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2009年10月20日 (火)

■最高だったこと、サイテーだったこと。全部、ここにある。 -更新第333回-

なんでAudiのR8が、
「50円おにぎりと激安お惣菜の店!」の駐車場に停まっているのかが分からない。
オイサンです。





「オレは好きなことにすら夢中に……なれなかった……!!」
「監督は、楽しようとすんなって言った」





……今日のお話は、
オイサンの心に刺さった、二つの言葉のお話です。



一つ目の言葉は、週刊サンデーで現在も連載中の
『最強!あおい坂高校野球部』の一幕です。

最強!あおい坂高校野球部 21 (少年サンデーコミックス) 最強!あおい坂高校野球部 19 (少年サンデーコミックス) 最強!あおい坂高校野球部 15 (少年サンデーコミックス) 最強!あおい坂高校野球部 16 (少年サンデーコミックス) 最強!あおい坂高校野球部 12 (少年サンデーコミックス)

主人公たちの所属する、あおい坂高校の野球部が県大会の決勝で、
かつてのライバルと死闘を演じるその最中。

主人公たちが入部する以前の野球部で厳しい練習に耐えられず辞めていった、
長妻くんという部員が、
自分より下手だったはずの仲間がはるかに上手くなり、
相手強豪校のランナーを、流れるような連携で刺したその場面をテレビで見て……
涙を流しながら漏らした一言です。



  「俺は……自分が好きなことにすら、夢中になれなかった……!!」



……好きなコトにくらい、夢中になりたいですよね。
痛いことも辛いことも苦しいことも、
痛いとも辛いとも苦しいとも気付きもしないで、
「その先に、実は何もないかも」なんていう不安を感じもしないで、
その先にある喜びだけを追いかけて、夢中でいたい。

好きなコトにも夢中になれない、なれなかった自分を見せ付けられるのは、
あまりに惨めです。

だけど大人になると、夢中になることと「死」はほとんど表裏一体だから。
だってそうでしょ。
夢中になったその先に何もなかったら、食べるものも、住む場所も失ってしまいます。
それは死だ。
誰だって死ぬのは怖いもの。

話は極端なようですが、
大人には大人なりの「夢中になるやり方」がある……
つまり、やりたいそのことを目的としつつ手段ともし、利益を上げられるように、
段階と目的をハッキリさせながらことに臨むというやり方だけど……
けれどもそれはまたそれで、
「それは、本当にその『やりたいこと』に『夢中に』なれているのか?」
と問われれば、
「いや、だって」という句を頭につけることナシに答えることが難しいと、
思ってしまいます。
どうしたって、一番の優先順位は
「最低限でもお金を稼げること」にならざるを得ませんから。
きっと何かがスポイルされる。

その「夢中」そのものに人を惹きつける力があって、
それに目をつけた誰かがそれを利用してお金を稼ぎ、自分自身に分け前をくれる……
くらいのことでないと、
自分自身は「夢中になっている」とは言い難いのではないかと、
ゼイタクなオイサンは思ってしまうのです。

夢中の犠牲になるのが自分一人なら話はまだシンプルだけど……
大人ですから。
愛する人がいたり、子供がいたり、自分の夢中に付き合ってくれた仲間がいたり。
そうなるともう、怖さもうなぎ上りに膨れ上がる。
夢中になるのがどんどん難しくなる。
妥協したくもなる。



……ただ、思うんだけども。
それでもやっぱり、大人なんですから。



大人なんですから、ホントに夢中になれれば、
それで食ってくコトくらいは出来ンじゃないか?
大人なんだから、そのくらいの馬力は、夢中の向こうにあるんじゃないだろうか?
子供が夢中になるのとは、ワケがちがうんだというところを見せることだって……
出来るんじゃないだろうか。

オイサンは今、お世辞にも「好きなコトに夢中になれている」とは言えません。
短時間、そうである瞬間瞬間はありますが、
イザ、好きなコトさんに対して面と向かって、

  「俺は、お前に夢中だ!」

と正面切って言えるかと言われたら、
……恥ずかしくて、とてもとても。

  「俺についてこい、一生面倒見てやる!」

だなんて、口が裂けても。
……情けない。
何をやっていたんだ。
三十五年近く。

自分を取りまく様々のために、
好きなコトに夢中になるための、時間や、心や、体力を犠牲にしている自分がいます。
そんなのは、立派な大人のするコトだ。
なんなら、それを夢中になれないことの言い訳にさえしているかもしれない。
情けない。
惨めだ。

今の世界が、そんなに幼稚でも、寛大でもないことは承知の上です。
だけどもそんな、したり顔の悟りが真実なのかどうかを、オイサンは知らない。
むしろそれすらオイサン次第であることの方が、まだ知ってる。

……あー、でも、やっぱ怖えなあ。
「夢中で生きていけない」……
そんな世界に、未練は無いハズなんだけど。



■変わらなくていい。スイッチ一つ、切り替えられれば。



そしてもう一つの言葉は、現在週刊モーニングで連載中のサッカーまんが、
『GIANT KILLING』からの一節。

GIANT KILLING 10 (モーニングKC) GIANT KILLING 1 (モーニングKC) GIANT KILLING 6 (モーニングKC) GIANT KILLING 5 (モーニングKC) GIANT KILLING 7 (モーニングKC)

チキンハートのセンターハーフ・椿大介が、
試合中、どうにかピンチを乗り切ろうとして、
ハーフタイムに監督からかけられた言葉を振り返るシーン。


  「監督は、楽しようとすんなって言った」


それはつまり、
「守りに入ってしまって、出来るコト、やらなければならないコト、
 出来ないかも知れないけれどやった方が良いコトを
 やらずに終わらせるな」
というメッセージです。

「楽をする」というと聞こえは悪いのですが、これは言ってしまえば
「普通にしている」というのと同じことです。
普段通りにやる。
手クセに頼る。
今までの引き出しで何とかしようとする。

マ人間、ラクな方が勿論良いですから、それでいってしまいがちなワケです。
大概。
せんでエエ苦労を自分から背負いこもうなんてのは、
自然界広しと言えども、人間くらいのものでしょう。
近い草っぱらで寝ているインパラと、遠い岩山のてっぺんにいるインパラ、
わざわざ後者を狩ろうなんていうライオンがいたらお目にかかりたい。
近すぎちゃってどうしよう?

そんな場面で一つ、ギアを入れ替えたり、新しいことをやるのは、
怖いことでもあり、また何より、しんどい。
くたびれる行為です。
そして、「キャラ」ということを考えると、恥ずかしかったりもする。
精神的にも、肉体的にも、大きな疲労、負担を抱え込む行為です。

世間ではそれを「殻を破る」というような言い方をすることもあるけど、
それはどうもちょっと、ちがうんじゃないか?
変わらないことが、無条件に悪いこと、
変わることが、無条件に良いこと。
そんな線引きが、言葉の裏側で無意識に取り引きされているように感じる。

オイサンは、安定することや、
安定の中で今の持ち物や武器に磨きをかけていくことだって
決して悪いことではないと思います。
自分にとっての唯一が見つかったのであればその他一切を放棄して、
その一つを磨き上げる、
それはそれで、一つのカクゴが要求されることだから。

そしてまた、変わらなければニッチもサッチもいかない局面でどうするか、という問題。
追いつめられて変わる! ……というのは勿論一つの正解だけど、
それはもう自分には手の届かないもの、
今生では手放すべきものとしてしまって切り捨てるということだって、
一つの覚悟であり、正解なんじゃないだろうか。
だから、変わらないことが「ラクをする」に直結することではないと思うのだけど。



ただ。



その言葉を椿大介に贈った、『GIANT KILLING』の主人公、カントク・達海猛は、
その変わることを「面白くする」ことだと言います。
サッカーが好きなら、勝ちたいなら、
この先もサッカーでキモチのイイ目を見続けたいなら、
「面白いサッカーをやれ!」と。


うん、それはなんか、分かる。


キライなことや、自分でその価値を認められないことに対して、
無理をしたり、しんどい思いをしてまで「変われ!」っていうのは、
正直、無理ですよ。

  イヤもちろん、そうせざるを得ない場面もあるし、
  大人ならやってしかるべき、って場面もあるでしょう。
  ぶっちゃけた話、やってますよ。オイサンだってさ。
  無理して。
  「カネもらってんだから、やれ!」なんつわれてね。
  ホント厭な、ダメな風潮だと思いますけどさ。ヒドイよね。

だけどそれは畢竟、自分の最上層に皮を一枚かぶるくらいのことであって、
自分の根本が変わるわけではない。
だからその皮はいつまでたっても自分に馴染みやしないから、
カブる度に息苦しいし、暑いし、ムレるし、なんならかゆいしでエエトコなしですわ。
カブる度、脱ぐ度にくたびれます。

だけども、自分が本当にその必要を感じて……
否、手に入れる前は「なくてもいいや、でもあった方がいいな」くらいの気持ちでも、
自ら認めて身に付けた変化は、自分に快感をもたらしてくれる。

自分が新しくなることが面白いし、新しい自分に出来る何かしらが、また面白い。
そして、面白い自分が増えれば増えるほど、自分はオンリーワンになっていくんだ。
そのことにはきっと、夢中になれる。
夢中になれないと、続かないことでもある。

それは多分、着ぐるみではなく、スイッチ。
自分の根元を切り替えるスイッチなのだと思います。
オイサンは、このセリフの後のシーン……野獣のように吼え、
フィールドを疾駆する椿の顔がすごく好きです。

より、面白く。
より、美しく。
それが欲しいなら、新しい自分を拾い集めていこう。
そしてその中の幾つか、自分が一番カッコイイと思うやつを選んで、
キランキランになるまで磨いていこう。

世間や、社会や、組織のために、
自分自身や、自分が大切に思っていることや、キャラを曲げたり変えたり、
する必要はない。
それは決して、自分にとって面白いことではないよ。
自分自身や、自分が大切に思っていることのためにこそ、
キャラを、殻を、自分を変えることには大きな価値があるとオイサンは思う。

  もちろん、世間や社会や組織を自分が大切に思うなら、
  それらのために変わることは、価値のあることだけど。

そこんトコロは、はき違えないようにしないとね。



……。



こうして考えてみると……、
夢中になれない自分を思い知らされ、ラクをするなとののしられ。
こんなにも、「毎日に時間が足りない」と思える日がまた来るだなんて、
今年が始まったときには思いもしなかった。

それが誰のせいなのか?
これは幸せなことなのか……それとも。



オイサンでした。



■菊池志穂 Dream Child 8:40あたりから。

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