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2009年8月23日 (日)

■"THE" TRUE LOVE STORY その3 -更新第289回-




■8月23日(日) 18:30




昨晩から、調子がおかしい。
なんだろう、この感じは。
絢辻さんが、どこかへ行ってしまったような気がする。
なんでこんなに、脳みそがスカスカするんだろう?





オイサンです。





昨晩『アマガミ』プレイLap-09を終え、今朝からLap-10を始めました。
しかし、これまでと違ってもう一つノリが良くない。
何かがわだかまっている。



原因は分かっているんです。
隠しシナリオ……上崎裡沙のせいだ。
いや、彼女が悪い、ってんじゃなくてね。

結局彼女がやっていったことというのは、
「主人公の2年前のトラウマ」という『アマガミ』という物語の前提とも言うべきものの破壊、
であったわけです。

2年前、蒔原さんが主人公との待ち合わせ場所に現れなかった。
そのことによって、主人公は傷つき、この2年間、恋というものを失ってきた。
しかし蒔原さんが現れなかったのは上崎さんの企みによるもので、
しかもそれは(上崎さんの言葉を信じるならば)、
上崎さんの、「主人公が傷つくことを防ごうとした善意」からだったわけです。

  ……ついでに、昨晩の記事からちょっと考えて見たのですが、
  蒔原さんの言動を顧みるに、どうもセンとしては、
  上崎さんの言い分が真実に近いような気がします。
  蒔原さんが、伝言の犯人を教えなかったのは「保身のため」というセンが描きやすい。

   ・上崎さん、蒔原さんにウソの伝言を伝える
     ↓
   ・蒔原さん待ちぼうけ
     ↓
   ・後日、蒔原さん上崎を締め上げる。

  というプロセスがあったとして、
  蒔原さんは、主人公が上崎さんと接触して自分の当時の悪巧みが露呈することを
  避けたかった、ということなのかと。
  まあ、語られる中での、シナリオ上の心情的な整合性、という面からだけみた
  推測に過ぎませんし、今の上崎さんの性質が、一体どの時点に端を発するのか?
  ……が分からない限り、彼女の言動を丸呑みにするのは危険な気はしますが。

まあ、上崎さんが手を下さなかったとしても、その裏にはより凶悪な悪意が潜んでいたワケで、
いずれにしても主人公は順調に(?)トラウマを抱えることになりはしたので、
結果的には変わらなかったのかもしれませんが……
それでも、ある意味で主人公の2年間を「支えて」いたトラウマという
一本の太い柱にひびが入ったことには変わりありません。

それによって生じるのは……
「そのトラウマに端を発する『アマガミ』の物語自体に対する疑念」に他なりません。
そのときのトラウマが無ければ生まれ得なかったであろう、
6人のヒロインに対する恋心、主人公のアクション。

そのトラウマの真実性が失われた今、
彼女たちへの主人公の、否、オイサンたちプレイヤーの抱く恋心は、
果たしてどこまでが実体であるのか、という大きな問題です。


……。


以前、ちょこっとだけ記事にさせて戴いた
オイサンの尊敬する大御所とお話をさせて戴いた時のことです。

彼は、
  「上崎シナリオをプレイすると、『アマガミ』の世界がひっくり返る」
と言い、また
  「目に映る世界の色がかわる感じ。256がフルカラーに」
とも仰いました。

マその辺は、リアルタイムの会話の中のことなので、
御大がニュアンスにどの程度の精度を持たせたのかは計り知れませんが……
オイサンは、「世界がひっくり返った」とは感じていませんし、
色彩については、今のところ正直逆。
フルカラーだった世界が、モノクロームになったような……
そんな空虚な感じを受けています。

「とてつもなく大きな変化」は感じています。
しかしそれは、起こった変化そのものが大きかったわけではなく、
起こったことは実に些細なことなのですが、それが心に穿つ穴が大きいという、
人の心の複雑なところをものの見事にブチ抜いた、あまりに巧みな大業でした。

たとえてみましょう。

『アマガミ』の世界を、ディナーの設えの整った、9人がけのテーブルだとするならば、
上崎さんを知った後の世界は、
そのテーブルからテーブルクロスをだけが抜き去られた……
そんな状態に見えるのです。

そして、9人がけだったテーブルは、いつの間にか8人がけになっている。
いなくなったのは、サテ誰でしょう?
……誰も気付けません。
だって彼女は、はじめからそこにいなかったんですから。
……そんな世界になったような、不思議な空虚さを感じるのです。

6人分の物語を、繋げたり、台無しにしたり……そんなことはないけれど、
6人の影をほんの少しずつ、頼りないものにしていったのです、彼女は。

まったく……面白い仕掛けをしてくれたものです、制作チーム。
底知れない。
恐ろしい。
昨晩の記事で、「オイサンの思い描いた、最悪中の最悪の展開にはならなかった」と
書きはしましたが、ある意味でそれを上回った感があります。
顔面をガードしていたら、足払いが飛んできた。
そんな感じです。
自分たちの築き上げた物語のド心臓に、最後の最後に風穴を空けていこうてんですから、
キモが据わっているにも程がある。

そんなところをハチの巣にされたプレイヤーたちは、
主人公の2年間、『アマガミ』前史の物語という土台を失い、
そして、その気持ちを前提に始まった6人のヒロインとの恋を、
「あれ? じゃあ、今僕が好きなこの子を、一体僕は、どうして好きなの?」
と、思ってしまっても……仕方がない。

  もちろん、そこを切り離して考えることも出来ましょう。
  関係ねえと。
  だからどうしたと。
  作中で、たしか主人公が言っていた気がします。
  誰のシナリオだったか、憶えていませんが……確か、中多さん編じゃなかったかな。
  「きっかけは、なんだっていい」と。
  「今のこの気持ちが大事なんだ」と。

けれども、今のオイサンは、そんな気持ちに、ちょっと晒されています。
「手帳の中のダイヤモンド」も最終章に入ろうというタイミングで、
こういう状態になってしまったのは正直、手痛い。
美也のケアをしようと始めた、記念すべき10周目、Lap-10にも、
もう一つ気合いがのらずに困っています。

だから思います。
上崎さんとのハッピーエンドは、回収しなきゃいけない。
彼女を理解してその思いに報いることで、
2年前の事件が、ようやく実体をもって幕を閉じることになると思う……からです。
そこに幕を下ろして、新しい恋を始めることが出来るのではないか。
そんな気がします。

  その時には、また誰かの思いを裏切らなければならないことになりますが……。
  その時には多分、2年やそこらの歴史では小揺るぎもしない、
  どっしりとした土台を胎に蓄えた、
  弱そで強い、あの子に頼ることになると思いますけどね。

ぶっちゃけた話……7人分のシナリオを回った先にバグが待っている、
そのことが「仕様」にすら見えてくるオイサンです。
「全部読んだら、お前らもっぺん、真っサラにして読みなおせ!
 そっからなんだよ、『アマガミ』は!」
という、スタッフからの声なきメッセージなのではなかったかと。

  イヤもちろん、そんなもんご勘弁ですけどね。
  会話モードを埋めたらマジ即死とかいうバグも含めて、
  廉価版ではガッツリ修正して欲しいと思います。
  働け働け!
  いっくらでも買ってやるから!

しかし面白いもので、
そうして完全に破壊された後の物語には、なにが待っているでしょう。

恐らくは「再生」です。

前提亡きあと、独り、物語の只中に放り出された読み手……プレイヤーは、
今度こそ、ナニモノにも依らない、
自分だけの、自分発の、恋を見つけだすことが出来るに違いない。

それは、自分だけの物語の獲得という意味での、
作られ導かれた物語からの脱却であり、
『アマガミ』という物語の、読み手による読み手のための再生であると、
オイサンは想造します。

言いっぷりとしてはちいと大袈裟ですし、やってることは変わらないわけですが、
上崎さんシナリオという設えが存在することで初めて、
読み手はこの意識を獲得することが出来ます。
そうした意味で、やはりこの構成は革命的だと思います。



……。



その昔、「流星野郎」というアホなオッサンがいました。
当時彼は、某有名ゲームメーカーの広報部課長代理という位地にありながら、
週一のラジオ番組を持つという、
ホントにワケの分からない、ホントに面白いオッサンでした。
コンゴトモ、ヨロシク……。
その彼のラジオ番組の一コーナーに寄せられた、
あるおハガキの一節を……うろ覚えですが、オイサンは今でも憶えています。
こんな感じだったでしょうか。


  ……そうしてハチの巣にされた主人公の体には、
    いつしか、あまい、あま~いローヤルゼリーが蓄えられ、
    やがてそこから元気な蜂の子供たちが生まれてくるのです……


……ね。
アホみたいでしょ。意味わかんねえっつうの。

だけども、オイサンは期待します。
上崎さんの物語によってハチの巣にされた『アマガミ』の物語の心臓に、
甘く芳醇なローヤルゼリーが蓄えられる時が来ることを。

それはきっと、ハニカムのように居並んだ4096の行動マップの全てのマスを、
余すことなくノックし終える時。

彼女らとの物語が、甘さもせつなさも、
もっと胸に迫るものとなって響いてくれればいいなあと……
ここまでのことをやらかした制作陣を信じて、
しばらく、今しばらく。
この『アマガミ』の物語に、くらいついていきたいと思うのでありました。



オイサンでした。



……だっておめえ……ここでやめるって手はねエべ?



 

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