)、
里山をぞろぞろとねり歩く暁の四紳士。
そう、なんといってもここはもう『アマガミSS』の総本山と言っても過言ではない場所です。
油断は出来ません。
このとき、オイサンのチャックが開いていたのは秘密です。
多分、清川町のコンビニでトイレ借りたときからずっとです。
繰り返します。
油断は出来ません。

めいめいiPhoneの地図をのぞき込み、
あっちから行けるんじゃないか、イヤこっちだと彷徨うこと10分あまり。
さすが、絢辻さん秘密の場所です、
オイソレとはたどり着けないよう、なんらかの結界が巡らされているに違いありません。
そりゃあGPSくらい狂います。
相手は『アマガミ』界の範馬勇次郎、絢ts……

  え、なに? 絢辻さん。
  「あとで話がある」?
  別に今でもいいけd……「ちょっと時間がかかる」? あ……そう。
  うん、ワカッタ……。
  え? 「火鉢」? そんなの……もう暖かくなってきたからしまっちゃったよ。
  うん。
  あ、お湯沸かすなら、ついでにコーヒーもらってもいい?
  「余らないからダメ」?
  ……。
  ねえ、ヒトツ聞いてもいい?
  そんなにたくさんお湯沸かしてなにするの?
  ねえ。
  ……ねえってば。
  なんで黙ってるの!!?

  

範馬刃牙 27 (少年チャンピオン・コミックス) 範馬刃牙 27 (少年チャンピオン・コミックス)

著者:板垣 恵介
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発売日:2011/01/07
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  ……。
  全ク何ヲ企ンデイルンダロウ……。



ハイ、気を取り直して参りましょう。
すみませんね、家庭内のゴタゴタをお見せしましてね。
我が身の心配はあとでしましょう。
さて、えー……何の話でしたっけね。
そうそう、神社ですね。神社神社。

R0040222

ようやく見つけた小路を、
地元の人々の奇異の目を受けながらくぐり抜けて出たのは里山の中腹辺り、
石造りの立派な鳥居の足下でした。
視線を下げれば海が臨め、遠く風車が回っている。
見上げると……まだお社そのものこそ見えて来はしませんが、
明らかにそこに、秘密の場所があるとわかります。

Jinja1

テラジさんも隊長もよつさんも、もちろんオイサンも、
まだまさにその場所にたどり着いたわけでもないのに
おおここだ、ここだよー! とテンションはマックスボルテージ。
鳥居を、海を、その向こうの風車をと、
バシバシとリンゴ印のスマートフォンに収めていきます。

  ……どうでもいいけど、今日本で一番使われてるカメラって、
  やっぱiPhoneとかなんだろーなー。
  ちなみに使っている携帯は、オイサンだけiPhoneではなくBlackberryさんです。
  カメラの性能があまり感心しないので、基本的にお写真はデジカメです。

そうして一頻り、石段の踊り場になったそこで熱を冷ましたあと、
いよいよ総本山へと侵攻を開始したのでありました。

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息を呑みます。

とても……雰囲気のある神社です。
由緒や氏神様についてお調べしたわけではありませんが、
地味に御利益がありそう。

  ……というのは神社の場合、同時に「ちょっと怖い場所」という意味にもなるのだけど。
  要するに神様感アリアリ、だということです。
  
境内にまで上がり、お社の前に立つともう、
目に入る風景はほとんどアニメそのまま、傾きつつある日の、陰を帯びた橙を受けて
世界は今まさにカミングスウィート(←興奮で意味不明)。

絢辻さんが橘さんをこの場所へ招き入れた、
まさにその時間帯まではしばし待たねばなりませんでしたが、
それでも、伸びる影、くすむ色、静かに凪ぐ風の感触に、
隊長さんとよつさんがのぞき込む液晶の向こうの物語が、
やはりこの場所の面影を借りて語られたものなんだなあと実感せざるを得ませんでした。

  ……と、盛り上げてもみましたけれども……。
  この点については、オイサン実は、ちょっと思うところがあります。
  が、それに関してはまたあとで。
  長くなりますし、この空気に水を差すことになりかねないので。

  この瞬間、オイサンの気持ちがただただ楽しく盛り上がっていたことは
  紛れもない事実ですからね。
  それがウソでないことは、あとあとテラジさんの口から語られる
  この時のオイサンの様子からお分かり戴けると思います。

サテこの川口神社さん、一つ、面白いところがございます。
それは、今回巡ったいくつかのスポットの中で、唯一
「アニメにも、ゲームにも場所のイメージが一致する場所である」ことです。

R0040255 R0040258 R0040327

アニメの舞台として一致するのは、マある意味当たり前、と言えましょう。
だって、そのために取材に来てんでしょうから。
そら一致くらいするさ。

けれども、今回ここまで巡ってきたスポット群である、
薫のバイト先であったり、駅前の風景であったり、タワーであったりというのは
基本的にはアニメ『アマガミSS』内の情景にこそ一致すれ、
原作ゲームと重なることは、マアありません。
それは厳密な意味では当然のこと、ざっくりと概形だけをなぞってみても、
そんなに合致しないとオイサンは感じていました。

  駅前は、ゲームではあんなにだだっ広くも素っ気なくもなかったですし、
  タワーには水族館なんかが併設されていて、もっともっと遊び場してましたし。



ただ、この神社だけは。



正面の参道から真っ直ぐ上がってくると、まずアニメそのままの光景が広がります。
手水場に、境内に、お社がどどんと目の前に現れてすぐにそれと分かる。

けれども、一歩お社の脇……横手・裏手に回ってみると、
面白いことに、さながら原作ゲームで二人が甘い時間を過ごしたのとよく似た空間が、
冷んやりとひそやかな陰を作っているのです。

Jinja6 Jinja7 Jinja8 Jinja9
お写真提供はテラジさん。最後の一枚は……お茶目さんですねw

アニメでの絢辻さんと橘さんは、もうモロに日の当たる場所、
境内のド正面で誓いをやり、口づけを交わし、手帳を焼きますが、
原作ゲームでは、そこから少し裏手に入った物陰で、数々のヒミツの儀式は執り行われます。
この川口神社さんはその影の場所もきちんと装備していらして、
そのことにオイサンはちょっとした衝撃を受けました。
あくまでも今回の旅は、「アニメ『アマガミSS』の聖地巡礼」であって、
「ゲーム『アマガミ』の聖地巡礼」のつもりはなかったものですから。

欲をいえば、(ゲームの)絢辻さんが「ここなら安全」と感じるだけの安心感を得るためには、
神社の表から裏に至るまでにもう少し距離が必要かと思うので
もうホンの少しだけ、神社そのものが広くあってくれたら完璧だったと思うのですが、
それでも、このお社の陰・裏手のイメージは、ゲーム側にあてはめてみても相当近い。

古くなった祭具や打ち捨てられて朽ちた古い小さなお社などがそこかしこに置かれていて、
神社そのものの雰囲気・すごみがあり、
こんな場所で、その……海千山千の神様を前にして飄々とウソを吐く(笑)、
絢辻さんの不遜・お茶目さが、ありありと表現されているように感じました。

Jinja4
お写真提供:おみかん隊長

そんな、二つの二次元世界の狭間に置かれた三次元の飛び地で我々は、
この空間のあまりに現実離れした二次現実感に、
やっぱりこれまたスゲースゲーとあっちゃこっちゃをお写真に収めて回ったり、
思い思いの時間を過ごしたのでした。

とりわけ……。

隊長さんとよつさんが手水場で、なんっか、二人でコソコソやってやがンなー、
と思っておったらですね。
この二人は……ほんばにぼー(板東英二)。
よつさんが嬉しそうな顔してiPhoneもってすり寄ってくるから、なんかと思ったら。

  「完全に一致wwwww」

ですって。

    Icchi

や、やらせ!!
やらせですよ皆さん!!
こわいわー!
テレビこわいわー!!(←テレビじゃない←ほんとのことさ←脊髄反射で喋んな←ゴメン)


……。


そんな、はしゃぎ回るオッサン四人を尻目に、
銚子の空は少しずつ、少しずつ暮れてゆき、さっきまで明るかったオレンジ色に
黒や紺の帯が差してゆきます。

本当は四人とも、劇中で絢辻さんの頬に差したあのオレンジと
同じ光をここで浴びていきたかったに違いないのですが、
そこはさすがのお天道様も、同じ様には照らしてくれず。
いつまでもその瞬間を期待し、カメラを構えていたのですけど、
やがて誰ともなく、
「……ぼちぼち行こっか?」
と言い出して……もと来た石段を、てん、てん、てんと、下って行ったのでした。

Tasogare


……なんかね。

あのときの寂しさと言ったら、多分、
……これは多分なんですけど、
オイサンの思いこみだったら恥ずかしくて申し訳ないのですけど……
本当はまだまだ遊んでいたいのにもう家に帰らないと行けない子供のような、
ありきたりですけど、本当にそうとしか形容のしようのない、
寂しさと悔しさの中に、四人ともが同じ気持ちであったように思います。

いやー、すごかったねー、良かったねー!
なんて言いながらね。

  しかし思えばこの神社、こうして人の暮らしのど真ん中に存在していて、
  確かにここに暮らす人々の、信仰……とまではいきませんが、
  恐らくは古くから、人の心の拠になってきたのであろうこと、
  由緒ただしい、神様のおわすところであったのだなあということが伝わってきます。
  それは別に、メジャーな神様が住んでいるとか、古いものだとかいうばかりの意味でなく、 
  人の心と暮らしに根ざした、
  人の心から生まれた神様のおわす場所だという意味です。

  なんというか、ちゃんとした尊敬を集める寺社仏閣にはそういうわかりやすさがあり、
  町の中心や、上座と呼べるような立地に据えられています。
  殊に自然と向き合って暮らさねばならない土地にその傾向が顕著で、
  この銚子なんていう、海と暮らす町はその最たるものであったのでしょう。

  オイサンの訪れた北海道の、稚内や襟裳の広尾町、美瑛、弟子屈なんていう町々は
  皆そうでした。
  町を歩いていると分かります、人の流れが自然にそこに集まるようになっている。
  恐らくはこの神社も、少なくとも、町のお年寄りたちにとっては、
  自然と足の向く場所であるに違いありません。
  事実、オイサンらがそこにいる間だけでも
  地元のお年寄りが数名、やってきては帰って行くというのをお見かけしました。
  また、石段を下りた一の鳥居のたもとでは、
  近所のお子さん方が集まってわいわいと楽しそうに遊んでもおられました。
  ……マお子さん方は、ただ家が近いってだけかもですけどね。
  その子供のうち一人に、テラジさんが話しかけられていたのが
  なんか微笑ましくてすごく良かったです。
  銚子、良いところ。

  あ、少なくともこの神社。
  学校終わりで高校生が立ち寄れるほど、学校から近くにありません。
  なのでそれぞれのロケーションの近い遠いは、再構成してあるのでしょう。

……なーんてことをですね。
オイサンぶつくさと考えながら、アニメとかと全然関係のない場所に
カメラを向けたりしていたものですから、
後々になってテラジさんに

  「神社にいるときのオイサンは、夢遊病者みたいでちょっと怖かったw」

と言われる羽目になり、光栄でありました。



……そんな風にして。



ちょっくらとした寂しさに後ろ髪を引かれながら、我ら黄昏の四紳士。
初日のみっちょんはバッチリこんぷりーと。
戦い疲れた体を休めに、今日の宿へとジェントル号を走らせるのでした。

R0039771



第三回へ続く。(ナレーション・中田譲治)



■ちょっとおまけ劇場 : いんちき物書きメルヘン系のめんどくさ~い話



こっから先は、ちょっと余談。
今回の巡礼にはワリと真っ向水を差す系のお話ですので
キョーミ無い御仁はスルーして戴いて一向に問題ありません。
むしろそーして下さい。

 ▼人が聖地に立つのか、聖地を人が作るのか。

マ今回こうして、「聖地巡礼」という形で、
アニメ『アマガミSS』の背景となった場所、銚子へお邪魔している訳ですけれども。

ぶっちゃけた話。
オイサンは、その理由・必然性がないことには、
その写実性に大した意味はないと思っております。
タワーのところでも書きましたが
「どうしてスタッフが、こんなに銚子の景色を写し取ることにこだわるのか」、
その意味がちょっとわからずにおりましたし、今も分かってはいません。

なんというか……結局「逆」なんですよね。

特定の土地に根付かせることによって、
人物や、世界や、物語により深いリアリティと意味が出てくるから
ある土地をモチーフにする、というのであれば分かるんです。

土地の備える様々……風土であったり、歴史であったり、文化であったり……の力を借りて、
人物や、風景や、物語に説得力を持たせたり、
本来はもっと説明やしつらえの必要なはずのことを、
省いて分かるやすく表現する事が出来る。

それが本来のやり方であり、目的のハズだと、オイサンは思っていました。
これは、物語・作品を中心に据えた場合の考え方です。

今回の『アマガミSS』の場合はその逆でして、
『キャラクターの足下に銚子という土地を貼り付けた』だけなのだと、
オイサンは思います。
これによって面白味を増したのは何かといえば、
『アマガミ』の方ではなく、銚子の方です。
銚子に立った絢辻さんが
その風を受けて何か新しい魅力を放ったかと言われたらそうではなく、
「ここに絢辻さんが、森島先輩が、摩央姉が立ってた!」という、
銚子さんが面白くなった。
そういうことだと、オイサンは思っています。

  いや摩央姉は立ってねえけど。

それがダメだというのでは全然なく、
作り方、広げ方、楽しみ方という意味では全然アリだと思います。
思うのですが、作品を主体に考えるとそれはやはり本末転倒だと思いますし、
上でもちょこっと書いたように、
作品側の輪郭が変な形にゆがんでしまう危険性を、少なからずはらんでいる。
それも間違いない事実だと思います。

……と……いうのが、オイサンのスタンスだということは、
ここに一応、キッチリ書いておこうかなあと思います。
ただそのことは、そういうこともあるんだと認識が出来ていれば良い話で、
逆に今回のように発見でき、広がりのために得られることはたぁーくさんあるので、
ロジックと感情をうまく操って楽しめればいいんじゃないですかね。
何より、楽しいし、面白いよ。

ついでに一つ、作画上でも効用があることだけ……
今このときではなく、二日目のあるときに、ある隊員のお言葉で気付かされたオイサンです。
それについては、また後日。


ではまた、第三回で。
オイサンでした。



 

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コメント

■ていたらくさん
早速どうもです。
Twitterの方でもお世話になっています。
 
神社。そうなんですよね。
オイサンは奈良生まれの奈良育ちなので、法隆寺やら春日大社やら、
神社仏閣については不自由したことはないのですが、
さほどのありがたみを感じたことがありません。
「何の仕事をしてる神様なんだろうか?」
という疑問が先にたちます。
 
奈良には海もないですし、とりわけオイサンの実家のある北部は
台風が直撃することもほとんどありません。
地震は起こりはしますが、大きいものとはワリと無縁です。
 
  どエラい断層が真下を通ってはいるらしいんで、油断は出来ないんですがね。
  地震で土砂崩れ、なんてこともありますのでゼロじゃないですが。
  http://n-dv.net/yamatoshizen.html
 
そういう「人以上の脅威」からは幾分縁遠い土地であるのに、
ああいうドデカい神様がいるというのは……一体どういう経緯で生まれたのだろうか?
と、不思議に思ってしまいます。
信仰云々はわかりませんけど、
「神様に頼らなきゃならないほど、切羽詰ってないじゃん」
ということなんですよね。
 
  歴史上のことを調べたワケではないんで、
  もしかすると過去には危険な出来事が頻発してたのかもしれませんが
  (でも、わざわざそんなヤバい土地に都を持ってくるとも思えないので
   マアないとは思いますけど)。
 
一方では、
「ああいうデカイのがずっと居座っているからこそ自然災害から無縁でいられている」
のかも知れない、という考えはありだと思いますけど。
浪漫としてはね。
実効性が曖昧なオカルト的な意味を抜いて考えると、
その成立の経緯についてはチョイ不思議かなあと。
 
  マ別に何の邪魔になるでなし、エラそうにするわけでもないんで、
  あってくれる分にはハアソウデスカってなもんですけど。
 
モデル云々は、あまり難しく厳密に考える必要はないとは思います。
本当に、ただ町の「形」を借りてきただけだったのでしょう。
その「借りてくる」ことのメリットについては、
次回のレポートで、ある隊員がズバリと鋭い一言を放ってくれますので乞うご期待。
結構フツーのことなんですが、オイサンはそれを聞いていたく感心してしまいました。
 
何故風車を残したのか、作り手があの風車に何を託したのか、はわかりません。
それはもしかしたら、風車に見守られながら青春時代を過ごした(であろう)ていたらくさんに
なんとなく分かることなんじゃないのかなあと、
外野のオイサンは勝手なことをボンヤリと思ってますよw
外野がアナタにもっと輝けと囁いている! ← うるせえ
 
ゲーム機、10年選手ですかw
ていうか地元の人もあのタワー行くんですね。
 
ではまたよろしくです。

投稿: ikas2nd | 2011年4月 5日 (火) 21時53分

こんにちは。今回もちゃっかりさっくりキチンと楽しみました。

其の二では、薫、絢辻さんとの思い出の場所ですね。
写真で見た神社結構いい雰囲気で……何か出そうな……幽霊じゃなく、黒い絢…でもなくて裏表のない素敵な人が登場してきそうですねぇ。思わず拝みたくなるような神社です。

投稿: 日向 | 2011年4月 4日 (月) 11時27分

ども、ていたらくです。
畏れ多くもまたコメントさせていただきます。

川口神社、僕も由緒とかは知らないのですが、祀られているのは水に関係のある神様です。
銚子はかなりの昔から港町として栄えたのですが、写真にも写っているあの利根川の河口付近、また太平洋の黒潮の流れのせいで難所として有名で、座礁や転覆が相次いでいたのです。
まさにオイサンの仰る通り、ここ銚子は「自然と向き合って暮らさねばならない土地」でした。
そういう背景もあって川口神社は篤く信仰されていると思います。


自分もSSでのモデルが銚子だと知ったときは「なんで?」と思いましたね。
オイサンが指摘されてることの通り、「銚子」という町がアマガミSSという作品に不可欠なファクターとなるストーリーではない以上、その舞台が銚子、いや銚子でなくてもどこか別の場所である必要性がないわけですから・・・


長文失礼しました。次回も楽しみにしています。

P.S ポートタワーの謎ゲーム機、僕が小学校低学年の頃からありましたww


投稿: ていたらく | 2011年4月 3日 (日) 13時23分

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