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2010年10月 9日 (土)

■サイオー・ガウマー -更新第590回-

郷里の母親が手術して入院するってんで、
今日一日だけ実家にとんぼ返りで帰省しておりました。
オイサンです。



手術!



入院!!



……といっても、
別段脳天とか心臓とか、そういう一撃必殺的な芳香漂う部位ではなく、
どちらかといえばロースとかヒレとか、
モモ肉・スジ肉といった若干牧歌的な部位のお話でしたので、
実はオイサン、さほどの心配もしておりませんでした。

実際会ってきた母も全然元気そうでして
(もちろんかっ捌いた跡にはそれなりの痕を残しておりましたけれども)、
やる前から
「心配はせんでええから帰ってこんでもエエ」
と電話口で言っていた、その言葉の通りだったのだと思います。

  マその電話口に、少々テンションの高さは感じていましたから、
  不安や焦りの様なものはあったに違いありませんが。
  それに全身麻酔とかだったみたいですから、やっぱりちょっと怖くはありますよね。

マそんなコトだモンで、正直オイサンも母や父の言葉通り、
飛んで帰るほどの話でもないのだろうと頭で分かっておりましたし、
キモチの面でもいてもたってもいられないとか胸騒ぎがするとか、
そんなことも全然ありませんでした。
マほっときゃいいんだろうなー、と。

ただそれでも、今回無理に帰省・見舞いに踏み切ったのには一つ、
オイサン的に大きな理由がありました。



■フツーの気持ち



オイサンが大学生だった頃、
父が年とともに目を患い入院する、ということがありました。
今回母が入院しているのは実家からもほど近い、
歩いて行けてしまう距離にあるオイサンも子供の頃から馴染みのある病院ですが、
そのとき父が入院したのは、家から遠く離れた、大阪の大きな病院でした。

大学何年の頃だったかもよく憶えていません。
まだ演劇をやっていたような気がしますから、多分二回生の半ばとか、そんな感じだったと思います。
まあ、ハタチになるかならんか、というあたりですね。

そのときオイサンは一度だけ、言われるままに母に伴い、父の見舞いに行ったのですが……
正直、母に「お父さんのお見舞いに行くよ」と言われるまで、

  「病気で手術をして入院をしている父を見舞いに行く」

という……至極当たり前に思える発想が、まるでなかったのです。

アニメや、マンガや、ドラマや、小説や、
そんなものではもうド定番中のド定番、腐るほど見てきたはずのその場面に、
実際の自分が立つことを一切考えて入れていなかったのです。

しかもそのこと……
「母に言われるまで、その発想が、その当時の自分になかったこと」に気付いたのは、
社会人になってから。
同僚が怪我だか病気だか、なんかそのアイノコみたいな症状で入院した、と聞かされたとき、
「あー、へー。……ふーん」
としか自分は本当に考えておらず、他の同期が
「お見舞いに行ったらなアカンな」
と話しているのを聞いて……ハタ!!! と、気付いたのです。

……俺、知り合いのお見舞いとか、自分で行こうと思って行ったことなくね???
そういや大学ン時、親父入院しなかったっけ???
そんとき自分、どうしてた?
お見舞い行ったけど、オカンに言われてだよなあ?
自分で「あ、そうしなきゃ」って少しでも思ったか? 思ってねえ!!
……これは……。

正直、ワリと真面目に愕然としたのを憶えています。
その同期は趣味も好みも頭の中身もワリとよく似た仲良しさんだったので、なおさらです。

自分は、なんかおかしい。
薄情なのか?
その自覚はある。
けど、発想のカケラもないってのはどうかしてやしないかと。
普通に感じて考えて直結して、しかるべき発想じゃないかと。
もしかして、フィクションでのみそんな場面に触れ過ぎて、
それは現実とは別のことだと思ってるんじゃないかとか、
ありゲでなさゲな考えまで頭に廻らせたり。
……していました。

……でまあ、そんなことでですね。
オイサンは心に固く誓っていたのです。

万が一、
……もちろんそうなることを望むわけではないですからね……、
万が一、今度誰か身内がそういうことになったら、
どんな些細なことでも良い、絶対必ず、何をおいても見舞いに行こう、と。
そうすることで、それが当たり前であるという感覚を、
自分にしみこませてやろうと。

実際、今回の見舞いは父母の言う通り、要るか要らんかといわれたら、
恐らく要らん部類の行為だったと思いますし、
こういうことは、やっぱり相手方の感情も相応に斟酌する必要があると思っています。

「来なくて良い」と言っているその言葉が、
額面どおりの物なのか、
それとも遠慮から来るどってことないアレなのか(なんだそれ)、
はたまた額面よりももっと業の深い、「お前はくるな」という類の憎しみめいたものなのか、
そんなところまで読み取って実行に移すべきことだと思います。

行く側の感情……お祭り騒ぎにする人間は論外ですが、
「今度何かがあってからでは遅いから、これをきっかけとして
 どうしても一度会っておきたい」
というような感情が働く場合は、訪れる側の人間の感情も、蔑ろには出来ませんでしょう。
その辺はもう……行く側と受ける側の、関係の取り方ひとつだと思いますけどね。


……ちょっと話が関係の無い方へ行きましたけど、
マそんな決意・思惑もあってですね。
練習ってわけではありませんけど。

こうして、父で気付いたことを母で返していく、ってのもまあ、
子供としては悪いことではないんじゃないかと、
35歳にもなったでっかい子供は、一人しみじみと思うわけですよ。

一応、そういうことの真相とか顛末は、母にも話して参りましたし。
なんにせよ、元気そうで良かった。
あとはしっかり元通りになるまでゆっくり休んで、
しっかり鍛えて貰いたいと思う息子さんでした。



■『お前が……お前が母さんを殺したんだ!!』



それと絡んでもう一個。

今回母を見舞うに当たり、
ちょっと今オシゴトの立て込んでいるオイサンは、一緒にオシゴトをしている同僚に、
正直休みをつぶしてでも詰めていなければならない状況であることは理解していて
済まないとは思うが、この日だけは休ませて欲しいとお願いをして
手術と入院の日取りをお伝えしました。

そして手術の前日の夜、その日もお互い遅くまで働いて、
日付が変わるか変わらないかというタイミングで一緒に建屋を出るときに、
彼はニタリと含みありげに笑って
「いやあ、なにごともないといいねえ」
と言いました。

いや、そりゃモチロン冗談で、オイサンもそんなのすっかり理解していて、
ニタリと笑い返して「まったくだねえ」と応酬したりしたもんで、
そんなやり取りそのものは、世間一般の物差しで言うところの
「フキンシン」だとか、「言ってイイことワルいコト」なんていうモノを遥か彼方に置き去りにした
十数年来の呼吸というヤツなので一切問題にする気はないのですが、
あとになってハタと、

  「しかしこれで万が一の事故とかが起こって母が帰らぬ人となったりした日には、
   そんな一言も、恨みに思う人間は思うだろうなあ」

と思い至って、
やっぱちょっと、冗談でも自分が振るのは怖いな、と思った次第です。
言われる分には、今回みたいに相手が相手ならもう
オイサン全然オッケーですけどね。

場のノリとか勢いとか、やっぱりそういう深い関係であるとか、
場合によっては使ってしまいそうなネタなので……
それでも、生き死にに関わるネタは、
やっぱ人相手には使うとそのあと何が起こるかわかんないので、
気をつけよー、と改めて思った、そんな一瞬の出来事でした。



というわけで本日のスターティングナンバーは、
さっさと元気になって欲しいという思いを込めて、
ご本人の母も大好きだったこの曲を。







オイサンでした。



 

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