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2009年5月の25件の記事

2009年5月31日 (日)

■求心する言葉たち -更新第227回-

白石涼子さんという声優さんの存在を意識したのは
今期の『夏のあらし!』がお初だったんですが。

そのEDの『キラリフタリ』のマキシを買ってきました。

  白石さん、名前くらいは見かけたことはあったんですけども。
  ぶっちゃけ、お名前と「ああ、最近の声優さんなのね」くらいにしか知りませんでした。
  色々と精力的に活動されてる方のようですね。
  振り返れば、以前好きだった『ひまわりっ』のOPも、
  歌っていたのは白石さんでした。

で、『キラリフタリ』。
それを聴きながら歌詞カードを眺めていると、
どうにもその隣の、カップリングの歌詞が気にかかる。

……異様な、勢いを感じるわけです。
オリジナルの曲かと思うのですが、何か歌詞のノリがおかしい。


■ひまわりっ! OP「太陽のかけら」

このOP……曲はホント素晴らしいのに、映像がもう、この上もなくヒドイ。
もうチョイ何とかならなかったのか。実にもったいない。

キラリフタリ キラリフタリ

アーティスト:白石涼子
販売元:キングレコード
発売日:2009/05/27
Amazon.co.jpで詳細を確認する

聴いてみるとやっぱり勢いがあるし、ある種の熱を感じる。
歌詞は妙にとっ散らかっていてまとまりが感じられないのに、
奥の方には確かに一本芯が通っているわけです。

どうもおかしい。オリジナル曲なのだろうけど……
何のテーマもなしに、こんな歌詞になるもんか? と思いながら聴いててピンときた。

こりゃ、プロ一人の仕事じゃねえなと。
「ラジオ番組かなんかのイメージソングを、リスナーから募集して作ったな?」
と。

見れば作詞者に、
「白石涼子 & そんSongリスナーズ」
と書いてある(先に見ろ)。

で、Google先生にお尋ねしたところ、ビンゴでした。
白石さんがやっておいでのラジオ番組でテーマソングの歌詞を募集し、
最終的には白石さんがとりまとめて一つの歌詞にしたらしい。
納得です。

その番組を知らない身で聞くと
とっ散らかって荒っぽいというか、何が言いたいんだ、的な感じは残るんですが、
何が言いたいのかクッキリとはしないんだけど、
確かに感じる一つの意思がある。
ところどころに散りばめられた不可思議な単語が
ああ、番組の合い言葉とか、番組の印象的なエピソードから抽出された言葉なんだな、
と推測できたりで、なんというか微笑ましいというか。

一つのイメージの元に集った
そもそもバラバラな筈のたくさんの言葉の集合が、
最終的にはまた一つの中心に向かって収束しようとする指向性が感じられる。

大学のサークル活動みたいなアマチュアリズム特有の熱を、
プロフェッショナルが統率するような一体感が感じられ、
まとまり過ぎず、野放図過ぎず、心地よい。
新機軸のゲームの一作目のような未完成感、けれどもその可能性の魅力。
知らない人間としてはそこに感じる若干の疎外感が寂しいんだけど、
それもまた心地よいというか。

その中でも、

  ♪♪なんてこった ちゃんと意味があるんだ!♪♪

とかいう歌詞はすごく好きです。
歌詞だけ聞いても何の意味も通っていないのだけど、
小さく捉えれば、番組の中で何かの折りに取り上げられた言葉なのか、
白石さんご自身に思い入れのある言葉だったりするのでしょうし、
大きく捉えれば誰もがそのことを感じる瞬間がある言葉で、
グッときます。

なんというか、歌詞を採用された人間は、
この上なく嬉しかったろうなあ、とか。
自分もラジオ投稿歴が長かったので、その気持ちはよく分かる。

……なんというか、こういう活動で、
創作し、それが実を結んで人に受け入れられる喜びを
色んな人に伝えてってほしいなあと思いました。


  ……。


前回の記事の続きではありませんが、
「創作か妄想か」というのは、つまりこういうコトなわけです。
この歌詞は、番組という一つの土台に基づいて作られ、
その土台を知らない者には、ぶっちゃけクッキリとした像を結びません。

根っこはウチワを狙って作られたものなので、それはそれで良いのですが、
それをこの「番組を聴いてない人も手に取る可能性のあるCD」にカップリングする、
というのはある種の驕りでもあるのです。
単体でも通じるはずだ、伝わるはずだ、という一つの思いこみ。

無論作り手としてはそうなるように、単体でも成立するようにと考えたのかもしれません
(そうでないかも知れませんが)。
しかしこの曲が何を歌おうとしているのかは、多分、
題材となったラジオ番組と、この曲が生まれた経緯を全く知らない人には
なかなか伝わるものではないでしょう。

番組を知らないオイサンにとって、この曲はそういう一つの妄想であるわけですが、
それを突き抜けるパワー(に、今回はオイサンの経験が手伝ってますが)によって
「創作」になりえるだけの勢いがあると思います。

今回オイサンはたまたまこの歌の出自に気付くことが出来ましたが、
そうでなければ「なんか変わったノリの歌だな」で終わってたと思います。
気付いた今では、
もともといろんなラジオ番組のヘビーなリスナーだったオイサンとしては、
当時の気持ちすら呼び起こす、この上もなく素敵なお歌だと思います。


■太陽のかけら PV Full



オイサンでした。


 

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2009年5月30日 (土)

■巨溝:妄想と創造 -更新第226回-

オイサンです。
今回は、ちょっと書式をいつもと変えて。
内容も、ちょっといつもと変えてのお届けです。


     *     *     *


 今回は、妄想と創作の違いについて、ちょっとキチンとさせておこうと思います。
 というのも、絢辻さんとお知り合いになってからこっち、この頁にも頻繁に創作系のものを載せていたこともあってか、最近身の回りの方々から何度か「読んだよ、あの妄想の」と言われることがあり、その度にちょっと悔しい思いをしなければならなかったためです。

 最初に、誤解のないように申し上げておきますが、その様に仰る方々を悪く言うつもりは決してありませんので、悪しからずご理解戴きますよう。以下の内容を読んで戴ければそれもお分かり戴けると思います。そもそも、読み手が作品をどのように受け取るか、という部分は受け手の自由でもあるわけですから、この文章自体の主旨が危ういのですが、それはもう書き手としてのエゴの発露と、皆様にとっては、読み手として書き手の心情の解釈の、一歩進んだ仕方と思って一緒に考えて戴けると、恐悦至極に存じます。


     *     *     *


 ではそもそも、妄想と創作の違いとは何なのか、ということを書き手の立場から明らかにすると、ずばり「作品が理性によって制御されているか。或いはその制御の程度」に尽きると、オイサンは思っています。

 そしてその二つの関係についてですが、これはもう明確に区別されるべき物で、妄想が創作に含まれるとか、或いはその逆であるとか、そういうことはあり得ない、とオイサンは考えております。もしかすると、その二つの円の外縁が若干触れあう、ほんのちょっぴり重なるなど、そういうことはあるかも知れませんが、その円の中心同士は、同じ平面に存在こそすれ、大きく距離を隔てた場所にあると理解するものです。

 ではまず妄想とは何か。
 妄想は野放図な物であり、また作者(と言って良いものか、そもそも妄想は形をとることが多くないと思いますので、この場合妄想の行い手だと思って戴きたい)一人の物であると言って良い。作者以外の他者に理解される・せしめることを前提に制作されない物であります。その工程を痛快にすっとばしたモノであります。また、登場する人格に一切の考慮がされないものであります。

 例えば、以前にオイサンが数行で書きなぐった「オイサンがシゴトバでエレベータに乗ったら途中の階から絢辻さんが乗ってきて、人目の無いのを良いことに抱擁をかわした挙げ句、オイサンが昼に食べこぼした煮魚の煮汁を見咎める」などというのは、これはもう明確に妄想であります。
 何故なら、これを『アマガミ』という作品の二次創作と理解した場合、絢辻詞というキャラクターは、一次創作物であるゲーム本編の中で、そのような無分別な行動を好む人格として描かれませんし、彼女の人格をいかに延長したところで、そのような行動を取りうるとは思えない。そもそも、彼女が成人し社会に出たと仮定したとしても、行き着く先は医療関係の現場であって、オイサンの勤務するようなIT関係会社の事務仕事などとは縁遠いはずだからです。これは、創作として不完全というか、「人物の人格に、理性的に慮ったものである」とは言い難く、想者の都合のみを重視した野性的なものであると言えます。
 もしもこれを一つの作品として昇華し発表したとして、『アマガミ』本編を知る人々の理解や賛同を得られるかというと、それはまず無い。つまり、既に人々の胸中に像を結んでいる『アマガミ』という作品や、絢辻詞というキャラクターに重なることが無く、そもそもそうあることを目標・目的としていない作品です。万が一、作り手側にその意識があったとしても、それは作品の読みこみの浅さであるとか、娯楽性の足りなさである(意図してイメージから外しているという表現や宣言の不足)とか、その辺りに原因のある「失敗作」であるといって差し支えないでしょう。この場合、作者に対する「この作品は妄想である」という感想は、読み手としては至極真っ当なものですが、作り手にはいささか残酷な言葉として届くでしょう。

 ではこれに反して「創作・創造」とは如何様なものである(べき)でしょうか。
 簡単に書いてしまえば、前述した妄想の特徴をすべてひっくり返したものである、と思って戴ければ良いでしょう。二次的な創作物に限定した言い方になってしまいますが、つまり、人々の心に既にあるものに寄り添うよう、理解を得られるよう、そもそもの「像」(舞台・事件・人物)を理解し、慮り、理性的・客観的に再構築したものである、そうあるべきものであるのです。
 もっと大きく言うなら、「(その世界の)現実に即したものである」ことが重要であると言えます。
 例えば、現実の世界で一人の男が殺される事件が起こったとして、その時の状況や被害者の人物像・人間関係など一切の調査もなしに、またはそれらの一部を聞きかじっただけで自分の推測を交えて犯人を割り出したとしても、それは周囲の人間からは「妄想である」と一蹴されてしまうことでしょう。
 しかし、十分に調査を行い、分析し、様々な事実から確からしさに基づいて導き出した結論は、それが真に正解であるかは別として、「考慮するに値する情報」として受け入れられるはずです。この理性と客観性による導き出しとシナリオの構築こそ、創作・創造にあって妄想にないものです。
 即ち、妄想と創作の境界とは、その作品が立つべき土台を見渡し、理解し、咀嚼して、後に書き手たる自分と同じ土台に立つであろう読み手と同じ目線の高さにて、作品を構築しようとする姿勢があり、かつそれを実践出来ているか、ということに他なりません。

 以下少し、オイサンの書いてきたモノを使って説明させて下さい。
 まず、「手帳の中のダイヤモンド」の第一部のPRESTORY
 これは、オイサンとしてはかなり創作に寄せて書いたつもりのものです。放課後の教室という舞台の設定、主人公と友人・梅原の関係性、絢辻さんの人格面などは、基本的にほぼ完全に『アマガミ』本編からコピーしたものです。
 ただ、絢辻さんが分厚いプリントを見せ、主人公に背中で手伝いを要求・期待するというウェットな人物像には、オイサンの願望を色濃く滲ませました。これは一つの絢辻さん像の解釈ですが、ある意味、妄想の発露です。本篇から、絢辻さんの人物をこのように読み取らない方もおられるでしょうから、齟齬が生じ、ここに違和感を覚える『アマガミ』プレイヤーもおられることでしょう。
 意図とはずして失敗したなあと思うのは、「脅して手伝わせた主人公に謝罪を漏らす」ところです。ここはちょっとウェットに過ぎた感が、書き手としても残ります。

 続いて、同じく「手帳の中のダイヤモンド」の第二部のPRESTORY
 これは、妄想が大部分。
 絢辻さんが自分の将来設計(絢辻さんの妄想?)をうっかり口にするなどということは、ちょっと考え難い。まあ、ヒトツ絢辻さんの可愛い顔も見たいじゃないか、というサービス精神のつもりで一種ネタ的に、妄想を妄想のまま表に出したものになっています。主人公も、自分の将来を真面目に考えて思い悩むような人間ではありません。
 その分、作者的には満足度の高い、娯楽性の高いものになっていますが、読み手のことはあまり考えられていません。どちらかといえば、裏拳ブン回してる絢辻さんのマニューバのビジュアル的な面白さであるとか、端々に埋め込んだ表現の遊びを楽しんでもらえると良いかな、という気持ちで拵えてしまった物語です。

 続いて、同・第三部のPRESTORY
 本編出場キャラクターの美也はともかく、主人公の両親像は完全に想像ですので、読み手がこれをどう捉えられるかはオイサンにも分かりません。家族の話をするのに、どうしてもご登場戴く必要があったので出しました。本当は、もう少し気の利かない感じのご両親なんだろうな、と言う気はします。ですが、お話のために強引に曲げました。特に、絢辻さんの家族との対比のために。
 そういう意味では、ほぼ完全に創作に徹した作りです。存在しない物を、この物語の整合性を慮ってフルスクラッチで削り出したわけです。
 妄想的な成分といえば……最後で絢辻さんに言わせた「夕飯抜き!」の一言。ちょっと家族ごっこをしてみたかった絢辻さん、という気持ちで入れたので、違和感を感じる人はいると思います。サービス半分、願望半分です。
 ちょっと話ははずれますが、リアル妹持ちの友人から「(美也というキャラクター像が)妹に夢を見過ぎている」と言われたことが意外でした。というかその彼は『アマガミ』をやっていないので美也に違和感を感じるのは当然かも知れませんが。かなり良い妹ですしね、美也は。

 そして同・第四部のPRESTORY
 これは難しいところです。
 ゲーム本編に登場するイベントを、状況・セリフ、ほぼまるまるコピーした上で、その隙間にあったであろう出来事を理詰めで補完挿入し、さらにその先にあるであろう感情を検証と予測織り交ぜて表に出したモノです。
 そう考えると、ほぼ完全にオイサンの解釈を軸に仕上げた「創作」なのですが、このイベント自体が、本編でも明確な回収の行われない心情の塊で、解釈はプレイヤーに委ねられるタイプのものですので、オイサンの読みが甘ければ失敗……「妄想」の割合が上がってしまうでしょう。賛同して下さる方もおられるでしょう。願わくば、沢山の方に賛同していただきたいところですし、そうなるように時間をかけて、勢いだけでなく丁寧に積み上げたつもりではいます。ちなみにこのPre Storyは着想から出来上がりまで、12時間以上かかっています。

 このほかにも、第222回で上げた『ペルソナ』や『オホーツクに消ゆ』のものなどは、完全に創作です。どちらも書いたのは随分前のコトですが、妄想をさしはさむ余地がなく苦労したのを覚えています。


     *     *     *


 ここまで読んで戴いてお分かり戴けたと思いますが、妄想と創作の境界というのは、二次創作にあっては、「第一次の創作物」という絶対のグラウンドを理解していないと難しい、ということです。難しいにとどまらず、恐らく、不可能(ちなみに、一次創作にあたっては、恐らく「妄想」であるという判断は出来ないと、オイサンは思います。一次創作物の場合、ノンフィクションやドキュメンタリーならば、調査・データ不足の妄想、という評価もあり得るでしょうが、全くのフィクションの場合のそれは、「説得力・脈絡の感じられない失敗作」という評価に落ち着いてしまうと思います。現実にそくしてない、というか、自分で構築した物語の前提にのっかれていない不安定なもの、ということになるでしょう。閑話休題)。

 ですから、その土台を摂取していない方々に対して、作品が妄想か創作かを見極めろと言うのはそれこそ、土台無理なお話あり、読み手には一切の罪も過失もありません。ただ、それが二次創作であるというコトを理解しながら、上で書いたような姿勢・配慮があるかどうか、あるいはそういったことが成されている「感」があるかどうかを読みとることが出来るようになると、楽しみが広がるということをお伝えしたいと思いました。
 またさらに、作者という人物を知っていればいるほど、その境界の線引きが難しくなるでしょうし、さらにさらに、「作り手に回った経験があるか無いか」によっても、成否の計り方が変わってくるはずです。

 このため、それをお客様である読み手の皆さんに、理解せエ、読み分けろ、などというのはおこがましいことこの上なく、書き手のエゴ、わがまま以外の何者でもないわけで。そのことは重々承知した上でナンダカンダとかき殴ってきたワケですが。
 もしかすると読み手としても、そういう意識や知識があった方が面白く読めたりすることもあるか? と、今回いただいた色々な感想の中で思いましたので、こうして書き留めてみた次第です。

お楽しみ戴ければ、幸いです。

近所のドトールにて、延々『アフリカ』を聞きながら。
キリンと相席する夢を見たよ。


オイサンでした。


 

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2009年5月28日 (木)

■2位以下は負け。 -更新第225回-

絢辻さんと水族館デートしてから寝たら
夢ン中でリアル幼馴染みのユキさんがご飯を作ってくれました。
オイサン@……それはどうなんだ。

ホント、あのまま目が覚めなきゃ良かったのに。
いい夢だったなあ……。


■2本のハンパ


今期アニメのツートップは
『夏のあらし!』と『けいおん!』の「!」コンビで決まりなのですが、
そのかなり下の方で競ってる方々がいます。
『戦場のヴァルキュリア』と『ティアーズトゥティアラ』です。

戦場のヴァルキュリア(通常版) 戦場のヴァルキュリア(通常版)

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TVアニメ『ティアーズトゥティアラ』Prologue Sound Track TVアニメ『ティアーズトゥティアラ』Prologue Sound Track "origo cunctarum rerum"

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発売日:2009/03/04
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……どっちも非常に中途半端というか……
見始めればユルユルと面白いんですけど、見るまでに引力が働きません。
「あ、続き見たい!」とか
「あのキャラを見たい!」という衝動がありません。

おかげでチョイチョイ溜まってしまって、
「今週は『ヴァルキュリア』を見る週」
「今週は『TTT』を見る週」
とか言って週代わりで2,3本ずつ見る、みたいなペースになってます。

  あ、ちなみにオイサンは、どっちも原作ストーリーは
  一切知りません。

見れば面白いポイントとしては、
『ヴァルキュリア』はヒロイン・アリシアさんの百面相ぶりが楽しいですし、
『TTT』は魔王アロウンさんの良い人振りと、
彼がその優しい目線で世界に何をもたらそうとしているのか?
という物語的な興味があります。
あと萌え爺ィ・オガムの萌えっぷりですかね。
オガム可愛ぇ。





『TTT』、DVDやらのCMでは「本編には女の子も一杯!」
なんていうロコツなフレーズが踊っていますが、
このお話の魅力は絶対にアロウンさんとオガムさんが担っています。
あとは主人公アルサルくらいですか。
女キャラは挙って魅力不足。今んトコ見る価値一切ない。
制作側の意図に反して、ある意味、硬派なマンガになってます。

恐らく、次々と参戦してくる女性キャラが、
これといったエピソードも持たず、
ただ何となくアロウン復活のドサクサで仲間になっているから、
だと思いますが。
これで戦って死んだって、なんも残らないカンジなんですよね。

あと『TTT』は新進気鋭の制作スタジオが作ってるみたいですが、
……正直なところ、絵がヘイバンな気がします。
どう言えばいいんでしょうか、
画面へのモノの写り方がすごく単調なのです。

  『夏のあらし!』のように、
  脳みそにズッガーン!((C)森島センパイ)と叩き込まれるような画がナイ。

人物の顔が大写しになるシーン、ややヒキのシーン、大ヒキのシーン、
みたいな移り変わりのテンポが同じ?なのか、
あるいは同じようなシーンがやたら続くのか……
あまり真面目に分析したわけではないのですが、
見ていてタイクツです。

  ……ただ……不思議な予感として、このマンガ、
  最終的には割と名作ちっくな位置に収まるような気がするんですよねえ……
  なんだろ、この気持ちは。

画としてまだ面白いのは『ヴァルキュリア』なのですが、
そっちはそっちで、お話的な興味が一切ない。
アリシアとウェルキンのちょっとズレた関係と、
それによってクルクル変わるアリシアの表情だけが楽しみ。

この二つを足して、割らずにおけば
丁度いいカンジになるんじゃないか、という気がします。

オイサンでした。

ちなみに『バスカッシュ!』はほぼ完全に脱落気味(録ってはいるが見る気ナシ)、
前期から来てた『宇宙をかける少女』は完全に見なくなりました。


 

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2009年5月26日 (火)

■シューティング詩吟 -更新第224回-

■そうさな俺が死んだなら

そうさな俺が死んだなら、
── 骸は、拡散波動砲で焼ひてお呉れ。

そうさな俺が死んだなら、
── 骨は、バヰドに喰はせてお呉れ。

そうさな俺が死んだなら、
── コンテヰニュウはしなひでお呉れ。

何故つて、コンテヰニュウして生まれたスコアは、
決してランキングには残らなひのだからさ。


    (宮沢賢Z 『或る撃ち人の恋』 より)


── あると思ひます。
オヰサンであつた。


 

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2009年5月25日 (月)

■手帳の中のダイヤモンド -11- 第四部 PRE STORY -更新第223回-

覚悟を決めて。
バチリと鞄にロックをかけたとき、

「よ! どうだ? 今日はゲーセン寄ってかねえか?」

と、梅原が声をかけてきた。
お前にどーしてもかけたい技があるんだよぉ、
と嬉々として盛り上がる梅原には悪いと思ったけど、
僕はそのまま鞄を手にとると、「悪い」と切り出した。

「今日は、ちょっと行きたい所があるんだ」

あまりにまっすぐに告げる僕に意表を突かれたのか、
梅原は、お、おお、そうか、と豆鉄砲を食ったようになりながらも

「別に、そっちの用事が終わってからでもいいんだぜ?
 付き合うからよ」

と、いつものサバサバした笑いを見せてくれた。
本当にありがたい友達だ。僕にはもったいないとさえ思う。
でも。

「ホント悪い。今日は、一人がいいんだ」
「ん、そか」

それ以上は付きまとわないし、詮索もしない。
少しだけ寂しそうに眉を下げながら、じゃあ、と短く、片手で別れを告げた僕を、

「おう、じゃあな」

と送り出す、コイツの男ぶりには頭が下がる。
寿司屋の男ってのはみんなこうなんだろうか。その境遇が少し羨ましい。

「なんかあんなら相談には乗るからよ。
 似合わねえ真似だけはすんなよな!」

教室を出ようとした僕を声だけが追ってきた。
ホントのホントに、いいヤツぶりだけだったら大統領選も当確間違いなしだ。

下足場を抜け、校門前の広場で空を仰ぐ。
12月初頭のある日。
朝の天気予報が告げたのは、今年一番の冷え込みと。
例年にない、早くて深い、本当の冬の訪れだった。
凍てついた今日の空は、紛れもなく。澄んでいる分、高くて遠かった。



       *        *        *



校門をくぐり、落ち葉の覆う桜坂を下り。
公園を抜けて、昨日も通ったばかりのその道は、住宅街に入った。
そして、昔から人の暮らしの和の中心にあった場所へと続いている。
人々の心の中心、と言ってもいいのかも知れない。
僕は昨日あったことを鮮明に思い出しながら、
昨日と同じその道を、息が切れるくらいに早足で辿った。

(絢辻さん……)

やがて見えてくる、汚れた朱色の鳥居をくぐり。
落ち葉の積もった石段は、滑らないようにするのに一苦労で、
石と靴底の間で、粒の大きな砂がざりりと居心地の悪い音を立てる。
耳のかけた狛犬は冷気を吸ってキリリと冷たかった。

(絢辻さん……!!)

『『こっち』』

と、昨日の、言葉少なな絢辻さんの声が僕を導く。
人の世を厭うように境内を避けて裏手に回ると、秘密めいた気配がひたりと辺りに張り詰めた。
神社の、境内の裏手。
あの日、手帳を拾った僕を、中身を見られたと勘違いした絢辻さんが連れてきた場所だ。
僕と絢辻さんは、ここで確かな「友達」として一歩目を踏み出した。

『『スタート地点よ』』

昨日から、僕の頭の中で沼のように渦を巻いてる絢辻さんのいくつかの言葉。
スタート地点か。
昨日、絢辻さんの話を聞きながら、確かにそうだと心密かに思っていた。
でも、多分、絢辻さんの言っているのがそれっぽっちの意味ではないことも、
最近起こった色々な出来事で、僕は分かり始めていた。
17年間。
じっと押し黙って来た絢辻さんが、初めて他人に対して、自分から口を開いた場所。

僕は物思いに呑まれそうになるのを振り払い、
乾いた落ち葉の上をザクザク進んだ。

腰をかがめ、お社の、張り出した巡り廊下の下を覗き込むと、
古ぼけた箒やちりとり、それに破れた幟なんかが、頼りない梁の隙間に山としまい込まれていた。
そしてその片隅に、

(あ。あった……)

あっけなく。
眠っていたのは、ブリキのバケツ。
年代物のそれは、昨日はそんなことを気に留めている余裕もなかったが、
ぼこぼこへこんでひどい形だった。
その底には、昨日出来たばかりの手帳の灰が、
お葬式の垂れ幕のような佇まいで、風に泳いでいた──。



       *        *        *



……それは一瞬の出来事だった。

昨日。
僕をここに連れてきた絢辻さんは、
周りに人がいないのを確かめると、ようやく僕の方を向き直った。
必要なことを言わない人じゃないのは分かっていたし、
必要のないことは言わないのも分かっていたから、
僕も何も言わず、彼女がことを切り出すのを素直に待った。

「……えっと……」

けれどこの日、

「ん……」

絢辻さんにしては珍しく歯切れが悪くて、

「あの、ね……」

僕はなんだか、絢辻さんが女の子で、自分が男であることを、
少し強めに意識せざるを得なかった。

「……もしかして、言いにくいこと?」

……そんな疑問にすら。
言いよどむ彼女を見るのは、初めてだった。

「そうでもないはずなんだけど……」

的確な言葉が浮かばない。
自分にはあまり起こらないその状態に、絢辻さんは戸惑っているようだった。
ああでもない、こうでもないと頭の中で二度、三度。
作っては壊しを繰り返し、いよいよ言葉にはできないと悟ったのだろう、
彼女は制服の内ポケットに手を差し入れた。

絢辻さんにはそういうところがある。
感情と肉体という、どうにも制御のできない厄介なものの力の強さを、
骨の芯で知っているらしかった。
そういうときには、その流れに逆らわないのが一番なのだと。
頭がいいんだ。本当の意味で。

そうしてポケットの中から絢辻さんが連れだしてきた物を見て、僕はたじろいだ。
それは、革張りの、黒い……

「ね、これ。憶えてるでしょ?」
「う、うん。絢辻さんの手帳……だよね」

忘れられるはずがなかった。
それは、あの日僕が拾った絢辻さんの手帳だ。
にこやかで、控え目で、おしとやか………………な、筈の。
僕の知るそれまでの絢辻さんを、強烈なインパクトで豹変させた、
天使と悪魔の変身アイテム。

そして、互いに一人のクラスメイトに過ぎなかった僕たちを、
特別な存在へと押し上げた、クラスチェンジのためのアイテム。
あの日を境に、あの手帳に導かれて、僕らは「出会った」。
言い方はおかしいけれど、僕らのおかしな関係にはぴったりだ。

その手帳の後ろから出てきたのは、赤いプラスチックのライター、
絢辻さんは使い慣れているはずもないそれを、

「……! ああっ!!」

──── 一瞬、ほんの一瞬の迷いのあとに鋭く擦ると、点った炎に手帳をかざした。
ちりっ、と音がするかしないか、頁の端だけが黒く染まってめりめりめくれ上がり、
炎色の透明な渦の中に飲み込まれていく。
僕はただ、呆気にとられて見ていた。

僕が彼女の秘密を知った日。
僕が彼女の手帳を拾った日。
僕が絢辻さんの本当の心と、少しだけ友達になったあの日。
あの日、彼女は僕になんて言った?
手帳の中身を、なんて言った!?

「見ちゃったんでしょ? あたしの秘密」
「大変なことになるの。分かるでしょ?」
「その、きれいな字で書かれたものを見ちゃったのよね?」
「……まあね。人に知れたら、学校にいられなくなるようなことよ」
「もちろん、知った人も学校にいられなくして上げるけどね」 

その手帳が、今、目の前で燃えている。
なんだろう……なんだろう、この絶望的な気分は!
それなのに絢辻さんときたら、あちっ、と顔をしかめて手帳を持つ手を変えたぐらいで、
落ち着き払って辺りを見回すと、
お社の張り出した回廊の下を窺って、

がんっ!!

……と。
商店街の路地裏で、ゴミ箱相手に鬱憤晴らしをしていたときみたいに、
その下に隠れていた何かを、力一杯、ケトバした。
がらんがらんと悲鳴を上げて、
彼女の蹴りから逃がれ出てきたのはブリキのバケツ。
横倒しに転がり出たそれを、絢辻さんはもう一度、今度は優しめに、

がんっ。

けれどもそれは横倒しのまま、楕円軌道を描いて転がり、僕に近いところで止まった。
絢辻さんは、不服げに。
バケツに向けて落としたハの字に寄せた眉毛を、そのまま僕に向けた。
「次はお前だ」
……そんなはずはないのだけれど、炎とキック、
その二つにすっかり萎縮してしまった僕はそう言われたようで、
びくりと体を固くしてしまった。

「ん」
「え……え」
「んー」

無言で顎を突き出す絢辻さんが言いたかったのは、

「こ……こう?」

僕が寝ていたバケツを起こしてやると、絢辻さんは、また無言で。
ほとんど全身を炎に包まれ始めた手帳を……
やっぱり、またほんの刹那だけためらったあと、バケツの中に放り込んだのだった。
そして短い沈黙の後、話してくれた。

「もう、あたしには必要ないと思うの」
「前に進むには、邪魔なのよ」
「こんな物より、もっと大切な事があるって……
 わかってきたから」
「あたしが伝えたい事、あなたにはまだ分からないでしょ?」
「でも、そのうちきっとわかると思う」

僕が曖昧に頷くと、そこから先はもう無言で。
荼毘に付され、音もなく天に召される手帳を、二人して見送った。
僕も、絢辻さんも、時折顔を上げては、隣にいる互いのことを窺った。

僕は絢辻さんが何を思っているのか、ただ知りたかった。
彼女は時々薄く唇を噛んでいるようだったけれど、僕が見ていることに気がつくと、
深く、静かな視線を返してきた。

残念だけど、絢辻さんの言った通り。
今の僕には絢辻さんが何を思っていたのか、
この儀式にどんな意味があったのか分からなかったし、
絢辻さんが僕のことを見ていた気持ちも──分からない。
分かるのは、





 ──いつか、あたしのことをもっと知ってくれた時にね。





絢辻さんが、僕に、自分のことをもっとよく知って欲しいと思っているということ。
そして──今日ここで、一人の女の子が死んだ、ということだけだった。



       *        *        *



そして、その翌日のつまり今日。
僕は再び……早速。ここに来た。
女々しいと思わないではなかったし、タブーであるような気もしたから
昨晩からみっちり24時間、悩みもした。

でも、こうせずにいられなかった。
……大体、紙を燃やした灰に何が残るなんて期待は出来ないから、
ダメで元々というか……
大した意味のない、そこに何もないことを確かめるだけのつもりが大半だった。

それでも、考え、迷い、悩んだ。真剣に考えた。
もしも何かが残っていたら。
そこに大きなヒントが眠っていたら。
それだけで一大事だから。
それが、他ならぬ絢辻さんに関することだからだ。

「よっ……」

昨日、手帳が完全に燃え尽き、火が消えるのを見届けたあと、
絢辻さんがこともなげにそのバケツを、元あった回廊の下の、梁の奥に戻した
──今考えると危ないのだが、その時は二人ともそんなことを気にする余裕がなかった──
のを僕は覚えていて。
腰をかがめ、中身をこぼさないように、そっと引き寄せた。

ブリキのバケツは、昨日の炎が燻ることもなく、
その鉄肌に今日の寒さをピシリと蓄えていた。
底には昨日のまま、燃やした手帳の灰が積もっている。

鉛筆書きのメモが白い跡になって残っていたりしないか。
注意深く見つめてみてもどの破片も黒い炭の幕になっていて、
およそ文字のようなものは見つけられなかった。
ほっとしたような、がっかりしたような、
灰の重なった奥の方に何かが残っていやしないかとカサカサと揺すってやると、
大きな破片までもが崩れ落ちてバケツの中は余計に混沌となった。

(手がかりなし、か……)

「こーりゃ。そんなところで何をしとる」

神主さんのような口まねだけど、それは明らかに女声。ていうか、

「絢辻さん」

振り返ると。
隠す気も化ける気も、一切ない。
子供のいたずらを許すときの笑顔で、いつからそこにいたのか、
彼女はしずしずと歩み寄ってきた。

「あたしの大事な、手帳のお墓を暴きにきたの?」
「そんなつもりじゃ……絢辻さんこそ、どうして」
「どうして?」

何を今さら、と絢辻さんはただでも大きな瞳を、驚いた素振りで見開いて見せた。

「理由その一。あなたが朝から、そわそわして落ち着きがなかった」
「う……」
「理由その二。目の下にクマまで作って。そのクセ、珍しく居眠りもしないでね」
「……」
「三つ目。いつも遅くまで残ってダラダラしてるくせに、今日に限ってすぐいなくなっちゃって。
 しかも梅原君の誘いを断ってまで」

僕はグウの音も出ない。
分かり易いのもここまでくると、逆に罠かと勘ぐったわ、
と絢辻さんは肩を揺すって付け加えた。

「……じゃあ、僕のあとを追ってきたんだ」
「まあ、そういうことにはなるわね。
 ……あんまりさっさと帰っちゃうもんだから、そこだけは余裕が無くって、ホラ」

絢辻さんは少しおどけて、スカートの裾が広がるのも気にせず
前蹴りみたいに右足を僕の方につきだした。
「あ、上履き……」
ね。と、絢辻さんは愉快そうに笑みを浮かべると、調子を落として腕を組んだ。

「……と、言いたいところだけど。
 実際は、あたしもちょっと気になっちゃってね。
 半分は、自分のための確認」
「……そっか。そうなんだ」
「……何よ?」
「ううん、なんでもないよ」

正直なところ、すごくホッとした。
絢辻さんは、もう手帳のことなんかキレイに忘れて、
昨日の明日に向かって一人でどんどん歩き出してしまったんじゃないかと
恐れていた。

もし本当にそうだったら、こうしている僕が一人で馬鹿みたいだし、何よりも、
……絢辻さんのことをもっとよく知る機会なんて一生訪れないんじゃないか……
そんな風に考えていたから。

「で? 何か見つかった?」
「いや、なんにも。火も、ちゃんと消えてたよ」

僕はマジシャンよろしく、バケツをザカザカ揺すってその中身を絢辻さんの方に向けた。
絢辻さんは、困ったように笑っていた。

「そ。良かったわ。
 ついでだから、ちゃんと処理しちゃいましょう。ほら」

と、絢辻さんは。
僕の制服の袖を捕まえると、手水舎の方へと連れていった。
それから僕らは柄杓でバケツの中の灰に手水をかけ(こんな使い方をしていいのかな?)、
裏手の片隅に小さな穴を掘って濡れた灰を埋めた
(もちろん作業のほとんどは僕がやらされた……)。



       *        *        *



「ありがと」

一連の作業のあと。
戻した土を踏み固めながら、絢辻さんが言った。
視線は上履きのままのつま先を見つめていたけど、照れくさそうに、確かにそう言った。

「え、何……」
「本当は、こんなことはして欲しくなかったんだけど」
「こんなことって……あ…」

それは多分、この手帳の墓暴きのことを言っていたんだと思う。
結果的に何も出てこなかったとはいえ、
絢辻さんにとって、これは一つの裏切りのようなもの……だったのかも知れない。
だったらどうして。絢辻さんは、ありがとうなんて言うんだろう。

「でも、あたしのことを知ろうとしてくれたのよね。
 何にも説明しない、あたしも良くないのは分かってる」
「……」

何も言えなかった。
正直、「絢辻さんはひどい、身勝手だ」と思ったこともある。
あの手帳は確かに絢辻さんの持ち物だけど、
僕と本当の絢辻さんが出会った、最初のきっかけじゃないか。
それを、一人で決めて、一人で、勝手に。
絢辻さんはいつも、僕の気持ちなんてお構いなしだと、
悩み通した時間の中で、何度か腹を立てた。

昨日、炎の中で炭に変わっていく手帳を絶望的な気持ちで眺めながら、
絢辻さんにその気持ちをぶつけそうにもなった。
けれど、それは所詮炎が見せた一時の幻で、
絢辻さんの静かな瞳を何度か盗み見るうち……
彼女も、何かに耐えているのだと分かって、そんな気持ちは消え失せた。

「だけど、今はこうするしかないの」

すこし緩んでいた喉が引き締まり、
また絢辻さんは、最後の一言を噛み殺す。
言いたいに違いない、言ってしまえば楽になる、最後の一言。

『(ごめんなさい)』

今、絢辻さんは頭を、あの優秀な頭脳をフル回転させている。
僕のために、今出来うる最大限の譲歩を探して、
与えられる最高のヒントを、
絢辻さんが背伸びをし、僕が限界以上のジャンプをして、
それでようやく届くギリギリのロープを、神様に見つからずに渡すために。

うつむいて、うつむいて、うつむいて。
とすとすと、こらえるように確かめるように、濡れた土を踏み固める。
その下には、絢辻さんの17年間が眠っている。

「こんな風に頼めた義理じゃないけど……」

戦っているんだ。今も一人で。
そんな強い気持ちをなんて呼ぶのか、僕は知っていた。
それは、僕への……。

「焦らないで欲しいの。分からなければ、分からないで……
 そのときは……」

だから僕も、覚悟を決めないといけなかった。

「分かった。もうしないよ。こんなこと」

僕も同じく、噛み殺す。
それだけで、死にそうに辛かった。
彼女はこんな気持ちを、17年間一人で抱え続けてきたんだ。
それを思うと、健気で、痛々しくて。
絢辻さんは吃驚したみたいに僕を見たけど、
何かが心からこぼれそうになったみたいで、また唇を噛んで、すぐに目をそらした。

そして、誤魔化すように始まるんだ。
拗ねたような声。

「あーあ、上履き泥だらけ。
 ねえ、あなたのスニーカー、貸してくれない?
 このままじゃ学校に戻れない」
「え!? だ、ダメだよ!
 僕もう、このまま家に帰るつもり……」
「あらそう。そういうこと言うの?
 そもそも、あたしがここにいるのは誰のせいかしら?」

いつの間にか、声がずしりと重みのあるトーンに変わっている。
こうなると僕にはもう、反撃のいとまもない。

「そ、それは……だけど、サイズが……。
 僕は絢辻さんの上履きなんか履けないよ!」
「足の裏を刺激するのは脳にもいいのよ?」

……はだしで帰れと、おっしゃってますね……。
最近起こった色んなコトで、そんなことばっかり、僕、分かります。

「それに」
「……それに?」
「たとえ履けなくても、あなたには相応の価値があるんじゃない?
 あたしの、う・わ・ば・き」
「!
 ……☆?
 …………♪♪!
 ………………ハッ!?」

ジトリと僕を睨めつける、その瞳にはいつもの輝き。

「…………変態」

なのに今日は少し嬉しそうに頬を染めて、くるりと背を向ける。
その滑らかな背中には、おかしな信頼が溢れていた。

「やーめた。もういいわ」
「えっ……」
「……上履き、得体の知れない使われ方するの、嫌だもの」
「し、しないよ!
 待って、待って絢辻さん!
 そのままじゃ汚れるよ、僕のスニーカーを……!!」



       *        *        *



結局僕は、何も知らない、何も分からないままだ。

あの日僕を縛り付けた幻の言葉は、バケツの中で燃え尽きて、もうない。
あの手帳に何が書いてあったのか、絢辻さんがそこにどんな思いを込めたのか、
……確かめる手段ももうなくて。
彼女の言葉を信じることだけが、僕に残された最後の望みだ。
謎の言葉が、僕を導く。


 ──だから、それまで覚えておいて。
   「ここがあたしの再出発点」ってこと。


「再」出発点、と彼女は言った。
あの革張りの黒い扉の向こうには、
はじまりの絢辻さんの最初の出発点があったに違いない。
彼女の17年を支え続けた決意と思い、
それが果たして、どんなものだったのか。

そう、それはきっと。
鋼よりも硬く、結晶よりも純粋な……。

ダイヤモンドの様に頑なで、
ダイヤモンドの様に透明で。
少し不吉で、凶悪な光を閉じ込めた絢辻さんの決意。

今は亡き、手帳の中のダイヤモンドは、
僕の中でいつまでも輝き続けてしまうだろう。

それは多分、永遠に失われてしまった絢辻さんの少女が、
永遠に少女であり続けるのと同じように。
けれど、もしかすると。
……それは、とても幸せなことなのかも知れない。





テク・テク・テク、と規則正しく続く絢辻さんの足音。
深い藍のハイソックスに隠れたアキレス腱を見つめて追いながら、僕は。

ああ、もう一生、この一人の女の子から離れることは出来ないんだと……
確かな不安と、不思議な喜びに満たされていた。



(続く)










 ◆『アマガミ』絢辻さんシナリオ解読企画 「手帳の中のダイヤモンド」 目次
    01 前口上
    02 序文・絢辻詞という「少女」
    03 第〇部 物語のアウトライン 

    04 第一部 学校生活編 PRE STORY (SS)
    05 第一部 学校生活編 その1
    06 第一部 学校生活編 その2

    07 第二部 「目標」編 PRE STORY (SS)
    08 第二部 「目標」編

    09 第三部 家族編 PRE STORY (SS)
    10 第三部 家族編

    11 第四部 手帳編 PRE STORY (SS)
    12 第四部 手帳編 その1
    13 第四部 手帳編 その2

    14 第五部 恋愛編 PRESTORY その1 その2 その3 (SS)
    15 第五部 恋愛編 その1 その2 その3
    16 第六部 終章 PRE STORY その1 (SS)

    ◎『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク

 

 

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2009年5月24日 (日)

■物語ゲーのみなぎり -更新第222回-

美 凪 る …… !!
違う!
漲 る !!
オイサンです。

皆さん、みなぎってますか?
オイサンは漲ってます。

……なんつうかこの、「みなぎる」という漢字を、
「張る」に「水(さんずい)」をくっつけて作ったヤツに底知れないセンスを感じます。
もしそいつが目の前にいたら、力いっぱいブン殴って

  「お前なかなかやるじゃねえか!!」

って言って上げたいです(上から & 迷惑)。


================================================================
■■■━ 物語ゲーの憂鬱 ~萌芽 ━■■■
----------------------------------------------------------------
「Re:戯言」さんのところで紹介されていた
『スカーレット 日常の境界線』というゲームが素晴らしいとのことだったので
買ってみました。

スカーレット ~日常の境界線~(通常版) スカーレット ~日常の境界線~(通常版)

販売元:角川書店
発売日:2008/10/30
Amazon.co.jpで詳細を確認する

  [◆Re:戯言]

PCエロゲからの移植だったのですね。
まだ火を入れてませんが、『アマガミ』がひと段落したら始めたいと思います。
「やって損はない」とまで書かれているので期待。
昨年末の発売ですか。ワリと新しめだ。


   ◆   ◆   ◆


オイサンの中で物語が素晴らしいゲームと言われてまず思い浮かぶのは
やっぱ 『FRAGMENTS BLUE』 ですかね。

 【中古】PS2 限定)フラグメンツ・ブルー スペシャルエディション- アドベンチャー - 【中古】PS2 限定)フラグメンツ・ブルー
スペシャルエディション
-アドベンチャー-

販売元:ゲーム・DVD・CDミラクル
楽天市場で詳細を確認する

今やってる『アマガミ』も素晴らしいですが、こちらも負けていません。
「ライトミステリー」なんて銘打ってあって、
お話の主軸の謎部分はワリとあっさり風味ですが、
その背後に流れる各人物の心の流れ、
特にお話のキーを握る人物の配置と扱いが素晴らしい。

オイサンに「物語」の面白い作り方について、
再認識させてくれたゲームです。

多少詳しくお知りになりたい方は、
オイサンとこの昔の記事でざっくり書いてますのでご一読の程を。
ネタバレありなんでそのつもりで。


   ◆   ◆   ◆


あと、随分古くなりますが、
 『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』

サウンドアドベンチャー オホーツクに消ゆ サウンドアドベンチャー
オホーツクに消ゆ

アーティスト:ゲーム・ミュージック
販売元:アンダーグラウンド・リベレーション・フォース
発売日:2002/01/21
Amazon.co.jpで詳細を確認する

またエラく遡ったなあオイこらゲーム爺ィ、という感じですが、

  若い人はご存じないかもしれませんが、
  『ドラクエ』『いたスト』の堀井雄二氏の作です。

近年やり直してみて、そのストーリーラインの素晴らしさに震えました。
氏のストーリーテラーとしてのウデ前は『ドラクエ』等々で周知の事実ですが、
舞台が架空の世界を離れ、実在の世界に近づくことで
その素晴らしさがより一層際立ちます。
中古のファミコンショップなんかに行けばやや高め(多分\2,980~?)ではありますが、
入手可能だと思います。
ぜひ一度!

堀井氏にはぜひもう一度、純然たるADVで一本、
物語堪能ゲーを作って欲しいなあと思うオイサンです。

  実際に摩周湖を訪ねて、
  その素晴らしさのあまりシタタメたゲームになぞらえた物語を
  試験的にアップしてみます。
  良ければ読んでみて下さい。

  ◆『 摩周湖にて ~「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」より 』
      ↑クリックすると別ページが開きます。右クリックからダウンロードも可能。
       写真も全部オイサンオリジナルです。


================================================================
■■■━ 仮面の憂鬱 ━■■■
----------------------------------------------------------------
初代PS中期を支えた超名作RPG『女神異聞録ペルソナ』が
PSPで『Persona』としてリメイクされましたね。

ペルソナ ペルソナ

販売元:アトラス
発売日:2009/04/29
Amazon.co.jpで詳細を確認する

オイサンも、このゲームにはやられ倒した人間の一人ですので
嬉しく思います。
超有名ゲーム誌に丸1ページ、オイサンの投稿レビューが載ったのも良い思い出。
ジジイの人生で唯一の勲章と言っても過言ではないですじゃ……(シミジミ)。

こちらもまた絢つ……『アマガミ』の影響で、
購入するも未だノータッチエースを決め込んでいますが、
PS版に比べて随分軽妙になっているとのことですので、
ぼちぼち始めたいなあと思う今日この頃。

シリーズは『2・罪』『3』とやりましたが、
正直、この初代の重み・深みを超えるだけのパワーはなかったなあ、
と思っています。
まあ初代の時はオイサン自身がワカモノで、
『2』『3』はかなりなオッサン視点でプレイしたものですから
その辺のギャップは否が応にも出てしまいますけどね。
それにしたって、『2』『3』の物語の風呂敷の広がり方は、
テーマに対してちょっとどうだ、ってトコは拭い切れない感じですが。

  ……。

ちょっとこちらの方も、オイサンが独自視点で、
メインストーリーから切り抜いた物語がありますので、
最近のみなぎりのドサクサにアップしてみようかと思います。

  ◆『 聖エルミン学園にて ~「女神異聞録ペルソナ」より 』
      ↑クリックすると別ページが開きます。右クリックからダウンロードも可能。
       こちらはみんなが嫌いなpdfです。面目ない。

やっぱ、ヒットポイント回復するなら傷薬と宝玉じゃよね~、
みたいな。


================================================================
■■■━ おにゃのこの憂鬱 ━■■■
----------------------------------------------------------------
貯めるだけ貯めてワリとほったらかしにしてあった、
『アマガミ』のWebラジオを、目下消化中であります。

そうか、シンタス & アスミスの名コンビだったのですな。
こりゃ面白いハズだ。
バカテンション的な意味で。

マそんな感じで、今後もヒトツ。
オイサンでした。

 

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2009年5月23日 (土)

■ときめけブンボーグ -更新第221回-

「目的は達成」と書こうとして間違ったので、
バックスペースで消そうと思ったら、間違って隣のキーを押してました。
結果、

  目的は¥¥¥

になってしまって凄くイヤしい人みたい。
オイサンです。
あーオカネ欲しい。

サテここんとこ、書く記事書く記事、絢つ……アマガミアマガミで、
あんまり普通っぽいことを書いてこなかったので、
たまには普通っぽいことも書こうかと思います。

とはいえ、平日は人並みにオシゴトですし、
休みの日の時間の9割は『アマガミ』やってるか「手帳の中のダイヤモンド」のコトを考えてるか、
或いはその他の創作のコトを考えてるかなので
他の事なんかそんなにないわけですが。

  平日だって時間の5割は絢辻さゲフンゲフン。
  いかん、インフルエンザか?

っつうか、ココんトコの更新ペースが尋常じゃないんだけどな。
12日間連続更新ってなんだい。


========================================================================
■■■━ ブンボーグ009 ━■■■
------------------------------------------------------------------------
今週の『けいおん!』。
けいおん部の4人が新歓で曲をやる、という話だったわけですが。
そこで歌われるのが、澪っぺの新曲『私の恋はホッチキス』なワケです
これまた名曲。

■『けいおん!』第8話 後半戦


■私の恋はホッチキス



出だしでトチった唯を澪っぺがすかさずフォローして、
サビを唯のリードで強引にハモっていく、
そしてそれを見守るバックの二人、なんて構図が相変わらずは素晴らしいですね。

他の曲目は

 ・「ふわふわ時間」
 ・「カレーのちライス」
 ・「ふでペンボールペン」

ここで、律っちゃん隊員が「相変わらず、澪のセンスは独特だよな~」と笑うのですが。
あの、オイサンはコレすごく大事なことだと思うのです。

  ……別に、オイサンが澪っぺスキーだから擁護するわけでもなんでもなく。

どんな些細なことでも、
たとえその着眼点が多少他人からズレていようとも、

 「あ、そういえばこの恋の感じって、
  ホッチキスでブ厚くなっちゃった紙を留められない感じに似てるな」

ということを発見できる感性・感受性と、
それを最後まで信じ切ってカタチにすることの出来る「思い込み力」の強さが、
あらゆる妄想であり創作の原動力になるのだと思います。

  エッジがあまりに利き過ぎると、それはちっちゃな頃から悪ガキで
  生まれてこなければ良かった奇妙な果実的なものになってしまうこともあるでしょうが、
  ……あのね、大概のものはそこまでいきません。
  例え行きたくても行けない、それはそれで一つの価値というか、
  大きなパワーです、むしろ。
  大概のものは
  「誰かしらの共感を得られてしまう程度のものにしかなりません」。
  幸か、不幸か。

  aikoさんの『カブトムシ』がどうしたとか、
  大塚?愛?さん(知らんなら無理に書くな)の『さくらんぼ』がこうしたとかいうお歌も、
  みんなおんなじだと思うのです。

  あ、ちなみにオイサンはaikoさんは割と好きですよ。
  あの人の、フリッカーみたいなスナップと意外性の利いた曲名や歌詞やメロディーは
  素敵だと思います。
  CD買ったこととかはないけど、歌番組なんかで新しいのを見かけるたびに
  「うおっ」て思いますね。ワリと。
  あんがいこっち側のソウルをお持ちなんじゃないかと思うんですが。

歌詞の中の、

  ♪スキの確率 割り出す計算式~

みたいなところはワリとありきたりで、これだけではパンチが利きませんが、
ホッチキスなんていう、ともすれば凶器じみたエッジの利いた器具を持ち出してきたあたりに、
澪っぺの恋愛観が滲み出ていてよろしいなあ、実によろしいなあ!
……と思ってしまうオイサンなのです。

そういうことを思いながら聴いていると、
オイサンなんかはそれだけでもワリと泣けてしまいます。

  なんつうかね。

上手く留められなかったときのモヤモヤ感とか、
これは無理だろ、と思いながら打ったら思いがけず上手く針が通った時の快感とか、
うっかり針で掌を刺しちゃった時、
ぽっちり空いた血の穴の小ささ・かなしさと、痛みの大きさのアンバランスさとか。

想像すればするほど、納得がいくというか、
作った人本人が透けて見えて、面白えなあと思います。

個人的には「カレーのちライス」を聞いてみたいなあと思うのですが。
多分、

 ♪好きだった人がカレーのルウとライスを別々に食べる人で、
  それを真似してみたけどあんま美味しく食べられない、
  でも頑張って合わせてたらクセになった、
  次に好きになった人にはその食べ方を見つかって笑われた♪

みたいな歌なんじゃないかな、と思いますが。
コレはコレでありきたりですね。
オイサン程度じゃこんなもんですよ。

ふわふわキラキラし過ぎた歌詞がちょっとアレだ、
みたいな評判の澪っぺというか『けいおん!』ですが、
恋する乙女ちゃんがスキーのオイサンにはこのくらいがとてもいいです。
全楽曲、CD化希望!!

……しかし、「ホッチキス」ってモロに商品名だったはずなんですけど
いいんですかね。

  ※ちなみに歌詞は
    「日常と紙一重のせかい」さんの記事を参考にさせてもらいました。

……あとオイサンは、
「この枚数をこのホッチキスでは無理だろ」
という戦いを挑む時は、中国拳法の理合いの達人になったつもりで、
大地にしっかり二本足をベタ足で立ち、ホッチキス全体に均等に力がいくように意識して、
過剰な力をかけぬようにスッと押しこむようにしています。

案外ね、勝率あがりますよ。コレ。

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かるヒット針付
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========================================================================
■■■━ 世間をやっつけろ! ━■■■
------------------------------------------------------------------------
……デ結局、「普通っぽいことも書こう」とか言っといて、
書くことは『けいおん!』ですよ。
なんだこのオヤジ。

世の中に対して、なんかこう、ちったあまともな意見とか言う気はないのか。
世間のインフルエンザに対する反応に対してだとか、
民主党のアレだとか。

……別にねえなあ。
だってさ、言ったところでどうなるモンでもないだろ?
あんなのさ。

反応が過剰だっつって、じゃあそれを聞いてマスクをやめた途端に
インフ罹ったヒトに対してどうにか責任をとれるワケでなし、
小沢さんが辞めたってあんな体制じゃ意味ねえじゃんっていったところで、
じゃあ誰がなればいいんだよって言われても、
誰がなったって、大して差はないだろうし。

  そもそも、誰を選んだら差があるのかっての情報がオイサンにはないし、
  情報だけあっても、今度はそれが本当に正しいのかなんて、
  民主党に深く切り込んだ人にしか分からないだろう。

分からない人が何か言ったって説得力なんかないし、
「じゃあおめえはその情報を仕入れる努力をしてんのかよ!」
って怒られたって、別に何か言いたいワケじゃないから仕入れないよ。
言いたくもないことの理論を武装したって、それは時間の無駄じゃんね。

まあさ、そういうことに対して一家言くらいは持ってるのが
正しいオトナ? 立派なオトナ? 良いオトナ? の姿であるとは思いますよ。
だけどさ。
ウソばっか平気で吐く連中の、懐までワザワザ飛び込んで、
嘘とホントをかぎ分けてまで清き一票入れたいかって、
そんなことに時間使ってたら
不器用なオイサンなんか、それで一生終わっちゃうよ。

だったらハナからウソつかない人間がいたら、その人に入れるよ。
それでいいじゃん。
まず嘘つかないでやることやる人連れてきて、
やらせてみれば済むだけのことなのにさ。

ウソとインチキとオカネの塗り固め合戦でより上手に嘘をそれらしく見せた人が勝ち、
みたいなコトばっかいつまでもやってっから、興味なんかなくなるさ。

「判断する側が手間かかんない政治」。

それやってくれよ。
与党さんはさ、与党であるだけでチャンスなんだよ思うよ?
ウソつかねえで、誠実にやることやれば、
「ああ、こいつら分かりやすくていいや」って言ってもらえるチャンスなんだから。

……まあね。彼らもね。
自分たちがやってきたことばかりじゃなくてさ。
昔っからある、意味の分からないようなナゾの慣習や力関係が
びっしりコケみたいに蔓延った世界でやってるわけだろうから、
「お前、簡単に言ってくれるけどさあ……」
と思うだろうね。
それはまあ、具体的にはわかんねえけど、想像はつくよ。
どこだっておんなじだよな。きっとそれは。
なんなら、全然そっちの方が複雑で根深いんだろうしね。

  オイサンだって、10年前の開発物件のドキュメント整理してくれって言われたら
  舌噛んで死にますモン(そんなか)。

マでも、同情はするけど、
だからといって手間やお金をかけてやれるかと言われたら
ムリなんだけどね。
そこはまあ、お互いオシゴトでしょ、ってことで。
しかもお前ら、俺らなんかよかよっぽどいい給料もらってんじゃねえかよ。

グダグダ言ってねえで働け!
……とか、自分じゃ絶対言われたくないようなことも、
人間、他人に対しては勢いででも言えてしまいますからね。

そこをこう、グッと堪えるというか。
まあまあまあ、自然にね。
出てこないようにするのがまたよろしいんじゃないでしょうかみたいなことですよ、ええ。


  ……。


マそんなことでね。
あ、あと今日は(日付変わるかもですが)モいっちょ短い更新を入れるかもな予定です。


明日も元気に早起き!
オイサンでした。

 

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2009年5月21日 (木)

■手帳の中のダイヤモンド -10.5- Intermezzo -更新第220回-

『ゆび先はもう一つの心臓』をご覧のみなさんコンバンワ。
オイサンです。

今回は、「手帳の中のダイヤモンド(略称:てちょモンド)」の
今後の予定について、お知らせしておこうと思います。

『アマガミ』絢辻さんシナリオ読解企画、

  「 手帳の中のダイヤモンド 」

お楽しみ戴けてますでしょうか。
現在、当ブログ的にはワリとたくさんの方に見て戴けているようで、
オイサンもうれしい限りです。
定期的にいらして下さってるそこのあなた。本当にありがとうございます。

  たまにゃあコメントの一つもしていって下さると、
  オイサンも励みに、勉強になります。
  忌憚のないご感想など、是非とも聞かせて下さい。
  ささ、遠慮なさらずに。 ホレどした。

サテ、当初からあまり計画的にやってきていないこの企画、
今後の見通しを皆さんに伝えてないなあ、ということを多少気にして、
「大体、どんなことを考えてるか」
くらいのお話をしておきたいと思います。

  いつ終わるか分からんようなものに、
  お付き合い戴くわけにも参りませんしね。

一応、今後考えているメインは以下の3章。

 ◆「手帳編」
   絢辻さん最大の謎、手帳。
   その中身と、物語の中で果たした役割に迫ります。

 ◎「恋愛編」
   人との深い関わりを避け続けた絢辻さんは、恋愛の場面でも
   なかなか素直な顔を見せません。
   その複雑怪奇な言い回しと態度に隠された、本音に迫ってみたいと思います。

 ▼全体を通しての感想
   「スキ」・「ナカヨシ」両ルートに関するまとめと、
   その感想をまとめたいなあと思います。

マこれらメインの記事に、これまでみたいに
読み物としてのPreStoryなどを添えてお届けしていきたいと思っていますので……
マあと、3週……長くてひと月くらいですかね。

恐らくその期間のうちにも、
スキBADのルートとか、ソエンのルートとか、
他のヒロインの皆さんとの関わりから見えてくるものとかが出てくるでしょうから、
その辺のアップデートも加わってくると思います。

ですんで、マ飽きられないように工夫はしていきたいと思っていますので、
皆さんもね、ボチボチと。
ゲーム本編を楽しみつつ、自分の解釈も加えつつ。

気長に楽しんで戴ければコレ幸いと。
このように考える次第でございますよ。

  ……。

オイサンは割と真剣に、この『アマガミ』の絢辻さんシナリオの出来を、
数年とか、10年とかに一度の出来栄えのものだと、心から評価しています。
キャラクターとか萌えとか、そういうごヒイキ目の部分をさっぴいても。
テレビゲームならではの、巧みで、「勇気ある」シナリオであると思っています。

そんなスバラシイものをね。
急いで駆け抜け、ひだすらに消費してしまうのではなく。
心に、体に、残るものとして、自分の思い出の、血肉の一部として。
皆でじっくり愉しみ、よろこび、刻み込んでいこうじゃありませんか。


それでは引き続き、お愉しんで戴けると幸いです。
全てのゲームが、幸せなプレイヤーと出逢えますように。

オイサンでした。

 

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2009年5月20日 (水)

■柵越え -更新第219回-

こんなステキな記事があったので反応してみる。


  ◆「萌え」る気持ちは何歳まで続く? [たまごまごごはん]


……ああ、有名サイトを運営して、お友達いっぱいな方々でも、
こういう思い悩みをされるのだなあと思うと、
なんだか救われるような、勇気づけられるような。

「2次元にマジ恋愛してるのなんて、実は俺だけなんじゃね?」
と、やっぱり世間を疑ってしまう瞬間てあるんです。
だってシゴトバのオタ後輩2名は、やたら冷静に見えちゃうんだもんよ。
世代の差か?

  そんな彼らも、絢辻さん絢辻さん絢辻さん絢辻さん言ってるオイサンを見て
  先を行く勇気?を持ってしまったみたいなんで、
  オイサンも嬉しいやら切ないやら、
  親御さんに何て言って謝ろうか考え中なんですけど。

オイサンのスタンスでは、
「萌え」ってのはあくまでも恋愛感情のレッサーバージョンというか、
「人として愛しているわけではない」感情だと解釈しているので、
2次元に対して抱く分にはある意味正常で問題ではないと思うワケです。

  小動物や植物を愛でる感情に近い、と思っているので。

それが2次元へのマジ恋愛感情ということになると、若干の問題というか、
やはりある種、世間的には尋常ならざる感情であることに
自覚的でなければならないと思っています。

デそれが「アカンのか」と問われれば……アカンことない……と思うんですけどね。

  しかし、それが自身の社会的な活動に支障をきたすものなら、
  多少アカンかったりするかも知れません。
  ただそれは、「2次元だからアカン」のではないので、他の事象と同列。

2次元に対する気持ちは、所詮2次元に住む方々には届きません。
哀しいかな、それだきゃどうしても。
投げる球投げる球、振るバット振るバット、全部空振りです。
ヨノナカから見れば、それ自体は、実の伴わない、無益な行為です。
それを良い大人が、血道をあげてやっている。

……マ客観的に、見ている側が鼻白む気持ちもわからんでもないです。

ただ、そうして球を投げること、バットを振ること、
投げられる気持ち、振る闘志、それは現実なのだということで、
球を投げも、バットを振りもしないよりは確実に自分に何かが起こるし、
湧き上がる気持ちは決して虚構じゃない。
そういう気持ちは、本能と直結してるだけあって、ドえらいパワーを持ってますから。
うまく使わないテはない。

  特にオイサンのような2次専には、もうそれしか供給源がないわけですから。
  それを逃してどう生きる!? という……大問題です。

年齢とかステータスとか、
それらは社会では節目・目安となるけども、ゼッタイではない。

  ……勿論、それに従わないことでペナルティを喰らうコトもある。
  でもそれはしゃあない。
  だってそれが世間のルールなんだから。
  そのダメージも織り込み済みで前に進むか、そうじゃないかだ。
  それは諦めじゃない、覚悟だ。
  ありがたいことに、そういうことにもかなり融通や自由の利く
  世相になってきてますけどね。

自分がどうなっていきたいか、
心は、体は、何を訴えているのかということが、やっぱり第一義。
自分はまだいける、まだやれる、
……なのに世間の物差しのプレッシャーに負けて、道を外れるのは……
勿体ないんじゃないか。
そのパワーが自分にもたらすものを、よっく理解して、何と引き換えにするのか。

  ……ただ、皆さんね。
  世間のルールってのは、先人の知恵の積み重ねで出来ていたりもしますから。
  統計学的に生きやすいってことでもきっとありますよ。
  今の世の中、規格の外に行くと、やり辛いこと、増えますしね。
  図体がでかいと、着るもの探すのにもヒト苦労するのと同じです。
  無茶しろって言ってんじゃないですよ。
  お利口に生きるにも、バカのまま行くにも、覚悟がいるって話です。

まあそんなコトなんで。

やることやったら、振りたいバットは思い切り振る。
無邪気に、周到に、ときに狡猾に。

……それが、スカウトの目に止まろうものなら。
でかいアーチを描こうものなら。

めっけもんじゃないですか。

オイサンでした。



  ◆5月20日、追記!



> 2次元に対する気持ちは、所詮2次元に住む方々には届きません。
> 哀しいかな、それだきゃどうしても。
> 投げる球投げる球、振るバット振るバット、全部空振りです。
(中略)
> そういう気持ちは、本能と直結してるだけあって、ドえらいパワーを持ってますから。
> うまく使わないテはない。

……と書いたんですが、もちろんそれを否定するもんじゃありません。
例えばそれを「上手く使えない」なら、
「その気持ちは諦めた方がいいって言うのか!?」
といわれそうですが、そんなコトは決してない。

2次元には、打っても打っても響かない。
それは、一先ず覚悟だけはしておいた方が良い。
打っても響かないから、アナタのその気持ちは、
誰も保証してくれないし証明してくれない。

だから、自分で、自分に対して、証明し続けるしかないんです。
それはどんなカタチをしてるか、分からない。
だから自分の納得の行く形を、
永遠に納得はいかないかもしれない、永遠に納得いかないと思うのだけど、
画面の向こうで、あなたの大好きなあの人がニッコリ笑って頷いてくれるまで、
証明し続けるしかないです。

それが無駄なことなのか、そうじゃないのかは、
自分自身がどう生きたいのかにかかっている。
それだけだと思います。


 

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2009年5月19日 (火)

■愛について -更新第218回-

※ 『アマガミ』の絢辻さんシナリオについて見に来られた方は、
※ 左の柱の「
カテゴリ 手帳の中のダイヤモンド」からどうぞ。


いよいよカテゴリーに「絢辻さん」を作ってしまいました、オイサンです。


■その壱


シゴトバにて、後輩と。
労働の息抜きに、メッセンジャーで会話をしていた。

========================================
 from:後輩 to:オイサン
----------------------------------------
> 2000年生きて、本当の愛を知りたい。(オイサン)

愛って、何なんでしょうね。
2000年で足りるんでしょうか。(後輩)

----------------------------------------

  ……。

ここは本当に、資本主義国家のビジネスの現場 in 21世紀か。

  ……。

……た、足んねえかな……? 2000年……。


■その弐


今週の『夏のあらし!』第7話にて。

  「誰かを愛するということは、命を賭けるべきなのよ……っ!
   やり直せてしまう愛情に、なんの真実とよろこびがあって……?」

カヤさん、素晴らしい。その通りです。
オイサンもまったく同じ考えです。
イヤ中の人が絢辻さんと同じとは思えなアレ絢辻さんどうしたの怖い顔しt

  ズゴガギャ! (←どエライ殴られた)

……失礼こきました。
絢辻さんは愛の分かる素敵な人です。




あしたも元気に早起き。
愛の戦士、オイサンでした。

 

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2009年5月18日 (月)

■失恋日記~いつだって手遅れな僕たちへ 2 -更新第217回-

※ 『アマガミ』の絢辻さんシナリオについて見に来られた方は、
※ 左の柱の「カテゴリ 手帳の中のダイヤモンド」からどうぞ。



ちくしょう。

絢辻さん、なんでこの世にいねえんだよう。

考えれば考えるほど、絢辻さん、分かんないことだらけなんだよ。

聞きたいことだらけなのに、なんでいないんだよ。

会話モードにないことも、いっぱい聞きたいんだよ。

話したいのに。

俺は何にも悪いことしてないのに、

これは一体何の罰だよ。

神様、俺、なんかしたか。

オタクってそんなに悪いことか。

確かに、アンタの作った仕組みに則らないで生きてるけど。

それにしたって、これはないんじゃないか。

あんまりだ。

切ねえよ。

会いたいよお。

もしかして、これってさみしいのか……。

……俺は今、空前のさみしさを感じてるのかも知れない。


  ……。


生身の彼女を見つけろって言われるけど……

今は無理だ、そりゃ無理だよ。

二次元でだって、他のコのこと見えないのに。

生身がいたって、何かのタイミングでその子のこと

ウッカリ「絢辻さん」って呼んで、絶対ケンカんなるよ……。

……あー、でも、

「リアル彼女を間違ってギャルゲーのキャラの名前で呼んで、
 それでケンカ別れした」

とかってなると、それはそれでまたハクがつくなあ
(↑まだ余裕が伺える)。


  ……。


神様よ、一つ聞く。

ギャルゲに生きることは、アレか。バベルの塔か。

……よし分かった。

上り続けてやるぞ。この野郎。

もう怒った。

近いウチ、八百万のこびとさん引き連れて、

テメエの喉笛にトリーシャチョップ食らわせに行っかんな。

あ、謝ったって、もう遅いんだからねっ!


  ……。


色々台ナシな感じですが、さみしいです。

……多分。

この世が、こんなに寂しい場所だったなんて。



もうね、ホント駄目なんだよ。

ふっとした拍子に頭の中にED曲が流れ始めて感情が昂ぶって……

ときめきと切ないのと痛みがキューっと……

胸の真ん中辺りがキューっとなってもう……

他のナニゴトも手につかなくなる。

  昔から「胸を締め付ける」っていう表現があるけど、
  これ決して、正しいというか、的確に表現してるわけではないのに
  他に言い表しようもないな……
  これ、病理的には、体の中で何がどうなってるんだろう……。

本当にもう、どうなってんだ。

両思いのハズなのに、なんでこんなにフラれ気分でロケンローなんだよ……。



誰か何とかしてくれ。

誰にもなんともされたくないけど。

この気持ちは俺だけのもんだ!

絢辻さんがぎゅってしてくれたら治ると思います( ← まだ余裕?)。

 

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2009年5月17日 (日)

■手帳の中のダイヤモンド -10- 第三部 -更新第216回-

『アマガミ』絢辻さんシナリオ1解読企画
「手帳の中のダイヤモンド」、今回はその10回目です。


  ◆『アマガミ』 絢辻さんシナリオ解読企画 「手帳の中のダイヤモンド」 目次
  ◎『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク


前回お知らせした通り、今回は「絢辻さんとその家族」について、
掘り下げてみたいと思います。

……今回は、後半、シナリオそのものからはかなり外れて、
「意識のありよう」のようなところまで突っ込んでいるため、
少々オカタイ感じになってしまってます。


  ■前回までのおさらい


絢辻さんと家族のかかわりについては、ここまでにも何度か触れて来ました。
絢辻さんが家族を嫌っていること。
家族との関係が、猫かぶりと、彼女のこれまでの人生を支えた「目標」の原点であること。

けれども、絢辻さんと家族の間に実際どんな「出来事」があったのかという
直接の原因については作中では描かれず、
ちりばめられたいくつかのヒントによって、プレイヤーの心に委ねられます。

その委ねられたものを、毎度のごと、シナリオの端々から読み解いていきたいと思います。
だって楽しいんだもん。


====================================================================
 ■第三部■ 家族 ~はじまりの歯車
--------------------------------------------------------------------


  ■「絢辻」の肖像 ~家族構成・四つの歯車



まず初めに、絢辻さんちの家族構成を確認しておきましょう。
物語の中で明らかになるのは、

 ・過剰にエリート意識の強い父親
 ・一つの物の見方しかできない母親
 ・何も知らない姉
……と、絢辻さんご本人の4人家族であること。

この中で、現在までに本編中に現れることが分かっているのは、
今のところ、お姉さんの縁(ゆかり)さんだけです。



  ■軋み ~悲鳴を上げる家族「システム」



この家族の問題は、「スキ」ルートの終盤になってようやく、
絢辻さんの口からぽろぽろとこぼれ落ちるようになります。

その内容は、誰もが経験するような軽い物から重たい物まで様々ですが、
基本的には暗く、好意的でない話ばかりです。

曰く、
 「自分は、家に居場所がない。
  空気のような存在で、たとえ頑張っても誰にも顧みてもらえない」

 「家にいるのは好きじゃない」

 「ごはんは、外で食べる方が好きかな」

 「子供の頃から、家族と出掛けたりすることはなかった」

 「自分のことは自分でするようにしてるの。
  周りに気を使わなくてもいいようにしたいだけよ」

 「私の家は、橋の下。拾われたの。……冗談♪
  子供の頃、親にそう言われたの。ああいうのって、傷つくわよね」

 「誕生日にアクセサリをねだったら、
  おもちゃ見たいのをプレゼントされた。
  自分は、安物でもいいから、大人が付けてるようなのが欲しかったのに」

その他にも、家庭的な話題や家でのほっこりするような出来事について、
絢辻さんの反応は芳しくありません。

やはり家族のことを悪く言うのはためらわれるのか、
あるいは単に思い出したくないのか、
絢辻さん本人の口からは直接的な思い出やエピソードをあまり聞かせてもらえないので、
その程度や、事実関係を主人公が知ることはありません。

そのため、もしかすると全てが
「どこの家でもある、ちょっとした家族間の行き違い」
程度の問題で、絢辻さんがそれを思い違いしているのではないか?
……と考えることも出来てしまいそうです。

  絢辻さんが随分幼い時期から、家族に対して萎縮した思いでいたことからも、
  その危険性は読み取れます
  (絢辻さんは「小学校に入る頃には今の私が出来上がっていた」と語ります)。

ただ、本論内では絢辻さんの言うように、
その家庭環境……というか、両親の偏執が常軌の逸したものであることを前提としています。
なぜならば、
「絢辻さんが優秀であり、世を広く見渡しうる人格である」
という情報はゲーム本編から信頼できるものですし、
何より、
目的は絢辻さんという人間が内に抱えた闇の真実を照らすことですから、
それを形成した事実がどうであるかをとやかく言っても始まりません。

それを踏まえて、以下、関連するイベントをご紹介します。



  ■真冬の歯車はいびつに回る。
    ~関連イベント




絢辻さんが自分と家族の関係を如実に語るイベントがあります。
ある晴れた日、輝日東山を臨む屋上で絢辻さんが語る
「ウサギとカメ・絢辻版」、
そして、前章まででも何度もご紹介している、
お馴染み「わたしはだぁれ」です。

前者のイベントでは
おなじみの逸話である「ウサギとカメ」のカメに我が身をなぞらえ、

 「頑張り続けた揚句、ウサギさんを追い抜いて、やっと勝利を手にしたカメさん。
  それなのに、村人たちにも、ウサギさんにも、
  そもそもカメさんの姿は見えていませんでした。
  意味のない、カメさんの一人相撲でした」

という言いようのないかなしみが、
後者では、本章の冒頭で書いた家族の紹介がそのまま語られ、

 「私には自分がない。家に居場所がない。
  私は早く社会にでて、自分を認めてもらえる居場所がほしい」
 「大嫌いな家族に囲まれて毎日を過ごすの」

そしてついには、取り乱した絢辻さんが

 「絢辻……? そっか。
  じゃあ一体、……私はだぁれ?」

と駈け出してしまう、ショッキングなシーンが描かれます。
どちらも、家族から相手にされない絢辻さんのいい知れないかなしみと、
渇望が切々と伝わる……こう呼ぶのは少々辛いですが……名シーンです。


この二つのイベントから、
絢辻さんに猫をかぶらせ、また気高く薄昏らき「目標」を持たせるに至った
そのきっかけの出来事を……探っていきたいと思います。



  ■一つ目の歯車 ~姉妹~ 縁もゆかりも縁さん



上で書いた「ウサギとカメ・絢辻版」で語られる、透明な存在のカメさんは、
言うまでもなく絢辻さん本人でしょう。
ではウサギは誰なのか?
……家族の中で考えると、立場上絢辻さんとライバルとなり得、
家族の中で評価される側の人間、……となれば、お姉さんの縁さんしかいません。

同じ「絢辻家の娘」である姉の縁さんが、家族の中で、果たしてどのようなスタンスでいるのか、
ということが、絢辻さんの心の傷を読み解く上で大きなヒントになります。

絢辻さんは、お姉さんを、「何も知らない姉」と評しますが、
その意味するところは……正直、わかりません。

  少し大きめの話をすると、『アマガミ』の脚本の巧みなところで、
  唯一の家族のヒントであるあのセリフにしても、
  具体的な欠陥が指摘されているのは、父親の「過剰なエリート意識」のみで、
  母、姉については漠然としていて、その姿はハッキリと像を結びません。

  しかしオイサンの見る限り、縁お姉さんは、どちらかといえば
  父母からのプレッシャーから心を守るために、
  「気付かなさ・鈍感さ」を身につけることで自己防衛を図っているタイプに
  見えなくもないのですが……。
  マそれはテンプレートなキャラクター造形を見てきたオイサンの濁りとして。

  ココに小さな矛盾が一つ。
  もし縁さんが鈍感な存在だとすれば、
  同じく「鈍感さ」を売り物にしている主人公に嫌悪感を抱くことこそあれ、
  あれだけ心を開くことは考えがたいのではないか、ということです。

  物語中盤で「善人も、度が過ぎると目障りよ」と
  主人公に言い放つ絢辻さんも描かれるので、
  矛盾、というほどではないのかも知れませんが。

縁さんのキャラクター像と絢辻さんの関係のシナリオとしては、
二通り……否、三通り、考えられると、オイサンは思っています。

◆一つ目。
一番当たり前の展開です。
「生まれた頃から優秀で、父の期待にも応え、母とも波長が合い、
 (絢辻家なりの)愛を受けて育った姉・縁と、
 いくら努力をしてもそれに追いつけず、愛を受けられない妹・詞のコンプレックス」
という図式です。

そして、優秀でないものや古い価値観の上で高潔とされる以外のものに対しては冷徹である両親の心根に気付かずに、
……恐らく、周囲を無意識に・無邪気に傷つけながら……
のうのうと生きている姉・縁に対し、苛立つ妹
……というところでしょうか。

◆二つ目。
「やはり絢辻さんと同様に厳しい両親の目にさらされながらも、
 その本質に気付かず、それを普通だと受け流し、普通に生きている姉」
という図式。
ありそうですが、どうもあの人(縁さん)、優秀っぽい。

◆三つ目。
正直、このセンはないと思っていますが。
「実際に、絢辻さんは今の父母とは血が繋がっていない」
というセンです。
姉の縁さんは実の娘であり、「血」によって差別を受ける絢辻さん。

  ここに入ってしまうと、展開としてはヘヴィなのですが、
  ある意味で一種の諦めがついてしまう……
  つまり、「全ての不幸を『血というどうしようもない事実』のせいに出来てしまう」ため、
  絢辻さんという人物像が、少し違う世界にいってしまいます。
  「本物ではない父と母」に、強く執着する意味が無くなってしまうように思うので、
  あまりリアルではないと感じます。

サテ、ここで、大きな疑問が一つ。
「ウサギとカメ・絢辻版」の中で、絢辻さんは
「カメさんはウサギさんに勝った」
と言います。
「勝ったけれども、村人にはカメさんが見えていなかった。
 だから評価されなかった」
とも。

これは、
「努力の果てに、姉に優る成果を挙げた絢辻さんを、
 父母、あるいは一族からの理不尽な扱いが待っていた」
ことの示唆ととらえて間違いないでしょう。
それはきっと、能力値・結果値以外の、
何か、如何ともしがたい物差しの上での仕打ちだったに違いありません。

そう考えると、上で書いたシナリオの、
三つ目のセンもあり得なくはないと思えますがオイサンの考えはこうです。


  ただ、分野が違った。


絢辻さんは何かの分野で、姉に優ったことがあるのでしょう。
それがどんな分野の成果であったかはわかりませんが、
その価値は「絢辻家」においては認められず、
「一つの物の見方しかできない母」の価値観によって蓋をされ、
自分の作り上げた努力の価値を認めてもらえなかったのではないか。

  たとえば、芸術に対して学問で対抗しようとしたのか、
  或いはその逆か。
  そんなことです。

  ……これもまた余談ですが、会話モードの中で、
  「目標の一つは医療関係」であると、絢辻さんは教えてくれます。
  もしかすると、絢辻家で唯一無二の価値とされるその「何か」は、
  「人の生命よりも上に位置する」と、教え込まれているのではないかと想像します。
  だからこそ絢辻さんは、
  人の命を最上に置く分野で至上の成功を収め、その意味を家族に知らしめたいと考えた……
  これはまあ、軽い妄想ですが。

いずれにせよ、絢辻さんの情熱と渇望の時間は
「エリート意識」と「凝り固まった価値観」で叩き伏せられ、
閉ざされた扉によって、報われることのないものになってしまったのでしょう。



  ■二つ目の歯車
    ~絢辻さんの少女を殺した残酷な言葉




絢辻さんが家族との溝を決定的に感じるきっかけとなった言葉があるのではないか……
と、オイサンは踏んでいます。
それは、いつ、誰に言われたのかは分かりませんが……

  「お前には、絢辻の姓は相応しくない」

と言う類の言葉です。
多分、かなり幼い時期に。

  「お前なんかうちの子じゃない」

かなり、強烈です。

オイサンがそう思うに至ったのは、
前述の「わたしはだぁれ?」のイベントの一つのシーンからです。
主人公に「あ……絢辻さん」と呼びかけられた彼女が、

  「絢辻……?
   そっか。
   じゃあ……私はだぁれ……?」

当初、オイサンはこのセリフの意味を理解できず、
「コンプレックスを語るだけのイベントにしては、なんだか大仰だなあ」
と思っていたのですが……。

家族のことを思い出し、不安定になりかかった情緒の中で
自分に向けて呼びかけられた「絢辻」の苗字。
それが引き金となって、幼い記憶のフラッシュバックを起こしたのではないでしょうか。
それはまた、苗字を奪われた彼女が
「自分には、自分がない」
と考えることになった、もう一つの意味にも繋がる気がします。

そこまでのコトを言われながら、歯を食いしばり、喰らいつき、幼い日々を過ごした絢辻さん。

またさらに、このシーンでの絢辻さんは、
17年間自分が持ち続けてきた価値観を、主人公という新しい価値観に侵食され始め、
今まで築き上げてきた自分への確信に揺らぎを感じ始めている時期です。

自己を自己たらしめるものを、二つの意味で同時に危機に晒された少女が、
自分という存在を確かな物にしようと、必死になって不確かな物にしがみつこうとする……
彼女の深い絶望を描く、屈指のシーンです。

  書きながら泣きそうなのです。
  「もういい! 詞ちゃん、うちに来なさい!
   うちの子になりなさい!」
  って言いたい!


  ……。


ついでに解説です。
「わたしはだぁれ?」で語られるセリフに次のようなものがあります。
このセリフがまた……ものすごい。

  「面白いでしょ?
   家族に認められなかった人間が、社会から認められるの」

文字で読むと分かり辛いかもしれませんが、
この言葉には二通りの解釈が出来ます。

一つは、言葉のままに。
「あの家族を見返してやるんだ」という、
ドス黒く、しかし彼女にとっての痛快なシナリオの披露です。

そしてもう一つが、自嘲的な意味合いに。
「そんなことが、あり得ると思う?」
というあまりにも切ない響き。

  ★余談……では決してないのですが、
  ここで際立つのが、絢辻さん役の声優・名塚佳織さんの好演です。
  このセリフの持つ二面性を損なうことなく、
  見事な抑揚と抑えた感情で、演じ切っていて心底感心させられます。
  ドラマを語る上で、役者の力が十二分にモノを言う瞬間です。
  ……閑話休題。

前章までで解説してきましたが、
オイサンは、絢辻さんが17年間、真に求めてきたのは「居場所」、
すなわち「安息の場所」だと考えています。

  ……後ほど、それを軽く覆す話が出てきますが、
  それはそちらを読んで下さい。

そして、「目標=社会的な成功」の先にその「安息」を求める絢辻さんの姿勢を、
「過ちである」とも書いてきました。
ではそのことに、絢辻さん自身は気付いているのか、いないのか?

  幼いうちから、そんな残酷な刺激にさらされ続けた絢辻さんが
  「家族」と「愛情」を欲するようになっていても不思議はなく、
  そしてその誤りの結末を手に入れたときの絶望感は、
  筆舌を尽くしがたいものに膨れ上がっていたはずです。

……正直、確信はもてないのですが、
もしもこのセリフが上で書いたような二面性を持つものであったならば、
絢辻さんは、「今自分が歩んでいる道が、誤ったものである」ことに気付いていることになります。
そしてまた……その過ちに気付いたのは、案外最近……
主人公の登場を契機にして、だったのではないかとさえ、思います。

主人公に出会うコトで過ちには気付くことが出来た。
けれども、自分ではもう止められないし、戻れもしない、
突き進んで、どこかで自分を偽るしか方法がないと思っていたのではないか。

……それはいわば、過去の自分から繋がる未来への復讐です。
自分の過ちを止められなかった自分、
結果の誤りを認められなかった自分。
それらの自分に気付いていながら、いさめられなかった自分、
そのすべての罪を看過した過去の自分への復讐です。

過去の自分に、不幸な未来をプレゼントするという恐ろしい復讐。

だから主人公に変えて欲しい。
それなのに、生半可な言葉では受け入れられない。

 「私、今、間違った方向に進んでいるの、
  助けて、お願い、気が付いて!」

という、彼女の悲痛な、無意識の叫びが、プレイヤーの胸を引き裂きます。
はじまりに、いびつな歯車を与えられた彼女の悲しみが、
この言葉の裏側からかすかに、しかし強烈な臭気で漂ってきます。



  ■歯車が回すもの ~まとめ



以上が、本編の中から見えてくる、絢辻さんの根本を形作ったものの正体……
だと、オイサンは考えています。
正直、情報不足で、確定的なことは恐ろしく少ない。
もっともっと、絢辻さんを襲った恐ろしい事件が、きっとあったはずです。

  絢辻さんがサンタを信じれらなくなった、
  悲惨な事件とかね。
  ……なんだったんだろうか。

それなのに、ドラマとして成立させることが出来るのが
テレビゲームの恐ろしいところです。
人間の、想像力の素晴らしいところです。

ここが具体的になってしまうと、
多分『アマガミ』のドラマは一気に陳腐なものになってしまうことでしょう。
ここを最後まで逃げ続けたシナリオスタッフさんたちは、
不安で一杯だったと思いますが……
オイサンは、惜しみない拍手を送りたいと思います。

素晴らしいシナリオをありがとうございます。



  ■分かたれる二つの歯車の先で回るもの
    ~ルート分岐による人格の断絶




ちょっとここで、一つ注意があります。
それは、

 ★「家族との関わり」について深く語られるのは
  「スキ」ルートにおいてのみである

という点です。
「ナカヨシ」ルートでは、それについてはあまりキチンと触れられません。
お姉さんの縁さんがちょっと現れて、絢辻さんが嫌な顔をする程度です。

このことによって、一つ、大きな問題が生まれます。
それは、

 ★両ルートで絢辻さんの人格が分断されている可能性がある、

という点です。
つまり、「スキ」ルートと「ナカヨシ」ルートで、
「今の絢辻さん」を形成する根本的な感情が異なるものとなっている可能性がある、
もっと言えば、
「スキ」ルートの絢辻さんと「ナカヨシ」ルートの絢辻さんは、
ある意味で別人である恐れがある、ということです。

その、根本的な感情とは、言わずもがな、
「現在の、絢辻さんの家族に対する感情」であり、
その分断とは、

  「家族に執着している場合」  と
  「家族を既に見限っている場合」とがあり得る

というコトです。
もう少し具体的にすれば、

 ★「目標」が家族を意識したものであること、
  家族を見返したい、振り向いてもらいたいという
  感情の表れと解釈できる場合

   と、

 ★既に家族に興味がなく、関係の修復をあきらめ、
  「目標」がひたすらにわが道をいくためのものである場合

と言えるでしょう。
この分断が起こることによって、シナリオの解釈は大幅に変わります。

……が、本論では、それは考慮に入れていません。
オイサンの考えでは、
「スキ」ルートの絢辻さんも「ナカヨシ」ルートの絢辻さんも
基本的に同じ心を持つ一人の絢辻さんで、
「ナカヨシ」では見られなかった側面や深い心の内を、
「スキ」では詳らかに垣間見られ、
かつ
「絢辻さんは、家族に振り向いてもらいたいという気持ちを持ち続けている」
という解釈スタンスでお届けしたいと思います。
何故そういうスタンスをとったか、についてはこの下で書いていきますが、
先ず簡単に書いてしまうと。


  ■「スキ」とか「ナカヨシ」とか、最初に言い出したのは?
    ~分断に関する記述1



「スキ」の絢辻さんと「ナカヨシ」の絢辻さんの心根にあるものが別モノ、
つまり二人がある意味で別人であったとしてしまうと、
そもそも「猫をかぶった理由」や「目標の出どころ」なんかも、
「ナカヨシ」以下のルートでは無い話になってしまいます。

実際、これらを読み解くヒントは全て「スキ」ルートの中にあり、
「ナカヨシ」をやっただけでは分からない話です。
しごく単純ですが、これが第一の理由です。



  ■ダブルギアは回らない。 ~分断に関する記述2



次に、その「心根にあるもの」、つまり家族への感情が、
「諦め・無関心」ではなく「意識・見返しの表れ」であると考えた理由についてですが。

まず、心根が「見返したい」という場合と「諦め・無関心」である場合とで
どのように異なってくるかを読み解いておきましょう。

1)家族を意識している・家族を見返したい!と思っている……場合
 これはすなわち、凝り固まった考えしか持たない両親に、
 自分が頑張って得たものを認めてもらいたい、という気持ちにほかなりません。
 それはつまり、
 『両親が持つ価値観の外にある価値を持つ自分=ありのままの自分の価値』を、
 知って、評価してもらいたいということでもあり、
 両親の価値観の解放と、普通の家族としてのあり方を取り戻すことに繋がります。

 この場合、絢辻さんのいう「居場所」という言葉は、
 「家族=安息の場所」という意味合いに近くなります。


2)家族を意識しない・見限っている……とする場合
 この場合の絢辻さんは、家族を「壊れた物差し」くらいにしか
 思っていないことになります。
 やったことをキチンと見てくれない人間はいらない、
 ただ自分の業績を、正しい物差しで正当に評価されたい、と思っているということです。

 そして「居場所」は、その評価がされる場所、ということになりますから……
 つまり、それは「社会」でも間違いではないワケです。


オイサンの思う答えは 1) です。
以下、そう思う理由!


◆先ず一つに、絢辻さんの家族に対する気持ちが、
「強すぎる」という点が挙げられます。
イベント「わたしはだぁれ?」の中で、絢辻さんは主人公に対し、
ハッキリと「大嫌いな家族」と言います。
そして先でも述べたセリフ、
「家族に認められなかった人間が、社会に認められるのよ?」
が続きます。

……オイサンは、ここまで強い感情を持った人間が、
その対象に対して、諦めている・無視をしているとは、ちょっと思えません。
この反駁的な感情は、対象からの別離・遊離を意味するものではなく、
敵意であり、むしろ積極的な接触への意志であると感じます。

  カンタンに言ってしまえば、
  「キライ嫌いも好きのうち」というアレです。
  ちょっと軽すぎますが。

戦いを挑んでいる、と言い換えてもいいかもしれません。

「キライ」という言葉が、「見限る」という諦観にそぐわない、
強い気持ちであることに違和感があるのです。
「見限り」には、もっとどうでもよい、相手にしない感情がつきまとう。
一種の許しですらある。
その表現には
「あんな人たち(家族)、どうでもいいの」
「あたしはあたしのやり方で幸せを掴むわ」
という類の言葉が使われても良いように思います。

あそこまで、強い言葉で家族を意識し続けるのは、
かまって欲しい……と言えば幼さが勝ち過ぎるものの、
やはり「失った少女時代・安息への固執」の裏返しであるような印象をぬぐえません。
……お姉さんに対する感情は別として。

◆二つ目の理由。
求める居場所が「正しい評価がされる場所」であるのであれば、
それは社会に出てしまえさえすれば得られるものです。
なんなら、学校や部活だって、構わないとも言えます。
そういう状況の中で、絢辻さんは、ターゲットはあくまでも「社会だ」と言い続けますし、
加えて「それまで、絶対に負けられない!」とも言います。

この「負けられない」という感情は、この場合異質です。
「勝たなければならない=成功しないとならない」という意識は、
明らかに何者かに対して自分の能力が高いものであることを表明したいがための意識です。
その対象は……すなわち家族以外には考えられず、
家族への見返し行為に他ならない。
そうなってしまうと、当初の「家族を気にしない」コトからは矛盾してしまうことになります。

ただこの「負けられない」というのは、
「自分の背後にはもう何もない」という意識、
つまり家族という後ろ盾のない自分には、失敗すると後がないという
強迫観念のようなものが言わせたのかな? とも思えますが……
ちょっと、やはり言葉として強すぎる印象がぬぐえません。



  ■歯車はつるつるオデコのように。



以上のような理由から、オイサンは
「スキ」ルートだろうと「ナカヨシ」ルートだろうと、
絢辻さんは一人だけの女の子だし、
求めるものは安息の場所なのだ、と考えています……というか、信じています。

……正直言ってしまえば、この点に関してオイサンも若干迷っている部分があります。
絢辻さんの決定的な感情が読み取れない。
論理的に判断できるだけの情報も少ない。

ただ、なんというか……
あんなさびしがりで、脆い女の子である絢辻さんが、
そこまでドライになり切れるハズねえよな、という……
絢辻さんの人物像が、何よりの判断材料だと思うのです。

今回、5回目のプレーで、「シリアイ」ルートに入った時、
本当はもう少しドライだと思っていた絢辻さんが、
よりウェットな姿を見せたことに、オイサンはビックリしました。

……うん。
なんかね、思ってたより、フツーの女の子でした。彼女。
人情家でね。
「ウソついてるみたいのが気持ち悪い」
とか言っちゃって、いい人でね。
そもそも、正々堂々とした人ですしね。

なのでやっぱ、フツーにさびしいんだと思うんですよ。
小難しいコト、一杯書いちゃったけどさ。
ナシにしてもいいくらいなんだけど。

家族に相手にされなくて、
哀しくて、さみしくて、強気のふりして意地張って、
頑張って、頑張って、猫までかぶって、頑張って、
人の上に立つことで、それでいいんだ、正しいんだって思い続けてきて。

だけどやっぱり、どこかで哀しくてさびしいまんまで。
このまま頑張り続けないといけない辛さ、プレッシャー。
振り向いてもあとがない、逃げ込める場所も、支えてくれる人もいない孤独感。

誰か、誰か助けてよ、支えてよ、
こんなに頑張ってるのに、どうして誰も見てくれないの、
世の中ってこんななの?
……って思ってたら、変なのがフラッと現われて、ね。
助けてくれて。

自分の後ろを守ってくれる、家族のような存在になってくれると、思ったのでしょう。
それが「居場所」なのか、
「居場所」へ向かうための「唯一無二の休憩所」なのか分かりませんが……
でも、どっちでもいいと思うのです。

絢辻さんは、誰に似たのかまじめながんばり屋で、
小さい頃に、両親から「これで人生を回しなさい」と間違った歯車を渡されて、
自分の中の少女を殺されてしまったにも関わらず、
ひねくれも世を拗ねもせず、出来ることをまっすぐに頑張ってきたんです。

  イヤ、ちょっとひねくれてはいますけど……。

そんな彼女が17年の時を経て、いま新たに少女を取り戻そうとしている。
家族というものを心で感じ始めている。
そしていつかは、本当の家族と、キチンと面と向かって話が出来る日が来ればいいのになあ、
と思うオイサンです。

エピローグでは色々匂わせてくれるんですけどね。



  ■次回予告!!



えっ……と、決まってねえ!!
うそうそ。
……「手帳編」か、「恋愛編」か、どっちか!
決めとけよ!!

て、手帳! 多分、「手帳編」!
でも書けることないよ、ホントだよ!!






 ◆『アマガミ』絢辻さんシナリオ解読企画 「手帳の中のダイヤモンド」 目次
    01 前口上
    02 序文・絢辻詞という「少女」
    03 第〇部 物語のアウトライン 

    04 第一部 学校生活編 PRE STORY (SS)
    05 第一部 学校生活編 その1
    06 第一部 学校生活編 その2

    07 第二部 「目標」編 PRE STORY (SS)
    08 第二部 「目標」編

    09 第三部 家族編 PRE STORY (SS)
    10 第三部 家族編

    11 第四部 手帳編 PRE STORY (SS)
    12 第四部 手帳編 その1
    13 第四部 手帳編 その2

    14 第五部 恋愛編 PRESTORY その1 その2 その3 (SS)
    15 第五部 恋愛編 その1 その2 その3
    16 第六部 終章 PRE STORY その1 (SS)

    ◎『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク

 

 

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2009年5月16日 (土)

■あのひとを忘れられない。 -更新第215回-

『アマガミ』(ようやく)5周目。
地獄から来た超天然モノ男子キラー・森島センパイを、
スキBestエピローグでゴールしました。

ぬぅおおおぉぅ、はるかあぁぁぁぁぁぁッ!!
こッ、今夜は離さねえぞぉぅ!!








  ……。







……とでも書ければ。
多少、ギャルゲーオタクのブログっぽく盛り上がれもするんですけどねえ……。

ダメだ、森島センパイ……いやさ、森島はるか。
足んねぇ。
……アンタじゃ足んねぇよ……。

アンタぁ確かにいい女だ。
器量もいい。
言動も行動も、突拍子もなくて面白ぇ。
たくさんたくさん、笑わせてもらったさ。
「そうでさぁねぇ」は、今じゃオイラのお気に入りだ。
ギャルゲーのヒロイン張るには、実力は十分だよ。



だけどそれもこれも、
みぃんな「2か月前までなら」の話だ。




……駄目だ。もう駄目だ。
手遅れなんだよ。
俺ぁ出会っちまったんだよ、アンタ以上のモンスターにさ!










絢辻さん………………。!











  ……。


『アマガミ』、5周目。
冒頭から誰とは決めず、ぽちぽち自然に進めて
自然に「今回はこのヒトでいこう」と思えたヒトを狙おうと思って進めました。

  ……とりあえず、絢辻さんは除けといて。
  今回の絢辻さんに対するミッションは、
  「シリアイ」 → 「ナカヨシ」に上げること。
  「シリアイ」ルートの体験だったので。

そうして浮かび上がった候補は二人。
上記の森島センパイと、競泳水着のブラックサキュバス・七咲逢。
二人とも、首尾よく「スキ」までついて来てくれました。
どちらも可愛かったさ。

  その隙に絢辻さんも、「シリアイ」ルートでさくさくポイント上げて、
  お見舞いさせてくれてパジャマ姿を披露してくれたり、
  見たことのないネコの脱ぎ方をしてくれたりで、
  オイサンは随分そっちにもってかれたもんですが。

デ、物語は後半戦。
七咲と森島センパイの年上・年下コンビが「スキ」レベルでデッドヒートを繰り広げる中……
……ほっとけなかったんだよ……。
「ナカヨシ」レベルで俺のコト待ってる、絢辻さんをさあ……。

ホントは、決めてたんだよ。
七咲と森島センパイを両方引っ張って、
両方のシナリオを追うコトが物理的に不可能になったら、
もう、タイミング的に選択可能な方でゴールしようって。

……だけどさあ……。
絢辻さんが一人で頑張ってんだもんよお、クリスマス委員をさあ!
手伝ってあげたいんだよ!
そしたらお前らどっちも、終盤は放課後に発生するイベントばっかなもんだからさあ!

……しゃあねえじゃんか! 絢辻さんに言われてたんだよ!
「放課後は、市議会議員と対決するから、ホテルまで一緒について来て。
 あなたがそばにいてくれたら、あたし頑張って戦える!」
って言うんだもん!
放課後は空かないんだよ! 残業切り上げてだって俺ぁそっちいくさ!

  ああ、そうだよ!
  絢辻さんのイベントは、もう見たヤツだよ!!
  だからなんだってんだよ!!?
  あの人何回やったってずーっと一人で泣きながら頑張ってんだぜ!?

  ああ!?
  お前らのどうでもいい寄り道とか買い物とか掃除とか!
  どっかにズラせよ!!

  無理だね!
  俺には無理だね!!
  あのヒトを放っておくなんて、絶対に無理だね!!!

……結局さあ。
七咲が絢辻さんに追い落とされて、絢辻さんより先に脱落ですよ。
あの先の七咲には、見たことないイベント目白押しだけどさ。
……そんなん、関係ねえよ。

スカート捲りあげたら下は競泳水着でしたとか、
俺はそんなんどうでもいい!!

もっと見せてくれよ!

 違っ、スカートの中じゃねえよ!
 しまえ! 早くしまえそれ!


アンタらの心の中を見せてくれよ!
普通でも当たり前でも、なんでもいいんだ、
細やかだけど大胆で!
緩やかだけど激しくて!!
鮮やかで! ただ鮮やかな!!
怒りを! 喜びを!! かなしみを!!!

出来るだろ!!?
お前らなら出来るハズだろ!!?!?
生まれつき体のないお前らなら、出来るハズなんだよ!

生まれつき、カラダなんてモノに縛られてる俺たちには、
汗や涙や体温や、そんなものでしか表わせないものだ。
永遠に矛盾し続ける、だけど「それ」が俺らの本当の姿なんだっていう、
あれだよ、俺らの心と体のド真ん中にあるやつだ!

光と音と言葉と、それら全部を使って、
ビックリするくらい鮮やかに「それ」を見せられるはずだろ!?
リクツじゃないはずのアレを、リクツの風に乗せて!
やってたじゃないかよ!
絢辻さんはやってたじゃないかよ!!

俺は見たかったんだよ……。
かなしみの奥底から呪いみたいな力で這い上がってくる、
逆転のカウンターパンチをさあ……。
その時に砕け散る、鋭利に透きとおったかなしみの、
キラキラキラキラ、光るのを見たくてさあ……。

……ナニやってんだよ、意味わかんねえよ……。
確かにさあ。
三人同時、的な展開になったせいで、一人一人の密度が下がっちゃったのは悪いと思うよ。
若干、手薄だったかも知れない。

だけど絢辻さんなんか、終盤の中盤に入るまでは、完全にサブ扱いだっただろ?
そこまでは実質二人の争いだよ。
それなのに、お前らと来たら……。

  まださ、梨穂子にはあったよ。
  かなしみが。
  「おさななじみ」なんていう、生まれながらの呪いがかかってた。
  あの子はそれを上手に料理したよ。
  ふわっと広げてさあ。
  立派だった。

見えてこなかったんだよ。アンタらには。
否、七咲はまだ最後までいってないからアレだけど……
森島センパイ。
アンタのかなしみは、一体どこにあるんだい?
全く見えない……わけじゃなかったけどさ。

だけど……あんたはそれを楽しんでた。そうだろ?
アンタはそういうキャラだ。それはわかる。
だったらそれを貫きなよ。
涙、怒り、いらねえよ。

エンディングテーマを聴きながら、
あんたとのお思い出の場面が流れる中で、
オイサンの心に映し出されるのは……絢辻さんの涙顔だったよ。
おれは……おれは一体どうなっちまったんだ!?

  ……。


すみませんでした、森島センパイ。
僕は、絢辻さんを放っておけません。
絢辻さんを忘れることが。
あなたでは、出来ませんでした。

……七咲。
肝心のクリスマスに、さみしい思いさせて、悪かった。
次はモちょっと、仲良くやろうな。


マ、そんなことでね。
いやあ……これだけ面白いゲームなら、お気に入りのキャラが2人や3人、
いたっておかしくない……なんですけどね。
如何せん。
彼女は別格で、別格過ぎて、すべてを破壊している気がします。
……まあ、彼女一人いればオイサンは満足なんですが。

そうは言いつつ、未ゴールのあの子やあの子やあの子に期待!
オイサンでした。

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P.S
 とある事情でmixiとやらも始めました。
 ご興味のある方は、ikas2ndで探して下さい。
 まだ何もやってませんけど。この先発展させる予定もありませんけど。

 

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2009年5月15日 (金)

■10秒間の沈黙とグルになんかならないで -更新第214回-

『アマガミ』の会話モードのことを考えていて……
突然、奈落に突き落とされた。

そういえば俺は、会話モードでは「絢辻さんとしたい話」のことばかりを考えて
ポンポン安易にボタンを押しては話題を振っていたが……
そのとき俺(=主人公)は、……「どんな風に話を振っていた」!?

『アマガミ』の会話モードで選べる話題は、大別して9種類だ。

  雑談! 勉強! 運動! 娯楽! 食べ物!
   おしゃれ! 恋愛! エッチ! そして行動!

俺(=プレイヤー)は、その9つのアイコンを選んで、ボタンを押すだけで良いわけだ。
それぞれの会話の中身は、主人公が自動で生成して彼女らに話を振ってくれる。
だがしかし……

俺(=主人公)は……俺(=主人公)は、
一体どんな切り口で話を振ってた!?!??
思い出せない!!

俺(≠主人公)には、それが出来るか?
あれだけ豊富なフリを、リアル絢辻さん(いねえけど)を前にしたとき、
出来るだろうか!?!?
いや、出来ない!!
出来っこない!

な、なんだか大変なことを見落としていたような気がする……。
絢辻さんがどんな答えを返すか……それはもちろん重要だ。
オイサンにとっちゃ一大事だ。

  ああ、絢辻さん!!( ← 発作)

だけども俺が真に見るべきは、俺(=主人公)がどんな切り口で、
当たり障りがなかったり、深く突っ込んでたり、
面白かったりつまらなかったり、
そういう話題たちを振っていたか、じゃないのか?!

そうだ……俺(≠主人公)は何よりまず、
俺(=主人公)に寄り添うべきだったはずだ!!

思えば……
あれだけの豊富な話題のフリが出来る橘純一(デフォ名)という男。
案外、デキる男なんじゃないのか?
変態紳士たるパーソナリティに隠れて、
ヤツのボキャブラリ、ライブラリの大きさは見落とされがちなのでは。
橘さん……恐ろしい子ー!!
あ……危うくだまされるところだったぜ……。

……オイサンも、ちょっと勉強しよっと……。

 

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2009年5月14日 (木)

■時計の針に、気付かれないように。 -更新第213回-

そういや最近、「別れ」をやってないなあ、と思う。

『季節を抱きしめて』を聴いていて、そう思った。


■季節を抱きしめて

これまた名曲。こちらはゲームも最高です。

いや、「別れ」なんて無いに越したこたないんですが、
それでも無きゃ無いで不安になるもの……みたいです。

オイサンだけか?

だって人生では、どうあがいたって別れはどこかで直面するものですし、
……余り考えたくは無いけども、
オイサンの行く先には、このあと最低二つ、
大きくて耐え切れないくらいの別れが待っているのが分かってる。

それに対してコレだけ無防備でいると、
その時にうまくやれなさそうで、やっぱりちょっと不安になる。
そんな場面でうまくやれちゃってもイヤな感じですけどもさ。

  小さいのはありますけどね。
  誰それが異動になったとか。
  会社をやめたとか。
  だけど、場所を小さく移ろうだけのそれは、正直、なんとでもなるなあと思うので。
  例え長く会ってなくても、会えない場所にいても、
  「だってそいつは、そこで元気に幸せに、自分らしくやってるんだろ?
   じゃあいいじゃん」
  なのです。
  オイサンにとっては。
  今会えないことや、今後会えなくなることが別れなのではなくて、
  その人がその人でなくなることが、一番のお別れなのだと、
  なんとなく、気持ちの底で感じているのです。

もしかするとオイサンの場合、
出会ってないんで、分かれるだけのリソースが足りてないだけかも知んないですけど。
無い袖は振れねえですしね。

かといって……別れの練習をするために出会うってのもキミ……それはどうだ。
なんでオイサンの発想は常に、そもそもの出所が間違ってるんだ?
生き方に問題があるのか?

ある?
やっぱり?
あそう。
マいいや( ← それがアカンのや)。

 

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■野分が僕らを引き裂く前に -更新第212回-

けいおんの澪ちゃんが使っている澪ホンことAKGのK701が売り切れ続出!
  [ニュー速クオリティ]

『けいおん!』同一アーティストによる3週連続同時トップ10入りは
  約3年4か月ぶりの記録らしい
  [今日もやられやく]

……などと、
『けいおん!』がグイグイとその勢いを伸ばす中で。
オイサン的にも『けいおん!』は今期の大本命だったのですが、
首位の座は『夏のあらし!』に完全に取って代わられました。

『夏のあらし!』、異様に面白い。

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動きの緻密さや密度は『けいおん!』にかないませんが、
やはりその特殊な演出や極端な色使い、
カメラワークがなどオイサンの心を捉えて離しません。

クギヅケになって見てしまいます。
やはり新房カントクは良い。

原作もいいですね。
1巻だけ原作を買って読みましたが、
アニメがここまで原作に忠実だとは思いませんでした。
小林尽という方の能力を侮っていました。

特に、「夏休み」と「戦争」というキーワードをひっくるめて
『夏のあらし!』なんていうタイトルを編み出したセンスには脱帽です。
計り知れないパンチ力。

  ゲンバクのおかげ……と言う書き方では誤解を招いて怒られるのか、
  ゲンバクと終戦時期のせいで、
  日本人には「戦争」といわれると「夏」を連想する習性があるみたいです。

お話にはバラツキがありますが、
シリアス回はシリアス回なりの、コメディ回はコメディ回なりに、
エッジが利いていて楽しめます。

あと、銀髪ドイツ美人のカヤさんの声が名塚佳織さんで、
基本的にはあまり意識しないで見てはいられるのですが、
ふとした瞬間……、
絢辻さんのパーソナリティが脳裏を掠めてウワッと思ってしまいます。

思うに、名塚さんは撥音(小さい「つ」の、詰まる音ですね)を出す際に
息か、音の滑らかさに独特のクセが出るみたいで。
その瞬間だけ、絢辻さんと(多分他のキャラとも)同じになるっぽい。

いずれにしても、
『夏のあらし!』のおかげで月曜日が楽しみです。
マ好き嫌いは別れると思いますけどね。

あと、案外『戦場のヴァルキュリア』も悪くないです。
水戸黄門的なテイストで。
EDの『アノ風ニノッテ』も、オサレ風味ではありますが、相当好きです。


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オイサンでした。

 

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2009年5月13日 (水)

■嘘をついても、震えたままでも。 -更新第211回-

先の土日、ロクでもない企みを、
……マ自前の創作がらみなんですが、
一つ狙いを定めてずーっとこね回していたんですけども。
先週末のみならず、GW中から、改めてボチボチと。

これがまたなんとも……「生きてるなあ」と。
脳に心に、カラダにも、これ以上ないくらいの潤いと悦びが、
フツフツと湧き上がってくるわけです。
自分でも驚くくらいに。

  すごく長い時間歩いて歩いて、
  くたびれたところにガーッと冷たい水をあおったときに
  体に漲る安心感と回復感のような。
  あの感じが、心と脳に湧き上がるのを感じていました。

快感、充実感、達成感、あの感じを何と呼ぶんだろう。

踝あたりから背筋を伝って、頭のてっぺんから抜けて行くんだけど、
同時に、腰のあたりから全身に広がって、湧き上がり、
体の中に活力が渦を巻く、あの感じ。

……ここ数年、喜びといえば
何かを買ったり、手に入れたりの、消費することが中心で。
それは音楽のプレイヤーだったり、カメラだったり。
或いは、北海道という場所で新しい景色を取り込んだり……でした。

もちろんそれらから何かを生み出して……生み出そうとしてもいたのだけど、
自分の中では手ごたえがなかった。
楽しくはあるけど、物足らない気分だらけで、スカスカで。
大きな感動のようなものがなかった。
突き抜ける感動、背筋を伝う、震えのくるような快感のインパクト。

それが今、二次的とはいえ、頭の、心の中から、
ずくずくずくずく、沸いてくるものがある。
二次的なモノにとどまらないイキオイもある。


嗚呼、自分の中からなんか出てくる! という歓びが。
多分それは、普通の人たちが普通にやってるレベルのコトでしかないんですが、
ようやくその感じが思い出せたというか、普通に戻った、という話なのですけども。


なんかもう凄く、生きてるなって、今思う。
そうか、俺はもともとこうやって生きてきたんだっけか、
大したことはしてきてないけど、
それでもこれが自分のド真ん中だったか、という奪還。

まだ殆ど何もしていない、一つ二つしか形になっていないんだけども、
自分の内側でビリビリビリビリしているものがある。
何でもいけるぞ、ナンボでもいけるぞ!って、
カラダの組織が言ってくれてるのを感じます。





出番だ! 俺の中の、八百万の小人さんたち!!





  ……なんか完全に中学生だな。
  存分に恥ずかしい。

そしてもしかすると、
この『ゆび先はもう一つの心臓』を始めて以来、初めて、
「人に読んで欲しい、そのために変えるぞ、変わるぞ」
という気持ちも……ちょっとだけある。

06年以降、なんだか物足りなかったというか、
グダグダグダグダしていた3年間。
イヤそれは偏に自分が悪いんだけども。

けどまあ、思うところ、蓄積したもの、
物が入ってるか入ってないかも分からない引き出しを、
でも何かしらが引っかかって開けられなかった引き出しを、
ようやく開けられるかなあという気分でいます。

不思議なもんだ。
ホント不思議なもんだよ。


  ……。


それと合わせて、最近ちょっと嬉しいなって思うのは、
オイサン馬鹿だから……
四十ンなっても五十ンなっても恋は出来そうだなあ、と思えたことだろうか。

中学とか、高校とか、性的な意味で楽しい記憶があんまりなくて
(最近になって掘り起こしてみるとなんだかんだ出てきてびっくりしてますけど)
そのテの物語を目にするにつけ、
「ああ、こういう季節は、俺にはもう巡って来ないんだなあ」
と悲しい気持ちになっていたんですが。

……なんか、
オイサンの我ながら飛びぬけた馬鹿さ加減のおかげで、
割とそんなコトもなさそう、という実感が。

へこんだふりしててもこのバカは、火さえ点けばお構いなしだというコトが
自分で分かった。

四十んなっても、五十んなっても、
「一生どうでしょうします!」じゃないけど、
「一生ギャルゲで恋します!」と、
三十路をまたいだ今回の気持ちで、ちょっとだけ確信が持てたというか。
オッサンでもいいんだな、みたいなことで。
あ、本人の勝手でいいんだ、みたいなことで。

マそれに付き合ってくれる面白い相手がいるかどうかが問題ですけど。
あとは次元の壁と。



ああ、バカで良かった。



■ワイルドアームズ the 4th Detnator OP

名曲。……ゲームはあんまり褒められたもんじゃなかったですけどね。

 

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2009年5月12日 (火)

■手帳の中のダイヤモンド -09- 第三部 PRE STORY -更新第210回-

「あ、おかえり、にぃに」

玄関を開けるなり。
僕の「ただいま」より早く、たまたま廊下を横切った美也が食いついてきた。
口にはアイスをくわえてる。この寒いのに、本当に好きだな。

「あ、そうだ。あのさーにぃに……」
「悪い、このあとまたすぐに出なきゃなんないんだ。
 帰ってからな」

機先を制すると、美也は不満そうに頬を膨らませた。

「えー、何それー? こんな時間からどこ行くの?」
「こんな時間って……まだ4時だろ」

今日はそのために早く帰ってきたんだ。
学校に残ってダラダラする、貴重なライフワークの時間を惜しんでだぞ。

「だから、どこに行くの!? ……ま・さ・か♪」

不服げだった妹のネコ顔は、途中からにちゃりと愉しげにゆがんで。
何かを値踏みするような視線を絡みつかせてきた。
……アイスも好きだけど、ホント、そういう話も大好きみたいだ。

「ばぁか。創設祭委員の雑用だよ。
 隣の駅まで買い物に行かないといけないから、
 私服の方がいいだろって話でさ」

もっともらしい理屈をつけると、美也は。
また不満顔に戻って「なぁんだ」と気のない息を吐いた。

「ほれにひても珍ひいねえ? (カポン)、にぃにが委員会だなんてさ。
 にぃに、そういうのしない系のマニフェストの人かと思ってたよ」

部屋で着替えていると、今度はドアの外から話しかけてくる。
アイス、くわえたまま喋ってやがんな?

「所信表明した覚えはないぞ。……まあ、当たってるけど」

確かに、美也の言うとおりだ。
委員会とか、クラブとか、課外的な活動からは無縁の領域で生きてきた僕にとって、
絢辻さんとの出会いと、彼女のエリアでの生活はある種革命的だった。
もちろん、今日の買い物だって絢辻さんと一緒だ!

「ふーん……。
 今日はにぃにの好きなカラ揚げとタコ唐サラダだから、
 早く帰ってきなさいって、お母さんが言ってたよ」
「お、そうか。じゃあなるべく……」

……一抹の、不安。

「……お前、万が一遅くなっても、僕の分まで食べるんじゃないぞ」
「にしししし~♪ あー、お腹減ったなー。ゴハンまだかな~」
「食べるなよ!」

ガチャ! と。
着替えを終えてドアを開けると、
片手にアイス、片手に茶封筒……? を持った美也が待ち受けていた。
その茶封筒を、ヌッと僕の眼前に突き出す。

「な、なんだよ……」
「お父さんから。今月のお小遣い」

そうか、もうそんな時期か。
ていうか、昨日のはず……だよな。小遣い日。

「今朝預かって、渡ふの忘れてたんだよ。
 にぃに、昨日早く寝ひゃってたひ、今朝も遅かったし」

確かにそうだ。
昨日の手伝いはバリバリの肉体労働で、帰ってきたらもうヘトヘトだった。
絢辻さんは……頭脳労働は9割がた自分でこなしてしまうけど、
肉体労働となるとほとんど僕に回ってくる。
しかも作業の量・質ともに手加減がない。
どうせ僕がやると思って、無茶な量を請け負ってきちゃうんだよ。

それでも、出来ると出来ないのギリギリのラインで
僕がこなせる量に納まっているから……さすがというか、なんというか。
僕のことを理解した上で、さらにアテにされているかと思うと悪い気はしないのだった。

僕は封筒を受け取ると、なんだか小さな違和感にさいなまれた。

「それにしても、封筒? いつもは札っぺらを裸でくれるのに」

きっちり封までしてあって、しかも……ちょっと厚くないか? これ。
僕の小遣いは月に五千円。明らかに、お札一枚の厚みじゃない。

「さあ? 預けるのに、むき出しじゃ気持ち悪いからじゃない?」
「お前、父さんに信用されてないんじゃないか?」
「バカ言ってもらっちゃ困るなぁ、にぃにー」

ニヤッと笑って投げつけた僕の皮肉を、美也はふんぞり返った胸ではね返す。
カキーン。
そうやって反り返ると、貧乏な胸がやたら強調されるから
やめた方が本人のためなんだけど……。
それを言うとまた引っ掻かれるから、言わない。

「安心と信頼のみゃー信用金庫だよー?
 貯蓄から資産運用のご相談まで、なんっでも承るのだ!」

意味のわからない自信とキャッチコピーでするりとかわす、
こいつは本当にネコみたいだな。
さすが森島センパイは、人の本質を見抜くに長けてる
(ただ、そこを認めてしまうと、僕は忠犬にならざるを得ないんだけど……)。

「それじゃ、確かに渡したからね。
 帰ってきたら、みゃーの話もちゃーんと聞いてよね!」

美也は玄関までまとわりついてきて、靴紐を結ぶ僕の背中に手前勝手な要求をぶつけてくる。
面倒だけど……まあ、かわいい妹だ。

「わかったわかった。じゃ、行ってきまーす」
「ほいほーい。お土産よっろしくね~♪」

……たかが隣町で、なんのお土産だよ……。



    *  *  *



家を出て、駅に向かって角を曲がる。
時計を見ても、待ち合わせの時間まで思ったよりも余裕があった。
そのとき、ジャケットのポケットにそのまま突っ込んださっきの封筒が気になって、
僕は歩きながら、その違和感の正体を確かめようと思った。

「あれ? やっぱり……」

封筒から出てきたのは、紙が三枚。
5千円札が一枚と、千円札がもう一枚。
そして……フセンって言うのか、俳句をしたためるような大きさの、ちょっと雅な紙がもう一枚。

別に、小遣いを上げてもらえるようなことをした憶えがない。
成績が上がったわけでなし、何かで表彰されたわけでなし。
親孝行をしたわけでなし。

それに、最後の一枚はなんだろう。

ひらひらっとその表裏を確かめると、片面に何か書いてある。
太くて大きな字と、細くて小さな字、二種類の筆跡で書かれた二つの文字列。
日が傾き始めて辺りは薄暗く、ちょっと読みづらい。
僕は闇を避けて電柱の灯りの下に逃げ込み、目を凝らして、……驚いた。



 もしかして彼女ができたか?
 千円増やしてやるから上手に使いなさい。
 違ってたら、黙って返すこと。    父

 今度お母さんにも紹介して下さい。
 P.S. 梨穂ちゃんかしら?      母



心底、驚いた。
心臓をつかまれるとはこのことだと思った。
なんてことだ、バレてる!?

……いや、僕と絢辻さんは、まだ恋人じゃない。
あのキスは……契約のキスだ。ホンモノじゃない。

だけど、その僕の変化を見て取って、何かに気付いたんだ、この二人は。
侮れない。

思えば、美也もだ。
あの目ざとい猫娘が、この封筒の妙な厚みに気付かないわけない。
気付いた上で、汲み取って、触れないように、壊さないように、
あえて黙って僕にパスを出したんだ。

僕が顔に出やすいのは、今に始まったことじゃない。
森島センパイにも、下級生の七咲にだってからかわれる始末だ。
とは言え、梅原だって梨穂子だって、
僕の変化からここまでの確信はしていないだろう。

すごいもんだな。親ってのは。家族ってのは。

一頻り感心をし、僕は心の中で両親に手を合わせると、物思いながら駅へと向かった。

あと、このメッセージから読み取れる意図といえば……
「たとえフラれても、経済的な理由を言い訳にはさせない!」
という無言のプレッシャーと、
「干渉はしないから、きちんと考えて自由にやりなさい」
という信頼と解放……だろうか。

……父さんと母さんは多分、そんなことまで考えていない。
どちらも根は実直だけど、たまにちょっと冗談が好きで、
ちょっと驚かせてやろうという……多分、今回の発案は母さんだ。

母さん似の美也は、そういう悪戯っ子のような性格も受け継いでいるところがある。
僕にもそのケがないではない。
梅原と正面きって付き合えるのは間違いなくその血のおかげだ。
ただ、外見と、梨穂子に付き合っていける緩やかさは父さんゆずりだと思う。

こうして絢辻さんと出会えた……絢辻さんは僕を特殊だと言ったけれど、
そのきっかけをつくった変わり者ぶりもきっと、家が作ったものだ。

結局、人間、なにごとも家族から始まるんだな。





   ─────と。





そこで、ふと、僕の足は止まってしまった。
じゃあ、当の絢辻さんは?

家族が嫌いだ、と絢辻さんは言った。
正面切って、僕の胸の中で。
あのぬくもりとやわらかさが、嘘や、冗談や、その場の勢いの類でないことは
鈍感な僕にだってわかる。
トクトクと波打つ背中の薄い皮膚を通じ、彼女の言葉は確かな感触として、僕の心を貫いた。

過剰なエリート意識を持つ父──。
一つの物の見方しか出来ない母と──。
何も知らない姉──。

家にはいたくない。
食事は、外の方が好き。
勉強は、図書館でした方がはかどるの。

矢をついで語られる呪いの数々。

家には居場所が無い。
誰も私を見てくれない。
そもそも、私はそこにいるの?

確かな重みと厚みに裏付けられた彼女の家族への思いは、
僕の理解も想像も、はるかに超えていた。

絢辻さんは詳しい話はしてくれないから、
彼女が受けた傷が、仕打ちが、どんなものだったのかわからない。
どんな深さだったのかわからない。

僕は、ポケットにしまった両親からの言葉を、もう一度ペラペラと見直した。
もちろん僕にだって、家族に悪い思い出がないわけじゃない。
ぶつかったことだって、一度や二度じゃない。

両親も美也も、人間なんだ。
ずっと同じ場所で、同じものを見て、同じ時間をすごしたわけじゃない。
ちがう見方、ちがう思い、ちがう行い。
かみ合わないことだって数え切れずある。

だけど。
でもそれは。

……絢辻さんは、聡明な女の子だ。
それは、僕なんかよりもずっと。
その絢辻さんが、そんな簡単なことに気付かないとは思えない。
そんなことを許せない人だとも思えない。
じゃあ、一体なぜ? 一体なにが?

つまるところ、今の僕には、絢辻さんの言葉を信じるしか、術が無い。
一体、彼女と家族の間に、何があったんだろう──。

「! やばっ!」
いつしか、トボトボ歩きになっていた僕の目に、腕時計に反射した街灯の灯りが跳ねた。
考えすぎた、完全に遅刻だ!
走り出す、全速力。
まだ時間の3分前だけど、きっと絢辻さんはもう待っているだろう。
その空虚な時間の不安を、僕らの何倍も何万倍も、重く受け止めながら。



    *  *  *



「遅い!」

僕の前で、絢辻さんの言葉と感情は、いつもシンプル。
儚くへこんだ絢辻さんは、僕の感傷の中だけで。
当たり前だけど、駅前で待っていた彼女は
さっきまで学校で一緒だった絢辻さんと何ら変わりなかった。

目つきを鋭く、ついでに唇もとがらせて。
肩で息をする僕の、2分の遅刻を決して許してはくれなかった。

「ご、ゼェ、ご、ごめ……ゼェ、あ、ゼェ、絢、絢つ、ゼェ、絢辻さん……」

どうにかこうにか膝に手をつき、肺の空気を言葉に変えた僕を傲然と見下ろして、
絢辻さんは元気いっぱいだ。
そして、僕がようやくしゃべれるくらいに回復したのを見計らい。

「……寒かった」
「え?」
「さーむーかーったー!」

一人でぽかぽか、顔から楽しそうに湯気を上げてる僕が憎たらしいのだろう。
不機嫌を隠そうともせず、何かを要求してくる。
……こうしてると、ただの駄々っ子な彼女に見えなくもないんだけどな……。

「そ、そっか、ごめんね。
 ちょっとそこでコーヒーでも買ってくるから……」
「缶コーヒーで誤魔化すつもり?
 帰りに喫茶店で、ちゃんとしたお茶を御馳走して」

……お父さん、お母さん、ありがとう。
戴いた千円が早速役に立ちそうです。トホホ。

「あ……うん。それでいいなら、喜んで」
「……なによ。随分気前いいじゃない」

だけど絢辻さんは、僕のその態度もお気に召さないようで、そんな探りを入れてくる。
それをかわせるだけの余力は、今の僕には残っていないのだ。
言わなきゃいいのに、バカ正直に。

「ああ、たまにはね。ちょっと臨時収入があってさ」
「あら嬉しい」

絢辻さんは満面の笑顔……。「良かったわね」とかじゃ、ないんすね……。

「……なんで、絢辻さんがチョクで喜ぶの……?」
「いけない?」
「……いけなか、ないです……」

そうして、ようやく機嫌を直した絢辻さんは、軽やかに。
改札に向けて身を翻した。

  ……。

その背中にあの日の温度と言葉を思い出し、僕は考える。
月に一万円もお小遣いをもらってる絢辻さん。
だけど、僕には想像がつかないんだ。

一体きみは、どんな顔をして、どんな言葉で。
お父さんからそれを受取るんだろう。
お母さんのよそうご飯を、どんな気持ちで口に運ぶのだろう?

おはよう、いただきます、いってきます。
ただいま、おかえり、ごちそうさま。
おやすみなさい。

当たり前の風景。
当たり前のはずの言葉。

絢辻さんの心に、それは見当たらない。
そして僕には、それがわからない。

「ちょっと、早く! これ以上モタモタしない!」
「ああ、うん!」

……きみが嘘をついている?
それとも、思い違いをしている?
悲劇のヒロインを演じるために?

そう思うことは簡単だけど、僕は君を信じよう。
たとえそれが、どんなに僕の想像を絶していても。

ポケットの中でかさかさと、一枚の紙が音を立てる。
今の僕に出来るのは、僕が「家族」から受け取るこのぬくもりを、
少しでもきみに感じてもらうことくらいだけれど。

だけど、きっと、いつか。
きみが無くした風景を、きみと二人で……
絢辻さん、一緒に作っていきたいと。
心からそう、願っているんだ。



「だから早くってば! ……もう、夕飯抜き!」
びしっ!
「な、なんで絢辻さんが決めるの!?」



 ~ Epilogue ~



美 也「いただきまーす。
     ……ん? にぃに、どうしたの? 食べないの?」

純 一「……夕飯、抜きにされた……」
美 也「…………………………誰に?
     にぃに、なに言ってんの?」

父・母(なんか、大変な子が相手みたいだな……







 ◆『アマガミ』絢辻さんシナリオ解読企画 「手帳の中のダイヤモンド」 目次
    01 前口上
    02 序文・絢辻詞という「少女」
    03 第〇部 物語のアウトライン 

    04 第一部 学校生活編 PRE STORY (SS)
    05 第一部 学校生活編 その1
    06 第一部 学校生活編 その2

    07 第二部 「目標」編 PRE STORY (SS)
    08 第二部 「目標」編

    09 第三部 家族編 PRE STORY (SS)
    10 第三部 家族編

    11 第四部 手帳編 PRE STORY (SS)
    12 第四部 手帳編 その1
    13 第四部 手帳編 その2

    14 第五部 恋愛編 PRESTORY その1 その2 その3 (SS)
    15 第五部 恋愛編 その1 その2 その3
    16 第六部 終章 PRE STORY その1 (SS)

    ◎『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク

 
 

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2009年5月11日 (月)

■『P.S.すりーさん』ドラマCD、発進! -Extra Round-

一部で大人気のブログ『IKaのマホ釣りNo.1』さんで、
大好評……連載? 不定期掲載? 中のマンガ
『P.S.すりーさん』のドラマCDが遂にリリースされました!

P.S.すりーさん (GAME SIDE BOOKS) P.S.すりーさん (GAME SIDE BOOKS)

著者:IKa
販売元:マイクロマガジン社

ドラマCD P.S.すりーさん ドラマCD P.S.すりーさん

販売元:HOBiRECORDS
発売日:2009/05/08
Amazon.co.jpで詳細を確認する

   → ◆ドラマCD 『P.S.すりーさん』 公式サイト

オイサンも買いました!
聴きました!!

……泣けます!
せがさんかっけぇ、マジパネェっす!

……あのね、オイサン、正直ね。
ホント、今までずっとオタクやってきて良かったって思うよ。
だってこのドラマを聴いて、泣くことが出来ちゃうんだもん。

別段、この原作者の方とお知り合いなワケでも
何でもないんですけどさ。

それでも、大好きなゲームに、
こういう形で貢献というか、恩返しというか、
受けた愛を返されているのであろうIKaさんを見ていると
なんだかとても素晴らしくて、羨ましくて、泣けてしまいます。

陰ながら、これからも応援し続けて行く所存でありますことよ。

あと、椎名へきるがえらく声が変わっててビックリする。
オイサンでした。

おにぎりうめぇー!!

 

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2009年5月10日 (日)

■Over the Dimension -更新第209回-

オリジン弁当で、ちょっと品数をたくさん買ってしまったとき、
つい見栄を張って「あ、お箸二膳下さい」って言っちゃいます。
オイサン@まだまだ可愛いところがあります。

今日のメニューはとっちらかった日記色々です。


================================================================
■■■━ ゴールド・エクスペリエンス ━■■■
----------------------------------------------------------------
ちなみにG.Wは、カレンダー通りの5連休でした。

  NHKでは「カレンダー通りだと8連休になる」みたいなコト言ってて……
  コッカイをぶん殴りたい!
  4/30、5/1を埋めるのはデフォなのか?

デその120時間をどう過ごしたかというと……
睡眠時間は平均6時間だったので、活動時間、約90時間。
休み中に最低でも『アマガミ』を2周はしたいと思っていましたが、
ずーっと絢つ……『アマガミ』のことを考えていたにも関わらず
1周も出来ませんでした。

あとは『夏のあらし!』と『けいおん!』と……
つまりは黒髪ロングの美少女のことばっか考えてたってことっすよ、もう。

マ、ここで書いてたアレとか、他にも幾つかね。
やる気が出て来ちゃったモンですから。
スーツ新調したり、夏物買ったりもしたんですけどね。
ホントは。

北海道に行かない長い休みってのが随分久しぶりだったんで、
新鮮だったです。

あと、G.Wに買ったもの。
 ・Persona(PSP版『女神異聞録ペルソナ』)
 ・デススマイルズ
 ・ワイルドアームズ the 4th Detnator サントラ

ペルソナ ペルソナ

販売元:アトラス
発売日:2009/04/29

デススマイルズ(通常版) デススマイルズ(通常版)

販売元:ケイブ
発売日:2009/04/23
ワイルドアームズ ザフォースデトネイター オリジナルスコア

================================================================
■■■━ ママはニュースキャスター ━■■■
----------------------------------------------------------------
いきなり年のバレるタイトルから入りました。
あれです、母の日だったんでね。

デGWの一日と昨日は、母の日ギフトを探しに
近所のデパートのギフトコーナーや婦人向けアイテムのフロアを徘徊してきたのですが。

  ちなみにオイサン、女性物のアイテムを見て回るのは
  すごい楽しくて好きです。

なんか途中から、
「あ、アレは絢辻さんに似合いそうな気がする」
とか
「あれはちょっとアクティブ過ぎてダメかも」
とか考えながら歩いてました……。

何かもう、キモイとかヤバイとかそういう次元を超越して
若干微笑ましい感じになってきてしまった気がします。

しかし最近のギャルゲーは、元祖『ときメモ』と比べると
随分とおしゃれになったと思います。
良い傾向です。


================================================================
■■■━ 次元超解像 ━■■■
----------------------------------------------------------------
上で書いたように、最近のオイサンは
「2次元からたくさんの情報を読み取り、
 3次元的にフィードバックをかけて
 3次元的情報を2次元に与えて脳内再生する」
という、新しい世代の情報補完能力が異様に向上してきました。

画像処理的に言うと、最近出ている超解像とかいう技術。
アレは結局のところ、

「小さい画像から大きい画像を作り出すのに、
 何枚かの画像を解析して情報を抽出し、
 本来ないはずの画素をイイカンジになるように作りだして
 インチキして綺麗な拡大画像をでっち上げる」

というモノですが、それをつまり、

「2次元キャラの様々な情報を読み取ることで、
 本来存在しないはずの3次元的な情報を脳内で作りだし、
 あたかも3次元的に存在するように自分の中で感じ取る」

という、新世代の神には必須のスキルです。

  たとえば。
  絢辻さんの髪の毛を触らせてもらうシーンでの、
  サラサラとした髪の感触。

  たとえば!
  塚原センパイとみゃーと七咲が三人並んで校舎裏に現れた時、
  「あれ、この三人の周り、微妙に匂いが違うっぽいな」
  的な感覚の差分。

  たとえば!!!
  絢辻さんが部屋にパジャマで出てきたときの、
  パジャマの質感の視覚情報からの触感の再現。
  ……アレは多分タオル地だ( ←犯罪者)。

  た・と・え・ば!!!
  そのパジャマの下は
  ……おそらくその……、なんつうか、ホレ。
  つけてないでしょうから。
  普段よりゆんゆんしてるであろうなあ、的な、
  その動きの視覚的脳内再現!

  他にも、『みなみけ おかえり』でハルカとカナを見ていて、
  カナはまだ中学生だけど、ストレスフリーで生きてる分、
  二十歳くらいになったときにはハルカさんより肌つやもハリも良くて
  ガラッパチ系の美人になってるだろうなあ、という
  肌つや・肌理の見極めとか!

本来2次元には存在しない情報を、その周囲の情報から読み取ることで
実際の生身的情報に頼ることなく、
2次元を汚さぬままに3次元により近い状態を作り出す。

これこそ画像補完エンジンならぬ、「次元補完エンジン」!
本来ない画素を生み出して拡大画像を美しくする「アップスケーラ」ならぬ、
「アップディメンジョンエンジン」!

……むう……。
マジになんとか出来ないか、考えてみよう。

               TOSHIBA REGZA 42V型 地上・BS・110度CSデジタルフルハイビジョン液晶テレビ HDD300GB内蔵 42H7000

================================================================
■■■━ Amagaming Day's ━■■■
----------------------------------------------------------------
デ結局また『アマガミ』の話になるわけですが。

公式コンプリートガイドを見ていると、
どうでもいいデータ比較などが載っておりまして。
ヒロインズ&登場キャラの運動能力ランキングとか、
学力ランキングとか。

アマガミ オフィシャルコンプリートガイド アマガミ オフィシャルコンプリートガイド

著者:ファミ通書籍編集部
販売元:エンターブレイン
発売日:2009/04/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する


  ……実は全然どうでもよくなくて、
  こういう日常性が高く、攻略に関係のない話が
  妄想やらを膨らませるには効果的なワケです。
  「実用性が無い」情報というのは、実に豊かなものです。

その中に、「貰ってるお小遣いの金額ランキング」なんてものが載ってました。
中田さんが死ぬほど(高校生が月20,000円とか!)もらってんなとか、
梨穂子は小学生みたいなもらい方してんだな
(一日200円×日数。そういや会話モードでそんなこと言ってたわ)、とか。
絢辻さんは10,000円も貰ってんのかーとか。

それを見ていて思ったのが
「絢辻さんにお小遣いを上げたい」
という……「また何とも意味の分からない願望を抱く」の実績を解除!

うーむ……。
何だろう、この感じは。

家ではツンツンしてる絢辻さん、
嫌われてるお父さんはどんな顔してどんなタイミングで、
どんな風にその一万円札を渡し、
絢辻さんはどんな顔してそれを受取るのか。
……実に興味がある( ←ド変態 )。

しかし、そこでハタと思い直したのですが。
相手は絢辻さんではないかもしれませんが、
「高校生になった娘にお小遣いをあげる」
という夢は、まだまだ叶えられるかも知れないんですねえ……。

そう思うと、結婚てのも、案外悪くねえな。
「相変わらず歪んだ結婚観を披露」の実績を解除!


  ……。


それと。
『とめはねっ!』を読み返してて、
ヒロインの望月さんと主人公ゆかりちゃんの関係は、
『アマガミ』の絢辻さんと主人公の関係にちょっと似てるのかもなと思いました。

とめはねっ! 4 (4) (ヤングサンデーコミックス) とめはねっ! 4 (4) (ヤングサンデーコミックス)

著者:河合 克敏
販売元:小学館
発売日:2008/11/28
Amazon.co.jpで詳細を確認する



ていうか、望月さんの容姿が絢辻さんにちょっと似てるかも、
というだけかもですが。

結局、黒髪ロング好きなだけなのか、俺は。


================================================================
■■■━ 欲しいものがある方へ向かって ━■■■
----------------------------------------------------------------
黒髪ロングといえば、今世間でもっともおアツイのが
『けいおん!』の澪っぺですが。

世間(のリアル女子の間)では、
「澪っぺは浮いてる!」
「あんな女、リアルじゃいねえ! つか、いたら女子からはハブられる!」
という話題でもちきりのご様子。

 ◆澪ってかわいい?それとも浮いてる?[たまごまごごはん]
  http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/20090506/1241542211

……なあんだ。
澪みたいな子って、リアルじゃいない or ダメなのかー。

や っ ぱ 3 次 元 終 わ っ て る な ! !

オイサンの欲しいものを手に入れるには、やっぱ3次元に向かっちゃダメなんだ。
オイサンは間違ってなかった。
良かったー。



================================================================
■■■━ ザ・子供向けのエロ本 ━■■■
----------------------------------------------------------------
マそんなことでね。
今回は、G.Wの報告も含めて、ホントただのとっ散らかった日記だったわけですが。

G.W突入直後、色々あって、
ウチの親がザ・スニーカーという雑誌を買わねばならなくなったのですが。

「ザ・スニーカー」といえば、角川書店さんが出している、
ライトノベル系の小説をかき集めて載のっけてるラノベ雑誌で、
言ってみれば、ラノベの「野生時代」のようなもの……

……と、オイサンは思っていたのです、が。
買って帰り、中を見た親父殿から電話が。


「子供向けのエロ本みたい」


……。


いや、確かに巻頭のカラーページには、
パンチラだとか温泉だとか、
女性キャラのサービスショットが一杯だったが……
そういうのはオタクの世界ではお約束みたいなもんで、
そこにエロスを感じたり求めたりすることはその……あんまり……。

  ……そう考えると面白いもので、
  イマドキのオタクってのは、
  「パンツじゃないから恥ずかしくない」だの、
  「乳首券の発行」がどうだのと、
  老いも若きも、同じレベルのエロスで楽しんでいるわけだから
  ある意味特殊な市場性なのかもしれんませんな。

しかし父よ、スマン。父よ。
あなたの息子さんの部屋には、そんな雑誌やらが一杯だ……。
そしてなんだ、その……子供向けと言わず、全然現役だぞ?

そんなんでよく「お前の部屋を見に行きたい」
なんて言えたモンだな!
しあわせみるくで顔洗って出直してきなさい(逆ギレ)!!

けしからん、全くけしからん……

 ■Google画像検索 "けしからん"

……日本という国は、なんだ。
実にけしからんな。

……しかし、オイサン正直、父の言った
「子供向けのエロ本」という表現のあまりの的確さ・かつ巧みさに
舌を巻いてしまったことも事実。

すげえなw

なんかもう、「これより下はない!」っていう、
親父の救いがたい気持ちを見事に言い表してる気がするw
「まったく箸にも棒にもかからん!」的な。
子供向けな上にエロ本ですからね。

ダメだwwwww
ウケルwww
さすが親父wwwww本質wwww一喝wwwwww

角川書店さん、ちょっと考えた方がいいかも知れませんなw


  ……。


あと、こんなコトを書いていいのか分かりませんが……
ここんトコ、何か……キンタマが小さくなったような気がする……。
明らかにしぼんだ……。


マそんな感じでヒトツ。
オイサンでした。

 

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2009年5月 6日 (水)

■手帳の中のダイヤモンド -08- 第二部 -更新第208回-

 
 
 ◆『アマガミ』 絢辻さんシナリオ解読企画 「手帳の中のダイヤモンド」 目次
 ◎『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク

 
オイサンです。
『アマガミ』絢辻さんシナリオ解読企画、「手帳の中のダイヤモンド」、
今回はその第7回目です。

  この記事は、近代ギャルゲーのシナリオとして屈指の深度と完成度を誇る
  絢辻さんシナリオの、解読の一助とならんがため……
  家族から愛を与えられず、
  優秀であるがゆえに対等の友人も持てず、
  世の中に対して斜に構えることしか出来なかった……
  だ  け  の  ヒ  ロ  イ  ン  で  は  決  し  て  な  い、
  絢辻詞というキャラクターの本心・本質・本当の姿を読み解くための副読本として
  オイサンが色んなものを削ってお送りしております。

今回から第二部「絢辻さんの目標」編にはいります。


  ■第一部までのおさらい


第一部では「学校生活編」として、大きく
  ・絢辻さんは、なぜ、いつから猫をかぶっているのか
  ・その猫かぶりの性質とは
  ・猫のメリットと弊害・周囲との関係性
  ・裏と表、さらにそのハザマにいる絢辻さん
ということについて読み解いてきました。

そしてそこで見えてきたのは、
  ・発端には「家族」との関係があること
  ・「家族」を克服するために「目標」を掲げたこと
  ・「家族」「目標」の双方を満たすために、二匹の猫をかぶっていること
など、幾つかの絢辻さんに関する事実。
そしてまた、コマゴマとした謎を読み解いてはきましたが、
  ・家族との間に一体何があったのか?
  ・「目標」の正体とは?
  ・絢辻さんは、なぜクラスメイトたちの前で、猫を脱いだのか?
  ・幼い絢辻さんが犯した過ちとは?
などの謎が、まだまだ残されています。
詳しくは以下の目次からご参照下さい。

 ■手帳の中のダイヤモンド
   01 前口上
   02 Pre Story 1 絢辻詞という「少女」
   03 シナリオのアウトライン
   04 シナリオ解読 学校生活編 Pre Story
   05 シナリオ解読 学校生活編 その1
   06 シナリオ解読 学校生活編 その2

今回はその中の絢辻さんの「目標」に迫ってみたいと思います。

 ■参考図書の紹介
  アト非常に評判がよくないのですが、
  この『アマガミ』論の中では、何故か
  『はじめの一歩』と『バキ』シリーズになぞらえた置き換えが頻出します。
  良く分からない方は、どちらも非常に面白いマンガですので
  これを機会に是非お読み下さい。
  はじめの一歩 79 (79) (少年マガジンコミックス)はじめの一歩―The fighting! (77) (講談社コミックス―Shonen magazine comics (3705巻))グラップラー刃牙 1 完全版 (1) (少年チャンピオン・コミックス)バキ―NEW GRAPPLER BAKI (No.28) (少年チャンピオン・コミックス)範馬刃牙 8 (8) (少年チャンピオン・コミックス)

  いろんな場面で使えることウケアイです。


====================================================================
  ■第二部■ 目標 ~Shadow of DIAMOND
--------------------------------------------------------------------
「この絢辻詞には夢があるッ!!」
ドッギャアアァァーーーーーーン!!

……と、絢辻さんが言ったか言わなかったかは別として、
あれ絢辻さんどうしたの怖い顔しt

   ズガッ!( ← 殴られた)

……失礼こきました。
参考図書に『ジョジョの奇妙な冒険』も追加することにします。



  ■メルクマールはブラックダイヤの輝き



物語の中盤、絢辻さんは主人公に本性を露わにした直後から
ことあるごと「目標」という言葉を口にし出します。
それは具体的に何なのかは、あるとき会話モードの中で、
ポロッと絢辻さんが話してくれました。

「一つは医療関係。もう一つは秘密」

  秘密だという「もう一つ」については諸説ありますが、
  マ普通に解釈すれば、「スキ」ルートBestエピローグで語られるアレです。
  あまりにベタで、くすぐったいので書きません。
  だってノロケになっちゃうもんなあ! (←バカ)

  ただ、オイサン的には、アレとは別に、
  何かもう一個、目標を隠し持っていると考えた方が面白い、
  とは思っています。

  それに、そのことが語られるのは会話モードの中ですから。
  イベントを実行するタイミングによっては、
  辻褄が合わない場合もあるのでは? と勘ぐっています。

いずれにせよ、この「目標」が具体的になんであるか、ということは、
あまり意味のある話ではありません。
それは、知ってさえしまえば終わる話です。

本章のポイントはあくまでも
『アマガミ』の物語の中で、
絢辻さんの心が「目標」をとりまいてどのように移ろっていったか、
時々のシーンの中で、絢辻さんが何を考え、
どのように感じ、あのような行動をとったのか?
について考察することです。

そうすることで、謎多き『アマガミ』シナリオの、
面白さ・精緻であることを理解することが、
この「手帳の中のダイヤモンド」の意義なのです。
その意味に置いて、この「目標」は、シナリオ全体を貫いて、
大変にわかりやすい指針をもっています。



  ■黒きダイヤの中心に



先ず冒頭でも書いたように、絢辻さんの心の中心には、
いつも「家族」がいます。
それは、決して良い意味ではありません。

彼女にとって「家族」とは、常に昏らき情熱の源です。

家族に振り向いてもらえない、家に居場所がない。
そうして寂しい少女時代を過ごした絢辻さんが考えたのが
「ならば、外にそれを求めよう」
ということでした。

  この辺の詳しいところは、「家族」の章で書きます……
  というのは前回でも散々書いたとおり。
  ちなみに、前回の終わりでオイサンは、
  絢辻さんを『はじめの一歩』の主人公・一歩になぞらえましたが、
  こうして考えると、その立場は実は、鷹村に近いことが分かります。

誰もがひれ伏す能力を装備して、社会に出て功を成し、
揺るぎ無い自分の居場所を作り上げること。
居心地の良い安息を、家の外の世界に求めたのです。

その「社会に出て功を成す」部分が、すなわち「目標」であり
具体的にいうのなら、それが「医療関係の分野で」ということになるのでしょう。

そして、来たるべきその時のための基盤を作るべく、
絢辻さんはたゆまない努力と、
徹底した己のメリット追求の人生を歩み始めたわけです。

……しかし、それが正常に機能したのも、
彼女が17回目の誕生日を迎えた秋が終わるまででした。

17歳の冬。
彼女の漆黒のダイヤモンドに、一条の亀裂を走らせる事態が勃発します。



  ■亀裂 ~ブラックダイヤを砕く一条の光



サテ、ちょっとここで考えてみましょう。
絢辻さんにとって、目標ってなんなんでしょう?

  お前バカだろ、とツッ込んで下さった方、
  ありがとうございます。

曰く、医療関係。
曰く、冷たい家族から脱するための物。

上で書いてきたことはどちらも正解ですが、
もっとド真ん中にえぐり込んだ答え、
それはズバリ「価値観の源流」です。

物語序盤、絢辻さんが主人公の前で猫を脱ぐ、その前後で彼女は、
頻繁に「価値観」という言葉を使い、
頻度こそ下がるものの、その傾向は終盤まで続きます。

  「彼は、私とは違う価値観を持っているのかな?」
  「私とあなたは違うの。
   あなたの価値観を押しつけないで」

絢辻さんの価値観とは、
「人への行いはすべて自分のため。
 自分に返ってくるものを求めるために、人と関わる」。

反して、主人公は……
特に、価値観なんてものを持ち合わせません。
もちろんなにがしかの判断基準はあるのでしょうが、
それに対して無自覚で、自分が……まあ、とりあえずその場で良いように、と
周囲と自分の位相をすり合わせ、無意識の善意で行動を繰り返すのです。

ときにそれは、絢辻さん自身にも及びました。
放課後の教室で、一人委員の仕事に耽る彼女を見かけては、
彼は「手伝おうか? 僕、ヒマだから」と
一切の損得を勘定に入れず、無防備な笑顔を向けて来ます。

それまで、絢辻さんの能力の高さや美貌を狙って、
似たような手口で近づいてくる輩はいましたが、
絢辻さんは悉くその意図を見抜き、撃墜、あるいは手の内に丸め込んできました。

しかし彼にはそれが通用しませんでした。
何しろ、彼にはそもそも邪気がない。
あるとすれば若干ヨコシマな妄想くらいのもので、
彼の行動は「なんとなく」「無自覚に」「むにゃむにゃと」実行されていきます。
それで、まあ、僕も周りも、幸せだったらいいじゃないと。

「今の僕の時間は、世界の余り物で出来ているんだ」
と言わんばかりです。

  ところで面白いもので、この辺の構図は
  「悪の殺人拳の使い手が、
   殺気のない活人拳の使い手の技に反応できずに負けてしまう」
  という、格闘漫画のストーリーラインに似ていますね。
  閑話休題。

そんな彼に絢辻さんはいらつき、時に

  「お人好しも度を過ぎると目障りだわ」

などと、強い言葉で噛みつきます。

……そらまあ、そうでしょう。
本来、誰もが生まれながらに持っているモノを、
家族から与えられなかった絢辻さん。

未来にそれを奪還するため、
「目標」までの最短距離を、最速タイムで通過することが
彼女が自らにかけた呪い……すなわち、彼女の価値観です。
その前を、ちんたらちんたら走られた日にゃあ、もう……


  噛  み  殺  し  て  や  ろ  う  か  !!


……彼女の従順な二匹のしもべが、牙を剥かないわけがありません。
ちなみに、これがタイトルであるところの『アマガミ』の由来です
(多分ウソ)。

自分と真逆の生き方を実践する脳天気な少年を、
賢明にして知に凶暴な絢辻さんは、看過することが出来なかったのです。
それがイベント「あなたをあたしのものにします!」です。



  ■夜空を映したダイヤモンド



手帳を主人公に拾われ、自分の正体を、図らずも自ら明かしてしまった絢辻さん。

それまでは遠巻きにしか、
主人公の行動と、その根元にある「価値観」を感じることが出来なかった彼女は、
否応なく狭まる二人の距離の中、ますます彼の特殊性を目の当たりにし、
あるとき、一つの決断を下します。

自分とは真逆にある主人公の価値観、その中心には一体何があるのか?
それを知るために、より彼の懐に切り込んでいくのです。
人気のない校庭の片隅、花壇のそばで言い放つ

  「あなたをあたしのものにします!」

ドギツイ言葉で語られるこのイベント。
絢辻さんのセリフをそのまま借りると、

  「あなたは素直すぎて、無防備で、危なっかしい。
   だからあなたをあたしの管理下におきます」

  「だけど、それに気付いてあげられるのもあたしだけなのよ」

  「あなたに対する束縛はないわ。
   ただ、あたしが少し見方を変えて、
   今までよりも近い場所であなたのことを見るだけ」

  「……問題、ないかな?」

となります。
……例によってラストの一言は別に要りませんが、
オイサンこのセリフが大好きなので書いちゃいましたー!
ヤッホーう!(←死ねばいい)

恐らく、これらのセリフと、このときの絢辻さんの気持ちとの間に
ウソやズレはないでしょう。
絢辻さん自身も、このときは、
この言葉がすべて自分の本音だと思ってしゃべっています。

しかし、彼女の心の中心……今はまだ黒く光るダイヤモンドの中核では、
既に気付き始めているのです。
主人公の「価値観」の中にこそ、自分が一番欲しいものが眠っていることに。

……思い出してみましょう。
絢辻さんの価値観が、何によって生み出されたのか。

それは「目標」です。
「目標」を、一刻も早く達成するために、
彼女は周囲を、他者を、メリットの発生源として認識することしか許されてきませんでした。

では、なぜその「目標」を掲げなければならなかったのか。
それは「家族」です。

自分のコトを、あたかもいないように振る舞う、
「過剰にエリート意識の高い父」と、
「一つの物の見方しか出来ない母」。
「目標」は、そこから脱け出すため
その重力圏から脱け出すための、第二宇宙速度を発生させるためのエンジンです。




  ■安らぎのピンクダイヤ



ではここで、オイサンから新たな質問です。
「絢辻さんが、本当に欲しいものは、何だったのでしょう?」

  ……あ?
  「わからねえ」だあ?
  ……このトンチキにぃにどもが!
  てめえらみてえなのは、父の日ギフトと母の日ギフトを20kgずつ背負って
  ビーバーといちゃいちゃしながら『アマガミ』20周!
  オラ終わらさねえと帰れねえぞ!!

いつしか、彼女は見失っていたのです。
「目標」は、安息を得るための物であったこと、
本当に欲しい物は「目標」そのものでも、そのために頑張ることでもない、
「無償の安息」であったことを。

……はじまりの絢辻さんは、家族に振り向いてほしかっただけなのです。
優しい、温かい家族。
過剰なものや特別なものでなくても良い。

普通に働いて、休みの日、たまーにでも
一緒に遊びに連れて行ってくれる普通のお父さんと、
普通にゴハンを作ってくれて、普通に叱り、褒めてくれるお母さんと、
普通に自分の前を歩き、ケンカもし、たまには相談にも乗ってくれるお姉ちゃん。

そこでは、怒られもするし、ケンカもするし、
ああしろ、こうしろとうるさく言われることもあるでしょう。

けれどもその真ん中では、人は、何が出来ても、出来なくても、
自分がそこにいる、ただいる、生まれてきたことが何よりの幸せであり、
喜びであり、価値であることを実感できる場所と関係。
存在することが価値であり、愛おしさをもって迎えられます。

それは、実は誰もが生まれながらに持っている(べき)物です。










  ──絢辻さんには、それが与えられなかった。
  その深い絶望の闇は、聡明な絢辻さんをして
  過ちの淵に耽溺せしめるに十分な暗さをもっていました。










先の章でも紹介した重大イベント「わたしはだぁれ?」でも、
絢辻さんはこんな風に言います。

  「あたしは、早く社会に出て、自分の居場所を獲得したい。
   そのためには負けられない。立ち止まっていられない」

居場所。家。HOME。無償の安息。
それこそが絢辻さんが真に求めたものであったに違いありません。
果たして、社会にそれがあるでしょうか?
居ても良い。
功績に応じて、認められる。
それはあるかもしれません。

しかしそれで済む話ならば、それは学校でも良かったはずです。
猫という名の仮面をかぶり、先生に、クラスメイトに、チヤホヤされていさえすれば、
絢辻さんは幸せでいられたはずなのです。
しかし、彼女はそこで満足できなかった。

何故か。

本当に振り向いて欲しいものは……かつて、自分という存在を認識のうちから切り捨てた
「家族」だったからにほかなりません。
そのためには、父の、母の、しみついたエリート意識を凌駕するだけの
突破速度を発生させるしかなかったのです。
だからこその、ターゲットとしての「社会」。

社会を目指すことで、失われた家族からの「無償の愛」を奪還する、
……そんな物語です。


そこで主人公です。
17歳の冬の初めに出会った彼が持っていた物は、無償の衝動。
絢辻さんからすれば認識不能のそれは、衝動であり、善意でした。

ときにそれは無邪気な微笑みを伴い、絢辻さん自身にも向けられました。

それまではアウトボックスから様子を見ることしか出来なかった絢辻さんは、
自ら発した「あたしのものにします」宣言により
主人公に対してインファイト、足を止めての打ち合いを要求します。
そこで見た風景は、これまでの自分では見えてこなかったものでした。

「これが幕の内一歩の見ている世界か!」
……と、インファイトに開眼したアウトボクサー板垣よろしく、
その自分と正反対の価値観の世界に、
いたく心を、チクチクと、きゅんきゅんと。
刺激されることになります。

  ……マ、物理的に滅多打ちにされるのは
  主人公の方なんですけども。

  この辺りの話は、「目標」というよりも「恋」に近い話なので、
  「恋」に関する心の動きについては、後の「絢辻さんと恋」の章で
  詳しく読みたいと思います。

ともかくも二人は、恋人ならぬ「不思議な契約関係」を結ぶことになり、
お互い一番近い場所で、その心のありように触れていくことになります。

そして……いよいよ、自覚的に見つけてしまいます。
自分が、本当に欲しかった「無償の安息」。
それが、彼の胸の中にあったことを。

その発見によって、幸せ街道まっしぐら!
……になれるほど、絢辻詞、17歳。
単純ではありませんでした。

  ……そんなあっさり行くくらいなら、
  オイサンだってここまでやられてねえよ。

二つの価値観のはざまで、
絢辻さんの過去と未来の、破壊と再生が始まります。



  ■人という闇の深淵
    ~ブラックダイヤモンド・閉ざされた光の中で



絢辻さんは、自分の打ち立てた「目標」の先に
自分が真に欲するものがあると信じて疑いません。
当然です。
自分の17年という苦悶の時間が、それを支えているからです。

けれども、目の前にぽっと現れた、自分と比べてあまりに幼い少年は、
自分と正反対の価値観をもちながらも……
何故か、自分が一番欲しいものを持っていました。

否、それは不正確。

一番望んでいた物が、自分とは正反対の価値観と抱き合わせで、
彼の胸の中にあったのです。

当然、絢辻さんは戸惑います。
このままいけばいいのか。
180度折り返して、彼の胸に飛び込めばいいのか?
では、自分の17年の意味は?
それに、これまでの道が間違っているとも思えない。

けれども、確かに感じるものがある。
それは、主人公が傍にいることの安心感、
共に過ごす時間のあたたかさ。

ただの頭でっかちなヒロインであれば、
そんなものはまやかしだと切って捨てる場面です。
それが出来れば、絢辻さんだってもっとラクにいられたはずです。
けれども、彼女は聡すぎました。

理屈で測れない感情や、
こころが、体が感じる理不尽な真実は、
実はそれこそが現実の正体であり、この世界の本当の姿であることを、
……幸か不幸か、知っていたのです。
誰より敏感な、失ったはずの絢辻さんの「少女」は。

これまでの自分の姿に自信と確信を失った絢辻さんは、
これまで以上に、「目標」への執着を強めていきます。

そして、機を見計らったように勃発する、クリスマス委員のツリー問題。
クラスメイトたちの造反によって絢辻さんは猫を脱ぎ去ります。

新しい価値観との出会い。
そしてその中心にあるものと、本当の自分の望みの発見。

  「ここしかない」

絢辻さんはそう思ったに違いありません。
新しい戦いを始めるなら、ここだ、今だと。
もしかすると、くだらない謀をこのタイミングで巡らせた隣のクラスのバカ女に、
一抹の感謝の念すらあった可能性があります。

  「……ありがとう、黒沢さん。
   あなたのおかげで、あたし、また一歩先に進めるわ。
   だから、せめてものお礼に……受け取って頂戴。
   ……新しく手に入れた力、
   そ  の  最  初  の  一  撃  を  !」

そんなうすら恐ろしい咆哮が聞こえてくるようです。

これまでの自分の価値観の先にあるものと、
新しい価値観の深奥で眠る、本当に欲しいもの。
何がどう変わるか分からない、
どちらが正しいかも、今の自分では測れない。

だけど、戦おう。

これまでの道が過ちならば、自分には正すことは出来ないだろう。
17年という時間を切り捨てるだけの勇気は、今の自分の中には、まだ、ない。
だけど、……今は彼が近くにいてくれる。
「私」に見えない過ちも、彼がきっと、正してくれる!
そんな安心感が、彼女を戦いに赴かせたに違いありません。


勿論、そんな戦いがラクなものであるわけはありません。


その二つの「価値観」のはざまで揺れ動く様は、
幾つかのイベントで、激しく、哀しく描かれます。
このあたりが『アマガミ』絢辻さんシナリオ・「スキ」ルートの白眉です。
その4つの流れをご紹介。


◆一つ目◆ 「もう一人は嫌……」
一つは、図書館での出来事。
主人公は、いつものように仕事の手伝いを絢辻さんから頼まれます。
しかしその日、先約のあった主人公は、
あとで図書館で落ち合う約束を取り付けて、先約を果たしに行きます。
その後向かった図書館で見たものは、独り、悲鳴に似た嗚咽をもらしながら
ノートを引きちぎる絢辻さんの姿でした。

  「私、いつまで頑張ればいいの……!」
  「早く……なりたいよ」
  「助けて……

時に情緒が不安定になる、と絢辻さんは言いましたが、
目の前にある一つの安息を素直に手に入れられない、
その苦悩が痛々しく描かれています。
頑張り続けなければならないことへの苦悶が、絢辻さんを苛みます。

そしてまた……社会に出、功を成したとしても、
その苦悶から解放されることはありません。
社会とは、そういう場所です。
功を成せば、居場所を獲得することはできるかもしれない。
しかしそれを維持するためには、無限の頑張りを続けるしかないのです。

絢辻さんの真に求めるものはそれではないと、如実に語られるヒントのシーンです。


◆二つ目◆ わたしはだあれ?
毎度お馴染み「わたしはだぁれ?」でございます。
イベントの中で、絢辻さんは言います。

  「あたしには自分がないの。
   はじめから、自分の世界を持つことを許されていないから」

  「絢辻……? そっか。
   じゃあ……わたしはだぁれ?」

  「あなたがいると、私の本当の目標が何なのかわからなくなるのよ……
   追いかけてきてくれたことはうれしいけどね……

これらの言葉から、絢辻さんは
自分を動かしているのは元を辿れば家族という昏らい原動力であり、
プラスの感情で自分から何かを求めたことが無いと語り、
外圧から逃れるためだけに一生をささげようとしていることに
気付き始めていることが読み取れます。
けれど、それももう変えられない、でも逃れたいと思っている。

そしてまた、主人公のもつものと価値観に誘惑され、
それまでの自分のすべてであった「目標」への確信を見失うことで、
自分という存在がどんどん希薄になりつつあることを
感じていることもまた、読みとることが出来ます。

  このイベントだけでどんだけの情報量だよ、と思ってしまいます。
  実はこのイベントにはもう一つの解釈が隠れています。
  というか、どっちも表に出ているので、隠れているわけではないのですが。
  一つのイベントにこれだけの語りを盛り込むことが出来るとは、と
  絶賛の拍手を送りたくなる、屈指の名イベントです。
  明らかに天才の仕事です。


◆三つ目◆ 「あなたにだけは言われたくない!!」
そして、教室で起こる一幕。
家での勉強にチカラが入り過ぎて、具合悪そうにしていた絢辻さんに
主人公がいってしまった無防備な一言。

  「目標のためもいいけど、辛そうだよ。
   そのままじゃきっと、良くないよ」

絢辻さんは逆上します。

  「誰に何を言われてもいい。
   あなたにだけは言われたくない!!」

これはもう……なんというか。
自分の中の二つの価値観のせめぎ合い、
その片棒担いでるお前が言うな! ……という、
実に分かりやすい一幕です。

内実は
「あなたに言われるとイッパツでグラッと来ちゃうから黙ってて!」
という切実な反応なのですが。
この事件がきっかけで、しばしの間、二人は断絶に陥りますが、
やがて、主人公の真摯な説得と献身によって
二人は絆をより強固なものとします。


◆ラスト!◆ 「私の唇を奪ってっ!」
最後は、絢辻さんが覚悟を決めたあとの一幕です。
主人公を校舎裏まで誘導した絢辻さんは、
これまで聞いたこともないような可愛い声で訴えます。

 「あたしの唇を奪って!」
 「そうだけど、そうじゃない。
  奪うところに意味があるの!」

そうしてことを終えた後、

 「頑張ってみるから……」
 「あなたに知り合えて、本当に良かった……!」

と、一人去ってしまいます。
物語の上では、ここまでに二人は既に何度も唇を重ねているので、
それを改めて、顔を真っ赤にして訴えかけてくるのには
当然何らかの意味が込められています。

これはもう明確に、過去の過ちをただし、
素直に目の前の安息を手に入れようとする、
そしてこれまでの「目標」を、捨て去りはしないまでも、
「欲しい物を手に入れる手段」としての「目標」の位置づけを
改めることの意思表示です。

まったく、キス一つするにも面倒くさい女です。
まあそこがカワイイっちゃあカワイあれ絢辻さんどうしたの怖い顔しt

   ズガギャッ!!( ← エライ殴られた)

……失礼こきました。


  ……。


……あの、今こうして書き進めるほどに思います。
本当によく練られたシナリオです。
作者の苦悩、工夫がもう、痛いほどに沁みて来ます。

ファンタジーやSFなどではない、
学園というありきたりの世界の中で、
これほどまでにある意味壮大な物語を描けることに、オイサンは感動します。
否、むしろ、
人の心の営みというものがこれほどまでに緻密に壮大であることに気付かせてくれた
この物語に感動するのです。

ファンタジーもSFもトンデモも、
つまるところ描くのは人間の姿です。
「ファンタジーだから・SFだから、描ける人間の姿」というものも確かにあるでしょう。
しかしそれは、架空の、あるいは現実の延長線上に据えた前提に基づいたものです。

ぶっとんだ設定や面白い造形はいらない、
ただ自然であることが、人間を描く物語の面白みであるのだと、
静かに語ってくれたような気がします。

と、まとめぶった感想を書いておきながら、
「目標編」はまだもうちょっとだけ続きます。



  ■ブラックダイヤの砕けた後に ~「目標」が導いたもの



こうして、絢辻さんの「目標」との戦いは一つの区切りを迎えます。

勿論、『アマガミ』の物語が終わりを迎え、主人公と絢辻さんが
めでたくゴールインしたとしても、
絢辻さんは「目標」そのものを捨てることはないでしょう。

その先に、あまりに切羽詰まった安息を求めることはしないでしょうが、
医療関係で功を成したいという気持ちはきっと、持ち続けて行くと思うのです。

ここで一つ、もしもの話をさせて下さい。

もしも、絢辻さんが、本来の目標であるところの「社会での成功」を見事収めたとして。
絢辻さんは本来欲しいハズであった「無償の安息」を
手に入れることが出来たでしょうか?

  高校生くらいの学生さんには難しい質問かもしれません。
  大学生のあなた。迷わず答えが出せたら就職活動はラクショーです。
  社会人で首をひねったあなたは、一度足元を見直した方が良いかもしれませんね。

答えは「NO」です。

社会、ことに資本主義社会で認められるということは、
所詮は実績や、利用価値や、利益の追求に寄与する、ということです。
それは、絢辻さんが得意としながらも自らを苦しめている
「さみしい共生・利用の関係」の、ただの最終形と言ってもいいでしょう。

  もちろん例外はあるでしょうが、
  基本はそう思って間違いありません。

そこで「価値」を認められたとして待っているのは
さらなる実績・さらなる寄与への期待であり、
無限のガンバリの要求です。
たとえ誰に認められ、賞賛されようとも、
そこには絢辻さんがこころの中心で求めた「無償の安息」はありません。

前章でオイサンが述べた、
「聡明な絢辻さんが、幼い頃に犯した過ち」
とはまさにこのことです。

では彼女の17年という時間はなんだったのでしょう。
……無駄……だったのでしょうか?

これもまた、答えは明確に「NO」です。
上でも書いたように、イベント「わたしはだあれ?」において、
絢辻さんは「私には自分が無い」と言います。

……そんなこと全然ないと、オイサンは思うんですよねえ。

ある会話モードの中で絢辻さんが言いました。

  「学校の宿題なんかに時間をかけてる暇はないの。
   やりたい勉強がやまほどあるわ!」

……ただの会話にしては、
この言葉はオイサンの耳に妙に残りました。
それは多分、声優である名塚さんの演技のせいだと思うのですが、
やけにイキイキと響いたのです。

彼女は、今の生活を愛している。
家族との関係はともかく、
自分を律し、高みを目指し、多くを学びとることを愛しているのだと
実感させる一節です。

そうして生まれた自発的な意思や興味や感動を、
「自分」と呼ばずしてなんと呼ぶのか。
暗黒のはずの17年は、確実に彼女の「自分」を作り上げたと言っても
差支えないと思います。

それに、何より。

上でも述べたイベント「あなたをあたしのものにします!」
で、絢辻さん自身が言った一言。

  「だけど、あなたに気付いてあげられるのも
   あたしだけなのよ?」

17年を費やし、能力を磨き、周囲を見渡す力を身につけてきたからこそ、
自分が本当に必要とする存在……主人公に出会うコトが出来たのです。
彼女の救いは、彼女自身でつかみ取ったと、
コレマタ言ってもなんら差支えないと、思いますけどね。



  ■次回予告!!



以上で、本章「目標編」は終わりです。
目標やら価値観やら家族やら、
いろんな要素がひっ絡まり合って分かりにくいかもしれませんし、
ちょっと色々解釈を引っ張った感もありますが、
マ間違ったことは書いてないんじゃないかなと思います。

……ただね。絢辻さん。
あなたは、
「目標を追うコトがすべてで、自分には自分が無い」
って言っていたけど。
スットコドッコイなオイサンから一言言わせてもらうとサ。

 ……目標を追うコトが出来なくなった人間も、
   自分がなくなっちゃうんじゃぜ?

以上、意味深な言葉を残しつつ。
オイサンでした。

サテお次は、
ダイヤモンドの少女・絢辻詞を駆り立てた「家族」について
掘り下げていきたいと思います。
果たして、家族と絢辻さんの間に一体何があったのか。
絢辻さんにとって姉の縁さんとは一体?

次回、『アマガミ』絢辻さんシナリオ攻略特別企画
『手帳の中のダイヤモンド』第三部!





  「家族 ~はじまりの歯車」





あしたも元気に早起き!(違っ)







 ◆『アマガミ』絢辻さんシナリオ解読企画 「手帳の中のダイヤモンド」 目次
    01 前口上
    02 序文・絢辻詞という「少女」
    03 第〇部 物語のアウトライン 

    04 第一部 学校生活編 PRE STORY (SS)
    05 第一部 学校生活編 その1
    06 第一部 学校生活編 その2

    07 第二部 「目標」編 PRE STORY (SS)
    08 第二部 「目標」編

    09 第三部 家族編 PRE STORY (SS)
    10 第三部 家族編

    11 第四部 手帳編 PRE STORY (SS)
    12 第四部 手帳編 その1
    13 第四部 手帳編 その2

    14 第五部 恋愛編 PRESTORY その1 その2 その3 (SS)
    15 第五部 恋愛編 その1 その2 その3
    16 第六部 終章 PRE STORY その1 (SS)

    ◎『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク

 
 

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■手帳の中のダイヤモンド -07- 第二部 PRE STORY -更新第207回-

「目標、かあ……」

暮れなずむ校舎の屋上、冬の風は冷たい。
でも僕は、家にも帰る気も、教室に戻る気も起きずに、
夕日に射抜かれ影の塊になっている輝日東山を眺めていた。

高校2年も夏を過ぎた頃から、
これでもかってくらい頻繁に、進路調査のプリントが配られてる気がする。
毎月もらってんじゃないか? と錯覚するほどだ。

そんなに回数配られたって、書くことは増えないし減らないし変わらない。
爆笑珍回答も思いつかない。
そんなこと、誰も期待してないのかもしれないけど。

……それでも。

心にもない真面目回答を、そう何度も何度も書いて出すのは憂鬱だ。
そうして書いて見せてるうちに、その答えがいつしか本当に、
僕の未来に定着してしまうんじゃないかと恐ろしくなる。

それならいっそ、茶化して茶化して、はぐらかしておいた方が気が楽だ。
……そんなこと考えて先延ばしにする奴がいるからあんなにしつこく聞いてくるんだろうけど。
真面目に考えろ、真面目に考えろって。

もしかするとあのプリントは、巡り巡って神様に届き、
「なんだ、こいつ、こんなことしたいのか」
なんて、本当にされてしまうのかもしれない。
……そんな分けゃないか。

そのとき、ビュッと強い北風が吹いたけど、
プリントは僕の手にしっかり握られたままだった。

「きっかけはなんでもいいのよ。
 好きなことや、やりたいことがあればその勉強をすればいいわ」

って、高橋先生は言ってたけど。

梅原は、最悪でも実家の鮨屋をお兄さんと守り立てていくと言っていた。
最悪、なんて言ってたけど、あの顔は案外乗り気だ。
あいつが鮨屋稼業を誇りに思ってるのもよく知ってる。

梨穂子は、最近開眼したお菓子作りに夢中で、
どうも本気で料理かお菓子作りの専門学校にいくつもりらしい。
「フランスにー、修行にいっちゃったりしてぇー」
とか、嬉しそうだったな。
確かに最近味が上がってきてるし、好きこそものの上手なれの典型かもしれない。


僕の好きなこと。
……。
なんだろう。
…………。
なにかあるかな。
………………。
なにかあるだろう。


お宝……本。
お宝本の編集者……とか? カメラマンとか。
なんて言ったら、一瞬で絢辻さんの裏拳(何を思ったのか、絢辻さんは最近技を増やした)が
飛んでくるんだろうな……。

そういえば、絢辻さんはどうするんだろう。
前に目標の話を聞いた時は、
「二つあってね。
 一つは医療関係。もう一つは……まだ秘密」
って言ってたっけ。
多分、そのことをもう書いて、プリントはとっくに提出済みだろう。
あ、絢辻さんが集めてるんだっけ。プリント……。

医療関係……。
ということは、医大にでも行くのかな。
とてもじゃないけど、僕の成績じゃ手が届かない。


  ……。


ギモンに思うコトもある。絢辻さんの目標について。
家族がキライで、社会に居場所をつくりたくて、絢辻さんは頑張ってる。
だけど……それで、ホントにうまくいくの?
絢辻さんは大事な何かを見落としてる……そんな気が、する。

でも、それは今はまだ言えない。
言うなら、しっかり準備の出来た時でないとだめだ。
原因も、理由も、キチンと説明できないと、だめだ。
「目標」は、彼女にとってそれほど大切なものだから。
もしかしたら、僕のことなんかよりずっと大切に……。

「へっ……ヘックシュンッ!」
北風がまた吹いて、背筋から上がって来た寒気が鼻に抜けていく。
冷えてきた。

もう一つ……秘密のもう一つは、何なんだろう。
絢辻さんの秘密はいつも重いから、下手には突っ込めない。
なんとか、そのヒミツのドアを開けることができないものだろうか。

「あっ! こんなところにいた!」

そのとき後ろで、キィコゥ、と重い鉄扉の開く音がして、
少しだけ牙の覗いた可愛い声がした。絢辻さん、その人だった。
彼女は大きな黒目を左右に素早く走らせて、僕の以外に人がいないことを悟ると
たちまち「モードを切り替えた」。

「ねえ、悪いんだけど、ちょっと手伝ってくれない? ヒマでしょ?」
「え……いや、僕は……」
「ヒ・マ・よ・ね?」

絢辻さんはすっかりいつもの調子で、冗談半分に僕を追い詰める。
いつもならもう少し抵抗を試みるところだけど、
気を紛らわせるには、何かの作業をしている方が都合が良かった。
「わかったよ」
「……? よろしい……」


    *   *   *


見えない首輪のリードを引かれ、連れてこられたのはいつもの図書室。
誰もいない、二人の図書室。
今日は二人、並んでの作業だった。
左の絢辻さんから右の僕へ、処理済みの書類が流れてくる。
ときどき、細い視線を感じるのはなぜだろう。

「そういえば」

今日は珍しく、初手が絢辻さんのターンだ。
くだらない雑談の口火を切るのは、いつもは僕の役回りだった。

「あなた、まだ進路調査の紙、だしてないわよね?」

心臓がはじけ飛ぶかと思った。まさにピンポイント爆撃だ。
手が止まるどころじゃなく、ガタリと椅子まで引きずった僕を見て、絢辻さんも手を止めた。
彼女が頬杖をついて姿勢を崩すと、小さな風が、ふわりと甘いにおいを振りまいた。
その甘い毒に誘われて目をやると、心配そうに。
大きな瞳が、一撃で僕の心を見透かすのだ。

「どうしたの? 何か悩んでるの?」
「ああ……うん。まあ……」
「何を?」
「……」

沈黙。
そうだ、それすら分からない。何を悩んでいるのか、そんな基本的なことすら。
明確なビジョンを持って生きてきた絢辻さんには、その気持ちは分からないだろう。
多分、15秒もない沈黙の後。
絢辻さんは、ヤレヤレダゼ、とばかりに鼻から息を抜いた。

「別に、そんなに悩むことないんじゃない?
 この時期なら、成績に合わせた大学を書いておけばいいのよ。
 修正はまだまだ、いくらも利くんだし。
 進学、するんでしょ?」
「ああ、うん。……多分」
「……多分?」

絢辻さんの猫耳がぴくりとはためいて、とたんに語尾にドスがきく。
まずい、怒らせた。
僕の進路で、どうして絢辻さんが怒るのかは分からないけど、なんだか知らないけど、怒らせた。
瞳からはさっきまでの心配そうな色は消え。
責めるような蒼い光が、鋭く宿っている。
僕はもういたたまれなくなって、その眼を見ることも出来なくなっていた。
うつむいた顔一杯に、哀しい気持ちが溜まっていった。

「あなたねえ」

ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
僕なんかの進路のことで、機嫌を損ねてしまって。
僕から反応が無いのを見てとったのか、絢辻さんはまた、一つ深い息をついた。
心底あきれた、という風情だ。
情けない。
情けない?
何が?

「……もう。しっかりしてよね? そんなんで、この先大丈夫なの?」

手にしたシャーペンで、トン・トンと机を小突きながら、辛うじて、湧き上がる怒りに耐えている。
ごめんなさい。わかりません。
今の僕には、何も分かりません。

「そりゃあたしだって働くつもりでいるけど……。
 それをアテにされても困るでしょ?
 子供ができたらそうも言ってられなくなるし、そのうち、育……児……」

すみません。いつまでも絢辻さんの世話になるつもりは……あり……ま……え?
絢辻さんの言葉も、僕の頭の中も、なんだかおかしな方向に。
そのおかしさを各々で後追いするように、声も思考も、しおしおとフェードアウトしていった。

バッ、と!
うつむいた首を猛スピードでひねって、彼女の方を見ると。
絢辻さんは……頬杖をついたまま固まっていた。
その頬は……真っ赤だ。
焦点の合わない目を見開いて、額にじんわり汗をかいている。
さっきまでいらだちを露にしてたシャーペンを持つ手は止まって……否、小刻みに震えている。
あきらかに、「あたし、今なに言った?」という顔だ。
怒りに任せた、勇み足。
絶対、ものすごく、テンパってる。

「……絢辻……さん?」

恐る恐るの呼びかけに、一瞬、びくっと彼女の体が痙攣した。
油の切れた機械みたいに、ぎこちなく瞳を向ける彼女。
……聞こえてませんよーに、なんて、ムシのイイコト考えてたに違いない。

「……今……なんて?」

静かに、目が、合った。
短い沈黙の後、絢辻さんは……ニッコリ微笑んだ……んだけど、その刹那。
白くて丸いおでこから、珠になった汗が滑り、アゴまでいって、……あ、落ちた。

「……ねえ? 絢辻さ」
トン!!
僕の言葉を遮って、シャーペンが机を穿った。
黙りなさい。それ以上聞かないで。そう言ってる。
……のは分かるんだけど、聞きたい! 聞かせて! 絢辻さん!!

「あや……」
「ちょっ!……と、ごめんなさい。……お花、摘んで来るわね」

間をはずす、その極意は彼女の専売特許だ。
そう言って立ち上がった絢辻さんは、スタスタスタと、いつも以上に颯爽と。
ていうか、ただの超早足だ。
貸出カウンターの向こう、トイレのある方へと姿を消した。
一人残されて、僕は。

……そうか。
そういうことだったんだ。
だからあんなに……不機嫌になったのか……な?
だったら、僕は。
しっかりしなきゃ。
もっと、もっと真剣に、進路を、目標を。
これはえらいことだ。
だって、プリントを集めるのは絢辻さんなのだ。
いい加減なことを書いてたら、たちまち鋭いダメが出されるに決まってる。
フツフツと沸き上がる新しい闘志の中、僕はより具体的なプランを求め始めた。

「ふぅ……あー、我ながらびっくりした……。気をつけないと……。
 ごめんなさい、お待たせ。さて、作業の続きを……」
「あ、絢辻さん、おかえり! 一つ聞かせて、子供は何人欲し……」

ブン、と北風より鋭く。
白くて小さな握りこぶしの手の甲が、僕の眉間に突き刺さる。
その日の記憶はそこから途切れて、先のことは憶えていないけれど。

大脳皮質の奥の奥、宝物入れに刻まれた、
思わぬ拍子に転がり落ちた、「秘密のハズのもう一つ」。

ホントに、全く。
絢辻さんは、分からないことだらけだ。







 ◆『アマガミ』絢辻さんシナリオ解読企画 「手帳の中のダイヤモンド」 目次
    01 前口上
    02 序文・絢辻詞という「少女」
    03 第〇部 物語のアウトライン 

    04 第一部 学校生活編 PRE STORY (SS)
    05 第一部 学校生活編 その1
    06 第一部 学校生活編 その2

    07 第二部 「目標」編 PRE STORY (SS)
    08 第二部 「目標」編

    09 第三部 家族編 PRE STORY (SS)
    10 第三部 家族編

    11 第四部 手帳編 PRE STORY (SS)
    12 第四部 手帳編 その1
    13 第四部 手帳編 その2

    14 第五部 恋愛編 PRESTORY その1 その2 その3 (SS)
    15 第五部 恋愛編 その1 その2 その3
    16 第六部 終章 PRE STORY その1 (SS)

    ◎『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク

 


 

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2009年5月 4日 (月)

■夢みる時空 -更新第206回-

オイサンです。

今日、ゲームをしていてふと行き当たった感情を、
ごく素直に書き留めておこうと思います。

テレビゲームって、素晴らしいなあ。

  ……あの、別段『アマガミ』にやられっぱなしだから
  思ったわけではないということは言っておきますね。

一体なぜ、唐突にそんなことを感じたのかは分かりません。
ただいつものように、
テレビの向こうで点滅する画面を見、
流れてくる音楽を受け止めていただけ……
だったのですが。

テレビから流れてくるもの……
六角に区切られたマス目が意味するところ、
色とりどり・形様々のアイコンと、
まっすぐにこちらを見つめるキャラクター、
情景を豊かに語るメロディー、
狙いを決めてボタンを押せば、
ポリン、と快い効果音が鳴って物語が流れ出す、その愛らしい時間のあり方。

レイアウトにしても、
示されている情報が、誰もが直感的に理解できるよう
工夫が常に意識され、かつ見栄えのするように、
破たんの無いように、心を砕いて作られている。

トクトクと小さく脈動する画面を見ていると、
奥に向かって広がる時間と、
プレイヤーである自分に取りつくように、
圧縮されたものが展開されて広がり出す空間が、
まるで無限のもののように錯覚されました。

ちょっとだけ、音楽を聞こうと手を止めて画面を眺めていたら、
そんな当たり前だったはずのコトが
なんだかとても不思議なことのように思えて、
画面に吸い込まれるように、冒頭の気持ちに襲われたのでした。


  テレビゲームって、素晴らしい!


ソフトウェアを娯楽に使おうとしたことも素晴らしいと思いますし、
そのことを、その時々の最高の質と量で
まとめ上げられてきたことも素晴らしいと思います。

今の3次元映像や緻密なCGや生録音の音楽もすごいと思います。
ファミコン時代のドット絵や3音、4音の電子音楽も、
厳しい制限の中で、あれだけ想像力を喚起させる作品はすごいと思います。

その時々の時代の先端が、今なお同じ時間の上で、
同じ評価軸の上で、区別されることもなく、同じように高い評価を受けている、
その平等さというか、懐の広さ深さもスゴイ。

絵の描き方一つとっても
広く普及して定着した手法もあれば、
どこかの誰にかにしか出来ない描き方もある。
その異なった手法・考え方で描かれたものたちが、
同じ画面の上でニコニコと嬉しそうに並んでいる様子がもう、愛おしくてなりません。

なんなんでしょう、これは。
夢のようです。
ある程度、テレビゲームの中身や仕組みも知っているはずなのですが、
中身や仕組みではない部分にあるもの、
中身や仕組みの周囲にまとわりつくもの、
中身や仕組みの隙間に生まれる場のような力が、
なんだかバチバチと稲妻を放って、オーロラのようにはためいて、
素晴らしい、美しい、愛くるしい。

文化だの、芸術だの、大上段に構えたえらそうな議論は好みません。
ゲームを構成するパーツ一つ一つ……
映像、楽曲、物語……それぞれの出来栄えというか、深みというか、
そういうものがそれぞれの分野のトッププレイヤーたちに及ばない……

  ……果たして本当に及ばないのか、
    それらのものがどのようにどれだけ優れているのかなんてことは
    わかりませんが……

……であろうことは、世間一般に常識とされていることではありますが。

なんというか、いつでも、どこでも、誰にでも理解できる
大衆の芸能の一つでありながら、
聖なるものと俗なるものが同居する場所として、
僕はテレビゲームを、本当に素晴らしい、一つの時空だと思うのです。
思ったのです。
今日、また、改めて。


画面では、クルマが走ったりヒコーキが空飛んだり、
兄ちゃん姉ちゃんが殴り合ったり、
なんかもっとわけのわからないものがわけのわからない動きをしたりで、
多分その辺はこれまでもこれからも、変わらないでいくのでしょうけど、
そうじゃない、奥に向かって広がるものが、
テレビゲームの気持ちみたいなものが、きっと僕は好きなんだと、
思ったのです。

  ……。

正直、あの時心にスッと入って来た、
あの不思議な感覚を、言い表せている気は到底しませんが、
なんとかそのカケラだけでも繋ぎ留めておこうと、
こうしてキーボードを叩きます。

今や世界中で遊ばれ、作られているテレビゲームですが、
そうして、止まっていながらも端々でずくずくと脈打つ画面を見ながら
「日本に生まれて良かったな」と、心から思ったのです。

  ……。

今や一つの産業として数えられているテレビゲームですが、
今、世界中の片隅(表現がおかしいですが、合ってます)で、
日本から新しい産業を生み出したいと、
躍起になって駆け回ってるおっさんがいます。

そのおっさんは何故かテレビゲームのことがキライらしいのですが、
もしも彼の生み出そうとするその産業というものが、
またしても、こんなに奇跡のような、
不思議で、美しく、愉快で、幸せなものであるのなら、
そのおっさんの企みに、もうちょっとだけ付き合ってやってもいいかな、
という気もするのです。


  ■ついでに『アマガミ』の話もしておくと。


すみません、
『手帳の中のダイヤモンド』、「絢辻さんの目標編」は近日公開予定です。
連休中には必ず。
ワリと頻繁に見に来て下さってる方、ごめんなさい!
RSS登録して、お待ちください!

『アマガミ』5周目、じわじわと進行中。
今回はノンビリと
森島センパイをメインに、七咲を引き連れてゆるゆる行こうと思っていたのですが。
……絢辻さんのシリアイルートが始まるや、
途端にものすごい緊張が走りました。

ちなみに森島センパイルートでも、
絢辻さんがチラッと出てくるシーンがあったのですが……
こ、怖い……(((゚Д゚; ))))
この人、怖い!
敵に回すと本当に恐ろしい子ー!!
でも愛してるー!!( ← 病)

あと絢辻さんとお姉さんの縁さん、
二人が並んでいるショットを見て、
「あ、この二人、姉妹なんだ」と思うと
それだけで異様にドキドキしてしまいました。
その感情の理由も分からないまま。
わかってるのは胸のドキドキだけ、とコナン君も言ってましたけどホントそうです。


あゝ、夢みるよろこび、ふたたび。
オイサンでした。


■夢光年



 

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2009年5月 3日 (日)

■ハートはWanderer -更新第205.6回-

バカな……。
『アマガミ』を始めてからこっち約一月半、
体調、精神、全てがすこぶる快調だ……。
一体、何がどうなっとるんだ!!
oisanです。

  ……。


しかし……。
『アマガミ』の主人公はいいよなあ……。
どういう仕様か知らないけど、森島センパイみたいな可愛い人に
自動的に好かれるパーソナリティを持っててさ。

リアルオイサンのコトを自動的に好きになってくれるのなんか、
癇癪持ちでツルッパゲの、理不尽大魔王くらいなもんだよ。

……なんだか知んねえけど、昔っから
キラワレ者とかいじめっ子とか、
鼻つまみ者からばっか好かれンだよなあ……。
この差はぜんたい、どこから来るんだ。

マどんな人間であれ、
好いてくれるというのはありがたいコト……のハズ……
……なんだけどね。
ゼイタク言っちゃいけないんだけどさ。
特にオイサンみたいなストレンジャーはね。
配られたカードで、勝負するしかないんだ。

  ……だよね。絢辻さん。


================================================
■Wonder Emotion
------------------------------------------------
なんだよぉう、お前らぁ。
そんなにひどく言うことないだろぉぅ!
うちの兄貴のチカラはなぁ、こんなもんじゃないんだよぉ!

今回はなぁ、まだ初めてで、ちょっと力加減がわかんなかっただけなんだよぉ!
お客さんとか、オカネとか、色々考えすぎちゃっただけなんだよぉ!

あいつはキホン小心者で腰ぬけだからよぅ、
カオも知らないヒトたち相手に好き勝手やれるような、
エゴと度胸は持ち合わせてねンだよぉ!

だけどなぁ、それでも頑張って前に出てける、
すげえヤツなんだよ、あいつはよぅ。

次を見てろよぉ!
肩の力抜けてよぉ、データさえ集まれば、
お前らビックリさせることなんてメじゃねンだからなぁ!


  ……。


なんだよ、ちきしょぉぅ……
俺は兄貴のコト割と好きなのかよぅ!!

      the Sneaker (ザ・スニーカー) 2009年 06月号 [雑誌]


================================================
■部活の『おんけい』!
------------------------------------------------
なんだろう、『けいおん!』第5話見てて、
「あ、部活って大事だったんだなあ」と、フと思いました。

それは多分、メインの4人を見てではなく、
生徒会でシゴトしてる真鍋ちゃんを見て思ったんだけど。

自主性、っていうの?
積極性、とはまた違うと思うんだけど、
「自分のやりたいことを、社会性と制約の中で遂行するに当たって、
 外的に発生する問題を、
 自分で、もしくは仲間と、一緒に考えてなんとか解決にあたる」
というプロセスを経験して、そういう思考回路と行動原理を育むシステムとしては
モッテコイの場だったんかなあ、と。

  そういうのは、趣味を一人で好き勝手にやる分には
  意識する必要のない部分ですしね。

オイサンはそういう場にはホントに参加しない人だったので、
こういうどうしようもないオトナに仕上がってしまってますけど。
うーん、やった方がいいんだろうね。

人との関係の作り方……ではなく、見極め方というか、
「人ってのは融通の利く物体なんだ」
ということを知る上でも有効そうだなあと。

つくづくよく出来てるねえ、学校っていう場は。
マそんなに、色々がうまく機能してる学校ってのも
多くはないと思うんだけどさ。
先生の手間を省くために、形だけになっちゃってるトコも
いっぱいあると思うんだけど。

うん。

先生方は、自分が人の土台を作ってるんだという意識を忘れず、
面倒がらずに素敵な大人を作るお手伝いをしてあげて欲しいと思います。


oisanでした。

 

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2009年5月 1日 (金)

■剣を持つその手は -更新第205.5回-

この間のエントリで、
イチローが世の中の役にたってっかと言われると、わかんねえ
と書いたのですが。

スポーツ選手が世の中に役に立ってない、
なんてことは、実はこれっぽっちも思っていなくて、
「人々を鼓舞したりというだけでも、存分に役に立ってはいる」
という考えではあったのです。

ただ、このときの「役立ち」についてオイサンは、
例えば、農業の発展やテクノロジーの発展みたいに、
「人全体が出来ることを増やして伸ばす」
みたいなことしかイメージしてなかったので、
その道の「役立ち」はスポーツ選手にはないかなあ、と思ったので、
ああいう書き方になってしまった。

それは
「ゆくゆくは、そこから生まれたものを使って
 誰もが便利にカイテキに安全に、暮らしていくことが出来る」
というイメージの「役立ち」だったんです。
「誰かがアタマを使って作ったものを配る」
感じです。

そのイメージの中にあって、「夢を、勇気を与える」という「仕事」
(ご本人たちがどう考えているかは別にして)は、
「役立ち」という意味で、第三者に対してその証明……とまでは言わないにしても、
その効果というか、役割が叙情的すぎる、と思ったのです。

そこでハタと思い直したんですが、
イチローのやってることというのは、
「人間のアタマと体のバランスを突き詰めると、
 ボディ一つでどんなことが出来てしまうのか」
ということの証明のような気がしてきました。

 トップアスリート全般の話ですよ。
 イチローさんに代表してもらってますけど。

要するにオイサンのアタマに先にあったイメージが、
「人々の手に何かを持たせて便利にする、
 その持たせる『何か』を考え作り出す」
ことだとすると、
イチローさんは
「手そのものの能力を引き出し、見せつけ、伸ばす」
ことをやっているんではないかと。

  イヤ、バットやグローブは持ちますけどね。
  裸で何が悪い!

そのことには大変なイミがあると、オイサンは思います。

大昔、まだ人間が「ヒト」だった頃、
ヒトの群れの中には、火を熾すのも下手、狩りも下手、
果実の木を見分けるのも下手……そんなヒトもいたと思います。

その彼に何が出来たかというと、
誰よりも早く走れ、高く遠く、飛び、泳ぎ、深く潜ることが出来る。
その姿に、まだまだ未発達だったヒトは、きっとときめいたに違いないです。
俺らはまだまだいける、
生きるエリアをもっと広げていけると、彼の背中を見て希望を持ったと思うのです。

  もちろん狩猟社会においてそれら能力は役に立ったでしょうから、
  狩りの技術面で劣っていても、他のヒトがいない領域に到達して、
  彼は獲物を獲得することが出来たでしょうけど。

スポーツを見て感動する、というのは、ルールの上での勝ち負けもともかく、
「人間というボディの伸張の可能性」
に気付く、ということなのかも、と改めて思った次第です。

  ただまあ、その辺も、最近は最新理論を搭載して、
  そのこと(各競技のルール)に突き詰めた連中がトップをとっていますから、
  私ら一般人にとっては「なんか違うつくりの人たち」になってしまって、
  夢……というか、自分達にも手の届く、展望や目標と呼ぶには
  遠い存在になってしまっていますが。スポーツ選手。

  そういう意味では、オールラウンダーであることを宿命付けられる
  十種競技の選手なんてのは、
  そもそもの運動野郎の姿に近いのかもしれません。

  ……と考えていくと、じゃあやっぱ、
  その道で一番ちゃんとしてるのは範馬さん家のお父さんみたいな人……
  ってコトになっちゃうかなあ……。
  いや、アレはあれでなんか違うものだな。やっぱ。

うん、なんか、当たり前っちゃあ当たり前の結論なんですけど、
そんな感じ。


オイサンでした。

 

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