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2009年11月15日 (日)

■手帳の中のダイヤモンド -20- 第六部 その2-2の1 -更新第352回-

おはようございます!!


……我ながら変な入りになったな。
オイサンですよ。本物ですよ。


ここは、あらゆるギャルゲーがその天命の涯てに辿り着くという、
ギャルゲーの魂の円楽、否否、楽園、ゆび先はもう一つの心臓。

  三遊亭円楽師匠、声高らかにお休み下さい。
  あちらで歌さんと仲良くやって下さい(※1)

    ※1 歌丸師匠はまだご存命です(※2)。
    ※2 時間の問題です。

サテ、常世の過去現在未来、その全てが記録されていると噂も絶えない(ウソをつけ)、
アカシックレコード級の超時空恋愛シミュレーションゲーム(これは本当)
『アマガミ』、
その中でも愛しくて愛しくてたまらない、
絢辻さんシナリオを解析する企画、……それがこの

  「手帳の中のダイヤモンド」。

今回はその20回目、第六部の2回目のその2です。
書き始めからここまででもう10分です。
時間がかかるわけです。



■0. 前々回・前回のおさらい、今回の予定



この第六部では、
まず『アマガミ』というゲームの全体的な、出来るだけ客観的な感想を、
そして最後には、絢辻さんシナリオの感想とオイサンの個人的な想いを書いていく、
そんな予定です。

出だし↑からしてその公正さには既にハテナマークですが、
良いのです。
どうせ人間は、自分以外の何者にもなれやしないんです。
無理はいけません。


デ。


前々回では、一ゲームとしての『アマガミ』のトータル評価を、
前回では、その中でも、システムと物語の関係にしぼって、
その関係が果たして、このゲームの中でどんな役割を果たしていたのか?
といった内容について、
そりゃあもう好き勝手に書き散らかして参りました。
とりあえず大不評の感想は書き込まれなかったので、大好評です(どっちかか)。

その続きとなる今回は、
ではそうして細かく見てきた、『アマガミ』のゲームの中心部分とも言える
「物語とシステムの関係」、
それに対する要望なんかを、これまた好き勝手に書き募って参りたいと、
このように考えております。

先ずは大きく、
オイサンが物足りなく感じてしまった「ふたつのこと」。
これについて、お話したいと思います。

物語の芯。
そして、同じく、物語の起伏について。



■1. 物語性・ADV性の強化を。



さて、『アマガミ』が、SLGからほぼADVへと変化を遂げた、
とオイサンが考えているのは前回お伝えした通り。
しかしそのワリに、一つ一つの物語の中で、弱いな、と感じるものがあるのも事実です。
先ずは各ヒロインのシナリオの対して、オイサンの思うところをまとめて見ましょう。


  ◆1-1 彼女らなりのマイニチ ~シナリオ再評価~


◆絢辻さんのお話に、
そんなケチをつけるつもりは毛頭ありません。
徹頭徹尾、一つの物語として完結する凄みを感じます。


◆梨穂子にしても、
幼なじみの恋物語としては十分だと思っていますが、
もうひと盛り上がり……ひと捻りがあってもバチは当たらないのではないか、
と思います。
スタンダードなラインとして、こういうお話が一本必要なのはわかりますが。
変態行為による味付けも結構ですが、物語自体が持つうねりを
もう少し感じていたかった。
それに主人公は、自身の紳士性能の高さにより他のヒロインとも距離が近くあるため、
結果梨穂子は「幼なじみ」というものがもつアドバンテージを
かなり食われている感があります。
梨穂子と主人公の間には、長い時間を掛けて熟成された梨穂子の思いこそあれ、
これといった大きな過去エピソードが用意されていないのは
恐らく意図的なものだと思いますが……
「共有した時間の長さ」しか武器の残されていない梨穂子には、
何か一つくらいあっても良かったのではないかと思います。

ただ……逆に、際だって大きな物がないからこそ、
そこに梨穂子の愛の深さ、一筋縄ではいかない……
スキや弱点のない想いの強さを感じるのもまた、事実。
どこを切っても、おしなべて強く、深い。
なんかね、羽毛布団みたいなんですよね。梨穂子の気持ちって。
やっぱそこを狙ったんだろうなあ。


◆薫
正直、お話としての芯はすごく見えづらい。
けれども奥に潜むものは重く面白く、それが見えがたいのがすごく勿体ないです。
もう半歩、前に出てきて戴きたかった。
絢辻さんの抱える謎と同じくらい、前面に出てきても良かったのではないかと思います。
また、プレイレポートでも書いたように物語としての味わいがとてもビターで、
高校生の恋物語を期待した者としては食い足り無さを感じます。
高校生らしい可愛らしさよりも、いじらしさ・力強さでは絢辻さんを上回る。
それもまた、おちゃらけてはいるけれど内実はすごく大人な
薫の人物像を色濃く描いていて、彼女を愛おしいと思えはするのですが、
主人公と薫の空気がすごく遠い。
オトナの恋物語です。
恋と、その奥底に抱えた感情、その二つをもっと強く結びつけて欲しかった。

梨穂子が羽毛布団なら、薫は窓ガラスに貼る防弾フィルムのような、
シックでクールな強さを感じるのです。


◆わかりやすいのが中多さん
主人公と等身大の恋が出来る、希有なパーソナリティでした。
<デアイ>段階で告白がもらえるという、ある意味、変則設計ですが
そこがスパイシーでオイサン的には好感度高かったです。
シナリオライターに拍手。
しかしその分中盤で若干ダレて、後半は正直、飽きます。
それでも、引き込もう、魅せようという意志は高く、
「まだ何かあるだろう」という気持ちだけで最後まで引っ張る力は感じます。


◆七咲の物語は、
もしかすると最も自然かも知れません。
さりげないエピソードの集大成としての恋物語は、
これまでのシリーズ作品とかなり近い位置にあるように思います。
……しかし、そのさりげなさの果てにたどり着くのが、
なにやら怪しげな紳士的行為の、
しかも主人公だけでなく、七咲からも嬉々として執り行われる、行為の数々で……
お前ら、純なのか変態なのかどっちだ!!
……というバランスの悪さに、オイサンの感情は右往左往です。
またそのさりげなさのせいで、一貫性を感じ辛く、
やっぱり「一本の流れ」のようなものを感じにくい。
ちぐはぐな印象が強い。
結構、脳味噌を揺さぶられます。


◆変態クイーン、森島センパイ
この物語の第二の契機を担っているヒロインとは思えないバラバラ加減。
その立ち位置を利用して、もっと劇的な展開を用意できたと思うのですが、
それは意図的に避けたのでしょうか?
絢辻さんを「世界の裏口」の門番としてのヒロインとするのであれば、
森島センパイは「正門」の門番のはずで、
もっと大手を振って『アマガミ』の物語世界全体を牽引出来たはずです。
それなのに、結局彼女に手渡されたのは、
絶対女王としての栄華なる権勢を嵩に着た、勢いだけの、
大トロマグロのブツのような、極上サーロインで拵えたさいころステーキのような物語でした。

拾った子犬にヒザ裏なめられて、その瞳にすっかり情をほだされ……
細やかな感情も何もすっとばし、専制大暴君として君臨します。

  女太閤……いや、女・犬将軍?

それなのに、嗚呼それなのに。
絢辻さんとの綱引き……裏と表からの牽引力比べでは歴史的大敗を喫しており、
実に残念。
……まあ、天然女王と崇め奉られ続け、恋する感情にすっかり麻痺した彼女は、
主人公の放つ、ブライアン・ホークばりの変則パンチでないと仕留められない、
という理屈はわからないでもありませんが。

  「天然を凌駕するもの……それはとびきりの野生なのだよ!!」
  と嘯く、伯楽ミゲール・ゼールの冷徹な瞳が目に浮かぶようです。
  『はじめの一歩』、講談社少年マガジンコミックスから1巻~89巻、
  大好評発売中!!
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……これを思うと、
『アマガミ』界の「野生と理性の融合」、鷹村さんこと絢辻さんと、
同じく「最強のド天然」、千堂猛たる森島センパイを同時に相手どって尚、
打ち勝つことの出来る橘さんという男には敬意を表するほかありません。

  ……こう書いてしまうと、
  千堂と鷹村さんじゃあ勝負にならなくて当たり前、って気がしてきたな。



■2. 物語を呪わば穴二つ。 ~二つの難点~



こうしてざっと眺めてみると、ヒロインそれぞれで、
「芯が一本感じられないお話」と、
「芯は通っているけれど、起伏が希薄(言いにくい)であるお話」とがあるように、
オイサンは感じています。

以降、この二つの問題点について、
またしてもグダグダと……余生の大半を費やしてでも書いていこうと思います。


  ◆2-1. ところてん。心が太いと書く。 ~物語の芯と心と真~


まずは物語を貫く、一本の芯について。
簡単に言えば本筋というやつで、『アマガミ』で言うなら、
スターを獲得するために、最低限踏んでいかなければならない
一連のエピソードのことだと言えましょう。

上で書いた「芯が見えない、感じられない」というのは、
「その連続に、一貫した繋がりをハッキリと見出すことが出来ない」
ということになります。
その理由も幾つか考えられますが、主な物を挙げると。

 ・やっぱり、物語が分断され、分散されること。
 ・その分断の隙間を埋めよう・埋めさせようとする意志やその材料に乏しい。
  敢えて乏しく抑えてある。

   ……物語の分断自体は大きな問題ではないと思うのです。
   ただ、その切り口に残る余韻を味わわせて欲しいのです。
   布を引き裂いたとき、その断面に残る繊維のほつれのようなもの。
   それを切り落として整えてしまうのではなく、
   次の物語への道糸とするような細やかさを見たかった。
   切り口を縫合したときに、滑らかに物語をその裏に流れる感情が繋がらないと
   組織としての物語は壊死してしまうと思うのです。

 ・シリーズ名物、「特別でない、日常の物語」の弊害。
  主要エピソードが「特別でない」あまり、
  主要ではないエピソードの中にも埋もれてしまって
  ひと連なりとしての意識に欠けてしまう。

 ・そしてもう一つ(これは余録)。
  各ヒロインのシナリオが、それぞれ独立してしまっていること。
  明らかに独立したエピソードが、併走してしまうと、
  その二つの齟齬にやはり強く、違和感を覚えてしまうので。

……というところにオイサンは気がつきました。
これらは複合しているので、一個ずつじゃなくて、
ごっそりまとめていきたいと思います。
とっ散らかっちゃいますけどね。


  ◆2-2. 「出るトコ出てる」物語。 ~なにげなさと行動マップ~


行動マップの中には、
スターにたどり着くための、連鎖する本筋のエピソードと、
その本筋とは関係のないただ日常を描き出す、単発の枝葉のエピソードが
同列に埋め込まれています。
そして、その二つはパッと見では大きな差異を見出しがたいこと、
また、連続するエピソードの間にも、
明らかな繋がりを見出しがたいことが珍しくありません。

これは恐らく意図的な隠匿で、
「日々のなにげない風景の中に、ヒロインへの愛おしさを発見する」
ことの表現なのだと、オイサンは受け取っています。
これ自体は、とても面白い語り口だと思うのですが、
せめて連続する物には、裏側に共通して流れる、感情なり、出来事なり、
風景なりの航跡を、巧みにそして確実に、編み込んで欲しかったと思います。

  「ああ、あれがこう繋がるのか!」という発見のカタルシスが
  ヒロインのことを理解できたという気持ちにさせてくれ、
  ヒロインが自分の物になっていく錯覚を生み出してくれます。

絢辻さんや中多さんの物語にはそれが顕著に……
表に出過ぎるくらいに現れており、薫と七咲のお話ではちょっともの足りない。
梨穂子の場合その軌跡は「線」ではなく「面」、
物語全体を「幼なじみとしての梨穂子」という人柄が覆うことで、
本筋に関係があるもないもなく、全てがそこに帰結していました。
一般的に、一番理想に近いのは梨穂子でしょうか。

  オイサンが一番好きなバランスはいわずもがなの絢辻さんですが、
  やはり彼女の負った業の重さは
  『TLS』シリーズとしてみたときには異質ですからね。
  薫のビターさも、ギャルゲーのシナリオであることを考えなければ、
  実は大好きです。

ですので、オイサンの感じた物語としてのカタルシスは
絢辻さんを筆頭に、中多さんが次いで大きく、
梨穂子は必要十分、けれど刺激には欠け、
薫・七咲に食い足り無さを感じたのだと思えます。
デ森島センパイは、なんかもう、わからない。
そこに彼女の、何か特別な感情が存在したのかどうか? ということすら、
一発では理解できませんでした。
彼女は、主人公とやっているあの馬鹿げたおふざけを、
他の誰とでもやっていそうな、そういう空気を感じてしまいました。


  ◆2-3. 愛を取り戻せ!! ~下校会話のチカラ~


「おうおう待ちやがれ。黙って聞いてりゃあ……それじゃあ何か? 
 お前ってヤツは、物語のメインを、なにげない、普通の話じゃなくせってのか」

オイオイ、落ち着いてくれよ兄弟。

もちろんそうじゃありません。
そのラインを守ることは、『TLS』の魂を! 誇りを!! やさしさを護ることです。
赤青ピンクの髪色をした薫や七咲は、オイサンだって見たくありません。
しかしコトはADVですから、お話の緩急はどうしたって必要です。
どうにかなにげなさのセンを外さずに、物語に、メリハリを取り戻せないものか?


……そこで、歴史を振り返ってみましょう。


過去、SLGだった頃の先輩シリーズ作品たちは、
一体どうやって、その魂を! 誇りを!! やさしさを!!!
守り抜いてきたのでしょうか?
今作と同様……いえ、変態性の無い分、
今作以上におだやかで、緩やかな風景の連続であったはずの過去のシリーズ作品の物語を
起伏に富んだ物に魅せていたのは、一体何だったのでしょうか?

それが他ならぬ、ゲームのシミュレーション性であり、
下校会話システムであったと、オイサンは想像します。
そしてまた、細やかに上昇の曲線を描く、
機微に富んだエピソード展開であったのではないかと思います。

下校会話システム。
始まりの始まりには、一緒に帰る誘いすら受けてもらえず、
いざ一緒に帰れるようになっても突っ込んだ会話はできず、
ヒロインによっては、ちょっとズレた話題を振った途端にそっけなくされてしまう
あの気まずさ。

しかし中盤から後半ともなると、突っ込んだ話題にも手が届き、
その声音やはにかんだ表情によって
それまでなんてことのないと思っていた会話でさえ、
まるで華やかな色彩を帯びた特別な時間として感じることの出来る、あの感覚。

そのようにして会話モードでの感情が段階を進めることで、
恋の気配の高まりと、
進展するヒロインとの関係を、確かに感じ取ることが出来ました。
そうなるともうオトコってのはホント馬鹿なモンで、

  ……いやもう、ホンット馬鹿なモンでね。

メインのモードで語られる「なにげない」エピソードであっても、
そこに流れているかいないか実は定かでない、
彼女から注がれてくる「特別な感情」を感じ取ってしまう、その錯覚。

限られた時間と、
アナログちっくに揺らぐ好感度ゲージとドキドキハートゲージに演出される緊張感が鼓動を早め、
それをまた恋と錯覚する夢幻地獄、いや天国!

ほめろ!
見つめろ!!
手をにぎれ!!!

  ……オイサンの大好きなPSのSTGに『アインハンダー』ってのがあるんですが、
  それの広告文句が
  「Shoot! Snatch! Destroy! (撃って、奪って、ぶち壊せ!!)」
  でしたね。
  いやもう、思う存分関係ないですけど。

  ■アインハンダー
  


そう、従来のシリーズ作品では、
読み手の感情の上昇曲線は、会話モードによって、横から描かれていたのです。
高まる好感度と、それに比例して進展していく会話モードでの出来事に、
物語の上では実はそんなに存在しない「起伏」を感じ取れていたのではないですか。
そうにちがいない、そうではないですか、
そこのあなた!! m9(゚Д゚)ドーン!! (強引)


……。


……マそんな感じで、ですね。
若干感情任せというか、印象任せの展開ではありますが、
従来作品では、好感度かせぎと会話モードこそが「ゲームとしての主役」であって、
そこに存在しない物語の幻を見せ、
さらにはその盛り上がりまでをも、見事に影から底上げしていたのではないか、
と思うのです。

けれども『アマガミ』では、会話モードがそこまでの役目を負っていません。

というか、物語を主役に据えたからこそ、
物語自らが起伏を描き出す使命を帯びています。

会話モードも好感度も、システム上存在はしますが、
「ゲームとしての主役」の座は物語に譲り、
あくまでもご褒美として一歩下がった位置から物語に深みを与える、
ヒロインの内面をより深く知るためのサブギミックとして、
その存在価値を主張します。

  テンションがHiに上がろうがLowに下がろうが、
  ゲームとして不利を生む場面は、本当に限定的にしか生まれませんし、
  なんならLow展開の会話の方が辿りつき難く、
  その若干のレアさ加減から、価値が高い気さえします。
  ヒロインによっては、スター獲得に必須だったりはしますので、
  100%完全に要らない子かと言ったら、そんなことは全然ありませんがね。
  それも、会話モードそのものが物語の一部に過ぎないことの証明です。

それに会話の生まれる局面そのものが、
「あるエピソードを開いた後に現れる」という制御のされ方をしているので、
会話自体も物語に組み込まれていると言え、
物語は自分の力で、緩急と連続性を手に入れなければなりません。

それをどのように解決すればいいのか……
それについては、次の問題のお話の後です。


  ◆2-4. 吟じます! アマガミ詩吟!! ~愛は地球を救い過ぎた~


ここで、もう一つ問題。

過去の『TLS』系譜の作品群の物語、その起伏・緩急・メリハリが、
まるで全て会話モードとゲーム性のおかげであるかのように
書きそやして来たわけですが、もちろんそんなこともありません。

一つ一つのエピソードが見せる親密さ、その連続性だって、
後半へ行くほど密になっていき、心情を盛り上げてもくれました。
そこには細やかで、緻密なイベント配置への配慮がありました。

そしてここまで、『アマガミ』を『TLS』系譜の作品として、
その物語の「なにげなさ」を強調してきましたが。
『アマガミ』のお話って……そんなに普通であるばっかりだったか?
違いますよな。
『アマガミ』は、手に入れてしまいました。
変態という、恐ろしい武器を。
そうそれはまるで、エロ詩吟を手に入れてブレイクした、天津・木村のように。


■天津・木村 エロ詩吟

……最近とんと見ねえな。天津・木村。


そう、『アマガミ』はギャルゲー界の天津・木村だったのです。


 吟じるよ? 梨穂子!!(CV:前野 智昭)

  ♪ ヒザ裏をなめててぇ↓~~~え↑~~~ぇ↓~~~……
  ♪ 森島センパイがちょっと嬉しそうだったらあ↑~~ぁ↓~~あ↑~~ぁ ↓……
  ♪ ……。
  ♪ なんだか今日いけそうな気がするーーーーーーーーーーっ↑↑!!

 あると思う!? 梨穂子!


 梨穂子「し、知らないよ~、も~ぉ /// /// 」



冗談はさておき……その変態性というやつがまた、くせ者でしてね。ええ。
これにより、『アマガミ』がもう一つの意味で、
他のギャルゲーの追随を許さない新しい位置へと駆け上ったのは、確かな事実です。
唯一無二の存在となり得たのは、間違いなくこの変態紳士という冠のお陰。

ですけども。

そのあまりのあばれんぼうぶりは、
先で述べた『TLS』の系譜の魂であるなにげなさ、
それを用いて演出される「細やかな感情の上昇サンプリング曲線」を破壊する
自己破壊の兵器でもあったのだと、オイサンには思えてなりません。

さっきまで、ちょとしたことでモジモジ、テレテレしていた二人が、
なんだか突然積極的に、身体的な接触すら許す展開を始める。
あるいはその逆。
そうされると、
せっかく描いてきたなめらかな感情の曲線に急峻なノイズが入ってゲージを振り切り、
混乱をきたすんですね。見ている側としては。

出会いのイベントからして耳をアマ噛まれ、
中盤からはもうソユーズばりの垂直立ち上げで、
なんというか……。
あの、恋人同士のイチャイチャなんてものはですね、
本来馬鹿馬鹿しいものなんですよ。ハタから見りゃあ。
青いなあとか、バカだなあとか、なにやってんすか、とか。

けれども、従来シリーズでは、
プレイヤーをその中心へと緩やかに誘い入れて当事者とすることで、
その滑稽さを感じさせず、恋へ導いていたと言えましょう。
それにそもそも、そんなあからさまなイチャイチャもありませんでしたし。

ですが『アマガミ』では。
プレイヤーが恋の主人公になるより以前に急転直下に始まる紳士的行為によって、
そのばかばかしさのド真ん中に投げ込まれる
(普通に生まれつきバカなヒロインも数名お見受けしますけども)ため、
そのあんまりな紳士的行為によってレッドカードを戴いてしまって
何故かプレイヤーが一人で、退場喰らうワケですよ。

  ほめる?
  見つめる?!
  手をにぎるう?!!
  ふっざけんなガキの遊びじゃねえんだ、
  握るんだったらこっちにホレもっと握りやすいモンg(以下自主規制)

  ……えー、というですね、若干冷静さを欠いた荒々しい文章も載りますよ?
  ここは愛と流浪のWeb砂漠、ゆび先はもう一つの心臓。

まあ、そんなこともあってですね、
なにげなさと変態のバランスがとれておらず、
今自分たちの恋がどの段階にあるのか、
描かれる波の、どの高さにいるのかを直観的に感じ取りがたく、
物語の……感情の連続性を阻害しているのではないかと、
こう思い当たった次第でございますよ。



……。



ここまでが、出題編。
色々、問題……というと大袈裟ですが、いじりたいなあ、と思った点を挙げてきました。

さて皆さん、悪い予感がしていますか?
また続くんじゃないかと。
続きますよ?
でも安心して下さい。

いじり編も、もう出来てますから。
すぐアップします。
ちょっとここまででも結構長いのでね。
マ区切りをつけて、休み休み読んで戴ければと思います。


ではまた後ほど。
オイサンでした。





 ◆『アマガミ』絢辻さんシナリオ解読企画 「手帳の中のダイヤモンド」 目次
    01 前口上
    02 序文・絢辻詞という「少女」
    03 第〇部 物語のアウトライン

    04 第一部 学校生活編 PRE STORY (SS)
    05 第一部 学校生活編 その1
    06 第一部 学校生活編 その2

    07 第二部 「目標」編 PRE STORY (SS)
    08 第二部 「目標」編

    09 第三部 家族編 PRE STORY (SS)
    10 第三部 家族編

    11 第四部 手帳編 PRE STORY (SS)
    12 第四部 手帳編 その1
    13 第四部 手帳編 その2

    14 第五部 恋愛編 PRESTORY その1 その2 その3 (SS)
    15 第五部 恋愛編 その1 その2 その3

    16 第六部 PRE STORY その1 (SS)
    17 第六部 感想編 その1
    18 第六部 PRE STORY その2 (SS)
    19 第六部 感想編 その2-1
    20 第六部 感想編 その2-2の1

 ◆『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク


 

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