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2009年4月20日 (月)

■手帳の中のダイヤモンド -05- 第一部 その1 -更新第204回-

  ◆『アマガミ』 絢辻さんシナリオ解読企画 「手帳の中のダイヤモンド」 目次
  ◎『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク


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  ■第一部 その1■ 絢辻さんは優等生 ~始まりに、猫が二匹
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前回は大変失礼をば致しました。

この第一部では、学校での絢辻さん、つまりは
「猫をかぶっている絢辻さんと、素のままの絢辻さん」
の関係について書くつもりでおりました。

その冒頭の、
「じゃあ絢辻さんは、なんで猫なんてかぶってるんでしょうね?」
という提起の部分を上手に出来なかったので、
読み物でゴマかしてから本論に入ろうとしたのですが……
色々ドライブがかかり過ぎてあのザマです。

せっかくなので、多少なりとも楽しんで戴けていれば幸いです。


  ■イントロダクション -She has a cat at the school .


物語のアウトラインのところでも触れましたが、絢辻さんは優等生です。

それも、ただ「成績がいい」「素行がいい」という
いわゆる先生ウケのレベルにとどまらない、
人に優しく、快活で、公平さの前では厳しさも忘れず、
先生にも生徒にも人望がある……という、
全方位型の理想的な人間像の持ち主です。

そしてまた、それが表向きの顔であることも、先に述べた通り。

上で書いたような「優等生」ぶりは、全て彼女自身が意図して作り上げたものです。
それは、絢辻さん個体としてのスペックはもちろん、
周囲の環境も含めて、築き上げられたものです。

今回は、そんな絢辻さんの二面性のさらにその奥で寝息を立てる、
素顔ならぬ寝顔にまで……

つまりは「絢辻さん本人」について、
メインストーリーから読み取れる情報に加えて
ちょっとしたイベントや、会話モードの受け答えから読み取っていきたいと思います。

そして、その先に広がる「手帳」「目標」という謎への手がかりとしてみます。


  ■絢辻さんに、猫は棲み憑く ~彼女が猫を飼ったわけ


先ずはじめに、至極まっとうな疑問です。

そもそも絢辻さんは、どうして猫をかぶっているのでしょう?
何をきっかけに、人前で猫をかぶるようになったのでしょう?

この疑問は、絢辻さんという人物を知る上で避けては通れない問題です。
何故なら、彼女と付き合っていくためには、
つるべのように浮上と沈潜を繰り返すこの二層のレイヤーに、
自然に寄り添っていく必要があるからです。

そしてまた、それは彼女のクラスメイトとの関係─彼らへの視線へとつながっていき、
そこにある一つの矛盾のようなものの中に
絢辻さんの本音が見えてきます。

しかし、この理由もやはり多くの謎と同様、
シナリオ本編中ではじかには語られていないと思います。

それでもいくつかのヒントはメインのシナリオの中、そして、
会話モードの中に散見されるので、
オイサンの見てきた限りの情報から、理由について読み解いてみたいと思います。

デ、解説に入る前に、
絢辻さんシナリオの縦糸である「クリスマス委員」の大筋を確認します。
この先、この流れの中でお話をすることが増えるので、
簡単にアタマに入れて置いてもらえると便利です。


  ■鈴の音がきこえる ~サンタクロースの袋の中身


主人公の学校は、毎年、市と合同でクリスマスの催しを行います。

  学校の創設者の誕生日がクリスマスだから、らしいのですが。
  マ細かい設定はどーでもいいので割愛。

11月の半ば、その実行委員の選任が主人公のクラスでも行われ、
絢辻さんはそれに立候補……というか、他にやる人間がいないのを見て
自ら手を挙げます。

  この辺にも、絢辻さんの本音が見え隠れするのですが、
  その辺は後述。

事件が起こるのは、シナリオ終盤
(中盤まではほとんど何も起こらず、主人公が絢辻さんの仕事を手伝うための
材料くらいにしかなっていないことも、このシナリオの巧みなところです)。
展開は、「スキ」ルートと「ナカヨシ」ルートで異なるのですが。

「ナカヨシ」ルートでは、
就業時間外に作業をしていた学生が、軽い事故を起こして怪我をします。
すると、その事故をありえない速度で聴きつけた市から、
作業の中止と、以降の作業を市に任せるよう、申しつけて来ます。

それを聞いた絢辻さんは、それを横暴として聞き入れず、
黒幕を探し当てて市議へ直接申立て、撤回させてしまいます。

「スキ」ルートでは、
市の側が突然、学校側での設営が遅れていることを理由に
イベントのメインシンボルであるツリー設営の仕事を、
学校側からとりあげようとします。

その話を聞きつけた意地の悪いクラスメイトが絢辻さんをつるし上げ、
責任の全てを絢辻さん押しつけた挙げ句、
「主人公といちゃいちゃしてばかりいるからだ」としたり顔で論い……。

……絢辻詞の逆鱗に触れます。

結果、クラスメイトの前でも仮面を脱ぎ去った絢辻さんは、
クラスの女子から孤立します。

そのこと自体は、鋼の絢辻さんになんの影響も及ぼしません
(少なくともそう描かれます)が、
異なる側面……「仮面を脱ぎ去ったこと自体」で、
「絢辻詞」の、崩壊と再生が始まるのでした。


  ……。


……簡単に書くとこう↑、……
ひどくシンプルにまとまってしまうのですが……
ここに至る流れの中の、感情のすべてに、
通り一遍ではない理由付けがされているのが『アマガミ』の凄いところです。

  絢辻さんがクリスマス委員の仕事を引き受けた理由は?
  シナリオ中盤まで、ワリと絢辻さんと仲良く描かれてきたクラスメイトが、
  終盤にきて突然絢辻さん攻撃を始めたのは何故なのか?
  そして……正体を現さねばならないほどに、絢辻さんが怒りを奮わせた理由は?

  決して、単純ではないんです。
  本当に、皆さん、味わい尽くして下さい。
  もちろん、このシリーズでも、あとあと触れていく予定ですが……
  考えれば考えるほど、深奥に近づける物語です。

言っとくぞ、お前ら!
こんなすげえの、10年やってても滅多にねえぞ!

  こ   れ   が   物   語   だ    !
  設 定 だ の、 世 界 観 だ の じ ゃ ね え ん だ よ  !


サテ、軽く取り乱してスッキリしたところで(ストレス解消をここでするな)。
冒頭の二つの疑問……

 ・そもそも絢辻さんは、どうして猫をかぶっているのでしょう?
 ・何をきっかけに、人前で猫をかぶるようになったのでしょう?

……に、触れて参りましょう。
そうしましょうそうしましょう。


  ■始まりに、二匹の猫。


その疑問に、もっともストレートに答えを投げてくれるのは、
「スキ」ルート終盤で起こるイベント、『わたしはだぁれ?』でしょう。

クラスメイトたちとの断裂の事件後、主人公は放課後の校庭の片隅で、
一人リフティングをする絢辻さんに出会います。

  このイベントはもう……なんちゅうか、大変に密度が濃い。
  短いイベントなのに、絢辻さんの謎の多くのヒントになります。
  詳細はあとの「絢辻さんと家族」の章でご説明しましょう。

絢辻さんは独り言と称して、主人公に自分と家族との関わりを話し、
ぽつりと漏らします。

 「……大嫌いな家族に囲まれて毎日を過ごすの。
  だからかな。
  小学校に上がる頃には、今の自分になっていたわ」

そして、会話モードでの、ある一言。

 主人公 「絢辻さんは、中学ではどんな生徒だったの?
       今と同じ?
 絢辻さん「まあ、そうね。
       誰かさんがいなければ、高校もこのまま行けるはずだったんだけどね。

この二つのセリフだけが、「何故」「いつ」「どうして」のヒントです。
……少なくとも、現時点のオイサンの中では、ですが。
そして、そんなオイサンは、二つの方向性があると考えています。

一つは、厳格で頑なな家族から身を守るため術として身につけた「猫」。
もう一つは、「目標」のためであり、社会性からの逸脱を避けるための「猫」。

絢辻さんは、厳格で頑なな家族に囲まれ、
自分の存在価値を認められずに育ってきました。

  ……しつこいようですが、この辺のコトについては
  あとの「家族」の章で書きます。
  この件もまた……一筋縄ではいかないカンジなので。

そんな絢辻さんが、人に振り向いてもらえないコトの恐怖と寂しさに怯え、
「人に迎合すること」を一つの防御手段として身につけたことは、
必然だったのでしょう。

しかし、それだけで終わらないのが絢辻詞のカッコイイところです!
やっほう、イカスぜ!
家族に、社会に、認められるため、
彼女は鎧だけではなく、武器を身につけようとします。
それが「目標」です。

彼女は、家族に認められなかった分を社会にもとめ、
社会に認められるため……

  ……コレが即ち「目標」なのですが、
  えー、その「目標」の中身が具体的に何なのかっちゅう話も、
  これまたアトです。

……に、ひたすら自分の能力を磨き始めます。
そして、ある時点で気付きます。
自分の能力が他を圧倒して秀でていることに。
それがいつだったのかは分かりませんが、
「このまま突き進んでいては、やがて世間から逸脱し、
 認められはするものの、平穏ではいられなくなる」
と。

  ……小学校時代にでも、何か辛い出来事が、
  きっとあったに違いありません。
  たとえば、ただ優秀であるが故の、友人との衝突。
  優秀であるのに、教師からの低い評価。

そして、うまく社会にとけ込み、あくまでも平穏に、
「目標」達成に向けて生きていくため、
彼女はもう一匹、どこからか猫を拾ってきてしまったのでしょう。

前者の「猫」が鎧であったなら、後者の猫は、刃を隠し守るための「鞘」です。


  ■猫いづる国の姫君


……さて、お分かり戴けたと思います。
絢辻さんの飼う、始まりの、二匹の猫の物語。
否、
猫なしでは生きていけない彼女自身が、
猫に飼われていると言っても良いのかも知れません。

そして、その猫を連れてきたのは、「家族」と「目標」であること。
マ始まりにあったのは「家族」なのです。
それはきっと、どんな人間にとっても同じであるように。

そして更に、先の「クリスマス委員」の説明でお話ししたように、
絢辻さんは、自ら猫を脱ぎます。
彼女が自らの宿主であった猫を脱ぎ去った、その意味。

脱がずにその場を乗り切る術なんて、
絢辻さんの引き出しの中にはいくらでもあったハズです。
けれども、彼女は脱いだ。

あのシーン……オイサンには、
絢辻さんが怒りにまかせて暴走した……

  のでは決してなく。


冷静に考え、あらゆる決断の果てに、
意を決して、怒りの力を借りて我を奮い立たせて、脱ぎ去ったように見えました。

これまで鎧で守られ続けてきた、
まだ誰にも触れさせたことのない柔肌を露わにし、
新しい戦いを挑んだ瞬間。

そんな風に、見えたのです。
その辺のことは、あとの章「絢辻さんと恋」で、イチャイチャと……
そりゃあもうイチャイチャイチャイチャ書いていきますよ!
にぃにはビーバーといちゃいちゃしてればいいよ!


  ……。


なんというか、オイサン自身こうして書いてて初めて気付きますが。

家族に己の端を発し、他者と出会い、恋をして、新しく関係する。
……人の営みとして、至極当たり前のことが描かれている物語です。

だけども素晴らしい。
だからこそ、素晴らしい。
世の中には当たり前しかない。
烈しさこそ伴え、当たり前の出来事がこんなに鮮やかである、
こんなに緻密に鮮やかに描けることを見せてくれる、
『アマガミ』は……なんかもう……

  もう一度言います、
  こ   れ   が   物   語   だ    !
  設 定 だ の、 世 界 観 だ の じ ゃ ね え ん だ よ  !
  見 や が れ、 世 間 の ラ イ ト ノ ベ ル 書 き ど も め !


……別にオイサンは全然全くえらくないんですけどね。
すみませんでした。
オイサンは、ライトノベルがあんまり面白くない人なので……
言ってみたかったの。
どうよ、的なね。
ごめんなさい。
イヤ、面白い物もきっとあるんでしょうけど、なかなかね。
ウケてるし売れてるモノなんで、アレらがアレらで正解なのは
もちろん認識してますんでね。
勘弁して下さい。

  あ、『ドクロちゃん』は、なんかもう、別ね。別。
  物語がどうとかじゃないから、アレは。

サテ、思いつくままに興奮気味に。
こういう↑ことはもう、載せない方が全然いいんでしょうけど、
でもまあ、こういう風に感じたんだと言う事実が私の本当なので、
もう、残しちゃいます。


  ……。


と、ここまでが「絢辻さんが、なぜ猫をかぶったか」の、
今のところの全容です。

身を守るため、そして周りを傷つけすぎないため、
攻防一体の猫かぶりを身につけた絢辻さん。
その可愛らしい毛皮の奥で……一体、何を考えているのでしょうか。

引き続き、その猫をかぶった絢辻さんと、そうでない「素」の絢辻さん、
そして、「さらにもう一人の絢辻さん」が、
何を見、考えているのか……その本音・本質に迫ります。

これもちょっと、先ずはシナリオのメインストリームである
「クリスマス委員」での活動の中から探ってみたいと思います。


  ■絢辻さん、まっしぐら。


絢辻さんは主人公に手帳を拾われ、猫かぶりの実態をあらわにしてしばらくは、
こんなようなことを主人公に対して言い続けます。

「あなたは、自分の得にもならないことばかりをしている。
 私と価値観が違い過ぎる」

  後々、この価値観の違いが絢辻さんを苦しめ、
  恋へと導いていくことになるのですが……
  それはやっぱりまたあと。
  「絢辻さんと恋」の章でお話したいと思います。

これはつまり、絢辻さんの、猫を含んだすべての姿勢が、
自分のメリットを追求するためのものであることを暗に示しています。

ここで絢辻さんのいう「メリット」は、捉え方に随分幅があるため、
正直なところ「え? 絢辻さん、それでホントに得してんの?」と
思ってしまうような場面も、多々あります。

  先生から頼まれた仕事に対して、
  「無能な教師どもめ!」
  と、路地裏でゴミ箱をケ飛ばすシーンなど、
  仕事とメリットのバランスがとれていないことを如実に表す場面です。

しかしそれでも絢辻さんは、
クラスメイトを助け、先生を助け、
人の嫌がる仕事に自ら手を挙げて飛び込んでいきます。

そこには多分、「目標」にかかわる直接的なメリットがあったり、
間接的な何かが隠れていたりすることを、彼女自身理解しているのでしょう。

ですので、こちらも少し「メリット」の幅を少し広げて捉えざるを得ないのですが、
オイサンの目に映るのは、
それは「適切な負荷」であり、何かの練習台であり、成長の糧なのではないかと思えます。

もちろん学校での活動を積極的に行うコトで、単純に、
学校側からの評価はあがるでしょうし、
友人からの人気も得られるでしょう。

……けれども、絢辻さんが「それしき」のことを、
メリットだととらえる理由はありません。
何故なら、絢辻さんの「目標」は学校の中などにはなく遠大で、
学校で行われる活動はあくまでも、
そのための下地作りや練習でしかない……ハズだからです。

  クラスメイトとの関係を、
  「損得だけの、共生関係」だとぶった切るシーンでも、
  それはわかります。

絢辻さんの「目標」は……コレマタあとの章で扱うことですが、
上でちょろっと書いたように、「社会に出て認められること」です。

  そのために学校の勉強以外の勉強をたくさんしていることは、
  「したい勉強が山ほどある、
   そのためには学校の宿題なんかに時間をとられてられないわ!」
  と、イキイキとした瞳で語るシーンでわかります。

いわば、学校という小さな社会は、絢辻さんにとって「格下」の存在です。
絢辻さん自身そうは思っていないことは明白(この章のあとの方で書きますよ)ですが、
目標の大きさから考えれば、それは相対的な事実です。

では、絢辻さんが享受しているメリットを言葉で言い表すと何になるのか、
と問われれば……多分、

  社会の観察と、構成の理解と、制御。その練習。

なのではないかと、思います。

  どんな人間がいて、
  それぞれどんな個性を持っていて、
  互いにどう関係し合っていて、
  どこをどうつつけば、どんな反応をするのか。
  課題を効率的にクリアするには、それをどう動かすのが良いのか。

……と、こう書いてしまうと、すごくイヤな、困った人です。
けどもまあ、誰しも考えることではあります。
言い方・見方を変えれば、

  クラスや委員にどんな個性の持ち主がいて、
  誰と誰が仲が良くて、
  どんな仕事を、どんなふうに頼めば気持ち良く動いてもらえるのか?

ということを、常に具に気にかけている、ということになります。
だって、相手は学生ですから。

  ……たまに、校長とか市議会議員を相手にそれをやりますけど。
  絢辻さんは。

そして、その小さな社会の中には、勿論絢辻さん自身も含まれます。
その世界の中で、自分が何を感じてどんな反応をするのかさえ、
絢辻さんは観察の対象としている風があります。

会話モードの世間話で、こんなやりとりがありました。

  主人公 「絢辻さんは、学校のどんなところが好きなの?
  絢辻さん「色んな人が、いろんな考えで行動しているところね。
       小さな社会って感じで、いいじゃない。

まだ主人公に対しても猫をかぶっている時期のことなので、
この発言の真意は定かではありませんが、
オイサンはこれは、絢辻さんの本音だと思っています
(その根拠についてはこの章の最後らへんを読んで下さい)。

「人との関わりの中で、新しい体験をし、沢山の物を見、
 自分の心と体と頭の中に、多くの物を蓄積したい」
と考えているのは、彼女の偽らざる考えであると。
そのために身につけた「鞘の猫」なのです。きっと。

そしてさらに面白いことに。
そうやって、くまなく学校を見渡してきた絢辻さんだからこそ……
「主人公の価値観の特殊性」に唯一、気付くことが出来たという事実。

  絢辻さんの「目標」に対する昏き情熱が、
  皮肉にも、自分を暗闇から救い出す光を探し当てた、という構成と、
  背筋に寒気の走るようなさりげなさ。
  感服いたします。いやはや、スゴイ。


  ■猫の瞳が見る夢は。


さて上では、絢辻さんに対して、学校は相対的には格下であると書きました。
では絢辻さんは、クラスメイトや学校で暮らす人々を見下しているのでしょうか。
答えは「NO」です。

  もちろん、しょうもない下衆な思惑で動く人間に対しては
  情けも容赦もありませんが、
  普通に暮らす、普通の生徒を見下すようなことはありません。

「ナカヨシ」ルートでは、こんなエピソードがあります。
クリスマスイベントの作業が市に移譲されると聞いたあと。
絢辻さんは一人、準備室で涙を隠さずに語ります。

  「どうしてこんなことになるの?」

そして、下らない色恋の私怨でもって
このような馬鹿げた謀略を巡らせた、黒幕に言い放つ、

  「絶対に、許さない……!」

の一言。
その恐ろしいまでの貫通力は、そこにいない黒幕をも射抜かんばかりに本物です。
そして言葉だけでなく、持てる力を尽くし、
黒幕の思惑をたたきつぶしにかかるのです。
動機は、
「みんな頑張ってくれてるのよ!」

  ……あのですね、ついでに言っておきますけど、
  絢辻さんが起こった時の、中の人の演技。
  すごいです。ものすごい迫力。
  名塚佳織さんって、怒り芝居得意なんですかね。

そんなこんなも乗り越えて、無事に迎えたイベント当日。
主人公と会場を回りながら、彼女は
「無事に開催することが出来て良かった。
 みんなの努力が無駄にならなくて良かった。
 たくさんの人が喜んでくれて、本当に良かった」
と、涙を流さんばかりに繰り返します。

そこには、普通の生徒たちへの、温かなまなざしがあります。
決して、駒や道具だとは思っていない、
彼らの気持ちを尊重する慈しみが表れています。

  ……まあ、クリスマスのエピソードに関しては、
  絢辻さん自身が特別な感情を持っているため公平ではないかもしれません。

ただ……敬意があるのかと言われれば、それもありません。
もしそれがあったのならば、絢辻さんは、家族から得られなかったものを、
実社会と言わず、学校に求めることもできたハズなのです。

それをしなかったし、出来なかった。

何故なら、やはり学校での活動は、
家族に認めてもらえない「程度」のものでしかないという
厳しい「事実」が絢辻さんの中にあったためです。
そこでチヤホヤされることに意味はなく、
安息の場所にはなりえなかったのです。

それは幼いころからの呪いのようなもので、
あらゆるものが家族より上に来ることを、絢辻さん自身が許さなかったのでしょう。

であれば、絢辻さんにとって、普通の学生たちとは一体どのようなものなのか。

……これを言葉にするのは難しいのですが、
多分、「家族からみた絢辻さんと同じようなもの」なのだと、
オイサンは思います。

いわば、ただの「対象」です。
自分と自分以外の対象の群れであり、個としての認識はしていない。

  上で「どんな人がいるかを観察している」と書いたことと矛盾するようですが、
  それは「組織を構成している要素」としての区別であり、
  個が組織よりも上位に来ることが無いという意味で、
  敬意とはかけ離れた感情であると思えるのです。


……。


ちょっと……長くなってきたな。
うーん、一つのエントリで終わらせたかったのですが、
ここでいったん切りたいと思います。

学校編としては、このあと

 ■猫パンチは∞の軌道
   ……猫をかぶってたってなくたって、絢辻さんはスゴイ!

 ■正四面体と流れ星
   ……裏と表、そして三人目の絢辻さん。

の二つを扱います。
なんか構成がガタガタですみません。

オイサンでした。






 ◆『アマガミ』絢辻さんシナリオ解読企画 「手帳の中のダイヤモンド」 目次
    01 前口上
    02 序文・絢辻詞という「少女」
    03 第〇部 物語のアウトライン 

    04 第一部 学校生活編 PRE STORY (SS)
    05 第一部 学校生活編 その1
    06 第一部 学校生活編 その2

    07 第二部 「目標」編 PRE STORY (SS)
    08 第二部 「目標」編

    09 第三部 家族編 PRE STORY (SS)
    10 第三部 家族編

    11 第四部 手帳編 PRE STORY (SS)
    12 第四部 手帳編 その1
    13 第四部 手帳編 その2

    14 第五部 恋愛編 PRESTORY その1 その2 その3 (SS)
    15 第五部 恋愛編 その1 その2 その3
    16 第六部 終章 PRE STORY その1 (SS)

    ◎『アマガミ』 絢辻さん SS 目次リンク

 

 

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