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2010年5月 3日 (月)

■『アマガミ』~ユメの心臓 -更新第487回-

今更ながらに思うけど、『アマガミ』はちょっと得して損してるなあ、と
ワケの分からないことを書いてみる。

なんかというと、

  1)「ひと目ではそれと分からない、しっかりした物語作品である」

という「本質」部分と、

  2)「ひと目で分かるライトエロゲー」

という「チラシ」の部分が同居することの話だわ。


  ■


結局、1)だけくそ真面目に拵えたって、
プレイした人間で且つそこに用意された溝に片足なり両足なり、
何なら体ごと、ゾゴッ
(視界の悪い雨の日に一車線くらいの道を歩いてたら正面から車が来て、
 側溝があることに気付かないで脇に寄ったらに見事にはまり、
 コンクリの角で足首の側面を思い切りすりむいた感じの擬音)
とハマった中~少数の人間にしか届かず、
鳴かず飛ばず、とはいわないまでも、
「大きな展開をやらかすにはちょっと稼ぎが足らんな」
と偉い人に言われるくらいにしかならなかったし、
そうとしかならんだろうな、と高山さんや坂本Pは分かっていたんでしょう。

そこで自らの中の広告塔として 2) を設けて、
先ずはその最初の網をがーっと広げ
(ついでに今をときめくカオスジェネレータあすみんと、
 彼女のパフォーマンスを最大限に高めつつ真のカオスにまでは破綻はさせない
 シンタスと組ませてWebラジオを展開して)、
フルイにかける前の母数の最大化を、まずは図ったんでしょうなあ、と。


  ■


この時点で、この世の中の人間が四種類に分類出来て、

  a) 物語ゲームとしての『アマガミ』を、最大限に楽しんだ人間
  b) 本編を手に取りはするものの、やっぱりライトエロゲー成分だけ楽しんで止まった人
  c) ライトエロゲー成分を、外縁からだけ楽しんで盛り上がっただけの人
  d) そもそも興味のない人

d)は論外として、要するに、b)まで来る人間を最大限に増やして
少しでもa)まで到達してくれるユーザを増やしたい、という思いが、
きっとあったんだろうなあと思うわけで。

  ビジネス……「商品」としては当然のこと、
  作家……「作品」としての存在意義の意味でも。

1)の境地に到達する人間の数を最大化するためにライトエロでおびき寄せ、
2)で終わる人間は終わってもいいから、という気分で一先ず手に取らせて、
1)に気付いた人間はがっつりと懐に呼び込んでボコってしまう。

  分かりやすく言うと、

  七咲にスカートたくしあげさせて偽ぱんつでおびき寄せ、
  寄ってきた輩を
  「かかったわねっ」
  とばかりに、左右の物陰に潜ませていた絢辻さんと上崎さんでめったうちにする、
  という感じか。

  もちろん七咲だって大本命で、
  掴みかかられたらグラウンドに持ち込んで締め殺すくらいの
  パフォーマンスは誇ってるワケで。

  ちなみに森島センパイと薫は立ち技系だろうな。
  梨穂子はグラウンド(曙的な意味で)、
  中多さんはマスクかぶってコーナーから飛びそうだ。

やっぱり、作り手として一番にあったのは、
物語ゲームとしてのデキを一番多くの人に、最大限に面白がって欲しい、
という思いだろうし。
「イマドキ、そのためにはこんくらいの頭はつかわにゃならん!!」
という、周到で、狡猾で、でもその根っこには光り輝く真摯な思いを抱いて、
仕込んだのだろう。
頭が下がる思いです。

けどその一方で、やっぱりエキセントリックに展開していくのは
2)の見た目のわかりやすさで、
フルイにかけられa)まで残る人間の数よりは、b)、c)の人間の方が多くて、
例えば同人にせよ、コミカライズにせよ、
a)だけを相手取ることは出来ず、b)c)を狙って図っていかないとお金になんない、
というジレンマがうまれてしまったんじゃないだろうか。


  ■


デ結局のところ、a)の人をそこまでして集めたのに、
がっつりとa)の方を向いてこしらえる商品展開というのは難しく、
a)の人たち……マおいさん含む色々な人たちwですよ……は、
期待を膨らませながらも完全に信頼しきることも出来ない……

  いや、信頼はしてるんです、確実に。
  けれどそれは、「俺たちの期待に100%応えてくれる!」というものではなくて、
  「切り捨てることはされない!」という軽く後ろ向き、ヨコナナメ向きな
  大人びたものであって……そうだなあ、
  何かが起こっても、無邪気に、手放しでは盛り上がれないという感じか。

で、心のどこかに醒めた思いをしのばせつつ
「もしかしたら」
「万に一つくらいは」
というやり切れない思いで自分たちの思いが成就される日を待っている、
……そんな画になってる気がします。

  不倫相手の男がいつか奥さんと別れて自分と一緒になってくれるのを待ってる
  お妾さんみたいな気分ですよ、多分。
  我々なんてものは。

イキオイ、リリースされる公式モノ……コミックにせよドラマCDにせよ……
の「物語」としてのクオリティ、ディープさってオイサンはなかなか満足できておらず、
それってやっぱり、展開の大割合がb)、c)の「大多数のお客さん」に向いてしまってるからなのかなあ、
と軽い嫉妬を憶えるわけです。
触って欲しいところに触ってもらえない感じがある。


  ■


ちょっと話はずれるけども、
オイサンは、橘さんが生まれたときから橘さん……すなわち変態紳士だったのかと言われたら
多分違ったんだろうなとなんとなく思っていて
(この辺の誕生秘話みたいなのってあったんですっけ?
 「『アマガミ』は橘ありきでこしらえました!」みたいな制作話。
 あったらこの辺の文章全然いらなくなりますからそのつもりで読んで下さいね)、
その、b)の人たちの数を最大化するライトエロゲとしての仮の姿……
まさに天下無敵の仮面変態紳士としての『アマガミ』を生み出す過程で、
その象徴的存在としてうまれたんじゃないだろうか、と思うワケで。

  それはまあ、かなり初期の段階の話になるだろうから、
  「ゲーム」の制作は橘さんありきだったのかもしれないけどね。
  「制作プロジェクト」として、ライトエロゲとして成立させるために、
  橘さんが生み出された……そんな感じじゃないかなと。
  ……。
  なんか今、サバかぶった橘さんの肩に高山さんがポンと手を置いて

   高 山 「頼んだぞ」
    橘  「はい、任せて下さい!!」

  とかやってる画が浮かんで噴きながら涙ぐんだ。

んでまあ、あとは案の定。
そのタち過ぎたキャラクター性能にみんなベタボレんなっちゃって……

  「いやゴメン、面白くなっちゃって」
  というやつだ。

あそこまでの、世界を飲みこむモンスターにまで成長してしまったんじゃないかなあ、
と、思うです。


  ■


デ冒頭の話に戻ると、「得して損してる」っていう感覚はそのジレンマの話で、
天下無敵の仮面変態紳士の側面のお陰で、ビジネスとしては
仮面がない想定に比べればそりゃあもう成功したのでしょう。
得、というか成功の面。

でもやっぱり、ホントにしたい方面のコト……
深いトコ、重いトコ、a)の人たち一人一人に心から答えるような展開にナカナカ持ち込めないことが、
a)の人たちの首も、制作陣の首も、ジワリジワリと絞めているんじゃないかと
ボニャリと想う。
コレが損の部分。
一番『アマガミ』を愛して、心も体もお金も使ってる人間たちが、
今、いちばん忸怩たる思いで泥水すすってんじゃないかなあと、
自分がそっち側の人間である(……と勝手に自覚している)のをいいことに、
軽く陶酔してみるテストです。





……。





でもさあ。





だからこそね。





想うんだよ。





期待できる。





「『アマガミ』はこれで終了です! 何もかも、一巻の終わりです!!」
というタイミングには、
洗いざらい、全部ぶちまけてくれるんじゃないかなあって。
解散ライブみたいなことでね。
「b)、c)の連中なんか関係ねえ!!
 ここまでついてきた、『アマガミ』はお前らのもんだ!!」
っていう何かを。
これだけのことをしたんだもの、何かあってくれると……思うんだよなー。
それすらも淡い期待なのかもしれないけど。
ていうか、ないか。
次も、そのまた次も、制作陣にはあるんだものね。
大事なお客さんであるb)、c)も、裏切ることは出来ないね。
そうだ。
それに裏切っちゃいけないような気もするよ。


オイサンたちの愛ばかりが、きっと本物の愛じゃないんだろうな。


……それに大体、オイサンとしてはその、
「物語として見えない部分、欠落したように見える部分」
というのは、決して補ったりぶちまけたりはして欲しくない部分なわけだし。
それがあるから、ここまで愛せたし、頑張れたし、頑張れている。

行動マップからもこぼれおちた目に見えない物語のピースが、
オイサンにとっての『アマガミ』そのもの、『アマガミ』の魅力だからねえ。
その見えないものを愛して楽しむオイサンの心、
夢の心臓をものの見事に撃ち抜いてくれた彼らを信じて、最後までついていきたいと思うよ。


……。


マ多分、この辺のことなんてもう皆さんとっくに考えてることでしょうし、
探せばいっくらでも転がってるハナシでしょうから、
ものすごく今更なんですけどね。

イジョ、まとまりはありませんが。
とりあえず、2010年のGW第二章の幕開けに、眼が冴えたから一気に書いてみた。


オイサンですよ。
ザマを見ろと言うんだ(ナニがだ)。








■On Your Mark








  

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