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2010年12月14日 (火)

■嘆きの手帳とダイヤモンド~アマガミSS・第23話感想 -更新第613回-

はいどうも、オイサンです。

各所で絢辻さん旋風がワリとアレな感じで吹き荒れる昨今、
皆さんいかがお過ごしでしょうか。

毎度毎度遅れ気味ですが、
今回もアニメ『アマガミSS』絢辻さん編の感想、元気よく参りたいと思いますよ。

えーえ。
今回特に元気いいですよー。
なので、ほんとーにひまでどうしようもない時にでも、
お茶でも入れて、ゆっくり読んで下さいね。


  ※まあそんなこんなで性懲りもなく、
   今回はアニメ『アマガミSS』23話・絢辻さん編第三章の感想です。
   未放送地域にお住まいの方、
   未見でネタバレご勘弁の方。
   いやよいやよもスキBADと申します。
   見たくない、読んじゃいけないと思っても、
   見たくないものを、見たくないという理由だけで、
   見ずに大人になれるなら……誰も苦労はしないさ!!
   ……。
   マそんなことなので、好きにしたら良いよ(自分でも何を書いてるのかわからなくなった)。





■前口上



……色々とね。


小難しい始まり方を考えてしまったんだけども、
最終的にオイサンの心に残った思いというのは……


  結局、絢辻さんって、どんな女の子だったんだろう?


ということです。
この『アマガミSS』23話・絢辻さん編第三章で描かれた絢辻さんは、
オイサンが原作で出会った絢辻さんとは随分違う子でした。

  否、先週の時点で違ったのだということも、
  後々書きますけど。

  ちなみに、素朴な疑問として。
  ……他のヒロインは、他のヒロイン好きだった人から見て
  どうだったんだろう?
  概ね、同じだったろうか? 違ったろうか?

どう違ったのかということについては、
後々、小難しい方のオイサンが書いてくれますけど、
その「違う子(スキBAD的な意味ではありません)」の物語を、
「元の子」の物語を見る前提の目で見て、
面白いとか、面白くないとか、果たして上手に言うことが出来るかな?
……というのが、今回オイサンが感想を書くに当たって行き当たった、
一番大きな課題です。

しかも、その「違う子」が、「元の子」と同じような出来事に直面してお話が進んでいくので、
見ているオイサンは尚のこと混乱してしまったのでした。
同じような出来事なのに、その実では違うことが起こっている……
すなわち、絢辻さんと橘さん、二人が何か行動を起こすたびに
世界は一つの感情で少しずつ満たされていくのですが。
原作でそれが祝福であるのに対し、
このアニメでは、現時点では敵意であるかのように思え、
そのどちらだと捉えながら二人を見守れば良いのか……困ってしまいました。


  なのでもう、今回できることは、二つ。


一つ目。
原作ゲーム『アマガミ』と、アニメ『アマガミSS』とで、
絢辻さんはどう違っているのか? ……を明らかにすること。

二つ目。
一つ目の違いを理解した上で、
新しいお話だという前提で、改めてお話を楽しむということ。

ここでも一応結論めいたことは言うつもりでおりますが、
それはあくまでも現時点での一時的なものですよ、とお断りしておきたいと思います。
これを新しいお話とする以上、その経過点でしかない今回のお話の良し悪しを、
一話だけで判断することはらんぼうだと思いますので。

  それを言ったら他の話だって同じなんですけど、
  今回は特に「お話の真ん中辺」感が強いですからね。
  絢辻さんの話は、一連の流れというものが強く全体を支配していますから……特に。

……次週の最終章をキチンと見てから、
今週のお話が、そして『アマガミSS』における絢辻さんの物語が、
面白かったか、そうでなかったかを、
またきちんと皆さんにお知らせしたいと思う次第です。

そんなことを踏まえて、以下のオイサンの感想をお読み戴けたらなあと思います。
ほんじゃマ、とりあえず始めてみましょうか。



■第一印象



先ずは例によって、全体的な印象から。
誤解を恐れずに言ってしまいましょう。

面白かったです。

ただしそれは、お話がしっかり作りこまれているからという意味ではなくて、
原作のエピソードをいじり倒し、受け手に大きな混乱を与えるという、
その手法という意味で面白かった。

オイサンも冷静でいるわけではなくて、混乱の渦中にあります。

上でも書いたように、
用いられているエピソード一つ一つは原作と同じなのですが、
まず何よりも絢辻さんの人物像が原作から大きく変えられているので、
勢い、各エピソードから受ける印象が変わっています。
時間的な並びも変えられているので、なんかもう、
似たパーツで作り上げられた、別物。

今回は原作のエピソードがこれでもかこれでもかと出てくるので、
詰め込みすぎ・性急という印象になるかと思うのですが……
それぞれが意味合いを変えて再配置されているからでしょうか。
オイサンは、性急さよりも、むしろジェットコースター的なスピードを感じました。

  もちろん全部が全部OKというわけではなくて、
  ところどころ、おかしいなー、足りてないなーと思ったりはしましたが。
  全体的に、並べられたエピソードの数がスピード感を生んでいる印象のほうが強かった、
  というくらいに考えて下さい。

というか。
「何かが違う」という混乱の中で、お話を追うのに必死の状態で見ているので、
そういう風に感じているだけかも知れません。

この辺が今のオイサンには判断の難しいところで、
「絢辻さん編だから甘くなっているのか、それとも本当にOKなのか」が、
冒頭で書いた難しさと相俟って混乱をきたしています。
申し訳ない。



■ちっちゃな絢辻さん。



上で、
「お話がしっかり作りこまれているという意味ではなくて」
と、書きましたが。

決して、
お話自体についても、つくりが悪いとかおかしいとかいうわけではないと思っています。
これはこれで、「多分」、ちゃんとしている。

ただし、
「その軸となる絢辻さんという人物像が、原作と大きくかけ離れたものになっている」
という前提を受け入れることが出来れば、という条件つきです。

今回のお話をどう解釈するにせよ、先ず最初に
「新しい姿の絢辻さんを再度理解しなおす」
という作業が、どうしても必要になります。

今回のお話で絢辻さんは、原作ゲームからその姿を大きく変えました。
アニメ『アマガミSS』の絢辻さんの物語は、
その姿を変えた絢辻さんに特化された物語であって、
原作ゲーム『アマガミ』の絢辻さんの物語とは似て非なるものになっています。

その「新しい絢辻さんの物語」としてであれば、
この第三章は……正直、面白い。

  ただやっぱりそれは、原作 ⇔ アニメの狭間にあって、
  その混乱を感じることが出来るからこその面白さではあるだろうなと、
  原作にずっぽりとはまり込んだオイサンなんかは思います。

  単品でこのお話を見た場合だと……
  多分ね、絢辻さん、かなり困ったコに見えると思います。
  少なくとも魅力的な女の子ではないんじゃないかなあ。
  そんな心配はあります。


 ▼新生・絢辻さんは廉価版


ではその、アニメ『アマガミSS』版の絢辻さんとはどんな絢辻さんなのか。
前回の感想でオイサンは、絢辻さん編の全体的な印象として
「ライトでポップになった」
と書きました。

それはお話全体のトーンを指してのことだったのですが、
その傾向が、絢辻さんという人物自身にも及んでしまった、
ということが言えると思います。
つまり。
絢辻さんという人物が、軽薄で、浅薄になった。

  ……こんなコト書いたら、あとで絢辻さんに読まれたときにひっぱたかれそうだ……。
  でも書く。
  断固として書く。
  だって、絶対そうだもん。
  絶対間違ってないもん。
  ごめんよ絢辻さん。大好きだからね。


 ▼向かう先の欠落


前回の感想で、オイサンは一つ書きそびれたことがあります。
それは……ガソガルの足を塗っていくペンキのシーンで絢辻さんの言った一言について。

  「あたしは完璧を求めているの」。

オイサンにとって、実はこの一言は、絢辻さんに馴染みません。
原作の絢辻さんは完璧を求めない。
そんな無駄なことはしない女の子だと、絢辻さんのことを
オイサンは捉えています。

原作絢辻さんの行いは、確かに完璧に近い。
けれども、完璧それ自体が目的や、目指すところでは決してありません。
これはもう、オイサンは言い切ります。
絢辻さんの行いは全て、一つのコトに収斂します。

それは、「目標」。

原作ゲームに登場し、アニメには出てこない言葉です。
これが、この二人の絢辻さんの間に横たわる、決定的な溝となっています。
原作での絢辻さんにあるものは、徹頭徹尾「目標」であって、
その目標が設定されるのは、「家族からの脱却」があるからです。

乱暴な言い方をすれば、「目標」に手が届くだけの成果を上げられさえすれば……
「あの家族」から脱すること、その足がかりを手に入れるお膳立てを揃えることさえ出来れば、
そこから先は疎かにしたって構わないという計算高さ・理性による制御が、
原作の絢辻さんを支えていました。

  ……あの、コレ、ゲームでもお話ン中でハッキリ言われてることではないですからね?。
  オイサンの読み取りと解釈の結果です。
  シナリオの全体。
  会話モード。
  世界観。
  それらから逆算したとき、この人の日常はこういう哲学で満たされているに違いない、
  でなければ、この世界で、コレだけの評価は得られない。
  ……そういう理解です。

  海千山千の大人どもとも対等に渡り合う、
  賢さを超えた「聡さ」とも言うべき、頭脳に留まらない振る舞いの雄雄しさと、
  原作の背後に感じ取ることの出来る彼女の超人じみた成功の歴史の気配から、
  絢辻さんという女の子は恐らくそういった、
  「ただしい理性と打算」を身につけ、飼いならしているに違いないと、
  オイサンが読み取っただけのことです。

  色々蛇足というか余談になりますけども、
  そこまで「読めてしまう」という原作『アマガミ』の世界は、
  やはり重厚なのだなあと思いますよ。すごいと思う。

そんな中で、より以上の「完璧」というオーバークオリティを求めることは、
効率が悪い。
彼女にとって不必要な行いです。

  その感情の構図は、
  「勇次郎さえ超えることさえ出来れば、最強でなくたって構わない」
  とする刃牙と似ています。

ところがその「目標」自体がアニメでは取り沙汰されない、
存在しないことになっているがために……
絢辻さんに新たに課せられたものが「完璧」と「プライド」だったわけです。
しかも、「学校」なんていう、卑近な社会の中でのみ評価を発揮する
飛び切り小さな「完璧」です。

この構図によってアニメでの絢辻さんは、
原作での「家族という呪縛から解放されるために、社会を見据え、未来を見据えた」
という雄雄しい姿に比して、非常にちいさな……
「学校という小さな社会での成否にこだわる、視野の狭い優等生」
にしか見えなくなっています。

理性や計算高さによる制御がなく、
「完璧」という存在しないものに向かってがむしゃらに走り続ける
(しかもそのせいで倒れたりする)絢辻さんは、
古今無双のスーパーヒロインではなく、どこかの物語で見たことのある
「『優秀さという欠陥』を抱えたキャラクター」
でしかなくなってしまっていると、オイサンはみています。


 ▼嘘をついても、震えたままでも。


ここでもう一つ重要なのが、上で書いた、
理性・計算高さが意識されることによって、
原作での絢辻さんには「穢れへの覚悟」が強調されることです。
簡単にいえば「キタナイことをしてでも勝つ」という覚悟があるかないか、
ということですが。

  それは言い換えれば、プライドや体面なんていう安っぽいものを、
  どこまで切り詰めて実を優先することが出来るか、
  泥にまみれても這い上がる覚悟があるか、ということです。

アニメでの絢辻さんに、そこまでの強さは見受けられない。
それがあるかないかというのは……
社会を見据えているか、いないかという目線の高さに直結します。
そういう意味で、やはり……アニメの新生・絢辻さんは、
原作絢辻さんに比して、頭でっかちで、いい子で、世間知らずな……
つまりは、ちょっと大人しい絢辻さんだよなあ、とオイサンは思います。



新しい絢辻さんを軸として、物語を捕らえなおす



上で書いてきたことはアニメでの絢辻さんが
「ちいさく」なってしまったことの原因ですが、
それに起因するちいささは、お話の中でも遺憾なく発揮されています。


 ▼たとえば、冒頭。


創設祭の準備が遅れ気味であることや、
絢辻さん自身が倒れたことを高橋先生に指摘され、
プライドが傷つけられたとか、周りがもっとしっかりすればとかこぼす絢辻さん。

周囲からのモットモな指摘に対して、
……改善する計算はあるのかもしれませんが……
逆ギレするにとどまらず、周囲のせいにすらしてしまう自己中心ぶりが垣間見えます。
マ絢辻さんは自分センター( ← 自己中心をカッコ良く言ってもダメだ)の人ですけど、
自分の失敗含みの状況を他者に押し付けてしまうというのは、
原作ではあり得ない卑しさです。
悪い意味でわがまま。

さらに、その解決策を提示する橘さんに対しても、
最終的に飲みはするものの、
プライド・体面を優先して、目に見えた目標への最適解に手をつけようとしません。
これはやはり、上で書いたような
「どんな手を使ってでも」
という覚悟の欠落であって、目先の鮮やかさにしか目が行かないのは……
原作における「目標」「家族」といった大目標がないために起こっていることだと
思えます。
いろんな面で綻びがあり過ぎる。


 ▼そしてまた、悪役三人娘に絡まれるシーン。


三人娘の不満は、下の立場すなわち使役される(しかも予想外に)側から見れば
ある意味モットモな話であると、オイサンは感じます。
組織的に考えれば彼女ら三人の不満は身勝手な感情論ですが、
個人が抱く感情としては、当然といえる部分も多々あります。

  ただ、映像を見る限り追加増員は有志だったみたいだし、
  いやならスルーすれば良いのにって話ですけどね。
  参加しといて文句垂れんなよって。
  マちょっと、ここではそこまで考えない。

原作での「人望厚く、後輩からも頼りにされる絢辻さん」であれば、
そこへのケアがあってもしかるべきなのに対し、
そこを突かれて逆切れするアニメの絢辻さんは、やはりちょっと足りてない。

実際、成功したら自分の手柄にする気満々だった絢辻さんには
耳の痛い言葉でもあったはずです。
超図星。

  絢辻さんが三人娘への逆襲の中で嘯くセリフ……
  「根も葉もないうわさを信じて……!!」
  という言葉がもう、この上もなく空しく上滑っていきます。
  絢辻さん……アンタ……橘さんとめっちゃ嬉しそうにいちゃついてるし、
  手柄も独り占めの予定やったやないか……。


 ▼黒辻さん発動。~怒りは誰のために。


また……みんなの前で黒辻さんを発動させるシーンにおいても、
その怒りが……自分よりも橘さんのための半・義憤であった原作に対し、
アニメでの描かれ方は、どちらかといえば私憤に近く見え。
さらに、そんなコトと引き換えに
「必死に守ってきた(ハズの)絢辻さんのこれまでの歴史」が、
あっさりと捨てられてしまいます。
やはりまた、そこで軽さをいや増して見えてしまいます。

  「え? そんなカンタンなことで、今までかぶってきた猫を捨てちゃうの?
   安すぎない?」
  と、オイサンは思いました。

  この印象の差がどっから発生しているのか、
  それはもうここまでの流れとしか言いようがない。
  プライドというものや、自己中な絢辻さんを強調した結果、
  三人娘の言葉が、そもそも絢辻さんの図星をついているという展開になった時点で、
  絢辻さんが「カチンときた」くらいにしか、オイサンには見えませんでした。
  発動の最終スイッチは確かに、橘さんが傷つけられたこと、なんですけどねえ。
  そこまでの流れが強すぎる。

  橘さんのために怒り、猫を脱ぎ捨てるからこそ、
  「今までの自分の立場全部と、橘さんを引き換えにする」
  という流れが出来上がり、
  絢辻さんにとっての橘さんの存在の大切さが際立つというのに。

そこからさらに、半ば逆切れした挙句に出てくる三人娘への言葉には、
原作での、相手の事実上の欠点を突いたものにとどまらない、
他者をただ見下しただけの、敬意の欠片もない攻撃が目立ちます。

  原作で彼女らに投げかける言葉はモチロン攻撃的ですが、
  そこに「絢辻さん自身の優秀さ」というものは直接的には登場せず、
  「三人娘の卑劣さ」だけが列挙されるもので、
  それは基本的に絶対的なものです。そこにはある意味で敬意が発生する。
  ところがアニメでの攻撃には、言葉の影に、多分に
  「あたしはあなたたちよりも優秀。だから黙って使われていろ」
  という意味合いが見え隠れして、
  相対的な上から目線で攻撃を仕掛ける構図になります。

「だまって手だけ動かしていろ」は……事実かも知れないけれども。
上に立つ人間が、決して言ってはいけないことだと思います。


……。


果たして、ここで出た言葉のどこまでが絢辻さんの本心で、
どこまでがポーズ……パワーゲームのためのものなのか分かりませんが。
それを読み取るヒントさえ混乱の最中。
好意的に拾い上げることも難しい。
素直に読み取るならば、ここでの絢辻さんは……
完璧とも、原作とも程遠い、「ダメな司令塔」の見本市みたいだなあ、と
オイサンは見ていて感じました。

小さい。
小さいよ。
そして、……弱いよ、絢辻さん。



■神社のシーン~手帳はナニを象徴するか



神社のシーン。
手帳の火葬。
アナタをあたしのものにします。
契約のキス。
ハッキリ言います。
原作における解釈が難しいシーントップ3を一まとめにされては、
オイサンにはもう、読みきれません!!!

  この三つのイベントは、
  絢辻さんが如何に段階的に橘さんへの信頼を深めていったか、
  ということを表す重要なファクターだと、原作では読みました。
  好意への反逆、
  好意への戸惑い、
  好意への敗北宣言。

その順序さえ入れ替えられては、もう
(原作では、あなたをあたしのものにします → キス → 手帳)。
思いつく限り、一番単純な解釈をするしかない。
それは、……愛の告白。
それで良いと思います。
「『アマガミSS』の絢辻さん」「らしい」、ひねくれた言葉尻での。

だからもう、ここで大事にしたいのは、一点だけ。
手帳が、絢辻さんの何を預かって天に召されたのかということなのですが。

……このアニメでは、絢辻さんが猫をかぶった理由についても
キチンとした説明や読み込むだけのファクターがありません。

  原作ではそこにまた、家族・目標と言った要素がフクザツにからんできますが、
  それが見えないアニメではそこまで掘り下げることが出来ません。

なのでストレートに読みとると、それはやっぱり
「完璧」を演じるための、利己的な保身・名誉欲のためだったとしか思えない。
そこでの「手帳」は、
絢辻さんの「周囲からの評価と抱き合わせにされた孤独」の象徴です。
猫かぶりによってこうむることになった「孤独」という代償と、
それから自分を守るための壁・鎧としての役割です。

橘さんの出現によって、絢辻さんはそれを必要としなくなった、
という構図なのですが……。
それを焼き捨てて尚、戦う力を残していた原作の絢辻さんと違い、
アニメの絢辻さんはこの時点で丸裸です。

この後、橘さんから思いもよらぬ反論をうけた絢辻さんは、
誰もが驚く「あのモード」に入るワケですが……
この時点で既に「自分を守る砦」を橘さんに完全に明け渡し、
ただの「あなた色に染まってしまった恋する乙女ちゃん」
になった絢辻さんとしては……
その流れは、寧ろ自然だったんじゃないかなあと、オイサンは思います。



■嗚呼劇中のスキBAD



絢辻さんが卑小化したもっとも顕著な例と言えるのが……
皆さんも驚かれたことでしょうけど、
スキBAD状態に入るための閾値までがズッガーンと下げられて、
お話の途中だというのにスキBADモードに入ってしまったことでしょう。

絢辻さんがあのモードに入るトリガは、簡単に言って
「深く信頼した者からの裏切り」だと思います。

  ホントはもっと細やかな言葉が必要ですが、ざっくり言ってしまえばね。

ゲーム版では「意図的で決定的な裏切り」によって初めて
絢辻さんはあのモードを発動させますが、このアニメ版では
「ちょっとした行き違い・意見の食い違い」のレベルでも、
その状態が発動するんだ、というように解釈されたのだと思います。

それは上でも書いたように、
絢辻さんがノーガード状態となっていることとあいまって、
ある意味正しく描かれていると思います。

  ただ逆に、オイサンはこれは一つのヒントだとも思っています。
  絢辻さんは次回で「帰って」くることは、先ず間違いない。
  それは橘さんの何らかの行いによってもたらされることでしょう。
  であれば、ゲーム版のスキBAD状態も、
  橘さんの同質の行いによって救われるのではないか?
  という考えです。

  ……。
  マとはいっても、多分どーってことのない帰って来方をすんじゃないかな、
  とは思いますけどね。
  ワリとフツーに、あっさりとね。

うーん。
やっぱりあの、スキBADというのは、一つのエピローグ……「結末」、
取り返しのつかないモノとして存在するから重み・魅力(?)を持つのであって、
話の中で簡単に陥ったり、戻ったり、するように扱うべきものではないと
オイサンなんかは思いますけどね。

なればこそ受け手は重く受け止めるのであって、
話の途上で持ち出して、簡単に解決を与えるべきではないと思います。
演出として悪いことだとはいいませんが、それはやはり、前回の感想で書いたような
「重さを強調するための演出強化」という方向性に他ならず、上滑りこそしないものの、
絢辻さんが
「二つの人格の間をカンタンに行ったり来たりする、
 ありふれた厨二なキャラクター」
に落っこちてしまったなあ、という感が否めない。
そのこと自体がもう、すっごく軽い。

  けれども、インパクトというか、短時間で引き付けるには、
  イマドキの若い人たちにはこのくらいでいいのかもなあ……
  なんていう日和ったことも考えてしまいますね。

尻軽になっちゃったなあ絢辻さん、と……思ってしまいますよ。


  ……。
  あ、ちがうよ?
  絢辻さんのことじゃないからね?
  「こっち」の絢辻さんの話だからね?
  なんでそんな怖い顔してるの?
  ……何それ? ソレ手にナニ持ってるの?
  焼きゴテ?
  なんで持ってるの? ていうかそんなのどこにあったの?

  ……真っ赤じゃん。
  それもう真っ赤になってるじゃん。 準備オッケーくない? それ。
  置こう?
  とりあえず置こう? ね?




■Closing~これをどう見れば良いのか?



まあ、そんなことでして。

少なくともオイサンの見た限り、原作での絢辻さんは、
生きるために汚いことも厭わない、強さと聡明さを持った女の子でした。
頭でっかちではなく、心も、体も、痛み傷つくことを知っていて闘う人だった。

その象徴としての猫かぶりとウソと打算であって、
人を操るということの裏には必ず、それに見合うだけの人への敬意があった。
『アマガミSS』では、絢辻さんはそうは描かれていない……と思います。
すくなくとも、現時点では。

面白いもので、劇中の橘さんの言葉の通りでしてね。



  そうだよ。絢辻さんはいつももっと堂々としてて、
  こんな状況、
  いくらだって上手く切り抜けられるひとじゃないか。




オイサンも、そう思います。
橘君。……ほんとキミとは、いつも肝心なところで意見があうねw

作っている側がどういうつもりで絢辻さんを描いているかは分かりません。
自覚的に、絢辻さんを「ちいさな」女の子に仕立て上げたのか、
それとも原作と同じサイズに描いているつもりでいるのか。

ただ、一つ救いを見出すとするなら。
「創設祭」というキーワードが、アニメでは大きな存在感を持つように感じています。

原作での創設祭は、それこそお話の一パーツに過ぎませんが、
第一章の冒頭で絢辻さんが呟いた、「来年こそはきっと」という言葉と、
原作以上に絢辻さんが創設祭そのもののこだわって見えるという点。

何か、『アマガミSS』における絢辻さんは、
創設祭に、クリスマスに、特別な思いを寄せているように見えます。

もしもそこを軸に絢辻さんの目的意識や感情を収斂させていくことが出来るなら、
このお話はまだうまくまとまる目があるんじゃないかとオイサンは思っています。
「あなたが何を分かってるって言うの!!」
という激しい言葉は、絢辻さんはまだ橘さんに隠していることがある。
そんな節にも見受けられますので。

がんばれ、絢辻さん!!



■オイサンの見る夢



……こんなことがありえるかどうか分かりませんが、
一つ、オイサンの大胆予想。

この絢辻さんは、自分の奥にもう一人の自分……
スキBADモードが眠っていることを知っていて、
目的の完遂、つまり創設祭成功のために、敢えて「その子」を呼び出した。
もしかすると元の自分に戻れないかもしれないというリスクを犯して「その子」を呼び出し、
「元の」自分では出来ないこと……
プライドを切り捨て、周囲と柔らかく溶け合うことで
創設祭をどうにか成功へ導くことを優先させた。
すべてが終わった暁に、橘さんが元の自分に返してくれることを信じて。

……ここまできたらヒトツ、そんな展開もアリなのではないかなあと思っています。
そこまでの覚悟、橘さんへの信頼があれば、それこそ……
原作の絢辻さん……強く、聡明で、穢れを恐れない、
目的のためなら手段を選ばない絢辻さんを、
原作以上のインパクトで描き出すことが出来るのではないかなあと。

  ……まあ、厨二臭は拭えませんけどね。
  オイサンに思いつく、これが限界。



……。



あの、口はばったいようですが、最後にヒトツ。

原作の物語は、「プレイヤーが絢辻さんを信じる」物語です。
いいですか、これだけはハッキリといっておきます。
「描き手が、プレイヤーに決断を迫る物語」なんです。

色んなことが靄の中、そんな中で……
あなたは、この裏表のある素敵な女の子の言うことを、最後まで信じますか?

……そういうゲームです。





ですから、ね。





はたして、最終章。
オイサンの大好きな絢辻さんは、何色のつばさで聖夜に舞い降りるのか。
全ては、サンタさんの言う通り。



オイサンでした。



ちなみに、今回の話の中で、オイサンが一番ぐっときた絢辻さんは。
夜の教室、
「もう一度、皆に手伝ってもらおう」と提案した橘さんを
「あたしの何がわかるってゆーの!!」
と締め上げる……その絢辻さんが、一番、かわいいと思いました。
絵はともかく、この期に及んでちょっと軽めでカワイイ、
名塚さんのお芝居が好きー。



  じゅっ。



熱い!



絢辻さんソレまだ持ってたの!?
なんで今当てたの!!?
当てたでしょ?
ワザとでしょ!!?



 
 

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コメント

■日向さん
まいどおおきにです。
23話、良かったですねえ。
やっぱりちょっと可愛らしすぎるきらいはある気がしますが、
なんというか、原作絢辻さんのかわいい所を抽出・増幅させた感じで、
そういう部分を楽しむという意味で見ごたえはあったと思います。
強さ・りりしさを、アニメからの方々にもっと見てもらいたいという思いはありましたが。
 
現時点では絢辻さん編も終わってラスト一話を残すのみですね。
マここまでくれば、あとくされなく終わってくれれば良いと思います。
 
最後まで楽しんで参りましょう。
 
 
 
■(no name)さん
はじめまして、ようこそのお越しで……なんですかね?
お名前がないので、それも分かりませんけども。

うーん、まあ、そうかも見える知れませんねえ。

別段、
「ゲームやったから偉ェ・やってる方が偉ェ」
と思ってるわけでは決してないですが。
ゲームとアニメの比較でしか語れていない、
というところは、やはり欠陥としてあるのは自覚しておりますよ。

その上でやはり、お話や人物造形は
ゲーム版の方が魅力的であるなあと思う、というだけのお話です。
それはもう、客観的に考えた観点からは勿論そうですし、
初めて出会ったのがゲーム版だった、という
どうしようもない主観的なインパクトも含んでのお話にしか出来ませんけども。
そしてゲーム版を知っているからこそ、
知らないよりも魅力的に補完できているなあと感じるところもあるわけです。

例えばもっと、(アニメ・ゲーム)どちらにも属さない
絢辻さんの物語について踏み込めれば優秀なのでしょうけども。
すみませんね。ヘッヘッヘ。

だからこそ、アニメ版にしか触れていない方の
アニメ版に対する評価であるとか、
どのようにこの物語を読み込み、楽しんでおられるか?
というところには、物凄く興味があるところです。

(no name)さんがゲームをやったかどうかはよう知りませんが、
いかがでしょうね、もし未プレイであるなら、
プレイする前にそういう観点のお話を伺えると幸いです。
よろしかったらお声がけ下さい。

  オイサンはキミの町に行くかも知れない!!
 
いずれにしても、『アマガミ』にも、『アマガミSS』にも、
勿論絢辻さんにも。
失礼のないように心がけたいと思います。
 
また遊びにいらして下さいね。
 
 
 

投稿: ikas2nd | 2010年12月22日 (水) 23時34分

ここといい七咲BAD厨二病便乗クソオヤジといい、何かにつけてゲーム>アニメって格付けするんだよな。
そして必ずゲームをやった人>アニメを見た人っていうアマガミファンレベルを作り、自分の地位を確認しようとする魂胆が見え見えなのが丸わかり。
自己主張するならはっきり言えば?アマガミSSに便乗してこっそり自己主張するのはアマガミにもアマガミSSにも失礼な話だ。

投稿: (no name) | 2010年12月19日 (日) 01時50分

  今回は前回と違い、オイサンと私の感想の違いを知りたくて放送後に見ました。

今回もオイサンの感想は凄いですね。ファンとして尊敬できます。それに比べ私の感想は……経験値の差を知りました。

  23話で思いましたのは、絢辻さんをはじめとする橘さん、薫。この三人のキャラがかっこよかった。
 絢辻さんが本性をクラスにさらけ出して、難癖をつけてきた女の子に言い返す場面は惚れなおしましたね。橘さんなんか、これまでの話ではただの変態ではないかな? なんて女子目線の不埒な考えがありましたが。やるときはやる男なんですね。薫もドッチで絢辻さん側にまわったりと薫らしい行動でしたし。

 私、個人。絢辻編でもっとも気にいった話になりました。まぁ、最終的に最終話を気にいってしまうとは思いますけど。

*あの難癖三人組の声はもうちょっとどうにかできなかったのでしょうかね。棒読みになってる箇所が気になるといえば、どうしても気になってしまう。

投稿: 日向 | 2010年12月17日 (金) 14時12分

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