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2010年2月14日 (日)

■底抜け Chocolat de a la mode ~本日は、St,"V"モードで~ -更新第427回-

主人公 (今日は、バレンタインデーなんだけど……)

主人公 (絢辻さん、チョコレートくれるのかなあ……)


  ギキィー、バダン。


絢 辻 「あ、いたいた」
主人公 「え、あ、絢辻さんっ!?」

絢 辻 「な、何よ。大きな声出して。びっくりするじゃない」
主人公 「ご、ごめん」

絢 辻 「……」
主人公 「……」


 ・
 ・
 ・


絢 辻 「なによ。 何か言ったら?」

主人公 「そんな……。な、何かって言われても……」

絢 辻 「あるでしょ? 暑いよねとか、寒いよねとか。
     勝負パンツがどうとか。
     あなた、そういうの得意じゃない」


主人公 「べ、別に得意なわけじゃ……」

主人公 (そんな風に思われてたのか……。
     雑談もほどほどにしないとな……)


絢 辻 「『今日はバレンタインだね』、とか?」
主人公 「!!」

絢 辻 「あははっ、図星。そんなことばっかり考えてたんでしょ」
主人公 「う、うん……」

絢 辻 「心配しなくても、ちゃんと用意してるわよ。ホラ」
主人公 「あ」

主人公 (あのラブラブピンクな包装は、紛れもないチョコレート!!
     良かった……)


絢 辻 「別に、今更な気がしないでもないけど、
     こういうのはお約束事だからね。
     特にあなた、こういうの気にしそうだし?」


主人公 「そ、そんなこと!」
絢 辻 「アラそう? じゃあ、いらない?」
主人公 「そんなことあります!! 要ります!!」

絢 辻 「フフッ、素直でよろしい。
     ……ええっと」

主人公 「?」

絢 辻 「……huum」
主人公 「あ、や……辻、さん?」

主人公 (? ど、どうしたんだ? 何を考えこんでるんだ?
     やっぱり、ただじゃ渡してくれない気なのかな……)


絢 辻 「じゃあ、えっと…………………………。
     …………………………………………ハイ」

主人公 (えっ! な、なにそのポーズ!?)

主人公 「……お………………」
絢 辻 「?」

主人公 「……………………お金、取るの?」
絢 辻 「!

     馬鹿!




  がすっ!



主人公 「ぐぁッ……」
絢 辻 「このポーズの、どこがお金を要求してるように見えるのよ!!」

主人公 「だ、だって……。
     その両腕開いて突き出した『抱っこして』サインは……
     美也だったら『なにかちょーだい!の構え』だから……」


絢 辻 「妹さんのおかしな自家製拳法と一緒にしないで!
     お金を要求するときはこうでしょ、こ・う!」


主人公 「あ、わ、わかったから!
     指で輪っか作るのはやめてよ、生々しいよ!」


絢 辻 「おかしなこと言うからじゃない、まったく!
     ……それに。
     大体、どうして『何かちょうだい』でお金に直結したのよ」


主人公 「だ、だって……。
     絢辻さんの欲しがる物って、お金か、換金性の高いもの……」


絢 辻 「やめた。帰る。
     今年はバレンタイン中止です。
     お疲れ様でした」


主人公 「あ、あ、あ、う、うう、うそ!
     冗談! 絢辻さんは愛と夢を大切にする
     ロマンチストです!!」


絢 辻 「それも……どうなのよ」
主人公 (……。
     むずかしいなあ……)


絢 辻 「んもう……いいわよ。
     じゃあ……ホラ、はい。
     早くして」


主人公 (……って、言われてもな。
     また同じポーズ……。
     どうすればいいんだ? 普通に考えたら……)


絢 辻 「難しく考えないでよ。何もないから。
     素直に、抱いてくれればいいの」


主人公 「な、ッ!!? こ、ここでッ!!?」

絢 辻 「ばッ……
大バカ!!


  がすんっっ!!


主人公 「ふぬグァ……ッッ!!!」

絢 辻 「抱擁よ、
ほ・う・よ・う!!
     当たり前でしょう!」


主人公 「は、はは……。だ、ダヨネ……」

主人公 (びっくりした……)

絢 辻 「……」
主人公 「……」


  
  
  


主人公 「じゃあ、改めて……。
     こ、こう……?」




  ふわっ……



  ……



  きゅ…………



  ……



絢 辻 「何よ……ちゃんと出来るんじゃない……。
     はじめからこうしてよ……」


主人公 「はは……ご、ごめんね……」

主人公 (絢辻さん、ちっさいなあ……)

絢 辻 「……」

主人公 (それで、やわらかい……)

絢 辻 「……」

絢 辻 「……ねえ」

主人公 「ん……?」

絢 辻 「もうちょっと……強いと、嬉しい……」

主人公 「あ、うん……」



  ……



  ぎゅ…………う



  ……



絢 辻 「……」

絢 辻 「……うん」
主人公 (このくらいか……)

主人公 (いつも思うけど、いい匂いだなあ……)



  きゅ…………



主人公 (あれ……絢辻さんの手が、背中に……)



  ぎゅぅ…………




主人公 (珍しいな……どうしたんだろ……)

主人公 (これ、力入れてるんだろうけど……弱いなあ……)
絢 辻 「……耳」
主人公 「え?」

絢 辻 「耳……くすぐったい……」
主人公 「あ、ご、ごめん」

主人公 (どうしても、息がちょっと荒くなっちゃうんだよなぁ)

主人公 (僕も、絢辻さんの息で、胸の辺がちょっと暑い……)
絢 辻 「……すぅ」
主人公 (でも、あったかくって……気持ちいいや……)

主人公 (ふとんみたい……)
絢 辻 「……ん」
主人公 (伝わって……くるなあ……)

主人公 (絢辻さん……大っきくなったり、小っさくなったり……。
     ふくらんだり、しぼんだり……)

絢 辻 「……ふ」

主人公 (トクトクいってて……飽きない……)
絢 辻 「……んん……」

主人公 (こういうときって、何を考えてるんだろ?
     お願いしてくるからには、
     気持ちいいって思ってくれてるんだろうけど……)


主人公 (このまま一つになっっちゃっても、全然不思議じゃないよ)

主人公 (不思議、だよな……)



……。



…………。




………………。





絢 辻 「……ふー」
主人公 「あれで……良かったの?」

絢 辻 「……。
     そういうことを聞かないの」

主人公 「ご、ごめん……なさい」

絢 辻 「ムードないんだから。
     じゃあ、はい。これ。
     ……溶けちゃってなければいいけど」


主人公 「はは……。ありがと。
     随分長いこと、その……あっためちゃったしね」


絢 辻 「何よ。嬉しくないの?」
主人公 「そ、そんなわけない! ……けど……」

絢 辻 「大丈夫よ、何もないから。
     いつもいつも何かあったんじゃ、
     それはそれでマンネリでしょ?」


主人公 「ははっ、そうだね。
     ありがとう。大事に食べるよ」


絢 辻 「そうしてくれると、上げた甲斐があるわ。
     それじゃあね。あたし、先に戻るから」




  
ギキィー、バダン。



主人公 「あ、絢辻さ……。
     ……。
     いなくなるときは、あっさりなんだよな」



 ・
 ・
 ・


  ギキィー、バダン。




梅 原 「ん……? よう、大将。
     どした、こんなところで、一人で……あ?」


主人公 「ん」

梅 原 「その包み……チョコか?
     絢辻さんか!? 絢辻さんだな!!?」

主人公 「ああ、うん。他にいないだろ」

梅 原 「っかーッ!! うらやましいねコンチクショウ!!
     俺も一度でいいから、余裕綽々でそんなセリフ
     吐いてみたいもんだぜ!」


主人公 「お前、ちょっと落ち着けよ。
     これはこれで、考えてるんだからさ」

梅 原 「あン、考える? なんかあったのか?」

主人公 「いや、実はさ……」

 ・
 ・
 ・


主人公 「っていうコトがあってさ」
梅 原 「……大将」
主人公 「ん、なんだ?」

梅 原 「俺のことを嘗めてるだろう……?」
主人公 「な、なんだよ突然」

梅 原 「梅原正吉、十七歳。剣道初段! 捌きは五年、にぎり三年!!
     これでも武道家のはしくれよ!!」


主人公 「
にぎり寿司って武道だったのか。初めて知ったよ」

梅 原 「ぃやっかましい!
     そんなノロケを聞かされて、五体満足で帰したとあっちゃあ
     あずま寿司の看板に傷が付いちまわあ!!」


主人公 (保健所が聞いたら看板どころか営業停止だな)

梅 原 「さぁ大将、観ッ念しやがれ。
     この! 
竹刀の先に柳包丁をくくりつけた
     あずま寿司相伝・
『妖刀勘八』のサビにしてくれる」

主人公 「なっ、ばっ!
     しまえ! そんなもの学校に持ってくる奴があるか!」


梅 原 「ちなみに、さっきの『サビ』は鉄錆びとワサビをかけていてだな?」

主人公 「わかったから……。もう、落ち着いて聞いてくれよ。
     なんか……よく分からなくってさ」


梅 原 「……ふぅん。
     別に、悩むことなんかないんじゃねえのか?
     俺にもよく分からないけどよ」


主人公 「え?」
梅 原 「やさしくして欲しかっただけなんだろ? 絢辻さんも。
     お前の話を聞く限りじゃ、色々複雑みたいだしな、彼女も」


主人公 「ああ、うん。だけどさ……」
梅 原 「そりゃあ、今は大将がそばにいるから良いかも知れないけど、
     だからってそんな簡単に割り切れるもんでもないだろう」


主人公 「……」
梅 原 「何かあったら、そんな気分にもなるさ」

主人公 「そっか。そうだよな」
梅 原 「だよ。わかったら、ホレ」
主人公 「え……」

梅 原 「行ってこいよ。
     人前だったらそうロコツには出来ねえだろうけど、
     やさしくくらい、どうにでも出来ンだろ」


梅 原 「『優しい声よりゃ芋が良い。芋も無けりゃあ優しくしとけ』、
     ってな」


主人公 「ははっ、なんだよ、それ」
梅 原 「座右の銘、だ」

主人公 「……。うん、ありがとう、梅原!
     僕、行ってくるよ!」


梅 原 「おう、行っちまえ裏切りモン。お代はお宝本三冊だ」
主人公 「ああ! 欲しいの、決めといてくれ!」



  ギキィー、バダン!
  ドンッ!




??? 「きゃっ?」
主人公 「あ、ご、ごめんなさい! ちょっと急いでるんで!」
??? 「何よ、もう……」

梅 原 「ふぃーっ……」

梅 原 「……」

梅 原 「お宝本も、惜しくないってかぁ……」

梅 原 「……」

??? 「あれ? 梅吉」

梅 原 「……あぁ?
     ……!!
     って、せ、センパイッ……!!」


??? 「何してんの、こんなトコで。さっきの子は? 友達?」
梅 原 「え? ああ、ハイ! 中学からのバカツレで……。
     へ、へへ……」


??? 「ああ、あの子が。
     ふぅーん……」

梅 原 「な、なんですか……?」

??? 「……。
     あはぁー、そっか。そういうことだ」

梅 原 「だから。一体何なんスか!」

??? 「さっきの子。カワイイ包み、持ってたもんね?」
梅 原 「!」
??? 「親友に先を越されて、梅は一人で冬の空、か」

梅 原 「そんな、違……!」
??? 「んんー? 違?」
梅 原 「違……、いま、せん……」

??? 「……うん。

     
コラ、梅原正吉!

梅 原 「!? 
は、ハイッ!」

??? 「声が小さい! 下向くな! 胸を張れ!」

梅 原 「
ハイッ!

??? 「良し! じゃあ、これを受け取れ!!」
梅 原 「ハイッ! え?」

??? 「フフッ」
梅 原 「せ、センパイ? これは?」

??? 「義理も義理。余りもので申し訳ないけどね。
     なにも無い……よりは、マシ、だと、いいけど」

梅 原 「……センパイ……っ」

??? 「二月だもんね。
     梅がしおれてちゃ、カッコつかないでしょ」


梅 原 「あ……

     
ありがとうございますっっっ!!!

??? 「うひぃ。ちょっと、声でかいよ。さすがすし屋よね。
     でも、そうそう。その調子。
     元気いい梅吉の方が、見てて楽しいよ。あたしも……」




  きーん こーん かーん こーん ……
   きーん こーん かーん こーん ……




??? 「あー。予鈴だ。参ったね」
梅 原 「へへっ。 野暮ですねえ」
??? 「お? 調子出てきたね。それじゃあ、戻ろうか」

??? 「それ、親友に見せびらかしてやりなよ。
     『お前の彼女より美人のセンパイにもらった』ってさ」

梅 原 「はい! そりゃあもうっ!!」

??? 「じゃね。
     ……あー、あとさ」

梅 原 「はい? まだ何か?」

??? 「たまには部活にも顔出しなね。
     男子部のキャプテン、アタマ抱えてたよ。
     あいつはスジがいいのにやる気がないって」


梅 原 「あ……。
     う、うぃーす……」




  ギキィー、バダン。



梅 原 「……」

梅 原 「……夢」

梅 原 「……夢じゃない」

梅 原 「……夢じゃないよな!?」

梅 原 「センパイから、センパイからチョコ……!!」

梅 原 「……義理だけど」

梅 原 「……義理、か。
     そんで、余りもの……」


梅 原 「……男子部の、キャプテン、か……」

梅 原 「……」

梅 原 「……いや、いいじゃねえか。
     義理、結構!
     義理と人情、秤にかけりゃ、義理が重たいナントヤラ、だ!」




  ??? 『二月だもんね。
       梅がしおれてちゃ、カッコつかないでしょ』




梅 原 「……うん! よっしゃ、行くか!
     ぅおーい!! マサー!! ケーン!! ユーウジー!!
     収穫あったかー!!? 見ろ見ろ、俺サマはよー……!!」



                          
(おしまい)





どうも、オイサンです。

まさかの三部構成。

最初は絢辻さんパートしかなかったのですが、なんかこうなりました。
話がしまらないから梅ちゃん出してイイカンジでまとめようと思ったら、
梅ちゃんをちょっと救済してあげたくなって、
しまいには出て来ないはずの梅ちゃんアコガレのセンパイまで引っ張り出す始末。
手に負えません。

……キャラが立ってるってスゴイことですね。
やっぱり、なんていうかこう……
いつまでも借り物のキャラでやってるってことに罪悪感と言うか、
これはちょっとズルいな、と思ってしまいます。

こんなモノを書いてる時点で
オイサン自身はSt,V-dayなんかにはトンと縁がございませんが、
マね。
やれる人はとことんお幸せにやればいいんじゃないかと、
このように思う次第でございますよ。

そう……死んでいった、戦友(とも)のためにも。

オイサンでした。




『アマガミ』絢辻さんSS 目次
『アマガミ』絢辻さんシナリオ解読「手帳の中のダイヤモンド」目次




  

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コメント

■wibleさん
>きっと奴が好きになるのはさっぱりした粋な人なんだろうな、と。

先輩さんは、
「普通の人よりもちょっとだけ凛としていてつつましい、
 でも梅ちゃんにはちょっとだけ荒いところを見せる」みたいな人をイメージしたんですが
ちょっと上手くいってない感じです。
またどっかでチャレンジします。

>香苗さんがんばれ(苦笑)

wibleさんは香苗さんシンパですかw
香苗さん、梅キチのこと好きなんですかねえ?

>真面目な橘さんもそれはそれでさまになりますが

絢辻さんといるときの橘さんをオイサンが書くと、
なんだかずっと 後半のモードに入っててウェット過ぎて困りますw
もっとハメを外させてあげたいと、常々思ってるんですけどね。

投稿: ikas2nd | 2010年2月20日 (土) 15時32分

 うーめーはーらー!! (謎)

 きっと奴が好きになるのはさっぱりした粋な人なんだろうな、と。香苗さんがんばれ(苦笑)
 
 真面目な橘さんもそれはそれでさまになりますが、やはり彼の魅力は変態紳士でお仕置きされているところなんだなと(笑)

投稿: wible | 2010年2月17日 (水) 21時11分

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