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2009年6月 6日 (土)

■手帳の中のダイヤモンド -12- 第四部・その1 -更新第229回-

全国9万3000の『アマガミ』ファンの皆さん、コンバンワ(リアルな数字)。
オイサンこと、ikas2ndです。

  随分久しぶりにちゃんと自己紹介をした気がします。

「ゆび先はもう一つの心臓」名物、
『アマガミ』絢辻さんシナリオ解読企画
「手帳の中のダイヤモンド」。

今回はその11回目・第四部です。


  ◆『アマガミ』 絢辻さんシナリオ解読企画 「手帳の中のダイヤモンド」 目次
  ◎『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク

  ※シナリオ関連の記事だけ読みたい方は、
   下の「ここからは真面目です」のところからお読み下さい。


世間的に第四部といえば、
『JoJo』でいうなら
変な髪型の主人公が片田舎で起こる怪事件に挑むという、
それまでの壮大さはナリを顰めて
ちょっとこぢんまりと力の抜けた感じにシフトした時です。
オイサンはあの感じ大好きですが。

『ドラクエ』でいうなら、
ロト三部作が完結し、章立てのオムニバス形式なんていう、
「えっ? それ大丈夫なの?」的な構成が持ち出され、
それまで剛腕ストレートを売りにしていたピッチャーが
若干ボールに変化をつけてきた感じになった時です。
これまた、オイサンは大好きですけど。

マ何を言いたいかと申しますれば、
ぼちぼちテンションダウンが感じられても温かく見守って下さいねと、
このようにお願いしたい次第ですよと。


  ……。


……なんていう、弱気なことは言ってもおられません!!
(じゃあ上の十行あまりは何なんだ)

今回はいよいよ、「手帳編」。

古今無双のマーベラスヒロイン・絢辻詞さん最大の謎。
あの、黒い手帳の奥に綴られた、
甘くて苦い、ヒミツの筆跡に迫っていきたいと思います。

  ……絢辻さんに殴られない程度に!!

……ヒミツと言えば、角川スニーカー文庫から大好評発売中の
『ヒミツのテックガール』もよろしく!

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読もう! コミックビーム!!
モハヤ何が何やら。


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 ■第四部■ 手帳 ~扉の奥のダイヤモンド・その1
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ここからは真面目です。
オイサンはいつだって大真面目ですが。
あと、あんまり長くなったので、急遽、2部に分けました。スミマセン。


  ■1) ダイヤモンドの光跡 ~手帳にまつわるイベントの確認



さて、絢辻さんの「手帳」。
先ずはそれが関わる、イベントの大筋の確認からしておきたいと思います。

ちなみに「手帳」は、絢辻さんシナリオの「アコガレ」の段階においてのみ登場します。
そのため、「スキ」ルートに入るためには必須のアイテムですが、
「ナカヨシ」ルートに進む場合、
「シリアイ」ルートから上がっていくとその存在は知らずに終わります。
このコトは意外と重要な意味を持ってきますので、
覚えておいてください。


  ■1)-1 はじまりの輝き~手帳との出会い


最初の手帳との出会いは、まさに「本当の絢辻さん」との出会いです。

ある日の放課後の教室で、主人公は一冊の、黒い、革張りの手帳を拾います。
そして落とし主の情報を得るために中を確認……しようとしますが、
さほど奥深くまでを見ないウチに落とし主、すなわち絢辻さんが現れて、聞きます

「中を見た?」

正直者は応えます。
見たと。
どこまでとは言わない。けれども確かに見たと。
すると、凶暴な正体を露わにした黒衣の妖精はこう応えるわけです。

  ──正直者よ。罪深きお前に、罰を与えよう。

絢辻さんは言うのです。

  「見ちゃったんでしょ? あたしの秘密」
  「その、きれいな字で書きなぐったアレを見ちゃったのよね?」

やがて、主人公を神社の裏手に連れ出した絢辻さんは、
キチンと事情を聞くうち、自分がトんだ早トチリをしたことに気付き、
反省と逆ギレを交えながら更に語るには。

  「人に知れたら、学校にいられなくなるようなことよ」
  「もちろん、知った人も学校にいられなくして上げるけどね」 

こうして主人公は、絢辻さんが猫をかぶっているコトを知り、
その秘密を誰にも明かさない約束をし。
二人の関係が、ここからスタートします。

……結局、手帳の中に何が書かれていたのか。
その「秘密」については、主人公にも、もちろんプレイヤーにも、
知らされることはありません。


  ■1)-2 最後のきらめき~再出発点・手帳との別れ


そんな手帳との別れは、唐突にやってきます。
互いの価値観の違いや、重なるところを少しずつ知りあい、
主人公と絢辻さん、二人の仲に確実な深まりが感じられ始めたある日の放課後。
絢辻さんは主人公を公園に連れ出し、言います。

「あなたがいて、嬉しかった。あなたといて楽しかった。
 だけど、あたしたちの間には何もない。
 あなたがいなくなることが、今のあたしには怖い。
 だから、……あたしをあげる。
 そのかわり、あなたが今いる日常を……あたしに頂戴」

主人公はこの申し出を、わけも分からぬまま承諾し、
二人は初めてのキスを……「契約の」口づけを交わします。

  ……正直なところ、このセリフの意味する所も、解釈が難儀です。
  これについては次章の『恋愛編』で読み解いていきたいと思っています。

そうして奇妙な契約を交わした、幾日か後。
またも絢辻さんが校門前で主人公を待ち伏せます。

そして再びあの、二人が初めて本当に出会った神社の裏手に連れていくと……
突然。
ライターを持ち出して、手帳に火を放つのでした。
燃え落ちる手帳を、唖然と見守る主人公に絢辻さんが言った言葉は、以下の通り。

  「もう、あたしには必要ないと思うの」
  「前に進むには、邪魔なのよ」
  「こんな物より、もっと大切な事があるって……
   わかってきたから」
  「あたしが伝えたい事、あなたにはまだ分からないでしょ?」
  「でも、そのうちきっとわかると思う」
  「いつか、あたしのことをもっと知ってくれた時にね」
  「だから、それまで覚えておいて。
   ここがあたしの、再出発点ってこと」

ちなみに。
「……上の方のイベントの説明要らねんじゃね?」
と思った方はおられると思いますが、この二つのイベントは順序が大事なので
上のイベントも説明しておきました。


  ……。


以上が、手帳にまつわるイベントの全てです。
コレだけなんですよ。絢辻さんの手帳が、もろに絡んでくるイベントは。
手帳のあまりの存在感の大きさに、
なんかもっと頻繁に出てくるような気もしていたんですが、実は二つだけ。
コレは凄い。ストーリーテリングの真骨頂だと思います。見習いたい。

あとの方で小さなサブのイベントは出てきますが、
それは本章の末で触れたいと思います。



   ■2) 光跡が結ぶ星座の姿 ~残された謎



サテ、多くの『アマガミ』プレイヤー、
即ちアマガマレストたちの求めてやまないものは恐らく

  「じゃあ実際、絢辻さんの手帳には何が書いてあったんだよ!?」

という問いへの答えだと思います。

  検索エンジンから「絢辻さん 手帳」とか「絢辻 手帳」とか「絢辻詞 手帳」とか、
  「絢辻 シナリオ 手帳」とか「アマガミ 絢辻 シナリオ 手帳」とか!
  呆れるくらいたくさんの検索結果がオイサンの元に寄せられています!
  知るがいい!
  キバヤシに分からないことがあるように、
  Google先生にだって知らないことの一つや二つ、あるのだということを!
  つまりこの瞬間……『アマガミ』はGoogleに勝った(そうか?)!

……ガッツリ言ってしまうと、
本編のシナリオ中で、その答えは明かされることはありません。
「こういうコトが書いてあったんです」ということは明示されないのです。
つまり、謎。
最後まで謎のまま。
絢辻さんと家族の間のデキゴトと同じです。
そして、もう一つ、オイサンには疑問があります。

  「では手帳は、この物語の中でいったい何を象徴し、
    どんな役割を果たしたのか?」

ということです。
ただプレイヤーを引きつけるための設えとして登場した、
というケースもそりゃあり得ますが、
それとして処理してしまうには、絢辻さんの言葉はあまりに示唆に富みすぎる。

むしろ、何が書かれていたのかが明示されない以上、
こちらの疑問を解き明かし、その答えに、
具体的な言葉で語られたメッセージを編み込むことでしか
……求める答えは得られないのです。

オイサンの読み解くそれが、
製作者の方々がこめたものと一致するかどうかはわかりません。
わかりませんが……
絢辻さんの残してくれた

「いつか、あたしのことをもっと知ってくれた時にね」

というメッセージに報いるために。
この先は、オイサンの妄想と創造の両エンジンをフルドライブさせてみたいと思います。
以降では、
 ・手帳が物語の中で果たした役割と、その象徴するところ
 ・具体的に、どんなことが書かれていたのか
の二つの疑問に順番でせまるという……その無謀に。
いっちょ挑戦してみたいと思います。

だってオイサンは、絢辻さんの本当のことが知りたい一心で、
こんなコトやってんだもの。



   ■3) 手帳は扉、あなたは鍵~手帳が象徴するもの



先ずは、「手帳が物語の中で何を象徴したか」について。
これはもう、アッケラカンと書いてしまいたいと思います。
多分、皆さんも考えている通り。

 「絢辻さんの心の頑なさ」

そのものです。
「『猫をかぶった絢辻さんの心』の、心の中心にあるもの」
と言い換えてもいいかも知れません。

  但し、単純に「絢辻さんの本心」とまで言ってしまうと、
  そこにはちょっとしたズレが生じる気がします。
  あくまでも、「素の絢辻さんの本心」ではなく、
  「猫かぶり状態の絢辻さんのコア」なのです。

そう考える理由をご説明するために、物語を振り返ってみましょう。
主人公が手帳を拾うことにより、
絢辻さんは主人公に少しずつ素顔のままの表情を見せ始めます。

それは単純に、
「こいつにはバレてんだから繕ってもしょうがない」
という開き直りもあるでしょう。
しかし絢辻さんは明らかに、猫かぶり以上の秘密の展開や、
主人公への依存を予感させる行動を見せ始めます。

手帳の存在と、
そこに書かれているであろう絢辻さん唯一の弱点ともいえる「何か」、
それを知られることで絢辻さんは主人公に素顔を見せざるを得なくなり、
素のままの自分で、素のままの他人と触れ合う時間が
それまで、日常の中では常に張りつめていた心を弛緩させる作用を果たしたのでしょう。

おそらく絢辻さんは、素の自分で主人公に接するとき、
初めて「人と接することが楽しい」という感覚に見舞われていたことでしょう。
それまで、人前では「頑なである」という一つの状態しか存在しなかった心に、
もう一つ、あたたかく緩んだ状態が生まれることで、
心はそのギャップというか、二つの状態の間の大きな振れ幅に耐えきれなくなり、
やがて絢辻さんらしくなく、楽な方、心地よい方へと吸い寄せられていったといえます
(無論その過程がラクな出来事ばかりでなかったのは、これまで書いてきた通りです)。

  物を、極端に温めたり冷やしたりを繰り返したときに
  そのものが脆くなるのと同じような感じだと考えるとよいかもしれません。
  そのきっかけとなってしまったのが、図らずも手帳であった、ということです。

それまで誰にも見せたことの無かった、手帳の中身……
否、
手帳の存在を知る者自体が、それまでいなかったのかも知れません。
そこに、主人公という小さな綻びの一穴が空くこと
──自分が弱点を抱えて生きているのだ、ということを、
  それがどのような物であるのかを知られないまでも、
  その存在を知る者が側にいること──
で、絢辻さんのダイヤモンドの心が途端にもろさを露呈し始めるというわけです。

絢辻さんシナリオの物語の過程全てがその流れの上にあるといえますが、
象徴的であるのは、図書館でのイベントである「一人は嫌」でしょう。

時折、情緒が不安定になるという絢辻さん。
それまでは、ある程度発生時期の予測がついていたというその症状に突然襲われ、
図書館で一人、「いつまで頑張ればいい」「もう一人は嫌だ」と嘆き始める絢辻さん。
しかしその不安定さからも、主人公の登場によって、絢辻さんはなんとか脱します。

そして次の大きなタイミングでは、
絢辻さんは主人公と「互いに寄り添うこと」の確約を手に入れることで、
手帳を手放す決心をします。
上で書いた2つ目のイベント「再出発点」がそれです。

このイベントが具体的に何をあらわすかについて、詳しくは次の項で書きますが……
つまりは
「自分以外の誰かを信じ、幸せを求める過程の一部をそこに委ねる」
決心を、絢辻さんがしたことが描かれています。
それまでは、自分そのものか自分の価値観に基づいて組み立てたモノ以外を信じ、
何かを託すようなことを、絢辻さんはしません。
それを、自分とまったく反対の価値観を持つ主人公に託そうと、
それまでの主人公の行いや、自分が主人公に感じた安らぎなどから決心を固めたわけです。

そして、それを行った直後、絢辻さんは手帳との完全な決別……
主人公を立ち合わせての、手帳の火葬を執り行うわけです。

そしてさらにその決別の直後には、
クリスマスツリーの件で自分を糾弾するクラスメイトたちに対してさえ
その本性の一部をのぞかせて、孤立するまでに戦いを挑みます。
主人公の存在を信じ、それまでの自分を捨て去る、新しい決意の表明がそこにあるのです。

また実にストレートな例として、
「ナカヨシ」ルートのエンディングで、絢辻さんは主人公に、
「あなたは、私にとっての鍵」
と言い、
「アコガレ」から「スキ」にステップアップする際(手帳を燃やした直後)
のモノローグでは、
「なんだろう、この感じ。変わったわけでも、変えられたわけでもない。
 閉じていた扉が、ゆっくりと開いていく感じ」
と語ります。

「スキ」ルートのエンディングで、絢辻さんは主人公に
「誰も知らないあたしを見つけてくれた」
と言ってくれますが、実のところ、それは逆で、
絢辻さんは常に、自分から自分の本当を主人公にさらけ出し、
誰も見いだせなかった本当の主人公を探し当てたのが絢辻さんのほうだった、
という図式にすり替わります。

手帳という壁がほころんでいくことを契機として、
少しずつ新しい表情を見せ、新しい行動を起こす絢辻さんの姿。


  ……。


以上が、オイサンが手帳を「絢辻さんの心の頑なさ」を象徴すると読み取った理由です。

ここからはちょっと余談、なのですが……。
オイサンは、絢辻さんというキャラクターが、なんとも聡明だなあ、と感じるのです。
初手こそ、自分の頑なさである手帳が世にさらされることを恐れて
主人公の口封じに奔走する絢辻さんですが、
しかし主人公の持つ性質の中に、自分が求めたいたものがあると見るや、
それまでの生き方が瓦解することを視野に入れながらもそちらに進むことを、彼女はためらいません。

しまいにはそれまでの自分の象徴ですらある手帳を火にくべ、
「自分にはもう必要がない」とまで言いはなつ、その迷いのなさ。
……いや、モチロン迷いや戸惑いはあったのでしょうが、
彼女はそこに保険をかけるようなことはしませんし、
それまでの自分が無に帰すことを恐れて、より頑なになるような愚を犯さない。

あの、手帳を燃やすシーン。
オイサンは果たして、人生の決断の場面で、あそこまで鮮やかに決断を下せるかと問われれば……
ハッキリ言って、さっぱり自信がないワケです。

ホント、オイサンみたいなトンチキ野郎にとっては
美しすぎる、魅力的すぎるキャラクターです。
絢辻さんが好きだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!
誰よりも真剣に生きてる、絢辻さんが大好きだ!!



  ■その2へ続く!


……とまあ、相も変わらずバカみたいな愛を詳らかにしたところで、
あんまり長くなってきたので一端ここで続きます!

その2は今日中に更新!
オイサンでした!







 ◆『アマガミ』絢辻さんシナリオ解読企画 「手帳の中のダイヤモンド」 目次
    01 前口上
    02 序文・絢辻詞という「少女」
    03 第〇部 物語のアウトライン 

    04 第一部 学校生活編 PRE STORY (SS)
    05 第一部 学校生活編 その1
    06 第一部 学校生活編 その2

    07 第二部 「目標」編 PRE STORY (SS)
    08 第二部 「目標」編

    09 第三部 家族編 PRE STORY (SS)
    10 第三部 家族編

    11 第四部 手帳編 PRE STORY (SS)
    12 第四部 手帳編 その1
    13 第四部 手帳編 その2

    14 第五部 恋愛編 PRESTORY その1 その2 その3 (SS)
    15 第五部 恋愛編 その1 その2 その3
    16 第六部 終章 PRE STORY その1 (SS)

    ◎『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク

 

 

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