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2009年8月の27件の記事

2009年8月31日 (月)

■御手に紡がれるもの -更新第296回- 

テンションが高い時気を抜くと……
となりを、お腹を大きくした絢辻さんが歩いている感じになります。
オイサンです。

どーしよう。
なんかもう、そういうときたまらなく幸せなんだけどなあ。
お寿司食べたいなー(脈絡ナシ)。



■10周目の続き。



オイサン的『アマガミ』プレイ記、Lap-10の続き。
面白い。実に面白い。

現在<ナカヨシ>にて、薫・七咲・森島センパイの3人が
激しい火花を散らしておいでなのですが。

棚町薫さんが
「水泳部にノゾキが出たらしいの! あたしたちでとっ捕まえるわよ!」
と息まけば、
ヒマだから、と主人公が単身水泳部をノゾキに訪れ
ひびきちゃん先輩のおムネを鑑賞しているところを七咲に見つかり、
かと思えば一方で、
森島センパイに誘いかけられて再びノゾき、またしてもひびきちゃん先輩見つかり……
(つっても先輩を犠牲にして逃げたんだけど)。

  「もう、お前と森島センパイが
   薫に捕まっちゃえばいいじゃん!!」


と突っ込みたくなるほど、申し合わせたような水泳部ノゾキイベントの併発具合。
そして薫とノゾキを捕まえた夜、主人公が
「疲れた……。気分転換に……」
とお宝本を見ているところに美也が乱入してくる、というコンボつき。
面白いくらいにお話が自然に繋がっていく。

これはなんだ、ワザとか?
ワザと、これらのイベントを日にち近づけて配置しているんだろうか?

そして、美也まわりにしてみても、美也シナリオが展開する傍らで、
裏切って森島センパイと二人でアンティークショップに出掛けた結末には
美也にもおみやげのクマさんをプレゼントして喜ばれ、
その一方で、おムネのサイズで落ち込む七咲を励ますために、
美也のスリーサイズを暴露してしまうという、
ハピネスとロンリネス(?)のトレードオフぶりが炸裂。

たくさんのシナリオが絡まり合うことで生まれるこうした感情のドラマがなんかもう、
賑やかな輝日東の日常が演出されるようで、たまらん、楽しい。

  ちなみにオイサン的には、
  薫と二人、ノゾキを捕まえて夜道を帰るシーンは
  このゲーム屈指の名シーンだと思うのですがいかがですかね?
  この会話が<スキ>ルートに入ってないのが不思議なくらいです。
  うーん、なんでかなあ。
  この話と、薫の両親のエピソードを何とかきれいに、繋げられないモノかなあ……。
  オイサンにも中学時代、悪友女子がいたんだけど……
  薫がどうしても、その子にかぶるんですよなあ。
  その子のコトですか? 好きでしたよ。

あと今回、七咲には酷いことしっぱなしだ……。
なのに、七咲はなんであんなに温かく接してくれるのか。
そのせいか、七咲がちょっと真・絢辻さん化してる気がするんだが。
跳び箱イベントって全員分あるのか……。

しかし……やっぱりこのゲーム、<ナカヨシ>に人がたくさんいると
展開が急に愉快になって楽しくなるな。
ワイワイ、賑やかに過ごそうと思ったら、ナカヨシでいるのがいいみたい。
やっぱり一回、「みんな揃って<ナカヨシ>祭」をやってみるのが楽しいかもしれない。


マそんなことでね。
今日はホント一日、特に何も考えないでずーっと『アマガミ』やってた感じだなあ。
あ、イヤ、選ぶ行為はしに行きましたよ。
朝早い目の時間に行ったのに、やたら混んでてウンザリした。

あとは天気が良くなかったので、あまり出歩くことも出来ず。
明日は台風かあ。
面白くなるといいなあ。
せっかくの台風なんだしな。
大阪さんぐらい元気に出勤してみるか。

「台風やー!! 行ってきまーす!!
 うわー、大変やー!!
 あはは、あははははー!!」

イカン、さっきからなんかオナラが止まらん(何故だ)。



オイサンでした。



……で、締めようと思ってたんですが、
たまたま神威岬の動画があったんで載っけておく。

  ◆美しい!北海道 神威岬の動画  [地球はすごい! 明日の地球]
   

■神威岬



丁度昨年の夏、オイサンもここに行ったのですが……
ここは確かに、圧倒的にすごかった。
北海道に横たわる、「カムイ」の名を冠する風景は
どれも圧倒的にすごいので超オススメです、是非!

ぶっちゃけ、動画では伝わらない、
風景っていうのは頭の後ろまで空気があって初めて風景なんだぜ!!
……ってことを教えられる場所たちです。
その時のもよう、詳しくはこちら↓!!

 ■オーロラと蒲公英
  ・神様のクロスカウンター(小樽~神威岬~積丹編)
  
オイサンの旅ブログです。

って、途中で止まったまんまなんですけどね、神威岬編……。
で、でも神威岬のあたりは全部載っけたよ!!
マジオススメっすよ。
……オイサン、摩周湖と神威岬へは、ぜひ絢辻さんと行きたいなあ……。


では今度こそ。
オイサンでした。

 

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2009年8月30日 (日)

■DICE~神様のSANチェック -更新第295回-

 
 
 せいしゅんの あやまち !
 おいさんは きぶんてきに 88 のダメージをうけた !
 おいさんは ふさぎこんだ!


 

オイサンです。
世間から遅れること2カ月、『ドラクエIX』もぼちぼちと進めています。
プレイ時間、現在2時間20分。

  ほんとにボチボチだな!

という、ハゲグラサンからのツッコミが聞こえてくるようです。
……ハゲグラサンとエビグラタンは似ているな。
今のところの感想は、
「……なんか違うな」
です。


  ◆◆本日のおしながき◆◆
    ・ニャル子さんCD化記念Webラジオがあまりにカオスだった件。
    ・アニメ『青い花』を見たぞよ。
    ・『アマガミ』プレイレポート・10周目の奇蹟!
    ・ねんがんの 『アマガミ』アンソロコミック をてにいれたぞ!
    ・Closing~君のハートを解散総選挙




■這いよる混沌からしんにょうを取ると、言いよる混沌になる、の巻




こないだの記事でご紹介した『這いよれ!ニャル子さん』の
ドラマCD化記念Webラジオを聞いてみたのですが。
……か、カオスすぐる……。

ドラマCD 這いよれ!ニャル子さん ドラマCD 這いよれ!ニャル子さん

販売元:HOBiRECORDS
発売日:2009/10/23
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販促ラジオだっつってんのに、冒頭から、
すごくいいTシャツを買っただとか、
パワーポイントがどうとか、
会社の給湯室で起こるのはオフィスラブなのか同僚への悪口なのかとか。

全ッ然、本編と関係のない話のエレクトリカルパレードでした。
すげえ。
なんつうか、客層を完全に分かったというか……
このノリを許せないヤツはCD買っても楽しめないからやめておけ、という
聴き手を選別するための、最高の試金石になっていたような気がします。

随所でアスミんが、マツキスの話の振りに対して
「え、え? 一体何の話?」
と確認していたのが異様におかしかった。
マツキス、フリーダム過ぎだろw

またこないだの記事で、
「アスミんのいいところを引き出しているのはシンタス」だとも書いたのですが、
あれは……アスミんが、ただ聞き上手のツッコミなだけだな。
今回、マツキスとのトークを聞いていて、つくづくそう思った。
しかも別段、彼女は会話をリードして必要な方向へ導くわけでもない。
ただただ、天然大ボケ役が織りなすカオスの渦に身を投じつつ、
その渦が大きく強くなるように、勢いに任せて話を膨らまし続けることに長けている、
というだけのことだった。

マツキスも、シンタスも、高純度のボケであるというだけの話でした。
アスミんから面白い話を振ることって殆どないんですよね。
相槌とか、弱者であること(後輩 or 非萌え趣味)を逆手に取った辛辣なツッコミとかが
とても上手なんですな。

なんにせよ、頭ユルくしてゲラゲラ笑いたいだけなら
これだけでも聴いてみると吉です。

オイサンですか?
オイサンは、古谷"ニュータイプ"徹氏が発射するという
「ナレーションなのにアドリブ」とかいうベテランならではの荒業を、
ぜひこの目で、いや耳で確かめてみたいので、とりあえず本編も購入したいと思います。

あー面白かった。




■ブルーローズ 後ろの正面H丸




『青い花』。
実は第一話だけ、放映当初に見ていて、
「……今期、オイサンが一番見てて面白いと思うのは、多分コレだろうな」
と思ったにもかかわらず、何故か二話目以降、音速でスルーしていました。
それを本日、四話まで一気見。

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うん、案の定、オモロイ。
素晴らしい。
見応えがある。

……と、思っていたら。
カントクさんが、『キミキス』ファンの間で悪名高き、
カサヰ”結美ちゃん殺し”ケンイチさんでした……。
なんでだ。
また結美ちゃんファンから怒られる。

でも多分、オイサンはこの人の映像作りが、生理に合うのでしょう。
見ていて本当に心地良いし、ハッとさせられたり、言おうとしていることが伝わったり、
しますもの。

すき間、空間、時の間、そんな「そこに何かを描かないこと」で、
その何かを伝えるのがバツグンに上手だと思います。
主人公のフミちゃんの面倒くささとか、杉本センパイのいやらしさとか、
そういうものを嫌味なく、むしろ心地の良いもの、微笑ましいものとして描き出せてしまうのは
羨ましいくらいで。

しかし、なんとなくですけど、この人は多分、普通の人じゃないと思います。
ひどいヒトの匂いがする。
理由は分からないケド。

あと、OPがなんか妙に……病的だなあと思って見ていたら、
コンテが幾原邦彦さんだった……。
この人も、相変わらず特徴的ですねえ。

■『青い花』 OP


それから、EDの歌が……
絶対『フタコイオルタナティブ』のEDを歌ってたeufoniusだと思ったのに、
Ceuiとかいう違う人だった……。
えー、同じ人が名前変えてるだけじゃないのー?

  『フタコイオルタナティブ』は、超弩級の名作です。
  皆さん、見ましょう。

■『フタコイオルタナティブ』ED 僕らの時間

♪たとえば3年後、僕らの時間を……思い出にすること、出来るかな?
  ……名曲。



まだゴッソリと話数のストックが残っているので、
じっくりと楽しみたいと思います。




■神に愛され13年。




森島センパイとアンティークショップに行きたいばっかりに、
薫のお誘いを蹴ったオイサンが来ましたよ!

というわけでオイサンの『アマガミ』プレイ記Lap-10、20日目。
薫を<スキ>に引き上げるスター獲得イベントで
「放課後、空いてる?」
と薫に聞かれ。
「……しまった。放課後は……今日までの森島センパイのイベントがなんか入ってたハズだ」
と思い出し、お誘いを蹴ってしまいました……。

スマン、薫……orz

こういうことが起こるから面白いな。
というわけで結局、首尾よく<スキ>まで上り詰めることが出来たのは、
ミルクフォーチュン中多紗江ちゃんだけです。
梨穂子は墜落、
<ナカヨシ>には、森島センパイ、薫、七咲の三人がひしめく群雄割拠の様相。

そして、今回は前回の上崎さんシナリオにて深く傷つけてしまった
美也をフォローするという目的があったにもかかわらず、
美也を置き去りにして森島先輩と二人でアンティークショップに出掛けてしまうという
本末の転倒ぶりがまた素敵です。

う~ん……なんでこう……こちらの思惑を見透かすように、
絶妙にイベントが重なるんだろう……?
コレ狙ってるんだろうか?
それともやはり、オイサンがギャルゲーの神に愛されているだけなのだろうか。

あとギャルゲーの神は女神なんだろうか?
……いや、多分キッタナイ長髪の、歯並びの悪いロッカーくずれのオッサンで、
「オッス! メタルユ○キだ!」
とかって挨拶すんだろうなあ……。
愛されたくないなあ……。




■アンソロ爺い




アンソロコミック『アマガミ -Various Artists-』も、どうにか獲得に成功。
……うーん……ワリと……どってことないなあ……。
中途半端というか……。
でもまあ、こういうものなんだろうなあ、という……
ワリとアレだ、当初の想定通りの感想になっちゃったカンジです。
うん、普通!!

アマガミ -Various Artists- (マジキューコミックス) アマガミ -Various Artists-
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……いかんなあ。
こういうものに満足出来なくなってくると、
またオタクとしての自分の資質に疑念がわいてきてしまうんで、
恐ろしくもあるんです。
上手にこう……ノっていかないと、という思いもあり。

収穫は二つ。

一本目の森島先輩の話を描いてた作家さん……月野定規さんの、
絵柄は結構好きかなあ、というコトが一つ。
背景がしっかりしているし、線がシンプルで強弱がハッキリしているのが素敵。
みず谷なおき先生の匂いを感じます。
トーンがもうちょっとあっさり目だと尚好きなのですが。
あと、話の最後に<ソエン>だとか<テキタイ>だとか、
キャラが自分で言っちゃうあたりもサービス感じてオイサン的には良いかと。
もっと、普通のマンガも読んでみたいと思います。

もう一つは二本目の、如月群真先生の絢辻さん話。
とてもシンプルな絢辻さん像が描かれていて、
「あー、そうだよなー。このくらいでいいのかもしれないなー」
と思ってしまいました。
うーん。だよなー。
何故かちょろっと薫の心情が絡めてありましたが、
基本的には本編をなぞりつつ補完+エスカレーションする展開になっていて、
それも好感度高し。

ラスト二本の、ひびきちゃん先輩ちゃんの物語と4コマも、
なかなか楽しめました。
巻末イラスト群の中では渡会けいじさんの絢辻さんが。

しかし、やっぱ、ねえ。
むずかしいですねえ。アンソロコミックは。妄想の商品化というのは。
昔からこんな感じだったような気はしますけども。
もう少し、どうにか出来んかなあ。




  ……。




……選挙、ねえ……。
ぶっちゃけた話、政権が変わろうが変わるまいが、
大した差はないと思うんです。
「どの部分がヒドくなるか」ってだけで、そう良くなりはしないでしょう。
誰を眺めてみても、良くなるとは思えない。

モチロン、悪いところをコツコツと良くしていかないといけないんですけどね。
ところがオイサンなんかには、どうすりゃ良くなるのかも分からなければ、
どの順番でいじるのが正しそうなのかも、
なんなら、どこが、何が原因で、どのくらい悪いのかも、分からないわけです。
それを、さあ選べ、なんつったって選びようもなくてね。

そこは勉強せえよ、って話なんでしょうけど。

でもそれ、素人、ある意味で当事者でない人間に判断できるほど、
全ての情報が開かれているのかと言われれば、どうなんでしょう?
本当の情報を入手するには、随分な労力を要求されるんじゃないですか?
政治やら、その情報やらがこれだけ高度に専門化されてしまったら、
素人が口出しするのは逆にキケンな気もするんですけどね。

でも結局は、素人を意識せざるを得ないから、
分かりやすいコマーシャル・スローガンの撃ち合いと、
効率のいい票集めにしかならないわけでしょう。

まあ、ねえ。

誰の言ってることが本当で、逆に何がウソなのか、判断のしようもありませんが、
外国人の参政権を認めようだとか、
収入の15%を税金としてかっさらうつもりがあるだとか、
死んだ魚の目をしたハトのおっさんは息巻いてるみたいで、
ホント勘弁してくれよって思いますけども。
テキトーマニヘストの穴埋めをさらにテキトーな思いつきで埋めようてんですから
その発想はなかったわ、としか。

  ……あの、厳密にはニュアンスの違うことを言われてるかもなのですが、
  目くじらたてないようにお願いしますね。
  大体です、大体。
  どーだっていいじゃないですか。

オイサンらくらいの世代はとりあえず投票率を上げてかないと、
「票にならない奴らの待遇を良くしてもしょうがない」
とかいう理由で、我々の待遇は無視され、
真面目に投票に行く高齢世代にばかりアピール出来るマニヘストがぶち上げられる、
だからオイサンらの世代は、まずしっかり投票にいこうぜ、
なんていう考えもあるみたいですけどね。

……それだってそもそも、どうかって思いますよね。

そりゃあ連中は当選出来ないと何も出来ないわけですから票は大切だと思いますけど、
票を気にして、やるべきことのバランスを崩す連中になんて、
そもそも票を入れるわけないじゃないですか。

そんな瑣末なことヒトツで、「全体的にちゃんとした国を作る」という
最大目的のウェイトを変えようだなんて、本末転倒も甚だしい。
ナメてると思いますがね。

……まあ、それもね。
「効率がいい」やり方ばかりを追い求めると、
システムというのはそういう風にならざるを得ないのでしょうから。
効率というものと、時間も含めた全体的なバランスというものは、やはり相反し続けるのかもしれんなあ、
などと考えてみるオイサンです。

サテサテ、どうなりますことやら。
今回も、完全ヒトゴトシフトで臨むのが一番なカンジです。
そんなに上手に、他人のやること信用出来ないよ。

マ、ロクでもない妄想を書き繕ったり、
さして面白いとも思わないのに、似非エロ漫画読んだりしてるヒマがあんなら
政治の勉強をせえ、というコトなんでしょうけどね。

……。
うーん、自分で言っといてナンだけど、本当にその通りだな……。



オイサンでした。



 

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2009年8月29日 (土)

■夏・終・話 ~ナツヒノハナシ -更新第294回-

夏も終わるし、せっかくこんな状況だから、
ひとつ、怖い話でもしましょうか。

ちょっと長くて、得意じゃないので、上手く話せるかわからないけど。




      *        *        *




友達に、大恋愛をした女の子がいた。
大恋愛過ぎて、若気が至ってしまったというか、
要するに、結婚もしてないのにこどもが出来てしまった。

もちろん周りには大反対されたのだけど、
その子も強気で頑固なものだから、周りの反対に耳を貸さずに、その子供を生んだ。
無理をすれば、自分たちで働いて食べていくことの出来ない年齢ではなかったから。
すると悪いことに、生まれてきた子供がちょっと普通じゃない……








ハッキリいってしまうと、いわゆる、畸形だった。








詳しいことはさすがに聞けなかったけど、
母であるその子自身ですら目を覆いたくなるような姿をしていたらしい。
命に別状はないみたいで……今でも、育ってはいるという。

問題は、父親の男の方。
その子供が無事生まれるのを見届けると、行方をくらませてしまって
今も見つかっていない。




  ここまでは、前置き。
  話の本題はここからなんだけど……ここからは、祖母から聞いた話がメインになる。
  その祖母も、祖母の祖母だかから聞いた話だというから真偽の程は定かじゃないし、
  その祖母の祖母も、もっと先の代から聞いた話だというセンも考えられるから、
  一体どのくらい昔の話なのかは定かでないのだけど。




25年も前になるか、その祖母方の田舎を訪ねたとき、
一度だけ墓に参らされ、小さな里山に登った。

祖母のルーツは、古くは山陰の田舎の集落にあるのだけど、
今では籍を移して、住まいは山陽側になっている。
けれども当時、代々の墓だけは山陰に残っていて、
墓参のためには山陰側まで移動しなければならなかった。
これが、馬鹿みたいに遠い。
今ではその墓も、山陽側に移したらしい。

その里山からは山あいの集落が見降ろされ、
そこが本当の祖母の家系の故郷なのだと教わった。

墓は山の斜面にあり、墓苑の近くには、大きな……相撲取りくらいはある、
苔むした碑が建っていた。
たくさんの人が祀られているみたいだったけど、
びっしりと覆った苔のせいで表面に彫られた文字やなんかはほとんど読めなかった。
あのまま放置されているのなら、今頃は多分、
ただの岩と見分けがつかなくなっているでしょう。

この話の当時……祖母の祖母だか、そのさらに祖母だかの時代、
ご当人の住んでいた集落とその近辺、つまりその里山のあたりは、
今でも、世界でもわりと珍しい、ある苔……藻? だったかな?
とりあえず苔でいきますね、珍しい苔が群生することで有名だった。

ちょっと「薬」の話になるけど、薬というのは、今でこそ研究が進んで、
人工的に製造できる成分も増えてはいるけれど、
「自然界にはあって、人の手では作り出せない」成分というのは今でも星の数ほどあるらしく。
中でも、藻とか苔とか、その類の地味な植物が蓄えている成分というのは膨大で、
大きな製薬会社では、そういうのを採取するために世界中を飛び回る、
専門のチームを抱えているらしい。

その集落に群生する苔も、そういう、薬効の期待できる類の物だったのね。
薬ではなくて、その逆だったんだけど。

つまりは毒。

神経性の強い毒を発するものだったらしく。
まあ、古い時代の話ですから……そういうものが重宝される場面もあったんでしょう。
農作物に恵まれる土地ではないから、
その近辺を収めていた領主は、その苔を大きな稼ぎの口にしていたみたい。

ではその苔。
どうして、その近辺でだけそんな珍しい苔が生えたのかというと、
考えられるのは、先ず自然条件。
山陰特有の気温とか湿度とか、日照時間とか。
ほかには、土壌。
で、何が土壌を作るかってことなんだけども……








  その地域では当時、土葬の因習が残っていた。








そしてその苔は、墓地の周辺……墓石とか、土塀とか、辺りの石とか……
に、やたら繁茂する。

これは時代が進んでわかったことらしいんだけど、
その苔は、人間の持つ、ある腸内細菌によって繁殖が促進されるのだそうで。
つまり、死んで埋められた人間の体から漏れてくる腸内細菌を使って成長していた、
という想像が、大体つく。
人の幼少期に一番多く腸の中にいて、年をとると減っていく、ナントカいう細菌らしい。

で、その集落を治めていた領主も、長いことやってると、
人死にの多かったその翌年には苔が大繁茂することがわかってきた。
そしてまた、苔の栄養となる腸内細菌は、「幼少期の」人間の腸中に多いから……
子供や幼児が死んだ年には、さらにおびただしく繁茂することも。
そのことに、気付いてしまった。

そこで、その集落の中でも身分なのか、立場なのか、
……いわゆる被差別的な家系というのがあったんでしょうね、
そういう家々に目をつけて、
「毎年、持ち回りで周期的に子供をつくって、差し出せ」というようなことを……
言い出したらしい。
無論、殺して埋めて、苔の繁茂を促すために。
言うなれば、儲け口の苔が増殖する床を維持するための、人間牧場。
生贄。

まあ、そんな当時の話ですから、
下々が逆らえるはずもなく、言うなりになるしかない。



  これは祖母の言ってたことではないけど、
  何らかの罪をかぶせて逆らえなくして、そういうことをやらせていたんではないかな、
  という気もする。



さらに悪いことに時の領主は、そうして苔のエサを作れと言うに飽き足らず、
その毒性の実験台……にまで、したらしいです。
どのくらいの量を与えれば死に至るか、死なないまでも、行動不能に陥るか。
人が減り過ぎないように、意図的に増やしながら、苔を増殖させ、人を実験台にし続ける。
ナチスなんかも同じことをしていたんでしょうけど、
こっちは同じ民族相手の分、なんというか……神経を疑う。

そうして実験を繰り返すうちに、一つ分かったことがあった。
神経毒だけではなかったんです。その苔の毒性は。










催奇性、ってわかりますか。










畸形を誘発する毒性……要するに、あれです。
悪名高い、枯葉剤。
ベトナム戦争で使われた、ダイオキシンを主成分にもつあれと
似たような効果を発揮したらしいです。

それが一体、どの程度科学的に理解されていたかは分からない。
あまりにむごいことを繰り返した祟り、くらいに考えられたのかもしれません。
いずれにせよ、選ばれた、
実験台にされながらも生き永らえ、悲しい交配を強いられた気の毒ないくつかの家系からは
憐れな姿の子供が次々に生まれるようになり、
領主に献上される赤子にも、むごたらしい姿をした子供が目立ち始めた。

それでも領主は懲りずに、そうしてある家系が「使えなくなる」と、
また別の家系を加える、という風にして、
そのえげつないシステム(と呼んでいいのか……)を継続させた。



  そのいくつかの家系の輪をなんといったか……ニだか、ナだか。
  もう随分昔に聞いた話なので忘れてしまったけれど。



やがて、その領主の家にも一人の畸形の子供が生まれてしまった。
これはただの偶然か、或いは、時代的にまだ近親婚をやっていたとか、
偶然その苔の胞子を吸ってしまったとか、
別な原因があったのでしょうけども、それを見てさすがに怖くなったのでしょう、
領主はその制度をとりやめて、ばかりか、
それに関わった全ての家系を根絶やしにしようとしたのね。

そんなことがあって、その集落ではようやくそんな馬鹿げた因習が消えることになったのだけれど、
話はめでたく終らない。
収まらないのは、それまでどん底に貶められ続けた一族の方で。

領主のたくらみの気配を察知するや、彼らは暴走し、
最期に復讐として、周辺の者たちを片っ端から犯して回ったのだそうです。
男も、女も。

もちろんそうして犯された者たち全てが子を孕んだわけではないでしょうし、
孕んだにしても、全てが畸形児だったわけでもないでしょう。
けれども、彼らの有した悲劇的な形質が、高い濃度でばら撒かれてしまった。

残念なことに、当の領主たちにまでは直接的に復讐の手は届かず、
彼らが本当に復讐したかった、領主の一族にその思いは届かないまま。
今でも、その集落や、周辺に暮らしていた一族の家系からは、
忘れた頃にふっと、原因も何もわからぬまま、畸形の子供が生まれるらしい。








……ここで、話は冒頭の女の子に戻る。
相手の男は一通、封筒を残していったんだけど、
そこには家系図のコピーが一枚入っていた。

系図の終端には、子を産んだ女の子本人の名前があって、
ずーっと遡った端緒には、本人も、本人の父も母も、
祖父母でもしらないような、えらそうな、殿様だかなんだかの名前があったらしい。








そういうこと。








その子は、その集落の支配層に位置していた家の家系の末端にいた……みたい。
男は、その虐げられた家系の人間……だったんでしょう。
自分たちの血を穢した一族に復讐するために、未だにそうして支配層の家系を追っては、
自分の体に色濃く残るDNAの歴史を返すために、彼女の前に現れた。
それが本当のことなのかどうかは分からないけれど。

話の冒頭に出てきた石碑は、その家系か、
集落全体の霊を慰めるために建てられたものだったみたい。
びっしりと苔に覆われて、集落のあった谷を見下ろすように、建ってました。








      *        *        *








「おしまい」

あらゆる灯りの落ちたダイニング。
一通り話し終えた後、テーブルをはさんだ真向かいで、
絢辻さんはおなかに優しく手を置いて、揺らめくロウソクの炎に照らされている。
いつも真っ黒い瞳と髪には燃えるような朱が差して、おもては静かなのに、
激しい怒りを漂わせているように見えた。

「おしまい、って……。それって、つまり……」

僕はこわごわ、口にした。
だって、それは絢辻さんのおばあさん……だか、その前の前のおばあさんだか知らないけれど……
確実に、絢辻さん自身にも連なる話のはずだ。

エアコンも止まってしまったくらやみの中、
夏の名残りの重い湿気とロウソクの炎が作り出す、
ダイニングはまるで、真っ赤に滾る、海の底のようだった。

それなのに僕は全身に冷たい汗を感じながら、
揺れる炎の向こうで、なんの感情も感じられない目をした彼女から目が離せなかった。

「そうね」

と、絢辻さんは。
顔の、他の筋肉を一切動かさないまま。口だけを動かした。

「もし、そんなことが起こると分かっていても……。
 あなた、本当にあたしと結婚する?」

黒と、赤。
それ以外の色彩は一切ない。
異様な光を放つ僕らの空間に、絢辻さんの声だけが渦を巻く。
僕を飲みこんで、骨まで砕こうとしている。
逃げられるはずもない。
そして彼女は僕の答えを待たずに、

「思えば、あたしの父さんのちょっと歪んだ頭も、そんな支配層への劣等感とか……
 そんな人たちから逃れて生き抜けるための必死の思いが、何かの拍子に、
 祖父とか、祖母とかから伝染したのが原因なのかも知れないわね」

と、瞳を伏せた。

僕はあまり、絢辻さんのお父さんのことを知らない。
何度か挨拶には行ったけど、ほとんど関心を示してもらえなかった。
その都度落ち込む僕に、絢辻さんは
「気にしないでいいの。筋だけ通せば、それでいいから」
と励ましてくれたのだけれど……このままでいいと思ったことは、僕はない。

僕の頬を汗が走る。喉が、喉が渇いた。
何か、何か言わないと。

……そう思った矢先、ふー、と絢辻さんは深い息をついて、
きれいに伸ばしていた背筋を、思い切りチェアの背に預けた。
ガタッと大きな音がしたので、どきりとした。
彼女も僕と同じ、いつの間にか額から汗をこぼしていて、手扇で顔をあおぎながら、

「だめねー、やっぱり才能ないわ。
 ただのグロテスクな話になっちゃった。理屈っぽ過ぎたかしら」

と、舌を出すように、大きく伸びをする。

「安心して。作り話よ」
「え、あ……。うん……。そう、だよね……」

そして訪れた、本当の静寂。何の物音もしないダイニングに、
あの頃から変わらない絢辻さんの含み笑いだけがふっと漏れて、朱の炎が揺れた。
今、唯一の光源であるそれが揺らぐと、
キッチンの壁に大きくはりついた僕ら二人の影も、揺らん、と音をたて、
まるで僕ら自身を飲み込もうとする怪物みたいに大きくたわんだ。

とそこへ、ウィィン、と小さな唸りが上がって、冷蔵庫が息を吹き返し……

「あ、直ったみたいね」

言い終わるが早いか、一番に灯ったのは、廊下の向こう、バスルームの照明だった。
黄色がかった柔らかなクリーム色の光が、壁の魔物を照らして消した。

そうだった、そうだった。
風呂に湯を張り終わって、さあ入ろうとした矢先に起こった停電だった。
辺り一帯、真っ暗になって驚いたんだ。

続いてチカチカと天井の蛍光灯が光を取り戻し、オーディオ、デッキ、
部屋のあらゆるところで息を潜めていたくさんの液晶画面に、
青や緑の細い光が点り始める。

「結構、長い停電だったわね」

絢辻さんはリビングからバルコニーへ出、
夜の闇の中に少しずつ明かりを取り戻し始めた街を眺めて言う。
本当に、ただのお伽噺を終えたあとみたいだ。
エアコンからも冷たい風が吹き始め、慌てて部屋に戻った絢辻さんが窓を閉めると、

「そうだね」

いつもの夜の時間が部屋に帰ってきた。
もう、安心して……いいのかな。いいんだろうな。

「これは、もう要らない、と」

フッ、と彼女がロウソクの炎を吹き消す。
壁に、わずかに薄くだけ残っていた僕らの影も消えてなくなる。

「停電も、たまには悪くないわね」

冗談じゃない。
停電の度に、こんな怖い話を聞かされたんじゃ胃に悪い。
それに、冬だったらどうなる?
寒さとのダブルパンチで、心臓麻痺を起したって不思議じゃない。

「怪談話もこれでおしまい。お風呂、先にもらっちゃっていい?」
「ああ、いいよ。その間に僕、家電のチェックをやっちゃうよ」
「あ、それなら」

既にバスルームに向かっていた絢辻さんは足を止めて振り返った。

「レコーダを先に診てくれる?
 このあとすぐ、予約してるドキュメンタリーが始まっちゃうのよ」
「ああ、うん、わかった」

お願いね、と鼻歌なんかをひっかけながら。
ひたひたとフローリングの上をゆく素足の絢辻さん、
そのサマーセーターの背中はいつもと変わらなく見えるんだけど……
なんだろう。最近少し、丸みが増した気がする。
リビングのレコーダを覗き込む横目で、その様子を窺っていたのだけれど。
脱衣所のノブに手をかけた絢辻さんは、一瞬、ほんの一瞬だけ、
空いた方の手でお腹をさすった。
その横顔は、何故だかとても、愛おしげに優しい。
まろやかになったのは、体のラインだけじゃない……気がする。

「……。何? 一緒に入る?」
「えっ!?」

僕の視線に気付いた彼女は、悪戯っぽい笑みを浮かべ……ては、いない。
いたって真面目な顔だった。
「うん」と言ってしまえばその通りになってしまいそうな、あそびのない顔。

「え、あ、いや……」
「なにうろたえてるのよ、その程度で、今更。こっちが恥ずかしくなるじゃない」

まあ、確かに。
今更、うろたえるようなことじゃない。
夏、夜、停電、怪談話。
ただなんとなく、今日の絢辻さんの気配があんまり特別だったから、
珍しく、おふざけを持ち出したのが彼女からだったから、
なんだか昔にかえったような気がしただけだ。

「べ、別にうろたえてなんか……」
「そう? なら、いいけど。お願いだから、もう少し堂々としていてね」

カチャリ、とバスルーム独特の反響を伴って、扉が開くのとほとんど同時だったせいで。

「ね。 ……オ・ト・ウ・サン♪

もう一度、くるりと輪を描くようにお腹をなでた彼女の最後の一言は、
僕にはちゃんと届かなかった。





                                      (了)


    ◎『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク



  

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2009年8月28日 (金)

■マエムキ・マインド ~本日は会話モードで・3~ -更新第293回-

本日の関東は、最後の夏の日とも思える、カンカンカンの熱気でした。

普段は事務所にこもりっきりで
PC噛り付きオシゴトのオイサンですが、
たまには外出しなければならないこともあります。

そんな日に限ってこんな天気で……。
そんなオイサンが、外出から帰った時の、同僚との会話。




 オイサン「いやー、お暑い。日本の夏さんはまだまだ現役」


 同  僚「こんな日に限って外出とはオイサン、ツイてないねえ」

 オイサン「何言うんだトラさん(=同僚・仮名)。
      今日はアレだ、今年最後の夏の陽射しだぞ?
      こんなにビタミンDを大量に補充できてありがたい話じゃないか。
      オイサンはラッキーなんだよ」


 同  僚「お、どうしたどうした。
      いつになく前向きだねえ」


 オイサン「おうよ、コレがポジティブシンキングってやつだよ、トラさん。
      どうだ、胡散臭いだろう?
      チマタじゃあこんなものが有難がられるんだぞ?
      信じられるか?」


 同  僚「さっぱり良さがわからねえ。面倒くせえことこの上ない」

 オイサン「だろう!? 俺もだ。
      こんな考え方の人間のどこを信用する気になるのか、
      皆目見当がつかねえんだ」


……中堅どころ二人が、終始このあんばい。
果たして弊社の運命やいかに。


そして、外出しなければならない日の前日に限って、
何故か必ずといっていいほど

「七咲ん家の晩ごはんがカレーうどん

のイベントに行き当たってしまい、
お昼ごはんにカレーうどんを選んでしまうのでした。
でもひびきちゃん先輩ちゃんは相席に来てくれませんでした。
がっかりだぜ。
僕の心のひびきちゃん先輩ちゃんは、一体いつになったら現れてくれるのか。
僕はその日まで、カレーうどんをたのみ続ける!!


以上、
ひびきちゃん先輩ちゃんと香苗さんを世界遺産に指定したい、
オイサンでした。


 

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2009年8月26日 (水)

■すりガラスの窓の向こうに -更新第292回-

ごっしごし! ごっしごし!
オイサンです。

オイサン的『アマガミ』プレイ記Lap-10。
2週目の終わり。

今回のプランでは
中多さんと薫をアコガレ → スキへ、
梨穂子、七咲、森島センパイはシリアイ → ナカヨシで、
青の絢辻さんは一回お休みでご辛抱(by児玉清)という感じで進めるつもりでしたが。
大事な大事な、アタック・チャ~んス。

デ、メインは勿論、美也シナリオ、と。
お昼休みがシリアイ組で随分混み合ってしまい、梨穂子さんが脱落しそうです。
ワリと散漫なプレイになってきた気がする。

……しかし、う~ん。
まさか美也が、未だに……。
驚きだ。

しかしそれよりもオドロキなのは、
主人公家の家庭事情がそういう風だったとは。思ってもみなかった。
お父さんはあんまり家にいない人だったんだな。
お母さんも働いて、忙しくしているみたいだし。
ご飯とかはどうしているんだろう。
美也は料理下っ手くそみたいだし。
あんまり不自由してる描写とかはなかったけども。

なんかちょっと、主人公 & 美也像を修正せねばいかんかも知らんなあ、
と思ってしまったオイサンです。

他にも色々、確かめたいことがあって
絢辻さんが手帳を落とすイベントをまた見直したりしてみたのですが……
なんか、もう少し、彼女についてシンプルに考えてもいいんじゃないか、
と思えてきたり。

  そう何回も見返してると、ちょっと……と思ったりしたけれど、
  何回見ても飽きないな。何故だ。
  色々と新しい発見や、ちょっとした思い直しがあったりして、
  飽きないゲームだなコレ。

あと、昼休みに戯れる梨穂子と香苗さんを見ていて、
この年頃の女子の日常を見ているか・そうでないかというのは、案外、
男子(自分のことを「男子」と呼んでよいかはアレですが)として
ナカナカ重要な分岐点なんじゃないかという気がしてきたりもする。

  あ、オイサンは高校、男子校だったもんですからね。
  知らないんですよ。
  16・17・18の頃の女子というのを。
  学校にいた女性なんてのは、屋上のマリア像くらいでしたからね(本当)。
  大学に入ってしまえば、もう随分と、
  女子というよりは「オンナ」の匂いを放ち始めてますからね、連中は。

マ高校で周りに女子がいたからというくらいで、
オイサンの何が変わっていたかと言われれば、甚だ怪しくもありますが。
ただただ、自分に無い物のせいにしたがっているだけって気もしますしね。
何をだ?


……マ、そんなことでね。


余所ん家から漏れ聞こえてくるニュース番組ってのは、
なんであんなに魅力的なのか。
自分がテレビの前に座って聞いてるよりも、全然面白そうに聞こえるもんなあ。

あと、ごま油の匂いは反則です。
帰り道、ふんわり漂ってこられると空きっ腹にこたえるので勘弁して下さい。
なんていう楽しみも、そろそろ味わえなくなりそうな夏の終わり。

  「何もなさないうちに、時間だけが過ぎていくわよ?」

ほんとですね。
ダイジョブです。忘れてませんよ。


オイサン、でした。



 

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2009年8月25日 (火)

■混沌100%~おどり狂えばヒザ頭 -更新第291回-

夏。
終わったな。

オイサンです。

言ってる傍から、今日の帰り道、ツクツクボウシの鳴く声を聞きました。
彼らは満足のいく夏を送れたんでしょうかね。
マまだ鳴いてるってことは、思いを遂げられてないってコトなんでしょうけど。

タイムリミットが一週間ってキツイですなー。
「8年も寝てんじゃなかった!!」って思ってるヤツ、多分いるんでしょうな。



■天才の命令形



命令形。
命令形命令形。
命令形のタイトル。

古くは『戦え!イクサー1』とか、『がんばれ元気』とか。
その命令に、たまーにトッピョーシもないのがあったりして、
最近だとその中でも
突き刺せ!呂布子ちゃん』とか
勤しめ!仁岡先生』がワリと面白かったりしたもんですが、
こいつ↓を目にした時、オイサンは一発でノックアウトされてしまいました。


  『這いよれ!ニャル子さん!』


……「這いよれ!」て。
なかなか人に命令することじゃないですよねえ。

這いよれ! ニャル子さん (GA文庫) 這いよれ! ニャル子さん
(GA文庫)

著者:逢空 万太
販売元:ソフトバンククリエイティブ
Amazon.co.jpで詳細を確認する

  『とどろけ!一番!』ってのも大概だな。コレ分かるヤツいんのか。
  『歌って!ナナちゃん』は珍しく依頼系だ。
  『あまいぞ!男吾』は指摘系と。もう全然関係ないな。

この『ニャル子さん』、
作者はナントカ文庫の奨励賞でデビューしてた新人さんだったんですが、
シゴトバでお昼休みに見かけてミソ汁噴き出しそうになってから、タイトル一発で
「こいつは天才に違いない!」
と思ってとりあえず一冊目は買ってみましたけど、中身はそんなに面白いものでもありませんでした。
パロディネタ満載落ちモノノベルで、
『ドクロちゃん』のレッサーバージョンの域を出ていない。
「萌えクトゥルフ神話」って着眼点はスゴイと思いますけど。
日本の萌えはどこまで行くんだ。

  しかし、『ドクロちゃん』の当初からの完成されぶりったら一体、
  どういうことかって思いますね。
  おかゆ先生はまさにモンスター。

その『這いよれ!ニャル子さん!』がドラマCD化されるらしい。
しかも主役がアスミンで。
……これは……買うしかねえ……のか?

正直、ノベルの方は作者の文章センスがネックになっていたような気がして、
もっと真っ直ぐに、バカなことをテンポよく、ということにだけ注力すれば
そこそこ楽しめるものにはなれそうな気がしていたので……
音声ドラマにしてしまえば、
そしてそれをアスミンが演じるのならば、
かなりイケルのではないかと。
アスミンの永遠のライバル、MMMことマツキスもご出演なさるということなので、
多分、現場のテンションも高かろうと思われまする。

しかしアスミン……超売れっ子じゃないか。
どうしたどうした。
『アマガミラジオ』はシンタスばっかスケジュールが合わないのはなんでなんだ?
つか現場がアスミンを優先してるだけなのかもしれないな。

アスミンのいいところを引き出しているのはシンタスだと、
オイサンは思うぞ、間違いなく。

ちなみにこのニャル子さん、
ドラマCD化記念のラジオも、上のリンクの中で配信してるみたいなので、
興味のある方は聞いてみると良いかもです。
オイサンですか?
もちろん興味あります。

撲殺天使ドクロちゃん〈3〉 (電撃文庫) まじかる無双天使突き刺せ!!呂布子ちゃん 1巻 (1) (Gファンタジーコミックス) 勤しめ!仁岡先生 4 (ガンガンコミックス)




■不思議な日本語




ガールズ麻雀アニメ『咲 -saki-』のOPが新しくなり、
絵も音も、ワリと好みの感じだったのでCDを買ってみた。

テレビで見る限り、殆ど何と言っているか歌詞を聞き取れなかったので
歌詞カードを見てみたのですが……聞きとれん筈だわ。
全然脈絡のない単語の羅列でびっくりする。

一部をあげると、こう。

 ♪上がってんの Wow! Wow!
  上がってんぞ Yeah! Yeah!
  上がってんの Wow! Wow! Yeah!

  哀話だ柔和に戦闘 包容だ そういうの どうよ 正す?
  愛敬で疲労キープ 妥大人 OSミス古い※注エラー

  顔にラミネートしても 感情!すっぴんまた養老で愚痴
  解放するタイミング 曖昧は 遠に 捨てるさ 今走るさ

  On the road!
  生枠 永久にずっとロック 試練も 
  どんと来いと歓迎するよ
  自愛美 行こう!決めた! in my dream
  吉辰 今すぐ速攻ダッシュ! 努力も 
  腐敗しない強情も全部捨て身 改革心

  きっといつか見える果てまで 笑顔の花 咲かせたい♪

■咲 -saki- OP2 『bloooomin'』


むうん……さっぱり意味がワカラン。
OPは画を見てると気持ちがいいので良いですが。
冒頭の、雀卓の下で踊るヒザ頭とか、サビの部分のメインキャラの連続アップとか、
意表をついたり一本気だったりですごく好きです。
話の中身はすごく少年マンガですしね。

ついでに、歌っているグループの名前、"Little Non" というのも、すごく好きです。
シンプルで、何となく神秘的。

  ……。

と、それと一緒に『かなめも』のOPのシングルも買ってきてしまいました。

■かなめもOP 『君へとつなぐココロ』


『かなめも』は、本編がもう一つ面白くない。
ゆるい話のくせに、変に肩に力が入っているというか、
サービスしようしようという姿勢が、要するに狙い過ぎた感じがあって、
しかもそれがあんまり楽しめるものではない感じで。

素直な分、演出不足でも『大正野球娘』の方が楽しめてます。
ちなみに、カップリング曲の『WAKE ME UP(^_-)b!』の方が好きかも。


■かなめもOPのC/W 『WAKE ME UP(^_-)b!』



メインボーカルが『けいおん!』の唯の中の人なので、なんか変な既視感。

 ♪バシッと起きよ Goog Morning!

とか、

 ♪ダメじゃんこんな調子じゃ申し訳ないカンジ
   有言実行、そーしよ!
   ……明日からでもいーですか!??!(HEY!!)

とか、無責任にユルい言葉の展開が笑いを誘ってくれて心地よいです。
「しょーがねえなあ」という。



本日はそんなとこで。
何やら、日本の最高学府内から名指しでアクセスされてて恐ろしい気がする
オイサンでした。

黒板とかに映し出されて笑い物にされてたらどうしよう!!
こ、こんなトコ見てないでべんきょうしろー!


 

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2009年8月24日 (月)

■カオスさん家の晩ごはん -更新第290回-

ご飯に雑穀を混ぜて炊くようになりました。
オイサンです。

道端に、蝉の骸を見ることが増えたなあと思っていたら
なんかもうイキナリ涼しくなりましたね。
驚きです。
まだ8月だっつうのにね。

今年はまだツクツクボウシが鳴くのも聞いていない気がします。
毎年、もうチョイ早い時期には聞いていたように思いますが……
アレは関西だけの記憶か知らん。


そんな夏の終わりに、こんなふたつの素敵なコトが。




■リョーコとカナの、Sweetも甘いもカミ分けて!





夏の陽射しが翳っても、輝日東の冬は終わらない!!
『アマガミ』Webラジオ「良子と佳奈の アマガミ カミングスウィート」、
本日は第22回です!



えーっと……番組でメールを読まれました。
あービックリした。

もう、ほぼ丸ひと月? 前くらいに出したメールだったので、
とっくにボツってポイされたものだとばかり思ってました。

うわーい、梨穂子と美也の中の人に誉っめらっれたー!♪
アスミん、桃を食いながら聞くな。

どのメールだったのかは……↑の■項タイトルを見てもらえれば一目瞭然だと思います。
オハズカシや。

  まホントに恥ずかしいんだったらこんなトコに書きゃしませんけどね。
  へへん。
  喜ばしいったらないぜ。
  と同時に「オッサン何やっとんねん」という気持ちがないでワケでもない。

ちなみに、
メールに書いたのと同じワードで検索してみても、
もうウチとこは引っ掛かりませんでした。
検索エンジンってどういう仕組みだか知りませんけど、そういうモンなんですかね。

ちなみにパート2、
ハガキに書いたダイエットの話はひと月前の話で、
現在は開始から約丸5カ月が経過し、トータルで26kg減となってます。
番組中でアスミんがビックリしてくれてましたが、
……マ要するに、そんだけ減ったってビクともしないくらい、
もともとあったって話なんじゃぜ?

今でも全然、理想体重には届いてないもんな……。
でも、もう一頑張りだ。


  ……。


しかし、久しぶりにラジオでハガキ(メールだけど)とか読まれました。
やっぱ嬉しいもんですな。
高校~大学時代、ワリと一生懸命ラジオ番組にハガキ書いたりして
結構な率で採用されたりしてましたけど……
うーむ、あの頃が甦ってくるようだ。

それと、読まれてみて分かったことですが。
新谷さんの読み上げ能力の高さ。
コレに驚きました。
アレ、オイサンのメールがまんま読み上げられたワケでなくて、
ごくごく微妙なところですが、分かりにくそうなところの語順を、
ちょびっと、
ほんのちょびっとだけ入れ替えて、ビックリするくらい分かりやすく読んで下さいました。

前もってやってることなのか、瞬時に判断したのか知りませんけど、
そしてやったのは作家さんなのかもしれませんけど、
いずれにしてもすげえなと思った次第です。
オイサンもかなり、読みやすく書いたつもりだったんですけどね。
いやあ、敵うもんじゃないな。


……とまあ、びっくり嬉しい話でした。
でも、サイン入りポストカード欲しかったなー。
しかし、ホント何やってんだ俺。




■復活の、カオス!!




そしてもう一つ!
祝! 『ひだまりスケッチ』第三期、
『ひだまりスケッチ×☆☆☆(ほしみっつ)』制作決定!!


そしてそれに伴い、あの伝説のカオス
『ひだまりラジオ』も10月から復活決定!!

ひだまりスケッチ×365 特別編 (完全生産限定版) [DVD] ひだまりスケッチ×365
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販売元:アニプレックス
発売日:2009/10/28
 

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著者:蒼樹 うめ
販売元:芳文社
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すげえー。
またやるんだー。
あの不思議なアニメ。

なんでしょうね、然してオチどころがあるわけでもないのに、
ホンワカ愉しく見られてしまうんですな。
アニメ本編もさながら、『ひだまりラジオ』がまた聞けるのが嬉しい。

アスミスとシンタスが、そしてウメスが、
来期も食いっぱぐれないのが嬉しい
(余計なお世話だっつうかオイサンは自分の来期の心配をしろ)。

でも入れ替わりで『カミングスウィート』は終わっちゃうのかしらん?
それは寂しいのう。

いずれにしても、過度の期待はしないというか、
どんなものが流れるのかが殆ど想像がつくだけに、
どんな期待をして待っていたら良いかというのも呼吸として分かってしまうので、
その日が来るのをボチボチお待ちしたいと思います。




■読み切りマンガ版『アマガミ』のこと




そうそう、金曜の記事で書いた
ヤングアニマル増刊に載った『アマガミ』コミック版の読み切り。
ワリと愉しく読めました。

ヤングアニマル あいらんど 2009年 10/10号 [雑誌] ヤングアニマル あいらんど
2009年 10/10号 [雑誌]

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『キミキス』の時のコミック版は、
……マそもそもあんまり真面目に読んではいなかったんですが……
さほど面白いモンでもないな、と思って半分流していましたが、
今回はワリと。

マ多分、『キミキス』よりもキャラのことも世界のことも良く分かっているし、
このワールドでのお作法についても大分なじめてきたので
(正直『キミキス』のときは、『TLS』シリーズとのギャップもあって
お作法にあまり馴染めていませんでした)、
その辺りがいい方へ作用しているのでしょう。

一年生3人を一気にフィーチャーして、
ツカミとしては上々なんじゃないですかね。
楽しめました。

スゲエなと思ったのが、ゲームそのままの背景を描いていたところ。
なんつうか、分かりやすいサービスで嬉しくなってしまった。

お宝本の開きグセを発見されるのは……
同じ男としてえらく恥ずかしい気持ちに……。
オイサンなんも悪いことしてないのにすごくスマナイ感じです。
「先輩……ヒドイです……」
って、橘さん、一体どんなページをお気に入り登録してたんだ……。

本編『アマガミ』のヤングアニマル本誌での連載も予告されていましたし、
期待が持てます。
ラ、ラフ画の絢辻さんがオイサンを見つめてる!!( ← 深刻)

あと、思ったより雑誌がゴツかったので驚いた。
ヤングXXって雑誌の増刊って言うから、てっきり青年誌系の装丁かと思ってた。
すっかりただのエロ漫画誌じゃないか……。

あと、瀬口”オヤマ!”たかひろがトンでもない漫画を描いててびっくりしました……。
お元気そうでナニヨリです。



マ、今日のところはこんな感じで。



アニメの合間に流れる堀江由衣の楽曲のCMを見ていて、
なーんか気持ち悪いナーとずーっと思っていたのですけども。
最近、理由がわかりました。

あの人、何故か瞬きしないんだ。
全然。
と言っていいくらい、ヨリの画では殆ど。
ヒキの画でちょっとするくらいで。
なんでなんでしょうね。
そういうキマリなんでしょうか。



オイサンでした。



 

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2009年8月23日 (日)

■"THE" TRUE LOVE STORY その3 -更新第289回-




■8月23日(日) 18:30




昨晩から、調子がおかしい。
なんだろう、この感じは。
絢辻さんが、どこかへ行ってしまったような気がする。
なんでこんなに、脳みそがスカスカするんだろう?





オイサンです。





昨晩『アマガミ』プレイLap-09を終え、今朝からLap-10を始めました。
しかし、これまでと違ってもう一つノリが良くない。
何かがわだかまっている。



原因は分かっているんです。
隠しシナリオ……上崎裡沙のせいだ。
いや、彼女が悪い、ってんじゃなくてね。

結局彼女がやっていったことというのは、
「主人公の2年前のトラウマ」という『アマガミ』という物語の前提とも言うべきものの破壊、
であったわけです。

2年前、蒔原さんが主人公との待ち合わせ場所に現れなかった。
そのことによって、主人公は傷つき、この2年間、恋というものを失ってきた。
しかし蒔原さんが現れなかったのは上崎さんの企みによるもので、
しかもそれは(上崎さんの言葉を信じるならば)、
上崎さんの、「主人公が傷つくことを防ごうとした善意」からだったわけです。

  ……ついでに、昨晩の記事からちょっと考えて見たのですが、
  蒔原さんの言動を顧みるに、どうもセンとしては、
  上崎さんの言い分が真実に近いような気がします。
  蒔原さんが、伝言の犯人を教えなかったのは「保身のため」というセンが描きやすい。

   ・上崎さん、蒔原さんにウソの伝言を伝える
     ↓
   ・蒔原さん待ちぼうけ
     ↓
   ・後日、蒔原さん上崎を締め上げる。

  というプロセスがあったとして、
  蒔原さんは、主人公が上崎さんと接触して自分の当時の悪巧みが露呈することを
  避けたかった、ということなのかと。
  まあ、語られる中での、シナリオ上の心情的な整合性、という面からだけみた
  推測に過ぎませんし、今の上崎さんの性質が、一体どの時点に端を発するのか?
  ……が分からない限り、彼女の言動を丸呑みにするのは危険な気はしますが。

まあ、上崎さんが手を下さなかったとしても、その裏にはより凶悪な悪意が潜んでいたワケで、
いずれにしても主人公は順調に(?)トラウマを抱えることになりはしたので、
結果的には変わらなかったのかもしれませんが……
それでも、ある意味で主人公の2年間を「支えて」いたトラウマという
一本の太い柱にひびが入ったことには変わりありません。

それによって生じるのは……
「そのトラウマに端を発する『アマガミ』の物語自体に対する疑念」に他なりません。
そのときのトラウマが無ければ生まれ得なかったであろう、
6人のヒロインに対する恋心、主人公のアクション。

そのトラウマの真実性が失われた今、
彼女たちへの主人公の、否、オイサンたちプレイヤーの抱く恋心は、
果たしてどこまでが実体であるのか、という大きな問題です。


……。


以前、ちょこっとだけ記事にさせて戴いた
オイサンの尊敬する大御所とお話をさせて戴いた時のことです。

彼は、
  「上崎シナリオをプレイすると、『アマガミ』の世界がひっくり返る」
と言い、また
  「目に映る世界の色がかわる感じ。256がフルカラーに」
とも仰いました。

マその辺は、リアルタイムの会話の中のことなので、
御大がニュアンスにどの程度の精度を持たせたのかは計り知れませんが……
オイサンは、「世界がひっくり返った」とは感じていませんし、
色彩については、今のところ正直逆。
フルカラーだった世界が、モノクロームになったような……
そんな空虚な感じを受けています。

「とてつもなく大きな変化」は感じています。
しかしそれは、起こった変化そのものが大きかったわけではなく、
起こったことは実に些細なことなのですが、それが心に穿つ穴が大きいという、
人の心の複雑なところをものの見事にブチ抜いた、あまりに巧みな大業でした。

たとえてみましょう。

『アマガミ』の世界を、ディナーの設えの整った、9人がけのテーブルだとするならば、
上崎さんを知った後の世界は、
そのテーブルからテーブルクロスをだけが抜き去られた……
そんな状態に見えるのです。

そして、9人がけだったテーブルは、いつの間にか8人がけになっている。
いなくなったのは、サテ誰でしょう?
……誰も気付けません。
だって彼女は、はじめからそこにいなかったんですから。
……そんな世界になったような、不思議な空虚さを感じるのです。

6人分の物語を、繋げたり、台無しにしたり……そんなことはないけれど、
6人の影をほんの少しずつ、頼りないものにしていったのです、彼女は。

まったく……面白い仕掛けをしてくれたものです、制作チーム。
底知れない。
恐ろしい。
昨晩の記事で、「オイサンの思い描いた、最悪中の最悪の展開にはならなかった」と
書きはしましたが、ある意味でそれを上回った感があります。
顔面をガードしていたら、足払いが飛んできた。
そんな感じです。
自分たちの築き上げた物語のド心臓に、最後の最後に風穴を空けていこうてんですから、
キモが据わっているにも程がある。

そんなところをハチの巣にされたプレイヤーたちは、
主人公の2年間、『アマガミ』前史の物語という土台を失い、
そして、その気持ちを前提に始まった6人のヒロインとの恋を、
「あれ? じゃあ、今僕が好きなこの子を、一体僕は、どうして好きなの?」
と、思ってしまっても……仕方がない。

  もちろん、そこを切り離して考えることも出来ましょう。
  関係ねえと。
  だからどうしたと。
  作中で、たしか主人公が言っていた気がします。
  誰のシナリオだったか、憶えていませんが……確か、中多さん編じゃなかったかな。
  「きっかけは、なんだっていい」と。
  「今のこの気持ちが大事なんだ」と。

けれども、今のオイサンは、そんな気持ちに、ちょっと晒されています。
「手帳の中のダイヤモンド」も最終章に入ろうというタイミングで、
こういう状態になってしまったのは正直、手痛い。
美也のケアをしようと始めた、記念すべき10周目、Lap-10にも、
もう一つ気合いがのらずに困っています。

だから思います。
上崎さんとのハッピーエンドは、回収しなきゃいけない。
彼女を理解してその思いに報いることで、
2年前の事件が、ようやく実体をもって幕を閉じることになると思う……からです。
そこに幕を下ろして、新しい恋を始めることが出来るのではないか。
そんな気がします。

  その時には、また誰かの思いを裏切らなければならないことになりますが……。
  その時には多分、2年やそこらの歴史では小揺るぎもしない、
  どっしりとした土台を胎に蓄えた、
  弱そで強い、あの子に頼ることになると思いますけどね。

ぶっちゃけた話……7人分のシナリオを回った先にバグが待っている、
そのことが「仕様」にすら見えてくるオイサンです。
「全部読んだら、お前らもっぺん、真っサラにして読みなおせ!
 そっからなんだよ、『アマガミ』は!」
という、スタッフからの声なきメッセージなのではなかったかと。

  イヤもちろん、そんなもんご勘弁ですけどね。
  会話モードを埋めたらマジ即死とかいうバグも含めて、
  廉価版ではガッツリ修正して欲しいと思います。
  働け働け!
  いっくらでも買ってやるから!

しかし面白いもので、
そうして完全に破壊された後の物語には、なにが待っているでしょう。

恐らくは「再生」です。

前提亡きあと、独り、物語の只中に放り出された読み手……プレイヤーは、
今度こそ、ナニモノにも依らない、
自分だけの、自分発の、恋を見つけだすことが出来るに違いない。

それは、自分だけの物語の獲得という意味での、
作られ導かれた物語からの脱却であり、
『アマガミ』という物語の、読み手による読み手のための再生であると、
オイサンは想造します。

言いっぷりとしてはちいと大袈裟ですし、やってることは変わらないわけですが、
上崎さんシナリオという設えが存在することで初めて、
読み手はこの意識を獲得することが出来ます。
そうした意味で、やはりこの構成は革命的だと思います。



……。



その昔、「流星野郎」というアホなオッサンがいました。
当時彼は、某有名ゲームメーカーの広報部課長代理という位地にありながら、
週一のラジオ番組を持つという、
ホントにワケの分からない、ホントに面白いオッサンでした。
コンゴトモ、ヨロシク……。
その彼のラジオ番組の一コーナーに寄せられた、
あるおハガキの一節を……うろ覚えですが、オイサンは今でも憶えています。
こんな感じだったでしょうか。


  ……そうしてハチの巣にされた主人公の体には、
    いつしか、あまい、あま~いローヤルゼリーが蓄えられ、
    やがてそこから元気な蜂の子供たちが生まれてくるのです……


……ね。
アホみたいでしょ。意味わかんねえっつうの。

だけども、オイサンは期待します。
上崎さんの物語によってハチの巣にされた『アマガミ』の物語の心臓に、
甘く芳醇なローヤルゼリーが蓄えられる時が来ることを。

それはきっと、ハニカムのように居並んだ4096の行動マップの全てのマスを、
余すことなくノックし終える時。

彼女らとの物語が、甘さもせつなさも、
もっと胸に迫るものとなって響いてくれればいいなあと……
ここまでのことをやらかした制作陣を信じて、
しばらく、今しばらく。
この『アマガミ』の物語に、くらいついていきたいと思うのでありました。



オイサンでした。



……だっておめえ……ここでやめるって手はねエべ?



 

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2009年8月22日 (土)

■"THE" TRUE LOVE STORY その2 -更新第288回-

■8月22日(土) 22:45



……。



いや~……。



オイサン、すっかりピエロだなー。



蒔原さん、そういう子だったかー。



……ハズカシイなー。
一人で盛り上がっちゃって。

だからにぃには、「あれ、蒔原さんてこんな感じだったっけ?」って言ったんだな。
マそれも、嘘かマコトか、ですけどね。
上崎さんも、あそこで嘘は言わないだろうとは思いますが。
とか言うと、また美也に「人が良すぎ」と叱られるんでしょう。
嘘ではなくて、思いこみってセンはあるかも知れないけど。

  ……。

というワケで、オイサン的『アマガミ』プレイ記、Lap-09、
『隠しシナリオ・その1』編も終了です。

うん、まあ、オイサンの思い描いた、最悪中の最悪の展開にはならなかったので、
まあ良しというか、こんなもんかなあ、と。
逆に、気を持たせた割にはちょっとあっさりしてたかな、という感じです。
美也さんがあそこでああいう風に、そしてあそこまでディープに、
からんでいらっしゃったのは予想外。

2年前のクリスマス、上崎さんの言ったことが本当で、
主人公が素直に蒔原さんとのデートに赴いていたら、
今よりもっと深く深刻なダメージを受けていたのでしょう。
悪意や理由がハッキリしている分、回復は早かったかも知れませんが。

その辺は本当に、上崎さんのおかげではあるんだと思う。
他にいくらでもやりようはあったとも思うけど。
その気持ちに報いて上げたいとは思ったんだけど……
残酷です。
誰かを好きだって気持ちは。

  残酷と言えば、七咲のクリスマスふられモノローグを聞くのは二回目で……
  あっちの方がこたえますなあ……。
  「先輩……私、寂しいです……」
  って、気持ちがストレートな分。

……しかし蒔原さんも、そんな自分的にヤバい話をわざわざ蒸し返すかね?
その辺が腑に落ちなくはありますなあ……。
まあ、引き連れた仲間たちに、逆に吊るし上げを喰らって
悔しい思いをしたりしたのかも知れませんね。
「こないじゃん!」
「お前がフラれてどうすんのよ!」
とかって。

マかといって、上崎さんの言ったような事実がなかったとしたら、
蒔原さんも自分も待ちぼうけを食わされた身で、
あんなに笑ってあの日のことを話せるかと言われたらそれも不自然ではあるんだけど。

……つか、もし蒔原さんがそういう陰湿な性質の持ち主なら、
上崎さんが即疑われて、蒔原さんからの逆襲をくらいそうな気がする。
とするとやっぱりあれは、上崎さんの妄想なのか?
それとも、喰らったけど上崎さんは、何のかんのとうまくかわしたのか。
マ、闇の中、藪の中です。

美也に、

  「どうして裡沙ちゃんはああなっちゃったんだろうね?」

と言われた時、オイサンは

  「まあ……傷つくのは、誰だって怖いからね」

と思ったんだけど。
それは、にぃににはまだ言えないセリフだったのかな。
マちょっと、カッコ良すぎるかも知れませんね。

……何にしても、美也にはツラい思いをさせてしまいました。
昔の友達を裏切らせちゃったし、
上崎さんが悪だくみするのを、にぃにへの思いとの狭間で
キツイ気持ちで見てたんでしょうに。
本当にすまないと思います。
こんなにぃにであったばっかりに。

次回では多少、いい思いをさせてやれると良いなあと思う、
ダメなオイサンにぃにですよ。

あと、上崎さん。
……「田中さん」過ぎるだろ!!
もっと、他に誰かいなかったか!
松岡由貴にやらせろよ、あの人とてつもなく器用なんだから。




■そして、絢辻さん




というわけで結局、上崎さんの追撃を振り切り、
フツウに、もう何度目かになる絢辻さんのスキBestを見たわけですけど。

なんかこう、やっぱり色々と思い直してしまう部分もありますね。
見るたびに、「実はこうなんじゃないか」と、考えてしまいます。
気付かなかったセリフとか、
気付いていたけど、何故か前回までと重みを違えて受け取ってしまったセリフとか。
ちょっとした重みのバランス一つで、解釈が右にも左にも振れてしまって、
毎回頭を抱えてしまうオイサンです。
その分、何回見ても飽きないんですけど。
イヤほんとに。
今回も、目標の件で、ひっぱたかれて、屋上で泣かれるシーンは……
自分の解釈が合っていたのか、グラグラしながら見てしまいました。
本当に、すごいシナリオだと思います。
面白い。

デ、そういう微妙なセンからは外れたところで、一つ、気付いたこと。

クリスマスパーティで、絢辻さんの打ち損じた釘を主人公が直してあげるシーン……
あれは、これまでの人生で絢辻さんが掛け違えたボタンを主人公が直してあげる、
そして、これからはずっとそうだよってコトのメタファだったんでしょうね。

なんだかこれまで、分かるような、分からないようなものとして、
ただ気持ちばかりが温かくなるシーンとして見送っていましたけど……
今回、「大きな過ち」を犯して、それを正してくれる人のいなかった上崎さんを見た後で、
ハッキリと感じ取ることが出来ました。

ウン。やっぱりいいシーンだ、あれは。

同じ関係で、上崎さんイベントを見たあとに、
クリスマスパーティで美也に『ローアングル探偵団』売り捌かれると、
「約束が違う!!」と思ってしまいますな。
「処分は許してくれたんじゃないのかよ!!」って。


  ……。


まあ、そんなことでね。
正直、上崎さんのハッピーエンドは回収する必要があるかどうかは、
ちょっとまだ考えます。
先に、美也をなんとかしてやらないといけないなあという気持ちが強いので。

絢辻さんのスキBADも……あまり連続して絢辻さんを追うのももったいないので、
次回は総勢ナカヨシ祭でもやって、
その脇で、美也シナリオを楽しもうかと画策中です。


デ、どうだろう、橘さん。
また色々と……キツイ話が明るみに出てきて、カンタンな話じゃなかったね。
上崎さんも、そう悪い子じゃなさそうだし。
まだまだ、君と一体になるには時間がかかりそうだけども……
「誰よりも真剣に生きてる、絢辻さんが大好きだ」
っていう、その気持ちだけは、オイサンと一致してるよ。
もうしばらく、仲良くやろう。



オイサンでした。



 

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■"THE" TRUE LOVE STORY その1 -更新第287回-

オイサンです。

オイサン的『アマガミ』プレイ記、Lap-09も大詰めの最終週に入りまして、
隠しシナリオの展開も本格化して参りました。

多分夜には終わると思うので、
その前後の感じをバラバラで書いておきたいと思います。


  ※今回のハナシには、隠しシナリオの展開について
    ワリとガツンと書いてしまっているので
    まだやっていなくて知りたくない人は読まないで下さいね。

    ……つって、発売からもう半年近く経ってんのに
    今更そんな配慮してもしゃあねえか。
    そこまでやる気があんのに今頃やってんのなんか、
    多分オイサンが最終組だろうな。





■8月22日(土) 10:00




37日目。
梅ちゃんの「初心に帰ろうと思う」という言葉を聞き、
自分も初心に帰るため、放課後、2年前のトラウマの場所・丘の上公園に、赴く主人公。
そんな主人公の前に、中学時代の想い人、蒔原美佳さんが現れて言いました。

  「クリスマスデートの前日になって、
   待ち合わせ場所変えるって、伝言したよね?」

ああ、まあ……そんなこったろうと思いましたよ。
どっかの誰かさんが、やったんですね、そういうヒドいことを。
オイサンは、蒔原さんに「それ、誰に言われたの?」と言いましたが、そのあとの蒔原さんの言葉が。

  「それを、今聞いてどうするの?
   もう終わったことなんだし、気にしない方がいいんじゃない?」

ごもっともです。
でもね、オイサンは言いたいです。

  「どうもしない。でも僕には知る権利があるし、多分、義務もある。
   蒔原さんだけに、そのやりきれなさを預けておくわけにはいかないし、
   預けておきたくない」

そうは思わないか。蒔原さん。
大体、ひどいんじゃないか?
君は疑うことが出来たろう。
その、伝言の相手を。
たとえオイサンが待ち合わせ場所に赴かなかったとして、
その伝言の相手が抱いていたかもしれない悪意を疑うことで、
なんらかの溜飲を下げることも出来たんじゃないか?

僕にはそれも出来なかった。
君に、好きだった君に、罪をかぶせ続けてきたんだぞ、2年間!!

……そりゃあ、その後の数か月を逃げ続けた僕が悪くないとは言わない。
何かの思いを君にぶつけることが出来ていれば、その時点で
この問題は解決していただろうけど。
疑いうる事件に遭遇していた君が僕に、何らかの……

……いや、ごめん。

そっちから見れば、それが疑いうることなのかどうかなんて、わからないか。
それもそうだね、ごめんなさい。
どっちが悪い、誰が悪いという話じゃないのはわかる。
言ってしまえば、どっちも悪いんだ。
どっちも悪くない、っていうのは無いよね。逃げだよね。
そこはお互い、認めておこうよ。

ただあの時の僕らに足りなかったのは、
本当に相手を好きだという気持ち……だったんだろうね。
本当に君を想いやって、信じることが出来ていたら、
僕はきっと、何故来なかったのかを確かめることが出来たはずだし、
それは多分、君も同じだろ。

本当のことを知ろうとして、自分が傷つくのが怖かった。
まだまだ未熟だった、ってことなんだろうね。
本当に人を好きになるには。



  ……ああ、そうか、わかった。



じゃあ、僕らに出来ることは一つだな。
2年前の、そして2年間の責任を取ろう。

君はこの後、今、君が好きな人とデートみたいだけど、僕にも今、好きな人がいるんだ。
うん、クリスマスの約束もしてる。
ていうか、今日やっと取り付けた……笑うなよ、うるさいな。
その辺は昔と同じ、腰ヌケのままなの!

それでね、蒔原さん。
いま、一つ、僕の中に悪い予感がある。

近い未来に、2年前と同じようなことが起こる気がしているんだ。
このまま上手くいくハズ無いってね。
……悲観的なところも昔と変わってないって?
ははっ、そうかもね。

僕は、その人……今、僕が好きな人のことを信じるよ。
何が起こっても、最後まで。
何があっても、思いを変えずに、守ってみせる。
2年前に起こったことを、今回は必ず、はねのけてみせる。

だから、蒔原さんも。
うん。
お互い、前に進まないとね。
約束。
今度こそ。

それじゃあ、また。





────サヨナラ、蒔原美佳。





……。





ナンカ途中からSSになっちゃったな。





■同日 16:15




……しかし、今になって気になっているのが、
選択をミスったなあ、ということで。

絢辻さんのスキBADを見る目的もあって、
絢辻さんと七咲の二人を<スキ>まで連れてきたワケですが、
33日目にして、どうあがいてもそれが出来ないことが判明。
それはそれとして仕方がないので、
今回は隠しの展開を追うことを主眼に置き、このまま進めることにして
七咲のファイナルスター獲得を諦めて絢辻さんシナリオを進めることにしたのですが。

……隠しを相手にハッピーエンドを迎えるということは……
どこかで絢辻さんを裏切らないといけないということなのでは?!
……ということに、今更ながらハタと気付く。

  し……しまったぁー……orz
  裏切らないといけないんなら……七咲で進めれば良かったァー……。

と、寺島兄さんにブチ殺されそうなことを考えながら、
上の「10:00時点」の気持ちを書きまとめていたら、あんな風になっちゃって……。
そっか、これで良かったんだ、と思えました。
これが隠しシナリオをプレイするための正しい構えなんだ、
一番好きな絢辻さんとでないと、隠しを迎え撃つ意味って、きっとないんだなと。

ホントに迎え撃てる展開になれるのか、そうじゃないのかもまだ分からないけども、
一番好きなヒロインを傷つけない、
今の気持ちを貫き通す、
という決意でこの隠しシナリオを終えることにこのシナリオの意味があるような気が……
してきた。
それでようやく、主人公たる橘さんとオイサンは一体になれるんだろうな、と。

  なんかもう、アレだ。
  高山先生の思うツボだな。
  今、すぐそばに、橘さんがいるのを感じますよ。

言ってしまえば、
一先ずこの周回は、隠しを登場させるだけさせて、絢辻さんスキBestでゴールする、
隠しのハッピーエンドは、そのあと同じデータで回収すればいいや……。
ってだけの話なんですが。
つか、ホントにそんな展開になるのかどうかは分からないんですけどね。
何をどうすれば、隠しシナリオ的にハッピーなのかもまだ見えてきませんし。

ウワサの即死バグに引っ掛かりそうで怖くもあるんですが……
なんか、それもありかな、って気もしてきた。

2年前のトラウマをぶっちぎった上で、絢辻さんとスキBestでゴールを迎えて、
システムデータが飛ぶなら、飛べばいい。
そこからはまた、まっさらなシステムで本当の2周目を始めればいいさ。

マそんなことで……





行くぜ、橘さん!
たった今から、俺とお前さんはタッグだ。
大事なものを、守りに行くぜ!!






オイサンでした!!





……システムデータのバックアップもとってあるから安心しな。
うるさいな。
いいだろ。
基本なんだよ。




 

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2009年8月21日 (金)

■猫はかぶってもかぶられるな。 -更新第286回-

最近、減量の甲斐あって、見た目にも変化が出てきました。
オイサンです。
デ今日、シゴトバでデブ仲間の上司に、


  「オイ、お前また痩せたか!? ……癌じゃねえか?」


とマジ顔で言われ……若干不安になる。
癌、か……。


……。


マ、癌みたいなもんか。




そういえば、『アマガミ』のコミック版が載る
「ヤングアニマル増刊あいらんど」が今日出るんでしたね。
すっかり忘れてフツウに帰ってきちゃった……。
明日でも買ってこようか。

そんで、これまた『アマガミ』のアンソロジーコミック
『アマガミ various artists』の表紙ビジュアルが公開になってましたが……


アマガミ -Various Artists- (マジキューコミックス) アマガミ -Various Artists-
(マジキューコミックス)

販売元:エンターブレイン
Amazon.co.jpで詳細を確認する




な、なんだこの可愛い絢辻さんは!!?


……。


う……。





胡散くせえ------------------------っ!!!





  見て見て絢辻さん!
  絢辻さんがこんなにカワイ子ぶって映ってるよ!?
  おかしいよね、こんなの絶対おかs
  OK、OKOK。
  落ち着こうぜハニー。
  まずはその振りかぶったオーク樽を置こうじゃないか。



……あんまり興味なかったけど俄然興味湧いてきたぜ!
ていうか、プロの先生方が、一体どんな風に妄想を逞しくされているのか、
ちょっと勉強させてもらおうかという気持ちになった。

……まあ、『アマガミラジオ』でのシンタスとアスミン、
そしてサトリナスの反応を見るにつけ、
その多くはエロスを楽しむものなんでしょうけども。

ちょっと楽しみになってきましたよ。
オイサンでした。


 

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2009年8月19日 (水)

■デキゴコロ。~本日は会話モードで・2 -更新第285回-



      屋上にて。


 主人公 「絢辻さん、ぬいぐるみって持ってる?」
 絢 辻 「え……」
 主人公 「ぬいぐるみ」

 絢 辻 「……そんなこと、聞いてどうするのよ」

 主人公 「え、別に……どうもしないけど。
      女子ってみんな持ってるみたいだから、
      絢辻さんもそうなのかなって」


 絢 辻 「あたしを一体、どんな目で見てるわけ?
      そりゃあ……持ってるわよ。……でも、一つだけよ」

 主人公 「へえ、そうなんだ。どんなの?」
 絢 辻 「うさぎよ。淡いブルーの……」

 主人公 「大きいの?」

 絢 辻 「……うん、まあ……」
 主人公 「へえ~」





 絢 辻 「……」

 主人公 「……」





 絢 辻 「何よ、いけないの!?」

 主人公 「な、何を怒ってるの?」

 絢 辻 「案外子供っぽいとか、かわいいところあるなあとか、
      思ってるんでしょう!!」

 主人公 「だ、誰もそんなこと……」
 絢 辻 「……フン。
      別にいいでしょ、子供の頃のお気に入りなんだから。
      ……なんとなく、捨てられないのよね、ああいうものって」

 主人公 「ははっ、そうだね。わかるよ。
      僕の部屋にも超合金のロボットとか、捨てられずにおいてあるから」

 絢 辻 「あなたの場合、今でもそれで遊んでいそうだけどね。
      ブブーン、ドドドーゥ(c)とかいって」

 主人公 「ははは……」
     (ひ、否定できない)

 主人公 「名前は?」

 絢 辻 「え?」
 主人公 「うさぎさん。名前はないの?」
 絢 辻 「……」
 主人公 (黙っちゃった。あるんだ……)





 絢 辻 「……『ジュンイチ』」






 主人公 「え?」

 絢 辻 「『ジュンイチ』よ。悪い?」
 主人公 (そ、それは……嬉しいような、恐ろしいような……)
 絢 辻 「最近じゃあ、毎晩抱いて寝てるわ」
 主人公 (だ、抱いて……!?)

 絢 辻 「こないだなんか、朝起きたらジュンイチが
      パジャマの中に頭を突っ込んでて……」

 主人公 (パ、パジャマに頭を!!?!
      上か? まさか、し、下か!?
      どちらにしても、なんて……ジュンイチ、羨ましい子ー!!)


 絢 辻 「甘えん坊で困っちゃうわ。
      一体誰に似たんだか……ねえ? フフッ」

 主人公 「……あ」
 絢 辻 「うん?」

 主人公 「……ウソ……だね?」

 絢 辻 「あら、ウソじゃないわ。今決めたの。
      今日からあの子はジュンイチよ」

 主人公 「ああ、今日から……ね」
     (抱いて寝た、とかは冗談だろうな……)


 絢 辻 「そうだなあ、今日は一緒に、お風呂にでも入ろうかな?」

 主人公 「お、おフッ……!?」
     (イカン! 惑わされるな僕ー!)


 絢 辻 「そうだ。今日は帰ったら、ジュンイチを……」

 主人公 「ジュ、ジュンイチを……!?」




    (ゴクリ……)





 絢 辻 「八つ裂きにして、燃やしてやるわ!」

 主人公 「な!?」

 絢 辻 「そろそろ処分の頃合いだと思ってたのよ!
      手帳も燃やしたことだし!
      首を洗って待っているがいいわ、ジュンイチ!」

 主人公 「ま、ちょ、待って待って、絢辻さん!
      ジュンイチは悪いことは何も……!」


 絢 辻 「覚悟していなさいよ、ジュンイチ!」

 主人公 「お、落ち着いてってば! いちいち名前を叫ばないで!」


        コソコソ……


 梅 原 「……なんだあの二人? ま、まさか一緒に暮らしてるのか?!」
 香 苗 「いつの間にか、随分親密になっていたようねえ。
      羨ましいったらないわ」



         ・
         ・
         ・


 絢 辻  「ただいま。あーもう、くたびれた」

         ガチャ、バタン。

 ジュンイチ「……」
 絢 辻  「ホントに、馬鹿なことばっかり言って……」

         バサッ。

 絢 辻  「一体、何食べたらあんなバカに育つのかしら……」
 ジュンイチ「……」

         しゅるっ……

 ジュンイチ「……」
 絢 辻  「…………」

         パチッ、ジーーッ……

 ジュンイチ「……」
 絢 辻  「…………………」

         するっ、ぱさっ……

 ジュンイチ「……」
 絢 辻  「…………………………あ、あっちを向いてなさい!」


         わしっ、ぐるん!


 チインュジ(なんでゃあも……)
 絢 辻  (うー……やりにくい……。
       冗談でも、あんなこと言うんじゃなかった……)



 チインュジ(……知~らすか
 絢 辻  (…………。
       今晩、まともに眠れるかしら……)



近頃オシゴトの話をしていても、ときおり絢辻さんの影がアタマを掠める。
それはラブ的な意味ではなくて、
「こういう場面では、彼女だったらどう考えるだろう?」
「どんな情報を集め、どう判断してどう動こうと思うだろう?」
という登場の仕方で。

今オイサンのシゴトバは、主たる取引先が今後どう振る舞うか、
大きな瀬戸際にいるのだけれど動向がモ一つはっきりせず、
その決定によってはオイサンとこも大きな屋台骨の一本が揺らぎかねない、
というか、揺らぐわけではないけれど、
こちらも振る舞い方を大きく変えなければならないような状態で。

  マ今の世の中どこでもありそうな話ですけどね。

けれども、オイサンら末端の人間には、
その取引先がどんな風に動くかなんて分からないし、ロクな判断や予想の材料もない。
もちろんそんな上の方でされる決定を、
オイサンら末端がダイレクトに気にする必要もないのだけれど、
もし、
もしも、
絢辻さんがこの場にいたら、どんな要素を気にかけ、どんな情報を集めるだろうか?
ということを考えてしまう。

たとえば、その主要取引先の財務の状態や、
これまでのTOPの考え方、意思決定の仕方。
その取引先の取引先との関係。
そんな情報と、彼女がこの場に居れば築いていてたであろう、
自社内・相手社内の人脈から得る信用のおける情報、
そうしたものから仕入先の今後の振る舞いを予想し、
自分の行動を決めたり、こちらにマズイ動きが起こらないようにけん制したり、
……するんだろうなあと。

マもちろんこれだけ大きな話になってしまうと
そうそう単純には出来ない話なのでしょうが、
なんというか、彼女はそれでも話の勘所を押さえて単純化し、
「所詮、人間の考えることだもの。
 目に見える範囲なんて、大きく考えても知れたものよ」
とか言って、ホイホイさばいてしまいそうな気さえする。

  それはまあ……実はそうなのだろうけど。
  エラいひとのする判断と決定というのは、下に行けばいくほど広がる波が大きくなるから、
  下にいる人間にとっては「随分どえらい広さをみて判断しているのであろう」
  と思ってしまうけれども、多分そんなことはなくて、
  ある階層から下のことはざっくり、といったらおかしいけれど、
  客観的な数値や概要、あとホントに重要な(と上の目線では思われる)細部のみを拾い上げて、
  いろんなことを考え、判断しているんだろうと思う。
  しかしまあ神様は細部に宿っていたりするもんだから、
  誤ったり、失敗したりするんだろう。

  絢辻さんはきっと、その「彼らが判断に使う視界」を理解していて、
  「この辺まで見てこう考えるだろうから、動きはこうだろう。
   だったらこっちの打つ手はこうだ」
  みたいに、やってしまいそうな気がするのだった。

多少なりともそこに学んで、
人と積極的に交わって色んな立場の人から情報を得、
行動したり、その情報に対して自分から影響を与えたり、
出来るようになろうと思えればよいのだけれど。

これまでの自分のあり方だとか、苦手意識だとか、
そんなものが邪魔をして、体を動かすことが出来ない。

たくさんの人との交わりとその良好な関係の維持、
流入する情報の蓄積と選別と判断、
そんなことを想像するだけで、
彼女の頭が、体が、どれだけ活発に活動しているかが思い偲ばれ、
自分の体に少しでもそれをおろそうとすると
たちまちオーバーヒートしてしまいそうになってぞっとする。

少しずつでも訓練していった方がいいのだろうな。
しんどそうだが、面白そうでもある。


そんな、『アマガミ』な日々。
オイサンでした。


 

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2009年8月18日 (火)

■絶叫

ぬおおおおおぉ~ッ……。

絢辻さんと七咲のペアだと、
両者ファイナルスター同時獲得は
どうあがいても無理じゃないか~……ッ。

くおあああああ……。

絢辻さんのスキBADはこの次に持ち越しか~……。
あんまり繰り返し、絢辻さんのイベント見たくないんだよなあ……。
なんか……薄まっちゃいそうで……もったいなくて……。
飽きちゃったりしたら……コワイ……。

このまま、一歩と宮田みたいに
「縁がなかった」的に
一生スキBAD見られなかったりして……。
スキBADもともかく、スキGOODが見てえ……。

今のデータで途中から、
梨穂子 or タナマッティとのペアでやり直すことも出来っけどさぁ……


  ……。  


ぬおおおおああああああああああああああああああああぁおあぉあああ……。


一晩寝てからゆっくり考えよう……。


 

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■真夏草子~9DAYS -更新第284回-

この夏休み……の9日間に何をしたか、
思い返してみる。書きとめておく。


先ず、失敗したなーと思うのが、

  「これだけは絶対にやっておこう」

ということを定めずにおいたことだ。
唯一、「手帳の中のダイヤモンド」の五章だけは必ず期間中に掲載しようと思っていて、
これはギリギリ達成できたのでよしとするが……。
他にも色々止まっている書き物を進めたかったが出来ずに残念。

ただ、9日間という時間を正しい長さに感じられるように過ごせたと思う。
長かったとも、短かったとも思わない。
9日間なりの体感時間だった。
ただ、9日って案外あるな、とは思ったけど。

もうチョイ、見たい映画の一本くらいは見ておけばよかったと思う。
『街の灯』、見とけば良かったな。
本も1冊くらいは読みたかった。
出来る限りブログは更新しようと思っていて、それはそこそこ出来たと思う。
なんか、更新頻度を上げるとアクセス数はそれに応じてアップするみたいだ。

みんな休みで暇なのか、昼の時間帯でも
結構なアクセスがあるのが面白い。
普段の1.5倍くらいはアクセスがあった。

実家には、少し長めにいようと思っていた。
いるだけで孝行になるとは思わないけれども、いれば出来る孝行もあるかと思ったから。
デ実家にいて、かつ親の近くにいようと思うと
自分のしたいことは中々出来ないので、
マあまりたくさんの目標をもてなかったのも仕方がない。
一人の時間は、初日と終盤の3日、あとは早朝と深夜くらいだった。

  しかし、帰省するたび「あと何回、こうして過ごせるかなあ」と思いはするけど、
  これが案外長かったりするとウンザリしたりしてしまうんだろうか?
  「こいつら案外しぶといな」とか思い始めたらアウトだ。
  なので、ボチボチあまり意識しないようにしようかと考え中。
  尻すぼみになっても、相手も辛いだろうし。



■1日目・8月8日(土)



いくつかやることがあった。
9月の連休に両親を連れて行く、北海道旅行の旅券を取りに行くこと。
早速具合の悪くなったケイタイを見てもらいに、auショップに行くこと。
あとは、明日からの帰省の準備。
どれも特に問題なくクリア出来た。
特にauは予想以上に対応がスムーズで、良い処置をしてくれたのには
ビックリ&感謝。
その場で一気に機体交換までしてくれるとは思わなかった。
実家でも聴こうと思って、絢辻さんのキャラソンCDのモノローグを録りこむ
……と同時に、本編特典のバレンタインドラマCDを聞いていなかったことを思い出して
そっちも録り込んでおく。



■2日目・8月9日(日)



早朝から移動、実家へ。
京都に着くなり関西は雨。

蒸し暑くてうんざりだが、そぼ降る雨にぬれる京都の町を見下ろしていると、
早速「雨に想う絢辻さん」というSSを発想する。
実家に向かうローカル線の中でシグマリオンを叩きまくり、
アウトラインはほぼ出来上がる。

  ……が、オイサンの書くものには、
  どうにも「物語」としての盛り上がりというものが一切ないことが気にかかる。
  どうにか一つ、ストーリーが面白い絢辻さんモノを書きたいなあ、と思い、
  とりあえず仕上げるのは見送ることにした。

  誰が読んでもそこそこ楽しめる、
  「お話」としてうねりの感じられるものを書きたいと思う。
  オイサンのは心情ばかりで、それを面白くないとは思わないけれど、
  そこから物語のうねりが生まれていない。
  心情がメインのものを書き続けるにしても、
  ちょっとこのままでは、飽きずに読んでもらうには限界がある。

AM早くに実家に着き、ゆっくりするまもなく午後からは中学時代の友人その1と会う。
地元の大好きなラーメン屋で、この際ダイエットのことは忘れて
昼ゴハンをガッツリ食べる。
特製ラーメン、チャーハンと鳥のから揚げは半分ずつ。

  ……『アマガミラジオ』で言ってた、
  学食の「とんこつラーメンとり唐乗せ」に「九州」という名前がついてる
  横浜の高校ってどこなんだろう、と目の前の友人ソッチノケで考えてしまう。

やはりここのはウマイ。ここが一番だ。
つぶれたり無くなったり、しないで欲しい。

その後、その友人行きつけのオサレカフェでお茶しながら話をする。
お茶も美味しい、お菓子も美味しい。
いい時間。

R0019150

相変わらず話の内容は、他愛もなければミもフタも、
ネもハもないような話ばかりなんだけど。
今やってるゲームや、共通の友人の話、結婚の話など。
あと、なぜかテレビで流れていた酒井法子がどうしたみたいな話をしてしまった。
下らねえwwww
こんな会話で、彼は面白がってくれてるんだろうか。
年に何回も会わないのに、ちょっと不安だ。

夜は高校時代の友人3人とWINSで会って、
レース終了後、CoCo壱でカレーなんぞを食べながら馬鹿なハナシをする。
昼がガッツリだったので少なめの250gを食べてたら一人に思い切り突っ込まれる。
うるせえ。
昔みたいに700も800も食えるかってんだ。

こちらも主話題は、ゲームやらマンガやら、互いの近況やら。
……あんまり、自分の近況をしゃべらなかった気がするな。
連中、全員ケイタイの赤外線通信機能を漏れなく知らなかったことが驚きだった。
挙って「そんな機能はついてねえ」とか言いやがる。
ポートがついてんのが見えてんだよおおおお!!

しかしそういう話の内容よりも、WINSの雰囲気に感ずるところが多かったのが
面白かったな。
そして結婚してるやつが一人もいない。



■3日目・8月10日(月)



関西の暑さにやられて、なんかぐったりしてしまった一日。
お昼ゴハンに両親オススメのソバ屋にソバを食べに行って、
その後なんとなくダウンしてしまった。
ホント、何もしなかったな。
オヤジ殿と散歩に出た程度だ。

R0019196

母が好きな、よしながふみの『きのう何食べた?』の2巻を読む。
その中で出てきた一言、「いい夜だね」というのをすごくオトナっぽいなあと思う。
て言うかお前もオトナだろ。
だけども、自分が「いい夜」だなんて思ったことは一度もない。
いつか絢辻さんか橘さんに言わせてみたい。
このセリフを楔の一言にして中心に据え、一本書けないものか。

  きのう何食べた? 2 (モーニングKC)



■4日目・8月11日(火)



前日早くに寝たのと暑いのとで6時頃に目を覚まし、
ネットを見てたら静岡で震度6とかの地震があったというニュースを見つけてビビる。
そんなとき、詳しい情報を見ようと思ったら、やっぱり足がテレビに向いた。
臨場感や即時性という意味では、やっぱテレビは優れているんだと思う。

  そーいや、前ブログでコメントくれた人で静岡の人がいたなあと思いだし、
  心配になる。どうも大丈夫だったみたいですが。

R0019255

墓参。
墓が遠いため、ほぼ丸一日がかり。
電車で一時間強。そこから車で10分弱。遠い。マジ遠い。

帰り道、冷奴にするためのトウフ調達を任されるが、
どうにもパンチの効いてないトウフを買ってきてしまいちょっと残念な気分になる。

トウフついでに立ち寄った本屋で『不思議の国のアリス』の単行本を買う。
元祖の小説の和訳版。
こないだ発想した、絢辻さんSSの材料にするのだ。
ちゃんと元祖アリスの勉強もしておかないと、
間違ったおかしなことを書いてしまいそうだから。
しかし……とことんワケの分からない話だなコレ。

晩ゴハン、親父の田舎から送られてきた鰻がうまい。
これが帰省の楽しみの一つだった。土用から、鰻を食べずにとっておいて良かった。
そういえば昼、墓のちかくの料理屋で食べたコースのシメのご飯が穴子丼だったなあと思い……
「鰻と穴子、絢辻さんはどっちが好きだろうか?」とかもう、
埒もないことを考え始めてしまい、とりあえず短いセリフ劇に仕立ててしまう。
掲載済み。
会話モードに、そんなハナシは埋もれてないよなあ。
会話モードのみのアペンドディスクが出ないもんだろうか。
ネットワークでガンガンにアップデートされるとか。



■5日目・8月12日(水)



中学時代の友人その2(美容師)に会いに行く。
アポなし突撃、電車で30分。
首尾よくAM中に会うことが出来、相手のお仕事終わりで都合がつけば晩ゴハンにいこうとなる。
良かった。

  あとでオヤジ殿と話をしてるときに、
  「先に店に電話でもしとくことは出来なかったのか」と言われてハッとなる。
  ホントに全然アタマになかった。

帰り、あまりに天気がよいので全然途中の駅で電車を降りて、
写真を撮りながら三駅ほど歩く。
なぜか途中で、「誇り」に関する絢辻さんのSSを発想する。
何がトリガになったのか分からない。
多分、自分の才能とか、能力とか、そんなことを漫然と考えながら歩いていたからだろう。
楔の一言がポポンと浮かんでくれると、ハナシの骨子は大体決まる。
あとはその前後の展開うっすら作って、キャラクターに任せれば
勝手に出来上がって行ってくれる。

  ……とやってると、やっぱり物語性の薄い、
  心情ばかりの会話劇になってしまうんだけど。
  問題である。

関西の夏の猛烈な日差しと湿気、濃い青空と雲の白、山の緑。
そんな色が体中に沁みこむのと、お話が生まれるのがなんだか同時だった。
ガギンガギンの太陽に夏を実感する。
R0019420
三駅、1時間ほど歩いてそこからは電車で地元駅まで移動し、
スーパー地下のフードコートでお茶を飲みながらさっき発想したSSのアウトラインを
シグマリオンで一気にメモる。

何か買って帰る物があるかと両親にメールを入れると、
自分たちもそのスーパーのすぐ近くにいるから待っていろと、落ち合うことに。
買い物に付き合う。
自分と母の誕生日が近いので、ケーキを買って帰る。
地下の食料品売り場で母を一度見失うも、オヤジ殿が一発で探し当てる。
さすがだ。愛しさのなせる業なのか。

ケーキがうまい。
なかなかのチョイスセンスだ、さすが俺。
白桃のフランボワーズ。
ゆかりん

夜、9時を回る頃に友人から連絡あり、出かける。
鉄板焼き屋でもやしの大盛り炒めとかをつつきながら、
1年ぶり……もっとか。……のアルコール。
普段はゼッタイ自分からは飲まないけど、こんなときくらいはいいだろうと。
ムダにどんよりと汗が出る。やはりお酒は鬼門だ。

  ずーっと気になっているんだが……やがて成人した絢辻さんは、
  アルコールは強いんだろうか。
  なんかイメージ……いくら飲んでもつぶれない鋼の女っぽいんだが……
  案外普通の強さで、話術かわし続けるってのがいいセンかもなとか考える。

ここでの会話についてはこの日の記事を参照。
楽しかった。
しかしこれも、「いい夜」とは違う気がする。

帰り道、ちょっと食べ過ぎたので、日付は変わっていたが一駅余計に歩く。
過去30分かかっていた道のりを15分で踏破して、
我ながら減量とトレーニングの成果にビックリする。
そんかし尋常じゃなく汗だく。
でも息が切れたり足が張ったりはしない。
ビバ運動。
そういやきっかけの一つは、会話モードで絢辻さんに、

  「階段で息切れする? 今からそんなんでどうするの、
   生活を見直したら?」

と言われたからだったっけか。
どうだよ絢辻さん。
最終的には、早朝ランニングをする絢辻さんの気持ちを分かるようになることだ。
既にちょっと、分かりつつあるが。
走るのもきっと、気持ちいいだろう。



■6日目・8月13日(木)



実家最終日。
オヤジ殿は朝から隣家の法事。
喪服を着て、久しぶりにカッチリした格好の父を見てちょっとカッコイイと思う。

デ、オヤジ殿がいないのをいいことに、朝から母と外でお茶。
初日に友人1から教わったオサレカフェを教えろと言われたからだ。
行ってみると、なんと休みで凹みたおす。
仕方なしに、近隣の喫茶に入る。
R0019475
お茶とお菓子はなかなかだが、店主の夫婦が押しが強くてやかましい。
落ち着けない。
昼はうどん。
しばらくしたら、もう発つ時間だ。

移動で帰宅。
京都駅で、自分の乗る新幹線が来る直前になって
横浜だかで停電があって、新幹線が遅れるかも、とか嫌なニュースにビビる。
結果的には影響なかったけど。
新幹線、まだ空いてる。隣の席は空きっぱだった。
新幹線の中ではずっと、その日のBlogの記事を書いていた。
結局『ドラクエ』も全然やんなかったな。

家に着き、早速晩ゴハンはいつもの惣菜。
何事もなかったように、いつもの生活に戻れるのが大したもんだな。
明日から3日、いつものペースで頑張ろうと思う。



■7・8・9日目 ・ 8月14日(金)~8月16日(日)



ラスト3日は一気に。
『アマガミ』三昧と書き物三昧で、普段の週末の延長。
実家でやれなかった分をガッツリやる予定。
目標は「手帳の中のダイヤモンド」5部の完結。

初日はワリと順調も、2日目にほとんど手がつかず、
代わりにモヤモヤなSSを載せるのに時間をかけてしまいどうしようかと思う。

3日目、異様な空腹で、前の晩12時半くらいに寝たのに4時半くらいに目を覚ます。
ナニゴトだ。
胃が締め付けられるような空腹。
空腹ごまかしゼリーでしのぐ。
最近、胃が縮んだせいか、それでもワリとしのげる。
AMは記事関係なしにLap09のプレイ。
久しぶりに隠しシナリオの一端らしいストーリーが見え隠れする。

昼、隣町に出来たという伝説のスタ丼屋とやらに行ってみるも……
LEGEND is DEAD.
そんなおいしいモンでもない上に、しつこくて量が多い。
正直やってられん!
もう10年若ければ、美味しく戴けた気もするが。

結局ほとんど丸一日、PCとテレビと差し向かい。
腰がどうにかなりそうだ。
一応、軽い運動と外歩きはするが。

シーン再生で掘り起こしながら書くよりも、
普通にプレイしながら実況気味にイベントを追っていく方が
なんだか筆が進みやすいことに、超今更ながら気付く。
その方が気分が乗るんだな。
しかし気付くのが遅すぎた。何故今だ……orz

結局書きあがったのは日付をまたいだ夜中。
朝早かったこともあって、終盤は朦朧としてしまった。
あまりキレイで面白いシメにはなってないような気がする。
シメは大事だ。それだけで随分記事の印象が変わる。



……とまあそんな感じで、
絢辻さんのことを考えない日はなかった、そんな夏休み!!
……まあ、充実はしてたよな。
ウン。



 

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2009年8月17日 (月)

■手帳の中のダイヤモンド -15- 第五部・その3 -更新第283回-



   
『アマガミ』 絢辻さんシナリオ解読企画 「手帳の中のダイヤモンド」 目次
   ◎『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク



オイサン「あーやつーじさーん、あーそびーましょー」



  ……


絢  辻「あーとーでー」



ふ、フラれた……orz


などと、自前の妄想独り言でも意外な展開に悩まされることがままあります、
オイサンです。
独り言くらい、自分の都合のいいようにやりゃあいいと思うんですけどね。
ホント器用だな俺は。


ここは2次元番外地、「ゆび先はもう一つの心臓」。

株式会社エンターブレインから好評発売中の恋愛シミュレーションゲーム(笑)、
『アマガミ』が誇る至高のメインヒロイン・絢辻詞さんのシナリオを追い求める企画
「手帳の中のダイヤモンド」、
今回こそはその15回目のその3、恋愛編の完結編です。

前回までで、5つの好感度カテゴリー、

  <デアイ><アコガレ><スキ><シリアイ><ナカヨシ>

のうち、<デアイ><アコガレ><スキ>までのシナリオを深く読み解き、
今回は残る<シリアイ><ナカヨシ>の読み解きと、
そして絢辻さんシナリオを一つの物語としてとらえるときの
<ナカヨシ>という結末がもつ二面性と特殊性が描きだす少し奇妙な悲劇についての
オイサンなりの解釈を……マ、皆さんの暇つぶし程度にでもね、
ご披露できると良いかなと、このように思う次第であります。

それでは先ずは前回からの続き、
好感度カテゴリー別の細かいエピソードの読み解きから行ってみましょう。
絢辻さんに、逢いたいかーッ!!

  ぉーっ!!

罰ゲームは、怖くンンないかーッ!!

  ぉーっ!!!

肉体・精神・経済、どれでもかーッ!!?

  ぉー……? ぉ、ぉぉ~っ……。


  ……。


……『アメリカ横断ウルトラクイズ』とか……。
若い人は知らないんだろうなー……。
オイサンも一昨日から晴れて34歳!
橘さんの、なんと2倍だ!



■4) 続・恋するフラグメンツ
      ~各好感度カテゴリーでのエピソード~



  □4)-4 シリアイ--------------------



さて、「シリアイ」。
「シリアイ」は、「デアイ」で何もしていなくとも来られてしまうカテゴリーですので、
基本的には「デアイ」の延長、あるいは少し時間が経って関係がこなれた、
という程度……だと、オイサンが見た限り、思えます。

  というのも、シリアイレベルのイベントは……
  森島センパイと七咲という二人をメインターゲットに据えて進行したときに、
  絢辻さんサブで経験した程度で、メインとなるイベント以外はあまり拾えていないため、
  未経験のイベントが結構あるからです。
  そこだけは正直にお話しておきたいと思います。

主人公が絢辻さんに対して切り込む、或いはその逆という、
互いが互いの領域に対して積極的にアプローチをかけるという場面は、
中核となるイベント以外ではあまりみられません。

またどちらかといえば、
最終ラウンドで絢辻さんが自分から猫かぶりを明かすシーンを除けば、
主人公から絢辻さんに対してステップインする場面が多く見受けられ、
「無自覚に積極的な主人公と、その好意にほだされ、片思いを始める絢辻さん」
という構図が読み取れます。

しかしその分、主人公の価値観と、それに融合することへの抵抗があまりみられず、
「なんだかムニャムニャとやさしい主人公に、
 優しくされ慣れていないこともあって、なんとなく惹かれていく」
という風に見えてしまうせいか……
アコガレでの絢辻さんのような、
「確固たるものと複雑なバックボーンをもつミステリアスな少女」ではなく、
ワリと簡単で安っぽい印象になってしまっています。
それが残念。

核となる二つのイベント……
過労で倒れた絢辻さんを自宅まで見舞う「絢辻さんをお見舞い」と、
絢辻さんが自分から猫かぶりを告白する「猫かぶってるのっ」
……は、どちらももう、タマラン魅力的なイベントではありますが、
その発生までの流れに、若干唐突な印象がぬぐえません。



■絢辻さんをお見舞い
委員に先生のお手伝いにクラスメイトのサポートと、大忙しの絢辻さんが
過労で倒れて早退し、2日ほど学校を休む、というイベントで、
唯一絢辻さんの家に切り込むことのできる貴重なイベントですが、
上でも書いたように、その前後の描写は決して十分なものではないと、オイサンは感じています。

普段以上の多忙さを窺えるようなシーンがなく……
「デアイ」から突然、お見舞いに行くまでに踏み込む主人公の動機がどこにあるのか、
もう一つハッキリしないからです。
あくまでも主人公は、「気付いたことを衒いなく、無自覚にやり続ける謎のラッセル車」
として行動しているだけなのでしょうが……。
マ絢辻さんは、普段からああんだけやってれば、十分スゴイわけですけど。

  ぶっちゃけ、こうして積極的に行動する主人公の気持ちのありどころと言うのは、
  本当に無自覚無軌道で……というか、
  そこにシンクロしていくプレイヤーに任せられてしまうので、
  彼の気持ちの推移を物語的に読み解くことは不可能に近い。作り手の植えつける、
  「お前らはこの子と仲良くなりたいんだろ?
   だったらこの場面じゃこうしかないだろ!」
  という、意図的な衝動のようなものが全てのように思えます。

  ただ彼がその本領、すなわち変態紳士としての性能を発揮し始めると、
  そこにはもう最高の、エンターテイメントエンジンが搭載されていますので
  動機がどうとか必要ない。
  そのギャップに、オイサンなんかはワリと悩まされるのです。

主人公が絢辻さんを見舞うシーンでは、
絢辻さんが他からあまり大事にされていないことが、
他に同級生からの見舞いがないことと無神経な縁お姉さんと、
主人公との対比によって描かれ、
絢辻さんが主人公に心惹かれるに十分なモチベーションを発揮します。

そして、そうやって偽りの自分、意地汚い自分を純朴に信じ込んで、
優しくしようとしてくれる主人公に対して罪悪感を抱き始めたことが、
のちに復調した登校シーンで描かれます。
「いつもの絢辻さんだね!」と無邪気に笑う主人公に、
翳を帯びた笑いで返すことしかできない絢辻さん。

その後の委員の仕事で、主人公からの申し出を素直に受けたり、
てれ隠しを交えながらも引き止めてまで一緒に帰ろうとする態度は、
仄かながらも恋する女の子らしい一面であるのかもしれません。

その罪悪感と恋心の合わせ技一本、そして主人公の純朴な人柄を見込んで、
自分から猫を脱ぐ決心を固めた、といったところでしょうか。

オイサンが印象的だったのは……高橋先生の視線です。
創設祭委員のサポートを決める会で、自ら手を挙げる主人公を
嬉しそうに見つめる、高橋先生の表情が(別段特別なビジュアルではありませんが)、
とても意味ありげなものに見えました。



■ご褒美イベント
この段階での絢辻さんの気持ちを一番きれいに表しているのは……
会話アタックでのご褒美イベントなのではないかと思います。
「主人公のことをどう見ている?」ときかれ、そっと、主人公の背中に身を寄せる絢辻さん。
まだ正面切って本当の姿を見せてあげることは出来ないけれど、距離はグッと近い場所にいる、
ということを言いたいのかなー、と思います。

あとは……やっぱり背中というのは「父親の象徴」のようにも受け取れますので、
暖かな家族的信頼への憧憬、のようなものも、無意識に浮き出てしまったのではないでしょうかね。

そしてそのあと、この上もなく恥ずかしそうに立ち去る絢辻さんが、もう。
下手に過激で性的な表現ではない分、開き直ることも出来ず、
また独特の表現でもあったために本当に心根の部分をさらしてしまったような気恥ずかしさがあったのでしょう。
とっさにこの伝え方を思いつく(ような人格を与えられた)絢辻さんという人物は、
猛烈な頭の良さを期待されて生み出されたキャラクターなのだと思わざるをえません。

二度目以降のご褒美で、
「伝えることが不得手だから」
と、本当の顔も少しのぞかせ始めるあたりが、このカテゴリーでの白眉なのかもしれません。
首筋にツメの一つも立てていけば、より本当っぽいわけですがw

この表現を思いついたのは男性シナリオライター……なのでしょうかね。
すごい発想だと思いますよ。



■猫かぶってるのっ
まあそんななんだかんだで絢辻さんは、何故か自分から、
主人公に対して猫かぶりを暴露しますが。

この「猫かぶってるのっ」のイベントを見ていると一つの不自然さが鼻につきます。
それは、
「主人公に対して嘘をつくのを嫌がっているのも、主人公に恋をしているのも、
 表、つまり猫を被っているときの絢辻さんで、
 裏、スの絢辻さんは実はそうも思っていないのではないか」
という気配が……あまりの切り代わりの極端さから、匂ってきてしまうせいだと思います。

このルートでは、ここまで、猫の絢辻さんとの付き合いがあまりに長過ぎて、
本当の主導権を握っているのはどっちの絢辻さんなのか? ということが、
見ている側にはストンと納得できないと思うのです。

  ちなみにこのイベントで発生する3択の中で、裏の絢辻さんから
  「あなたにうそつくのが嫌だったから」と言われるので、
  それが本音であることはわかります。
  さらに同じ選択肢の中で、目標の話がチラッとだけ出ることも、
  <スキ>への伏線としては面白いですね。

オイサンが絢辻さんに感じる魅力の一つに、
表と裏の他に、裏にも表にも属さない(或いは両方に足を突っ込んでいる)中間の絢辻さんが
キチンと存在する、ということがあります。
そのある意味で「本体」と言える絢辻さんが顔を出すのも、このルートでは
このイベントの3択の中(と、「一方その頃……」モノローグの中)だけなので、ちょっと宙ぶらりん。

お見舞いにも来てくれて、自分のことに気づいて色々してくれようとする主人公と
「ちゃんと」仲良くなりたい一心で決めたことなのでしょうが……
その必死さが、リスクの面が見えないことで伝わりづらいのです。
それさえ分かれば、フツーに恋をしているこのカテゴリーの絢辻さんは、
フツーにかわいいと思うのですけどね。


……。


とまあ、<シリアイ>については以上で、<デアイ>から関係が進展しはするものの、
やはり今一つ、絢辻さんの本音がどこにあるのか、ということはハッキリしないまま
話は進んでいきます。
猫を脱いだ姿を見せることにも、猫を被っていきることにも、
それほど重い意味があることが提示されないまま話が進んでしまうため、
秀才のおふざけのように、見えてしまわないこともない。

それだけ主人公の人格が、絢辻さんにとって特殊なものであるということは
他のルートを見ていれば分かることなのですが、
ここだけを追っているとその重みは読み取れず、
逆に枝葉であるはずのご褒美イベントから伝わる絢辻さんの本気の思いとのアンバランスさに、
混乱の度合いは増すばかりです。

主人公とプレイヤーは、肝心なことを何一つ知らされない。
絢辻さんはウソは言っていないのですが、かといって信じる材料も与えられず、
かなり騙されっぱなしの状態のまま物語は終盤に突入していきます。

……正直これは……かなり、ツライ。

<アコガレ>終盤や<スキ>くらいに、
「是が非でも、たとえ嘘でも、自分だけはこの子を信じてあげないと!」
というモチベーションを持てる展開があれば話は別ですが、
信じて上げられる・上げたいと思えるほどの重みも見せてもらえない。

  モチベーションがあるとすれば、やはり
  「いつもの絢辻さん、ね……」と自嘲気味で伏し目がちに呟いた時の憂いに満ちた感じと、
  背中に感じたぬくもり、なのでしょう。

いつ舌を出されるか分からない状況のもとで、
このバカ正直な主人公にシンクロし続けていくのは、
正直、最初が<ナカヨシ>ゴールだったオイサンは、相当に辛かったのです。



  □4)-5 ナカヨシ--------------------



鬼門、<ナカヨシ>。
そう言い切りましょう。
むずかしい。
こうして考えなければさほどでもなかったかもしれませんが、このカテゴリは本当に難しいと思います。

不連続であるカテゴリ間のギャップを飛び超えなければならない宿命といい、
それが二つ重なっていることといい、制作サイドは大変だったんじゃないかと思います。

そう、この<ナカヨシ>というカテゴリは、今回バラして考えてきた5つのカテゴリの中では特殊です。
それは、<アコガレ><シリアイ>という二つの入口を持っているということから言え、
しかも物語としては、その二つの入口は真逆の意味を持っています。
真逆とは、すなわち
恋に成功したお話の続きなのか、
恋に失敗したお話の続きなのか。
前者が<シリアイ>からのランクアップ、後者が<アコガレ>からのスライドです。

<シリアイ>からは、絢辻さんとの仲が深まることでこの<ナカヨシ>に辿りつきます。
そうすると、この<ナカヨシ>は純粋に「より深い関係を目指す」ステージになります。

反して<アコガレ>からは、何らかの理由でレベルアップのスターが獲得できず……
つまり「手帳の火葬」に行きつくことが出来なかった、
さらにつまり、「絢辻さんの心の頑なさを溶かすことが出来なかった」場合に辿りつく、
モ一つつまり、「突っ込みきった関係になりそびれた関係を、如何にしてやり直していくか」、
という再生のステージになるわけです。

当然そこでは、主人公の感情も、絢辻さんの感情も、
それぞれの場合で異なる意味を持たざるをえません。

そしてその二面性、悪く言えば「どっちつかず」であることが原因で、
絢辻さんが恋する気配というものが、相当に薄まっている気が……オイサンはするのです。
無理もありませんが。
ラブビーム全開でやってしまったら、どちらかのシナリオが完全に分断されることになってしまいます。

勿論、シナリオそのものの性質の影響もあります。
シナリオのメインストリームが絢辻さん自身の問題ではなく、
創設祭委員問題であることが、絢辻さんを才女・戦う女として強く印象付けていると言えます。
己を見せず、ただ静かに一人戦い続ける絢辻さん。
目標に向けて頑張り続け、張りつめた中に主人公に安らぎを求めている
……そんな印象がとても強い。

  ……ただその分、オイサンの好きな絢辻さんが多く描かれるのも、
  実はこのルートです。
  自分のためとは言いながら、実は人への敬意や感謝を忘れない。
  自分の正義を疑わず、逃げず、媚びず、屈しない、強く美しい絢辻さんです。
  実はただのサディストではない絢tsおおっと誰だい跳び箱なんて投げつけるのは。

そのため、オイサンは今にして思えば、
「<ナカヨシ>の絢辻さんは、果たして恋をしていたのか?」
と思うこともあります。

まあ、各デートでの絢辻さんの振る舞いなんかを見ていれば、
それは確実に「している」と言っていいのでしょうが、
ピンポイントのラブなイベントと、メインストリームのシナリオとで、
随分その感情は分断されているように思えます。

その辺のことに意識を傾けつつ、
このカテゴリでの絢辻さんの恋の物語について、拾っていきたいと思います。



■斥候
冒頭から、絢辻さんは……ある種、敵対行動に出ます。
主人公の弱みを握ろうという、斥候。

  ちょっと面白いと思うのが、その枝葉の中で、
  「美也が主人公のために必死だった」という一節が混じるあたりでしょうか。
  これは後々の、美也ルートの伏線なのか?……と勘繰っています。

それを主人公に咎められて絢辻さんは反省し、主人公に切り離されずに済んだことを
「よかった」と喜びます。
これが恋の一面なのかは、ちょっと怪しい気がします。

それよりもこの場面でオイサンが重要だと思うのが……
……これはあくまでも仮説のようなものですが。
この時点で絢辻さんは、「主人公と自分を似た者同士だと認識した」のではないだろうか、
ということです。

この件で絢辻さんは、2年前、主人公に起こった出来事と、
そのトラウマによって主人公が、異性を好きになれない、人を好きになることに
踏み出せなくなったことを知るわけですが。
「手帳編」の中でオイサンのたてた「手帳の中身の仮説」、
そこで絢辻さんは、「人を簡単に信じない」誓いを立てています。

  仮説そのままではないにしても、
  手帳が「人を信じることに対して頑なであることの象徴」であり、
  <ナカヨシ>に来るということは、その問題は未だ解決していないはずですから。

その自分と、主人公の姿とを重ね合わせたのではないかな、ということです。
そこで人知れず、主人公とその問題を共有した絢辻さんは……
その解決に乗り出そうとする、という流れを持っているのではないかと、考えました。

  ……どうでもよろしいが、
  「対人のエキスパートが完璧にサポート!」と言った後で
  「い、言っちゃう」
  と照れる絢辻さんが、たまらなく好きです。
  名塚さんはすごいなあ。

  ……さらにどうでもよろしいが、このゲーム、結構誤字が多いですよな。
  「半面( ← 反面)」とか、「手荒い場( ← 手洗い場)」とか、「主動( ← 主導)」とか。
  微妙なものも多いですが、たまーに見つけると、気になってしゃあない。
  なんか、それを言ったキャラが頭悪く見えてしまうので、気をつけてもらいたいものです。



■ツリー事件関連
<ナカヨシ>では、全体をツリー事件という一本のシナリオが貫通しています。
そのメインストリームの中では、絢辻さんは殆ど恋をしている暇がありません。
なので、<アコガレ>や<スキ>でのように、複雑に見え隠れする感情表現というものは
殆ど見受けられません。

ホテルで市の議員とやり合うとき、「主人公に近くにいて欲しい」という場面や、
黒沢さんとの対決シーンで、「今後はあたしたちに一切ちょっかいを出さないで」という場面。
そして「あなたとあたしがいい関係だって見せつければいいだけ」のお言葉。
水族館でのデートと、ラストのクリスマスパーティへのお誘いと、デート。

主人公を頼ったり、二人で関係を築いている、という自覚について見受けられる場面はありますが……
今一つ、主人公が「安らぎを求められている感」が希薄な感があります。
このカテゴリでも、絢辻さんが主人公に恋や安らぎを求める主戦場は、
会話モードでのご褒美イベントである印象が強い。

ツリー事件の展開の中でも、主人公を頼ったり甘えたりする場面よりも、
コマとして利用するシーンの方が目立ちます。
主人公は、絢辻さんが「より強い絢辻さん」へと完成していくのを、
近い場所で見守る役目を負っていて、
そのために、上で挙げたようなかすかな恋の気配も、どちらかといえば
「主人公を近くに置いておくための撒き餌」のように見えて仕方がないわけです。

最終的にツリー事件は、黒沢さんの横(?)恋慕というタネ明かしを見るために、
この政争のようなドタバタを「黒沢さんと絢辻さんによる主人公の奪い合い」という
恋模様的な画として捉えることも出来なくありませんが……
それもなんというか……感情的には無理がある。

むしろ黒沢さんの方が、もちろんキタナイやり口に賛同出来るわけではありませんが
(そっちの味方をするとドエライ目に遭うのでゼッタイイヤですが)、
純粋な好意や純朴な反応が垣間見える分、恋の気配は濃く、かわいい。
黒沢さんの眼前で主人公との仲睦まじい姿を見せつけて、相手の動揺を誘う絢辻さんなんてのは……
ホント、ひたすら利用され倒しているだけで、好意がそこにあるのかもわかりません。

絢辻さんが言うように、二人が「いい関係」だと言えるだけの
確定的な材料はない、とオイサンは思います。
<シリアイ>から流れてきた場合は言わずもがな、
<アコガレ>から来たのだとしても、「契約のキス」を交わしていれば分かりますが、
それ以前の段階でイベントが途切れていれば、
絢辻さんが自分からそこまでのことを言い出す関係であるとは言い難い。

これが、何も知らずに<シリアイ>から上がってきた展開であったなら、
「まあ絢辻さんって人はこういうひとなんだろう」と思うことも出来そうですが、
<アコガレ>で一度失敗をしてから来た場合であれば、
良い関係を築き損ない、挙句に政争のタネに利用されまくるという、
ある種試されるづけるような、
「絢辻さんは本当に、まだ僕のことを好きでいてくれているんだろうか?」
という疑念と戦い続ける展開になります。
これは意外と辛い。

合間に挟まる水族館でのデートで、絢辻さんの感情が随分フォローされるので、
その辺で溜飲が下がる感じはあります。

  ……ちなみにオイサンは、初回のプレイで、
  絢辻さんアイコンにイベントナンバーが点灯しているのを完全に見落として
  この休日デートをスルーした大ヘタレです。笑って戴いて結構。

あとは恋の気配については、
<ナカヨシ>に入ってからご褒美を幾つ拾ったか、に預けられます。
その分、<ナカヨシ>のご褒美は面白く、刺激的なものが充実していて
二人が距離を狭めていることを実感できるのですが。
多分、印象を強めるためにこういう配置にしてあるのでしょう。

  ……これを書きながら片っぱしから見直しましたが、
  オイサンはもう、脳みそがショートしそうです。
  中でも「いいキスだったね」のイベントはもう……珠玉の一石ではないかと。
  見ているだけで脳みそがジンジンしびれますよ。

しかしこれらも、シナリオの進行とは無関係な任意のものばかりですので、
肩すかしをくらう可能性も多分にある。
マその辺はゲームというメディアの宿命ですんで、しゃあないですけどね。

このナカヨシの中で、オイサンが一番シビレるセリフが……

  「そしてあの子は、あたしの逆鱗に触れた」

……なかなかね。
言えるもんじゃありませんよ。
完勝し、敵を完膚なきまで叩き潰した人間だけが言える言葉ですね。
カッコイイです。絢辻さん。



■エンディング・クリスマスデート
ラストはここまでの鬱憤をコレデモカと爆発させる、クリスマスデート。
基本、絢辻さんは表の顔で対応しますが、
それは多分声のトーンやいざというときの対応くらいのもので、
心根の部分はこれが絢辻さんの本性なのだろう、ということが伝わってくる暖かな展開です。

1時間も前から、主人公を想いやって待つ絢辻さん。
後輩から頼られ慕われ、気を使ってもらえる絢辻さん。
お人好しの主人公に寄り添って、ヒドイ目にあう絢辻さん。
「いいのよ。こういう方が私達らしいもの」という絢辻さんと主人公のコンビは、
本当に幸せそうに映ります。
映るのですが……。

<スキ>で見せる家族への影や、
未だ解決を見ない、手帳に閉ざされた頑なな心が果たしてどこへいってしまったのか。
初回のプレイで<アコガレ>から流入してきたオイサンは、
このときひたすら不安だったのを憶えています。
一体、いつ舌を出されるのかと。

結局はそういう展開はないために、
「こうして人と交わることも、裏表関係なしに、絢辻さんの幸せの一つなのだ」
というような結末が描かれているのですが、それでも最後の最後で絢辻さんが口にする、
「あたしには、あなたがまだ知らない一面がある」
「あなたは、あたしにとっての鍵」
という言葉、そして闖入する縁お姉さんの存在が、
やはり<スキ>で語られる物語が絢辻さんの真実なのだと物語ります。

幸せそうに、あまりに幸せそうに見えるけれども、
家族への思い。
手帳に閉ざした頑なさ。
その二つを抱えたまま、絢辻さんはこの場に立っている、
主人公と、これからそれらの問題に立ち向かっていこうとしている、
まだまだ戦いの途中なのだと思うと……胸が締め付けられるような苦しさを覚えます。



……。



以上が、オイサンが読む<ナカヨシ>における恋の真実、です。
中途半端な成功からの発展、あるいは、失敗からの再生という二面性。
疑念の中でさまよい続ける主人公と、それを知ってか知らずか、利用し続ける絢辻さん。
そして、未解決の問題を抱いたまま、幸せを手に入れる絢辻さん。

……これって本当に幸せな結末なの? と思わずにはいられませんが、
そこを強烈なEpilogueがフォローすることで、この物語は完成します。

引き続き、<ナカヨシ>と<スキ>、二つのEpilogueに見られる幸福感の正体について、
勘繰ってオシマイにしたいと思います。



■5) 時のてこ作用
     ~<スキ>と<ナカヨシ>、エピローグに見る幸福感の差分~



さて、<ナカヨシ>のエピローグで描かれる絢辻さんの幸福感は、
ハッキリいってこれ以上はないものです。
10年の時が経ち、主人公と結ばれて子供もいる。
頑なさも消え、ずっと手に入れたかった暖かな家族を手に入れた、絢辻さんの姿です。

  ……自慢の黒髪を切ってしまっていて、オイサンは若干しょんぼりですが。
  なんで切っちゃったんだよう。

このエピローグを見る限り、絢辻さんは<ナカヨシ>からの展開の後でも、
最終的には手帳を捨て、素の自分で生きる決意をしたことが見て取れます。
ですからオイサンは、<ナカヨシ>も<スキ>も、最終的には同じ未来に繋がっている、
と考えています。

<スキ>においては、『アマガミ』本編の6週間という時間で、
過去の払拭と自己の開放という革新、二つの大工事をやらかしているため、
その終盤の展開はもう怒涛のごとくです。
反して<ナカヨシ>では、本編終了までの期間には、過去の払拭も自己の開放も実現されません。
描かれるのは、これまでの生活の延長の中で、絢辻さんが主人公という「触媒」を入手するところまで。

<ナカヨシ>の絢辻さんは、そこからさらに長い時間を使って、
その二つの工事をゆっくりと進めていったのでしょう。
それを如実にあらわすには、ナカヨシのエピローグをああいう絵にするしかなかったのではないか、
というのがオイサンの考えです。

逆に<スキ>のエピローグは、本編終了直後が描かれているために、
その先の未来が見通せず、不安定で不安に満ちたように見えるのですが、
問題の多くが解決されているのですから……オイサンには、戦いの日々でこそあれ、
明るい未来の約束されたエピローグに映ります。

  ……なんというか、<ナカヨシ>では「10年後」という遠い未来を幸せに固定してしまうことで、
  とても大きな安定感を約束してしまっているために、
  「すごくハッピー」な感じを、心理的に生み出しているように思えます。
  逆に、<スキ>はごく近い未来しか描かれていないために、
  「何が起こるか分からない感」が生まれ、不安を感じさせます。

  ワリバシを2点で持つことを想像してみて下さい。
  一点は必ず端っこを持たねばならないとした時、もう一点をどこを持てば安定するか。
  <ナカヨシ>ではもう一方の端っこを持ち、
  <スキ>では、今持っている一端の、すぐそばを持ってしまった。
  ……そんな程度の違いだと、オイサンは思うのです。


そんな中、一つ、不安定な要素として残るのが「目標」です。


目標について考えてみると、
<スキ>エピローグの絢辻さんがその後目標をどう考えたかはわかりません。
しかし恐らく、先の記事でも書いたように、会話モードでの彼女の考え方や目標というものに対する意識、
本編中での振舞いを鑑みるにつけ、主人公という安らぎの場を手に入れたとしても、
彼女は「目標」を諦めたり、捨てたりすることはなかったものとオイサンは思います。

<ナカヨシ>での彼女は、かたくなさ……
自分の過去や、家族に対するわだかまりを一切解消できていないので、
目標を捨てたわけがない、と考えられるのは明白です。
それをなくしてしまえば、問題が解決することはないのですから。
その後手帳を捨てるにせよ、捨てないにせよ、
それまでの時間のなかでも、目標の実現にまい進していったことでしょう。

こうして考えてみると、絢辻さんの未来像について、
重要なパラメータは、「過去の払拭と自己の開放の達成」と「目標の達成」
であることがわかります。
そしてそれらは、<スキ>と<ナカヨシ>それぞれの未来で、以下のような振れ方をすると思います


 <スキ>
  未来1) 過去の払拭・自己の開放を実現した 目標を達成した
  未来2) 過去の払拭・自己の開放を実現した 目標を達成していない

 <ナカヨシ>
  未来3) 過去の払拭・自己の開放を実現した     目標を達成した
  未来4) 過去の払拭・自己の開放を実現していない 目標を達成した



お分かりでしょうか。
<スキ>では、
「過去の払拭・自己の開放」の要素は本編中で解決されるので、「実現される」で固定。
「目標」については、解釈は流動的。

<ナカヨシ>では、
「過去の払拭・自己の開放」の要素が流動的です。
「目標の達成」については、本編中で解決されるわけではありませんが、
先に書いたように揺らぐ要素も見受けられないので、「達成」で固定となります。

オイサンの解釈では、絢辻さんという人物像から推測するに、
どちらも同じ、最良の結果に繋がる(すなわち上の組み合わせの 1)か 3))ので、

「<スキ>から発生した未来と<ナカヨシ>から発生した未来、
 10年後にはどちらがよりが幸せか?」

という質問について答えは「どちらも同じ」だと思いますが、
早い段階で(本編中で)全ての問題が解決する「スキ」の方が絢辻さん個人にとっても、
主人公との二人の関係と考えても、より良い結末であると思えます。

本編終了直後のことを思えば、
<スキ>の結果生まれるのは、「強いけれども張り詰めていない」絢辻さんで、
<ナカヨシ>でのそれは、「強く、そして張り詰めた、それゆえに脆い」絢辻さんなのではないかと
感じます。

かたくなさをすて、自己の開放を実現した<スキ>後の彼女は、
その気高さと聡明さにあわせて、しなやかさを備えることになるでしょう。
無論、その気性から敵も少なくはないでしょうが、
主人公という帰る場所も備え、死角は見当たりません。

<ナカヨシ>後の絢辻さんには、主人公という帰る場所こそあれ、
頑なさや、戦い続ける負けられない思いなどが残ります。
それゆえの緊張感が、未だ残るように思えるのです。

<ナカヨシ>では、その不安感を払拭するためのあのエピローグであり、
<スキ>ではそこまで描く必要がなかった……
そんな風に、オイサンは思っているのです。

……マ、それもこれも、「スキ」と「ナカヨシ」が同じ未来に繋がっている、
絢辻さんが同じ人格の持ち主であるという前提の上でのお話なんですがね。



■Closing



さて、タイヘン長らくお待たせしてしまった
「手帳の中のダイヤモンド・第五部・恋愛編」も、
これにてフィニッシュです。

正直、お待たせしただけの実があったかどうかは我ながら不安ですが、
マ書こうと思ったことは大概書けたかなあと思っています。

一応あと、総括とオイサン自身の所感のようなものを、
マ簡単にですけどやろうと思っていますが、こちらは内容を読み解くようなものではない、
オイサンの個人的な思いの羅列になってしまうと思うので、皆さまにはほどほどに。

いずれにしても4月からこっち、ずーっと『アマガミ』っぱなしです。
夏休みまで引っ張るとは思ってもみませんでした。
ゲーム本編も終わっているとは言い難い状況。
しかしそれがこんなに幸せなことだとは、また、思いもよりませんでした。

ずーっと絢辻さん絢辻さんの一辺倒でやってきて、
他のヒロインたちにはあまり目もくれずにやってきたのですが、
最近になってようやく、他のヒロインの良さも分かってきた感じです。

マまだまだ、色々とね。
やれることが残ってそうな感じで、ということでヒトツ。



  次回、「手帳の中のダイヤモンド」、第六部!
  『オイサンの独り言』!!



輝日東の冬は、終わらない!!



オイサンでした!






 ◆『アマガミ』絢辻さんシナリオ解読企画 「手帳の中のダイヤモンド」 目次
    01 前口上
    02 序文・絢辻詞という「少女」
    03 第〇部 物語のアウトライン 

    04 第一部 学校生活編 PRE STORY (SS)
    05 第一部 学校生活編 その1
    06 第一部 学校生活編 その2

    07 第二部 「目標」編 PRE STORY (SS)
    08 第二部 「目標」編

    09 第三部 家族編 PRE STORY (SS)
    10 第三部 家族編

    11 第四部 手帳編 PRE STORY (SS)
    12 第四部 手帳編 その1
    13 第四部 手帳編 その2

    14 第五部 恋愛編 PRESTORY その1 その2 その3 (SS)
    15 第五部 恋愛編 その1 その2 その3
    16 第六部 終章 PRE STORY その1 (SS)

    ◎『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク



 

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2009年8月16日 (日)

■帰省 -更新第282回-

 冷房の効いた図書館は案外人が多くて、シンと張りつめた空気を
恐れていた僕には、そのざわめきのような気配はちょっとした救い
だった。
 こんなこともあるだろうと思って持ってきていたノートと参考書、
問題集、そして息抜き用にと書架から適当に抜いてきた、僕にでも
読めそうな小説を、出来るだけ物音をたてないように、先に見つけ
てハンカチでマークしておいた席にそっと運んだ。
 向かいの席では見慣れないシルエットの女の子が、僕が来たとき
から、否、恐らく僕が来る前からずっとそうしているのだろう、一
冊が僕の勉強セットよりもまだ分厚いような本を二冊、傍らに積み
上げて、さらにそれと同じシリーズらしい本を机に広げ、緩急自在
な速度で目を走らせて時折何かをブツブツと呟いては頷き、時には
そのさらに隣に広げたノートに何かを書きつけていた。それはメモ
のような日本語であることもあったし、音符だか数式だか分からな
い、謎の記号の連続のこともあって、僕にはさっぱり何の勉強をし
ているのかも分からなかった。けれども、こちらに向けられた可愛
らしいつむじから発せられる波動は爛々とした生気を感じさせて、
彼女が今、如何に自分の望む場所にいて、やりたいことと向き合っ
ているかを物語っていた。僕にはそれが、何故だか我がことのよう
に嬉しかった。
 正直なところ、僕はここで勉強をしたり、本を読んだりしていな
くても、彼女のその様子を眺めているだけでメロンパン五、六個…
…いや、三、四個はいける自信があったのだけれど……一応受験生
という身の上、それを自ら慮り、その姿勢だけでも見せる必要があ
ると思ってその準備をしてきたのだった。そしてまたそれを恰好だ
けで終わらせているとあとあと面倒なことが起こり兼ねないので、
ノートを開き、ペンを持ち、一週間前、帰省旅行に旅立つ前、まさ
にこの場所で開いていた問題集のページを開いて、彼女のつむじと
向き合った。
 本日の面白い発見は、彼女のつむじが、少し曲がってついている
ことだ。



     *     *     *



 開始から一時間は経っていなかったと思う。異変が起こった。
 向かいの彼女がバタバタと、イライラと、手元にあった本を右へ
左へ、ページをめくっては戻りし始めて、知りたい単元が見つから
ないのだろう、いよいよ背表紙を確認し始めた。
 僕も手を止めて、顔はノートから上げないまま、上目づかいにそ
の子の様子を窺っていた。眉を寄せて、すこしツリ気味の目じりに
険をたてると、「うう~ッ」と薄いうめきにいら立ちをにおわせる。
ちょっとイヌみたいだ。
 と、余計なことを考えてしまったせいで僕の鼻から、笑いが細い
息になって漏れてしまい、彼女はそれを見逃さない。うつむいて、
上目遣いの僕と上目遣いの彼女、図書館の大きな長テーブルの真ん
中で、視線が交錯した。
「……」
 さすがに、彼女はちょっとびっくりしたようだった。さっきまで
苛立ち一辺倒だった瞳からは険しさが抜け、その奥からアレッ、と
音が聞こえてきそうな色に変わる。僕はついついこぼれそうになる
笑みをこらえて、「偶然」視線がからまったときの姿勢のままで、
彼女のリアクションを待った。
「……オカエリナサイ」
「ただいま」
 彼女の口からようやく出てきた言葉はごく当たり前の挨拶で、僕
もそれに見合った返事を返した。多分、彼女の中の優秀なセーフテ
ィが働いて、何か感情的な言葉が出てしまう前に一番無難なセリフ
を準備したのだろう。その空いた時間を使って、今彼女の中ではこ
れからするべき重要な会話の組み立てが、猛スピードで進んでいる
に違いなかった。奇策が通じるのはここまで、ということだ。あと
は、慎重にならないと。
「早かったのねえ。今日じゃなかった?」
「昨日だよ」
 絢辻さんは、手帳──と言っても、昨年の冬に焼き捨てたものと
は違う、新しいスケジュール帳だ──のカレンダーを見直して、
「え? 今日って十五日?」と彼女らしからぬ過ちを口にした。
 八月の十四日。僕が絢辻さんに伝えた、帰省から帰ってくる日付
だ。そして今日は終戦記念の十五日。特に会う約束はしていなかっ
たのだけど、「あたしは多分、しばらくここにいるから」と、一週
間前の別れ際に彼女が言ったことで、僕はそれを「居場所は分かっ
てるんだから、適当に会いに来なさい」というリクエストだと受け
取ったのだった。
「勉強があんまり順調だから、ちょっと感覚が狂っちゃったのね。
ごめんなさい」
「いや、構わないよ。約束してたわけでもないしね」
 それにしても、一日分すっぽ抜けるくらい、連日集中していたと
いうことなのだろうか。さっき僕の顔を見たときも、感慨のような
ものを抱いてくれたわけではないようだった。幽霊を見るその目は、
ただ純粋な驚きだけを見ていたように思う。それが証拠に彼女は既
に、手にした本を相手にブツクサと文句を垂れ始め、すごいスピー
ドで本からメモをとるモードに移行していた。
 大きな窓の外で夏の日が天頂から少し傾いて、あからさまな夏の
嬌歓から移ろった
暮れゆく寂しさを匂わせる光が、僕の足元の床を
焼くようになっていた。
「……そんなことより絢辻さん、それ。どうしたの?」
 そうか、もう一週間経っちゃったのかー、とまだ少し悔しそうに
している絢辻さんに、僕は一番に訊きたかったことを「それ」と言
いながらも、自分の眉間を指でトントン指しながら尋ねた。
 眼鏡。
 一週間。
 ほんの一週間見ない間に、絢辻さんは……眼鏡をかけていた。
「ああ、これ?」
 そう、それ。今時流行っているような、安作りのものではないよ
うだった。殆どジュエリーに近い、針金のような細いシルバーのフ
レームに、痩せすぎず広すぎない、実用とファッションどちらのラ
インからもギリギリのところにいるような大きさのレンズ。光の当
たる角度が変わると、釣り糸程の細い紅の光の筋が、どういう仕組
みになっているのかレンズの周りのフレームにだけスルリと走る。
値段の話をすると絢辻さんは機嫌が悪くなることがあるので言わな
いけれど……高そうだ。
 その涼しげな金属の艶のせいで、今日最初にここに来た時、絢辻
さんは僕のよく見知ったシルエットをしていなかった。だから最初
は見つけ損なって、素通りしてしまったのだった。
 少し照れくさそうに。絢辻さんは両手で丁寧にフレームの両端を
支えると、まだ覚束なげに、鼻当ての位置をすこし直した。
「……ちょっとね」
 ちょっとも何も。視力が落ちてしまったのだろう。飾りや伊達で
そんなことをする人じゃないから、それは明らかだった。
「まあ、あっても無くても、っていう程度なんだけど。ちょっとは
楽になるからね……変?」
「そんなことない、すごく似合ってるよ。似合ってるけど……」
「けど?」
 言い淀んでから、しまった、と思った。ここまで言ったらもう止
められない。勿論個人的には「なんでもない」と逃げ出したいとこ
ろだけど、絢辻さんはそれを許す人じゃない。三日三晩、イタズラ
電話を仕掛けてでも聞きたいことは聞きだす人だ。……しかもなん
だか、食いつき方が尋常じゃない。もう一度「『けど』、何?」と
表情に勢いをつけてくる。これはきっと、何かあったんだな。だめ
だ、と僕は観念した。家族に累を及ぼす前に、素直に白状するに限
る。
「……けど、ちょっと、キツ目かな……」
「……やっぱり?」
 睨みつけるようだった表情は一瞬で萎れて、絢辻さんは机に肘を
落としてため息をついた。そして、あたしもそう思ったのよ、もう
少しやわらかくても良かったんだけど、と昔の自分に言い含めるよ
うに続けた。
「はは……。知的な雰囲気には拍車がかかってると、思うけどね…
…」
「店員も同じこと言ってたわ。うっかり、猫かぶって行ったのが間
違いのもとね」
 僕の慰めにも、絢辻さんは落胆の色を隠さない。ああ、なるほど。
猫を被っている時の絢辻さんは雰囲気が数倍柔らかいから……若干、
印象がキツくなっても問題ないと踏んだのだろう、その店員さんは。
さすが、相手もプロと言うことだ。その判断に間違いはないと思う
けれど、如何せん、相手は本気の絢辻さんだものだから……その本
質を見抜くことまでは出来なかったということだ。……ということ
は、絢辻さんの猫はプロ中のプロと言うことか。それもすごい。
「失敗したなー。あなたが帰ってきてから作れば良かった……」
「ほら、絢辻さん。続き、続き。本を探し直しに行くんじゃなかっ
たの?」
 凹む彼女に促すと、絢辻さんは、そうだったと分厚い本を片手に
立ちあがった。……今余計なことを言ったら、アレで殴って貰え…
…否、殴られるのかと思うとゾクゾ……否否、ゾッとする。



     *     *     *



「ねえ」
 絢辻さんが書架の方へ踏み出したのを見て、僕は再び問題集に目
を落としていたから、突然、背後から話題を振られて驚いた。いつ
の間にか絢辻さんは、新しい本を手にし直して戻ってきていた。
「今日はどうするの? せっかく来てくれたんだし、ここを出てど
こかへ行く?」
 林立する書架と書架の合間に立つ、太い柱にかけられた時計を見
ると、時間は午後の二時半。今から出たって、存分に遊び倒せる時
間帯だ。何のプランがあるわけではなかったけれど、表に出ればい
くらでも思いつけるだろう。何せ僕らは受験生で、普段からあれが
したいこれがしたいという遊びへの渇望は、潤うことを知らないか
らだ。
 だけどその日の僕は、そんな渇きはすっかり忘れてしまっていた。
今日これまでの時間で、もっといいものを見つけていた。
「いや、いいよ。今日はこのまま、ここで勉強しよう」
 ピクンと小さく跳ねた彼女の顔の上で、真新しい眼鏡に緋色の光
が走る。僕から提案はそれほど意外だったようだった。てっきり遊
びに誘われるものだと思っていたようだ。拍子抜け? 期待はずれ
? 絢辻さんは、手にした本、さっきの物よりもさらに厚みを増し
たそれを、一端肩に担ぐように持ち直した。
「そう? 別に、気を使ってくれなくてもいいのよ。さっきも言っ
たけど、今、進みはすごく順調だから。二、三日分のアドバンテー
ジはあるわ」
 少し、得意げ。
「す、すごいね……。でも、だから余計に邪魔するのも悪いし……
それにホラ、僕も一応受験生だから」
 僕は開いた問題集とノートをゆび差す。多分、絢辻さんから見れ
ば赤子の手をひねるような問題ばかりだと思うのだけれど、絢辻さ
んはそれを見て、何故か嬉しそうに笑った。
「そ。一応、ね」
「ははっ。絢辻さんとは随分、レベルが違うけどね」
「つまらない卑下はしーなーい」
 担いだ本の背中を、ドスンと僕の後頭部に打ち付ける。こ、これ
は……。自重だけでもかなりの衝撃だ。も、もしも絢辻さんが本気
で、この本のカドを僕の弱い部分に打ち付けようものなら……一体、
一体僕はどうなってしまうんでしょうか、嗚呼!! 
「そんなの関係ないでしょ。あなたはあなたの歩ける、一番の道を
歩かないと承知しないからね」
 さりげない激励。僕の指先でペンが軋む。人のことを気にかけら
れる余裕なんてないはずなのに。
「あ、でも、絢辻さんが息抜きにどこか行きたいなら、それでもい
いけど」
「ううん。メ・ズ・ラ・シ・ク、あなたもその気になってるみたい
だし。お遊びはまたにしましょ」
 そう言って、絢辻さんは。
 大周りに長テーブルの向かいの席に戻……るのかと思いきや、体
を伸ばして、テーブルの上のノートや本や筆記具だけを引き寄せる
と僕の隣に腰を下ろした。
「絢辻さん?」
「いいでしょ、隣」
「ああ……うん」
 その真意はわからない。疑問符を浮かべる僕をよそに、彼女はも
う、一瞬のうちに六速発進だ。細い眼鏡の弦なんかでは隠せない、
大きくて黒い瞳は真剣そのもの、見たもの全てを吸いこんで、自分
の血肉にしようと貪欲に渦巻いている。かくいう僕も、その瞳にの
み込まれたモノの一つなんだけど。
 ……ふと、気付いた。
 積み上げられた本の影、絢辻さんからは死角になっているそこに、
さっき彼女がくっていた手帳が開いたままで、無防備な寝息をたて
ていた。カレンダーに書きこまれている小さな予定と不思議なマー
ク、そのほとんどは僕には意味が分からないけれど……ちょっとミ
ワク的なオンナノコマークなんかもあったりして気にはなるんだけ
ど……僕が帰省に発った一週間前から一昨日までの六日間にだけ、
赤いペンで、大きなバッテンがつけてある。
 最終日は多分、さっきの誤算でつけ損じたとして……これはきっ
と、カウントダウン? 思い切り、一人自由に勉強できる時間のリ
ミットタイムなのか、それとも、待ち遠しい何かを埋めるためのメ
ルクマールなのか。この手帳も、中を見たことがバレたら、いつか
みたいに締め上げられてしまうのかな。
 どっちにしたって、今の僕には、
「……ずっと見てたの?」
「え!?」
 絢辻さんからの急な問いかけに、思考は途切れて冷たい汗が流れ
出す。けれどそれは、
「さっき」
と、すぐに意味が違うことを知らされる。最初に、絢辻さんが気付
くまでの話だった。
「え、ああ……。ずっと、ってわけじゃないけど。いつ気付いてく
れるかなと思って」
「悪趣味」
 絢辻さんは目もこちらに向けていなかった。どうなっているんだ
ろうか、右手はずらずらとメモをとり、左手は顎を支えて、癖なの
かな、時折ゆび先が唇をいじっている。瞳は本の上の文字を、並び
も何も関係なく、縦横無尽に必要なセンテンスを追って検索し続け
ている。それなのに、僕との会話もつつがない。脳が幾つかあるの
だろうか。僕なんかは、そのすごさに驚くことと、自分が今咎めら
れていることを思いだして、謝ることを同時にすることも覚束ない
のに。
「ご、ごめん」
「そうね。でも」
 絢辻さんはそこで初めて、目と手を止めた。体を起こすと、息継
ぎみたいに鼻から息を抜いて眉を下げた。
「すぐに気付いてあげられなくて、ごめんなさい」
「いや、いいんだ。それは」
 図書館の冷房対策だろう、薄手のカーディガンを羽織ってはいる
ものの、夏の装いは彼女のにおいも体温も、ダイレクトに、僕の夏
を刺激する。
 そりゃあ、まあ。
 絢辻さんの水着も見たい。浴衣も見たい。
 太陽にはじけるベストバランスの肢体も、宵闇に咲く、花火に照
らし出される真っ白なうなじも。海、花火、スイカに夜店に祭囃子。
じんわりと肌を包む汗さえ、いつもよりもたくさんの絢辻さんを運
んできてくれる気がするだろう。子供みたいな無邪気な笑顔で、あ
れやこれやとはしゃぎ回る彼女を見ていたい。水族館のときのよう
に。
 だけどね、絢辻さん。さっきから見ていて、思ったよ。学ぶこと
に向き合っている時の絢辻さん、真剣な眼差しの絢辻さんが、やっ
ぱり一番絢辻さんらしいんじゃないかって。一番、眩しく映るんだ。
 「らしい」なんて言葉を口にすると、絢辻さん一流の曲がったつ
むじで違う一面を見せてくれようと気を張ってしまうから、言わな
いけど。
 高校三年の夏っていう時間は、もしかすると、僕らに一番僕らら
しい夏をプレゼントしてくれる最後の時間なんじゃないかと、そん
な風に思う。だから今日はこうしていたい。このところ、二人のと
きはちょっと優しい絢辻さんだったから。久しぶりに、天下無敵の
絢辻詞……否、新しいアクセサリーを装備して、史上最強になった
絢辻さんを、僕のことも忘れるくらいに一心不乱に喜びを追い続け
る絢辻さんを、そばで感じていたいと思うんだ。
 その目映さを忘れない。それが僕の、もう一つのルーツだと思う
から。



      ~~ Epilogue ~~



 絢 辻「そうだ、さっき見せてくれたノート。
     上から三つ目の答え、間違ってるわよ」


 主人公「え! あの一瞬で!? ていうか嘘でしょ?」

 絢 辻「嘘じゃないわよ、見せてみなさい。……ほらここ」

 主人公「間違ってないよ、だってほら、問題文にはこう……」

 絢 辻「ああ、わかった。あなた、問題文を読み違えてるのよ。
     ここはそんな解釈にならないでしょ、フ・ツ・ウ!
     読解力に難ありね」


 主人公「えー……。でもどう読んでもこれは……」

 絢 辻「……あー、もう! 数学ばっかりやってるから
     そういうことになるの! 現国も古文もやんなさい!」


 主人公「その辺はその、苦手……」

 絢 辻「つべこべ言わッ……ッない!!」


    ゴガッ!!


 主人公「ぐあっ!
     ~~ッ!!
     ~~★♪!?!
     ~~~~~~~~……。
     あ、絢辻さん……カド、カド……。
     カドでつむじは……下痢になる……」


 絢 辻「め・い・し・ん・!」

 主人公(こ、この衝撃か~……♪♪♪)


    ◎『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク



 

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2009年8月15日 (土)

■夏と枕と円周率 -更新第281回-

今日は皆さんに、残念なお知らせがあります。
あ、オイサンです。

昨日は、オイサンの34回目の誕生日でした。
34年前、この男が誕生することだけはどうしても阻止するべきだった。
人類の未来に暗い翳を落とす……忌むべき出来事だったはずです。
そこまで言うことないじゃないか。

いや、まあ、特段卑下するつもりもどーにかせえというつもりもないのですけど、
つまりまあ、そういう日なワケです。
引き続き頑張れオレ。
多分、ギリギリ折り返してると思うぞ。
そんな記念すべき日にオイサンが何をしていたのか。



■枕詞



連日の熱帯夜で……自慢の低反発マクラがありえないくらい汗みずくになってしまい、
ぶっちゃけリカバリ出来ない状態になってしまったので、
マクラを新調。
今回はスポンジ状の低反発マクラではなく、抗菌パイプ入りのごく普通の安いヤツです。
それではどうぞ!

Oresama_pillow


……。


ちょうかわいい。
買ってきたばかりの枕カバーに何をやっているのか、この御仁は。
このオイサンオリジナルのキャラクター「オレ様ちゃん」のモデルは
元祖『ときメモ』の虹野さんで(全然オリジナルではない)、もう12年以上使っており、
今では殆ど目を瞑っていても描けてしまうくらい仲良しさんなのですが。
今度ちょっといじって、絢辻さんバージョンを作ってみようかねえ。


  ……絢様ちゃん。


うむ、悪くねえ。
ところで、「まくらことば」を変換して「枕詞」が出てきた瞬間に
「まくらつかさ」と読んでしまったオイサンは手の施しようがありません。

  まくらつかさ。

……マクラ営業をやってしまう絢つjあイヤ絢辻さん、そんな風には決して!
その、パチンコ玉が詰まってじゃらじゃら言ってる枕を下ろして!!



■『アマガミ』プレイレポートRap-09



マ一日何をやってたか、なんて言われれば、
「手帳の中のダイヤモンド」の続きを書くことと、
帰省であまり進んでいなかった『アアガミ』プレイRap-09の続きをやってました、
というのが素直なところなんですけども。

そのRap-09。
以前の記事でも書いたように、4人のヒロインをアコガレにまで引っ張り上げて、
隠しシナリオを楽しむと同時に絢辻さんのスキBADも目指す、
というような展開で来ているわけですが
(ホントにこのデータで見るかっていうと気持ち的にはワリと微妙ですが)。
いやー、これはこれで中々面白い。


  現在19日目、3週目の週末。


絢辻さん、梨穂子、薫、七咲の4名がアコガレレベルでシノギを削っていたのですが、
まず薫さんと七咲のイベントが時間的スクラッチを起こして、薫さん脱落。
そして、七咲がスター獲得確実になり、梨穂子もスター獲得が確実に。
……しかし、目的は一応、絢辻さんのスキBADなので、
この二人のスターを獲ってしまうと、定員オーバーで絢辻さんがスキに上がれなくなってしまう。
デ今回は涙を飲んで、梨穂子にスキ諦めを喰らってもらうことになりました……。

  ……ちがうな。
  スターを見逃すんだから、スキ諦めにすらならないのか。
  爆弾くらってナカヨシへスライドしてもらうことになりました。

しかしこのゲーム、実に良く出来たもので、
レベルアップスター獲得のタイミングもうまい具合に寄せてあるものですから、
ナカナカ、胃にキリキリ来るタイミングでイベントが被る。

今回も、梅ちゃん&香苗さんのいなせな世話焼きコンビが
「偽物ラブレターで主人公と梨穂子がラブラブイヤ~ン大作戦」を発動するタイミングと、
絢辻さんが契約のキスをかわそうと思い立つ日が同日で……
オイサンは、梨穂子に待ちぼうけ食わせて、絢辻さんと公園で……。

  スマン梨穂子。
  だけどあれは……絶対に梅キチと香苗さんが悪い!
  お節介にも程があるだろう!
  焼いて良い世話とダメな世話があるってことを、あの二人は知らないとイカン!

まあそんなことで……またしても「契約のキス」のイベントを見ることになってしまったのですが。
何回見ても飽きない、色褪せないイベントだなあ……。
すげえや。
「だって、あなたとあたしの間には何もないんだもん!」
と背を向ける絢辻さんは、まるで帰る家をなくした仔犬のようじゃないか……。
かわいいなあ……。

マこの先、七咲と絢辻さんが「スキ」ランクにおいて
ホントに二人ともファイナルスター獲得が出来るのかどうかはわかりませんが……。
うまくいったらお慰み、ってやつだなコリャ。

  ところで、香苗さんを見ていて思うんだが、表情に勢いがある人ってのはちょっと羨ましいな。
  『悠久幻想曲』シリーズで、『1』のサブキャラが『2』で攻略対象に出世したように、
  『アマガミ』の続編では、香苗さんやひびきちゃん先輩ちゃんあたりが
  攻略対象に上がってきたりしないもんだろうか。
  ……田中さんみたいに、降格人事もあるのが世知辛いところだが。
  ……マ香苗さんも、『TLSS』の神谷大明神からの降格、みたいなもんだけど。


■悠久幻想曲 OP(体験版Ver)

製品版よりこっちのが好きだ。


とまあ、現状はそんなところなのだけど……
10日目あたりから、隠しシナリオ関連のイベントがほとんど発生していないような……
大丈夫なのか? コレ。
ちゃんと進行してるんだろうか……。どっかでなんかミスったか。
メインどころとの遊びが楽しいので忘れかかってたけど、段々不安になってきましたよ。



■『クライマーズ・ハイ』



ああそうそう、録画しておいた映画『クライマーズ・ハイ』をまた見てしまう。
「また」というのは、以前DVD借りて見たので
大変に面白い映画でしたのでね。
ついついね。

以前書いた感想を読んでみても、
「オイサンなんでこんな大事で、しかも分かりやすいところを見落としてんだ?」
なんてところが一杯あって、今回の見直しで随分と理解が深まった気がします。
より印象が良くなりました。

日航ジャンボ機墜落事故。
今から、24年も前の夏のことですね。
当時のことはよく覚えています。

そのころのオイサンは夏には大体、島根にある父方の田舎に帰ることが多く、
その年も例にもれず父の帰省に一緒していたのですが、
いつもと少し違ったのは、普段なら母も兄も、一緒に帰っていたところを、
その年だけは何故か私と父の二人だけで帰っていた……憶えがあります。

  兄は一緒だったかもしれない。
  曖昧。

その島根の田舎のテレビで、日航ジャンボのニュースを見ていた……記憶があります。
オイサンも島根へは、伊丹から松江空港まで、小さなプロペラ機で移動するので
ヒトゴトじゃないっちゃそうなんですが、子供なのでそんなことにまで気が回らず、
完全にヒトゴトとして、その惨状のレポートをテレビで見て……いましたねえ。

それよりも、裏のドラマでやっていた、
「奥さんが逆上して、ご近所の奥さんをアイロンで殴り殺してしまう」
なんていうサスペンスドラマの方が気になって、
家で母がアイロンで誰か殴り殺していやしないかと、やたらとハラハラしていました(大マジ)。

……子供の頃から、リアルをリアルとして認識することが苦手で、
逆に、フィクションにばかり、やたらと感情移入してしまう子供だったみたいです。
なんか、ホントに。
今気付いたわ。
そうか、そんな片鱗がその頃から……。

マそんなオイサンが、24年経った後に、2次元女性相手にマジ片思いを続けているなんてのは、
ある意味当然の帰結なのかもしれませんな。


……。


安心しろ、24年前のオイサンよ。
大丈夫だ。
お前さんは……確かに人よりも夢見がちだし、何をするにも、人よりも進みが遅いし時間がかかる。
「要領が良い」なんて評してもらえるのは、小学校のうちだけだよ。
そこから先は……マ学校の成績こそ悪くはないけど、
不器用で、鈍直で、極端で、雑な人生を送ることになるけど。

色んなことに気付けるから。
悪くない人生だよ。
必要な時に、必要な人に出会える。
それは大概、人の形をしてないけどな。
だけども迷うな。人目を気にして信じることを恐れたりするな。
お前の心を照らすものが、お前の大事なものだから。

すごいぞ。

人生ってのは、アレだ。
大きな丸を描くようなもんだ。
ぐるっとな。
合気みたいなもんだ。

どんな丸になるかはワカラン。
始まりから起筆して、ただそこに帰ってくるように、慎重に大胆に、筆を運ぶんだ。
半径とか、描く速さは……自由だ。
お前さんは人よりも運筆が遅い。
だからところどころで線が滲む。
そして多分、オイサンの感ずるところ、人よりも、円の半径が大きいように思う。
線も、多分、ちょっと細い。
だけども、墨の磨りが丁寧な分、墨色は悪くない。濃いぞ。

あと面白いもんで、円周率はみんなおんなじなんだ。

そんなだから、仕上がりは若干遅い目だし、多分、あんまりキレイな丸にはならんだろう。
マニアックな仕上がりになるとは思う。
収筆が起筆にちゃんとつながるかも、今の時点では怪しい。
だけど、多分大丈夫なような気が……最近はする。
自身に自信があるわけじゃないけど、
ホントにダメになりそうなときは、ものすごい連中が、毎回毎回、
絶妙なタイミングで力を貸してくれるんだ。

それはまあ、半分は自分の力なんだけどな。
だからいけ、そのままいけ。
「この人生、なんか違うなー」と思うこともあるけども、
それと同じくらい「ああ、なんか、これしかないわ」とも思うから。
そんなもんだよ。
いい加減なもんだ。

ちょっと違うことしたいと思ったら、まあ、しょうがねえ。
好きにしろ。
他にも正解は一杯だ。
そういう意味では、世の中ってのはやさしい。
逆に難しく感じるときもあるけど、
正解が一つじゃないってのは、なんかいいじゃないか。


……。


なんてコトをだ。
24年後のオイサンもが、今のオイサンにも向けて言っているかと思うと、
ワリと心強いじゃないか。
24年後まで大丈夫だと。
……まあ、前半の24年のうち、半分くらいは親の庇護のもとにいたんでね。
わかんねえけどな。


オイサンでした。


 

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2009年8月14日 (金)

■Stand (by me) . -更新第280回-

サテ、一応場所的には、自分のホームに戻ってまいりました。
オイサンです。

  気持ち的にはまだまだ色々ごちゃごちゃなのでアレですが。

台風やら地震やら、
オイサンが里帰りしている間に色々大変なことがありましたが……
自分が自分の拠点にいない間に色々あられると、
自分の場所がエラいことになっていないか気になって大変です。

  静岡の皆さん、ご無事でしたかね。
  たまに見に来て戴いてる方がおられるので、ちょっと心配です。
  ……マそのうち、本チャンの東海地震が来た日には、
  オイサンもヒトゴトでは決してないのでドキドキですが。

実家で、親やら、友人やらとたくさんしゃべっていると、
何かを書こう・書き残そうという気持ちが、少しずつ減衰していくような気がします。
普段……自分のホームにいるとき、いかに自分が、
しゃべりたいことを、しゃべりたいように、しゃべれていないかということを
切々と感じてしまいます。
そんなだからあんなに、書くことが残るんだろう。

  その分、こうして書きつくるコトが出来るので、
  オイサン的にはその方が喜びだったりはするのですが。
  リアルタイムに人と話をするの、苦手なんですよねー。
  言いたいこと、聞きたいことを全部やれるワケではないのが、もうストレスで。

やっぱり書くためには、オイサンにとっては沈黙が大事なんだなあと想います。
それに。
さすがに絢辻さんのコトを考える時間は減ってしまって、
ふっとした瞬間にすごく寂しい気持ちになったり。
フッ、どうかしてるぜ( ← 本当にどうかしている)。



■中学時代の友人に、改めて会った。



美容師である彼とは、ここ5年ほど一切連絡をとっていなかった……というか、
連絡先が分からなくなって会えずにいたのだけれど、
先日、オイサンに「子供が出来た」と連絡をくれた人間と共通の友人だったこともあり、
その面影に引き連れられて彼のことを思い出したのだった。

彼の連絡先……というか、居場所はすぐに分かった。
彼の名前がちょっと独特であることが奏功した。

名前をGoogle先生にぶち込んで検索したら、
彼が働いているお店のWebサイトが見つかり、顔写真入りで彼が紹介されていた。
店の名前と場所、さらにありがたいことに、彼の盆前後の出勤スケジュールに、
近況がわかるブログなども見つかったのだった。

幸いにも、オイサンの実家からそう遠くではない……
近くでは決してないけれど、いけない距離では全然無いところに、
その店はあった。

デ、そこからが。
そもそも出不精で、自分と人とのありように自信のないオイサンの、
ウジウジグダグダの見せ所。


 「どーしよっかなー、行ってみようかなー。
  やめとこっかなー。
  でもなー、シゴトバだしなー、相手、オシゴト中なの分かり切ってるワケだしなー。
  しかも、100%お客さんの相手中なワケだろー?
  迷惑だよなー、相手個人ならまだしも、お店とかお客とか、
  周りの人に迷惑かけてまでなー、押し掛けるのもどうかと思うよなー。
  ……自分が来られる側だったらどう思うかなー。
  嬉しいかなー、面倒かなー。
  ……そんなん、相手によるよなー。
  そうだよなー。
  大体メールのアドレス変わってるワケで、その連絡がオイサンには来てない時点で、
  『ちょっとアイツはもういいか』って、思われてる可能性大、ってコトだよなー。
  ……それをなー。
  Web検索で、名前ぶち込んでまで居場所探って、
  しかもオシゴト中のシゴトバに押し掛けたら
  ……余計敬遠される……つうか、気味悪がられるに決まってるよなー……。
  空気読め、って話だよなー。
  ヘタしたら、最近よくある『昔の友達が現れたと思ったら宗教の勧誘だった』
  みたいなのと思われるかもなー。
  ……あー、もう……どっちがいいんだろうなー。
  ……。
  ……とりあえず、やめとけば確実なんだよなー……」

 『……なんか色々考えてるみたいだけど。
  あなた、どうしたいのよ。その人に会いたいの?
  それとも、そんなに会いたいわけじゃないの?』


 「会いたいのは、会いたい。……んだと思う」

 『だったら、会いに行けばいいじゃない』

 「だけど、相手に迷惑かも知れないし、嫌がられるかも知れないし……」

 『そんなの、大した問題じゃないと思わない?
  迷惑かけるにしても、引き際さえ間違えなければ一瞬のことだし、
  嫌がられるかも、って、それはあなたが傷つけば済むことでしょ?
  相手にも多少の負担を強いることにはなるかもしれないけど、
  それはお互い様レベルの話よ』


 「そりゃ、まあ……。だけど、」

 『傷つくのがイヤ? そんなのカスリ傷程度よ。
  この話は、そのリスクをどう負うかの問題だけなんじゃない?
  傷つくリスクを負ってでも会いに行きたいか、
  そのリスクは回避して、会うのを辞めておくか。
  違う?』


 「……」

 『……まあ、こんなの、
  あたしが一番、とやかく言えるタイプの話じゃないからね。
  これ以上は何も言わないわ。
  でも、決して分の悪い賭けではないと思うわよ』


 「……まあ、そりゃ、そうか。
  あんまり得意な分野じゃないけど……」

 『それはよく知ってる。やってみたこと、殆どないもんね。
  こういう、女の子に告白するようリスクの話。
  だけど、いいんじゃない? 
  最近、見た目もちょっとは変わってきたわけだし。
  気持ちの面で、少し変わってみるのも。
  ダメならダメで。今後の練習だと思ってね。

  ……それじゃあね。
  早く帰ってきて、あたしの相手もして頂戴ね』



……とまあ、言われてみれば心の声の言う通りなので。
前日の晩辺りから当日の朝までかけてグダグダと考え込んでいたのを、
とりあえず相手の都合は置いておいて、
今回は「自分がどうしたいか」というところにだけ従って
会いに行ってみることにしたのだった。

……結果的には、昼にお店に行ってスンナリと会うことが出来、
ワリと喜んでもらえたようだった。
オイサンも会えて嬉しかったし、夜に改めて会い、
軽いご飯をつつきながら色々と、趣味やこれまでの話から始まって、
美容師ならではの面白いお話なども聞くことが出来、実にみのりのある再会となった。

たとえば、男女の色彩の捉え方の話。
男性には色弱が多くて、女性の方が多くの色を、細やかに鮮やかに、
視覚的な世界を捉えているらしいのだという。
女性の方が彩りのある世界を見ているのかと思うと、
これはワリとショッキングな話ではあった。

しかし、芸術にしろ何にしろ、評価するのが男性であることが多いことを思うと
その豊かで細やかな表現が理解されないことが多いのかと思うともったいない。
「女性らしい表現」なんて言い方をするけれど、そういうプリミティブなところでそもそも差が付いていて、
女性にしてみれば当たり前のことを言っているだけなのかも知れない。

  そこから派生して、モデルさんをいかに撮影するか、というような話で、
  オイサンの多少詳しいデジカメの話などが出来たこともまた、良かった。
  お互いの専門分野を役に立てることが出来て。

そしてたとえば、美容師のメンタリティ、モチベーションの話。
女性をかわいくしたい、そして自分がカットなりコーディネイトなりをすることによって、
素敵な出会いを獲得して欲しい、のだそう。
自分だけにそのかわいさを確実に最大限に引き出せる、素材としての女の子に出会い、
そしてそれを達成したいとも言っていた。

  その気持ちはオイサンにも分かる気がする。
  キレイなもの、魅力的なものをみると、その素材から受けるインスピレーションで
  何か作品を作り上げたくなるものだ。

マこれが「美容師の」なのか「彼個人の」なのかは分からないが、
話を聞く限り、真面目に美容師をやっている人間ならば誰でも持っていそうな気がしたので、
こうまとめさせてもらった。

  オイサンのような回路屋が、真面目な技術者であれば、
  こんな設計をしたいだとか、理路整然としたコーディングをして、
  かつ効率よく、見た目にも美しいものをつくりたいとか、
  思っているのと同じだと思うので。

他にも趣味的な話……オイサンの得意な分野の、ゲームや漫画やアニメの話……
何よりも、彼が未だにその分野からも外れずに話が出来てくれることに一番安心した。
それが無くなると、オイサンなんかはたちまち話題が尽きて
昔話しか出来ることが無くなるからだ。
Web上での人との繋がりの話、それに昔の話など。

いずれにしても、すごく面白かった。
メンタリティにせよ、表現者としてにせよ。
未知の分野の話と、
共通の分野で、お互い如何に異なる視点を持っているかの話。
今後も色々、面白い話が聞かせてもらえそうで、楽しみだ。


  ……にしても。


心の声の主が誰だったのか、言わずもがななので言わないが。
不思議なものだ。
自分の中にないはずの考え方が、こうして心に住み着いたキャラクターの姿を借りて、
ちらほらと舞い降りてくる。
そして、大袈裟なようだけど、確実に行動を後押ししてくれる実感。
嘘のような、本当の話。
むしろ、こういう形でないと、新しいモノを自分の中に取り込むことが出来ない自分の欠陥。
……であるのか、形が特殊で、時間がかかるだけで、皆とさほど変わらないのか。

せっかくもらえた再会なので、
今後も大事にしていきたいものだと切と思う。


オイサンでした。


  ……。


……はー。
絢辻さん。
もうチョイしたら帰るからね。
ほったらかしにして、怒ってないといいけどなあ。
いや、怒ってる分にはいいんだけど。
かわいいから。
怒った顔の裏で、哀しいとか、寂しい思いをしてないといいなあ。

なんかケロッと、「ああ、おかえり。早かったのね」とか、
本から顔を上げざまに言ってくれたりすると……
それはそれでこっちが寂しかったりするけど、一番いいのかもしれないなあ。
むふう。

そんなコトがキッカケで浮かんだショートなシナリオネタが2篇。
もう、なんでもアリだな。
ぼちぼちモノにしていこうと思う。


 

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2009年8月11日 (火)

■貪るように -更新第279回-

今日は墓参。


Boss_4 オイサン自身は、もう何年も参っていなかった。
ウチの家のお墓は、実家からも随分離れたところにあるので
タイミングが合わないと、おいそれとお参ることも難しい。

オイサンはワリと、血筋とか家系とか、
そういうものには意味を感じるし、その連なりの先端に
自分がいることに不思議も見いだせれば浪漫も感じる。

なればこそ、婿養子である父が
苗字を変えてまで残そうとしたオイサンちの苗字が、
オイサンらの代で途絶えかねないことに対して
思い悩みもするのだけど。

あと、基本的に墓という場所も大好きだ。
喜びも悲しみも、いろんな感情や思いが渦巻いているし、
その表されようが、土地土地によって違うことが垣間見えるのが素晴らしいと思う。

しかし、なんだろう、今日は不思議と、随分、
この墓というものが意味のないものに見えて仕方がなかった。
思いを強く祈れば祈るほど、なんか、意味が薄いなこれは、と感じてしまった。
理由はわからない。
すごく、「届かない」感じがしたのだった。
そんなことよりも、父や母に、祖父母らの生前の話を聞いていた方が、
己の祈りも、彼らの存在も、確かな形を持つように思ったのだった。
もちろん、そういう意識を取り戻すためのモニュメントとしては
これ以上なく有効だとは思うのだけれど。

台風の去った蒸し暑い空気の中、ボサッと草むしりをしながら、
絢辻さんが墓参をするエピソードを思い描いていたのだけれど。

……それこそ、絢辻家の、祖先なんていうものへの考え方・関わり方、
現存する親類縁者に対するスタンス、
絢辻父のその中での位地、
そして、それらや、祖父母……つまり、父の父や父の母への絢辻さんの思い、
あるいは祖父母から絢辻さんへの思い……
なんていう、ホントに彼女を作り上げたものへのド中核にアクセスすることになりかねないので、
おいそれとは描けないなあ、と思ったりしてた。

キチンと出来れば、これほど面白い話はないと思うので、
魅力的な題材ではあるんだけど。
さーて、どうすっかなあ。



■あなごとローストビーフ



その帰り。
小洒落たながらもそこそこフランクな日本料理屋でお昼を戴く。
色々と凝った、先付けや野菜のあんかけの小鉢、刺身、天ぷらなどがぞくぞくと出てくるのだが、
ラスト近くになって出てきたローストビーフと穴子丼を食べて思った。

  脂肪分というやつは卑怯だ。

こいつを多分に抱えた料理を口に含んだとき、
舌の上で感じる味もさながら、脳が直に食らうパンチ、充実感や幸福感がケタ違いなのだ。
うまいまずいではない、脳天が「あ、俺生きられる」と感じる度合いが高すぎる。
体が感じるヨロコビが、野菜やら汁物やらで、純粋に味覚・嗅覚から得られるのとは
一ケタも二ケタも、もはや喜びとしての質が違っているとすら言える。
同じ「ウマイ」「マズイ」の物差しの上で図ることが反則的だ。

多分、脂肪分というのは、生命エネルギーの貯蓄として直に使えてしまうので
脳がそういう反応をするのだろうけど。

だから諸君、肉食って「うまい!」というのは、
実際の味付けとしてのウマイマズイからは切り離して考えた方が良いと思うぞ、オイサンは。
甘いものも多分、それと一緒。

マ、幸せな気分になれて、馬力が出せりゃそんでいいっちゃあ、
そんでいいんだけどね。

R0019378


  ……。


さすがに、「穴子と絢辻さん」とかでは何も考えていないけど、
やろうと思えば、多分、出来ないではないんだろうなあ。

むしろ、そういうピンポイントな細部に対して彼女がどうアクセスするのかが、
オイサンの興味を刺激するのだけど。
キワに走るつもりもないけどね。


  絢 辻「穴子? 別に、嫌いじゃないけど」

  絢 辻「鰻と穴子? どっちが好きかって?
      ……穴子……かしら。
      鰻よりも、さっぱりしてるイメージがあるからね。
      なんでそんなこと聞くの?」

  絢 辻「梅原君? ああ、実家のお寿司屋さんで、
      女性向けのメニューを検討してるのね?
      ええ、もちろんいいわよ」

  絢 辻「タコとイカ……。難しいわね、完全に個人的な好みになるわよ?
      イカ。
      あの、ちょっとねとっとした歯応えがクセになるじゃない?」

  絢 辻「オクラと納豆? なんだか粘っこい話題が続くわね。
      ホントにお寿司の話なの? 巻き物のタネか。なるほど……
      オクラ。納豆は、やっぱり匂いが気になるもの」

  絢 辻「カルピスと牛乳と、とろろ……?

  絢 辻「……待ちなさい。次、何を聞くか当てて上げるわ。
      『イソギンチャクとウミウシ』。
      何を驚いているの? もっと端的に言ってあげましょうか。
      『触手と分泌物』、或いは『ニュルニュルとヌルヌル』……
      逃ーげーなーい!
      何考えてたか、正直に言いなさい!!」


■リョーコとカナの、Sweetも甘いもカミ分けて!

自分ちだろうが、実家だろうが!!
『アマガミ』Webラジオ「良子と佳奈の アマガミ カミングスウィート」、
本日は第20回です!


今回はリョーコさんがお休みで、南ハルカタナマッティ役の佐藤利奈さんがゲストに。
……なんか、淡々と進行したイメージあるなあ。

キャラ人気が高くなくて、ずっと佐藤さんが怒ってた感じw
アスミンが若干、地を抑え気味で進行していたようなのが残念。
アスミンがぶっちぎって、それに乗ってくる佐藤さん、みたいな絵を想像してたんだけど。
やっぱアスミン&リョーコさんは、二人揃ってオーバードライブになるんだなあと実感。

ワリと、普通にラジオ番組だった回。
せっかくのゲストだったので、ちょっと残念。

  どうでもいいけど、ワンダーGoo守屋のイベントで、
  「にぃに、なにかいいことあったでしょ!」
  の公開コーナーで橘さん役をやった素人ってどんなやつなんだ……。

ていうか、リョーコさんの、さりげなくも無遠慮に地を出して
相手ゲストの地も引き出す進行が、実は素晴らしいだけなのかもしれない。

思えば寺島さんの時も名塚さんの時も、ゆかにゃんのときも、
ゲストがいい感じにドライブするのは、
リョーコさんが地をモロ出しにして赤っ恥をかくあたりから
ゲストがそこに乗っかってきて面白くなっていたような気がする。

それを思うと、一見やさぐれフリーダムに見えるアスミンはカッコつけでありながら
相手に合わせて場をコントロールする自在派で、
リョーコさんが身勝手フリーダムなファンタジスタなのかも知れませんな。
ううむ、奥が深い。


オイサンでした。





……さって、夜も更けた。
両親も寝た。





……。





……『アマガミ』、始めっかな……。



(090812 弱追記!)



デ、ホントに忍んで、ちょっとやってきたんだけども。

元・兄の部屋に置き去りにされてたアナログTV(28インチワイド)に
コンポジットケーブルなんていう遺物的な環境でやってみたら……

  な、なんだこのときめきは!

ギャルゲーに手を染めたばかりの頃と変わらぬ環境が、
オイサンのハートまであの頃に引き戻したというのか。
滲む画像が彼女らの表情に淡い陰影を与えて、
より曖昧に、より多くの解釈を許してくれるようだ。

字が読みにくかったりするのが難点だが……
あなどれん、あなどれんぞレガシー環境。

……あとは、吊り橋効果?
親に見つかるんじゃないかというドキドキが……何してはるんスか34歳。

あと、改めて、中多さんの固有BGMが好きだと思いました。




 

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2009年8月10日 (月)

■He is the THOROUGHBRED~徹底する魂の眼差し -更新第278回-

「水茄子食べたい?」と聞かれて
ミズハス食べたい!」と思ったオイサンは、親の前でもいつだって臨戦態勢だぜ!
オイサンです!

  煮ても焼いても食えなさそうだけど。 >ミズハス
  ……あ、ミズハスも8月誕生日なんだなー。いっこ上か。

ただいま絶賛盆休みでゴ実家モードです。
マ実家はね。
色々ラクチンで良いのですが、やっぱり自由や融通がなにかと利きづらく、
ちょっと面倒なこともあり。
自分ちで延々『アマガミ』三昧というセンも検討したのですが、
親孝行もいつまで出来るか分からんしなー、という気持ちもあって帰省中です。

  ※だもんで、プレイおよびイベント見直しがままならず、
   『手帳の中のダイヤモンド』第五章の続きは今週金曜日以降になりそうです。
   期待して下さってる方はすみません。
   マ今更なんだよって話もあるかもしれませんが。
   今週金曜以降なんてのは……「夏」ですし、みなさんお忙しいんでしょうけどねー。



■ら、らめええぇぇ!!



Ramee

らめぇ~たこ飯。
……に見えた、って話。
朝、新横浜の駅で新幹線を待ちながら。

  ……タコ系のにゅるにゅる触手にがっつりからめ獲られた美少女が
  ぬらんぬらんになってるキャライラストとかつけて売ったら、売れ……ねえな。
  新横の駅じゃ。
  コミケならわかんねえけど。

早朝だってオイサンの脳は、いつでもオーバードライブ気味だぜ!
小ネタ一発目、でした。



■澱みという名の流れの中で



昨日は、昼は中学時代の友人と、夕方から後ろは高校時代からの友人に会ってきました。
マ会って何すんだってほどのこともないのですが。

でその高校時代の友人。
会うのは、とある大きなWINS、つまり場外馬券売り場。
オイサンはギャンブルはホント苦手で一切合財やりませんが、
その友人たちは高校の頃から大の競馬好きで、当時から土日に集まると言えば決まってそのWINSでした。

  ……もちろん、未成年者は勝ち馬投票権を購入出来ませんからね。
  それはもう、そうですよ。
  「買うことが出来ません」。
  キマリですからね。
  しかし集まるだけだったらナンボでも。
  タダなわけです。
  当時は、近くにゲームセンターもボーリング場もカラオケも、
  高校生らしい遊び場がたくさんありましたからね。
  ……ええ、買えませんとも。
  買えるわけがない。
  もし買えてしまったら、売る側にも大きな問題がありますからね。
  ただじゃあ済みません。
  それはアナタ、大変なコトですよ。
  いいですか、そういうことです。

面白いのがその集まり方で、実際、彼らは誰ともキチンと約束はしないわけです。
ただ、そこではレースの実況や中継が見られますし、成人したのちは勿論馬券も買えますから、
彼らは基本、自然とそこにやってくる。
集まるというか、ただ、居るわけです。
個々、そこにやりたいことがあるから、そこにいる。
結果的に、そこに集まる。

ゆるいようですが、これほど強固な集まりもありません。
だって彼らには、繋がり合っている意識がない。
自分の目的のためにそこにいるのです。
すると同じ目的のためにまた、別な彼らもそこにいる。

  ……まあそんななので、合体してより大きなパワーを生みだすことも
  なかなか無いわけですけどね。

今回、オイサンが彼らに会おうと思って送ったメールもそうでした。


  「いつも通りんトコで、昼から夕方までいるんすかね?」


こんな感じです。
すごいですよ。
17年前からの「いつも通り」です。


  いつも通り過ぎるだろ!!


……と思わないではないですが、今回行ってみて、改めて分かりました。
ホントに、17年前から何も変わっていなかった。

実際は、もともとそのWINSの入っていた大きな施設は何年か前に取り壊され、
その辺一帯が大きなプレイ&ショッピングモールみたいなものに作り替えられたので、
周辺の雰囲気は一変していますし、
WINS自体の施設も新しく、キレイに作り変えられてはいます。


  ……けれども、WINSに集まる人と空気は、17年前と何一つ変わっていない。


さすがに、場所の構造自体が変わってしまい、
以前集合場所のようになっていた場所が無くなってしまっていたので、
オイサンには彼らがどこに溜まっているのかが正確には分かりませんでした。
が、
「まあ連中の習性から言って、大体あっちの方だろう……
 わからなかったら電話でもしてみりゃいいや」
と思いながら奥へ奥へと進んだのですが……
エライもんで、その進んだ先で、友人たちの方からオイサンを見つけてくれました。
オイサンの進んだ方向も、彼らが見ていた方向も、大体合っていた。

連中に会うのは約2年ぶりでしたが何の不安も期待もなく、
彼らも彼らで、オイサンに対して何かを考えたりはしていなかったようでした。
当然です。
この場にあっては、オイサンはオマケです。
競馬もしないし、何かの情報を持っているわけでもないのですから。
彼らは人に会うために、ここにいるわけではない。

よってオイサンは、レースがあらかた終わる5時過ぎくらいにそこに行ったって、
「彼らとあって時間を過ごす」という目的のためには全然支障なかったのですが、
その場の空気を味わいたくて、1時間ほど早く、そこへ行ったのでした。

床に座り込んで馬券の検討をしているオッサン。オバサン。
あたり構わず積まれ、捨てられている競馬新聞に馬券。
話声、嬌声。
それらのゴミをありえない強引さで除いていく清掃係の職員さんたち。
淡々と、レースの開始と馬券販売の締切を告げるアナウンス。
無駄なくらい、ガンガンに利かされている空調。

  煙草の煙だけは、喫煙スペースとそうでない場所が分けられていたので
  昔ほどのニオイはありませんでしたが。

決してオイサンは、そういう淀んでやさぐれた雰囲気や、
人の多い場所が好きというわけではないのですが……。
その淀み具合。
変わらない感じには、魅力を感じました。
多分、オイサン自身が、いわゆる世間の流れよりも随分遅いところで推移するタイプだから、
ホッとしてしまうのでしょう。


……。


けれども複雑な気分もあります。
オイサンらも含めてですが、そこに集まる人たちは皆、大概いいトシです。
いや、ある意味「よくないトシ」です。
そのことだけに色々な物を傾けていては……普通は、いけないトシです。

彼らはきっと、オイサンの友人たちと同じように、何十年という時間を、
その場所で、これと言ったギモンも抱かずに過ごしてきたんだろうなあ、と思うのです。
年齢的には、……見たところ、40から上の人間が大半。
服装は、わりとマチマチです。
年相応のカッコウの人。
Tシャツにジーンズの、ちょっと年齢よりも若いカッコウの人。
明らかに家がない系の人。
家がない、とまでは行かないにしても、それに近い空気を醸し出している人。
スラックスにジャケットを羽織って、カッコウ的にはマトモなんだけど……どこか板につかない人。

  一人、魔女のようないでたちの年配の女性がいて、目立ったのですが。
  その話を帰りの電車で友人の一人に話したら、彼は笑いながら
  「ああ、あのオバハンいる。昔からずっと、いつもいる」
  と言いました。

ただどの人からも微妙に感じ取ることの出来る、
「世間の流れの上では、どこかのタイミングでするべきだったステップアップをし損じた」感。

  ……マただの思いこみ的な面もあるでしょうけど。

友人の一人が言いました。

  「若い人が新たにここに入ってくることが殆どない。
   だから俺たちは、いつまでたっても下っ端だ」

別に下っ端だからこき使われたり、っていう明確なデメリットはないはずですが……
彼がその言葉の先にどんな思いをぶら下げたのか、オイサンにはちょっと分かりませんでした。
オイサンもなんとなく、その流れの上にいるなあと思ってしまうと、
サテどうしようか、と思うこともあります。
そうした思いに至った時、一番の問題は……

  未だに、そんな「世間の流れ」なんてものを気にかけねばならない、
  自分に対して腹が据わっていない自分

なんだな、ということを、帰り道、最寄り駅の改札をくぐりながら考えてしまいました。
結局は、自分が自分の人生の設計に対して、揺るがない自信を持てていない。
そもそも、設計それ自体がはっきりと像を結んでいない……
そんなことが、こんなどうでもよい惑いを生んでしまっているんだなあ、と思うと、
そっちの方をこそ、不安に思ってしまったオイサンです。


  ……。


一つ、象徴的な画を見ることが出来ました。
WINSで飲み物を買いに、友人たちのもとを離れたときのこと。

全面ガラス張りで区切られた喫煙スペースの前を通りました。
その喫煙スペースにもレースの実況モニタが、天井近い、高い場所に備えられているのですが、
どう見ても病院から抜け出してきたカッコウの……60近い薄汚れたオッサンが、
それを食い入るように見上げる集団の、
最前列の真ン真ん中に陣取っておりました。

声をあげるでもない、さほど真剣な目つきでもない。
うつろな目と半開きのゆるんだ口元で……
恐らく彼が、何十年と眺めてきた、何百何千というレースのうちの一つとして。
2009年8月9日、新潟第12Rを……
ポールポジション中のポールポジションで、見送っておられたのでした。

……そういう光景には、多少の後悔とか、恐れとか、かなしみの断片のようなものを感じるかと、
オイサン思っていましたが。
それはある種潔く、威風堂々とした一つの人生として、そこにある感じがしたのです。
それは一つの充実の結晶のようでもありましたよ。
う~ん……人生ってホント面白いな。


……しっかし大阪、暑いなー。
関東の数倍は湿気があるよ。



あと、今週のアマガミラジオの話を書こうと思ったけど、
それは明日だな。
オイサンでした。


 

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2009年8月 9日 (日)

■絶対ハピネス領域の戦い -更新第277回-

オイサンです。

古い友人からメールを戴いたのです。
「先頃、お子を授かった」という素敵なメールでした。

彼との付き合いは小学校からという本当に古いもので
(もしかしたら幼稚園からだったかも知れない)、
今現在オイサンも彼も34歳になろうとしていることを考えると、恐らく、
四半世紀近いお付き合い、ということになります。
永い。
多分世間的には十分「幼馴染」として通る関係だと思います。

しかしオイサンは、そんな彼の「子供が生まれた」という報告に、
素直に「おめでとう」と言うことが出来ませんでした。



  ……今日の『ゆび先はもう一つの心臓』は、そんなお話です。



彼とは小学校からずーっと継続的に連絡を取り合っていたわけではなく、
小学校から中学までは学校が同じで、それ以降は特に連絡してはおらず。
社会人になって3年ほどした2000年頃から、
なんかの拍子にメールアドレスを教え合い、しばらくメールを交換したり、していました。

  ワリと長ーい、濃い目のメールを。

最初は頻繁だったそのやりとりも少しずつ途切れがちになり、
またすっかり途切れた07年の秋……突然また、メールが届きました。

  「結婚する」と。
  厳密には「入籍する」と。

そのときオイサンは、あの忌まわしきアメリカでの業務の只中におりました。
確かこの時も、素直な「おめでとう」の言葉は贈っていなかったハズです。
どうして素直に、「おめでとう」と言っていないのかというと……。

やりとりが再開された2000年の頃のメールの中で、
彼がこんなことを書いていたのです。

「50代後半の自分を思い描くと、そのときの自分は独りなのだ。
 独りでこの時期の時間をかみしめたいと、心のどこかで思っているのだ」
と。

オイサンは彼のことを、その気質からなんとなく、
「独りでい続けることは難しいながらも、
 独りでいながら何かやりたいことを持っている人間なのだろうな」
と思っていました。

その彼からメールが届く。
「結婚をする」
と。
詳らかな説明も、理由も事情もない。

オイサンはごく自然に、疑問を抱きました。
「彼の結婚は、幸せなものなのかな?」
と。
……何かのっぴきならない事情があって、結婚をするのではないかと思いました。

あの、いいですか皆さん。
こんなことは、言っちゃだめです。
絶対に、口に出して言っちゃいけない類のコトです。
もちろんオイサンも、そんなことは直には言っていません。
ただ真っ向、「おめでとう」とは、
オイサンがそう言わないことに彼が気付けるように、言いませんでした。

彼の結婚が幸せかそうでないかは、言いません。
つーか本当にワカラナイだけですが。
それは絶対です。
いいですか。
結婚というのは、幸せなものなんです。
一先ず、それは絶対のことです。
その奥にどんな事情があろうとも、「結婚」というものの最表部第一層は、
絶対に「幸せ」なのです。
そういう風に出来ているのです、そういう構造なのです。
そして第三者……否、第二者にしても、
その第一層より先の奥に立ち入ることは許されていないんです。
だから、結婚というのは、外縁にあるものにとって絶対の幸せなのです。

だから。
オイサンは、彼に、言っても良かったはずなんです。
「結婚おめでとう」
って。

ただ、しかし、けれども、
オイサンは、幸か不幸か、「しないだろう」「出来ないだろう」と言っていた彼しか知りません。
「そう言うこと」に対して、ある種満足げだった彼しか知らない。
その後、途絶えた間に何が起こったのか知りませんし、
多分確実に何かが起こっていた。

  それが彼を変える何かだったのか、
  それとも、彼の周囲の事情だけを変える何かだったのかは分かりません。
  最近、絢辻さんのおかげで、「愛しさ」なんてものにも
  ゆび先を引っかけることが出来たので、
  それが突然やってくることも、
  やってきてしまえばそれ以前の自分の事情なんか慮っていられないことも
  あらがうことも出来ないことはわかるのだけれど。

素直にその変化を肯定的に捉えて、「おめでとう」と言ってしまえば良かったんですが、
オイサンにはそれがイヤだったんですね。
もし、それが幸せなものではなかった場合がイヤだった。
怖いとか相手に申し訳ないとかじゃなく、イヤだった。
オイサンがイヤだったんです。

万が一、その事情が「幸せでない」ものだったとしても、
本人はもはや絶対にそれを「幸せでない」とは言わないだろうし、
他者に対して、言っちゃけいけないんだと、オイサンは思います。
言うときは、やめる時です。
多少そう思っていたとしても、ご本人たちは歯を食いしばって、
それを本物の幸せにするために、全速力で邁進しなければならないのだと思っています。
そして幸せというのは、その先にあるのだと、本当にあるのだと思っています。
偽物や、思いこみではないホンモノのアレがです。

だから世間の人は皆、結婚をした、子供が出来たということに対しては、
疑い無く、もれなく「おめでとう」なのに違いない。


  ただ、オイサンは。


そんな、「もしかしたらおめでたくない気持ち」でいるかも知れない彼に、
薄皮一枚の幸せのオマケで「おめでとう」と言いたくなかったし、
おめでたくない気持ちを奥歯ですりつぶしながら彼が言う
「ありがとう」を受け取りたくなかったんです。

だからもう、言わなかった。
「言わないよ」という気持ちで一杯のお返事を書きました。
彼からも、もうそれ以上のお手紙はきませんでした。
分かってくれたのか、他の何かの都合なのか、
フツーにとりあえず、一端このやりとり終了、だったのか。

そして、今回のご報告を戴きました。
「子供を授かった」と。
しかし、そのそもそもの根っこに対して、確信を持てないでいるオイサンです。
そのことに対して、素直に「おめでとう」が言えるでしょうか。
言えるわけがありません。
だから今回も、似たようなメールを返しました。

……ただ、前回と一つだけ違えたのは……
彼本人の都合は、ワカラン。
ワカランから、置いておく。
置いておくとして、新たにあなたが授かったそのお子、
「その子が幸せに育つと良いよね」
ということだけは、確りとお伝えしました。

それだけはもう。
ホントに何がどうあっても、大切だと思ったから。


……。


そんなヒネくれた、ともすれば、
皮肉やイヤミややっかみと取られそうな言い方をしなきゃならないくらいなら、
そして結婚やコドモということのホントのことを感じ取っているのなら
(実際にそれがホントなのかどうかは、多分当事者になってみないとわかりませんが)、
もう「おめでとう」でいいんじゃないか、と思われるかもしれませんが。

だけどオイサンは、それはやっぱイヤだ。
「六十を目前にして、独りでその時間を噛みしめたい」
と言っていた彼は、やっぱり輝いていたとオイサンは思うからです。

そう思うから、それを止めた彼が、何を想い、
何を選び、何を切り捨て、
そしてそれが幸せだった/幸せでなかったことを確かめないことには
「おめでとう」は上げられない。

そして万が一、その事情が「幸せでない」ものだったのなら、
オイサンは、彼にそれを忘れて「幸せだ」とは言って欲しくないし、
その「幸せでない」感じが、砂一粒分でも残っているのであれば、
それを忘れて欲しくない。

  その感情がなんなのか……今のオイサンには「悔しさ」としか受け取れないので
  この先そう書きますが。

オイサンくらいは、その彼らに、その感じを忘れさせないためにここにいたいと思う。
その砂一粒を、何トンにも何十トンにも感じて、
背負うのか、引きずるのか知らないけども、
自分の中にあるその悔しい感じを、
悔しい感じがあったことを、
そしてその重みに勝る分だけ、そっち側を選ばなかった自分は幸せなはずだし、
たとえ嘘でも幸せにならねばいけないのだと、
その嘘が実は本当であったことに気付くくらいに、
感じながらこの先暮らしていってほしいなあと思うのです。

  或いは、そちらに行けば手に入れることが出来た、
  今よりも幸せな自分を横目に、歯噛みしながら生きていってほしいと思うのです。

そうすることで、
切り捨てたものの大切さも、選んだものの大切さも、
どっちも大事に出来るんじゃないかと思うのです。

と書くと、なんか取り繕ってるみたいでちょっとイヤなんですが、
そんな立派な、人のための気持ちなんじゃなくて、
これはどこまでいってもオイサンの好き勝手だということは理解してもらいたい。
……別に、大事にして欲しいわけじゃなし、
もし、彼が何かを切り捨てたのなら、
多分オイサンはその「切り捨てられたモノのことが好き」なんです。
「60手前でロンリーを愛した」彼を、輝かせていた物が。

なんで捨てちゃったんだろう、と自分は思ってるんだと、思うんです。
だからその切り捨てたもののことを、忘れないで上げて欲しいと思ってるにちがいないんです。

……オイサンはその、お友達が少ないですから。
こんな話、我ながら余計なお世話だ、
「ああそうなんだ、おめでとう」で済ませればいいのにと思うんです。
ホントこういうことを言い出すと、
気を悪くする人もたくさんいますし、
自分もそんなにいい気はしませんし、
その数少ない友達の数を減らしたりまた、するわけで。

良くないなあというのは承知の上なんですが、
やっぱり相手はその、数少ない友達ですから。

せっかくだから、ホントのところを知っておきたいという好奇心もあり、
テキトウなことを、言いたくない。
これもまた自分のためなんですけど。

……そんなコトを、彼が理解してくれた上であるのなら、
彼がたとえ「おめでたくない」身の上であったとしても、
オイサンは「おめでとう」ということに躊躇しません。

奥の方にある事情なんか知ったこっちゃなしに、
周りからよってたかって「おめでとうオメデトウ」を浴びせてやることで、
ご当人たちを「嗚呼、そうか、俺は今、おめでたいんだ」という気持ちにさせ、
実はおめでたくないかも知れないそれを忘れ、
その周囲からもらったオメデトウに報いるために、
全力で幸せを捕まえに行けるのではないか、という風にも思いますから。

だからそんなガンバレの意味をこめて、「おめでとう」と言ってあげたいと思いますし、
本当におめでたい幸せな今であるのなら、
そんなにメデタイことはないじゃないですか。


……。


今のオイサンのやってることは、そんなことの、ただの足引っ張りです。
どっち側から見ても。
だからと言って、やめることも出来ませんけどね。



オイサンでした。
ホント、めんどくさいオッサンだな。


 

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2009年8月 7日 (金)

■Face to ……? -更新第276回-

美しいものを、美しいと思う心は止められない。
オイサンです!


顔。
「顔」について、最近びっくりしたこと2発。

ゴルフの石川遼くんの顔が、17歳の顔には見えなくなってきた。
テレビに出始めた頃はトシ相応の、子供みたいな顔、
レアものコドモゴルファーらしい顔をしていたのに、
今朝テレビで見た彼は、なんかもうオッサンみたいな戦う顔をしており、
レアモノであることを置き去りにして、
最早一人のプロゴルファーとしてテレビに出ているんだ、という感じがすごくしました。

露出も増えて、世界を相手にメジャー大会にも出て、
アコガレの人とじかに手を合わせてみて……
やっぱり、顔つきって変わるモンなんだな、と実感。
正直、この変わりようはすげえです。


あと、ハナシはちょっと前に戻るのですが、
こないだまでやってた大相撲。
名古屋場所?
琴欧州関が、随分相撲取りの顔になったなあと
フッと思ったことを思い出しました。

こちらも、メディアに出始めたばかりの頃は、
キレイな顔の、とても相撲取りとは思えない顔つきでした。
なんというか、関取である以前に「何か、スポーツのスター選手」として
テレビに出ていた感じがすごくありました。

しかし先の名古屋場所で……
……誰との取組だったかなあ。忘れましたけど、
琴欧州が勝った取組で、白鳳と並んでいて、
朝青龍が脱落し始めたあたりのタイミングだったと思いますが……
見た時の彼は、すっかり関取の顔になっていて、
これまたハッとさせられたのでした。

 その時の取組も、見ごたえも、力感もある一番で、
 「あ、面白い」と思えたのが印象的でした。

稽古を重ねて、特に額に厚みと凄みが出てきたのか、
立会いのときの目つきといいなんといい、
格闘技者、「相撲取り」の顔になっていて、これまたすごいなあ、
変わるもんだなあと思いました。


  そんなことを感じてしまうと、ハタシテ。


オイサンの顔は、「何」の顔をしてるんでしょう。
或いは、「何」をしている時が一番「それらしい」顔をするんでしょうか。
すごく気になる、今日この頃です。


オイサンでした。


 

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2009年8月 6日 (木)

■嫁入り金魚と、フスマの国のお姫さま -更新第275回-

 お正月、ってこともあったからなのかな。その日の詞ちゃんは、ちょ
っと変だった。
「ねえ、おかしくない?」
 着付けたばかりの振袖を、和室の姿見の前でひと回りふた回り、それ
でもまだ何かが不安だったみたいで……なんと、私に意見を求めてきた。
途中までは普段通り、詞ちゃんが一人でやって、どうしても目の届かな
いところだけ、私が着付けて上げたのだけど……。
「……お姉ちゃん。ちょっと、聞いてる?」
「え? ああ、うん。そうね……」
 これは一大事だと私は察して、念入りに、まるでお嫁入り前の金魚み
たいにひらひらな詞ちゃんの周りをくるくる歩き、うらやましいくらい
にきれいな黒髪を結い上げた頭のてっぺんから、すらりと鋭い足袋履き
のつま先まで、とっくりと眺め上げた。極彩色の晴れ着はなんだか桜並
木の天の川みたいで、あんまり見てると、ちょっとくらくらする。
「うん、大丈夫」
「派手過ぎない?」
「ぜーんぜん。とっても色っぽいわよ」
「そういう余計なことはいいから。……でも、うん。そっか」
 私の率直な一言に詞ちゃんはちょっと不機嫌になったけど、その分、
不安そうだった睫毛が、ピピンと小さく、勢いを取り戻す。
「だけど、急にどうしたの? いつもなら……」
 いつもなら、全部一人でやっちゃうのに。これまでのお正月も、私に
手伝ってくれなんて言ってきたことはなかった。何をするにしたって、
私にも、お父さんにもお母さんにも、詞ちゃんが何かを「お願いする」
だなんて……この何年か、ほとんど覚えがなかった。
「別に、ちょっとキチンとしたかっただけよ。……お正月だし」
「そうなんだ」
 私もそれ以上追及する気はなかった。話してくれるとは思っていなか
ったし、私にだって、多少の覚えはある。大体の見当はつくんだ。私の
場合色々あって、あんまりうまくはいかなかったんだけどね。
 詞ちゃんは鏡の前でもうひと回り、「よし」と満足げに、そして自信
ありげに笑うと、
「じゃあ、あたしはちょっと」
と、しずしずと畳を踏んだ。
「どこ行くの?」
「電話」
 そう言って詞ちゃんは襖を引いた。すあー、っと、桟が敷居を滑って
行く、軽やかな音が私は好きだ。
 と思えば、詞ちゃんは、敷居の手前でぴたりと足をとめたまま動かな
い。
「どうしたの?」
 その小さな背中からは……最近、少しだけ力が抜けたみたいに見える。
パンパンに膨らんでいた薄い氷の風船が甘く緩んで、やさしくなった。
 そんな私の妹は肩越しにちいさく振り返り、
「ありがと。手伝ってくれて……」
と、なんだか謝るみたいな小声で言った。
「ううん。どういたしまして」
「……」
 そんなこと、いいのに。姉妹なんだから。
 ばつの悪そうな目と口元の面影だけを残して、詞ちゃんは自分の部屋
へと帰って行った。
 へんな子。
 本当に、詞ちゃんはへんな子だ。



    *     *     *



 和室の真ん中に一人正座して、お日様の昇る音さえ聞こえてきそうな
元旦の空気をもてあましていたら、
「うん、縁だけか。詞はどうした」
 詞ちゃんと入れ違い、開け放しの襖の向こうにお父さんが現れた。姉
妹二人で着付けをやっていたから遠慮していたのか、それとも、詞ちゃ
んがいなくなるのを見計らったのか。よく分からない。
「お父さん。お部屋に戻ったわよ」
 私は廊下を指差して答える。お父さんの視線は一度そちらを向き訝し
げに。
「勉強か」
と、何を期待したのか、おかしな質問をする。わざわざ晴れ着を着て、
勉強はしないと思うんだけどね。
「どうかしら。電話するって言っ……」



「橘君? あけましておめでとう。どうだった? 念願の初日の出は。
 ……はぁ!? 見逃した!? 四時頃までは起きてたって……結局
 寝ちゃったの? 全く……あなたねえ、『一年の計は元旦にあり』
 
って言葉も知らないの? ……うん……うん…………妹さんのせい
 にしな
い!! ほんとに……。あたしに謝られたって知らないわよ。
 ……ハァ、しょうがないわね。いいわ、だったら初日の出よりもっ
 といいもの拝ませて上げる。駅前まで出て来られる? え? 秘密
 よ。来れば分かるわ。見たくないって言うんなら、無理強いはしな
 いけど。そう? じゃあ、えーと……11時半に駅前でね。うん、分
 かった。いい、新年早々遅刻したりしたら承知しないわよ。あたし
 はお天道様ほど優しくないんだからね。お年玉、全額没収よ。フフ
 ッ、分ーかってる。じゃあ……え? うん……。……こ、こちらこ
 そ……今年も、よろしくね……。……。な、なんでもないわよ、バ
 カ! トウヘンボク!!」
 ピッ!!
「何考えてんのかしら! 正月早々!」



「……てたけど」
 ……ドア、ちゃんと閉めないから。ここ数日、詞ちゃんはこんなうっ
かりも増えた気がする。
「なんだか、楽しそうね」
 微笑ましくて、私はついころころ笑ってしまったのだけど、お父さん
は苦い顔をした。
「あいつは。正月だからといって、男に現をぬかせる立場じゃないこと
がわからんのか」
 ここでため息でもつければまだ楽なのに、お父さんにはそれも出来な
い。頑と骨ばった顎のラインが、怒るとすごく固そうに見える。肺の底
までコンクリートで出来ていそうだ。
「大丈夫よ。詞ちゃん、出来る子だもの」
 私のフォローなんか何の役にも立たないのは分かっているんだけど、
本当のことだ。
「お前には遠く及ばんだろう。二流足らずの公立校なんぞを選んで、何
のつもりがあるのか知らんが……。お前は、男は」
 いないだろうな? と言いたげに、お父さんの眼が鋭くいかった。そ
れなのに、その肩や口元は、どこか寄る辺なげなのだ。詞ちゃんには、
お父さんのその感じがまだ分からないみたい。仕方ないよね。
「私は……詞ちゃんみたいに、人を見る目ないから」
「人を? あいつにか? 馬鹿な」
 お父さんは、悪い冗談をいなすよう。私と、視線の先にある詞ちゃん
の部屋のドアを交互に見た。
 でも、これも本音。面倒なんだよね。人を見るのって。だから私はも
う自分のことしか見ないし、幸せになるにもそれで充分だと思ってる。
お父さんがいるから。そして、だから、詞ちゃんをすごいと思う。
「お父さん」
「なんだ」
 言おうか、やめとこっか。言ったところでお父さんが信じないことは
決まり切っているし、私の意見なんか何とも思わないことも分かり切っ
てる。そういうお父さんだから、私はずっと疑わないで来たんだし。怒
らせるかも知れない。それは厄介だなー。……でも、
「多分……多分だけど」
 ま、いいか。お正月だし。
「将来、この家に大事なのは……多分、詞ちゃんだよ」
「なんだと?」
 案の定。いろんなものを削ぎ落として、要るものだけが残ったお父さ
んの薄い額の皮を押し退けて、びきりと血管が太く浮く。うわー。だけ
ど、私も止められない。それはそれで、めんどくさいのだ。お年玉、先
に貰っておいて良かった。
「そのとき詞ちゃんが、『絢辻』の苗字を大切に思ってくれるかどうか
は……わからないけどね」
「……もういい」
 ほらね。
 とうとうお父さんはそっぽを向いてしまう。そうして現れる五十年の
澱が積もった肩口には、疲れだって見えるのに。だったら許してあげれ
ばいいのにって、私は思うのだけど、それもまた、同じものが許さない
みたいで。色々難しい。だから私は言うんだ。
「きっとね、詞ちゃん、……面白い男の人。つれてくると思う」
「関係ない。好きにすればいいだろう。お前が心配することじゃない」
「そっか。そうだね」
 お父さんはしばらく、そのまま黙ってそこに立っていたけど、結局何
にも言わないまま静かに襖を閉めて、リビングの方……詞ちゃんの部屋
とは反対方向へ、足音を遠ざけていった。
 ほんとに。家が広いっていうのも、考え物よね。
 しようのない人。お父さんも、詞ちゃんも。
 だけど私は、お父さんの苦労も知ってるし、悩みも分かる。絢辻の家
を背負って、それなのに、男の子に恵まれなくて。自分が一番大切にし
てきたもの、自分の力で一番負いたかった物を、余所から来た人の血に
任せなければならない、不安と苦しみ。だからこの人に出来るのは、て
んでんばらばらになりかけたこの世の中でも一番分かりやすい価値観で、
最高の餌を用意して、最高の魚を一本釣りにすることだけなんだって。
そしてそれに、私たちも協力する義務があるって思ってる。古臭い考え
方だって思う人もいると思うけど、それを大事にすることだって、一つ
の道なのだと私は思う。それはきっと、この和室みたいなものだ。私の
大好きな、この和室みたいな。それが分かってしまうから私は、詞ちゃ
んみたいに、まっすぐに、強くはなれない。けれど、辛いとも思わない。
私はこれで幸せだから、それでいいんだ。私にはこれが当たり前だから、
このままがいい。
 ……私の中ではきっと何かが壊れていて、だけどそのことにも、きっ
と何かの意味があるんだろう、と思っている。詞ちゃんはそれが気に食
わないのか、あんまり笑ってくれないけど。それが何なのか、どうして
なのかは……私、考えるのは苦手だからわからないけど。
 けどそれが、お父さんとお母さんからもらったものだけでここまでき
た私の、天然だって散々言われる私の、最後の確信。
 いつか詞ちゃんが、お気に入りだった手帳を捨てたって言ってたみた
いに。
 大切な意味が、きっとあるんだ。



    *     *     *



 また一人きりになった和室でぼーっとしていたら、ちょっとうとうと
してしまったらしかった。
 意識と襖の向こうでとたとたと、廊下を玄関へ向かう足音がして、お
母さんの声。一言二言、素っ気無く答えた誰かが玄関を開けて、下駄を
カラカラ言わせて出て行った。淡く滲む瞼の隙間から覗く、時計の針は
10時半。
 お昼まで、まだ時間あるな。おミカン、食べたいな。
 そんなことを思っていたら、そのオレンジ色の塊が後頭部にすっぽり
収まったような重さを感じて、私はそのまま、また浅い眠りに静かに飲
み込まれていった。
 う~ん……。ビバ・お正月……。



    *     *     *



 天井近い、明り取りの窓から差すほどに高くなったお日様の光を顔に
受けて、私はもぞもぞと目を覚ました。
 いつの間にかヒーターが点いている。誰か来たんだ。
 ぽかぽかとした暖かさと……暮れに替えたばかりの畳からは、夏だか
春だか、青緑色の尖った匂いが強くて少し落ち着かない。だけど時間を
かけて、また心地よい匂いに変わっていってくれるだろう。その時が待
ち遠しくて、私は寝ころんだまま、畳にほほを寄せる。目に沿えば滑ら
か。
 体を起こして、伸びをするついでに時計を見たら、11時。
 和間の障子を透いて差してくる真新しい光は、白くて、まぶしくて、
なのにとっても柔らかで、今日が一日、きっといい日であることを教え
てくれているみたいだった。……もう半分、終わっちゃったけど。
 詞ちゃんはもう駅前だろうか。さっき玄関で、なんて言ってたっけ?
『いいのよ。歩きなれないから、どうせ時間かかるに決まってるわ』
だっけ? にしても、駅まで一時間?

 ……。
 そうだよね。
 駅前の見慣れた風景も、木枯らしの舞う冬の空も、かなしい思い出ば
っかりの河原の道も、詞ちゃんが毎年バカにしていた、初詣に向かう人
波も。きっと、今年は特別だよね。その新しい景色を、詞ちゃん、時間
をかけて、わくわく待ちながら、眺めているといいよ。それはきっと、
その瞬間だけの特権だから。風邪、引かないようにね。
 いつか町で偶然出会ったあの男の子は、どう見てもうっかり者の変態
さんだから、道行く晴れ着のうなじなんかにフラフラ見惚れて、約束に
少し遅れて、この寒いのに汗ダラダラで滑り込んでくるんだろう。そう
したら詞ちゃんのことだから、二言三言脅かした後で、ゴハンの約束も
とりつけて。
 満足げに、胸を張るんだよね。ちょっと、サービスの足らない胸だけ
どね。



「じゃあ、改めて。……あけましておめでとうございます、橘君。
 どう? 眼福、でしょ?」





『うん、絢辻さん。とってもキレイだよ!』





……って。
詞ちゃん。
褒めてもらえるといいね。
それってすっごく、嬉しいよね!





  ~Epilogue~


さて……っと。
私もそろそろ…………ん?

   ドダドダドダドダダ……スパーン!

 パパ辻「縁ッ!! 雑煮に雪見大福を沈めたのはお前か!!」
  縁 「あー、うん。おモチ、見つからなかったから」
 ママ辻「縁さん! どうして黒豆を煮るのに、編み針なんか入れたの!?」
  縁 「え? おんなじー。釘ってどこにしまってあるか、知らないんだもん」
 パマ辻「……」
  縁 「……まずかった?」
 パマ辻(どーしてウチの娘たちはこう……)



 

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2009年8月 5日 (水)

■浮気がばれるの巻。 -更新第274回-

どーでもいいけど、
テレビやらマスコミやらが勝手に騒いでいることを、
「話題になっている」って表現するのは、イイ加減やめて欲しいですよね。

オイサンです。

寒々しいったらありゃしない。
そんなんだから不景気なカンジになるんですよ。

なんかカチンと来たんで、そんな挨拶から入ってみる。



■携帯電話を買い換えました。



メモとりのためのメールを打つくらいしか
なかなか出番のないオイサンの携帯電話ですが
(つまりゃあかかっても来ないしメールも来ないという……うるせえな)、
さすがに前のヤツも、5年も使っていると色々くたびれていらっしゃった。

そこに、昨年の夏頃から目をつけていた、
一種、型落ち然としたストレート端末が機種変5250円なんていうですね、
昨今高騰著しい携帯電話としては破格のお値段だったんもんで、
その場で即決、機種変更をしてまいりました。



■で、ゲームがしたい。



付き合いが長くなれば出番のない携帯電話でも、
買い換えて新しいものが手元に来てみれば、
何くれとなくカクカクといじくってみたくなるのが人情でありまして、
特にやるコトもないので、ゲームでもやってみようかと思い立つ。

ところがオイサン、携帯電話でゲームは全然やりません。
不得意です。
根っからのファミコン世代のオイサンは、
片手の親指だけで操作するのが馴染まないからです。

携帯電話ではない、PSPやDSなどの携帯ゲーム機でのゲームも
あまり得意ではありません。
基本、ゲームと向かい合う時はものすごい感情を入れ込んでやるタイプなので、
周囲にたくさんの人がいる状況では集中しづらく、
イヤホンからの音楽では、ゲームの世界が縮こまってしまうような気がして、
ノれなくなってしまうからです。

とはいえ、やりはしたいのです。
携帯電話でゲーム。
かといって、あの入力装置でバチバチとアクションやSTGをやれる気はしません。
となると選択肢は、フィジカル性・リアルタイム性を重視しない、
アドベンチャーやSLG、RPG、……というあたりに落ち着きます。



■考えてみた。



しかしその辺のゲームも、オイサン的な面白がれるキモの部分は感情移入。
そして、そんなに長時間、やはり携帯をいじくっていたくはない。
じゃあ、自分はどんなゲームだったら携帯でのやりがいを感じるか?
ということを、考えてみました。

 ・先ずは、10分か15分くらいで、読むのと入力が済むものがいい。
 ・モチロン、リアルタイムではないもの。
 ・そして、そんな長いこと、頻繁にやってたいわけでもない。
  朝の移動の時間とか、オシゴトの合間の休み時間とかに、
  カクカクっといじって放っておいて、
  次はまた、次の休みとかオシゴト終わりでカクカクっとやって、
  ……つまり、一日に3、4回、一回につき10分から15分程度のアクセスで済む。
 ・毎回のアクセスごとにプレイが継続していて、新しい展開があるものが良い。

これを一丁、それらしい企画にしてみると……。
たとえば、戦争ものだ。

 <1回目のアクセス・入力 09:00~>
   朝イチにアクセスすると、その日の戦場と、ミッションが提示される。
   そのミッションを、4回のアクセスで完遂しろ、というものだ。
   戦場と戦況、彼我の戦力が提示され、
   どういう作戦を組んで攻め込むかを入力する。
   これで1回目終了。

 <2回目のアクセス・午前の戦果の確認と入力 12:00~>
   さて、シゴトバに着き、午前のオシゴトを終えてお昼休み。

   再びゲームにアクセスすると、朝に入力した作戦の結果が表示され、
   その結果に応じてドラマが展開する。
   もちろん、戦況も戦力も変化する。
   それに応じてまた新しい作戦を入力し、しばし放置。
   次に結果が分かるのはオシゴト終わりの夕方だ。


 <3回目・4回目のアクセス・戦果の確認と入力 15:00~、18:00~>
   あとは2回目の繰り返しみたいなもんだ。
   毎回の戦果を確認し、展開するドラマを読み、
   次の作戦を入力する。
   最後の戦果確認ではその日の評価がなされ、
   ゴホウビだとか、新しい戦力の補充だとか、
   まずければゲームオーバーだとかが提示される。

何人かのNamed兵士キャラがいて、
そいつらがどんな成果を上げただとか、
怪我をした恋をした、或いは戦死したとか。
そんなドラマと、駒としての成長をする様子とあわせて、
戦場を闘っていくようなストーリー。
うまくハナシを進めていくと、新しく参戦したり、
プレイヤーの部隊に配属になるキャラがいたり。

キモは、1日に決まった回数しかアクセス出来ない・しなければならないという点と、
1回の入力からその結果が返ってくるまで、
そこそこの時間、強制的に待つ必要があるというプレイスタイルだ。

  イメージとしては、
  その昔あった、紙ベースのメールゲームのようなものだとか、
  ドラゴンマガジン誌上で展開されていた、
  『パラダイスフリート』の携帯電話・短スパン版、と言ってもいいかも知れない。
  ……が、知ってる人が少なそうだ。

その昔Docomoでやった『北へ。』のメール形式のアドベンチャー
(キャラクターから不定期にメールが来る、という体で進む物語ゲームで、
メールにどんな返信をするか(といっても選択性だが)でお話が変化する)
は、コレと似た味わいがあったが、
展開する頻度が日によってまちまちで、不定期だったというのがネック。
あれはあれで面白かったけど。

ガツガツ頻繁に、長いこと遊びたいわけでは決してないけれど、
必ずある定期的な空き時間を、
ほどほどに埋めることが出来て楽しめる、
というスタイルのものがあるといいんだがなあ。

オイサンは今のワカモノみたいに、
ライトなゲームを、ピッポコピッポコ親指だけで遊べないっす。



■デ、改めて探してみたら



こんなのがあったのでやってみることに。

  ◆ケータイ「ときめきメモリアル メールドラマ」 [Impress GameWatch]

これはアレだな、例の『北へ。』のメールADVとほとんど同じものだ。
ヒロインは『初代』から詩織と虹野さん、
『2』からは光、そして馴染みのない『Online』からナントカ宮さんがいて、
オイサンはスタンダードに詩織を選択。

  ……マこのラインナップからだと、
  『Online』以外は全員スタンダードだけど。

今のところ、大した進展はないのだけど、
『北へ。』のものよりも乗ってくる文章がメールっぽくなく、
会話劇をメールでやっているみたいで、臨場感に欠ける。
もっとメールっぽくすればいいのに。

あと、送られてくるサイクルはやっぱり不定期で、
頻度も若干低い目なのでちょっとタイクツかもです。

デ改めて、オイサンが「俺って器用だなあ」と思ったのが……
今、オイサンの携帯の待ち受けは当然のように絢辻さんなんですよ。
しかも、高山先生の公式ページのTOPを拝借して、
携帯向けにリサイズ+トリミングしたもので。

  またこの絢辻さんが……素晴らしくてね。
  絢辻さんの本質のド真ん中を撃ち抜いたようなイラストなわけです。
  W63k
  麗しの絢辻さん壁紙に、サンゼンと輝く風間さんストラップ!
  漢よ、これぞ漢の携帯よお!

その「絢辻さん携帯」にですね、詩織からメールが届く。
な、なんだこのイケナイコトシテル感は……。
昔の女から届くメールを、イマカノにバレやしないかと
どきんこどきんこしているオイサンが、そこにいたわけですよ。

2次元浮気相手(マエカノ?)から届くメールが
2次元嫁(イマカノ)にバレやしないかと、ドキドキ出来る!

……なんかもう色々とダメな感じですが、
マ今更ですわね。


今日もどこかでデビルマン、
オイサンでした。



 

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2009年8月 4日 (火)

■アメと畳針と私・その二 -更新第273回-

……今回の記事は、実は、変則。
変則の、二部構成。
前回の記事が、第一部。

どうしてそうしたかって、本当は一つの記事としてアップしようと思ったのですが、
ウチ、記事の一部分だけがあまりに雰囲気をたがえ過ぎていたので、
そこだけ独立させて第二部としました。

いわば、2009年の8月3日にオイサンを襲った感情の、光と影。
それはどちらも『アマガミ』にまつわるものなのだけども……
第二部に感じた恐怖と脅威は、正直、かなり本気で恐ろしかったので……
その本気を伝えるために。

理解してもらえるかどうかは……わかりませんが。
それでは(オイサンが一人で)戦慄の、第二部です。



■忍び寄る???の恐怖



……デ、まあ、ね……。
「その一」で書いたように、思惑通り隠しシナリオに突入出来まして、
ィヤッホィしているオイサンなのですが、
ィヤッホィばかりもしていられない……そんな予感も、すごくしています。

10日目を終えた時点での、この???ヒロインの行動と、セリフ。
あまりにも恐ろしい。
正直、のほほんとはしていられない……そんな寒さを感じます。

一応オイサンは、このヒロインが主人公のトラウマの原因となった、
2年前のクリスマスの事件の真相にかかわる人物である、
ということまでは知っています。

具体的に何をどうした、ということまでは知りませんが、
インチキ物書きとして、幾つかのシナリオは思いつきます。
2年間の主人公の想い人であった蒔原ミカさん……
彼女と主人公の待ち合わせが成立するのを、なんらかの策謀でもって妨害したとか、
そんなことだろう、と、今のところ、思っています。

  ハズれてたら恥ずかしいな。

恐ろしいのは、その先。
主人公の現在に関すること。
彼女……???は言ったのです。
「悪い虫から、あたしが守ってあげるからね」みたいなことを……言ってた。

……恐らく話の流れからいって、「???」は、
主人公と、現メインヒロインの6名との恋に対しても、
なんらかの妨害工作を企ててくるのでしょう。
そしてその末に、
……無論、主人公にもある程度の選択の余地があるのでしょうが……
彼女の恋は成就するのでしょう。
そのシナリオ運びも、まだいいわ。
許容範囲。
全然アリ、余裕でアリ。

オイサンが最も恐れるのは……



  メインヒロイン6名の「ハッピーエンド」にも、
  実は彼女の暗躍があったのではないか?




ということだ。
つまり、ここまでのシナリオでオイサンが散々、
印象と妄想、想像を駆使して埋めてきた、
「絢辻さんを幸せにするための物語」、
その、どこかはわからないが決定的な一打に、実はこの「???」が関わっていたり……
するんじゃないかという、恐怖。

昨日の記事を読み返していて、一つ、フッと引っかかったことがあった。

 「もしかして、絢辻さんのスキBestルートで、
  A組の三馬鹿をそそのかして絢辻さんを失墜させようとしたのは……
  黒沢さんじゃなくて、「???」だっていうセンはないか?」

という、何気のない思いつき。

イヤ待テヨ、そんな些細なひっかけだけじゃなくて、もっと、もっと深く、
全てのヒロインにかかわっていたのだとしたら……?

そんな妄想がどんどんと黒い翼を広げて……
その魔の手がBAD ENDを導くならまだ構わない。
その悪意が、「ハッピーエンド」をも導いていたのだとしたら。

絢辻さんに限らない。
薫とのシナリオで見え隠れした「こちらからは見えない事情」や、
七咲、センパイ、物語の端々で、ごく当たり前に
「物語が盛り上がるために挿入されているんだな」
と、ただ物語の偶然の一部として受け止めていた、
幾つかの「影」や「穴」、薄暗い部分。

ギミックだからと、それはそういうものだからと。
お話の上のお約束で、そこは追及してもしかたが無い部分だからと、
深く考えもせずに放置していた「闇」の中に……「???」が潜んで、
いつもほくそ笑んでいたのだとしたら?

プレイヤーたるオイサンからは見えていなかった、
けれど確実に存在した、シナリオの影・穴・引っかかり、
そこにこの「???」が関与していて、
自然に、当然に、流れていったように見えた幸せの軌跡が、
実は彼女の手に、悪意によって作られたモノであったなら。

……こんなに悲しい、こんなに悔しいことはないぞ、オイ!!
それはプレイヤーにとって、


  屈辱


以外の何物でもないじゃないか!
自分の手で探し当てたと思いこんでいた幸せが、
実は他人の手でもたらされたものだったなんて、
そんなの笑い話にもなりやしない。

思いこみ、考え込み、四苦八苦してつじつまを合わせたオイサンは
道化以外のナニモノでもない。



  ???「あなたは気づいていないでしょうけど……
      あたしがいたから、あなたは幸せになれたのよ。
      良かったね、橘君……」



……これは、ホラーだ。
シナリオの内容がじゃない。
シナリオの在り方がだ。

  オイサンと彼女たちの間に生まれた子供……
  その子供が、実は二人のもので無かったとしたら……?
  そんな恐怖だ。

物語の主人公としてのオイサンや、
その心情を共有しているオイサンがではなく、
プレイヤーとして、読み手としてのオイサンが恐れている。
物語から見たときの、メタな存在としてのオイサンが恐れているんだ。

まだ、コレがホントかどうか、オイサンにはわからない。
もし本当だったとして、コレは……ありなのか。
しかもこれは、隠しのシナリオだぞ。

それを知らずに物語を閉じるユーザも多いはずだ。
彼らは、あまりに不幸だ。
手にしてきた幸せな結末が、すべて一人の黒幕の暗躍によるものだったり、
思い描き、信じてきた幸福が、何者かに汚されたあとのもので、
それを知らずに自分がのほほんと、夢のような世界を信じてきただけだとしたら。
これまでの妄想が、妄想の中でもさらに妄想だったのだとしたら。

……なんというか……それはメタのメタ、
「物語からの裏切りと報復」なのではないか。
否……。
物語の、新しい自立」なのかも知れない。
それに引っ掛かり、踊り狂う読み手を見るのは……、
書き手としては、たまらなく痛快だろうけど。
悪趣味だ。

正直、そこまでのことはしないと信じているが……
「絢辻さん」だの、「スキBAD」だの、
尋常じゃないものをてんこ盛りにしてくる、
ギャルゲーという毒のようなぬるま湯の世界に、13年間、
どっぷり浸った連中の考えることだ……油断がならないッ!

全部のルートを回って、ようやく結末が見えるってのは、
まあ、アリだ。
なんか、『街』みたいだし。
でもこれミステリーでも、サスペンスでもない、恋愛ものだぞ?!?

  このシナリオをゴールした時に、オイサンは恐ろしく凹む可能性がある。
  ……と、書いておけば多少の心の準備になるんじゃないかと思って、
  今これを書いている。

正直、このシナリオを進めるのが、すごく恐ろしい。
結末を見たくない、とさえ思うけど。

見えない敵は恐ろしい。
だからそれを克服するために、見るしかない。
最悪の結末でないことを願う。

だけど、……すごいぞ!!
ツライ!
でもすごい!
ここまでドキドキさせる物語のありようが、
ここ10年であったか? いやない!!
だから、だけど、頼む!

  「主人公とXXさんがくっつくのを邪魔して、
   あたしが取って代わってHAPPY END!」

ってくらいの、「かわいらしい」邪魔、って程度であってくれ!!
頼む!



オイサンだったんだよ!
な、なんだってー!!


 

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2009年8月 3日 (月)

■アメと畳針と私・その一 -更新第272回-

変態紳士と書いて「オトコマエ」と読む。
断言。
オイサンです。


 ◆帰省を拒否する娘 [大手小町]
 

こういう話題を読んで、
「……絢辻さんは、二人で過ごしたいって言うんだろうなあ……。
 でも向こうの両親はともかく、
 うちの両親にもあんまり会ってもらえないのも
 ちょっと寂しいなあ……」
とか、ワリと素で考えるシックでメロウな33歳。


  ピーポーピーポー。


うむ、迎えが来たようだ。



■『アマガミ』Lap-09!



メインヒロイン6名のスキBestをゴールした後の
オイサン的『アマガミ』プレイLap-09、主たる目的は一つ。

  隠しシナリオへの突入!

……なんですけど、隠しシナリオへの突入条件が、
「スキBest6人分」という説と、
「スキBest6人分 && ナカヨシ6人分」という説とあって、
うわあ後者だったらどうしよう?
とビビっていたんですが……
進行5日目にして、どうやらそれッポい休3イベント発動!

 ィヤッホィ!

で、現在10日目。
今回は、ヒロイン1人1人のシナリオ濃度は薄めにして、
出来るだけたくさんのヒロインを上の好感度まで連れて行くという
プレーを実践中。

  マあんまり手間にならない程度にね。
  しかしさすがにこれだけやってると勝手が分かってきて、
  割合うまくいきますな。

現在、絢辻さん・梨穂子・薫の3人をアコガレに引き上げ、
多分あと、七咲もいけそうな気がしています。
あわよくば、絢辻さんのスキBAD・スキGood回収用のデータにもしてしまおう……
と思っているのですが。

  ……でも、今、書きながら思った。
  こんな薄いプレイでスキBADを見たとして、
  ちゃんと自分の心に響くプレイに出来るだろうか……。
  スキBADは別で用意した方がいいような気がしてきた。

  そしてその相手には、ドラマ的に森島センパイがふさわしい気がするんだが、
  森島センパイと絢辻さんが、同時進行で
  両方のファイナルスターを獲得できるタイムテーブルになってるのかどうかが
  読みきれない。ので不安。

  そもそも最終★の両方獲得が出来る/出来ないの組み合わせがあるのかな?
  七咲/センパイは出来なかったように見えたんだけど。

  ちなみに、前回のLap-08のプレイデータで
  薫・梨穂子のスキBAD/スキGood回収は可能!
  まだやってねえけど。

しかし、来週は盆休みで実家にも帰るので、
ちょっとプレイのペースが落ちそうでなんかむにゃむにゃ。

  実家でやってたらナニ言われるか。
  ナニ言われたって平気だけど。
  絢辻さんとカケオチ。
  燃える!(焼け死ね)。

正直、こうしてモタモタしている間に大地震とかが起こって
PS2がコワれたりデータが飛んだりオイサンが死んだりしないか、
オイサンもうすげえ心配。



■オイサン・『アマガミ』プレイ遍歴



「しかしお前……好きなワリに、4ヶ月経ってまだ9周目って遅くね?
 実はお前、『アマガミ』そんなに好きじゃないんじゃね?」
と言われそうですね。
ここらでちょっと、オイサンのプレイ遍歴を、
自分備忘録もかねてまとめておく。

 01   :絢辻さん   ナカヨシ(3月末)
 02   :梨穂子    スキBest(4月上~中旬)
 03   :絢辻さん   スキBest(4月中~下旬)
 04   :絢辻さん   スキBest(4月下旬~5月上旬)
 05   :森島センパイ スキBest(5月上~中旬)
 06   :絢辻さん   ナカヨシ(5月中旬)
 05(*):七咲     スキBest(5月下旬~6月中旬)
 07   :中多さん   スキBest(6月中旬~7月上旬)
 08   :薫      スキBest(7月)

  *05と同じデータを使用。


……どんだけ絢辻さんスキなんかってハナシですよね。
半分は絢辻さんだっていう。
……まあ、例の記事を書き書き進めていたってんで、
森島センパイや七咲あたりは、かなり心ここにあらずなカンジでプレイして、
正直スマンかったと思います。
中多さんあたりからは随分心を入れ替えた感じです。
GW~6月末あたりまでのプレイが、
イロイロ考えすぎで進度遅かったのが良くなかった気がします。

あー……。
今年はこれで終わるなー。



■リョーコとカナの、Sweetも甘いもカミ分けて!



夏休み!? バカ言え、今日は月曜日だぜ!
『アマガミ』Webラジオ「良子と佳奈の アマガミ カミングスウィート」、
本日は第19回です!



先々週で、ラジオドラマの絢辻さん編が終わり、
先週からはトークパートも落ち着いて聴けるようになりましたw

いやー、なんだろう。
今週はいつにも増して、面白かった気がします。

冒頭、新谷さんの、全国9億7千万のリアル橘さんを熱狂させかねない
「寝る時はぱんつ一枚で、その上にフトンを着るのがたまらなく気持ちイイ」
なんていう赤裸々トークから始まり。

……しかし、オイサン新谷さんの、ホントどーでもいい日常トークが大好きなんですけど。
実家のコンセントがどーしたとか、
お祭りで5コ下の子供にセミ見せられて泣いたとか。
おナチュラルな人だなあ。
かわいいなあ。

アスミンの
「帰省に航空チケットが7万!
 たっかい金払って、何が買えるんだって話ですよ!」
なんていうやさぐれトークもフルバーニアンです。

すげえコンビだ、この二人は。



■Closing



……全然関係ないんだけど……
毛並みのいいイヌを見つけて餌付けして一儲け、なんて……
絢辻さん、日常的にやってるんだろうか?
あの時たまたま、じゃなくて。

それじゃあ、ゲンカクなお父さんに怒られるのも
なんか当たり前のような気がしてきた……。
あの日、はだしでウチ帰って……なんて言い訳したんだろう。

 パパ辻「詞、お前というヤツは……またそんなアホな真似をして!
 絢 辻「だって!
 パパ辻「だってじゃない!
 主人公「そうだ、だってじゃないぞ。
     ああお父さん、お醤油とってもらえますか。

 あね辻「あはははは、詞ちゃん、アホみたーい!
 絢 辻「うるさいわね!
 ママ辻「詞、座って食べなさい!
 あね辻「怒られたー。あほー、あほー!
 主人公「そうだ、あほー!
     お母さん、お替わりもらえますか。



……うーん……。
すごく愉しそうなご家族になってしまった。
アホ辻さんもかわいいなあ( ← アホ)。

……ていうか、もしかして、アレか?
姉辻さんに水分をたらふく充填されたワンコロが、
絢辻さんにご返杯した
のか?

……ううむ、そう考えると全てのツジツマが合う(そうか?)。
すべては、忌まわしき血が招いた因果の渦。
恐るべきは巨凶・絢辻の血の輪廻よ。

  何も知らずにアホなことをしている姉辻さんと、
  実はそれと似たようなことをしているのに、
  何となく近親憎悪を抱いているアホ辻さん、
  というセンもあるんじゃないか、この姉妹……。


オイサンであっtt……




え? 何、呼んだ?
……「こっち来い」?
「話がある」?
……あとじゃだめ? ゴハン食べてからにしない?
今? どうしても?
……あ、ケーキ買って来てあるからそれ食べたあt……「だめ」。どうしても。
そっかー……。
うーん……。
じゃあさ絢辻さん、ヒトマズその、真っ赤に灼けた畳針を置いt
行きます行きます行きますよハイハイハイハイ……。




あ、じゃね。
オイサンでした。
みんなは……元気でね。





                                        ぶすっ、じゅー
                                        ぎゃー




 

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2009年8月 2日 (日)

■手帳の中のダイヤモンド -15- 第五部・その2 -更新第271回-

みんな元気かい!?
オイサンだよ!

グレープフルーツ味のカチ割り氷に麦茶を注いで飲んでも、
カケラも美味しくないので注意だ!!
二見さんは黙ってて!


サテ、『アマガミ』絢辻さんシナリオ解読企画「手帳の中のダイヤモンド」、
今回はその15回目のその2。
恋愛編の続きでございます。


  ◆『アマガミ』 絢辻さんシナリオ解読企画 「手帳の中のダイヤモンド」 目次
  ◎『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク


■前回の復習と今回の予定



……まず、皆さんに謝らなければならないことがあります。
前回では、絢辻さんと主人公の恋物語を、
5つの各好感度カテゴリー、

  <デアイ><アコガレ><スキ><シリアイ><ナカヨシ>

ごとに、大体どういう展開をしているかを読み直し、
それぞれのカテゴリーで起こるエピソードの中で絢辻さんの心が
どのように揺らめいていったかを、
ややこし目な部分だけとりあげて、僭越ながらご説明申しあげました。
まだ<アコガレ>までですけど。

この恋愛編は前編と後編で終わりにする予定で、
今回は後編のつもりでいましたが……すみません、まとまりませんでした。
「スキ」だけで、随分と紙幅をつかってしまったので、
今回は「スキ」のイベント再読だけ、という格好です。
まっこと申し訳ない。

ですので前回の予告で書きました、
「シリアイ」「ナカヨシ」の読み解き、そして、
 ・物語としてとらえると、<ナカヨシ>って特殊じゃね?
ということと、
 ・<アコガレ>と<ナカヨシ>の関係って、中途半端でフクザツじゃね?
ということのご説明、
「<ナカヨシ>エピローグに見る幸福感の正体~絢辻さんの将来と幸福について」、
については、また次回ということになります。
申し訳ない。


では気を取り直して。
まずはシンプルに前回の続きから、各好感度カテゴリー別エピソードの読み解きの続きを、
「スキ」から進めていきたいと思います。



■4) 恋するフラグメンツ (←項題変わっとるがな)
      ~各好感度カテゴリーでのエピソード~



  □4)-3 スキスキダイスキ!(←そんなカテゴリー無ェ)-------------------



さて、絢辻さんの「スキ」。

……。
あの、えっと……。
……オイサンも、好きです……(←聞いてねえ)。

  オイサン、昔から取り乱すのだけは大得意です。

前回でも書いたように、絢辻さんの恋は、
<アコガレ>の段階で既に完成しているとオイサンは思います。
つまり、契約のキスを交わし、手帳を荼毘に付すことに主人公を立ち合わせた時点で、
……主人公の気持ちはともかく……
絢辻さんは主人公を、恋人の位置に引き上げ終わっているように見えます。

「スキ」のレベルでは、そうして変化した絢辻さんに襲ってくる問題
……中には、絢辻さんが変化したが故に呼び寄せた問題もありますが……を、
絢辻さんが新しい自分の力と、主人公と結んだ関係の力で応戦する姿、
そして、信頼した主人公に対し、脱ぎ去った猫以上の奥を開いて見せていく過程が、
たくさんの謎をはらみながらも丁寧に描かれています。

そんな中でも、絢辻さんの主人公への思いが見え隠れするイベントを見ていきたいと思います。


■「二つ目の顔」
先ずは、クリスマス委員の仕事が遅れ気味であること、
学校側のツリー設置が中止になりかかっていることでクラスメイト達に詰め寄られ、
クラスメイト達の前でも、ついにその本性を明らかにするイベント、
「二つ目の顔」。

この事件をきっかけに、絢辻さんはクラスの女子から孤立しますが……
どうしてそこまでして、怒りにまかせる必要があったのか。
絢辻さん自身、後のイベントで
「素を晒してまで怒らなくとも、もっとうまくやる方法はあった」と語ります。

まあ話はカンタンで、一つには、自分たちでは何もしないバカ三人が、
「他の誰もが気付かないことに気付き、無自覚とはいえ背負い込む主人公の性質」
が生んだ行動を、ひねくれたものの見方で悪し様に論ったことへの……
いわば、主人公の行いを馬鹿にされたことへの腹立ち。

そして同様に、自分の数少ない安らぎの時間を、
いちゃいちゃだのなんだのと下種な言葉で、
程度の低い噂話がらみで穢されたことへの、純粋な私怨と当然の報復。

……恐らく、これが絢辻さん個人にのみ向けられた刃であったなら、
絢辻さんはこれまで通り、うまくかわして猫を脱ぐことなく、
黒幕である黒沢さんのみをたたきに行ったと思われます。

けれども今回そうしなかった。
何故か。
自分はともかく、主人公のこと、そして二人の時間への攻撃までも許容してしまったら、
「何も変わらない・変われない」と感じたから、に相違ありません。
手帳を焼いた意味すらない、と。
抑え込む自分を許さなかった、という表現が正しいのかもしれません。

これまでの自分の位置を守ることよりも、新しく築いた主人公との関係を守ること、
その意思を表明することが、これからの自分にとって必要だと考えたのでしょう。
そしてその意思を表明する以上、これまでの位置を守る必要ももうない。
なぜなら、主人公が傍にいるから。
自分に対してここまで戦いを挑める人を、オイサンは知りません。

ここでまた一つ、裏ッ側から面白いなー、と、オイサン思うのが。
もとはといえば、絢辻さん自身も毛嫌いしていた主人公の「価値観」、
それを横から攻撃されて、絢辻さんは完全に主人公に味方をする格好に、立場が変わっている。
この変化は美しい。
いいですか、ここで皆さん、「あ、俺今愛されてる!」と感づかなければいけません。

  余談ですが、上でもチョロっと書きました、
  この事件も、隣のクラスの黒沢さんが裏で糸を引いているのは明らかでしょう。
  名言はされませんが、バカ三人も「別のクラスの人が言ってたよ」と言います。
  校内で、主人公と目に余るイチャイチャを繰り返す絢辻さんに腹を立てた黒沢さんが、
  A組のバカっぽいの3人に目をつけて、
  絢辻さんにナンクセつけるように仕向けた、という流れが読み取れます。

  A組のバカ三人組は、普段の言動を見るにつけ、クラスの有力者である絢辻さんに
  自分からケンカを吹っ掛けるほどの「気概」や「自主性」があるとは到底思えません。
  絢辻さんの言うとおり、ホントに不憫なお三方です。

  ……まあこの三人が、普段から絢辻さんや、絢辻さんと主人公のイチャイチャを
  よく思っていなかった、という背景はあるのでしょうが。
  そこに目をつける黒沢さんも、相当のイヤラシイやり手です。
  ムカツきながら、閑話休題。

主人公に向けられた、これまでの時間を焼き捨ててまで獲得した「信頼」。
それをさらに強固にするために、絢辻さんはこれまでの自分、
安っぽい居場所を全てうち棄てます。
これを恋、否、愛と呼ばずして何と呼ぶのか。

その熱量の多くは主人公にじかに向けられるものではありませんが、
内に秘めたるもののあまりに激しい熱情。
それをまた、詮索する主人公に対して、
一人きりの食堂で

「心配の枠を越えた詮索は、嫌われるわよ」

なんて、しれっとかわすその奥ゆかしさもまた、美しすぎるほどにいじらしい。
コレはもうあなた、男冥利に尽きるの一言です。

この絢辻さんという少女は、その小さな体にどれだけ巨大な獅子を住まわせているのか……
ホント、底の知れないヒロインだと思います。


■外付けStory「溢れだす思いw」
これは番外。
上で書いたような絢辻さんの、内に秘めたる思い。
それが生理的にw溢れだすのが、会話アタックのご褒美イベント、
「絢辻さん、鼻血鼻血!」(「志村、うしろうしろ!」風に)。

二人で交わした濃厚なキスのあと、絢辻さんが鼻血を出してしまう、という……
なんというか、前代未聞にして古今無双、強力無比のイベントです。

キスシーンでは「どっちがどうした」という描写がつぶさには記されないので、
このときの詳しい状況はわかりませんが、
絢辻さんのキャラクターソングCD vol.2 「Aftergrow」に収録されているモノローグドラマにて、
この日の晩に、昼間キスを反芻する絢辻さんの様子が描かれています。

Afterglow_3 絢辻詞 (Cv: 名塚佳織)/
アマガミ キャラクターソング Vol.2 絢辻詞
「afterglow」

アーティスト:綾辻詞(名塚佳織)
販売元:インディーズ・メーカー
発売日:2009/07/24
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「軽く唇が触れ合えばそれでいい、くらいのつもりだったのに、
 思いが溢れだして、思わず自分から、濃厚な口づけを求めてしまった」
と。

……まあ鼻血を噴くくらいですから、
このキスの時の絢辻さんは、首から上の温度を相当に上げていたのだろうな、
くらいの想像はつきますし、
キスの最中の主人公が驚く様子で「絢辻さんから何か求めた」というのも読み取れはするわけですが、
その行動の過程が、そうした「主人公を求める衝動」であったことまでは、
オイサンには見えていませんでした。

  それでも、キスを終えた途端にその気持ちを軌道修正して、
  あっさりとその場を去ろうとする絢辻さんの、
  自律性の強さをすげえと思います。

イベントの中で絢辻さんは終始冷静で(鼻血に気付いた時だけ取り乱しますが)、
モノローグドラマで見られるような、自分の中の熱い気持ちについて
本編中で見られることはほとんどありませんし、
そういう風に描いてしまった時点で、絢辻詞というキャラクターは、
その輪郭をにじませてしまうことでしょう。

そんな中、こういう「体にどうしても現れてしまう強い反応」を用いて
本音を描き出そう、というやり方は、とても巧妙・効果的だと思います。
しかも、身体的な描写がどうしても限定されるコンシューマゲームにおいて、
うまく、分かりやすくやったなあ、と感心させられました。

一見、ただのネタイベントのようで、
実は主人公に対してキチンと体でも反応してくれている、
うわべだけでない、ホントの気持ちなんですよ、カラダに出ちゃうくらいなんですよ、
ということを巧みに表現する、安心と、嬉しみを感じさせるイベントです。
美しい。

それって、嬉しいでしょ?
それなりに昂ぶっていてくれたんだなあと思うと……
ねえ。

  ……。
  しかしなあ。
  くそう。
  オイサン、いつかやろうと思って、ずっと温めてたネタだったんだけどなあ……。
  粘膜弱い系ヒロイン。
  照れても鼻血、
  怒っても鼻血、
  泣いても鼻血。
  感情が高ぶるととにかく鼻血、というヒロイン。
  ……やられたあ……。


■「1対15」
オモシロイベントの次は、重めのイベント4連コンボです。

クラスからの孤立後、体育のドッヂボールで絢辻さんが集中攻撃を浴びる「1対15」、
「家族」と「目標」の関係について語られる「わたしはだぁれ」、
「目標」への思いを主人公に否定されたと思い込み激昂する「あなたにだけは言われたくない!」、
そして、その誤解がとける「僕の言いたかったこと」。

クラスの女子から孤立し、体育の時間に1対15のドッヂボールを強いられる絢辻さん。
その時間の最後で、絢辻さんは主人公に対し、
「自分はずっと一人で、これからも変わらない」
というようなことを口にします。

これが主人公と絢辻さんの間に残された最後の溝です。
二人を最初に引き合わせたもの、異なる二つの「価値観」。
皮肉にも、それが二人を隔てる最後の溝となって、主人公の前に絶望的に横たわるのです。
物語は最後にこの溝の埋め立てへと動き出し、
その竣工をもって「手帳の火葬」によって解け始めた絢辻さんの氷の心は、
完全な融解を迎えるのですが……その道のりは長く険しい。


■「わたしはだぁれ」
その第二弾として起こるイベント「わたしはだぁれ」では、
絢辻さんが「目標」に固執する事情、その発端の「家族」との根深い関係が語られ、
それが今の「価値観」へと繋がっていること、
おいそれと解消されるものではないことが明らかになります。
そしてさらに、自分の価値観と、愛する主人公の価値観の相違が
自分をぐらつかせている、とすら言います。

  彼女の後を追って辿りついた校舎裏で
  「ごめんね」と呟く……
  鉄壁の少女・絢辻詞の背中が……初めて、小さく見える一幕です。
  涙。

家族に端を欲した絢辻さんの「目標」。
絢辻さんは、そのために生きる自分を、主人公には理解して欲しかったし、
そのまま受け入れてもらえると……心のどこかで思っていたのでしょうか。


■「あなたにだけは言われたくない」
そのあとのイベント、
「あなたにだけは言われたくない」では、
「目標」だけを追う自分の姿を否定的に言い咎められたことに激昂した絢辻さんが
主人公を突き放し、決定的な一言を……

  「誰に何を言われてもいい。でも……
   あなたにだけは言われたくない!」

と言い放ちます。
この言葉は、後半の一行だけの意味を捕まえると、

「自分がどれだけの枷を背負って生きてきたか、言ったでしょう?
 真逆の価値観しか持ち合わせない主人公には分かるはずがない。
 そんなあなたに言われたくない」

という風に、先ず、とれます。
そう言いたい、絢辻さんの気持ちも分かります。

しかし前半の一行があることで、もう一つの意味が生まれます。
それは、上で読んだような、攻撃的で、突き放す意味ではない、
もっと甘く切ない、恋の気配を伴った感情だと思えるのですが……
正直、今のオイサンにはキチンと言葉に出来ません。

  ……って、ここまで書いたんですけど。
  今、イベントを再度見直してみて……名塚さんの演技を聴いて、一発でピーンと来ました。
  す……すごいぞ。

それは、
「あなたには、ずっとそばで、目標を追うあたしを黙って支えて欲しかった。
 理解してほしかったし、そうしてくれると思ってた。
 そう信じて、あなたの前で手帳を捨てたの。
 だけど……そうじゃなかったなんて、今になって言わないで!」
という……深い信頼と、それを裏切られたかなしみです。

勿論、主人公にそんなつもりはありませんが、
この問題……「目標」と「家族」に関しては、絢辻さんは、
主人公に立ち入らせる気はなかったのでしょう。
その二つに関しては、自分が頑張ればすむことで、その頑張りには主人公が必要だった。
絢辻さんが考えていた、ここから先の主人公の役割は、
これ以上は立ち入らせず、恋人であると同時に、
一先ずは、「家族」から離脱するために「目標」を達成するための
パートナーであってくれれば良い。

  勿論「その先」……を望まないではないけれど、
  それは今考えることではない……と思っていたフシが、感じ取れます。

それは多分、その感情を主人公が理解することは不可能だから、と割り切っていたためです。
人と自然に交わることが出来、幸せな家庭のうちで育った主人公に、
それの共有を望むことは出来ないし、そんな思いをさせる必要もない。
それは自分だけが知っていればよいことだと。

ですから、主人公がそこへ踏み込んできたこと、
侵入を許したことは、絢辻さんにとっては想定外の出来事で。
さらに、味方であったはずの主人公から決定的な一撃をたたきこまれた絢辻さんには
……主人公を拒絶するしか、道がなくなったのでした。


■「僕の言いたかったこと」
ここからが主人公のすごいところです。
自在派でありながら、インファイト、さらにはデンプシーロールまで使いこなす絢辻詞を相手に、
より近接のクロスファイトを挑んで打ち勝つのですから……
……この男、底が知れません。

「あなたにだけは言われたくない!」以降、
主人公に対しても心を閉ざし続ける絢辻さんに、
自分が本当に言いたかったことを伝えようと、主人公は奔走します。
そして遂に、自分のリングに上げることに成功するのでした。

ここから先は、本当にセリフの一言一言がメガトン級のパンチ力なので、
もう全部を追っていくことは難しいのですが……。

説得をあきらめて、立ち去ろうとする主人公に絢辻さんがかける
「今、聞かせてよ。続きを」
という言葉。

このときの彼女は、正直、自分でもどうしてよいか分からなくなっていたのでしょう。
主人公は失いたくない。
でも、今までの自分も捨てられない。
主人公は……自分とは違う価値観を持つ彼は、
どちらも失わないやり方を知っているんじゃないだろうか。
そんな一縷の望みを託した一言だったように思えますし、
主人公が促す、「もっと自分の好きなことをやったりとか」
という言葉に、「でも、そんな簡単には変えられない!」
と反発する絢辻さん。

そして絢辻さんのその望みに、120%答える主人公の言葉が、またすごい。
「そんなことはないよ。ただ思い直すだけでいいんだ」。

これは、
「目標を捨てろとか、やることや、生き方を変えろというんじゃない。
 同じことをやっていても構わない、
 もっと柔らかにあり続けることだってできるでしょ。
 自分のことを大切に考えながら、やるだけでいいんだよ」
という、絢辻さんへの愛情に満ちた言葉として、胸に響きます。

  以下の話は、本章のあとで書こうとしていること……
  「絢辻さんの幸せと将来」に関わることなのですが。

この場面で主人公は、絢辻さんに
「目標に縛られるのはよくない」
「自由にしていい、もっと好きなことをやったりとか」
といいます。
絢辻さんはこのセリフによって解放されるのですが……
では、絢辻さんは、本当に今の「目標」を追うことを止めてしまうのでしょうか。


オイサンは、それは明確に「否」だと思うのです。


絢辻さんは、今自分が追いかけているものに間違いなく価値を感じている、
と思うからです。
それは会話モードの一幕で、
「学校の宿題なんかにかまけていられない、勉強したいことが山ほどある!」
と瞳を輝かせて語る絢辻さんからは、
家族のことを抜きにしても、自身学ぶことが大好きで、
今の目標には、本当に彼女自身が心からやりたいと感じていて、
人生をかける価値があると考えていることが垣間見えるからです。

それに、このシーンで語られる主人公の一言……
「自分がないなんて言わないで。
 絢辻さんは、絢辻さんじゃないか」
という一言は、
「これまでの自分が、全部、家族のせいで作り上げられたものだなんて思う必要はない。
 それだって絢辻さんだ。
 そりゃあ始まりは、家族への反発から始めたことかもしれないけれど、
 その気持ちも過程も結末も、家族のものじゃない。
 絢辻さんのものだ。
 絢辻さんが自分で考えて、自分で拾い上げて、自分で積み上げてきたものなんだ。
 これまでのものを捨てて新しく作り上げるんじゃなくて、
 これまで作ってきたものを、正しい視点で見つめ直して、
 キチンと自分のものにしていこうよ」
という意味に、オイサンには思えます。

その言葉の意味を思うと、絢辻さんが自分の目標を否定的にとらえたり、
築いてきたものの価値を見失ったりすることは、決してないと思えるからです。

  ……まあこの辺は、物語の上で明確に示される事実ではなく、
  読む上での印象の積み重ねの問題なので、
  この「スキ」ルートでは結果絢辻さんは目標を諦めて主人公に依存していく、
  という見方も出来てしまうでしょうが……
  オイサンにはやっぱり、そんな風には思えませんでした。

  彼女は、よりしなやかに、そしてよりスピーディに。
  「目標」を、より価値のあるものとして、その手中に収めていったに違いないと思うのです。

そして、クライマックス。
「僕が一緒にいるから。僕は、絢辻さんのものなんでしょう?」
という主人公の言葉は……
絢辻さんが望んだパートナーとしての関係の、そのまた先の関係……
「本当に、僕は絢辻さんと家族に、絢辻さんの新しい家になるつもりがあるんだ」
という言葉に、聞こえたのではないでしょうか。

自分の想いをはるかに超えた先にいた主人公を見つけ、
最早抑えの利かなくなった絢辻さんは、主人公の背中を強制的に徴収し……
嬉し涙を流すのでした。

  ……あのですね。
  コレを書きながら、やっぱりイベントをもう一度見てたんですが……

    「……本当に?」

  と聞き返す絢辻さんを見て、オイサンはもう……
  なんか、死にそうになりました。
  か、かわいい……………………………………………………
  …………ほ、惚れてまうやろーー!! ( ← お前もう存分に惚れてるやないか)





……。





えー……。
全国、9億2千万の絢辻詞ファンのEXILEみなさま、コンバンワ。
おめでとうございます。
ここまでくれば。
ここまでくれば、あとの絢辻さんは、もうすっかりあなたのものです。

この後の絢辻さんは「うさぎとかめ・絢辻版」で以って家族との関係をさらに詳らかにした後、
どんどん可愛らしく、変貌していくばかりです。
その姿は……これまで失った物や、憧れて、けれど心の奥底に閉じ込め続けていた物を、
取り戻そうとしてどんどん表に出してくる微笑ましさと、若干の痛ましさを含んでいます。

主人公はそんなことにはケ程も気づきやしませんが……
みなさんは、全力で!
彼女の失われた少女の奪還に、お応え申し上げてあげましょう!


■あたしの唇をうばってっ!
放課後の校舎裏、突然「あたしの唇を奪ってっ!」と突っかかって来る絢辻さん。
……正直、このイベントでの絢辻さんの心づもりは、
オイサンにはハッキリと分かりません。

ただ、
「奪うところに意味がある」、
「頑張ってみるから」
という二つのセリフからは……
主人公を、自分の上位に据えようという気持ち、
主人公の言った通りにしてみる、という……
先の、「僕の言いたかったこと」で主人公が伝えたことへの、絢辻さんの答え、
なのではないかと思えます。
「あなたをあたしのものにしますっ!」の逆バージョンの実践だったのではないかと。


■帰り道のいちゃいちゃイベント2連発
「一緒に帰ろう」と絢辻さんから誘いかけてくる、
「冬の雷」のイベントでは、突然の雨に降られ、神社の境内に逃げ込む二人が描かれます。
……普通だと、雨に濡れて透けた制服が……とか、
身を寄せ合って触れ合う肌が……とか、
そういうことが描かれてしまうシチュエーションですが……
ここでもまた、一捻り。

こんな肝心な時にだけ、ロクなリアクションを起こさない主人公に業を煮やした絢辻さんが
一人芝居を始めてしまうという、ワケのわからない……
否、
なんとも可愛らしい一面を垣間見せてくれます。

恥ずかしいことをやらせるな、と怒る絢辻さんに
「自分で勝手に始めたんじゃないか!」と返した主人公に、頬を染めて呟く、
「だって」の一言。
……そういう展開も期待してみたかったんだもん、ということ……でしょうかね。
だんだんと、フツーの恋っぽいことをしてみたくなった、ということでしょう。
気づいたれよ、主人公。

そして、会話アタックのご褒美イベントで、
駅前でメロンパンを買い食いするイベント。
嬉々として主人公をいじめ倒す絢辻さんですが……
なんつうか、スで最大出力を出した自分を、真っ向から受け止めてくれる人がいることを
心から実感……したんでしょうし、したかったんでしょうね。
主人公は大変です、大変ですが……
大変な幸せ者です。

……まあ、こんなん見せつけられたら……
黒沢さんが意地悪したくなる気持ちもわかります。



■Closing



以上が、「スキ」レベルに起こるイベントと、
その中での絢辻さんの「恋心」、主人公に惹かれていく、
あるいはその想いを戦わせる気持ちを描いたもの……のダイジェストです。


前回で、「絢辻さんの恋は「アコガレ」で終わっている」なんて書きまして、
「スキ」ではそんなに書くこともないなあ、と思っていたんですが……
全然、ウソでしたね。
こんなになるとは思っていませんでした。
いや、これが「恋」ではなく「愛」になる過程であるという考えには変わりはないのですが。

思いのほか魅力的なシーンや、見落としていた難解な言葉が多数あったので……
一気にやってしまいました。
せめて、喜んでいただければ幸いです。


次回こそ、最後です。
……なんか段々、『水曜どうでしょう』じみてきたな。
じゃじゃじゃじゃじゃじゃあ、解散!


オイサンでした。






 ◆『アマガミ』絢辻さんシナリオ解読企画 「手帳の中のダイヤモンド」 目次
    01 前口上
    02 序文・絢辻詞という「少女」
    03 第〇部 物語のアウトライン 

    04 第一部 学校生活編 PRE STORY (SS)
    05 第一部 学校生活編 その1
    06 第一部 学校生活編 その2

    07 第二部 「目標」編 PRE STORY (SS)
    08 第二部 「目標」編

    09 第三部 家族編 PRE STORY (SS)
    10 第三部 家族編

    11 第四部 手帳編 PRE STORY (SS)
    12 第四部 手帳編 その1
    13 第四部 手帳編 その2

    14 第五部 恋愛編 PRESTORY その1 その2 その3 (SS)
    15 第五部 恋愛編 その1 その2 その3
    16 第六部 終章 PRE STORY その1 (SS)

    ◎『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク

 


 

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