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2009年7月10日 (金)

■神様にもらったすれ違い -更新第252回-

サテ、『アマガミ』。
現在8周目(一生懸命やってるのに遅いな……)、
どんじりに控えし思春期からの悪友、
棚町薫さんのハートゲットを目指してじりじりと進行中です。

今回の記事では、
(メインキャラとしては)最後まで残ってしまった
薫さんとのこれまでのプレイでのお付き合いのことを考えつつ、
ゲームとしての『アマガミ』の楽しみ方について、
すこし意識をしたことを書いてみたいと思います。


  ■薫のこと。


サテ、薫さん。
主人公と薫さんは、中学からの、同い年のお友達です。
新鮮な出会いでもなく、幼馴染ほどの特別な関係でもなく。
キャラ的な立ち位置としては、案外珍しいタイプかもです。
『To Heart』の志保が近いのかもしれません。
初めて、雑誌で薫のキャラ絵を見たときの印象は

「うわっ、えらく今風の女の子だ!」。

オシャレに作られ過ぎず、素朴に放置され過ぎず。
ここまで普通……というか、本当に当たり前にいそうな女子というのは、
ギャルゲーの世界では中々にレアなので、
それだけでとても目を惹かれました。

■棚町薫さん


「普通にいそうな女の子が、普通の学校に通う物語」である
『TLS』の系譜にあっては、至極当たり前のセンをちょっと視点を変えて追求した結果、
と言う感じがします。

そんなことで、出会いの当初から、薫さんはオイサン的には注目株ではありました。
ちなみに、リリース前の雑誌情報からの、オイサン的キャラ注目ランキングは

1. 梨穂子
2. 薫
3. その他!

という、なんともおーざっぱな感じ。
ヒドイもんでしょ。
当時、絢辻さんとか七咲とか、
キャプションでキャラ設定を説明されないと分からない人たちについては、
正直どーでもよかった。
梨穂子に至っては、期待度の高い理由は「声が新谷良子だから」ですからね。
特にシンタスファンというわけではありませんが、
「あの声でギャルゲーって、どうなんだ?」という興味があったためです。

サテ、ではそんなに注目度の高かった薫が最後まで残ってしまったのは
なぜだったんでしょ。
それはヒトエに、オイサンのプレイスタイルのせいです。


  ■オイサンのプレイスタイル
     
~『ときメモ』原理主義者の見る夢~


まず初めに、オイサンは
恋愛シミュレーションゲームは好きですが、
恋愛アドベンチャーゲームはあまり好きではありません。

この話をする前にシミュレーションゲーム(SLG)とアドベンチャーゲーム(ADV)の差異を
ハッキリさせておかねばなりません。
ここではざっくりと、

 ・SLG:大きなシナリオ(≒目的)だけがあり、その達成のために、
     システムの範囲内で、自由に行動できるゲームのこと。
     目的の達成のためには多数の手段・経路が考えられ、
     その経路そのものが結果的に物語を生みうる。


 ・ADV:基本的に、決まった物語を、決まって手順にそって進めるゲームのこと。
     ゴールするための手段・経路は基本的に一つ。
     物語は用意されたストーリーに依るところが大きい。


くらいにとらえて下さい。
以下の話の中では、代表例として

 ・恋愛SLG:初代『ときめきメモリアル』
 ・恋愛ADV:『To Heart』などのビジュアルノベル、
      その他テキスト主体の恋愛ストーリーゲーム


を挙げています。
デ話を元に戻すと、オイサンは
恋愛SLGは好きですが、恋愛ADVはあまり好きではありません。

それがどうしてかというと、
プレイのオチどころを、始めからカッチリと決めることが出来てしまうのがイヤのです。
シナリオの流れが一本に定まってしまうのをツマラナイと感じてしまうタチなのです。

『アマガミ』を例にとってお話してみると
(註:『アマガミ』はSLGとADVのハイブリッドなので、実はこの限りではありませんが、
軽く例として、です)
例えば絢辻さん狙いでプレイを始めて、絢辻さんのシナリオだけを追い、
思惑通り、絢辻さんシナリオでゴールする、
……というだけのプレイでは物足らないのです。
そこに予期せぬ何かが起こり、自分でも想定しない心の揺らめきを感じたいのです。

何故、そんな期待をするのかと問われれば、
「オイサンにとってゲームというのがそういうものであるから」
であり、それをオイサンに植えつけたのは、他ならぬ
初代『ときめきメモリアル』なのです(初代っつってもPS版ですが)。

恋愛(育成)SLGの代表格である、初代『ときメモ』では、ラストまで、
シナリオの流れが一つに定まることがありません。
プレイヤーのパラメータの制御の仕方にも依りますが、
複数のヒロインが登場し、誰とハッピーエンドを迎えるか、が
ラストのラストまでわからない。

その分からなさを、自分でどうにかこうにかコントロールして、
自分の思惑通りのハッピーエンドに導くコトが、
オイサンにとっての一番の「面白味」であったのです。
「思い通りにならないものを、与えられた手段で制御するコト」こそが、
オイサンにとってのゲームであり、その面白さの中核だからです。

それに反して、ノベルものや恋愛ADVでは、
ある特定のヒロインとエンディングを迎えようと思ったら、
そのヒロインの好感度が上がるであろう選択肢を狙い撃ちにし、
そのヒロインの「ルート」に入ってしまえば、あとは基本的に一本道で邪魔は入りません
(という構造のものが多いと思います)。
そこから先に、邪魔が入ったり、
自分で何かを必死こいてコントロールしたりする必要があることは、少ない。

もちろんコレはコレで、
「用意された物語のデキ」を楽しむためのシステムですので
そのためにはもってこいです。
ただ、ADVではない、SLGを楽しみたいオイサンには、これでは物足りない。
予期せぬ何かが起こることを、最後まで期待したいのです。


  誤解をしないで戴きたいのですが、決して物語主体の
  読むだけゲームが悪いと言ってるわけではありません。
  好きな物語ゲームもあるのです。
  純粋に恋愛ADVかと言われると疑問も残りますが、
  『FRAGMENTS BLUE』の物語は、やはりスバラシイと思いますし、
  『オホーツクに消ゆ』なんかはもう完全に刑事ものADVですが、
  やはりストーリーラインの細やかさはスバラシイと思います。
  閑話休題。


……もうチョイぶっちゃけてしまうと、
要するに、オイサンは、ギャルゲーにおいては

 「一度のプレイでたくさんのヒロインと仲良くしながら、
  最終的には目的のヒロインと仲良くなれるような
  (しかし不完全な)コントロールの手段を与えられ、
  不確定性に右往左往しつつ、複数回のプレイでも飽きずに遊びたい!」

という……「なんだお前、王様かなんかか?」と言われても反論できない、
贅沢な希望を持っているのです。

  ですけど、それが出来たんですよ、初代『ときメモ』では。
  「狙って全ヒロインを登場させつつ、
   誰からのデートも下校も断らずに、詩織から告白をもらう」
  っていうプレイだって可能だったんです。
  多少運もありますが、それをコントロールすることが出来たのです。
  そしてその過程で、自分だけの物語が生まれていたのです。


  ■『アマガミ』の物語システムについて


さて、そこで『アマガミ』です。
幸か不幸か『アマガミ』は、「恋愛シミュレーションゲーム」を標榜しました。
否、標榜「してくれました」。
これはありがたかった。
恋愛ADVになってしまっていたら、
オイサンは手をつけなかった可能性がありますから。

『アマガミ』は物語を追っていくゲームであることを主骨格としていますが、
複数の物語の時間を同時に流し、その並行性をプレイヤーに見せることに
まんまと成功しています。

最終的にどのヒロインのシナリオに入っていくかの決定は結局はプレイヤーに委ねられ、
偶然性やヒロイン側からの判定によったりはしませんが、
イベント期限の最後まで、プレイヤーはその決定を悩むことが出来ます。

そのことにより、
複数のストーリーが同時に進行している様子を俯瞰することの出来るプレイヤーの目には、
「いついつまでは誰々と仲が良かったけど、結局は別の誰々を選んだ」
という様子が見て取れるという仕掛けになっています。

オイサンが『アマガミ』を10年に一度の再発明だと評したのは、
物語主体であるにもかかわらず、
そうしたSLG的な同時的・不測的な面
(厳密には不測・不確定的なことはないのですが)を併せ持つ構造を成立させてくれたからです。

  まオイサンが見落としてるだけで、
  数ある恋愛ADVには似たような構造を持ったゲームもあるかもなのですが。

そんなシナリオ同時性システムと、
オイサンの欲求するプレイスタイル、
……複数のヒロイン(の物語)が入り乱れることで生まれる
  予期せぬときめきや葛藤を求める遊び方……
が邂逅したのですから、オイサンが複数ヒロイン同時進行をやらないわけがありません。


  ■そして話はプレイスタイルから薫さんの不幸へと戻る。


マそんなことで、
初回のプレイこそ絢辻さんだけを追って進めたようなものの
(それでも、七咲や森島センパイの爆弾処理に追われて
ナカヨシでのゴールでしたが)、
2周目の梨穂子・スキBestゴール時はナカヨシに森島センパイと薫がいましたし、
他の周回時もそんな感じです。

必ず、その回のメインと定めた狙いのヒロインの他に、
サブで誰かのシナリオを追ってしまいます。
そしてあわよくば、サブがメインを食ってくれることを、
心のどこかで期待しているのです。

「こんなに梨穂子狙いだったはずの俺が……
 なんでこんなに森島センパイに惹かれるんだ!
 なんで俺は森島センパイでクリアしちゃったんだ!」

っていう、己にとっても意外な展開を期待したのです。
……ナカナカ、そうはなんなかったですケド。

そんなこんなが重なり、
色んなヒロインのつまみ食いプレイを重ねた結果、薫のシナリオは
「一度も本腰で進めていないクセに、かなりの部分が既読」
という状態になって鮮度を失ってしまい、
「本格的にやるのは暫く寝かせてからにしよう」
という意識が働いて、
大トリを飾ることになってしまった、とこういうワケです。


  ■こうしときゃ良かった、という反省


ハナから、せめて各ヒロインの初回プレイくらいは
そのヒロインのシナリオだけを徹底して追いかけ、
イベントの取りこぼしのないように進めていれば。

薫さんのような、つまみ食い的に既読になったシナリオが出たりはしなかったでしょうし、
攻略という意味では、スピードも効率も、もっともっと上がっていたでしょう。
マそれは取説にも書いてあったのでオイサンがヒトエに悪い感じなのですが。

……それなのに、何故か森島センパイや七咲は、
無条件にバクダン抱えてやってくるんですね。
プレイヤーにつまみ食いを強要するように。
制作者の、アンビバレンツを感じます。
あの無条件バクダンは必要だったろうか?
なんか、よろしくない選択をやらかしたらバクダンが出る、
くらいの条件にしておけばよかったものを。

  ……まあ、興味のないヒロインへのいざない、くらいの意味合いと捉えると
  意味はあると思いますけども。
  キライなわけでもないんですよね、ああいうのも。
  上で書いたような、不測・不確定要因のヒトツとして。
  だけどやるなら、全ヒロインがまんべんなく持っていて欲しかった……。
  あるヒロインのシナリオが特定の段階まで進むと
  誰かの爆弾が点灯する、とかでも良いのに。

……しかしまあ、効率だの、攻略スピードだのというのも……
また、野暮ってものかと思う気持ちもまた、オイサンにはあるのです。

だって、コトは恋愛ですから。

悩んで迷って戸惑って後悔して、
それでも自分のやり方を不器用に通すことが、一番楽しいんじゃないのかって、
思います。

そこに残ったリアルな自分の気持ちの名残が、
新しい妄想や創造を生んでくれることが、オイサンには一番魅力的な出来事ですから。
それが、本当の物語。


  ■神様がくれた距離感


マそんなことで、薫とのシナリオは、
ナカヨシレベルではかなり先まで読み終えているオイサンなのですが。
それでも、会話やご褒美はオロソカそのものだし、
アコガレレベルのイベントも、かなり要点要点しか拾っていないはず。

……そんな状態も、
出会ってから3年が経ち、近くにいることが当たり前で、
つかず離れず、
すれ違うことも、罵り合うことも当たり前になった、
悪友・棚町 薫と改めて恋を始めるのに、案外もってこいの距離感なのではないかなあ、
と、なんだか運命的に思えるのです。

お互いのことは存分に知ってるはず、
飽きるくらい分かってるはず、
だけど深く突っ込んでみたらこんな顔も見せるのか、
というような、古なじみの驚きを探して。

  ……。

二人で痴漢ヤロウをとっ捕まえた、帰りの夜道。
震える手で、僕の手をきゅっと握って
「やさしいね」
と囁いた、健気で可愛い核弾頭の、潤んだ瞳の、そのまた奥を。
ちょっくら覗きに行ってきたいと思います。

オイサンでした。




待たせたな、薫!



 

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