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2009年12月20日 (日)

■M ・ 無冠の美学 -更新第380回-

 

■2009・M-1グランプリ 感想!!




▼全体として
正直、4組目まで「大丈夫か、今年は」と思って見ていました。

個人的に期待を寄せていたのは
ハリセンボンと東京ダイナマイトだったのですが、
今回初出場の二組(ハライチ・パンクブーブー)は全然知らなかったので、
知らない組が二つもあったのでは、
正直自分の事前予想には何の意味もないと思ってましたし、
大会の起爆剤になりそうな組が見当たらず。

初出場の二組にそこまでの期待をするのも酷ですし、
「近年の常連」、ナイツ・モンエンはパッとしないし、
「リベンジ組」も、安定感くらいはあるかもしれないけれど今更爆発力もあるでなし。
最早若ロートルと化した笑い飯にそこまでの爆発力も期待は出来ず。
しかしフタを開けて見れば。
ものすごく良い方向に期待を裏切られました。
底力ってすごい。


昨年からWeb界隈で出ていた「手数」という考え方、
つまり短い時間にいかにたくさんの笑いどころを盛り込めるか、という笑いの戦術論ですが、
オイサンはその考え方には昨年から懐疑的でした。
もちろんそれも一つアリだとは思うのですが、
それをやるにしても、マシンガンのような笑いどころの中にも、
必ず一つか二つ、バズーカや核ミサイルの一撃が必要だと思っていて、
オイサンの見るところ、手数スタイルの筆頭であるナイツにはそれが薄い。

NONSTYLEには、ナイツに比べてまだ一発一発の破壊力があったから昨年は優勝し、
今年も見事にまくっていった。
でも、さらに一発一発の破壊力に勝り、さらに大きな一発を持っていたパンクブーブーが攫っていった。
そんな風に見えました。
そして更なる核爆弾を隠し持っていた、笑い飯。

手数を多少減らしてでも、一発の破壊力を追及しなければならない場面が必ずあって、
そしてその破壊力のある笑いポイントをひねり出せるかは、
センスなのか、頭脳なのか、経験なのかはプロではないオイサンには分からないのですが、
特別なものが必要なのだろう、と思えます。

オイサンの期待した東京ダイナマイトもハリセンボンも、
手数論の上では完全にオールドファッションに属する漫才で、
けれど一発をもってる人たちなのですが、その一発も今回は不発。
そして手数もないので勝てるわけもなく。

「新参組」と「近年の常連組」そして「リベンジ組」とに完全に分かれた
今回のエントリーの勢力模様は面白かったのですが、
リベンジ組(南海キャンディーズ、東京ダイナマイト、ハリセンボン)は
本当に何もさせてもらえずに帰る羽目になってしまって気の毒でした。
が、
それでも、数年というスパンを経ても決勝まで帰って来られるという底力は、
それだけでも本当にスゴイと思います。

「近年の常連組」であるナイツ、モンエンの印象が薄かった。
色々マイナーチェンジをしてきたのは分かったのですが、
波に乗り切れない感じ。

「新参組」の二組は、立派だったと思います。
M-1に出てくるっていうのは、それだけで十分にすごいことなんでしょうね。

あと、グダグダ生放送なのは毎度のことなのですが、
終盤になって駆け足になるのは見ていて冷めるので本当に何とかしてほしいと思います。
やっぱり、最終決戦に向かう前は、若干のタメが欲しいですよねえ。


以下、コンビ各論!!


▼ナイツ
 ネタをネタのためのネタではない、
 普段しゃべりの延長に作り替えてきたのはオイサン的にはポイント高いですが、
 やはり一発一発の破壊力に欠ける気がします。
 マひと組目という順番にも、厳しさがあったのでしょうけど。
 でも、見終わった後で「うん、ひと組目にしては、うん、まあ、まあ」
 と思ってしまう時点で、それ以上の役割を果たすことは出来ないんでしょうねえ。

 ハリネズミのような手数は確かにすごい、
 でもどこかで一回手を止めてでも、ためを作って振り回す、
 強い一振りが必ず必要になってくると、オイサンは思います。
 普段の舞台でのネタなら、必要のない戦術なのかもしれませんが、
 こういう一発の舞台では、やはりどうしても。

 完全ノックダウン制ではない、ポイント制があれば、
 今のスタイルのままでも勝負は分からないと思いますが。
 6点。




▼南海キャンディーズ
 正直、「よく舞い戻ってきたなあ」というのが最初の感想。
 素直な感心として。
 ちゃんとしたネタを見たのも随分久しぶりですが、基本的なスタイルは変わらず、
 けれども山ちゃんの言葉のキレは相変わらずで、結構笑わせてもらいました。
 一発の破壊力という意味では、今回の8組の中ではかなり上位の部類だと思います。

 が、最終的には言葉のキレに頼り過ぎて、
 ネタとしての完成度やシメの印象が薄いまま終わってしまったように思います。
 カウンターで倒しきれなかったというか。
 最後の作りが雑だったような。
 うーん。
 中盤までは良かったんですけどねえ。
 「ショートコント『筑前煮』」
 「パニック!!」
 のくだりは絶品でした。
 これがあと2、3発、効果的に出せれば最終戦進出も夢ではなかったかと。
 けれども、どうしてもイロモノ枠を抜け出すことは出来ないのでしょうね。
 7点



▼東京ダイナマイト
 左胸の真っ赤なバラが一番面白かった。
 余計な一言、危険な一言ネタが面白いというのは問題があるというか、
 純粋なネタとして不完全だと思います。
 CM歌ネタも人を選びますし、DVDになったときに音声消されるので望ましくないです。
 残念。
 5点。



▼ハリセンボン
 普通。すごく普通……。
 掴みが弱く、テンポが遅い。
 一発もそんなにない。
 あとイマドキ「何これ」ツッコミはないと思う。
 6点。
 はるかの肩の力の抜け方が秀逸。
 あと、はるなだかタイムマシーン3号だか分からねえ。



▼笑い飯
 「無冠の帝王」の最後の戦いぶり、余りに潔くて本当に涙が出た。
 緒戦の勢いで優勝するかと思いきや、
 まさかのチンポジネタで自分たちの立ち位置を余りに鮮やかに打ち出しての
 戦線からの脱退劇、そのやり口は本当に男らしい。
 芸人、って感じです。
 拍手、拍手。
 まさに核ミサイルの持ち主。

 緒戦で満点をたたき出しておきながら、
 自ら試合を放棄するように最終決戦でチンポジ持ち出してきた時点で、
 「ああ優勝はないな」と確信し、
 パンクブーブーのネタ終わりでの紳助と松本のコメントを思い出し、
 鷹村 vs ホーク戦での猫ちゃんのセリフを思い出した。

 「限られた時間しか戦えないならそれに賭け、
  5ラウンド全力で戦える体に仕上げてきたんだニ。
  お前たちにそれが出来るだニか?
  ワシは涙が出る。
  あの誇りの高い姿さ見ると、本当に涙が出るだニ!!」

 ありがとう、笑い飯!
 さようなら、笑い飯!!
 ありがとう、トリ人!!!
 さようなら、トリ人!!!!
 このネタも、02年の民俗博物館ネタと同様、本当に伝説になるでしょう。
 巨人師匠の言った、「恐怖のファンタジー漫才」というコメントが忘れられん。
 紳助が100点つけるのも、また吉本がどうだ、出来レースがなんだと言われるのでしょうけど、
 オイサン的には100点でもなんら問題のないネタだったと思います。
 新しさといい、面白さといい、完成度といい。

 これだけで優勝でも、ホント良いと思うんですけどねえ。
 ……と、言いたいところだけど。
 パンクブーブーの、「2本合計の完成度」にはかなわなかった。
 それは認めなければならない。
 それほど、パンクブーブーもすごかった。
 10点。



▼ハライチ
 好きです。かなり。速いテンポとゆったり目のテンポの緩急が効いていて。
 ネタが言葉遊びだったのも、個人的には好感。
 あと、ボケの方が時々笑いそうになるのを我慢する顔が好きw。
 ツッコミ(なのか、2番目のボケなのか……でかい坊主)の方が……三村。
 かーなーり、三村。
 それが多分、オイサンの好きな理由の一つ。
 8点。



▼モンスターエンジン
 どんなネタで決勝まで上がってきたんだろう。
 どうも、漫才で勝ち上がって来られそうな匂いを感じないのですが。
 モデルチェンジも中途半端で、
 それなら自分たちの得意なことをやった方が良かったんではないかと思えます。
 キングオブコントは面白かったんですけどねえ。
 ハリセンボンと同じく、普通。
 6点。



▼パンクブーブー
 ツッコミがうまいなー。
 そして二人とも、芝居の完成度が高い。自然。
 すごい。
 ブラマヨのしゃべりと、アンタッチャブルのネタのハイブリッドのような
 感動を覚えました。
 ネタの切れ方にうっすらと疑問が残るものの、
 この9年間なぜ出て来なかったのだろうと思います。
 オイサンのような素人には、文句の付け方が分かりません。
 100点のネタを一本だけ打てるよりも、99点のネタを二本打てる方が強いということを
 証明してしまった、すごい二人組。
 10点。



▼NON-STYLE
 昨年の出来があまり好きではなかったオイサンとしては、
 敗者復活が決まった時点で「えー」とちょっと思ったのですが。
 また吉本が分かりやすいシナリオを描いたのか、とか。
 ですけど出てきて見れば、どうしてどうして、納得の面白さでした。
 昨年と何がどう変わったのか分かりませんけど。
 白い方の体の切れがハンパねえ。
 シナリオとしてのネタの完成度の高さもすごいと思います。
 あと、「類人猿」な。
 9点。


最終決戦進出三組は、まさに上がるべくして上がった感がありました。
というか、他の組がちょっと不甲斐なくて分かりやすかった。
そして最終決戦は……実質パンクブーブーとNON-STYLEの一騎討ちで、
終わった瞬間、あ、パンクブーブーだなって分かりました。
なんででしょう。
ネタの自然さと一般性の高さだと思うんですけどね。
マその辺は好みもあって、ですが。



マ、そんなことで。



お世辞にも「全体的にレベルが高い年だった」とは言えないと思いますが、
5組目以降、異様に楽しめたのは事実。
勢力が三つに分かれたことで、事前の空気が(オイサン的に)盛り上がったことも事実。
手数論に「単純な手数」のみではなく、
どこかで必ず、強い一発での撃ち合いが要求される
(或いは一発一発が常に強い手数であること)という図式が突きつけられたことも画期的で、
一つの節目になる大会だったのではないだろうかと思います。

これからの一年、はたしてどんなスタイルの漫才が世を席巻していくのか。
まだまだ手数なのか。
それとも、案外ゆったりペースが台頭するのか。
いずれにしても、どこかで必ず、一旦流れを変えるほどの破壊力・爆発力が挿入される、
そういうネタ作りは避けられなくなっていくと思います。
より緻密に、時間と波の満ち引きが計算されたネタ運びと構成力。

M-1には、そういう笑いの世界のトレンドを作り出す作用があるので、
そこの存在意義が面白い。


うん。
いやあ、面白かった。
これでまた来年までオアズケ。
来年も良い年だといいな。



オイサンでした。



 

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