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2011年2月20日 (日)

■過ぎ去った時間を思って涙を流すこと~『ドリームクラブ』という宇宙船 -更新第641回-

 
 
 
…………。



なんだか…………。



また、おかしなものにつかまってしまったなあ、というのが正直な感想。
オイサンです。

なんのコトって、『ドリームクラブZERO』、
そして『ドリームクラブ』のことですよ。

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オイサンは昨年の秋頃に『ドリームクラブZERO』のPVにやられ、
年末には『ドリームクラブポータブル』を購入、
年明けにXBOX360の『ドリームクラブZERO』を購入と、
順調にやられて参り、先頃ようやくその『ドリームクラブZERO』を一周りいたしました。

  ……一周りっつってもアレですよ、全ヒロインひと舐めしたとか
  そういう猛者的なアレではなく、
  ……イヤひと舐めってまたそういう意味でなくて! ンもう!
  とりあえずヒロイン一人分のシナリオを遊んだっていうだけですからね。

オイサンは『ドリームクラブ』を、
マ正直なところを申しますと、一種のおバカゲー、イロモノだと認識しておったのですよ。
恋愛シミュレーション(アドベンチャー?)ゲームの一種だとは思っておりますが、
その中でも取り分けおバカに徹した類のものだと。
要するに、ちょっとナメてました。

  イヤだからナメてたといってもそういう意味じゃってンもう!!
  魅杏さんぺろぺろ! ぺろぺろ! これで満足かね!!

  ……。

  ふう。
  ……ねえ、あとでもうひと舐め、イイ?


まあその認識自体は多分間違ってはいないのでしょうけれども、
一周り終わらせてみたオイサンのココロに去来したものは、
バカゲーだろうがなんだろうか関係ない、とても大きな心地の良い感情でした。
温かなかなしみ。
バカゲーだからと高を括って臨んでいたオイサンには、
それはとんでもなく大きな喜び、嬉しい不意打ちでありました。

今日は、そんなお話です。



■過去と未来を繋ぐ一つの歌



『ドリームクラブ』は、簡単に言やあ
バイトしてお金を稼ぎながらキャバクラに通って、
お酒に強くなりながらそこのオネーチャンと仲良くなりましょうよエエおい!
……というゲームです。
うん、間違ってない。

  なんかもうこの時点でイロモノっぽいしバカっぽいでしょ?

期間は一年間、ターンは週単位。
平日はバイトを選んでお金を稼ぎ、週末には「ドリームクラブ」に通って
ホストガールと呼ばれるヒロインたちとお酒を飲み、言葉を交わして仲良くなるというものです。

今回オイサンは、前作『ドリームクラブ』でどうやら一番人気だったらしい
ツンデレ金髪ツインテールの魅杏(みあん)さんと仲良くなろうと進めて参りました。
彼女を選んだ理由は、
「ツンデレ金髪ツインテールのくせに実家が肉屋で普段はコロッケを揚げている」
なんていう、まったくもう制作者の
「このギャップに、ウブな童貞オタクどもはイチコロだッゼッ!」
なんていう狙いにまんまと嵌ってしまったからです。

  だってホラ、オイサンピュアだから。

  マ冗談はさっぴいても、オイサンもともと
  「実家がお商売をやってて家の手伝いに駆り出されるコ萌え」属性ですから(ナニソレ)。
  部活帰りっぽい中学生がジャージでチャリンコ漕いで、
  そば屋とかに「ただいまー」なんつって帰って行くところを見るだけで
  ワリと心臓に締め付けられるような痛みが走るタチですよエエ。
  誰か病名下さい。

初回プレイの結果は……BADEND、だったんですけどね。
見た目の高感度は最高潮までいっていたのですが
なんかストーリー的なフラグが足らなかったらしく、告白するも
「オイサンは大事な人にはかわりなくて、感謝してるけど、そういうんじゃない」
とすげなくされてしまいました。
クスン。



■ADV+SLG ハイブリッドゲームであることの意義と難易度



……こういうのが、ADV+SLGの宜しくないところですよね。
別にさ、好感度はMAXまでいってる訳ですから、
BESTとは言わないまでもGOODENDくらい貰えてもいいと思うんですよ。
SLGとしての成功は、プレイヤーとして達成してるわけですものね。
なのに最後の最後の扉に、お話の上でのフラグで鍵をかけてしまうのでは、
せっかく体裁をADV+SLGにしている意味がすっごく薄まるとオイサンは思います。
SLG成分を生かして、好感度がたまっていればとりあえずGOOD、
その上で彼女らの特別なココロの物語に触れることが出来ればより高次の関係に、
というんでいいんじゃいのかなあと。
その分、好感度を稼ぐのはもうちょっと難しく調整をしてね。

  ……これは推測なのですが、その「ちょっとの調整」が作り手として難しいから
  そういうロックのかけ方一発で解決しようとしている向きがあるんじゃないのかなあ。
  そういうパラメータ調整の、完成までも最後の5%が一番難しいと
  堀井雄二氏もおっしゃってましたしね。

うん、そう。

ギャルゲーに多く見られるSLG+ADVの形態においては、
個々のゲームとしてのお作法、
つまり辿るべき手順と達成すべき具体的な目標がプレイ開始当初には見え辛いので、
一周目って難しいんですよね。
そして大概制限時間が「転校までの一ヶ月」とか「卒業までの三年」とか決まっていて、
その期間の中で
「自分は、この用意されたゲームシステムの中で、
 何と何をどういう風にこなしてパラメータを稼ぎ、
 お話の上ではどんなフラグを、どんな手順を踏んで拾い集めていかなければならないか」
ということを、全て手探りで見つけなければならないので、
こなすべき何かを理解したときにはもうパラメータを上げている時間が残り少ないとか、
既にお話の重要ポイントを通過していて途中拾うべきフラグを回収できていない
(しかも大事なことをスルーしているのに、お話はさも順調に推移しているように描かれる)とか、
その両方をバランスよくやっている時間はなくなっているとか、
そういうことがワリと起こります。

かつ、終わってみても何がまずかったのか・足らなかったのかが分からない、
なんてことも平気でありますからね。
バカみたいなカオしてギャルゲーさん、けっこおツラい、お厳しいワケです。

その辺、もうちょっと考えて欲しいなあ。
ADVとしてのあっけなさというかそっけなさ、
「一個フラグを踏み損なったら、
 それまでの苦労・その先の苦労全部が水の泡でBADEND直行」
という危うさを回避するためのSLG的要素の導入だと思うんですよね。
オイサン的な解釈としては。

恋愛は一本の筋張ったドラマばかりではない、
ただなんとなく寄り添い続けるだけでも成立するモンだよ、
ということを上手に物語るための手法として、好感度とか、
そういうパラメータが用意されているもんだと思うので。
その辺、もっと上手に生かして表現してもらいたいと思います。

……とまあ、今オイサンが何か吠えたところで
それは負け犬の遠吠え以外の何者でもないのでこのくらいにいたしましょうか。
べっ、別に悔しいわけじゃないんだからね!



■ラストダンスを舞いながら



デ、BADENDにては男の哀愁に満ち溢れたダメエンディングテーマが流れるのが
ギャルゲーのお約束となっておりまして、
それはこの『ドリームクラブ』も例外ではありませんでした。

今回流れるのは、メインPVのテーマとなっていた「Puer色100萬$☆」の、
男声合唱バージョン。





本家「Puer色100萬$☆」は
ホストガール役の女性声優さんたちが華やかに歌うお歌ですが、
このダメENDバージョンでは、プロではない、
恐らくは開発スタッフであろう素人くさいおっさん3、4人の野太く感情のこもらない声が、

 ♪大きく息を吸っても 出るのは溜め息ばかり

だの、

 ♪Ring Ring Ring Rin' Ring Ring Rin' Ring Ring
  幻のBellが悲しく響く


だのと、
キャバクラのおねーちゃんに一年間入れ込んだ挙句、
何も手に入らなかった・残らなかったその悲しさむなしさを、
本家と同じ明るく華やかなメロディにのせて歌っていました。



……コレ、いい歌だなあ。



あの、メロディがね。
ヘタにトーンダウンもさせないで華やかなまま、
元のままだというのがすごく効いていて却ってもの悲しくもあり、
何よりも、
このゲームをプレイする人間の多くがこのゲームの入り口として初めて触れるであろう
あの歌のメロディに立ち返らせる……
「この世界と出会った瞬間を、一抹の寂しさとともに思い出させる」
チカラを感じさせました。

そしてオイサンは、まんまとその罠に、またも嵌ってしまったのです。
それはもういかんともし難い、オイサンにとって甘美なものでした。



■物語が、過去になる。



さっきもお話しました様に、今回のオイサンのプレイでは
好感度のようなパラメータは見た目最高まで達していたものの、
いかんせんこのゲームのお作法がどこにあるのか掴めないまま進んでしまい、
これでいいのかな、うまくいってるのかなと疑い疑いだったので、
BADENDを迎えても「ああやっぱりか」という程度の感慨しかありませんでした。

ですけども、そのダメENDのテーマを聴き終えてみると、
一つの物語、一つの時間の塊をそのまま過去として置き去りにしてきてしまったもの悲しさが
ふつふつと湧きあがってきました。


  コレは、一体どうしたことだろう?


すごく簡単に言うと、
終わらせる前まで、あの公式PVはオイサンにとって未来を向いたものだったのです。
まだ見ぬヒロインたちを、
「こんな子おりまっせ!」
と紹介するものだった。
けれども一巡り終わらせてみると、あの映像は、完全に過去のものに変わっていました。
「このお店には、過去こんな子たちが働いていたんですよ」
「ああ、そういやこんな子たちいたなあ」
という……アルバムをめくる動画のように見えてきた。

そして一人分とはいえその物語にふれたことで、
ヒロイン一人ひとりの背後にそれぞれが抱えた物語が透けて見え、
……一つ一つは決して劇的でも鮮やかでもない、陳腐なお話に違いないのですが……
その失われた時間に秘められたありふれた営みと紡がれる感情の糸の膨大さ、
その全てを背後の時間に置き去ってきてしまった不甲斐なさを……
まるで彼女ら一人ひとりの葬送を見るような思いで……
実感してしまいました。

  大袈裟なようですが、一つの群像劇の絵巻を見るような。

そうなって初めて見えてきたものは、
あのゲーム、物語世界の本当の主役は果たして誰だったのか?
という新しい疑問とその答えでした。



■絶たれる輪廻



結局オイサンは、ヒロインひとりとBADENDを迎えることで、
ドリームクラブというお店との関係を、現在につなげることが出来なかったわけです。
もしも魅杏さんと上手くいっていれば、
魅杏さんは、まあお話上、お店を辞めたりするのかもしれませんけども、
「ドリームクラブというお店から始まった二人の関係」という形で、
ドリームクラブというお店はオイサンの現在に繋がることになるのですが、
それが果たせなかった今、お店の存在も、魅杏さんも、
オイサンにとってはただの思い出になってしまう。

  少なくとも、初回プレイを終えたばかりの今は、ですが。
  これがプレイを重ねると、あんなこともあったこんなこともあった、となっていくのが
  繰り返しプレイを前提としたギャルゲの面白いところです。

これはオイサン独自の感覚かもしれませんが……
ハッピーエンドを迎えたプレイからはすんなり次のプレイに移ることが出来ますが
(余韻を楽しむために間を空ける、ということもしますけども)、
BADENDからはなかなか次に入れない、ということがあります。
それは辛い記憶が邪魔をするから、ということもありますが
(「ギャルゲーで辛いてwww」と笑われるかもしれませんけども、
いやなかなかどうして。アレはアレでダメージを受けるモンですよ。
オイサンなんかは本名プレイで本気ですからね)、
それ以上に
「物語の時間の終端から先頭に戻るために必要な繋がりが絶たれてしまうから」
という感覚が、オイサンにはあります。

今回特に、
初めは未来の象徴としてあったあのPVの曲が形を変えてエンディングにも使われることで、
「未来に見えていたハズのことが、
 何も手元に残らないまま、いつの間にか過去に変わってしまった」
という、空しさもここに極まれりという感情を呼び起こしたのだと思います。

  恋愛SLG・ADVというのは繰り返しプレイされることが前提の物が多いですが、
  OP主題歌がEDで流れることも、ままあります。
  それが、終わりがまた始まりに繋がることの象徴であるとは意識していましたが、
  それは大概BESTエンドを迎えた場合のことが多かった。
  今回のように、BADENDで主題歌のアレンジバージョンが流れる、というのは
  オイサンの知る限りなかったように思います。

その、オイサンの不甲斐なさゆえに過去として流れ去ってしまった時間には、
……12人分のありふれた日常が編みこまれていた、ということが、
あのPVによってものすごく意識されて追い討ちをかけてきたのですね。

自分の手で、過去へと葬ってしまった12人のかけがえのない時間。
そこから何事も掬い上げることの出来なかった自分。



……。



……あの、上でもチョイとだけ書いたんですけど。
別にね、ヒロイン個々のお話がすごく良く出来てるとは思わないんですよ。
別にね。
特別なこと、革新的なこと、多分なんもない。
陳腐なもんです。
ですけども、その「どこにでも転がってそう具合」が、却ってリアルに
「そりゃよくある話かも知れないけど、
 あたしらには大問題なのよ、人生の一大事なのよ!」
ということを突きつけているようで……
妙にいとおしく。
「あ、どこにでもいるコたちのお話なのかな」、って思えてね。
……なんかね。
重かった。



それが、多分、一つ目。



■歴史を継ぐもの、見つめるものは。



こちらは、BADENDとは直接的には関係のない話なんですけど。
あのPVが「過去になる」ことで初めて感じたことです。

オイサンは『ドリームクラブZERO』の世界と時間を曲がりなりにも一度経験し、
それをヒトツの「過去」としたことで、
未来への「像」徴……まだ見ぬヒロインたちに思いをはせるための紹介PVであったあの曲、
「pure色100萬$☆」に、一つの思い出の時間の絵という側面を見出しました。

『ドリームクラブZERO』というゲームは
前作『ドリームクラブ』から5か月前のドリームクラブでの出来事を描いた作品です。
つまり、『ZERO』での出来事は『ドリームクラブ』の世界史的には過去の出来事です。
『ZERO』ではお店に勤務するヒロインは12人いますが
(正確には、開始当初は8人? だっけ? で、途中どんどん入店してきます)、
初代『ドリームクラブ』ではホストガールは9人しかいません。
『ドリームクラブZERO』で「新たに加わった」とされる三人のヒロイン、
ノノノ、あすか、遥華の三人は決して「新たに加わった」のではなくて
「思いだされた」像であり、
その5か月の間に、彼女らはドリームクラブという「場」からの別れを経験しているわけです。

  そこにどんな理由があったのか、
  そして別れに際して、お店や、残る9人のヒロインたちとの間にどんな物語があったのか、
  今どこで何をしているのか。
  多分それらのことは『ZERO』にて彼女らのシナリオをクリアすればわかることなのでしょうけど。

PVの上では、ノノノ、あすか、遥華の三人も、
今現在も「ドリームクラブ」で働く9人のヒロインたちと一緒に華々しく歌い踊っています。

  ……作品的には「新ヒロイン」なので、寧ろ他の9人よりも目立つ位置でやってますね。
  PVですから当然ですけど。

けれども、今現在のお店としてのドリームクラブに彼女らはおらず、
そのステージに立つことも無い。
それを思いながらPV1分20秒あたりの、12人が揃って手を振る一枚絵を見ると、
なんというか……
「皆がいた、お店が一番賑やかだった時間」
みたいに見えて。

ゲームとはいえそういう人の入れ替わりなんていうことも当たり前に起こる世界なんだと思うと、
群像劇・史劇的な部分が妙に意識されまして、
時間の流れの中で何かが抜け落ちていく「温度の足らなさ」を、
ものすごく寂しく感じました。
そういう「ドリームクラブ的世界史」の意味でも、
あのPVは過去の、思い出の絵なのです。



そうして思ったのが……
ヒロインさえ入れ替わる、プレイヤーさえ輪廻から外れるあの世界で、
絶対の存在ってなんなんだろう、ということで。



残ったのは、他ならず。
「ドリームクラブ」という、お店の建物。



過ぎ去った時間としてあのPVを眺めていると……
そんな人の入れ替わりも、お客の入れ替わりも、何もかもを見てきたに違いない
あの「ドリームクラブ」というお店の建屋が圧倒的な存在感を放ち始める。

建物にしみついた出来事の記憶……それは多分、
今回『ドリームクラブ』から『ZERO』へと過去へ遡ることによって描かれた
「今回こういう時間の経過があった。
 でもそれはドリームクラブというお店の歴史のほんの一幕であって、
 こういう流れを連綿と繰り返して、このお店は続いてきた」
ということが見せる幻燈なのでしょうけども、
まだ見ぬ歴史上の出来事が、背景のオブジェクトの一つ一つから迫りだしてくるようで、
オイサンはもう……なんか、ホント圧倒されそうになりました。

  ちょっとPV流しながら想像してみて下さい。
  その画像から、ヒロインを消した映像を。

人が去り、
照明が落ち、
モニターも消えた……さながら閉店処理後の店内。
たとえ今働く9人がお店を去ったとしても、建物は新しいホストガールを迎え、
いつまでも「ドリームクラブ」として機能し続けるんだろうなと……
『ドリームクラブ』の主役はそのタイトルの表す通り、
まさに「ドリームクラブ」そのものであるあの建屋なのかもしれないなあと感ぜられました。

  そして、妄想含みにひとくさり唸るのならば、
  お店の顔、象徴とも言えるあの黒服の受け付けさん。
  あの時間と空間の入り口と出口、始まりと終わりを押さえる彼女こそが
  『ドリームクラブ』なのであって、幻燈の映し手なのではないのかと思えます。
  9+3人のホストガールも……実はそんな子たちはいなくて、
  彼女が1人12役、すべてを演じているのではないか。
  あるいはあの建屋が小さな宇宙船であって、
  彼女は地球に不時着した、そのたった一人の乗組員なのではないか。

  ヒロインたちがお疲れさまでしたと退勤したあと、
  暗い店内を一人巡ってグラスを傾け、お店……『ドリームクラブ』と何かを語らう彼女。

あの建屋を、
ホストガール12人と受付さんとプレイヤー……14の人生を呑みこんだ一つの小宇宙の様に感じたとき、
少しだけ影の落ちた、淡いピンクの幻想が怒濤に押し寄せてきました。
神秘的。
実に神秘的でした。

  ついでに言うと、この「場が主役である感覚」を、
  オイサンは過去に一度だけ別の作品で感じたことがあります。
  それは『悠久幻想曲』。
  あの作品の舞台となったエンフィールドという町は、やはり同様に人の営みによって
  地続きの歴史を感じさせてくれました。
  作品のナンバーが重なっても世界は広がりはしないのですが、
  その同じ面積の中で深み・厚みが増していく。
  箱庭とは広がりを制限するものではなくて、裡に向けた広がりを加速させるものなのだと
  思い知った瞬間でした。
  超閑話休題。

そんな風に、12ものありふれた時間を包み込み、
より多くの歴史を刻んでいるであろうあの建屋、箱庭の世界が……
オイサンにはたまらなく魅力的で。
オイサンは、なんだか本気になってしまったような気がします。

すべては、あの曲が始まりと終わりに用いられていたことから。
一つの曲が描く像を未来としてとらえさせ、
ある瞬間にそれが実は過去のものだったと知らせる、
そのやり口の鮮やかさ、面白さ。

あの曲がエンディングで流れることを全く想定していなかった、オイサンの完敗です。
うーん、なんでだろう。
「エンディングはアップテンポが至高」
を持論とするオイサンです、そのケースも十分に想定できたはずなのに。
やられちゃったなあ。



■Closing



マそんなコトでしてね。

こういうモノが心に響いてしまうときというのは、他ならぬ、心に隙があるときで、
今がその、隙間谷間に自分が陥っている時である、という自覚もあります。

けれども、
「ああなーんだ、だからか」
と、穿った自分が現れてこの高まりを言下に切り捨ててしまわない辺りに、
自分がこのピンク色の雲のような存在に本気である、
身を任せてしまいたいと願っていることが垣間見えるから救えない。

確かに今オシゴトちょっとしんどくて、
ただでさえ弱っちいオイサンのココロは隙だらけです。
インフルエンザをやらかしてからこっち、
色々とペースが乱れているというのもあります。

そんな中、こっそりとオイサンの心に不時着した妙ちきりんな宇宙船は……。
……ウン。
なんかね、当初の下馬評を覆し、多分実力以上に、
オイサンにとって輝かしいものになってきました。

自分でも自覚のある通り、
それは心のピンホールが見せる幻燈に過ぎないんでしょうけども……
恋、
しかもヨイの恋なんてものはそんなモンなんでしょうし。
その感じを再現してみせただけでも、これは多分面白いものだ。
なので、せっかくですから今しばらくはその面白い世界に、
チョイチョイ寄らせてもらおうかなと、そんな気分でおりますよ。



絢辻さんにめっかんない程度にね。



R0030738
ちうわけで、魅杏さん。 次は仲良くなりましょーね。



オイサンでした。
更新、途切れがちでごめんなさいね。



 

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