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2010年5月28日 (金)

■底抜け!パワフルプロ野球~本日はお祝いモードで~ -更新第509回-

    リビング。
地べたに胡坐をかき、TVに向かって
ゲーム機のコントローラを構える主人公。
そこへ。
   
絢 辻  「  それ、野球? 」   絢辻さん、背後から
  画面を覗き込んで
主人公  「  わ、びっくりした。お帰り。     肩越しに振りかえり
     そうだよ。野球ゲーム……いつ帰ってきたの? 」  
 
絢 辻  「  今。ふーん……面白いの? 」   主人公の背後を離れ、
  ダイニングに買い物の
  袋を置きながら
主人公  「  いや、僕もまだ始めたばっかりで……    
     面白いからって聞いて、 」  
絢 辻  「  買って来ちゃったの? 」   荷物をバラし、上着を
  脱いだりしながら
主人公  「  ううん、借りてきた。カタ落ちのやつを 」  
絢 辻  「  カタ落ち? 」  
 
主人公  「  毎年出るんだ。選手のデータが更新されて 」  
絢 辻  「  ふうん。よく分からないわね 」  
主人公  「  まあね。そうだね 」  
 
絢 辻  「  そんなことより、洗濯物、取り込んでくれない?    
     雨、降りそうなのよ。    
     あたし、買ってきた食材しまわないといけないから 」  
主人公  「  ああ、うん。了解 」   窓の外を見やり、
  手を止めて腰を上げる
         
 
 
    ♪♪~、と、二人の足音と、    
    点けたままのゲームのBGMが流れる。    
    主人公、カラカラとベランダへの大窓を開けて。    
         
 
 
主人公  「  あー、確かにどんよりしてるね 」  
絢 辻  「  でしょう? 早めに帰って来られて良かったわ……     冷蔵庫のスペースを
     この飲みかけの烏龍茶、もらっていい? 」   確認しながら
主人公  「  いいけど。新しいの開けたら? 」   ベランダに出つつ
 
絢 辻  (  コク……コク…… )  
主人公  (  もう飲んでるか…… )  
         
 
 
    ♪♪~、と、点けっぱなしのTVからゲームのBGM。    
    ベランダから流れてくる風の音。    
    絢辻さん、荷物の整理を進めつつ。    
    主人公はベランダで、洗濯物を取り込んでいる。    
         
 
 
絢 辻  「  そういえばね 」   荷物の整理をしつつ
主人公  「  そういえばさ 」   ベランダで洗濯物を
  回収しつつ
絢 辻  「  あ 」  
 
主人公  「  いいよ、お先に 」  
絢 辻  「  高橋先生、輝日東辞めたんですって 」  
主人公  「  へえ、そうなんだ? 」  
 
絢 辻  「  うん。駅で偶然、数学の××先生に会って。憶えてる?    
     そんなこと言ってた 」  
主人公  「  ××? ふうん、この辺なのかな。絢辻さんが声かけたの? 」  
絢 辻  「  ううん、向こうから。あたしの顔見るなり、    
     『君は…… 』だって 」   若干物まねじみながら
主人公  「  ははっ、さすがに絢辻さんは印象的だったんだろうね 」  
 
主人公  (  絢辻さんの下着、ちっちゃくてかわいいなあ…… )   と、洗濯物を広げて
絢 辻  「  しみじみ見ないの!! 」  
主人公  「  ご、ごめん! 」  
 
絢 辻  「  まったく……未だにそういうのに興味あるわけ?    
     いい加減見飽きたりしないもの? 」  
主人公  「  全然。何年一緒にいても、魅力的だよ 」  
絢 辻  「  …… 」   冷蔵庫を
  覗き込んだまま固まる
 
主人公  「  ……絢辻さん? 」  
絢 辻  「  …… 」  
         
 
 
    ピーッ、 ピーッ。    
         
 
 
絢 辻  「  ……ハッ? 」  
主人公  「  絢辻さん、冷蔵庫。開け過ぎ 」  
絢 辻  「  わ、分かってる!    
     この冷蔵庫、時間制限が厳し過ぎるんじゃない? 」   慌てて冷蔵庫を閉め
 
主人公  「  っと、こ、れ、で、最、後……か、なっと。     取り込んだ洗濯物の
     あ、降ってきた 」   確認をして
絢 辻  「  本当? ちょうどいいタイミングね。    
     ……あら、失敗。牛乳まだ残ってたわ。まあいいか。    
     今晩クリームシチューだし 」  
主人公  「  あ、それは楽しみだなあ。よっと。     どさり、と洗濯物を
     はい完了。ついでに畳んじゃうよ? 」   リビングに山にして
絢 辻  「  ええ、お願い 」  
 
 
         
    カラカラ、と大窓を閉める。    
    ♪♪~、とゲームのBGMに混じって、    
    洗濯物をたたむ衣擦れの音、    
    レジ袋のこすれるかさかさという音が漂う    
         
 
 
絢 辻  「  ……ねえ 」   引き続き冷蔵庫を覗き
主人公  「  んー? 」   洗濯物と格闘しつつ
 
絢 辻  「  これ、何? 」   冷蔵庫の中に白い箱を見つけて
主人公  「  どれ? 」  
絢 辻  「  冷蔵庫の中の、白い四角い 」  
 
主人公  「  ……オトウフ 」  
 
絢 辻  「  ……10、9、8、2、1…… 」  
主人公  「  ケーキ、ケーキです。ごめんなさい 」  
 
絢 辻  「  ケーキ? なんで? 」  
主人公  「  ご飯のあとに食べようと思ってさ 」  
絢 辻  「  じゃなくて。どうして何にもないのに、ケーキなのよ 」  
 
主人公  「  論文、賞獲ったんでしょ? 」  
絢 辻  「  な、なんでそんなこと知ってるの!? 」  
 
主人公  「  ネットで引っ掛けたら、そのくらい出てくるよ 」  
絢 辻  「  そんなことしてるの!? 」  
主人公  「  時々だけどね。だから、今日のタイミングの良さは偶然。    
     ……でも、そういうのは教えてよ。    
     せっかくおめでたいことなんだからさ 」  
 
絢 辻  「  別に……大した賞じゃないわよ 」  
主人公  「  それでも。毎回ケーキじゃなくても、    
     おめでとうくらいは言いたいよ 」  
 
絢 辻  「  ……おめでたくない 」  
主人公  「  そりゃあ、その論文や賞の本当の価値なんて、    
     僕にはわからないけどさ 」  
絢 辻  「  そんなつもりじゃ……! ……ごめんなさい 」  
 
主人公  「  あ、責めてるわけじゃないよ。嫌ならいいんだ 」  
絢 辻  「  い、嫌じゃない! 」  
主人公  「  あ、絢辻さん、声! 」  
 
絢 辻  「  あ……。 ……い、嫌なわけじゃないわよ。    
     大げさだって言ってるの 」  
主人公  「  わ、分かったよ。分かったから。    
     とりあえず今日だけは、ね。もう買ってきちゃったから 」  
 
絢 辻  「  うん……。着替えてくる 」   荷物を片し終えて
主人公  「  ああ、うん 」  
         
 
 
    絢辻さん廊下の奥の部屋へ去る。    
    足音、がちゃ、パタンというドアの音。    
    ♪♪~、と、つけ放しのゲームのBGMに混じって、    
    主人公が洗濯物をしまう、クローゼットを開けたてする音。    
    主人公の、梨穂子ゆずりのおかしな鼻歌が混じる    
         
 
 
主人公  「  さて、おしまいっと。あとは……。     洗濯物を畳み終え
     風呂も、沸かしちゃうか 」   腰を上げる
         
 
 
    と、廊下をバスルームへ向かう途中、ドアの向こうから    
 
 
         
絢 辻  『  ゴホ、ゴホッ 』  
主人公  「  どうしたの? 風邪? 」  
 
絢 辻  『  ……なんでもふぁい 』   くぐもった声。
主人公  「  ……なに食べてんの? 」  
絢 辻  『  食べてふぁい 』  
 
主人公  「  ……食べてるじゃない。開けるよ? 」  
絢 辻  『  ……カロリーメイト 』  
 
主人公  (  隠すことないのに。お腹空いてたのかな )  
絢 辻  『  古いのが鞄に入れっぱなしになってたのよ 』  
主人公  「  そっか。あれ、飲み物ないと辛いもんね 」  
絢 辻  『  …… 』  
 
主人公  (  よく分かんないや。そっとしておこう )  
         
 
 
    ♪♪~、とゲームのBGMに、    
    バカン、とバスルームへのドアの開く音、    
    給湯パネルを操作する電子音。    
    水の流れる音が浴室に反響して漏れ出し、
ゲームのBGMと混じる。
   
    がちゃ、ばたん、と部屋から出てくる絢辻さん。    
         
 
 
主人公  「  お疲れ 」   廊下で合流し、
絢 辻  「  ……うん 」   LDに向かう二人
 
主人公  (  さっきの、なんか気にしてるのかな。変なの )  
 
絢 辻  「  あの、ごめんなさい、ニュース、かけたいんだけど…… 」   遠慮がちに
  テレビに目をやって
主人公  「  ああ、分かった。いいよ、切るよ 」  
絢 辻  「  大丈夫? 」  
 
主人公  「  平気。始めたばっかりだし 」  
絢 辻  「  そう。悪いわね 」  
主人公  「  どういたしまして。BSでいいんでしょ? 」  
 
絢 辻  「  はーい。お茶淹れるけど、飲む? 」  
主人公  「  うん、下さい 」  
絢 辻  「  承りました 」  
 
 
         
    遠く、バスルームの扉の向こうから水のたまっていく音。    
    リビングに戻る主人公。    
    と、途中で別れてキッチンに立つ絢辻さん。    
         
    ♪♪~……。 と、ゲームのBGMが途切れて、    
    画面はニュースに替わりアナウンサーの声が流れ始める。    
         
    キッチンでは、パタパタと戸棚を開けたてする音、    
    カチャカチャという陶器の触れ合う音と金属音、    
    コンロが捻られてボッと火が立ち、    
    シューという、ガスの流れるかすかな音。    
    スリッパとカーペットの触れ合う音。    
    ケトルの金属音のあとに蛇口が捻られて、    
    水音がもう一つ重なる、それに混じって。    
         
 
 
絢 辻  「  ♪♪~ 」  
 
主人公  「  え? 」  
絢 辻  「  うん? 」  
 
主人公  「  今の 」  
絢 辻  「  ああ、うん。     キッチンでお茶を
     だって、ずーっと繰り返して鳴ってるんだもの。     淹れながら。主人公には
     憶えちゃうわよ。ノリのいい曲だし 」   背を向けている
 
主人公  「  まあ、そうだね 」  
絢 辻  「  でしょう? 嫌いじゃないわよ 」  
主人公  (  驚いたな…… )  
 
絢 辻  「  あとでやりましょうか 」  
主人公  「  え? パワプロ? 」  
絢 辻  「  っていうの? 野球。二人で出来るんでしょ? 」  
主人公  「  ああ、えっと、うん…… 」  
 
絢 辻  「  決まりね。ご飯のあとで、お茶淹れて。    
     ……ケーキ、食べながらね 」  
主人公  「  いいね 」  
 
絢 辻  「  うん。ありがと 」  
主人公  「  え? 何が? 」  
絢 辻  「  ううん。なんでもない 」  
主人公  「  はは。そっか 」  
 
 
主人公  (  楽しい夜に、なりそうだな )  
 
 
 
 
 

■実況!パワフル絢辻さん!



いかがでしたでしょうか。
『実況!パワフル絢辻さん』。
楽しんで戴けたでしょうか?

……正直なところ、オイサン自身この話をもって
何を語りたかったのかというのはさっぱり持って分かりません。

ただ、Twitter上に『パワプロ』『ウイイレ』という単語が出てきたときに、
それを絢辻さんを絡めるとどういう話になるだろうか、
というおかしな興味が沸いて出て、
そこから始まりそこに終わったお話です。

「絡んでない」

というご指摘は甘んじてお受けしますが、
オイサンはワリとこれでも十分かなあと。
そもそもオイサンが『パワプロ』やったコトねえっつうんだからしょうがない。

でも『パワプロ9』のOPだけは大好きで
(ヒトツの物語としてスバラシイと思います。
 そんな、コミックスを何十巻とかアニメを1年とか、
 見なくても全然、ある幾人かの高校球児たちの3年間を読み取ることの出来る、
 非常にすばらしい映像だと思っています。
 ……というのも、受け手の中に既に何篇かの「高校野球の物語」が
 存在していてこその解釈ですが)、
その影響でサントラは持っており、
なんというか、
スポーツゲーム「ならでは」の音楽の良さみたいなものを感じていて、
そこを生かせないかと思って書きました。

うーん。

案外、オイサンはテレビゲーム、ビデオゲームの「良さ」は
そういう部分、つまり
「繰り返されるノリの良さ」
みたいなところに大きく依拠するものだと思っておりまして。


■パワプロ メニュー画面BGM



それは多分、子供の頃から
『ドラゴンクエスト』のサントラテープ(CDじゃなくてカセットですよw)についてくる、
すぎやまこういち先生のライナーノーツなんかを
結構真面目に読んでいた影響が大きいんだと思います。

「戦闘音楽は一番繰り返して聞く曲だから、
 聴いてて飽きず・疲れず、かつ勇ましいものを」

だとか。
音楽がそれぞれ役割を持ち、その工夫の上で拵えられたものであることを、
ワリと自身が幼い段階から意識していました。

そうした中で、スポーツゲームにおける間奏にあたる、
チーム編成だとか、経営だとかのシーンで流れる曲の、
日常性と闘争性のあいのこみたいな雰囲気はきっと、
「手放されて流され続ける」ことを、ワリと得意としている、
誰も画面を見ていない時間が似合うのではないかなーと、
そしてその状態が作り出される、家庭に類する場所は、
なんだか「良い」場所なのではないだろうかと、
自分の子供の頃を思い返して、その感じを再現させてみました。

マ別に絢辻さんである必然性も何もないハナシですが、
こんな一幕もあんじゃないのって、その程度の話さ。
ちなみにオイサン、『ファミスタ』で一回フラれています。
5回コールドかまして。



オイサンでした。


■実況パワフルプロ野球9 OP




 

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