« ■Fで歌えば -更新第603回- | トップページ | ■勝ってギターの袴を舐めろ(カオス) -更新第605回- »

2010年11月25日 (木)

■ジカンよ、止マレ。~アニメ『アマガミSS』・第17~20話・桜井梨穂子編感想 -更新第604回-

このアニメを作ったのは誰だあっ!
オイサンです。


……さあ!!


オシゴトも落ち着いたところで、
ボチボチやることをやりましょう、そうしましょう。

そんなわけで、すっかり滞ってしまっていた、
アニメ『アマガミSS』梨穂子編の感想をですね、
もうすっかり全4章分まとめてというカタチにはなってしまいますが、
まとめていこうと思います。

こっから先は長いですからね、
今日は前フリは短めで行きますよ。



  ※というわけで例によって、この先はアニメ『アマガミSS』、
    第17話~20話までの感想まとめになります。
    20話あたりはまだ未放送の地域もあると思いますので、
    ネタバレご勘弁の方は今しばらくご辛抱戴きたく、
    お願い申し上げる次第でございます。




■アニメ『アマガミSS』・第17話~第20話 桜井梨穂子編 感想



先ず全体として、面白かった。
そしてその面白さは、七咲編で感じたような
「こぢんまりとして退屈な出来のまとまり」ではなく、
オイサンにもちゃんと楽しめる面白さでした。

作り手の動機と、キャラクターの心情と、出来事と演出とがしっかりと噛み合って、
一つのことを描き出すことに成功していたと思います。
かつ、その描き方が野暮でなく、足りなさ過ぎもせず、
あまりハッキリとは提示しないながらも
読み取ることが出来ないほど薄めもしない、
ギリギリのセンを狙ってそれが上手くいっている、という
これまでの野暮ったさがウソのような出来栄えでした。

それでもまだ、オイサンにとってはところどころ
ちょっと説明過多かなーと感じるところはありましたが、
その辺は誤差というか、許容されるべきマチかなあと思います。



■「桜井梨穂子」を描き出す物語として



この梨穂子編では、作り手は「やることをすごく絞ってきた」感があります。

これまでの4人のヒロインのお話では、
原作ゲームのシナリオをトレースする上で必要なエピソードを片っ端から拾い集めて、
80分の時間に詰め込めるだけ詰め込んでいました。

その構造のせいで展開は加速して、
状況や人物の心情はどんどん移ろってゆくのに、
その経緯や流れをキチンと描写するだけの時間がとられておらず、
見ている側が読み取れるだけの時間と情報が与えられないまま出来事だけが進んでゆき……
その、見る側の気持ちを強引に乗っけようとするがために
演出ばかりが強化されていってしまい、見ているオイサン側からすれば
「心情としてはチグハグで性急なのに、演出ばっかり盛り上がって上滑りしている」
もののように見えていました。

この梨穂子編では、そのこれまでの主目的……
原作エピソードの網羅を(何故かイキナリ)バッサリと切り捨てて、
ある一つのこと、梨穂子がこれまで長く抱え続けてきた思いと、
その抱え方・暖め方を描き出すためだけに、
80分をフルに使いきるやり方にシフトしてきました。

  それは多分、作り手としても、
  「『桜井梨穂子』の魅力を描き伝えるには、そこだけ抑えてしまえば十分だ」
  という強い確信があったから……とかなんでしょうか。
  ようわからん。

  ただ、他のヒロインに比して、梨穂子は
  どんなルートに進んでもブレ無い一本の線というのが比較的強くあって
  (他の面々にもその性格の基本線というのはもちろんありますが)、
  且つその線というのが、それ一本に頼り切ってもお話にしやすい、
  という面があるようには思います。

それによってお話は、時間こそ進むものの、
イベントのトリガとなるような出来事の数は絞られ、
イベント毎に流れ移ろう心情の描き出しがしっかりされるようになったので、
見ているオイサンからすれば、丁寧で腑に落ちる物語の流れになっていました。

これは単純に作り方の問題だけではなく……
梨穂子というヒロインが生来持つ気質、
時間の感覚が大きくモノを言っているという側面もあると思います。

  ……よーするに、のんきモンというかね。
  いっこのコトを進めるのに、すごい時間がかかるというか。
  ことに、対象が幼馴染である橘さんとのコトともなれば、
  そのスパンは年単位でしょうから。

だから無理なく、長い時間がかかってもこんだけしかお話進みませんでしたよ、
ということがやれてしまったんじゃないかなあ、という
至極単純な推測もありつつ。

  ちょっと遡って考えると、
  ほな他の4人のヒロインは、同じやり方では出来なかったのか?
  ということにもなると思いますが。

  ……マ出来ないことは、きっとないのでしょう。
  原作シナリオのある段階の、
  短い一時期の出来事を切り取ってお話にすることは出来るでしょうが、
  それには結局お話開始時点の二人の状況を分かりやすく説明する必要が出てきますし、
  橘さんとの間に蓄積も何もない、これまでの(薫は除く、かな?)4人では、
  中途半端に始まって中途半端に終わるだけのお話になってしまう気がします。
  お話の一単位として、しまりのあるものにするのには、
  たくさんの下準備と前提が必要で、手間がかかりそう。

  あとは、原作を知らないとついてくるのが難しくなるでしょうから……
  恐らくは原作体験組よりも初見組を大事にしようとしている
  この番組の制作スタンスにそぐうものではなかった、
  という理由もあったのではないでしょうか。

ですので、
これまでの4人のヒロインの物語では二人の関係はどんどん変化するのに対して
梨穂子編でそれは殆ど動かない。
梨穂子が橘さんのことを好きだったこれまでの17年間の、
そのホンの一端としての半年あまりの出来事を切り抜いただけで、
二人の、男女としての関係は殆ど進みません。

ただそれは外見えのことだけで、今回描かれた半年に起こったことは恐らく、
過去17年で二人の間に起こった「男女としての進展」というジャンルの出来事としては、
急展開といっても良いくらいの速度で起こったことだったのではないかと推測します。
こんな速度のことを重ねて二人はきっと将来ゴールにたどり着くんだよ、
ということを示唆するための物語だったのではないかと。

  橘さんの梨穂子の扱いを見ても、ホントにただの幼馴染というか……
  「近所の女の子」を扱う以上の丁寧さはなく、
  これといって「あ、俺もしかしてこいつのこと」みたいな描写も殆どない。
  おっぱいでけーな、パンツ見えたな、くらいのことで。
  進展たって、そのくらいの「意識の仕方」くらいしか、ない。

  お話の最後で橘さんは、梨穂子のために茶道部に入りますが……果たして。
  それとて、そばにいたいとか、恋愛感情を伴うものではなさそうで、
  まだまだ幼馴染の世話を焼くの延長線にしかないように思えます。

  ……余談になりますが、オイサンは、この二人は案外、
  うまくはいかないんじゃないかなと思っています。
  梨穂子さん、「恋はあせらず」も結構ですが……ちょっとあせれ。
  橘さんが本当に、梨穂子に対して、異性としての興味がなさ過ぎに見える。
  この世界に橘さんと梨穂子、あと香苗さんと梅ちゃんくらいしかいないのであれば、
  きっとうまく行くでしょう。
  ですが如何せん、輝日東には森島センパイも中多さんも、
  絢辻さんだっているわけで。
  横からそういう、「ちょっと強い刺激」が「その気」を伴って
  ポーンと飛び込んで来た日には、この橘さんは多分、一瞬でそっちにひっぱられてしまう、
  そんな危うさを見ます。
  それらを突っぱねられるほど、梨穂子に興味をもっていない。
  梨穂子はもちろんそんなことはないですが、この橘さんは。

  ……すごく正直な気持ち。
  このままリニアに線を引いていくと、遅かれ早かれ、
  この二人はソエンで終わるんじゃないか。
  ただ画面に映る物語として、その結末が描かれないだけで。
  そのフリとしてアイドルの話があった……とは申しません。
  作っている側は、この物語の延長線上にハッピーエンドがあると思って
  線を引いていることだとは思うのですが、
  オイサンにはどうもそうは見えない、というだけです。

  なので、梨穂子さんはもうちょっとガンバル必要があると思います。
  とまあ、それは余談ですが。

そういう意味でこの桜井梨穂子編は、
桜井梨穂子というヒロインと、橘さんとの恋愛関係をを描き出すということについては
十二分にその役割を果たしているのではないかと考えます。

  この速度で歩く子なんだ、
  そしてそれにずっと付き合ってきた橘さんなんだ、
  だから二人は上手くいくんだ(オイサンの印象はおいといて)、
  という関係性の表現。

そしてこのペース・この密度だからこそ、80分という時間で、
説得力のある見せ方が出来たんじゃないのかなあと思います。

やはりその、起こる出来事が増え、変化点が増えると、
その時々に対して描かなければならない心情そのものや、
それが起きたきっかけなどを描き足さねばならず、
一つ一つに説得力を持たせようとすると80分では時間がたらないのではないかと思います。
それがどうしても上手く運ばなかったのがこれまでの4人のヒロインのお話だった。

  ▼転じて、橘純一を切り捨てる物語

あと個人的には、
これまで橘さんを……主軸と呼べるほどではないにしても、橘さん自身の前進も、
必ず多少は描くことを使命としていたお話の構造を、
どうしてここにきてバッサリ捨て去ってしまうことにしたのか?
これまで頑なに固執してきたことは一体なんだったのか?
……という風に思ったのですが。

原作『アマガミ』のお話の動機は橘さんのトラウマにあるので、
なんかそんな気分になってもいましたが……
実際それがクローズアップされているのは森島センパイ編くらいなもので。
他のヒロインのお話とトラウマとの関連性は、
冒頭でその場面が借りられる程度の扱いでしかありませんでしたことでしたから、
そもそもそんなに大事にしていたことでもないんだろうな、と思いなおしました。

  ……となると尚のこと、どうして「橘さんを主人公に」しようとしていたのか、
  分からなくなるんですけどね。
  初めからヒロインを主体に描く構成にしてしまえばよかったのに。
  なんでだろう?
  変態紳士の橘さん、という強いパーソナリティでもって
  エピソードのエキセントリックさを保つという構造があるからか。
  えろっちい絵やムードが出ることの言い訳にしたかったんだろうかな。
  動機としては弱い気もするんだけど。
  特に薫編なんかは変態成分がなくても(ない方が)話のまとまりとしては
  良くなるに違いないし。
  森島センパイ・中多さん・七咲に関しては
  変態成分がないと物足りないものにはなると思うけど。

  ……。

  そうなると、やっぱりねえ。
  変態紳士のポップな主人公Aと、
  誠実・しっとり系の主人公Bの二本立てで行った方が、
  分かりやすくてまとまりのいいものになったんじゃないの?
  という気はいたしますね。
  まオムニバスにするんだからワザワザ分ける必要もないのかもしれないけど、
  今回はこっちの主人公の出番、今回はこっち、っていうのが見えたほうが、
  視聴者としても、その分裂っぷりに戸惑わなくて済むと思うんですが。



……。



とまあ、そんなことでして。
この梨穂子編は、これまでと作り方をバッサリ変えたこと、
そして何よりも、梨穂子が梨穂子であった故に、
これまでの轍を踏まずに前に進むことが出来たお話だったのだろうと
オイサンは思いました。

  ある意味で、これまでの『アマガミSS』に
  引導を渡してしまったお話だった。

なんていうか、それはつまり、
梨穂子がある意味で他のヒロインとは別格……というとちょっと違いますが、
『アマガミ』において規格外のヒロインであることも表しているのかなあ、
なんて思ってしまいますな。

ただのベタな幼馴染ヒロインに見えなくもないんですけどね。
以下、各章ごとに印象的だったシーンを拾い上げていきたいと思います。



■第一章



各章ごとに……なんて言っておいてイキナリ全体的な話の続きをしちゃいますが、
この梨穂子編、背景の挿入の仕方とか、
一つ一つの背景のディティールがこれまでとは違ったベクトルで細やかで、
オイサンは見ていてちょっと楽しかったです。

たとえば、この第一章の冒頭も冒頭、
朝、梨穂子が迎えに来てくれた香苗さんと登校中に忘れものに気付いて取りに帰るシーンで……
道が僅かに、ビミョーに、右から左に向けて傾斜してるんですね。
そんなん平地だっていいじゃん! ……と言われてしまいそうな、
そしてお話に全然関係ないトコなんですけど、
そういう街並みのどうでもいいディティールが見てとれたりするシーンが結構あって、
それは見ていて面白かったです。

あと、回想の、変身儀式遊びのシーン。

ここがまたムダに芸が細かい。
梨穂子の回想、お姫様編の場合、橘さんは笑顔でやっていますが、
橘さんの回想、まんま肉まん編では、コドモ橘さんは真剣そのもので、
額に汗まで光らせてやっている。
本気だwww
橘さんどんだけ底意地悪いんだよw

……それにしたって、梨穂子の思い出は本当にいい思い出なんだから、
もっともっとネタ的な要素を排して「美しい思い出」の絵にしてしまえばいいのに、
なんでこう中途半端にネタっぽい画にしてしまうんだろう?
見てる側からすると、呆れるところなのか、ちょっとジーンとすればいいのか、
戸惑うところだ。

  余談。
  梨穂子が滑り台にお尻を詰まらせるシーンがありますが、
  オイサンも、せまいユニットバスで、
  あったまってる間にふやけたのかお尻がつっかえて
  一瞬抜けなくなったことがあります。
  あれは確かに焦る。
  このまま一生を終えるのか! って、ワリと本気で思います。


一点だけ。
どうしても気になった部分がありました。

それはラストシーン。
遅刻しそうになった橘さんが、近道フェンスをくぐり、
あとからやってくる梨穂子を思って
フェンスの穴を広げるシーンが描かれますが……
あの回想を、絵にして明確に提示することは果たして必要だったか。

……まあ必要・不必要で論じるようなことではなく、
表現としてどこまでを描いて、どこまでを読み手にゆだねるかという
さじ加減の問題なわけですが……
オイサン個人の感触としては、描かないでおいた方が、
温かみのある、梨穂子と橘さんの間柄らしい空気が演出できたと思います。

「またも遅刻しそうになった橘さんがフェンスをくぐって登校し、
 さあ教室へ向かおうとしたその時、
 ふと心に引っかかるものがあってフェンスの穴を振り返る」……

そこまでさえ描かれてあれば、その先を想起するには充分だと思います。
それで不足なら、
手のひらにやたらフェンスの跡をつけている橘さんを梅ちゃんがいぶかるとか、
「今日はひっからなかったよー」と嬉しそうに報告する
梨穂子と香苗さんを、陰で聞いていて満足げに笑う橘さんとか……
その程度の含みでとどめておいても充分ではないのかなと。



■第二章



スケートのシーン。
ぱんつにおムネと大サービスの梨穂子さんですが、橘さん的には
「ぱんつはどうでもいいけどさすがに胸は!」
という描き方には出来ないもんでしょうか。
イヤどうでもいいけど。

あと、香苗さんが随分世話焼きババアになってるのが、
原作のイメージとちがうな。
放っといて見守るスタンスの人だと思ってた。

一つ、名シーン。
この二章のラスト近くで、橘さんが梨穂子から受け取ったプレゼントの手袋をはめ、
梨穂子の頬に「ほり」と触れる場面があります。

オイサンはこの場面一発で……
「ああ、もしかすると梨穂子自身、
 実は橘さんが幼馴染よりも先の関係になることを、実は望んでいないんじゃないのかな」
と思ってしまいました。

無論そんなことは決してなく、
恋人になって、気安く「ほり」ってほっぺたに手をやってもらえない、
そうなってしまうことにはきっと耐えられない、というだけで、
その気持ちを丁寧にトレースすると、
「前には進みたい、でも今の関係はくずしたくない……!」
という、ありきたりながらも、否、ありきたりだからこそすごく切実な思いに行きつきます。

……すごい、素晴らしい。

そういう「言葉」は、今まで幾つもの作品でお目にかかってきましたが、
その気持ちを言葉で終わらせてしまうのではなく、
絵で、シーンで、言葉ナシに伝えてくれたものに出会ったのはこれが初めてかもしれない。

そしてこのシーンでの橘さんの「ほり」は、
前野さん、渾身の名演だと思います。
こういう短いセリフってむずかしそう。

雪の街並み、いいねえ。
稚内が恋しいよ。



■第三章・第四章



ここまでくると、細かいコトはあるのですがあまり大きなところはないのでまとめて。

第三章で神社のご利益について曖昧に触れ、
引っ張った分を四章で解決する流れがありますが。
そうそう、オイサン的にはこのくらい、読み手に任せるくらいでいいと思います。

またこの辺でも背景が色々挿入されますが、
珍しく街並み夜景が斜めがかった画で挿入されたり、
こういう目先を変えるだけでも随分ちがうもんですね。
面白いと思います。
ただ、
これまで全然出て来なかった「工事現場とクレーン」の画がイキナリ出てきたりしますが
これはなんか意味があるのでしょうか。
最初は原作でも出てきた、「工事中の橋」がらみかと思ったんですが
全然関係なかった。
変に気になるからいつもの風車ととにしておけばいいのに、
と、上で書いたこととは逆に、ここは思いました。

あとそして、手袋を忘れて部屋に取りに戻った橘さんのシーン。
わざわざ手袋をアップで写し直す、
そのカットはやっぱり必要ないんじゃないか。



……。



るっこ先輩が
「私だって彼氏いないっての、私の方がかわいいっての!」
という悔しがる場面が、なんと最終章の半分終わったところで挿入される。
この場面、原作ではかなり序盤のものだったと思います。
多分。
何気ないところだとは思いますが、こんなあたりからも
相当気合いを入れてシリーズ構成が練り直されていることが読みとれます。

そしてクライマックス、
シュークリームのシーンから流れ出す挿入歌とその先のシーンへの連続は、
七咲編でやろうとして、ものの見事にドン滑りしていた失敗を、
きれいさっぱり拭い直すほどまとまっていて
(というかそれはシーン単体の問題ではないけども)、
これはもう文句ナシ。

その後のシーンもとても丁寧で、
床の間に落ちる花の影など、象徴的で印象的なカットが盛りだくさん、
絵的にも見ごたえのあるお話だったと思います。
キャラ絵が乱れがちなシリーズではありましたが、
それを補って余りあるとオイサンは思っています。

★超余談……。
梅ちゃんがバレンタインのチョコを、薫・絢辻さんにおねだりするシーンで……
去り際の絢辻さんが一瞬、
ほんの一瞬だけ見せる「あほか」という表情www

  こ、このカットを描いたのは誰だあw!!
  いじめてやる!
  お菓子を買ってやる!!(ビ、ビスコ……!)

この表情は多分、狙ったものではなくて偶然出てしまったものだと思います。
ですが、絢辻さんの、表に出すぎず、隠しきれもせず、
というスキ間の表情がもう、すっごい微妙な線で漏れ出ていて、
なんかもう最高でした。
オイサン大爆笑。
コマ送りで見てみても明らかにそれとして描かれたッぽいコマは見当たらず、
動きの狭間でそういう風に見えてしまうだけなので、
尚のこと偶然出来てしまった画だと思うのですが。
いやーおかしいwww
笑った笑った。



■EDテーマ『恋はあせらず』。そして……



エンディングの「恋はあせらず」も、
マこれはただのオイサンの好みですが、
これまでの全5ヒロイン中ではオイサン的Bestです。
アニメのEDテーマに限らず、これまでリリースされてきたキャラソンの中でも
Bestに近くてお気に入り。

出だしのアコギ(だと思うんですがオイサンにはわかりません)の
素朴な響きといい、
歌詞の素朴さといい、
そしてシンタスのアッケラカンとした、
ちょっと抜けてて真剣味のすっかり足らない歌声(失礼)といい。
梨穂子という存在を、ダルマ落としよろしく、
トンカチですこーんと叩いて出てきたようなお歌だなあと思います。

……しかし。
挿入歌が大変なことをしてくれました。
あなたの心です(落ち着け)。

 ▼「星」が全てを破壊する。

ええー……。
梨穂子……。
梨穂子って……そうだったの?
というくらい、切実な挿入歌。

梨穂子が橘さんのことを好きなのは分かっていたし、
そこに虚飾や勘違いがあるなんて、もちろん毛ほども思っていなかった。
その気持ちがどっしりと心に根の張った、
ぶっといものであることは疑いようがないと思っていました。

ただ、その気持ちというのは……
理由とか、動機とか、そういうある意味で「些末な」ものとも無縁の、
根源的なものであるとオイサンは感じていて……
まさか、この歌のメロディに紡がれているような、細やかな、
繊維の一本一本までトレース出来てしまうようなものだとは思っていませんでした。

梨穂子が橘さんを思う気持ちが、こんなに「細い」ものだとは思っておらず、
その細いものを本当に丁寧に編み上げて出来た「太さ」だったとは、
気が付きませんでした。

  イヤ、梨穂子が橘さんとの思い出の一つ一つまで大切にしているのも
  分かっていたし、
  太い気持ちのそもそもが、そうした細いものの積み重ねであることも分かっていて、
  けれども、その一本一本は、もうとっくの昔に押しつぶされて、
  くっつきあって、
  一つ一つにばらすことが出来る状態にあるものではないと、
  オイサンは思っていたのです。
  けれども。
  梨穂子はそれらを、なんかもう、すっごく丁寧に保存していて……
  細いものを細いまま、大切に大切に編み上げていたんだと……。

  切ない。
  あまりに切ない。
  心が、胸が痛い。

梨穂子が「こうし『たい』」と、
自分の望みを口にすること自体がすごく規格外のことだと思うのだけど、
いざ彼女がそれを口にした瞬間、
その言葉がとんでもない破壊力をもつことを……この歌は如実に物語っている。
スキBADにおいてすら、自分の強い望みを口にしなかった、
否、
作り手がそうさせなかった理由がやっとわかった。
甘いなあオイサンは。

もっとボンヤリした女の子だと思ってた、
っていうか、
実際ボンヤリした子ではあるのだろうし、
思いを口にすることを「ガマンしている」子ではなくて、
そうしないことが「当たり前」になってしまっているだけの子なんだろうけども、
そのタガが外れたときに照射される波動の強さが
こんな危険レベルにあるものだと気付けなかった。

  後で少し述べますが、
  梨穂子の声優にシンタスが選ばれた理由がここにもあるような気がオイサンはしています。
  まあ勿論、他に似たような声質・気質の候補者はいるかもしれませんが……
  切実になり過ぎない、ちょっと抜けた音の持ち主でないと
  梨穂子は「痛すぎる」と、
  キャスティングに携わった誰かが直感的に感付いたんじゃないでしょうか。

まあ、多分、構造としてはこの歌のような梨穂子の姿が
実際の営みの中であらわれてくることはやはりイレギュラーなのでしょうから、
この歌の内容はある意味禁じ手、
梨穂子がやっちゃいけないタブーの発現なのだと思います。

けれども、もうあとには戻れない。
この歌を聴いてしまった以上、
ちょっと梨穂子を見る目が変わってしまうなあというオイサンです。

  間違っても、
  「梨穂子は可愛いなあ!!!」
  ……ではすまないことになってくる……と、思いますから。

  ……そうだよ。
  ねえ。
  これが、キャラソンってものだよ。
  本来の姿から若干の逸脱を含みながらも、本筋を大きく補う、
  腑に落とす力を持つものだよ。


ただ、やはり一点、オイサンが最後に気にするところは。
……果たしてこの歌は、
『アマガミ』と『アマガミSS』を繋ぐものになるのか、ということで。
それを確かめるための最後のポイントとして、
梨穂子のナミダイベント・テキタイイベント、
そして梨穂子 vs 上崎さんの顛末を見届けなければならないな、
と考えています。

これだけの強くて重い、光の反証としての闇を抱えた彼女が
橘さんにどんな見切りをつけるのか、
否、
果たして、本当に見切りをつけるのか?
それを見極めないことには、この歌が、本当に上で書いたような力を持ったものなのか
判別がつかないように思うのでした。

……いやあ。
最後にものすごいバクダンだったぜ。



■終わりに~桜井リホコと新谷リョウコ



とまあ、そんな感じでね。
梨穂子編、大変に面白かったです。オイサンにとって。
読み応えのある、梨穂子らしい、優しい重量感に満ちた出来栄えだったと感じています。

……デですね、
こういうことを言うのは、ただの印象論なので反則気味なアレなのですが……。
最終章でシュークリーム作る梨穂子が、
オイサンには何故か、ただの新谷良子に見えました。
ああ、梨穂子はシンタスなんだ、
梨穂子の中の人が新谷良子でなければならなかった意味がわかるアニメ化だった。
そんな風に思ったのです。

ラジオの中で「名前キャスティングだ」とか、冗談のネタにもされていましたが……
演技者としてのシンタスの「力」が梨穂子に求められたのはもちろんあると思います。
けれどもそれプラス、
人間としてのひと塊のシンタスが、梨穂子には欠かせなかったんじゃないか。
そんな風に思います。

上のEDテーマ「恋はあせらず」のところでも述べましたが、
長く思い続ける梨穂子を「重い」女の子にさせないためには、
シンタスの、あのどこかすっぽ抜けた感のある声とお芝居が必要だったのだろうし、
それプラス、
「乙女としてのシンタス」をスタッフは凄く嗅ぎ付けていて、
お芝居や技術では繕いきれない長く培われてきたそれを欲しがったんじゃないのかな?
とも思います。

おめでとう梨穂子、シンタス。
大変に素晴らしいお仕事だったと思います。
うらやましいです。素直に。



……。



思えば梨穂子編は、各所でたまに散見するように
「るっこ・飛羽の両先輩回だ」と言われるほどにお二人が活躍し、
かつ、香苗さん・梅ちゃんの活躍も目立つお話でした。

そのサブキャラの登場回数の多さと、物語への関わりの頻繁さ・豊富さ、
表情のゆたかさはきっと、皆から愛される梨穂子、
人の集まる人柄としての梨穂子を如実に表すものとして機能していて、
そこにこの物語の暖かみと心地よさが表現されていると思えました。

  そしてそうか、そういう密度でもって世界をの温度を表現することも出来るのか、
  すごいなあと、そのやり方を勉強させてもらった次第。

まオイサンは、上でも書いたみたいに……
この物語の延長線上の梨穂子には恐らく
(わざわざオムニバスにして世界を分断したにもかかわらず!!)
ハッピーエンドは訪れないだろうなあと……意地悪でもなく、斜め上でもなく、
すごく素直に感じてしまったわけですが。

そんな曖昧さ、ある意味でソエンへのいざないという、
残酷な結末も含めて描きだしてしまった
この『アマガミSS』桜井梨穂子編の全四章のお話が、
とても魅力的に映りました。



サア、では、このあとは!!



……と、……まあ、ね。
勢い込んで参りたいところでもあるのですけれど、
今はまだ。

この面白いお話と、
ようやく一つの正解を手繰り寄せたもう一つの輝日東の世界に……
オイサンは、
今しばらく浸っていたいなあと、
心から思うのでありますことですよ。



おめでとう、『アマガミ』。
オイサンでした。







……。








なるほど、四時半じゃねーの。




  

|

« ■Fで歌えば -更新第603回- | トップページ | ■勝ってギターの袴を舐めろ(カオス) -更新第605回- »

[ご意見]」カテゴリの記事

アニメ・コミック」カテゴリの記事

アマガミ」カテゴリの記事

」カテゴリの記事

コメント

■ムジさん
これはこれは、ようこそのお越しで。
初めまして、洒落た語り口のオイサンことikas2ndでございます。
今後ともどうぞよろしく。

まああまり参考になる様なしっかりとしたお話はあまりございませんで、
多少なりともスパイスになれば幸いであります。
基本的には印象論ですのでねw
肌に合えばコレ幸いと。

『アマガミ』ももうじき4周年にもなりますが、
まだまだこうして新しい方に見出して戴けるのも、
公式の方が、延命のように見えるようでもそれなりに活動を
続けている成果なのかなあと思います。
私たちの様な古株のユーザーも感謝しなければいけないかもしれませんね。

『アマガミ』は、一度ハマってしまうとどうしても語りたくなってしまうような
不思議な引力をもった作品だと思います。
そこに辿りつくまでがワリと大変だったり、
ある種特別な才能・感性を持っている必要があったりするような気がしますが、
せっかくここまでいらしたんですから、
何か新しい扉を開いて行って戴きたいと思います。
 
 
 

「『アマガミ』は現実」という言葉があります。ありました。
 
 
 
今も生きているのかどうか、そろそろ怪しんでいましたが、
まだまだいけるみたいですね。
良かった。
お話相手に足りるかどうかわかりませんが、
宜しければまた遊びにいらして下さい。
Twitterの方でも構いませんので。
 
それではまた。
引き続き、オイサンのうたとおどりでお楽しみください。
 
 
 

投稿: ikas2nd | 2013年2月 2日 (土) 09時39分

はじめまして。
最近アマガミの桜井梨穂子に惚れこんだ者です。
自分のブログで梨穂子について語っているのですが、ここの記事を非常に参考にさせていただきました。
ありがとうございます。

投稿: ムジ | 2013年1月19日 (土) 12時40分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/55967/37831028

この記事へのトラックバック一覧です: ■ジカンよ、止マレ。~アニメ『アマガミSS』・第17~20話・桜井梨穂子編感想 -更新第604回-:

« ■Fで歌えば -更新第603回- | トップページ | ■勝ってギターの袴を舐めろ(カオス) -更新第605回- »